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JP3135312U - ターボ分子ポンプ - Google Patents

ターボ分子ポンプ Download PDF

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Abstract

【課題】気体分子の逆流を低減して排気性能の向上を図ることができるターボ分子ポンプの提供。
【解決手段】ターボ分子ポンプでは、一の固定翼11bの分割部112bの位置がその上下にある固定翼11a、11cの分割部112a、112cと異なる位置に配設されている。したがって、固定翼11cの分割部112cを通って逆流しようとする気体分子の流れは、固定翼11bによって止められるため、結果として、気体分子が固定翼の分割部を通って逆流するのを低減することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、半導体製造装置等の真空排気に用いられるターボ分子ポンプに関する。
高真空排気に用いられるターボ分子ポンプは、交互に配置された複数段の回転翼と複数段の固定翼とを備えており、固定翼に対して回転翼を高速回転させて真空排気を行うものである。各回転翼および固定翼は複数の翼部から成り、回転翼はモータにより回転駆動されるロータに形成されており、固定翼はスペーサを介して積層され、ポンプのベースに固定されている。
また、ターボ分子ポンプの組み立てを容易にするため、一般的に各段の固定翼は、半円状の分割固定翼に2分割されている。(例えば、特許文献1参照)
特開2005−337028号公報
しかしながら、固定翼は、回転翼の回転軸方向にから見たときに、任意の状態に配設して組み立てられるため、各段の分割固定翼の分割部が回転翼の回転軸方向から見た場合に一直線上に配設するように組み立てられた場合には、当該分割部から気体分子が逆流し、ターボ分子ポンプの排気性能を低下させる。
また、同様に、各段の固定翼の翼間隙間が回転翼の回転軸方向から見た場合に一致するように組み立てられた場合にも、回転翼の回転軸方向から見た固定翼間の投影隙間面積が大きくなり、気体分子が逆流しやすくなり、ターボ分子ポンプの排気性能を低下させる。
また、従来は、ターボ分子ポンプの組み立て時において、分割固定翼の分割部の位置や固定翼の翼間隙間の状態を考慮して固定翼を配設しておらず、したがって、各段の分割固定翼の分割部の配設位置や各段の固定翼の翼間隙間の状態が、機体毎に異なる場合があり、このような状態で組み立てられたターボ分子ポンプは機体ごとに気体分子の逆流の程度が異なるため、ターボ分子ポンプの排気性能がばらつく原因となる。
したがって、本考案は上記課題を解決し、気体分子の逆流によるターボ分子ポンプの排気性能低下を抑制するとともに、気体分子の逆流の程度が異なることに起因するターボ分子ポンプの排気性能のばらつきを少なくして性能の均質化を図ることを目的とする。
第1の考案によるターボ分子ポンプは、複数段の回転翼と複数段の固定翼とが前記回転翼の回転軸方向に交互に配設されたターボ分子ポンプにおいて、前記複数段の固定翼の各々は一対の分割固定翼から成り、前記分割固定翼のうち、一の分割固定翼の分割部が、前期回転軸方向から見たときに、その前後の分割固定翼の分割部と異なる位置に配設されていることを特徴とする。本特徴によって、排気する気体分子が、分割固定翼の分割部を通って逆流するのを低減することができる。
また、第2の考案によるターボ分子ポンプは、複数段の回転翼と複数段の固定翼とが前記回転翼の回転軸方向に交互に配設されたターボ分子ポンプにおいて、前期回転軸方向から見たときに、前記複数段の固定翼のうち、一の固定翼の翼部間の隙間を、他の固定翼の翼部で覆うように配設されていることを特徴とする。本特徴によって、回転翼の回転軸方向から見た固定翼間の投影隙間面積を小さくすることができ、気体分子の逆流を低減することができる。
また、第3の考案によるターボ分子ポンプは、第1の考案によるターボ分子ポンプにおいて、前記複数段の固定翼を載置する複数のスペーサの各々に、前記分割固定翼の分割部と前記スペーサの位置関係を一意に定める部位を設け、当該部位が一意の関係に配設されるように各スペーサを積層したことを特徴とする。本特徴によって、排気する気体分子が、分割固定翼の分割部を通って逆流するのを低減する複数段の固定翼の配設状態を一意に定めることができる。
