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JP3198666B2 - 二軸延伸フィルム - Google Patents

二軸延伸フィルム

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Publication number
JP3198666B2
JP3198666B2 JP28312992A JP28312992A JP3198666B2 JP 3198666 B2 JP3198666 B2 JP 3198666B2 JP 28312992 A JP28312992 A JP 28312992A JP 28312992 A JP28312992 A JP 28312992A JP 3198666 B2 JP3198666 B2 JP 3198666B2
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film
biaxially stretched
inert particles
stretched film
particles
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健次 喜田
幸男 野口
智昭 上田
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Publication date
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Fixed Capacitors And Capacitor Manufacturing Machines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は二軸延伸フィルムに関す
る。さらに詳しくはコンデンサ用などに好適な二軸延伸
フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】フィルムに不活性粒子を添加しフィルム
表面に微細な凹凸を形成してフィルムに適度な易滑性を
与え、フィルムの取り扱い性(滑り性、走行安定性な
ど)等を改良することが知られている(特開昭55−3
4968号公報)。
【0003】また、昨今の電子機器などの小型化に伴い
フィルムの分野でも極薄化の要求が高まっている。しか
し、フィルムの極薄化の要求が強いフィルムコンデンサ
の用途に於いては、加工工程が複雑であるため優れた滑
り性が要求されると共に、添加された不活性粒子の脱
落、フィルムの傷つき、粒子周辺に発生するボイドなど
による絶縁欠陥の増加、特にピンホールの増加、また耐
電圧の低下などの弊害を最小限に留める必要があり厚さ
2μm以下といった極薄フィルムを用いた超小型コンデ
ンサの実現を困難なものにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の欠点を解消し、フィルムに慎重に選ばれた不活性
粒子を添加して、フィルムの取り扱い性と電気特性など
の実用特性を、極薄化した場合に於いても十分に両立さ
せることができ、特にピンホールの少ない二軸延伸フィ
ルムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するために、 1.ポリフェニレンスルフィドを主たる成分とする結晶
性熱可塑性樹脂組成物からなる二軸延伸フィルムであっ
て、該樹脂組成物に下記(1)〜(3)式を満たすよう
に粒径の異なる2種の不活性粒子が含有されていること
を特徴とする二軸延伸フィルムである
【0006】 0.15≦D1 /t≦0.60 (1) 0.70≦D2 /t≦1.1 (2) 0.30≦c1 ・D1 +c2 ・D2 ≦0.50 (3) D1 :第1の不活性粒子の平均粒径(μm) D2 :第2の不活性粒子の平均粒径(μm) t :二軸延伸フィルムの平均厚み(μm) c1 :第1の不活性粒子の重量含有量(%) c2 :第2の不活性粒子の重量含有量(%) 2.少なくとも一方の不活性粒子の下記(4)式で表わ
