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JP3256838B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

静電荷像現像用トナー

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Publication number
JP3256838B2
JP3256838B2 JP24848196A JP24848196A JP3256838B2 JP 3256838 B2 JP3256838 B2 JP 3256838B2 JP 24848196 A JP24848196 A JP 24848196A JP 24848196 A JP24848196 A JP 24848196A JP 3256838 B2 JP3256838 B2 JP 3256838B2
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JP
Japan
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toner
temperature
peak
wax
acid
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JP24848196A
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哲也 井田
真明 田谷
博英 谷川
誠 神林
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真,静電記
録及び静電印刷における静電荷像を現像するためのトナ
ーに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、フルカラー複写機が注目されはじ
めてきた。特にデジタル化されたフルカラー複写機が注
目されており、広く市場に展開しつつある。
【0003】フルカラー電子写真法によるカラー画像形
成は一般に3原色であるイエロー,マゼンタ,シアンの
3色のカラートナー又はそれに黒色を加えた4色を用い
て色の再現を行うものである。
【0004】その一般的カラー画像形成方法は、原稿か
らの光をトナーの色と補色の関係にある色分解光透過フ
ィルターを通して光導電層上に静電潜像を形成する。次
いで現像、転写工程を経てトナーは支持体に保持され
る。前述の工程を順次複数回行い、レジストレーション
を合わせつつ、同一支持体上にトナーは重ね合わされ、
ただ一回のみの定着によって最終のフルカラー画像が得
られる。
【0005】この様な、複数回の現像を行い、定着工程
として同一支持体上に色の異なる数種のトナー層の重ね
合わせを必要とするカラー電子写真法では、カラートナ
ーが持つべき定着特性は極めて重要な要素である。
【0006】すなわち、定着したカラートナーは、トナ
ー粒子による乱反射を出来る限り抑え、適度の光沢性や
つやが必要である。また、トナー層の下層にある異なる
色調のトナー層を妨げない透明性を有し、色再現性の広
いカラートナーでなければならない。
【0007】これらを満足しうるカラートナーとして、
本出願人等は特開昭50−62442号公報,特開昭5
1−144625号公報及び特開昭59−57256号
公報で新規なカラートナー用結着樹脂と着色剤との組み
合わせを開示してきた。
【0008】これら記載のカラートナーは、かなりのシ
ャープメルト性を有しており、シリコーンオイル塗布が
可能なシリコーンゴムローラーとの組み合わせにおい
て、定着時完全溶融に近い状態までトナー形状が変化
し、好ましい光沢性及び色再現性が得られる。
【0009】これらの効果は、トナーの定着特性とし
て、結着樹脂の粘弾性特性における弾性項よりも粘性項
を重視することを意味している。
【0010】すなわち、加熱時、トナーはより粘性体と
して挙動し熱溶融性が増し、光沢性も得られることにな
る。
【0011】しかし、このような粘性項重視の結着樹脂
設計は、必然的に熱溶融時の分子間凝集を低下せしめる
ことになり定着装置通過時、熱ローラーへのトナーの付
着性も増すことになる。これらは高温オフセット現象を
起こし易くするものである。
【0012】従来、定着ローラー表面にトナーを付着さ
せない目的で、例えばローラー表面をトナーに対して離
型性の優れた材料、シリコーンゴムや弗素系樹脂などで
形成し、さらにその表面にオフセット防止及びローラー
表面の疲労を防止するためにシリコーンオイルの如き離
型性の良い液体の薄膜でローラー表面を被覆することが
行われている。しかしながら、この方法はトナーのオフ
セットを防止する点では極めて有効であるが、オフセッ
ト防止用液体を供給するための装置が必要なため、定着
装置が複雑になること等の問題点を有している。
【0013】これは小型化、軽量化と逆方向であり、し
かもシリコーンオイルなどが熱により蒸発し、機内を汚
染する場合がある。そこでシリコーンオイルの供給装置
などを用いないで、かわりにトナー中から加熱時にオフ
セット防止液体を供給しようという考えから、例えば特
開昭55−60960号公報,特開昭57−20855
9号公報,特開昭58−11953号公報,特開昭58
−14144号公報及び特開昭60−123852号公
報等に記載のごとく、剥離性を増すために、トナー中に
離型性成分である低分子量のポリエチレン、ポリプロピ
レン、ワックス、高級脂肪酸などを添加する方法も行わ
れている。これらの方法は、オフセット防止には効果が
ある反面、耐オフセットに充分効果を発揮する多量の含
