JP3244094B2 - 弾性表面波装置 - Google Patents
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Description
晶(Li2 B4 O7 ) を用いた弾性表面波装置に関す
る。
変換することで、信号処理を行う回路素子であり、フィ
ルタ、共振子、遅延線などに用いられている。通常、圧
電性のある弾性体基板(圧電基板)上に櫛型電極(ID
T、すだれ状電極)と呼ばれる金属電極を設けることで
電気信号から表面波への変換・逆変換を行っている。
られている。レイリー波は、弾性体の表面を伝搬する表
面波であり、そのエネルギーを圧電基板内へ放散するこ
となく、すなわち、理論上伝搬損失なく伝搬する。レイ
リー波を利用した弾性表面波装置に用いられる基板材料
として、水晶、タンタル酸リチウム(LiTaO3 )な
どが知られている。水晶は、温度安定性に優れるが圧電
性に乏しい。逆に、タンタル酸リチウムは、圧電性に優
れるが温度安定性が劣っている。近年、これらの特性を
ともに満たす材料として、四ほう酸リチウム単結晶が注
目されている(例えば、特公平2−44169号公報、
特公昭63−40044号公報を参照)他方、弾性表面
波としてリーキー波と呼ばれる弾性体の深さ方向にエネ
ルギーを放散しながら伝搬する弾性表面波(漏洩弾性表
面波)を利用することが検討されている。一般にリーキ
ー波は放散による伝搬損失が大きく弾性表面波装置に利
用できないが、特別な切り出し角および伝搬方向では比
較的伝搬損失が少ないため利用可能である。例えば、4
200m/sec程度の速度の得られる36゜Y−Xカ
ットのタンタル酸リチウムを用いた弾性表面波装置が知
られている。
る関係式より、その特性を計算することができる(J.J.
Campbell, W.R.Jones, "A Method for Estimating Opti
malCrystal Cuts and Propagation Directions for Exc
itation of PiezoelectricSurface Waves", IEEE trans
action on Sonics and Ultrasonics, vol.SU-15, No.4,
pp.209-217, (1968); T.C.Lim, G.W.Farnell, "Charac
ter of Pseudo Surface Waves on Anisotropic Crystal
s", The Journal of Acoustical Society ofAmerica, v
ol.45, no.4, pp.845-851, (1968))。
波の伝搬特性は、ある境界条件の下で運動方程式及びマ
クスウェルの方程式を準静電近似した電荷方程式を解く
ことで求めることができる。運動方程式と電荷方程式を
次に示す。
定数のテンソル、ekij(i、j、k=1、2、3)は
圧電定数のテンソル、εik(i、k=1、2、3)は誘
電定数のテンソル、ρは密度である。Ui は図1に示す
座標系における各方向(X1 を弾性表面波の伝搬方向、
X2を圧電基板表面に含まれる弾性表面波の伝搬方向X
1 に垂直な方向、X3 をX1およびX2 に垂直な方向と
する)の変位を示し、Φは静電電位を示し、それぞれ次
式で示される。
は波数、tは時間、vは位相速度である。まず、レイリ
ー波の計算の手順を説明する。実数の位相速度vを仮定
して、上記変位Ui を示す式(3)、静電電位Φを示す
式(4)を、運動方程式(1)と電束密度連続の式
(2)に代入し、振幅定数βi について整理すると、実
数を係数とする減衰定数αの8次方程式が得られる。こ
の8次方程式を解くことで、減衰定数αは共役複素数の
解が得られる。
深さ方向に対して減少しなければならないので、減衰定
数αは虚数部が負である解[Im(α(n))<0、n
=1、2、3、4]を選択することになる。選択された
それぞれの減衰定数αに対応して4つの振幅定数β1 〜
β4 が算出される。この対応した振幅定数βiを参照す
ることで、4つの減衰定数αは、x1 方向の変位を主成
分とする縦波成分、x 2 方向又はx3 方向の変位を主成
分とする2種類の横波成分、及び静電電位を主成分とす
る電磁波成分にそれぞれ対応していることがわかる。こ
れら4つの弾性表面波の成分が伝搬可能であるので、伝
搬しうる弾性表面波の各方向の変位Uiおよび静電電位