また、第4の考案によるターボ分子ポンプは、第2の考案によるターボ分子ポンプにおいて、前記複数段の固定翼を載置する複数のスペーサの各々に、前記固定翼の翼部間の隙間と前記スペーサとの位置関係を一意に定める部位を設け、当該部位が一意の関係に配設されるように各スペーサを積層したことを特徴とする。本特徴によって、回転翼の回転軸方向から見た固定翼間の投影隙間面積を小さくする複数段の固定翼の配設状態を一意に定めることができる。
本考案によれば、気体分子の逆流を低減することで、排気速度、到達真空度といったターボ分子ポンプ排気性能の向上を図ることができる。また、固定翼の各段の配設位置を本考案の条件を満足するように一意に定めることによって、気体分子の逆流の程度が異なることに起因するターボ分子ポンプの排気性能のばらつきを少なくして性能の均質化を図ることができる。
以下、図を参照して本考案を実施するための最良の形態について説明する。図1は本考案に係るターボ分子ポンプの一実施の形態を示す図であり、ポンプ本体1の断面図である。ターボ分子ポンプは、図1に示すポンプ本体1と、ポンプ本体1に電源を供給し回転駆動を制御するコントローラ(不図示)とから成る。
ポンプ本体1のケーシング3の内部には、互いにボルト締結されたロータ20とシャフト7とから成る回転体が設けられている。ロータ20が固定されたシャフト7は、ベース10のステータコラム10aに設けられた上下一対のラジアル磁気軸受31,32およびスラスト磁気軸受33によって非接触式に支持され、モータ6により回転駆動される。ポンプ停止時(磁気浮上停止時)や停電時には、シャフト7は保護用のタッチダウンベアリング26,27によって支持される。
ロータ20には、複数段の回転翼21および回転円筒部22が形成されている。一方、ベース10側には、ケーシング3の内周面に沿ってリング状のスペーサ13が積層され、そのスペーサ13によって上下に挟まれるように複数段の固定翼11が設けられている。さらに、複数段の固定翼11の下部には、内周面に螺旋溝が形成された固定円筒部12が設けられている。本実施の形態のターボ分子ポンプでは、軸方向に交互に配置された複数段の回転翼21と複数段の固定翼11とによりタービン翼部が構成され、次に、回転円筒部22と固定円筒部12とによりモレキュラードラッグポンプ部が構成される。回転円筒部22は固定円筒部12の内周面に近接して設けられており、固定円筒部12の内周面には螺旋溝が形成されている。モレキュラードラッグポンプ部では、固定円筒部12の螺旋溝と高速回転する回転円筒部22とにより、粘性流による排気機能が行われる。
図1に示すタービン翼部とモレキュラードラッグポンプ部とを結合させたターボ分子ポンプは、広域型ターボ分子ポンプと称されている。吸気口14から流入したガス分子はタービン翼部によって図示下方へと叩き飛ばされ、下流側に向かって圧縮排気される。その圧縮されたガス分子は、さらにモレキュラードラッグポンプ部によってさらに圧縮され、排気ポート15から排出される。
図2は、図1に示した固定翼11の構造を示す図である。固定翼11は2分割された半円状の分割固定翼110a、110bで構成され、各分割固定翼が対向する位置が分割部112となる。また、各々の分割固定翼は、複数の翼部113を備え、各翼部の間が隙間114となる。分割固定翼110a、110bはステンレス鋼やアルミニウム合金等の材料からなり、厚板材や鋳物の切削加工、薄板材や鋳物の切削加工、薄い板材エッチング加工した後に曲げ加工を施す等の方法で翼部113を形成する。
図3は、第1の考案に係るターボ分子ポンプの固定翼11の配設状態を表した図である。図3(a)は固定翼を回転翼の回転軸方向から見た図であり、図3(b)は固定翼を回転翼の回転軸と直交する方向から見た図である。なお、説明のため、図3は回転翼21及び固定翼11の一部分(3段)のみを表しており、ロータ20や固定翼を挟持するスペーサ13等の記載は省略している。また、固定翼11の翼部および翼間隙間については、同じ形状が連続していることから、一部のみを記載し残りの部分を省略して記載している。