有はメインの結着樹脂との相溶性が悪くなり、例えば、
カラートナーのOHP画像の透明性が損なわれる;帯電
特性が不安定になる;耐久性が低下する;といった悪影
響も認められ、充分なものとはいい難い。
【0014】特開昭47−12334号公報,特開昭5
7−37353号公報及び特開昭57−208559号
公報においては、エーテル化ビスフェノール単量体と、
ジカルボン酸単量体と、3価以上の多価アルコール単量
体及び/又は3価以上の多価カルボン酸単量体とを含む
単量体成分とより得られる非線状共重合体よりなるポリ
エステルをバインダーとして含有するトナーが提案され
ており、この技術は、エーテル化ビスフェノール単量体
とジカルボン酸単量体とよりなるポリエステルを、3価
以上の多価アルコール単量体及び/又は3価以上の多価
カルボン酸単量体を含む多量の単量体成分により架橋す
ることによって得られるポリエステルをバインダーとし
て含有させることによりトナーにオフセット防止性能を
有せしめたものである。しかしながら、これらのトナー
においては、その軟化点が若干高く、従って良好な低温
定着が困難であるし、さらに、フルカラー複写に用いた
場合は耐高温オフセット性に対しては、実用化しうるレ
ベルではあるが、上述のごとく定着性、シャープメルト
性に難があるため、該ポリエステルを用いたフルカラー
トナーの重ね合わせによる混色性や色再現性は充分では
ない。特開昭57−109825号公報,特開昭62−
78568号公報,特開昭62−78569号公報、さ
らに本出願人による特開昭59−7960号公報,特開
昭59−29256号公報においては、エーテル化ビス
フェノール単量体と、長鎖脂肪族炭化水素を導入したジ
カルボン酸単量体やその他のジカルボン酸単量体と、3
価以上の多価アルコール単量体及び/又は3価以上の多
価カルボン酸単量体を含む単量体成分とより得られる非
線状共重合体であって、その側鎖に炭素数3〜22の飽
和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基を有するポリエス
テルをバインダーとして含有するトナーを開示したが、
これらのポリエステル樹脂は高速複写用トナーを目的と
したことが主であり、樹脂の粘弾性特性としては、前述
した粘性重視ポリエステルとはまったく逆に、弾性を強
化し、ローラーへの高温オフセットを著しく低下せしめ
たものである。そして、定着時、熱ローラーの加圧及び
加熱をできる限り高め、トナーを半溶融の状態で転写紙
の繊維の間へ押し込み、加圧・加熱定着を行い、該目的
を達成しようとするものである。
【0015】それゆえ、カラー複写に必要なトナー層が
溶融し連続皮膜を形成し、平滑面を得るということはほ
とんど出来ず、定着したトナーは、転写紙上で粒子状態
で存在し、得られるカラー画像はくすんだものとなり彩
度にとぼしい。OHP画像はトナー粒子表面で光が散
乱、拡散してしまい、ほとんど光を透過せず、実用的に
使用不能となってしまう。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
の如き問題点を解決した静電荷像現像用トナーを提供す
ることにある。
【0017】即ち、画像品質を著しく高める光沢にムラ
がなく、彩度及び透明性に優れ、更に高温オフセットが
十分に防止され、流動性に優れ、十分な摩擦帯電性を有
する静電荷像現像用トナーを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも結
着樹脂及び炭化水素ワックスを含有する静電荷像現像用
トナーであって、該結着樹脂が、酸価0.5〜20であ
り、該ワックスが13C−NMRによる分岐炭素の割合に
おいて0.5〜20であることを満足し、且つ下記特
性;示差走査熱量計により測定されるDSC曲線におい
て、昇温時の吸熱ピーク及び降温時の発熱ピークに関
し、吸熱のオンセット温度が50〜100℃の範囲にあ
り、温度60〜130℃の領域に少なくとも1つの吸熱
ピークP1があり、該吸熱ピークP1のピーク温度±2
0℃の範囲内に降温時の最大発熱ピークがある、を満足
することを特徴とする静電荷像現像用トナーに関する。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明に係わるワックスは、ある
特定の割合で分岐する構造を持ち、更に特定の温度特性
を持たせることで、はじめて画像品質を著しく高める光
沢にムラがなく、彩度及び透明性に優れ、更に高温オフ
セットが十分に防止され、流動性に優れ、十分な摩擦帯
電性を有するトナーを提供することが可能となったので
ある。
【0020】より具体的に説明すると分岐を持たないワ
ックスでは、その直線状の構造故にトナー中の分子内を
かなりの自由度を持って移動できるため、せっかくトナ
ー内部に閉じこめられていたワックスもトナー表面に滲
み出しやすくなってしまう。13C−NMRによる分岐炭
素の割合においては0.5より小さいものでは、ワック
スが表面に多量に存在すると流動性の悪化、不十分な摩
擦帯電などトナー物性に大きく影響してしまう。また、
逆に13C−NMRによる分岐炭素の割合が20より大き
いような、分岐が必要以上に存在するものでは、かさば
った構造のためにトナー中に均一分散しづらく、ワック
スの凝集体が出来やすくなってしまい、均一なトナー自
体が作れなく、帯電不良や耐ブロッキング性の低下、更
に彩度及び透明性などの低下をもたらしてしまう。つま
りワックスに適度な分岐を与えることでトナー中に均一
分散させることができるのである。その適度な分岐状態
とは、13C−NMRによる分岐炭素の割合において0.