Φは、それぞれ次式のように4つのモードの線形結合で
表すことができる。
式(5)、(6)に境界条件を与えることにより、弾性
表面波の伝搬特性を解くようにする。境界条件として
は、弾性体表面での応力が零であることを示す機械的境
界条件[x3 =0において、T13=T23=T33=0]
と、圧電基板表面が開放されている、すなわち、表面で
の電束密度のx3 方向成分が零という電気的境界条件
[x3 =0において、D3 =0]と、表面短絡の場合に
表面での電位が零であるという境界条件[x3 =0にお
いて、Φ=0]である。これら境界条件を満足するよう
な位相速度vを求めることで、レイリー波と呼ばれる弾
性表面波の伝搬特性を解くことができる。
上述のレイリー波の計算において、上記式(3)、
(4)を式(1)、(2)に代入して減衰定数αを求め
る際に、仮定する位相速度vの値によって、減衰定数α
の解が共役複素数とならずに実数になることがある。例
えば、レイリー波よりも速い位相速度vを仮定した場
合、一方の横波成分(以下「第1の横波成分」という)
に対応した減衰定数αの虚数部は零(すなわち、実根)
となり、圧電基板の深さ方向に対して減衰しない成分が
存在する。したがって、弾性表面波のエネルギーは基板
表面に完全には集中せず、エネルギーを圧電基板の深さ
方向に放散するため、伝搬損失を生じる。
位相速度vを複素数として算出すると、減衰定数αを求
めるための8次方程式の係数も複素数になる。この減衰
定数αの8つの解から、第1の横波成分以外の3つの成
分に対応し、振幅が基板の深さ方向に対して減少する解
を3つ選択する。さらに、他の1つの解として、第1の
横波成分に対応し、振幅が基板の深さ方向に対し増大す
る解を選択し、上記式(5)、(6)に上述した境界条
件を与えることにより、弾性表面波の伝搬特性を解くよ
うにする。このようにして解かれた弾性表面波は、一般
にリーキー波(漏洩弾性表面波)と呼ばれる。
酸リチウム単結晶を基板材料に用いた弾性表面波装置に
おいては、レイリー波の伝搬速度は比較的遅く、また、
伝搬損失の充分に低いリーキー波も見出されていないた
め、その信号処理の対象周波数を高くすることが困難で
あった。
常、櫛型電極(IDT)における電極指の(電気的な)周期
は対象となる信号周波数f 0 に対応した弾性表面波の波
長λ 0 に一致させる。最も単純な櫛型電極(IDT)の構
造の具体例としては、(極性がプラスの)電極幅(λ 0 /
4)、電極間隔(λ 0 /4)、(極性がマイナスの)電極
幅(λ 0 /4)、電極間隔(λ 0 /4)となるように、
対象とする信号周波数f 0 に対応した弾性表面波の波長
の4分の1(λ 0 /4)に配列される。この場合の電気
的な1周期の電極とは、互いに極性の異なる2本の電極
で構成される。しかし、四ほう酸リチウム単結晶上のレ
イリー波の伝搬速度は3400m/sec程度であり、
1GHz以上の信号周波数を対象とするためには1μm
以下の電極幅および電極間隔が必要となる。そのため、
櫛型電極の製造歩留まりが低下し、弾性表面波装置の製
造が著しく困難となる。
1GHz以上であるような弾性表面波装置を実用化する
ために、四ほう酸リチウム単結晶基板を用いて伝搬速度
が速く、かつ伝搬損失の少ない表面波を利用する弾性表
面波装置を提供することにある。
よる弾性表面波装置は、四ほう酸リチウム単結晶からな
る圧電基板と、前記圧電基板の表面に漏洩弾性表面波を
励起、受信、反射、伝搬するための櫛型電極を有した弾
性表面波装置において、前記圧電基板の表面の切り出し
角および漏洩弾性表面波の伝搬方向がオイラ角表示
(φ、θ、ψ)でφ=0°〜45°、θ=38°〜70
°、ψ=80°〜90°およびそれと等価な範囲内にな
るように前記櫛型電極が形成され、前記弾性表面波と同
一方向に伝搬するバルク波の速い横波の位相速度をv
SF、バルク波の縦波の位相速度をvLとし、前記漏洩
弾性表面波の位相速度vがv SF ≦v< v L であることを特徴とする 。
は、四ほう酸リチウム単結晶からなる圧電基板と、前記
圧電基板の表面に漏洩弾性表面波を励起、受信、反射、
伝搬するための櫛型電極を有した弾性表面波装置におい
て、前記圧電基板の表面の切り出し角および漏洩弾性表
面波の伝搬方向がオイラ角表示(φ、θ、ψ)でφ=0
°〜45°、θ=38°〜55°、ψ=80°〜90°
およびそれと等価な範囲内になるように前記櫛型電極が
形成され、前記弾性表面波と同一方向に伝搬するバルク