される面積円相当径の相対標準偏差が1.0以下である
ことを特徴とする請求項1の二軸延伸フィルム。
【0007】 σ/d={Σ(di−d)2 /N}1/2 /d (4) (ここで、diは一方の不活性粒子の個々の粒子の円相
当径、dは一方の不活性粒子の平均粒径、Nは個数であ
る。) 3.不活性粒子が、炭酸カルシウム、シリカまたは架橋
ポリスチレン系粒子であることを特徴とする請求項1の
二軸延伸フィルム。
【0008】
【0009】.二軸延伸フィルムの平均厚みが0.2
μm以上2μm以下であることを特徴とする請求項1の
二軸延伸フィルム。
【0010】本発明に於いて、結晶性熱可塑性樹脂組成
物は、結晶性の熱可塑性樹脂を70重量%以上、好まし
くは85重量%以上含む樹脂組成物である。30重量%
未満、好ましくは15重量%未満であれば、他のポリ
マ、無機または有機の滑剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸
化防止剤、熱安定剤、結晶核剤などの各種添加剤などが
含まれていることは差し支えない。ここで結晶性とは示
差熱分析によって溶融状態から降温したときに融点未満
の温度に吸熱ピークが観測される、一般に言われる高分
子の結晶性のことである。
【0011】本発明に於ける結晶性熱可塑性樹脂ポリ
フェニレンスルフィドである。
【0012】本発明に於いてポリフェニレンスルフィド
とはフェニレンスルフィド単位を主たる繰り返し単位と
する重合体である。ここで「主たる繰り返し単位とす
る」とは該繰り返し単位を70モル%以上、好ましくは
85モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上含む
重合体のことであり共重合可能な他の成分、例えば
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】 あるいは少量の
【化7】 のような3官能成分などが共重合されていることは差し
支えない。
【0013】
【0014】ポリフェニレンスルフィドとしてはキシレ
ン抽出量が1.5重量%以下のポリフェニレンスルフィ
ドフィルムである場合において特に効果が大きい。ここ
でキシレン抽出量とは200℃に加熱したオイルバスに
浸したソックスレー抽出器により、キシレンによってフ
ィルムを36時間抽出した時の抽出物重量の、抽出前の
被抽出フィルム重量に対する割合のことを言う。
【0015】本発明の二軸延伸フィルムは、不活性粒子
が添加された上記の樹脂を主たる成分とする樹脂組成物
を溶融押出、二軸延伸、熱固定されてなるフィルムであ
る。該フィルムの厚さは0.2μm以上2.0μm未満
である時、本発明の効果が大きい。
【0016】本発明のフィルムに用いられる不活性粒子
は以下の要件を満たすように選ばれ、添加されなければ
ならない。
【0017】 0.15≦D1 /t≦0.60 (1) 0.70≦D2 /t≦1.1 (2) 0.30≦c1 ・D1 +c2 ・D2 ≦0.50 (3) D1 :第1の不活性粒子の平均粒径(μm) D2 :第2の不活性粒子の平均粒径(μm) t :二軸延伸フィルムの平均厚み(μm) c1 :第1の不活性粒子の重量含有量(%) c2 :第2の不活性粒子の重量含有量(%) 以下、順にこれらの式について説明する。
【0018】ここで第2の不活性粒子は第1の不活性粒
子よりも平均粒径の大きな粒子からなる。
【0019】(1)式は第1の不活性粒子の平均粒径
(μm)と樹脂組成物からなる二軸延伸フィルムの厚み
(μm)の関係について示したものである。より好まし
くは、0.20≦D1 /t≦0.60、さらに好ましく
は、0.20≦D1 /t≦0.50の範囲である。この
ようにフィルム厚みに対して特定の粒径範囲の不活性粒