5〜20であることを満足するものであることを見いだ
したのである。
【0021】更にこのワックスが特定の温度特性を持つ
ことにより初めてトナー中に、より均一分散で、より均
一微小粒径の状態で存在させることが達成できたのであ
る。この温度特性とは、示差走査熱量計により測定され
るDSC曲線において、昇温時の吸熱ピーク及び降温時
の発熱ピークに関し、吸熱のオンセット温度が50〜1
00℃の範囲にあり、温度60〜130℃の領域に少な
くとも1つの吸熱ピークP1があり、該吸熱ピークP1
のピーク温度±20℃の範囲内に降温時の最大発熱ピー
クがあることを特徴とすることである。上述してきた特
定の分岐構造、更に特定の温度特性を持つことにより、
初めて均一分散で、均一微小粒径の状態で存在させるこ
とが可能になったのである。この理由は明確ではない
が、トナーを製造する工程の一つである溶融混練時にお
いてワックスを溶かし、結着樹脂中に分散させる場合、
ワックスの温度特性が上述したように吸熱ピークと発熱
ピークが近いという、優れたシャープメルト性を持つこ
とに由来していると思われる。つまり、結着樹脂の中に
溶融混練時においてワックスが一斉に溶け込むことで均
一分散し易くなり、更に隅々まで行き渡ることで微小化
できるものと推察される。
【0022】このように均一分散、均一微小粒径でトナ
ー中に存在させることにより、はじめて画像品質を著し
く高める光沢にムラがなく、彩度及び透明性に優れ、更
に高温オフセットが十分に防止され、流動性に優れ、十
分な摩擦帯電性を有するトナーを提供することが可能と
なったのである。
【0023】またワックスの軟化点(Tm)が50〜1
10℃(好ましくは60〜90℃)であることが好まし
い。Tmが50℃より低いと耐ブロッキング性において
劣り、Tmが110℃より高いと定着性に劣るためであ
る。
【0024】またワックスの分子量は1500〜700
0(好ましくは2000〜5000)であることが好ま
しい。分子量が1500より小さいとワックスのかさば
りが小さく、トナー表面に滲みだし易くなり、流動性の
低下、さらには現像性の低下を招いてしまい、分子量が
7000より大きいとかさばった構造のために分散性に
劣るためである。
【0025】また上述したワックスと、結着樹脂として
酸価が0.5〜20である非線状ポリエステルを用いる
ことで本発明が更に効果的になる。これは定着性を損ね
ない程度に結着樹脂を架橋させることで、分子内中にミ
クロ的な間隙を作り、あたかも蜂の巣の如き部屋を用意
することでワックスをそのミクロな部屋に閉じこめるこ
とによるものであると推察される。また非線状であるポ
リエステル樹脂において、酸価が0.5未満のものは帯
電性に乏しく、トナー飛散またはカブリなどを生じてし
まう。また酸価が20を超えるものはその親水性の高い
カルボン酸の多さ故に、高湿下において電荷を保持でき
なくなり、環境変動の大きな帯電性に劣るものになって
しまう。それ故、ポリエステル樹脂の酸価においては
0.5〜20であることが望ましい。
【0026】本発明におけるDSC測定では、ワックス
の熱のやり取りを測定しその挙動を観測するので、測定
原理から、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計
で測定する必要がある。例えば、パーキンエルマー社製
のDSC−7が利用できる。
【0027】測定方法は、ASTM D3418−82
に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回
昇温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/min,
温度0〜200℃の範囲で降温、昇温させた時に測定さ
れるDSC曲線を用いる。各温度の定義は次のように定
める。
【0028】・吸熱ピーク(プラスの方向を吸熱とす
る) ピークの立ち上がり温度(LP):ベースラインより明
らかにピーク曲線が離れたと認められる温度。すなわ
ち、ピーク曲線の微分値が正で、微分値の増加が大きく
なりはじめる温度あるいは微分値が負から正になる温度
をいう。(図1乃至図4に具体的な例を示す。) 吸熱ピークの温度(PP):ピークトップの温度(12
0℃以下の領域での最大のピーク。) 吸熱ピークのオンセット温度(OP):上記PPに帰属
しうるピーク曲線の微分値が最大となる点において曲線
の接線を引き接線とベースラインとの交点の温度(図1
乃至図4に具体的な例を示す。)
【0029】・発熱ピーク(マイナスの方向を発熱とす
る) 発熱ピークの温度:ピークトップの温度 発熱ピーク強度比:上記のピークのピークトップ前後の
曲線の微分値が極大及び極小となる点においてそれぞれ
曲線の接線を引き各接線とベースライン交点の温度差を
ΔTとし、単位重量あたりのベースラインからピークト
ップまでの高さをΔH(測定されたピークの高さを測定
試料の重量で割った値mW/mg)とした時のΔH/Δ
T(図5乃至図8にΔH、ΔTの具体的な例を示す)。
すなわち、この値が大きいということは、ピークがシャ
ープであることを示している。
【0030】本発明に用いられるワックスは、アルキレ
ンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー
触媒で重合した低分子量のアルキレンポリマー、高分子
量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレ
ンポリマー、一酸化炭素、水素からなる合成ガスからア
ーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分を水素添加し
て得られる合成炭化水素などから、特定の成分を抽出分
別した炭化水素ワックスが用いられる。プレス発汗法、
溶剤法、真空蒸留を利用した分別結晶方式により炭化水
素ワックスの分別が行われる。すなわちこれらの方法
で、低分子量分を除去したもの、低分子量分を抽出した
ものや、更にこれらから低分子量分を除去したものなど
である。
【0031】母体としては、金属酸化物系触媒(多くは
2種以上の多元系)を使用した、一酸化炭素と水素の反
応によって合成されるもの、例えばジントール法、ヒド
ロコール法(流動触媒床を使用)、あるいはアーゲ法
(固定触媒床を使用)により得られるものや、エチレン
などのアルキレンをチーグラー触媒により重合したもの
を用いる。
【0032】本発明においてワックスの分子量分布はジ
ェルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に
より次の条件で測定される。
【0033】(GPC測定条件)装置:GPC−150
C(ウォーターズ社) カラム:GMH−HT30cm2連(東ソー社製) 温度:135℃ 溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添
加) 流速:1.0ml/min 試料:0.15%の試料を0.4ml注入 以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単
分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲
線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度
式から導き出される換算式でポリエチレン換算すること
によって算出される。
【0034】昇温時には、ワックスに熱を与えた時の変
化を見ることができワックスの転移、融解に伴う吸熱ピ
ークが観測される。吸熱のオンセット温度が50〜10
0℃(好ましくは50〜90℃、さらに好ましくは60
〜90℃)の範囲内にあることにより現像性、耐ブロッ
キング性、低温定着性を満足することができる。吸熱の
オンセット温度が、50℃未満の場合は、ワックスの変
化温度が低過ぎ、耐ブロッキング性が劣ったり、現像性
に劣るトナーになり、100℃を超える場合には、ワッ
クスの変化温度が高過ぎ、十分な定着性が得られなくな
る。60〜130℃の範囲内に、好ましくは70〜12
0℃、より好ましくは95〜120℃の範囲に、特に好
ましくは97〜115℃の範囲内に、吸熱ピークが存在
することにより、良好な定着性、耐オフセット性を満足
できる。60℃未満のみにピーク温度が存在する場合に
は、ワックスの融解温度が低過ぎ、十分な耐高温オフセ
ット性が得られず、130℃を超える領域のみにピーク
温度が存在する場合には、ワックスの融解温度が高過ぎ
十分な耐低温オフセット性、低温定着性が得られない。
すなわちこの領域に、ピーク温度が存在することで、耐
オフセット性と定着性のバランスを取りやすくなる。こ
こで、60℃未満のピークが最大のピークとなると、こ
の領域のみにピークがある場合と同様な挙動を示すの
で、この領域のピークが存在しても良いが、その場合
は、60〜130℃の領域のピークより小さい必要があ
る。
【0035】降温時には、ワックスの冷却時の変化や常
温時の状態を見ることができ、ワックスの凝固、結晶
化、転移に伴う発熱ピークが観測される。降温時の発熱
ピークで、最大の発熱ピークは、ワックスの凝固、結晶
化に伴う発熱ピークである。この発熱ピーク温度と近い
温度に昇温時の融解に伴う吸熱ピークが存在すること
は、ワックスの構造、分子量分布などワックスがより均
質であることを示しており、その差が20℃以内である
ことが良く、好ましくは、10℃以内であり、特に好ま
しくは、5℃以内である。すなわちこの差を小さくする
ことで、ワックスをシャープメルトつまり、低温時には
硬く、融解時の溶融が早く、溶融粘度の低下が大きく起
こることで、現像性、耐ブロッキング性、定着性、耐オ
フセット性をバランス良くなり立たせることができる。
最大発熱ピークは温度85〜115℃(好ましくは90
〜110℃)の領域にあることが良い。
【0036】これらワックスの含有量は、結着樹脂10
0重量部に対し20重量部以内で用いられ、0.5〜1
0重量部で用いるのが効果的であり、他のワックス類と
併用しても構わない。
【0037】本発明の目的に適合する着色剤としては従
来公知の有彩色及び黒色〜白色の顔料が挙げられる。中
でも特に親油性の高い有機顔料が好ましい。
【0038】たとえば、ナフトールイエローS,ハンザ
イエローG,パーマネントイエローNCG,パーマネン
トオレンジGTR,ピラゾロンオレンジ,ベンジジンオ
レンジG,パーマネントレッド4R,ウオッチングレッ
ドカルシウム塩,ブリリアントカーミン3B,ファスト
バイオレットB,メチルバイオレットレーキ,フタロシ
アニンブルー,ファーストスカイブルー,インダンスレ
ンブルーBCが挙げられる。
【0039】好ましくは、ポリ縮合アゾ系,不溶性アゾ
系,キナクリドン系,イソインドリノン系,ペリレン
系,アントラキノン系,銅フタロシアニン系の如き高耐
光性の顔料が良い。
【0040】特に好ましいマゼンタ色の顔料としては、
C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,
7,8,9,10,11,12,13,14,15,1
6,17,18,19,21,22,23,30,3
1,32,37,38,39,40,41,48,4
9,50,51,52,53,54,55,57,5
8,60,63,64,68,81,83,87,8
8,89,90,112,114,122,123,1
46,150,163,184,185,202,20
6,207,209,238;C.I.ピグメントバイ
オレット19;C.I.バットレッド1,2,10,1
3,15,23,29,35が挙げられる。
【0041】特に好ましいシアン色の顔料としては、
C.I.ピグメントブルー2,3,15,16,17;
C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45
又は下記式(1)で示される構造を有するフタロシアニ
ン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フ
タロシアニン顔料が挙げられる。
【0042】
【化1】
【0043】特に好ましいイエロー色の顔料としては
C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,
7,10,11,12,13,14,15,16,1
7,23,65,73,74,81,83,93,9
5,97,98,109,117,120,137,1
38,139,147,151,154,167,17
3,180,181,183,C.I.バットイエロー
1,3,20が挙げられる。
【0044】本発明においては、上記の着色剤の公知の
製造工程におけるろ過工程前の顔料スラリーから、ただ
の一度も乾燥工程を経ずして得られたペースト状顔料が
一度乾燥させた粉末の顔料粒子を水系にもどしてペース
ト状にしたものよりも好ましい。