波の速い横波の位相速度をvSF、バルク波の縦波の位
相速度をvLとし、前記漏洩弾性表面波の位相速度vが
v SF ≦v< v L であることを特徴とする。 この場合、圧電基板の表面で
ある基板切り出し面としては、(011)、(34
5)、(255)、(231)、(356)、(11
2)、(123)、(233)、(134)、(12
2)、(234)、(023)、(145)、(15
6)、(165)、(347)などを用いることができ
る。
び弾性表面波の伝搬方向がオイラ角表示で(0°〜45
°、45°〜50°、80°〜90°)およびそれと等
価な範囲内に電極が形成されていることが望ましい。ま
た、基板切り出し面としては、(011)、(34
5)、(255)、(231)、(356)などを用い
ることが望ましい。特に、基板切り出し面として(01
1)面を用いることができる範囲内、すなわち、オイラ
角表示で(0°〜2°、45°〜50°、88°〜90
°)およびそれと等価な範囲内に電極が形成されている
ことが望ましい。
とする金属により形成され、電極の膜厚hを所望の周波
数f 0 (Hz)に対応する漏洩弾性表面波の波長λ
(m)で規格化した規格化膜厚(h/λ)が約5%以下
であることが望ましい。本願発明者らは、基板の切り出
し角及び弾性表面波の伝搬方向を特定の範囲に設定した
場合、縦波成分を主成分として圧電基板内部に2種類の
横波成分をバルク波として放射しながら圧電基板の表面
を伝搬する漏洩弾性表面波(本SAW)が存在すること
を予想し、シミュレーションにより確認した。
させたもので、リーキー波よりも速い実数の位相速度v
を仮定した場合、2種類の横波成分に対応した減衰定数
の虚数部が共に零(すなわち、共に実根)となり、圧電
基板の深さ方向に減衰しない成分が2種類存在する。本
SAWのシミュレーションでは、上述した式(3)、
(4)を式(1)、(2)に代入して、複素数に拡張し
た位相速度vから減衰定数αを求める際に、2種類の横
波成分(第1の横波成分及び第2の横波成分)に対応
し、振幅が基板の深さ方向に対して増大する解をそれぞ
れ選択し、他の2つの減衰定数αとして縦波成分及び電
磁波成分に対応し、振幅が基板の深さ方向に対して減少
する解を選択した。すなわち、本SAWは、2種類の横
波成分をバルク波として基板内部にエネルギーを放射し
ながら表面を伝搬する弾性表面波である。
1 方向の位相速度vp 、電気機械結合係数k2 、伝搬損
失L、周波数温度係数TCFを求めた。これら位相速度
vp 、電気機械結合係数k2 、伝搬損失L、周波数温度
係数TCFを次式に示す。
気的短絡のx1 方向の位相速度、αはx1 方向の熱膨張
係数である。シミュレーションは、四ほう酸リチウム単
結晶基板の切り出し角及び伝搬方向を変化させたときの
弾性表面波特性を計算することを目的として行なった。
任意の切り出し角及び伝搬方向の伝搬特性は、オイラ角
(φ、θ、ψ)で変換された弾性定数、圧電定数、誘電
定数に対して計算することにより求められる。また、同
一の方向に対して伝搬するバルク波(縦波、速い横波、
遅い横波)の位相速度を計算した。
いて図31を用いて説明する。図1に示す座標系と同様
に、X1 を弾性表面波の伝搬方向、X2 を圧電基板表面
に含まれる弾性表面波の伝搬方向X1 に垂直な方向、X
3 をX1 およびX2 に垂直な方向とする。X1 、X2 お
よびX3 をそれぞれ結晶軸のX、YおよびZ(または、
a、b、およびc)であるとき、基準のオイラ角(0
°、0°、0°)とする。まずX3 軸を中心にして弾性
表面波の伝搬方向X1 をXからY方向にφだけ回転さ
せ、次に回転したX1 軸を中心にして基板表面に垂直な
X3 軸をZ軸から反時計方向にθだけ回転させる。そし
て、回転させたX3 軸を中心としてその基板表面内で伝
搬方向X1 を再度反時計方向にψだけ回転して得られる
方向(基板の切り出し角(カット面)を含む弾性表面波
の伝搬方向)をオイラ角(φ、θ、ψ)として表す。
乃至図22を用いて説明する。図2乃至図4は、四ほう
酸リチウム単結晶基板表面にアルミニウムを主成分とす
る電極が形成された弾性表面波装置において、弾性表面
波の伝搬方向をオイラ角表示で(0°、θ、90°)と
し、角度θを変化させた場合の弾性表面波の位相速度v
p 、電気機械結合係数k2 、弾性表面波一波長当たりの
伝搬損失Lのシミュレーション結果である。
に、角度θが変化しても常に5000〜7500m/s
ecと非常に高速であり、バルク波の速い横波よりも速