子を添加することによって、ピンホールを生ずることな
く、滑り性向上に寄与することができる。一方、D1
tが0.15未満の不活性粒子は、滑り性向上に対して
寄与できないため好ましくない。
【0020】(2)式は第2の不活性粒子の平均粒径
(μm)と樹脂組成物からなる二軸延伸フィルムの厚み
(μm)の関係について示したものである。より好まし
くは、0.75≦D2 /t≦1.0、さらに好ましく
は、0.80≦D2 /t≦0.9の範囲である。このよ
うにフィルム厚みに対して、比較的大きな第2の不活性
粒子を添加することによって、滑り性とピンホールの両
立が可能となる。D2 /tが1.1を越えると、ピンホ
ールは多数発生するため好ましくない。
【0021】(3)式は、上記(1)および(2)式に
関連して不活性粒子の添加量について示したものであ
る。より好ましくは、0.30≦c1 ・D1 +c2 ・D
2 ≦0.50の範囲である。この関係式を満足させる、
すなわち不活性粒子の平均粒径に対してフィルム厚みの
大きい時は添加量を少なく、不活性粒子の平均粒径に対
してフィルム厚みの小さい時は添加量を多くすることに
よってフィルム表面に形成される突起密度、高さをコン
トロールすることができ、極薄フィルムのハンドリング
性、支持体フィルム付でのハンドリング性、極薄フィル
ムの電気特性など要求される特性すべて満足することが
できる。
【0022】(4)式は一方の不活性粒子の面積円相当
径の相対標準偏差を示したものである。
【0023】 σ/d={Σ(di−d)2 /N}1/2 /d (4) (ここで、diは一方の不活性粒子の個々の粒子の円相
当径、dは一方の不活性粒子の平均粒径、Nは個数であ
る。)本発明において、該相対標準偏差が好ましくは
1.0以下、より好ましくは0.8以下である。このよ
うな真球状の不活性粒子を用いることによりフィルムに
形成される突起形状が均一なものとなり、フィルムどう
しあるいはフィルムと金属などの摩擦時に於けるフィル
ムの傷つき、粒子脱落などによる絶縁欠陥の増加を抑え
ることができる。
【0024】上記の関係式を満たすような本発明に用い
られる不活性粒子としては、シリカ、アルミナ、炭酸カ
ルシウム、カオリン、リン酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、酸化チタン、タルク、酸化亜鉛などの無機粒子や架
橋ポリスチレン系粒子のような300℃までは溶融しな
い有機粒子が挙げられる。好ましくは、コロイダルシリ
カに起因するシリカ粒子、球状炭酸カルシウム、架橋ポ
リスチレン系粒子である。これらの粒子はポリマとの親
和性も良好で延伸時に粒子周辺にボイドを生成しにくい
のでコンデンサ用フィルムとして耐電圧の良好なフィル
ムとなる。極薄フィルムに於いては、この点は極めて重
要なポイントである。これら不活性粒子の添加方法とし
ては、樹脂の重合時に添加する方法、重合後に溶融混練
する方法のどちらでも良い。また、重合時に析出する触
媒残査などの不活性粒子を含むことは差し支えない。ま
た、平均粒径が、0.02μm以下であるような微細な
不活性粒子も添加されることはできるが、この場合、該
微細不活性粒子の添加量は1.0重量%以下とすること
が好ましい。
【0025】本発明の二軸延伸フィルムは、剥離可能な
支持体フィルムが積層されていてもよい。該支持体フィ
ルムの厚みとしては、積層される樹脂組成物(A)から
なる本発明の二軸延伸フィルム(以下、支持体フィルム
と区別する場合に、フィルムAという。)の厚さの2倍
以上10倍以下であることが好ましい。支持体フィルム
も結晶性の熱可塑性樹脂組成物であり、二軸延伸され、
熱固定されていることが好ましい。
【0026】ここで、剥離可能とは本発明のフィルムA
と支持体フィルムの間の剥離力が10g/cm以下であ
ることを言う。該剥離力は5g/cm以下、より好まし
くは3g/cm以下であると、本発明の二軸延伸フィル