【0045】OHPフィルムの透過性に対し敏感に反映
するイエロートナーについては、イエロー色の顔料の含
有量としては、結着樹脂100重量部に対して12重量
部以下であり、好ましくは0.5〜7重量部が好まし
い。12重量部を超えると、イエローの混合色であるグ
リーン,レッド、また画像としては人間の肌色の再現性
に劣る。
【0046】その他のマゼンタトナー及びシアントナー
については、マゼンタ色の顔料又はシアン色の顔料の含
有量は、結着樹脂100重量部に対しては15重量部以
下、より好ましくは0.1〜9重量部が好ましい。
【0047】本発明において、好ましく用いられるポリ
エステル樹脂を構成する2価の酸成分としては、例え
ば、芳香族系ジカルボン酸類としてはテレフタル酸,イ
ソフタル酸,フタル酸,ジフェニル−P・P’−ジカル
ボン酸,ナフタレン−2・7−ジカルボン酸,ナフタレ
ン−2・6−ジカルボン酸,ジフェニルメタン−P・
P’−ジカルボン酸,ベンゾフェノン−4・4’−ジカ
ルボン酸,1・2−ジフェノキシエタン−P・P’−ジ
カルボン酸が使用でき、それ以外の酸としては、マレイ
ン酸,フマル酸,グリタル酸,シクロヘキサンジカルボ
ン酸,コハク酸,マロン酸,アジピン酸,メサコン酸,
イタコン酸,シトラコン酸,セバチン酸、これらの酸の
無水物、低級アルキルエステルが使用できる。
【0048】2価のアルコールとしては、下記式(2)
【0049】
【化2】
【0050】(式中、R1は炭素数2から5のアルキレ
ン基であり、X,Yは正数であり、2≦X+Y≦6)で
表わされるジオールであり、例えば、ポリオキシプロピ
レン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプ
ロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、ポリオキシプロピレン(13)−2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが挙げられ
る。
【0051】その他の2価のアルコールとしては、例え
ばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエ
チレングリコール、1,2−プロピレングリコール、
1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール
の如きジオール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)
シクロヘキサン、及びビスフェノールA、水素添加ビス
フェノールAが挙げられる。
【0052】3価の酸としては、例えば、トリメリット
酸、1,2,4−トリカルボン酸トリn−エチル、1,
2,4−トリカルボン酸トリn−ブチル、1,2,4−
トリカルボン酸トリn−ヘキシル、1,2,4−ベンゼ
ントリカルボン酸トリイソブチル、1,2,4−ベンゼ
ントリカルボン酸トリn−オクチル、1,2,4−ベン
ゼントリカルボン酸トリ2−エチルヘキシルが使用でき
る。但し何らこれに制限されるものではない。
【0053】本発明のポリエステル樹脂においては、例
えばn−ドデセニル基、イソドデセニル基、n−ドデシ
ル基、イソドデシル基、イソオクチル基、を有したマレ
イン酸、フマル酸、グルタル酸、コハク酸、マロン酸、
アジピン酸の如きアルキルもしくはアルケニル置換基を
有する酸及び/又は、エチレングリコール、1,3−プ
ロピレンジオール、テトラメチレングリコール、1,4
−ブチレンジオール、1,5−ペンチルジオールの如き
アルコールを含んでいても良い。
【0054】本発明のトナーに用いるポリエステル樹脂
を得るための製造方法としては、例えば以下のごとくの
方法による。
【0055】まず線状の縮合体を形成せしめ、その過程
で目標の酸価、水酸基価の1.5〜3倍となるように分
子量を調整し、かつ分子量が均一となるように従来より
もゆっくり、かつ徐々に縮合反応が進むように、例えば
(i)従来よりも低温かつ長時間反応せしめる,(i
i)エステル化剤を減少せしめる,(iii)反応性の
低いエステル化剤を用いる,又は、(iv)これらの方
法を組み合わせて用いる,などにより、反応を制御す
る。その後、その条件下で架橋酸成分、及び必要に応じ
てエステル化剤をさらに加え、反応せしめ3次元縮合体
を形成せしめる。さらに昇温し、分子量分布が均一にな
るようにゆっくり、長時間反応せしめ、架橋反応を進
め、水酸基価または酸価またはMI値が目標値まで低下
した時反応を終了し、ポリエステル樹脂を得る。
【0056】本発明のトナーは、負帯電性或いは正帯電
性に限定されるものではない。負帯電性トナーとする場
合は、特に負荷電特性を安定化させる目的で荷電制御剤
を添加することが好ましい。負荷電制御剤としては、例
えば、アルキル置換サリチル酸の金属錯体(例えば、ジ
−ターシャリーブチルサリチル酸のクロム錯体又は亜鉛
錯体)の如き有機金属錯体が挙げられる。
【0057】正帯電性のトナーとする場合には、正帯電
性を示す荷電制御剤として、ニグロシンやトリフェニル
メタン系化合物、ローダミン系染料、ポリビニルピリジ
ンを用いることができる。カラートナーを作製する場合
においては、正帯電性を示すメタクリル酸ジメチルアミ
ノメチルの如き含アミノカルボン酸エステル類をモノマ
ーとして0.1〜40mol%、好ましくは1〜30m
ol%含有させた結着樹脂を用いるか、或はトナーの色
調に影響を与えない無色又は淡色の正荷電制御剤を用い
ることが好ましい。添加方法に関しては、特に何ら限定
するものではない。
【0058】更に本発明のトナーにおいて、トナーの流
動性を向上させる目的で、流動性向上剤を添加しても良
い。流動性向上剤としては、着色剤含有樹脂粒子に添加
することにより、添加前に比べて流動性が増加し得るも
のであれば、どのようなものでも使用可能である。
【0059】例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテ
トラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;
ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリ
ン酸鉛等の如き脂肪酸金属塩;酸化チタン粉末、酸化ア
ルミニウム粉末、酸化亜鉛粉末の如き金属酸化物また
は、上記金属酸化物を疎水化処理した粉末;及び湿式製
