JP4458749B2 - アルカリ蓄電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ニッケル−水素蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池等のアルカリ蓄電池及びこのようなアルカリ蓄電池の正極に使用するアルカリ蓄電池用ニッケル極に係り、特に、水酸化ニッケル又は水酸化ニッケルを主成分とする活物質粒子の表面がナトリウム含有コバルト化合物で被覆された複合体粒子を導電性基体に充填させたアルカリ蓄電池用ニッケル極を改善して、十分な電池容量を有すると共に充放電サイクル特性に優れたアルカリ蓄電池が得られるようにした点に特徴を有するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ニッケル−水素蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池に代表されるアルカリ蓄電池においては、その正極として、一般に水酸化ニッケルを活物質に用いたものが使用されている。
【0003】
ここで、このようなアルカリ蓄電池用ニッケル極においては、活物質として使用する水酸化ニッケルの導電性が低いため、一般に、芯金となる穿孔鋼鈑等にニッケル粉末を充填させて焼結させた焼結基板に、活物質の水酸化ニッケルを含浸させた焼結式のニッケル極が用いられている。
【0004】
しかし、このような焼結式のニッケル極の場合、ニッケル粉末における粒子間の結合が弱く、基板における多孔度を高くすると、ニッケル粉末が脱落しやすくなるため、実用上、基板の多孔度を80%程度とするのが限界で、活物質の水酸化ニッケルを多く充填させることができず、容量の大きなアルカリ蓄電池を得ることが困難であった。
【0005】
また、上記の焼結式ニッケル極の場合、穿孔鋼板等の芯金を使用するため、一般に活物質の充填密度が小さく、さらに、焼結により形成されたニッケル粉末の細孔は10μm以下と小さいため、活物質を充填させるにあたっては、煩雑な工程を数サイクルも繰り返す溶液含浸法を用いなければならず、その生産性が悪い等の問題もあった。
【0006】
このため、水酸化ニッケルからなる活物質粒子にメチルセルロース等の結合剤の水溶液を加えて混練させたペーストを、発泡ニッケル等の多孔度の大きい導電性基体に塗布し、これを乾燥させたペースト式のアルカリ蓄電池用ニッケル極が用いられるようになった。
【0007】
ここで、このようなペースト式のアルカリ蓄電池用ニッケル極の場合、多孔度が95%以上の導電性基体を用いることができ、導電性基体に多くの活物質を充填させて、容量の大きなアルカリ蓄電池を得ることができると共に、導電性基体に対して活物質を簡単に充填させることができて生産性も向上する。
【0008】
しかし、このようなペースト式のアルカリ蓄電池用ニッケル極において、導電性基体に多くの活物質を充填させるために、多孔度の大きい導電性基体を用いると、この導電性基体における集電性が悪くなって、活物質の利用率が低下するという問題があった。
【0009】
このため、従来においては、このようなペースト式のアルカリ蓄電池用ニッケル極において、上記の水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面を水酸化コバルトで被覆させて、電極内における導電性を高め、活物質の利用率を向上させることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
しかし、このように水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面を水酸化コバルトで被覆した場合においても、活物質の利用率を十分に向上させることが困難であった。
【0011】
また、近年においては、上記のアルカリ蓄電池用ニッケル極に、水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面をナトリウム等のアルカリを含むコバルト化合物で被覆させたものを用い、活物質の利用率を十分に向上させるようにしたものも提案されている(例えば、特許文献2〜4参照。)。
【0012】
