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JP3273060B2 - マット調ホーロー製品の製造方法及びマット調ホーロー施釉品 - Google Patents

マット調ホーロー製品の製造方法及びマット調ホーロー施釉品

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Publication number
JP3273060B2
JP3273060B2 JP11704092A JP11704092A JP3273060B2 JP 3273060 B2 JP3273060 B2 JP 3273060B2 JP 11704092 A JP11704092 A JP 11704092A JP 11704092 A JP11704092 A JP 11704092A JP 3273060 B2 JP3273060 B2 JP 3273060B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
matt
glaze
base glaze
product
glazed
Prior art date
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Application number
JP11704092A
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English (en)
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JPH05286788A (ja
Inventor
伸一郎 関
和司 小谷
広徳 安藤
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NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は天然石に近い外観を有す
るマット調ホーロー製品の製造方法及びその製造のため
の施釉品に係わり、特にその焼成工程の簡素化を図った
ものに関する。
【0002】
【従来の技術】 ホーロー製品であって天然石に近い外
観を有するものは、生地にマット状のベース釉を施釉
し、このベース釉の上に色彩を相違し散点状に施釉す
る、いわゆるスティップル釉との組合わせによって、複
雑な石模様を得るようにしている。従来、これを製造す
るには次のようにしていた。
【0003】まず、ホーロー生地にベース釉のスラリー
を施釉して乾燥させ、これをひとまず焼成炉に通して焼
成する。次に、ベース釉とは色彩が異なるスティップル
釉のスラリーを焼成されたベース釉の上に例えば施釉ガ
ンを用いて粒状に点在させるように吐出して付着させ、
これを乾燥させた後に再び焼成炉に入れて焼成するので
ある。
【0004】ところが、このように二度にわたる焼成を
繰り返すために、エネルギーコストが高くなり、コスト
ダウンを図る上でに限界がある。また、天然石により近
い表面状態を得ようとしてマット調ベース釉を使用して
も、そのベース釉が二度にわたって焼成されることにな
るため表面の光沢度が上昇してしまい、マット調の風合
いが消失傾向となるという問題があった。
【0005】そこで、従来より、ベース釉を施釉した後
に、これを焼成することなくスティップル釉を施釉し、
その後に一度の焼成工程だけで両釉薬を同時に焼成する
同時焼成法の実現が要望されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、単に、
従来と同様な条件で乾燥・同時焼成しても、二度焼成法
より優れた外観のホーロー製品を得ることはできなかっ
た。単に同時焼成を行うだけでは、ベース釉とスティッ
プル釉との境界部分に乱れが生じて著しく外観が損なわ
れてしまうのである。
【0007】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、その目的は、コスト及び表面風合いの点で利点が
ある同時焼成法を採用しながら、従来の二度焼成法より
優れた外観を得ることができるマット調ホーロー製品の
製造方法及びマット調ホーロー施釉品を提供するところ
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係るマット調ホ
ーロー製品の製造方法では、まず生地にマット調のベー
ス釉を施釉して乾燥させ、ここにスティップル釉が施釉
される。この場合、そのベース釉は、その乾燥皮膜と生
地との密着強度が2mmピッチのクロスカット試験を行っ
た際の剥離面積が65%以下となるようなベース釉であ
って、そのベース釉に重ねてスティップル釉が粒状に点
在させるように施釉される。そして、この後、両釉薬が
同時焼成される。
【0009】また、本発明に係るマット調ホーロー施釉
品は、ベース釉を施釉して乾燥され、又はそのベース釉
に重ねてスティップル釉が粒状に点在させるように施釉
されており、ベース釉の乾燥皮膜と生地との密着強度が
2mmピッチのクロスカット試験において剥離面積が65
%以下となっているところに特徴を有する。
【0010】
【作用】本発明者による研究によれば、単に前述したよ
うな同時焼成を行うだけではベース釉とスティップル釉
との境界部分に乱れが生じてしまう理由は、焼成工程に
おいて溶融前のベース釉が大きく収縮し、ベース釉とス
ティップル釉との間に亀裂を発生させるためであること
が究明された。
【0011】この点、上記手段の製造方法又は上記手段
の施釉品によれば、ベース釉の乾燥皮膜の生地に対する
密着強度が2mmピッチのクロスカット試験において剥離
面積が65%以下となるような十分に強い値であるか
ら、焼成工程時にベース釉の乾燥皮膜に収縮力が作用し
たとしても、このベース釉皮膜に亀裂が発生することが
防止される。
【0012】クロスカット試験を行った際の剥離面積が
65%を越えるような密着強度では、焼成工程時にベー
ス釉の皮膜に亀裂が発生してスティップル釉との境界部
分に乱れが生じて外観が損なわれる。
【0013】ベース釉の乾燥皮膜の密着強度をできるだ
け高めるには、粘土鉱物や糊剤等の懸濁剤の添加量を増
大させることが考えられる。しかし、粘土鉱物の添加量