法シリカ、乾式製法シリカの如きシリカ微粉末または、
それらシリカにシランカップリング剤、チタンカップリ
ング剤、シリコーンオイルの如き処理剤により表面処理
を施した表面処理シリカ微粉末が挙げられる。
【0060】本発明のトナーを二成分系現像剤として用
いる場合は、使用されるキャリアとしては、例えば表面
酸化または未酸化の鉄,ニッケル,銅,亜鉛,コバル
ト,マンガン,クロム,希土類の如き金属及びそれらの
合金または酸化物及び磁性フェライトなどが使用でき
る。またその製造方法として特別な制約はない。
【0061】上記キャリアの表面を樹脂で被覆する系
は、特に好ましい。その方法としては、樹脂等の被覆材
を溶解剤中に溶解もしくは懸濁せしめて塗布しキャリア
に付着せしめる方法、単に被覆材の粉体をキャリアと混
合して被覆する方法の如き、従来公知の方法がいずれも
適用できる。
【0062】キャリア表面への固着物質(被覆材)とし
てはトナー材料により異なるが、例えばポリテトラフル
オロエチレン,モノクロロトリフルオロエチレン重合
体,ポリフッ化ビニリデン,シリコーン樹脂,ポリエス
テル樹脂,スチレン系樹脂,アクリル系樹脂,ポリアミ
ド,ポリビニルブチラール,ニグロシン,アミノアクリ
レート樹脂,塩基性染料及びそのレーキ,シリカ微粉
末,アルミナ微粉末,ジアルキルサリチル酸の金属錯体
または金属塩を単独或は複数用いるのが適当である。
【0063】上記の化合物(固着物質)の処理は、キャ
リアが前記条件を満足するよう適宜決定すれば良いが、
一般的には総量でキャリアに対し0.1〜30重量%
(好ましくは0.5〜20重量%)が良い。
【0064】これらキャリアの平均粒径は20〜100
μm、好ましくは25〜70μm、より好ましくは25
〜65μmを有することが良い。
【0065】特に好ましい態様としては、Cu−Zn−
Feの3元系のフェライトであり、その表面をフッ素系
樹脂とスチレン系樹脂の如き樹脂の単独又は組み合わ
せ、例えばポリフッ化ビニリデンとスチレン−メチルメ
タアクリレート樹脂,ポリテトラフルオロエチレンとス
チレン−メチルメタアクリレート樹脂;フッ素系共重合
体;などを単独で又は適時好ましい比率の混合物とした
もので、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜1重
量%コーティングしたものが好ましい。
【0066】本発明のトナーと混合して二成分現像剤を
調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度と
して、1重量%〜15重量%、好ましくは2重量%〜1
3重量%にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃
度が1重量%未満では画像濃度が低くなり、15重量%
を超えるとカブリや機内飛散を増加せしめ、現像剤の耐
用寿命を短縮しがちである。
【0067】本発明のトナーを非磁性一成分系現像剤と
して用いる場合は、前記の磁性キャリアごときものは使
用せずに、前記流動性向上剤、などを適時添加して用い
る。
【0068】
【実施例】以下実施例をもって本発明を詳細に説明す
る。「部」は「重量部」を意味する。
【0069】(ポリエステル樹脂の製造例−1)テレフ
タル酸2mol,ドデセニル無水コハク酸1mol,ポ
リオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン3mol,ジブチル錫オキ
シド0.01gをガラス製2リットルの4つ口フラスコ
に入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー、及び窒素導入
管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラス
コ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温
し、170℃で5時間反応せしめ、次いで190℃に昇
温し、4時間反応せしめた。
【0070】その後、トリメリット酸無水物0.2mo
l、及びジブチル錫オキシド0.08gを加え、190
℃でさらに3時間反応せしめ、さらに200℃に昇温
し、5時間反応せしめ反応を終了し、ポリエステル樹脂
(1)を得た。
【0071】このポリエステル樹脂(1)の軟化点は1
00℃であり、ガラス転移温度は59℃であり、酸価は
10であった。
【0072】(ポリエステル樹脂の製造例−2)テレフ
タル酸3.0mol,ポリオキシプロピレン(2.2)
−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
1.5mol,ポリオキシエチレン(2.0)−2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1.5mo
l,ジブチル錫オキシド0.01gをガラス製2リット
ルの4つ口フラスコに入れ、ポリエステル樹脂の製造例
−1と同様にして窒素雰囲気中で反応せしめた。次い
で、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリn−ブチ
ル0.3molを加え220℃に昇温し、5時間反応せ
しめ、反応を終了し、ポリエステル樹脂(2)を得た。
【0073】このポリエステル樹脂(2)の軟化点は9
5℃、ガラス転移温度は56℃であり、酸価は20であ
った。
【0074】(ポリエステル樹脂の製造例−3)ポリオ
キシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン2.0mol,ポリオキシエチ
レン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン2.0mol,テレフタル酸2mol,ド
デセニルコハク酸1.6mol,トリメリット酸0.4
5molをポリエステル樹脂の製造例−1と同様の装置
を用い、250℃で8時間反応せしめポリエステル樹脂
(3)を得た。
【0075】このポリエステル樹脂(3)の軟化点温度
は106℃、ガラス転移温度は65℃であり、酸価は5
であった。
【0076】(ポリエステル樹脂の製造例−4)イソフ
タル酸2.0mol,フマール酸1.6mol,ポリオ
キシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン1.5mol,ポリオキシエチ