図3(b)に示すように本考案に係るターボ分子ポンプの固定翼11の第1の配設状態では、固定翼11bの分割部112bの位置がその上下にある固定翼11a、11cの分割部112a、112cと異なる位置に配設されている。したがって、固定翼11cの分割部112cを通って逆流しようとする気体分子の流れ(図3(b)の矢印)は、固定翼11bによって止められる。したがって、結果として、気体分子が固定翼の分割部を通って逆流するのを低減することができる。
図4は、第2の考案に係るターボ分子ポンプの固定翼11の配設状態を表した図である。図4(a)は固定翼を回転翼の回転軸方向から見た図であり、図4(b)は固定翼を回転翼の回転軸と直交する方向から見た図である。なお、説明のため、図4も回転翼21及び固定翼11の一部分(3段)のみを表しており、ロータ20や固定翼を挟持するスペーサ13等の記載は省略している。また、固定翼11の翼部および翼間隙間については、同じ形状が連続していることから、一部のみを記載し残りの部分を省略して記載している。
図4に示すように本考案に係るターボ分子ポンプの固定翼11の第2の配設状態では、回転翼の回転軸方向から見たときに、固定翼11cの隙間114cがその上にある固定翼11a、11bの翼部113a、113bで覆うように配設されている。固定翼11cの隙間114cを通って逆流しようとする気体分子の流れ(図4(b)の矢印)は、その上にある固定翼11a、11bの翼部113a、113bによって止められる。したがって、結果として、気体分子が固定翼の翼部間の隙間を通って逆流するのを低減することができる。
次に、本考案に係るターボ分子ポンプの組み立て時における固定翼の配設方法の例について以下に説明する。本考案に係るターボ分子ポンプ1では、シャフト7、ロータ20、回転翼21および、回転円筒部22で構成された回転部を、ベース10に取り付け、その後、スペーサ13を下側(排気ポート15側)から順番に積層するとともに、スペーサの間に固定翼11を配設して、スペーサ13で狭持する。この組み立て時において、第1の考案もしくは第2の考案の状態に固定翼を配設するために、固定翼を狭持するスペーサ13に固定翼11を形成する分割固定翼110a、110bの分割部112もしくは、固定翼11の翼部間の隙間114の位置とスペーサ13との位置関係を一意に定める部位を設け、その部位を目印としてスペーサを積層する。
図5は、図1に示したスペーサ13の構造を示す図である。スペーサ13はその円周部の両端に段付部130a、130b(130bは図面上に現れていない。)が形成されており、上下方向に積層するスペーサはこの段付部を係合することによって固定される。なお、スペーサの厚みh1はすべてのスペーサ13で同一ではなく、固定翼の配置間隔等によって異なる。また、スペーサ13の円周部の上端2箇所(A部)には図6に示すように突起131a、131bが設けられている。
図7は、スペーサ13の上に固定翼11を載置した図である。図7に示すように、スペーサの突起131a、131bを分割固定翼110a、110bの翼部の先端に当接してして載置することにより、分割固定翼の分割部もしくは、固定翼の翼部間の隙間の位置とスペーサとの位置関係を一意に定めることができる。
したがって、回転翼の間に固定翼を配設する際に、この突起部を目印とすることにより、ターボ分子ポンプの組み立て時において、一の分割固定翼の分割部が、前期回転軸方向から見たときに、その前後の分割固定翼の分割部と異なる位置に配設したり、一の固定翼の翼部間の隙間を、他の固定翼の翼部で覆うように配設することを容易に行うことができる。
また、一の分割固定翼の分割部が、前期回転軸方向から見たときに、その前後の分割固定翼の分割部と異なる位置に配設する、もしくは、一の固定翼の翼部間の隙間を他の固定翼の翼部で覆うように配設する、といった条件を満足する各スペーサの突起部の位置関係を一意に定め、その位置関係にしたがって、スペーサを積層してターボ分子ポンプを組み立てることによって、回転翼の翼間に配設される各段の固定翼の位置を所定の位置に定めることができる。
一の分割固定翼の分割部が、前期回転軸方向から見たときに、その前後の分割固定翼の分割部と異なる位置に配設する場合の具体的な配設方法としては、最下段(排気ポート15に最も近い場所)の固定翼から順次積層する際に、回転翼の回転軸方向から見た場合の分割部の位置が90度ずつ異なるように配設する方法があげられる。また、他の配設方法としては、固定翼の段数がN段(Nは整数)である場合に、最下段(排気ポート15に最も近い場所)の固定翼から順次積層する際に、回転翼の回転軸方向から見た場合の分割部がの位置が「360/N」度ずつ異なるような配設方法があげられる。