く、縦波の位相速度を越えることはない。また、図3に
示すように、本SAWは角度θが25°〜90°の広い
範囲において発生しており、角度θが38°〜70°で
は0.6%以上、特に角度θが40°〜60°では1%
以上の電気機械結合係数が得られる。さらに、図4に示
すように、角度θが約55°以下では伝搬損失が小さ
い。
〜55°の範囲内で電気機械結合係数が大きく、かつ伝
搬損失が小さくなる。特に、角度θが45°〜50°の
範囲では伝搬損失がより小さくなる。これらの範囲で
は、レイリー波は本SAWに比べ約1/2の3000〜
4000m/secの速度であるので、リーキー波は存
在しない。
オイラ角表示で(15°、θ、90°)とし、角度θを
変化させた場合の位相速度vp 、電気機械結合係数
k2 、伝搬損失Lのシミュレーション結果である。ま
た、図8乃至図10は、弾性表面波の伝搬方向をオイラ
角表示で(30°、θ、90°)とし、角度θを変化さ
せた場合の位相速度vp 、電気機械結合係数k2 、伝搬
損失Lのシミュレーション結果である。さらに、図11
乃至図13は、弾性表面波の伝搬方向をオイラ角表示で
(45°、θ、90°)とし、角度θを変化させた場合
の位相速度vp 、電気機械結合係数k2 、伝搬損失Lの
シミュレーション結果である。
に、四ほう酸リチウムの対称性を考慮すると、オイラ角
表示(φ、θ、ψ)の角度φに関係なく、角度θが30
°〜90°の範囲内において位相速度の速い本SAWが
存在し、角度θが38°〜55°の範囲内において、本
SAWは、位相速度が速く、電気機械結合係数が大き
く、伝搬損失が小さいことがわかる。特に、角度θが4
5°〜50°の範囲においては、本SAWの伝搬損失は
さらに小さい。また、本SAWの位相速度は、バルク波
の速い横波の位相速度よりも遅く、バルク波の縦波の位
相速度を越えない。要するに、本SAWは、同一方向に
伝搬するバルク波の速い横波の位相速度v SF 、バルク
波の縦波の位相速度v L とし、本SAWの位相速度vが
v SF ≦v< v L に示す範囲に存在する。
イラ角表示で(0°、47.3°、ψ))における弾性
表面波の伝搬特性をシミュレーション計算した。図14
乃至図16は、オイラ角表示で(0°、47.3°、
ψ)とし、角度ψを変化させた場合の位相速度vp 、電
気機械結合係数k2 、伝搬損失Lのシミュレーション結
果である。
に、角度ψが変化しても常に7000〜7500m/s
ecと非常に高速である。また、図15に示すように、
本SAWは、角度ψが40°〜90°の範囲において存
在し、角度ψが80°〜90°の範囲において高い電気
機械結合係数が得られる。さらに、図16に示すよう
に、本SAWの伝搬損失は、角度ψが88°〜90°に
おいて非常に低くなる。したがって、本SAWは、角度
ψが90°のとき、電気機械結合係数が最大となり、伝
搬損失が最小となる。
示で(0°、47.3°、90°)である場合の弾性表
面波の伝搬特性をシミュレーション計算した。図17乃
至図20は、電極材料をアルミニウムを主成分とする金
属材料とし、電極の膜厚を変化させた場合の位相速度v
p 、電気機械結合係数k2 、伝搬損失L、周波数温度係
数TCFの計算結果を示している。このシミュレーショ
ン計算において、電気的開放とは、金属膜と基板との界
面でx3 方向の電束密度が零であること[x3 =0にお
いて、D3 =0]を意味し、電気的短絡とは、金属膜の
電位が零であること[x3 =0において、Φ=0]を意
味しているとして計算した。
化した規格化膜厚h/λを0.0%から6.0%に変化
させると、図17に示すように、位相速度は徐々に低下
し、図18に示すように、電気機械結合係数は1.2%
から3.1%に増大する。また、規格化膜厚h/λが
0.0%から6.0%の範囲では、図19に示すよう
に、伝搬損失は0.01dB/λ以下と非常に低いこと
がわかる。さらに、周波数温度係数は、図20に示すよ
うに、規格化膜厚h/λが0.0%から5.0%の範囲
では、約20ppm/℃以下の優れた温度特性が得られ
る。
基板の深さ方向の変位及び電位分布について計算した。
図21及び図22は、弾性表面波の伝搬方向がオイラ角
表示で(0°、47.3°、90°)の場合、電極(ア
ルミニウム)の規格化膜厚が3%のときのシミュレーシ
ョン結果である。図21は電気的開放の場合の計算結果
であり、図22は電気的短絡の場合の計算結果である。