レン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン1.7mol,ジブチル錫オキシド0.02g
をガラス製2リットルの4つ口フラスコに入れ、ポリエ
ステル樹脂の製造例−1とほぼ同様にしてポリエステル
樹脂(4)を得た。
【0077】このポリエステル樹脂(4)の軟化点温度
は96℃、ガラス転移温度は53℃であり酸価は11で
あった。
【0078】(ポリエステル樹脂の製造例−5)ポリオ
キシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン1.7mol,ポリオキシエチ
レン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン1.7mol,テレフタル酸2mol,ド
デセニルコハク酸1.6mol,トリメリット酸0.4
6molを製造例−1と同様の装置を用い、250℃で
8時間反応せしめポリエステル樹脂(5)を得た。この
ポリエステル樹脂(5)の樹脂の軟化点温度は102
℃、ガラス転移温度は57℃であり、酸価は22であっ
た。
【0079】(ポリエステル樹脂の製造例−6)ポリオ
キシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン2.0mol,ポリオキシエチ
レン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン2.1mol,テレフタル酸1.8mo
l,ドデセニルコハク酸1.3mol,トリメリット酸
0.46molを製造例−1と同様の装置を用い、25
0℃で8時間反応せしめポリエステル樹脂(6)を得
た。この樹脂の軟化点温度は104℃、ガラス転移温度
は59℃であり、酸価は0.4であった。
【0080】<ワックスの製造例>表1に示す特性を有
するワックスNo.1〜11のワックスを用意した。
【0081】・13C−NMRによる分岐炭素の割合(分
岐度)の測定方法: 核磁気共鳴装置(日本電子:EX−400)を用いて、
測定周波数100.40MHz、パルス条件5μs(4
5度)、パルスディレイ25秒、溶媒オルトジクロロベ
ンゼン/重ベンゼン(ODCB/C6D6)=5/1、
試料濃度20%(w/v)で行った。また分岐炭素の割
合は、分岐炭素のピーク面積を全炭素のピーク面積で割
って、100を掛けたものである。
【0082】
【表1】
【0083】 [トナー製造例1] ポリエステル樹脂(1) 100部 ワックスNo1 5部 フタロシアニン顔料 4部 クロム錯体(荷電制御剤) 4部 上記材料をブレンダーでよく混合した後、150℃に設
定した二軸混練押出機にて混練した。得られた混練物を
冷却し、カッターミルにて粗粉砕した後、ジェット気流
を用いた微粉砕機を用いて微粉砕し、得られた微粉砕粉
を固定壁型風力分級機で分級して分級粉を精製した。
【0084】さらに、得られた分級粉をコアンダ効果を
利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジェット
分級機)で超微粉及び粗粉を同時に厳密に分級除去して
体積平均粒径8.0μmの青色微粉体を得た。
【0085】得られた青色微粉体100部に疎水化処理
を施したTiO2微粒子2部を混合しトナーNo.1を
得た。
【0086】[トナー製造例2〜16]ポリエステル樹
脂とワックスの組み合わせを表2のようにする以外は、
トナー製造例1と同様にして、トナーNo.2〜16を
得た。
【0087】
【表2】
【0088】実施例1 平均粒径50μmのシリコーン樹脂系コートキャリア9
4部に対し、前述したトナーNo.1を6部混合するこ
とにより現像剤とした。
【0089】この現像剤で、カラー複写機CLC−70
0(キヤノン製)のオイル塗布機能を除去した定着器を
用い、画像面積比率25%のオリジナル原稿を用いて2
3℃/60%RHの環境下で5万枚連続複写したとこ
ろ、表3に結果を示すように、この現像剤は耐ブロッキ
ング性に優れ、トランスペアレンシー(トラペン)透過
性が非常に良く、耐久後においてもカブリが無く、しか
もオフセットが全くないものであり、原稿に忠実な画質
に優れたものであった。更に高温多湿と低温低湿におけ
る帯電量の差も小さいものであり、帯電特性に優れるも
のであった。なお、以下の実施例及び比較例の結果も同
様に表3に示した。複写評価は次の通りである。
【0090】・複写評価方法: 1)トラペン透過性 ○:明暗ムラも無く非常に透明性が良く、色再現に優れ
る △:若干明暗ムラが見られる(実用上問題なし) ▲:明暗ムラを生じ、色再現に乏しい(実用上問題を生
じるレベル) ×:色再現に劣る(実用できないレベル)
【0091】2)画像上のカブリ 白地画像上のトナーカブリを東京電色社製のREFLE
CTOMETER MODEL TC−6DSを用い測
定してランク評価した。
【0092】 ○:0.5%未満 △:0.5〜1.5%未満 ▲:1.5〜2.5%未満 ×:2.5%以上
【0093】3)帯電量の環境変動 現像剤を15℃,湿度10%環境下で一日放置後の帯電
量Q(LL)と30℃,湿度80%環境下で一日放置後
の帯電量Q(HH)を後述する帯電量の測定方法を用い
て算出し、その差ΔQ(=Q(LL)−Q(HH))で
ランク評価した。
【0094】 ○:ΔQ=10μC/g未満 △:ΔQ=10μC/g以上15μC/g未満 ▲:ΔQ=15μC/g以上20μC/g未満 ×:ΔQ=20μC/g以上
【0095】4)ブロッキング 50℃で三日間放置後の評価 ○:凝集物は見られない △:凝集物が見られるが容易に崩れる ▲:凝集物が見られるが振れば崩れる ×:凝集物をつかむことができ容易に崩れない
【0096】実施例2 トナーNo.2を用いて実施例1と同様に評価したとこ
ろ、トラペン透過性、耐オフセット性、帯電特性、耐ブ
ロッキング特性において優れているものであり、若干カ
ブリが見られたものの問題のないレベルであった。
【0097】実施例3 トナーNo.3を用いて実施例1と同様に評価したとこ
ろ、トラペン透過性、耐オフセット性、帯電特性、耐ブ
ロッキング特性において優れているものであり、若干カ
ブリが見られたものの問題のないレベルであった。
【0098】実施例4 トナーNo.4を用いて実施例1と同様に評価したとこ
ろ、トラペン透過性、耐オフセット性、耐ブロッキング
特性において優れているものであり、カブリ及び帯電量
において環境変動が若干見られたものの問題のないレベ
ルであった。