がフリット100重量部に対して7重量部を越える程度
になると、ベース釉の耐酸性が低下するため、これは7
重量部以下とすることが好ましい。また、有機物の糊剤
の添加量が過剰に増大すると、ベース釉に泡が発生して
外観を損ねる。なお、粘土鉱物としては、蛙目粘土とベ
ントナイトとを併用することが最も好ましい。
【0014】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のマット調ホ
ーロー製品の製造方法によれば、ベース釉の乾燥皮膜の
生地に対する密着強度が十分に得られるから、焼成時に
おいてベース釉の皮膜に亀裂が発生することが防止さ
れ、ベース釉とスティップル釉との境界部分に乱れがな
く優れた外観を得ることができる。また、本発明のマッ
ト調ホーロー施釉品によれば、これを同時焼成しても境
界部分に乱れが発生しないから、優れた外観のホーロー
製品とすることができる。
【0015】
【実施例】ホーロー生地は1.6mm×100mm×100
mmの鉄板である。ここに、公知の下地処理を施し、表1
及び表2に示す各種のマット調ベース釉のスラリーを常
法により施釉した。なお、各表における組成欄の数値単
位は重量部である。
【表1】
【表2】
【0017】ベース釉の施釉後、ホーロー生地を120
℃〜130℃に保った乾燥装置内に20分〜30分間収
納して乾燥させ、クロスカット試験を行った。ベース釉
の乾燥皮膜の厚さは100〜150μm、水分は2%以
下であった。
【0018】このクロスカット試験は、塗料皮膜の付着
性を試験するために定められている英国規格に準じて行
っており、切削荷重10gのクロスカットテスターを利
用した。このクロスカットテスターによって、ベース釉
の乾燥皮膜に2mmピッチで6本の切削条を縦横に形成
し、格子の升目部分の乾燥皮膜の剥離状況を観察した。
【0019】観察結果は前記各表の「クロスカット試
験」の欄に記載してあり、乾燥皮膜が剥離した面積をカ
ット面積の全体に対する百分率として表してある。剥離
面積割合が大きいほど、生地に対する乾燥皮膜の密着強
度が低いことになる。
【0020】ベース釉を乾燥後、次の表3に示す組成の
スティップル釉をハンドガンにて吐出し、ベース釉の乾
燥皮膜上に図1に示すように粒状に点在させた。同図に
おいて、1はホーロー生地、2はグランドコート、3は
ベース釉、4はスティップル釉を示す。
【表3】
【0021】なお、ベース釉及びスティップル釉にそれ
ぞれ使用されたフリットA及びフリットBは表4に示し
た組成であった。これらは、従来のものと同様なものが
使用できるが、好ましい成分範囲を表5及び表6に示
す。
【表4】
【表5】
【表6】 さて、上述のようにベース釉及びスティップル釉を施釉
した後、810℃,4分間の条件で両釉薬の同時焼成を
行った。焼成後、表面を観察してベース釉とスティップ
ル釉との境界部分の割れ状況を評価した。「割れ」の欄
に「○」を付したものはベース釉に割れが発生しておら
ず、「×」を付したものは割れが発生して境界部分が乱
れた外観を呈していることを示す。また、耐酸試験を行
って、ホーロー層の耐酸性を評価した。なお、この耐酸
試験は、JIS R4301「ホーロー製品の品質基
準」のうち「5.9.1 クエン酸による常温スポット
試験」に従い実施した。
【0022】表1及び表2の各評価欄に示すように、ベ
ース釉の乾燥皮膜についてクロスカット試験を行って剥
離面積が65%以下であったものは、ベース釉に割れが
発生していないため、ベース釉とスティップル釉との境
界部分の外観は美しく、天然石模様に非常に近いもので
あった。これに対してクロスカット試験において皮膜の
剥離面積が70%にもなった比較例1では、ベース釉に
割れが発生してスティップル釉との境界部分が乱れた外
観となっていた。
【0023】勿論、両釉薬の同時焼成であるから、ベー
ス釉の表面状態はマット状を呈しており、従来の二度焼
成法のものに比べてより天然石に近い外観を示してい
た。なお、ホーロー層の表面光沢は、60度光沢計での
測定によれば、光沢率50%以下であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の施釉状態を示す模式的な断面図
【符号の説明】
1…ホーロー生地 3…ベース釉 4…スティップル釉
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安藤 広徳 愛知県名古屋市昭和区御器所2丁目20番 15号 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 41/89 C23D 5/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マット調のベース釉に重ねてスティップ
    ル釉を粒状に点在させてなるマット調ホーロー製品を製
    造するための方法であって、 前記ベース釉は、その乾燥皮膜と生地との密着強度が2
    mmピッチのクロスカット試験を行った際の剥離面積が6
    5%以下となるようなベース釉であって、そのベース釉
    を施釉して乾燥させた後に、そのベース釉に重ねてステ
    ィップル釉を粒状に点在させるように施釉し、その後、
    両釉薬を同時焼成することを特徴とするマット調ホーロ
    ー製品の製造方法。
  2. 【請求項2】 マット調のベース釉に重ねてスティップ
    ル釉を粒状に点在させてなるマット調ホーロー製品を製
    造するため施釉品であって、 そのベース釉の乾燥皮膜と生地との密着強度が2mmピッ
    チのクロスカット試験において剥離面積が65%以下で
    あって、そのベース釉に重ねて前記スティップル釉が粒
    状に点在させるように施釉されていることを特徴とする
    マット調ホーロー施釉品。
  3. 【請求項3】 マット調のベース釉に重ねてスティップ
    ル釉を粒状に点在させてなるマット調ホーロー製品を製
    造するため施釉品であって、 そのベース釉の乾燥皮膜と生地との密着強度が2mmピッ
    チのクロスカット試験において剥離面積が65%以下で
    あることを特徴とするマット調ホーロー施釉品。
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