図21及び図22において、横軸は変位U1 (x1 方向
の変位)、変位U3 (x3 方向の変位)、静電電位Φの
相対振幅値であり、縦軸は波長で規格化した基板表面か
らの規格化深さである。
表面波の変位、静電電位は基板表面付近に集中してお
り、縦波成分が支配的である。このように、第1の本発
明によれば、四ほう酸リチウム単結晶基板の切り出し角
及び弾性表面波の伝搬方向をオイラ角表示で(0°〜4
5°、38°〜70°、80°〜90°)およびそれと
等価な範囲内としたので、電気機械結合係数が充分で、
かつ、伝搬速度がレイリー波およびリーキー波よりも速
い高速な漏洩弾性表面波を利用した弾性表面波装置を実
現することができる。
チウム単結晶基板の切り出し角および弾性表面波の伝搬
方向をオイラ角表示で(0°〜45°、38°〜55
°、80°〜90°)およびそれと等価な範囲内とした
ので、伝搬速度が速く、かつ、電気機械結合係数がより
充分な漏洩弾性表面波を利用した弾性表面波装置を実現
することができる。
°〜50°、80°〜90°)およびそれと等価な範囲
とすれば、伝搬損失が充分低く、伝搬速度が速く、か
つ、電気機械結合係数が充分な漏洩弾性表面波を利用し
た弾性表面波装置を実現することができる。さらにま
た、弾性表面波装置の電極がアルミニウムを主成分とす
る金属から構成され、電極の規格化膜厚を約5%以下に
すれば、電気機械結合係数がより大きな漏洩弾性表面波
を利用でき、温度特性に優れた弾性表面波装置を実現す
ることができる。
mの対称性を有し、弾性表面波の特性も所定の対称性を
有するので、上記オイラ角で示した方向は(0°〜36
0°、38°〜55°、80°〜100°)などの等価
の方向も含むものである。
23乃至28を用いて説明する。本実施例による弾性表
面波表面波装置を図23に示す。本実施例の弾性表面波
装置はトランスバーサルフィルタであり、主面が(01
1)である四ほう酸リチウム単結晶からなる圧電基板2
1の表面に、電極線幅λ 0 /8のダブルインタディジタ
ル電極からなる入力櫛型電極22と出力櫛型電極23が
形成され、これら入力櫛型電極22と出力櫛型電極23
間の伝搬領域に金属膜24が形成されている。ここで一
方の端子と接続される一対(2個)の櫛型電極と他方の
端子に接続される一対(2個)の電極で弾性表面波の波
長に設定した周期λ 0 となる。
それぞれ、20対、周期8μm(電極線幅1μm)、開
口長400μmであり、弾性表面波の伝搬方向がオイラ
角表示で(0°、47.3°、90°)となるような向
きに形成されている。入力櫛型電極22、出力櫛形電極
23、金属膜24は、同じ厚さのアルミニウム膜により
形成されている。
ピークの周波数より測定し、弾性表面波の電気結合係数
は、櫛型電極の放射アドミッタンスより測定し、弾性表
面波の伝搬損失は、伝搬路長を100λ 0 (λ 0 弾性表
面波装置が対象とする信号周波数f0(Hz)での波長
に設定した周期)、200λ 0 、300λ 0 と変えた場
合の挿入損失の変化より測定し、弾性表面波の周波数温
度係数TCFは、通過周波数特性の位相の温度変化より
測定した。
nm(規格化膜厚として2.2%)、伝搬路の長さが8
00μmの場合の通過周波数特性の測定結果である。図
24から明らかなように、周波数832MHzの位置
に、本SAWに対応したピークが現れている。この本S
AWの挿入損失は13.7dBと小さく、伝搬速度は6
656m/secと非常に高速である。
リー波に対応したピークが現れている。このレイリー波
の挿入損失は24.1dBで、伝搬速度は3204m/
secである。本SAW及びレイリー波とも、実験と計
算は良く一致している。アルミニウム膜の膜厚を変化さ
せた場合の伝搬速度、電気機械結合係数、伝搬損失、周
波数温度係数の測定結果(●により示す)を計算結果と
ともに図25、図26、図27、図28にそれぞれ示
す。
験結果は計算結果と良く一致しており、高周波用の弾性
表面波装置として良好な伝搬特性が得られた。例えば、
アルミニウム膜の規格化膜厚が2%のとき、伝搬速度は
6650m/sec程度、電気機械結合係数は2.8%
程度、伝搬損失は0.010dB/λ程度、TCFは+
30ppm/℃程度の伝搬特性が得られる。
波装置について図29を用いて説明する。本実施例の弾
性表面波装置は、図23に示す弾性表面波装置と同様
に、四ほう酸リチウム単結晶からなる圧電基板21の表
面に、入力櫛形電極22と出力櫛形電極23が形成さ