ムが極薄であるときに、実質的に損傷を受けず好まし
く、また0.3g/cm以上であると、支持体フィルム
付で加工する際などに剥離してしまうトラブルを防ぐ点
で好ましい。
【0027】このような支持体フィルムの材質として
は、溶解度パラメータSP値に於いて、樹脂Aの溶解度
パラメータとの差△SPが0.5以上である樹脂(以下
樹脂Bという。)を主たる成分とする樹脂組成物(以下
樹脂組成物(B)という。)からなることが剥離性の点
で好ましい。
【0028】フィルムAと支持体フィルムは、共押出に
よって積層することが製造を容易にする点で好ましい。
この場合、樹脂Bの融点Tmbは、樹脂Aの融点Tma
との差△Tmが100℃以下、より好ましくは50℃以
下である。また共押出時の溶融ポリマ合流部分に於ける
流れを整え、樹脂組成物(A)からなる二軸延伸フィル
ムの厚みむらを低減する点で、溶融粘度比は0.25以
上4.0以下であることが好ましい。ここで溶融粘度を
測定する条件はTmbまたはTmaのうち、いずれか高
い方の温度+30℃の温度で測定し、剪断速度は200
sec−1 とする。
【0029】本発明において、好ましい樹脂Aと樹脂B
の組み合わせとしては、以下の例を示すことができる。
【0030】
【0031】
【0032】樹脂Aがポリフェニレンスルフィドであ
り、樹脂Bとしてはポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレンナフタレートなどの溶融温度が260℃以上の
ポリエステルであることが好ましい。これらのうち積層
フィルムの製造しやすさの点からポリエチレンテレフタ
レートが好ましい
【0033】樹脂組成物(B)はここに例示したような
樹脂Bを70重量%以上、好ましくは85重量%以上含
む樹脂組成物である。30重量%未満、好ましくは15
重量%未満であれば安定剤、粘着防止剤、不活性粒子な
どの各種添加剤などが含まれていることは差し支えな
い。特に、樹脂組成物(A)からなる二軸延伸フィルム
と樹脂組成物(B)からなる支持体フィルムとの剥離性
を高めるため、樹脂Bと非相溶の物質が離型剤として添
加されていることは好ましい。
【0034】樹脂組成物(B)は不活性粒子を含むこと
もできるが、樹脂組成物(A)からなる二軸延伸フィル
ムの厚みtを超える平均粒径をもつ不活性粒子を添加す
ることは、樹脂組成物(A)からなる二軸延伸フィルム
に損傷を与える恐れがあり好ましくない。
【0035】次に本発明の二軸延伸フィルムの製造方法
について述べる。
【0036】本発明の結晶性熱可塑性樹脂の製造は、こ
の分野において周知のいずれの方法をも採用することが
できるポリフェニレンスルフィドは、硫化アルカリと
p−ジハロベンゼンを極性溶媒中で高温高圧下に反応さ
せて得られる。特に硫化ナトリウムとp−ジクロロベン
ゼンをN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系極性溶
媒中で反応させるのが好ましい。この際重合度を調整す
るために、アルカリ金属、水酸化物、カルボン酸のアル
カリ金属塩等の重合助剤を添加して230℃ないし28
0℃にて反応させるのが最も好ましい。重合系内の圧力
及び重合時間は、使用する助剤の種類や量及び所望する
重合度によって適宜決定される。重合終了後は、系を徐
冷し、ポリマを析出させた後、水中あるいは極性溶媒中
に投入してできるスラリーをフィルターで瀘別後、水あ
るいは有機溶媒で洗浄、乾燥してポリフェニレンスルフ
ィド粉末を得ることができる。不活性粒子は、これらの
任意の段階で、いかなる添加方法によっても添加するこ
とができるが、液体に分散された不活性粒子を上記ポリ
フェニレンスルフィド粉末に混合して、ヘンシェルミキ
サーのような高速撹拌手段により均一に混合した後、得
られた混合物を少なくとも、1段のベント孔を有する押
出機に供給し、該押出機中でまず溶融混練後、ベント孔
から該液体成分を除去し、適当な口金から押し出して、