しかし、上記のように水酸化ニッケルからなる活物質粒子の表面をナトリウム等のアルカリを含むコバルト化合物で被覆させたものを用いた場合においても、アルカリ蓄電池における容量を高めると共に、充放電サイクル特性を十分に向上させることができないという問題があった。
【0013】
【特許文献1】
特開昭62−234867号公報
【特許文献2】
特開平9−219192号公報
【特許文献3】
特開平10−334912号公報
【特許文献4】
特開2002−63898号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、水酸化ニッケル又は水酸化ニッケルを主成分とする活物質粒子の表面がナトリウム含有コバルト化合物で被覆された複合体粒子を導電性基体に充填させてなるアルカリ蓄電池用ニッケル極及びこのアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用いたアルカリ蓄電池における上記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0015】
すなわち、この発明においては、上記のようなアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用いたアルカリ蓄電池において、十分な電池容量及び充放電サイクル特性が得られるようにすることを課題とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明においては、上記のような課題を解決するため、正極と負極と、アルカリ電解液とを備えたアルカリ蓄電池において、前記正極は水酸化ニッケル又は水酸化ニッケルを主成分とする活物質粒子の表面がナトリウム含有コバルト化合物で被覆された複合体粒子を導電性基体に充填させてなるアルカリ蓄電池用ニッケル極であって、上記の複合体粒子の比導電率が1.0×10−3〜1.0×10−2S・cm−1の範囲にすると共に、上記の導電性基体に対する複合体粒子の充填密度を3.0g/cm3−void以上にしたのである。ここで、上記の充填密度は、アルカリ蓄電池用ニッケル極における導電性基体を除いた残空間(cm3)に対する複合体粒子の充填質量(g)である。
【0017】
そして、この発明におけるアルカリ蓄電池用ニッケル極のように、水酸化ニッケル又は水酸化ニッケルを主成分とする活物質粒子の表面をナトリウム含有コバルト化合物で被覆させた複合体粒子を用いると、このナトリウム含有コバルト酸化物の電気伝導率が金属コバルトやコバルト化合物を用いた場合に比べて高いため、電極内における集電性が高くなって、活物質の利用率が向上すると共に、このアルカリ蓄電池用ニッケル極を用いたアルカリ蓄電池を高温環境下において充放電させた場合に、放電時にこのナトリウム含有コバルト酸化物が水酸化コバルトに還元されにくくなり、アルカリ電解液中に溶解するのが抑制される。
【0018】
また、この発明におけるアルカリ蓄電池用ニッケル極のように、導電性基体に対する上記の複合体粒子の充填密度を3.0g/cm3−void以上にすると、アルカリ蓄電池の容量を大きくすることができると共に、このアルカリ蓄電池用ニッケル極内における空間が少なくなり、過充電時などに上記の複合体粒子がアルカリ電解液を取り込んで膨化するのが抑制され、アルカリ蓄電池における充放電サイクル特性も向上する。すなわち、導電性基体に対する上記の複合体粒子の充填密度が3.0g/cm3−void未満になると、アルカリ蓄電池用ニッケル極における活物質粒子の量が少なくなって、アルカリ蓄電池の容量が低下すると共に、このアルカリ蓄電池用ニッケル極内における空間が多くなり、水酸化ニッケルが充電されて生成するβ−NiOOHが、過充電時などに上記の空間に存在するアルカリ電解液を取り込んで結晶の大きなγ−NiOOHに変化し、アルカリ蓄電池内におけるアルカリ電解液が不足して、アルカリ蓄電池の充放電サイクル特性も低下する。
【0019】
さらに、この発明におけるアルカリ蓄電池用ニッケル極のように、上記の複合体粒子の比導電率を1.0×10−3〜1.0×10−2S・cm−1の範囲にすると、アルカリ蓄電池の容量と充放電サイクル特性との両方が適切に向上されるようになる。すなわち、複合体粒子の比導電率が1.0×10−2S・cm−1を超えると、導電性が高くなって活物質の利用率が向上するが、充電受入れ性が高くなりすぎて、上記の複合体粒子が膨化しやすくなり、充放電サイクル特性が悪くなる。一方、複合体粒子の比導電率が1.0×10−3S・cm−1未満になると、充放電サイクル特性は向上するが、導電性が低いために、活物質の利用率が低くなってアルカリ蓄電池の容量が低下する。