れ、これら入力櫛形電極22と出力櫛形電極23間の伝
搬領域に金属膜24が形成されている。圧電基板21の
切り出し角度および弾性表面波の伝搬方向はオイラ角表
示で(45°、40°、90°)であり、他の構成は前
述の実施例と同様に作製した。
nm(規格化膜厚として3.0%)、伝搬路の長さが8
00μmの場合の通過周波数特性の測定結果である。図
29から明らかなように、周波数883MHzの位置
に、本SAWに対応したピークが現れている。この本S
AWの挿入損失は38.5dBと小さく、伝搬速度は7
070m/secと非常に高速であり、電気機械結合係
数は1.6%である。
ー波に対応したピークが現れている。このレイリー波の
挿入損失は25.6dBで、伝搬速度は3110m/s
ecである。本SAW及びレイリー波とも、実験結果は
計算結果に良く一致している。本発明は上記実施例に限
らず種々の変形が可能である。
力櫛型電極22、出力櫛形電極23を図30(a)に示
すように、弾性表面波装置の圧電基板21表面に櫛型電
極22、23の電極指25を直接形成しているが、図3
0に示すように種々の断面構造が可能である。例えば、
図30(b)に示すように、電極指25の間をSi
O2 、Al2 O3などの絶縁層26で埋めてもよい。ま
た、図30(c)に示すように、電極指25全体をSi
O2 、Al2 O3 などの絶縁層27で埋めてもよい。ま
た、図30(d)に示すように、圧電基板21上に形成
された絶縁層27上に電極指25を形成してもよい。ま
た、図30(e)に示すように、圧電基板21表面を掘
って溝を形成し、その溝の中に電極指25を埋めてもよ
い。なお、図30(c)及び(d)における電極の膜厚
hは、電極指25と絶縁層27の厚さを加えた厚さとみ
なされる。
る金属は、アルミニウムを主成分とする金属材料の他
に、金を主成分とする金属材料を用いることもできる。
これら金属材料にシリコン、銅などを添加してもよい。
また、チタン層、タングステン層などと組合せて多層構
造の電極としてもよい。さらに、上記実施例の弾性表面
波装置は伝搬路上に金属膜を設けたトランスバーサルフ
ィルタであったが、伝搬路上に金属膜を設けなくてもよ
い。
なる構造でもよい。例えば、一対のグレーティング反射
器の間に櫛型電極を設けた共振子型フィルタや、共振子
にも本発明を適用できる。また、多数の櫛型電極を並列
に接続した構造(IIDT構造)の弾性表面波装置にも
本発明を適用することもできる。
れば、四ほう酸リチウム単結晶基板の切り出し角及び弾
性表面波の伝搬方向をオイラ角表示で(0°〜45°、
38°〜70°、80°〜90°)およびそれと等価な
範囲内としたので、電気機械結合係数が充分で、かつ、
伝搬速度がレイリー波およびリーキー波よりも速い高速
な漏洩弾性表面波を利用した弾性表面波装置を実現する
ことができる。
チウム単結晶基板の切り出し角および弾性表面波の伝搬
方向をオイラ角表示で(0°〜45°、38°〜55
°、80°〜90°)およびそれと等価な範囲内とした
ので、伝搬速度が速く、かつ、電気機械結合係数がより
充分な漏洩弾性表面波を利用した弾性表面波装置を実現
することができる。
°〜50°、80°〜90°)およびそれと等価な範囲
とすれば、伝搬損失が充分低く、伝搬速度が速く、か
つ、電気機械結合係数が充分な漏洩弾性表面波を利用し
た弾性表面波装置を実現することができる。さらにま
た、弾性表面波装置の電極がアルミニウムを主成分とす
る金属から構成され、電極の規格化膜厚を約5%以下に
すれば、電気機械結合係数がより大きな漏洩弾性表面波
を利用でき、温度特性に優れた弾性表面波装置を実現す
ることができる。
速く、十分な電気機械結合係数が得られ、伝搬損失の低
く、かつ、温度特性にも優れた弾性表面波を用いた装置
を実現できるから、更なる高周波動作の要求に十分対応
することができる。
と境界条件を示した図である。
ムを主成分とする電極が形成された弾性表面波装置にお
いて、四ほう酸リチウム単結晶基板の切り出し角および
伝搬方向(0°、θ、90°)の角度θを変化させた場
合の位相速度vp のシミュレーション結果を示すグラフ
である。
ムを主成分とする電極が形成された弾性表面波装置にお
いて、四ほう酸リチウム単結晶基板の切り出し角および
伝搬方向(0°、θ、90°)の角度θを変化させた場
合の電気機械結合係数k 2 のシミュレーション結果を示
すグラフである。
ムを主成分とする電極が形成された弾性表面波装置にお
いて、四ほう酸リチウム単結晶基板の切り出し角および
