JP3103863B2 - 放射性洗濯廃液の処理方法 - Google Patents
放射性洗濯廃液の処理方法Info
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Description
方法に係り、特に原子力発電所,核燃料再処理工場もし
くは放射性核種の取扱施設から発生する放射性洗濯廃液
の処理方法に関する。
射性核種の取扱施設などでは、施設への立入り作業者の
作業服,下着類,靴及びマスクなどを洗濯して再使用し
ている。洗濯方式としては、水洗方式とドライクリーニ
ング方式がある。ドライクリーニングでは、フロンや石
油系溶剤を使用し、これらは蒸発回収して再使用するの
で洗濯廃液はほとんどでない。しかし、近年の環境問題
によりこれらの溶剤使用が規制され始めており、水洗方
式への転換が行われている。水洗方式にした場合は、放
射性核種を含む水洗廃液が大量に発生する。通常、放射
性核種の量はわずかではあるが、何らかの手段によって
放射性核種を除いた後に放出などの処理を実施する必要
がある。
液濃縮時の発泡を抑え、加熱乾燥または加熱分解する洗
濯廃液の処理方法が開示されている。この方法によれ
ば、濃縮時の発泡を抑えるために蒸発機に制泡剤を添加
し、また、加熱分解を容易にするために無機質ビルダー
を添加しない洗剤を使用する方法である。加熱乾燥につ
いては具体的な技術内容は開示されていない。
を容易にするために無機質ビルダー無添加の洗剤を使用
するのが特徴である。このために、発泡を抑えるための
制泡剤添加が必要である。また、無機質ビルダー無添加
のため、乾燥粉末化するのが極めて困難となっている。
最終的に加熱分解する最も簡略な方法は焼却することで
あるが、焼却するためには、廃液をいったん乾燥した後
に焼却炉で処理するのが合理的である。しかし、有機成
分を主成分とした洗剤は融点が低く連続的に且つ大量な
廃液を乾燥処理するのが難しいという問題がある。
り減容を達成できる放射性洗濯廃液の処理方法を提供す
ることにある。
液処理を安全にかつ放射性廃棄物を少なくできる放射性
洗濯廃液処理方法を達成することを目的になされたもの
であり、前記公知例の問題点を解決するものである。
な廃液を連続的に乾燥処理し、さらに焼却炉で簡易に焼
却して、最終的な廃棄物を最小にすることが目的であ
る。そのためには、濃縮時に問題となる洗剤中の界面
活性剤の発泡を少なくすること、濃縮液を連続的にか
つ簡易に乾燥粉体化できること、乾燥粉体を焼却炉で
安定に焼却減容できることである。
界面活性剤を使用することである程度緩和できる。濃縮
液の連続的な乾燥粉体化については、非イオン系界面活
性剤は、室温付近では液体であることからこのままでは
本質的に粉体化出来ない。しかし、非イオン系界面活性
剤を含む洗濯廃液を加熱する(例えば約90℃以上)こ
とにより下記の無機物質のビルダーを含まなくても粉体
化が可能になる。また、焼却炉での焼却減容について
は、焼却炉の排ガス系統のフィルターの目詰りなどの悪
影響を無くする必要がある。例えば、高温の焼却炉内で
焼却残渣が溶融によりガラス化した場合が問題となる。
質のビルダーと、少量の再付着防止剤,蛍光剤,酵素,
キレート剤等から構成される洗剤を用い、この洗剤を含
む洗濯廃液を蒸発濃縮機で濃縮し、濃縮物を回転遠心薄
膜乾燥機で粉体化し、粉体を焼却することで解決され
る。
することで、蒸発缶内での発泡を低減でき、さらに粉体
化が容易となる。またビルダーの無機物質を適切に選定
することにより、焼却炉の焼却残渣の溶融ガラス化防止
でき、焼却設備への悪影響を無くすることができる。
機を用いることで連続的に且つ安定的に濃縮液を乾燥粉
体化できる。更に、乾燥粉体を焼却して得られた焼却灰
をセメント,セメントガラスなどの無機固化材で固化す