【0099】実施例5 トナーNo.5を用いて実施例1と同様に評価したとこ
ろ、トラペン透過性、耐オフセット性、耐ブロッキング
特性において優れているものであり、カブリ及び帯電量
において環境変動が若干見られたものの問題のないレベ
ルであった。
【0100】実施例6 トナーNo.6を用いて実施例1と同様に評価したとこ
ろ、カブリが若干あり、また帯電量において環境変動が
若干見られた。これはワックスのTmが低いために影響
が出たものと考えられる。
【0101】実施例7 トナーNo.7を用いて実施例1と同様に評価したとこ
ろ、カブリが若干あり、また帯電量において環境変動が
若干見られた。これはワックスのTmが低いために影響
が出たものと考えられる。
【0102】実施例8 トナーNo.8を用いて実施例1と同様に評価したとこ
ろ、全体的に若干レベルが下がったものの実用上問題な
いレベルであった。
【0103】実施例9 トナーNo.9を用いて実施例1と同様に評価したとこ
ろ、全体的に若干レベルが下がったものの実用上問題な
いレベルであった。これはワックスの分子量が小さいこ
とに影響されたと考えられる。
【0104】実施例10 トナーNo.10を用いて実施例1と同様に評価したと
ころ、全体的に若干レベルが下がったものの実用上問題
ないレベルであった。これはワックスの分子量が小さい
ことに影響されたと考えられる。
【0105】実施例11 トナーNo.11を用いて実施例1と同様に評価したと
ころ、カブリが若干あり、また帯電量において環境変動
が若干見られたものの実用上問題ないレベルであった。
【0106】比較例1 トナーNo.12を用いて実施例1と同様に評価したと
ころ、帯電量の環境変動が大きく実用上問題の出るレベ
ルであった。これはポリエステル樹脂の酸価が22と大
きいために親水性が高くなり、高湿下と低湿下での帯電
の持ち方が変わったためと思われる。
【0107】比較例2 トナーNo.13を用いて実施例1と同様に評価したと
ころ、帯電量の環境変動が大きく実用上問題の出るレベ
ルであった。これはポリエステル樹脂の酸価が0.4と
小さいために帯電性が乏しくなったためと思われる。
【0108】比較例3 トナーNo.14を用いて実施例1と同様に評価したと
ころ、オフセットが若干見られ、カブリが悪いものであ
った。ワックスにおける分岐度が0.4と小さいために
ワックス分散性が劣ったためと思われる。
【0109】比較例4 トナーNo.15を用いて実施例1と同様に評価したと
ころ、オフセットがかなり見られ、カブリが悪いもので
あった。ワックスにおける分岐度が22と大きいために
かなりワックス分散性が劣ったためと思われる。
【0110】比較例5 トナーNo.16を用いて実施例1と同様に評価したと
ころ、オフセットがかなり見られ、カブリが悪いもので
あった。ワックスにおけるΔTが22と大きいためにか
なりワックス分散性が劣ったためと思われる。
【0111】
【表3】
【0112】
【発明の効果】本発明によれば、均一分散、均一微小粒
径でトナー中にワックスを存在させることにより、画像
品質を著しく高める光沢にムラがなく、彩度及び透明性
に優れ、更に高温オフセットが十分に防止され、流動性
に優れ、十分な摩擦帯電性を有するトナーを提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】吸熱ピークパターンの一例を示す図である。
【図2】吸熱ピークパターンの一例を示す図である。
【図3】吸熱ピークパターンの一例を示す図である。
【図4】吸熱ピークパターンの一例を示す図である。
【図5】発熱ピークのピーク強度比(ΔH/ΔT)の説
明図である。
【図6】発熱ピークのピーク強度比(ΔH/ΔT)の説
明図である。
【図7】発熱ピークのピーク強度比(ΔH/ΔT)の説
明図である。
【図8】発熱ピークのピーク強度比(ΔH/ΔT)の説
明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神林 誠 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−299357(JP,A) 特開 平4−274248(JP,A) 特開 平8−152735(JP,A) 特開 平6−337540(JP,A) 特開 平6−337541(JP,A) 特開 昭59−7960(JP,A) 特開 昭60−254153(JP,A) 特開 平7−234537(JP,A) 特開 平5−197192(JP,A) 特開 平6−118699(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 9/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも結着樹脂及び炭化水素ワック
    スを含有する静電荷像現像用トナーであって、 該結着樹脂が、酸価0.5〜20であり、 該ワックスが13C−NMRによる分岐炭素の割合におい
    て0.5〜20であることを満足し、且つ下記特性; 示差走査熱量計により測定されるDSC曲線において、
    昇温時の吸熱ピーク及び降温時の発熱ピークに関し、吸
    熱のオンセット温度が50〜100℃の範囲にあり、温
    度60〜130℃の領域に少なくとも1つの吸熱ピーク
    P1があり、該吸熱ピークP1のピーク温度±20℃の
    範囲内に降温時の最大発熱ピークがある、 を満足することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 【請求項2】 該結着樹脂が非線状ポリエステルであ
    ことを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナ
    ー。
  3. 【請求項3】 該ワックスは、該吸熱ピークP1のピー
    ク温度±10℃の範囲内に降温時の最大発熱ピークがあ
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現
    像用トナー。
  4. 【請求項4】 該ワックスは、該吸熱ピークP1のピー
    ク温度±5℃の範囲内に降温時の最大発熱ピークがある
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像
    用トナー。
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