伝搬方向(0°、θ、90°)の角度θを変化させた場
合の伝搬損失Lのシミュレーション結果を示すグラフで
ある。
ムを主成分とする電極が形成された弾性表面波装置にお
いて、四ほう酸リチウム単結晶基板の切り出し角および
伝搬方向(15°、θ、90°)の角度θを変化させた
場合の位相速度vp のシミュレーション結果を示すグラ
フである。
ムを主成分とする電極が形成された弾性表面波装置にお
いて、四ほう酸リチウム単結晶基板の切り出し角および
伝搬方向(15°、θ、90°)の角度θを変化させた
場合の電気機械結合係数k2 のシミュレーション結果を
示すグラフである。
ムを主成分とする電極が形成された弾性表面波装置にお
いて、四ほう酸リチウム単結晶基板の切り出し角および
伝搬方向(15°、θ、90°)の角度θを変化させた
場合の伝搬損失Lのシミュレーション結果を示すグラフ
である。
ムを主成分とする電極が形成された弾性表面波装置にお
いて、四ほう酸リチウム単結晶基板の切り出し角および
伝搬方向(30°、θ、90°)の角度θを変化させた
場合の位相速度vp のシミュレーション結果を示すグラ
フである。
ムを主成分とする電極が形成された弾性表面波装置にお
いて、四ほう酸リチウム単結晶基板の切り出し角および
伝搬方向(30°、θ、90°)の角度θを変化させた
場合の電気機械結合係数k2 のシミュレーション結果を
示すグラフである。
ウムを主成分とする電極が形成された弾性表面波装置に
おいて、四ほう酸リチウム単結晶基板の切り出し角およ
び伝搬方向(30°、θ、90°)の角度θを変化させ
た場合の伝搬損失Lのシミュレーション結果を示すグラ
フである。
ウムを主成分とする電極が形成された弾性表面波装置に
おいて、四ほう酸リチウム単結晶基板の切り出し角およ
び伝搬方向(45°、θ、90°)の角度θを変化させ
た場合の位相速度vp のシミュレーション結果を示すグ
ラフである。
ウムを主成分とする電極が形成された弾性表面波装置に
おいて、四ほう酸リチウム単結晶基板の切り出し角およ
び伝搬方向(45°、θ、90°)の角度θを変化させ
た場合の電気機械結合係数k2 のシミュレーション結果
を示すグラフである。
ウムを主成分とする電極が形成された弾性表面波装置に
おいて、四ほう酸リチウム単結晶基板の切り出し角およ
び伝搬方向(45°、θ、90°)の角度θを変化させ
た場合の伝搬損失Lのシミュレーション結果を示すグラ
フである。
ウムを主成分とする電極が形成された弾性表面波装置に
おいて、四ほう酸リチウム単結晶基板の(011)カッ
ト面上で、伝搬方向ψを変化させた場合の位相速度vp
のシミュレーション結果を示すグラフである。
ウムを主成分とする電極が形成された弾性表面波装置に
おいて、四ほう酸リチウム単結晶基板の(011)カッ
ト面上で、伝搬方向ψを変化させた場合の電気機械結合
係数k2 のシミュレーション結果を示すグラフである。
ウムを主成分とする電極が形成された弾性表面波装置に
おいて、四ほう酸リチウム単結晶基板の(011)カッ
ト面上で、伝搬方向ψを変化させた場合の伝搬損失Lの
シミュレーション結果を示すグラフである。
ウムを主成分とする電極が形成された弾性表面波装置に
おいて、四ほう酸リチウム単結晶基板の切り出し角およ
び伝搬方向をオイラ角(0°、47.3°、90°)と
し、電極の規格化膜厚h/λを変化させた場合の位相速
度vp のシミュレーション結果を示すグラフである。
ウムを主成分とする電極が形成された弾性表面波装置に
おいて、四ほう酸リチウム単結晶基板の切り出し角およ
び伝搬方向をオイラ角(0°、47.3°、90°)と
し、電極の規格化膜厚h/λを変化させた場合の電気機
械結合係数k2 のシミュレーション結果を示すグラフで
ある。
ウムを主成分とする電極が形成された弾性表面波装置に
おいて、四ほう酸リチウム単結晶基板の切り出し角およ
び伝搬方向をオイラ角(0°、47.3°、90°)と
し、電極の規格化膜厚h/λを変化させた場合の伝搬損
失Lのシミュレーション結果を示すグラフである。
ウムを主成分とする電極が形成された弾性表面波装置に
おいて、四ほう酸リチウム単結晶基板の切り出し角およ
び伝搬方向をオイラ角(0°、47.3°、90°)と
し、電極の規格化膜厚h/λを変化させた場合の周波数
温度係数TCFのシミュレーション結果を示すグラフで
ある。
波の伝搬方向が(0°、47.3°、90°)になるよ
うに、アルミニウムを主成分とする電極が形成された弾