【0020】
また、この発明におけるアルカリ蓄電池用ニッケル極において、上記の複合体粒子の他に、Y,Nb,W,Tiから選択される少なくとも1種の金属又はその化合物からなる添加物が添加させると、酸素過電圧が大きくなって、充電時に酸素が発生するのが抑制され、電池の内圧が高くなってアルカリ電解液が電池外に放出されるのが防止されるようになり、特に、空間が少ない高容量のアルカリ電池の場合においては、充放電サイクル特性がさらに向上する。
【0021】
ここで、上記のYの化合物としては、例えば、Y(OH)3,Y2O3等を、Nbの化合物としては、例えば、Nb2O5等を、Wの化合物としては、例えば、WO2,WO3,Na2WO4,Li2WO4等を、Tiの化合物としては、例えば、TiO2,Ti2O3,TiO,Ti(OH)4等を用いることができる。
【0022】
また、アルカリ蓄電池用ニッケル極にこれらの添加物が添加させるにあたり、その量が多くなると、活物質である水酸化ニッケルの割合が低下して、容量が低下するため、これらの添加物の添加量を、水酸化ニッケルに対して3.0質量%以下することが望ましい。
【0023】
なお、この発明におけるアルカリ蓄電池は、上記のような正極を用いることを特徴とするものであり、この負極やアルカリ電解液については特に限定されず、負極の材料としては、例えば、カドミウムや水素吸蔵合金等を使用することができ、またアルカリ電解液として、例えば、KOH,LiOH,NaOHの少なくとも1種を含む電解液を使用することができる。
【0024】
【実施例】
以下、この発明に係るアルカリ蓄電池用ニッケル極及びこのアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に用いたアルカリ蓄電池について、実施例を挙げて具体的に説明すると共に、この実施例におけるアルカリ蓄電池においては、十分な電池容量及び充放電サイクル特性が得られることを、比較例を挙げて明らかにする。なお、この発明におけるアルカリ蓄電池用ニッケル極及びアルカリ蓄電池は、下記の実施例に示したものに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0025】
(実施例1)
実施例1においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、硫酸ニッケルと硫酸亜鉛と硫酸コバルトとの混合溶液に、水酸化ナトリウム水溶液とアンモニア水溶液とを添加させて攪拌し、水酸化ニッケルに亜鉛が4質量%、コバルトが1質量%固溶された活物質粒子を得た。
【0026】
次に、上記の活物質粒子を硫酸コバルトの水溶液中に投入し、これを攪拌しながら水酸化ナトリウムを滴下し、上記の活物質粒子の表面に水酸化コバルトを被覆させた。
【0027】
そして、このように表面が水酸化コバルトで被覆された活物質粒子に対し、アグロマスター(商品名:ホソカワミクロン社製)を用いて、熱気流下で水酸化ナトリウム溶液を噴霧し、上記の水酸化コバルト中にナトリウムを含有させ、比導電率が5.0×10−3S・cm−1になった複合体粒子を得た。なお、この比導電率については、図1に示すように、中空状の絶縁体20内に上記の複合体粒子21を入れ、この複合体粒子21に上,下の金属製の押え部材22a,22bにより400kgf/cm2の圧力を加えた状態で、抵抗計23によりその抵抗値を測定して算出した。
【0028】
次いで、上記のようにして得た複合体粒子を100質量部、0.2質量%のヒドロキシプロピルセルロース水溶液を30質量部の割合で混練させてスラリーを得た後、このスラリーを多孔度が95%、厚みが1.7mmの発泡ニッケルからなる導電性基体に充填し、これを乾燥させた後、厚み0.85mmになるように圧延して、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製した。なお、このアルカリ蓄電池用ニッケル極における複合体粒子の充填密度は3.0g/cm3−voidであった。