次に、前期回転軸方向から見たときに、一の固定翼の翼部間の隙間を、他の固定翼の翼部で覆うように配設する場合の具体的な配設方法の例としては、固定翼の段数がN段(Nは整数)であり、各固定翼の翼部の枚数がM枚(Mは整数)である場合に、最下段(排気ポート15に最も近い場所)の固定翼から順次積層する際に、回転翼の回転軸方向から見た場合の固定翼の位相が「360/(M×N)」度ずつ異なるように配設する方法があげられる。また、回転翼の回転軸方向から固定翼を見た場合の翼部の幅が、固定翼の翼間隙間よりも広い場合には、固定翼を順次積層する際に、が回転翼の回転軸方向から見た場合の固定翼の位相が「180/M」度ずつ異なるように配設しても良い。
その他、一の分割固定翼の分割部が、前期回転軸方向から見たときに、その前後の分割固定翼の分割部と異なる位置となるとともに、一の固定翼の翼部間の隙間を、他の固定翼の翼部で覆うように各段の固定翼を配設することによって、気体分子の逆流を更に低減することができる。
なお、スペーサ13に設けられる分割固定翼の分割部もしくは、固定翼の翼部間の隙間の位置とスペーサとの位置関係を一意に定める部位は図5の突起131a、131bの構成に限定されない。すなわち、突起の代替としてスペーサ13の固定翼を載置する面に穴を穿設し、位置決めピンを挿入するという構成もしくは、スペーサ13の側面に分割固定翼の分割部もしくは、固定翼の翼部間の隙間の位置とスペーサとの位置関係を一意に定めるケガキ線を設けるという構成にしてもよい、
また、上記実施例はいずれも本考案の一例であって、本考案の主旨の範囲で適宜変更や修正を加えることができるのは明らかである。
本考案に係るターボ分子ポンプの一実施の形態を示す断面図である。 本考案に係るターボ分子ポンプの固定翼11の構造を示す図である。 本考案に係るターボ分子ポンプの固定翼11の第1の配設状態を示す図である。 本考案に係るターボ分子ポンプの固定翼11の第2の配設状態を示す図である。 本発明に係るターボ分子ポンプのスペーサ13の構造を示す図である。 図5の突起部の拡大図である。 スペーサ13の突起131a、131bを分割固定翼110a、110bの翼部の先端に当接してして載置した図である。
符号の説明
1:ポンプ本体、10:ベース、11:固定翼、12:固定円筒部、13:スペーサ、20:ロータ、21:回転翼、22:回転円筒部、110a,110b:分割固定翼、112,112a,112b,112c:分割部、113,113a,113b,113c:翼部、114,114a,114b,114c:翼間隙間、130a,130b:段付部131a,131b:突起部

Claims (4)

  1. 複数段の回転翼と複数段の固定翼とが前記回転翼の回転軸方向に交互に配設されたターボ分子ポンプにおいて、
    前記複数段の固定翼の各々は一対の分割固定翼から成り、
    前記分割固定翼のうち、一の分割固定翼の分割部が、前期回転軸方向から見たときに、その前後の分割固定翼の分割部と異なる位置に配設されていることを特徴とするターボ分子ポンプ。
  2. 複数段の回転翼と複数段の固定翼とが前記回転翼の回転軸方向に交互に配設されたターボ分子ポンプにおいて、
    前期回転軸方向から見たときに、前記複数段の固定翼のうち、一の固定翼の翼部間の隙間を、他の固定翼の翼部で覆うように配設されていることを特徴とするターボ分子ポンプ。
  3. 前記複数段の固定翼を載置する複数のスペーサの各々に、前記分割固定翼の分割部と前記スペーサの位置関係を一意に定める部位を設け、当該部位が一意の関係に配設されるように各スペーサを積層したことを特徴とする、請求項1に記載のターボ分子ポンプ
  4. 前記複数段の固定翼を載置する複数のスペーサの各々に、前記固定翼の翼部間の隙間と前記スペーサとの位置関係を一意に定める部位を設け、当該部位が一意の関係に配設されるように各スペーサを積層したことを特徴とする、請求項2に記載のターボ分子ポンプ
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