性表面波装置において、基板表面が電気的開放の場合の
基板の深さ方向の変位分布U1 、U3 、電位分布Φのシ
ミュレーション結果を示すグラフである。
波の伝搬方向が(0°、47.3°、90°)になるよ
うに、アルミニウムを主成分とする電極が形成された弾
性表面波装置において、基板表面が電気的短絡の場合の
基板の深さ方向の変位分布U1 、U3 、電位分布Φのシ
ミュレーション結果を示すグラフである。
す図である。
り出し角および伝搬方向がオイラ角表示で(0°、4
7.3°、90°))の通過周波数特性を示すグラフで
ある。
り出し角および伝搬方向がオイラ角表示で(0°、4
7.3°、90°))において、電極の規格化膜厚h/
λを変化させた場合の位相速度vp の測定結果とシミュ
レーション結果とを示すグラフである。
り出し角および伝搬方向がオイラ角表示で(0°、4
7.3°、90°))において、電極の規格化膜厚h/
λを変化させた場合の電気機械結合係数k2 の測定結果
とシミュレーション結果とを示すグラフである。
り出し角および伝搬方向がオイラ角表示で(0°、4
7.3°、90°))において、電極の規格化膜厚h/
λを変化させた場合の伝搬損失Lの測定結果とシミュレ
ーション結果とを示すグラフである。
り出し角および伝搬方向がオイラ角表示で(0°、4
7.3°、90°))において、電極の規格化膜厚h/
λを変化させた場合の周波数温度係数TCFの測定結果
とシミュレーション結果とを示すグラフである。
(切り出し角および伝搬方向がオイラ角表示で(45
°、40°、90°))の通過周波数特性を示すグラフ
である。
断面構造を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 四ほう酸リチウム単結晶からなる圧電基
板と、前記圧電基板の表面に漏洩弾性表面波を励起、受
信、反射、伝搬するための櫛型電極を有した弾性表面波
装置において、 前記圧電基板の表面の切り出し角および漏洩弾性表面波
の伝搬方向がオイラ角表示(φ、θ、ψ)でφ=0°〜45°、θ=38°〜70°、ψ=80°〜
90° およびそれと等価な範囲内になるように前記櫛型電極が
形成され、 前記漏洩弾性表面波と同一方向に伝搬するバルク波の速
い横波の位相速度をvSF、バルク波の縦波の位相速度
をvLとし、前記漏洩弾性表面波の位相速度vがv SF ≦v< v L である ことを特徴とする弾性表面波装置。 - 【請求項2】 四ほう酸リチウム単結晶からなる圧電基
板と、前記圧電基板の表面に漏洩弾性表面波を励起、受
信、反射、伝搬するための櫛型電極を有した弾性表面波
装置において、 前記圧電基板の表面の切り出し角および漏洩弾性表面波
の伝搬方向がオイラ角表示(φ、θ、ψ)でφ=0°〜45°、θ=38°〜55°、ψ=80°〜
90° およびそれと等価な範囲内になるように前記櫛型電極が
形成され、 前記弾性表面波と同一方向に伝搬するバルク波の速い横
波の位相速度をvSF、バルク波の縦波の位相速度をv
Lとし、前記漏洩弾性表面波の位相速度vがv SF ≦v< v L である ことを特徴とする弾性表面波装置。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の弾性表面波装置に
おいて、 前記圧電基板の表面の切り出し角および弾性表面波の伝
搬方向がオイラ角表示(φ、θ、ψ)でφ=0°〜45°、θ=45°〜50°、ψ=80°〜
90° およびそれと等価な範囲内になるように前記櫛型電極が
形成されていることを特徴とする弾性表面波装置。 - 【請求項4】 請求項3記載の弾性表面波装置におい
て、 前記圧電基板の表面の切り出し角および漏洩弾性表面波
の伝搬方向がオイラ角表示(φ、θ、ψ)でφ=0°〜2°、θ=45°〜50°、ψ=88°〜9
0° およびそれと等価な範囲内になるように前記櫛型電極が
形成されていることを特徴とする弾性表面波装置。 - 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の弾性
表面波装置において、 前記櫛型電極がアルミニウムを主成分とする金属により
形成され、前記櫛型電極の膜厚hを、所望の周波数f 0
(Hz)に対応する漏洩弾性表面波の波長λ(m)で規
格化した規格化厚膜(h/λ)が約5%以下であること
を特徴とする弾性表面波装置。
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