るので、焼却灰を安全に処分できる。
却について実験データに基づき本発明の作用について説
明する。
点は、洗剤中の界面活性剤が発泡し、濃縮廃液中の放射
能の一部が泡と共に凝縮水側に移行することである。そ
のため、濃縮蒸発操作中には、できるだけ発泡を抑える
必要がある。界面活性剤として、非イオン系界面活性剤
を使用すれば、イオン系界面活性剤の場合に比較して発
泡を低減することが可能であるが、無機イオンビルダー
を添加すれば更にこの効果が大きいことを見出した。図
2に試験結果を示す。非イオン系界面活性剤は、温度が
上昇すれば発泡が無くなるという性質があり、無機ビル
ダーが無い場合は約90℃で泡が消失する。しかし、無
機ビルダーを加えることにより、図2に示すように泡の
消失温度が低下することがわかった。従って、無機ビル
ダーを適切に添加することによって、発泡を抑えること
ができる。無機ビルダーとしては、水溶性のものであれ
ば何でも良いが、遠心薄膜乾燥機で乾燥粉体化でき、さ
らに焼却においては溶融しないものを選定する必要があ
る。具体的には、塩酸塩,硫酸塩,炭酸塩,アルミノ圭
酸塩の単独もしくは混合物が最良である。
蒸発後の残渣分が常温で固体になっている必要がある
が、非イオン系界面活性剤は液体である。従って、残渣
中の主成分が非イオン系界面活性剤の場合は粉体化出来
ない。本発明では、無機物質のビルダーを洗剤に加えて
おくことで非イオン系界面活性剤を含んだ洗剤でも乾燥
粉体化できることを見出した。無機物質のビルダーは容
易に乾燥粉体化できるが、その際に非イオン系界面活性
剤が無機物質ビルダーに吸着した形で乾燥粉体となって
くる。
ス化の有無を検討したときの結果を
で温度が上昇する可能性があり、この時に溶融現象が起
これば、溶融物の飛散によってフィルターの目づまりが
生じる可能性がある。また、溶融した場合は、焼却炉本
体の劣化の原因ともなる。溶融ガラス化を防止するに
は、融点の高い無機物質ビルダーを使用するのが最良で
あるが、水溶性のものではほとんど存在しない。表1で
は、無機物質ビルダーとして、不溶性のゼオライトと水
溶性の塩化ナトリウムの混合物を使用した例を示してい
る。無機物質ビルダーは前述したように洗剤に含まれて
いる。塩化ナトリウムの量が増えるとガラス化が生じる
ことがわかった。従って、無機物質ビルダーの組成に応
じて焼却温度をコントロールする必要があるが、添加量
を適切にすることで、1000℃でもガラス化が生じな
い領域が存在する。これは、非イオン系界面活性剤が1
0〜30重量%で、無機物質ビルダーが60〜90%の
範囲である。
濯機1から排出された洗濯廃液は、フィルター2で粗く
不溶解成分を除いた後に、蒸発濃縮機3に送られる。蒸
発濃縮機3では、蒸発した蒸気は熱交換器7で凝縮水に
変換され、樹脂塔8で浄化された後に、放射線モニター
9で安全を確認した後に、放出される。この放出水は、
場合によっては発電所内で再利用される。一方、濃縮液
は内壁が加熱される回転遠心薄膜型乾燥機4に送られて
加熱されながら乾燥粉体化される。乾燥粉末は、粉末容
器5に充填された後に、焼却炉6で焼却するかもしくは
焼却せずに固化される。焼却した場合も焼却残渣は最終
的には固化される。表2に、模擬的に使用した洗濯模擬
廃液の組成を示す。ここで、洗濯模擬廃液は、非イオン
系界面活性剤として
ビルダーとして塩化ナトリウムを含んでいる。この洗濯
模擬廃液を実際の濃縮蒸発缶で濃縮し、濃縮液を遠心薄
膜型乾燥機で乾燥粉体化した。回転遠心薄膜型乾燥機の
運転条件を表3に示す。回転数400〜500rpm ,加
熱温度130℃,処理量60リットル/hで含水率5
は、これよりも高くても構わないが、含水率が極めて低
く且つ微粉化してしまうと飛散などの問題があり、好ま
しくないので130℃程度が最適であった。この乾燥粉