【0029】
そして、このように作製したアルカリ蓄電池用ニッケル極を正極に使用する一方、負極に水素吸蔵合金電極を使用し、またアルカリ電解液としては、KOHが4.9mol/l、LiOHが1.4mol/l、NaOHが4.9mol/lになった水溶液を用い、設計容量が1800mAhになるようにして、図2に示すような円筒型のアルカリ蓄電池を作製した。
【0030】
ここで、このアルカリ蓄電池を作製するにあたっては、図2に示すように、上記の正極1と負極2との間にセパレータ3を介在させ、これらをスパイラル状に巻いて電池缶4内に収容させた後、この電池缶4内に上記のアルカリ電解液を電池容量1Ahに対して1.4gになるように注液して封口し、正極1を正極リード5を介して正極蓋6に接続させると共に、負極2を負極リード7を介して電池缶4に接続させ、電池缶4と正極蓋6とを絶縁パッキン8により電気的に分離させるようにした。
【0031】
また、正極蓋6と正極外部端子9との間にコイルスプリング10を設け、電池の内圧が異常に上昇した場合には、このコイルスプリング10が圧縮されて電池内部のガスが大気中に放出されるようにした。
【0032】
(実施例2)
実施例2においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施例1において、表面が水酸化コバルトで被覆された活物質粒子に対し、熱気流下で水酸化ナトリウム溶液を噴霧させて、水酸化コバルト中にナトリウムを含有させた複合体粒子を得るにあたり、噴霧する水酸化ナトリウムの濃度・量・処理温度・処理時間を制御して、比導電率が1.0×10−3S・cm−1になった複合体粒子を得、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、アルカリ蓄電池用ニッケル極及びアルカリ蓄電池を作製した。
【0033】
(実施例3)
実施例3においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施例1において、表面が水酸化コバルトで被覆された活物質粒子に対し、熱気流下で水酸化ナトリウム溶液を噴霧させて、水酸化コバルト中にナトリウムを含有させた複合体粒子を得るにあたり、噴霧する水酸化ナトリウムの濃度・量・処理温度・処理時間を制御して、比導電率が1.0×10−2S・cm−1になった複合体粒子を得、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、アルカリ蓄電池用ニッケル極及びアルカリ蓄電池を作製した。
【0034】
(参考例1)
参考例1においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたって、アルカリ蓄電池用ニッケル極における複合体粒子の充填密度を2.9g/cm3−voidにし、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、アルカリ蓄電池用ニッケル極及びアルカリ蓄電池を作製した。
【0035】
(参考例2)
参考例2においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたって、アルカリ蓄電池用ニッケル極における複合体粒子の充填密度を2.8g/cm3−voidにし、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、アルカリ蓄電池用ニッケル極及びアルカリ蓄電池を作製した。
【0036】
(比較例1)
比較例1においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施例1において、表面が水酸化コバルトで被覆された活物質粒子に対し、熱気流下で水酸化ナトリウム溶液を噴霧させて、水酸化コバルト中にナトリウムを含有させた複合体粒子を得るにあたり、噴霧する水酸化ナトリウムの濃度・量・処理温度・処理時間を制御して、比導電率が5.0×10−4S・cm−1になった複合体粒子を得、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、アルカリ蓄電池用ニッケル極及びアルカリ蓄電池を作製した。
【0037】
(比較例2)