不活性粒子が微分散されたポリフェニレンスルフィド組
成物を得る方法が、粗大粒子の生成、混入を防ぐ点で好
ましい。不活性粒子のスラリー化に用いる液体として
は、沸点が180℃ないし290℃のものが好ましく、
180℃ないし250℃が特に好ましい。具体的には、
エチレングリコール、N−メチル−2−ピロリドンが好
ましい。
【0037】このようにして得られた不活性粒子を含む
結晶性熱可塑性樹脂組成物は、そのままあるいは粒子を
含有しないプレーンペレットと混合して、二軸延伸にす
ることができる。二軸延伸には周知の方法(例えば特開
昭55−111235号等に記載)が採用される。すな
わち、不活性粒子が分散された結晶性熱可塑性組成物ペ
レットそのままあるいは不活性粒子を含まない結晶性熱
可塑性樹脂からなるプレーンペレットとを混合して、押
出機に供給して溶融し、Tダイから冷却ドラム上にキャ
ストして未延伸シートとし、該未延伸シートを(熱可塑
性樹脂のガラス転移温度−10℃)〜(熱可塑性樹脂の
ガラス転移温度+30℃)の温度範囲で縦、横に同時ま
たは逐次に面積倍率で好ましくは4倍以上に延伸し、さ
らに180℃以上融点以下の温度で緊張下に熱処理して
本発明の二軸配向フィルムを得ることができる。
【0038】本発明のフィルムは、以上のような従来の
通常の製膜方法で製造することもできるが、フィルムが
極薄であるため、前述したように支持体フィルム付で製
膜し、場合によっては蒸着などの加工を行なってから使
用時に剥離して用いる方法も採用できる。
【0039】本発明に於いては前述したように共押出に
よる積層が本発明の二軸延伸フィルムおよび支持体フィ
ルム付の本発明の二軸延伸フィルム(以下積層フィルム
という。)の厚みや表面のコントロールの上で好まし
い。共押出による積層において、フイルムAとなる樹脂
組成物(A)と支持体フィルムとなる樹脂組成物(B)
は別々の溶融押出機に供給され、溶融押出装置と口金出
口(いわゆるリップ)の間のポリマ流路内で合流積層さ
れるのが好ましい。すなわち、別々の溶融押出装置に供
給され、個々の組成物の融点以上に加熱、溶融された樹
脂組成物(A)と樹脂組成物(B)は、押出装置と口金
出口の間に設けられた合流装置で溶融状態で2層または
3層に積層され、スリット状の口金出口より押し出され
る。かかる溶融積層物を回転冷却ドラム上で樹脂組成物
(A)および樹脂組成物(B)のガラス転移点以下に冷
却し、実質的に非晶状態の積層シートを得る。溶融押出
装置は周知の装置が適用可能であるが、エクストルーダ
が簡便であり、好ましい。合流装置は、積層フィルムの
構成により2層(樹脂組成物(A)/樹脂組成物
(B))または3層(樹脂組成物(A)/樹脂組成物
(B)/樹脂組成物(A))に溶融状態で積層する機能
を有するものである。
【0040】次いで、この非晶状態の積層シートを樹脂
組成物(B)のガラス転移温度以上、好ましくは樹脂組
成物(A)のガラス転移温度から25℃差し引いた温度
以上で二軸延伸し、二軸に配向せしめ、更に樹脂組成物
(A)の融点未満の温度で熱処理して本発明の支持体フ
ィルム付二軸延伸フィルムが得られる。二軸延伸する倍
率としては面積倍率(縦倍率×横倍率)にして10倍以
上であることが好ましく、延伸倍率比(縦倍率/横倍
率)としては0.5以上2.0以下が好ましい。また必
要に応じて該熱処理温度より低い温度で縦横に各々0〜
20%の範囲で制限収縮(リラックス)させることは差
し支えない。
【0041】本発明の二軸延伸フィルムは金属化フィル
ムコンデンサに好適に用いられる。この時、コンデンサ
の製造方法はとくに限定されるものではない。支持体フ
ィルム付の場合に於いて、本発明の二軸延伸フィルムを
支持体フィルム層から剥離する段階も特に限定されるも
のではない。以下に本発明のフィルムをコンデンサに用
いる場合のコンデンサの製造方法を例示するが、これら