体を受け容器5で受けたが、特に飛散などの問題無く処
理できた。乾燥粉体は、焼却炉6に投入して焼却した
が、残渣分の主成分は塩化ナトリウムであり、減容率は
約50%であった。焼却残渣は、セメント,セメントガ
ラスなどの無機固化材で容易に健全な固化体を作成でき
た。本実施例は、水を用いた洗濯が行え、放射性洗濯廃
液の減容ができた。 実施例2 実施例1と同様の濃縮,乾燥,焼却,固化処理を洗剤成
分を変えて実施した。無機物質ビルダーを塩酸塩,硫酸
塩,炭酸塩,アルミノ圭酸塩を使用して試験したが、特
に大きな問題は無く濃縮,乾燥,固化処理ができた。
セメント,セメントガラスなどの無機固化材で固化し
た。固化体は、強度も150kg/cm2 以上であり健全で
あった。減容性からは、焼却処理が有効であるが、直接
無機固化材で固化しても特に問題はない。
少ない場合は、蒸発濃縮操作を省略し、直接遠心薄膜乾
燥機で洗濯廃液を濃縮乾燥することができる。本実施例
においては、実施例1の洗濯模擬廃液を直接遠心薄膜乾
燥機に投入したが、含水率5%以下の乾燥粉体が連続に
生成し、発泡の問題も生じなかった。粉の乾燥粉体を焼
却、或いは直接セメントもしくはセメントガラスで固化
することで洗濯廃液を安全に処理することができた。
にしかも安全に乾燥粉体化と焼却ができる。この結果、
大量に発生する放射性洗濯廃液を安定的に減容できるよ
うになる。また、焼却炉内で焼却残さが溶融によりガラ
ス化することを防止できるので、焼却炉の排ガス系の目
詰まりを防止できる。
濃度との関係を示す図である。
心薄膜乾燥機、5…乾燥粉体受け器、6…焼却器、7…
熱交換器、8…樹脂塔、9…放射能モニター。
Claims (5)
- 【請求項1】非イオン系界面活性剤を主成分とする洗剤
が添加された放射性洗濯廃液を、蒸発濃縮機で濃縮し、
該濃縮物を、加熱手段を有する回転遠心薄膜型乾燥機で
粉体化し、該粉体を焼却炉で焼却する放射性洗濯廃液の
処理方法であって、 前記非イオン系界面活性剤を10〜30重量%、及び無
機物質ビルダーを60〜90重量%を含有する洗剤を含
む前記放射性洗濯廃液を、前記蒸発濃縮機に供給するこ
とを特徴とする放射性洗濯廃液の処理方法。 - 【請求項2】 非イオン系界面活性剤を主成分とする洗剤
が添加された放射性洗濯廃液を、蒸発濃縮機で濃縮し、
該濃縮物を加熱手段を有する回転遠心薄膜型乾燥機で粉
体化し、該粉体を焼却炉で焼却し、該焼却炉で発生する
焼却灰を固化材で固形化する放射性洗濯廃液の処理方法
であって、 前記非イオン系界面活性剤を10〜30重量%、及び無
機物質ビルダーを60〜90重量%を含有する洗剤を含
む前記放射性洗濯廃液を、前記蒸発濃縮機に供給するこ
とを特徴とする放射性洗濯廃液の処理方法。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の前記非イオ
ン系界面活性剤を主成分とする前記洗剤が、前記非イオ
ン系界面活性剤であるポリオキシエチレン誘導体もしく
はポリオキシエチレン誘導体の混合物が重量比で10〜
30%と、前記無機物質ビルダーである塩酸塩,硫酸
塩,炭酸塩,硝酸塩,アルミノ圭酸塩のいずれか1つも
しくは混合物が重量比で60〜90%と、少量の再付着
防止材,蛍光材,酵素,キレート剤とを含有する放射性
洗濯廃液の処理方法。 - 【請求項4】 請求項1または請求項2記載の前記濃縮物
を前記回転遠心薄膜型乾燥機で粉体化する際に、前記回
転遠心薄膜型乾燥機の加熱温度を前記非イオン系界面活
性剤の融点以下にする放射性洗濯廃液の処理方法。 - 【請求項5】 前記無機物質ビルダーがゼオライトである
請求項1乃至請求項4のいずれかの放射性洗濯廃液の処
理方法。
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