比較例2においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたり、上記の実施例1において、表面が水酸化コバルトで被覆された活物質粒子に対し、熱気流下で水酸化ナトリウム溶液を噴霧させて、水酸化コバルト中にナトリウムを含有させた複合体粒子を得るにあたり、噴霧する水酸化ナトリウムの濃度・量・処理温度・処理時間を制御して、比導電率が5.0×10−2S・cm−1になった複合体粒子を得、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、アルカリ蓄電池用ニッケル極及びアルカリ蓄電池を作製した。
【0038】
(比較例3)
比較例3においては、アルカリ蓄電池用ニッケル極を作製するにあたって、アルカリ蓄電池用ニッケル極における複合体粒子の充填密度を2.6g/cm3−voidにし、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、アルカリ蓄電池用ニッケル極及びアルカリ蓄電池を作製した。
【0039】
そして、上記のように作製した実施例1〜3、参考例1,2及び比較例1〜3の各アルカリ蓄電池を用い、25℃の温度雰囲気中において180mAの電流で16時間充電した後、60℃の温度雰囲気中において360mAの電流で電池電圧が1Vになるまで放電し、これを2回繰り返した後、25℃の温度雰囲気中において1800mAの電流で1時間12分充電して、1時間休止した後、25℃の温度雰囲気中において1800mAの電流で電池電圧が1Vになるまで放電し、これを3回繰り返して行い、3回目の放電容量を初期容量として求めた。そして、上記の実施例1のアルカリ蓄電池における初期容量を100として指数で、各アルカリ蓄電池における初期容量を算出し、その結果を下記の表1に示した。
【0040】
次いで、上記の各アルカリ蓄電池を、さらに25℃の温度雰囲気中において1800mAの電流で1時間12分充電して、1時間休止した後、25℃の温度雰囲気中において1800mAの電流で電池電圧が1Vになるまで放電させ、これを1サイクルとして、充放電を繰り返して行い、それぞれ放電容量が上記の初期容量の60%になるまでのサイクル数を求めた。そして、上記の実施例1のアルカリ蓄電池におけるサイクル数を100として指数で、各アルカリ蓄電池におけるサイクル寿命を算出し、その結果を下記の表1に示した。
【0041】
【表1】
【0042】
この結果、アルカリ蓄電池用ニッケル極に、比導電率が1.0×10−3〜1.0×10−2S・cm−1の範囲になった複合体粒子を用いると共に、この複合体粒子の充填密度を3.0g/cm3−void以上にした実施例1〜3の各アルカリ蓄電池においては、容量とサイクル寿命とがともに高くなっていた。
【0043】
これに対して、アルカリ蓄電池用ニッケル極に、比導電率が5.0×10−4S・cm−1になった複合体粒子を用いた比較例1のアルカリ蓄電池の場合、サイクル寿命は高くなっていたが、アルカリ蓄電池用ニッケル極における導電性が低くなって、容量が低下していた。
【0044】
また、比導電率が5.0×10−2S・cm−1になった複合体粒子を用いた比較例2のアルカリ蓄電池の場合、アルカリ蓄電池用ニッケル極における導電性が高くなって容量が高くなっていたが、サイクル寿命が大きく低下していた。これは、アルカリ蓄電池用ニッケル極がアルカリ電解液を吸収して膨化し、セパレータ中におけるアルカリ電解液が枯渇したためであると考えられる。
【0045】
また、アルカリ蓄電池用ニッケル極における複合体粒子の充填密度が3.0g/cm 3 −void未満になった参考例1,2及び比較例3のアルカリ蓄電池の場合、容量及びサイクル寿命がともに低下した。これは、アルカリ蓄電池用ニッケル極中の空間が多く、アルカリ電解液の取り込みが容易になって、アルカリ蓄電池用ニッケル極が膨化したためであると考えられる。
【0046】
(実施例4〜10)
実施例4〜10においては、上記の実施例1におけるアルカリ蓄電池用ニッケル極の作製において、上記の複合体粒子を用いてペーストを得るにあたり、この複合体粒子の他に添加物を加えるようにし、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、アルカリ蓄電池用ニッケル極及びアルカリ蓄電池を作製した。
【0047】
ここで、上記のように添加物を加えるにあたり、下記の表2に示すように、実施例4ではY2O3を水酸化ニッケルに対して1.5質量%の割合で、実施例5ではNb2O5を水酸化ニッケルに対して1.5質量%の割合で、実施例6ではTiO2を水酸化ニッケルに対して1.5質量%の割合で、実施例7ではWO3を水酸化ニッケルに対して1.5質量%の割合で、実施例8ではY2O3とNb2O5とをそれぞれ水酸化ニッケルに対して0.75質量%の割合で、実施例9ではY2O3を水酸化ニッケルに対して3.0質量%の割合で、実施例10ではY2O3を水酸化ニッケルに対して4.0質量%の割合で添加させるようにした。
【0048】
次いで、このようにして作製した実施例4〜10の各アルカリ蓄電池についても、上記の実施例1のアルカリ蓄電池の場合と同様にして、初期容量及び放電容量が初期容量の60%になるまでサイクル数を求め、上記の実施例1のアルカリ蓄電池における初期容量及びサイクル数を100とした指数で、各アルカリ蓄電池における初期容量及びサイクル寿命を算出し、その結果を下記の表2に示した。
【0049】
【表2】
【0050】
この結果、上記のように複合体粒子の他に、Y2O3,Nb2O5,TiO2,WO3等のY,Nb,W,Tiから選択される少なくとも1種の金属又はその化合物を添加させると、アルカリ蓄電池におけるサイクル寿命が向上した。しかし、このような添加物の量が多くなると、アルカリ蓄電池における容量が次第に低下し、その量が水酸化ニッケル対して4.0質量%を越えると、アルカリ蓄電池における容量が大きく低下した。このため、上記のような添加物を添加させるにあたっては、その量を水酸化ニッケルに対して3.0質量%以下にすることが好ましかった。
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明においては、水酸化ニッケル又は水酸化ニッケルを主成分とする活物質粒子の表面がナトリウム含有コバルト化合物で被覆された複合体粒子を導電性基体に充填させてなるアルカリ蓄電池用ニッケル極を備えたアルカリ蓄電池において、上記の複合体粒子の比導電率を1.0×10−3〜1.0×10−2S・cm−1の範囲にすると共に、上記の導電性基体に対する複合体粒子の充填密度を3.0g/cm3−void以上にしたため、このアルカリ蓄電池用ニッケル極内における空間が少なくなって、複合体粒子がアルカリ電解液を取り込んで膨化するのが抑制され、アルカリ蓄電池における充放電サイクル特性が向上すると共に、アルカリ蓄電池における容量も大きくすることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明において、複合体粒子の比導電率を測定する状態を示した概略説明図である。
【図2】この発明の実施例及び比較例において作製したアルカリ蓄電池の概略断面図である。
【符号の説明】
1 正極(アルカリ蓄電池用ニッケル極)
2 負極
21 複合体粒子
Claims (4)
- 正極と負極と、アルカリ電解液とを備えたアルカリ蓄電池において、前記正極は水酸化ニッケル又は水酸化ニッケルを主成分とする活物質粒子の表面がナトリウム含有コバルト化合物で被覆された複合体粒子を導電性基体に充填させてなるアルカリ蓄電池用ニッケル極であって、上記の複合体粒子の比導電率が1.0×10−3〜1.0×10−2S・cm−1の範囲であると共に、上記の導電性基体に対する複合体粒子の充填密度が3.0g/cm3−void以上であることを特徴とするアルカリ蓄電池。
- 請求項1に記載したアルカリ蓄電池において、上記の複合体粒子の他に、Y,Nb,W,Tiから選択される少なくとも1種の金属又はその化合物からなる添加物が添加されてなることを特徴とするアルカリ蓄電池。
- 請求項2に記載したアルカリ蓄電池において、上記の添加物が、Y又はその化合物と、Nb又はその化合物とからなることを特徴とするアルカリ蓄電池。
- 請求項2又は請求項3に記載したアルカリ蓄電池において、上記の添加物の添加量が水酸化ニッケルに対して3.0質量%以下であることを特徴とするアルカリ蓄電池。
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