に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0042】代表的なコンデンサとしては金属化フィル
ムコンデンサと箔巻コンデンサがある。箔巻コンデンサ
はフィルムと金属箔を交互に重ね合わせて巻回あるいは
積層したものであり、金属化フィルムコンデンサは蒸着
膜に代表される金属薄膜をフィルム上に形成し、金属化
フィルムを得た後、コンデンサを製造するものである。
【0043】本発明のフィルムはコンデンサの小型化に
有利な極薄フィルムを得ることが容易であるのでコンデ
ンサの形式としても小型化が可能な金属化フィルムコン
デンサとすることが好ましい。金属化フィルムコンデン
サの製造工程としては次ぎのような方法がある。
【0044】まず、本発明の二軸延伸フィルム(以下単
にフィルムという。)にアルミニウム、亜鉛、銅、ニッ
ケルなどの金属を蒸着、スパッタリングなどの方法で金
属薄膜を形成し金属化フィルムを得る。この時、テー
プ、オイルなどでフィルムをマスクしておき、フィルム
長手方向に走る非蒸着部分、いわゆるマージンを設ける
こともできる。また、フィルム全面を金属化し、その後
レーザービーム、放電などを用いて蒸着膜を除去してマ
ージンを設けることもできる。この後、左または右に非
蒸着部分が走るテープ状にスリットする。この時、フィ
ルムの左または右端部が非蒸着部分になるようにスリッ
トすることもできるし、またフィルムの左または右端部
よりやや内側に非蒸着部分が走る、いわゆるインナーマ
ージン型にすることもできる。次に、得られた左および
右にマージンを有する二枚のテープ状金属化フィルム
を、それぞれ非マージン端部がわずかに外側にはみでる
ようにずらして重ねて巻回する。また、両面に蒸着膜を
形成し表裏でそれぞれ異なる端部にマージンが形成され
た両面金属化フィルムと非金属化フィルムを重ねて巻回
するする方法もある。巻回型コンデンサを得る場合には
数mm程度の小径の、積層型コンデンサを得る場合には
直径数十cm程度のホイール状、あるいは数十cm程度
の長さを持つ平板状の軸に巻き取るのが一般的である。
得られた巻回体は、巻回軸からはずされる前あるいは後
に加熱および加圧して成形しコンデンサ素子またはコン
デンサ母素子を得る。また加熱押圧ローラーなどで巻回
中に予備成形することもできる。この場合は、金属化フ
ィルムの金属化面および非金属化面に放電処理、コーテ
ィング、易接着層形成などの方法で金属化フィルムどう
しの接着性を向上せしめることも好ましい。得られたコ
ンデンサ素子またはコンデンサ母素子は金属溶射、導電
性樹脂の塗布などの方法で、内部電極となるフィルム上
の金属薄膜と電気的に接続された外部電極を設ける。コ
ンデンサ母素子は、その後最適容量を持つように個々の
素子に切断してコンデンサ素子とする。その後、必要に
応じて熱処理工程、真空下あるいは長時間の浸漬などに
よる樹脂、ワックス等の含浸工程、リード線の取り付け
工程、樹脂モールド、樹脂の塗布、フィルム、シート貼
付けなどによる外装工程を経てコンデンサとなる。
【0045】さらに樹脂Aがポリフェニレンスルフィド
であるフィルム高い耐熱性を有しているのでリード線
を持たない、いわゆるチップコンデンサとして用いるこ
とができる。この場合、外装はできるだけ簡素な方法が
コンデンサの小型化の点で好ましく、素子切断面へのポ
リイミド、エポキシなどの高耐熱性樹脂の塗布、ポリイ
ミドフィルムなどの高耐熱性フィルムの貼りつけなどが
好適である。また、フィルム巻回後コンデンサとなるま
でのいずれかの段階、好ましくは外部電極が設けられた
後で200℃以上265℃以下の温度で1時間以上の熱
処理を施すとコンデンサの特性が安定化し好ましい。
【0046】また、より高い生産効率が得られる手段と
してはフィルムの幅方向にわたって複数の素子が得られ
るように広幅のフィルムを巻き取る、あるいは広幅のフ
ィルムを巻回直前にスリットして幅方向に複数のテープ
状金属化フィルムを一つの巻回軸に巻き取る方法もあ
る。この場合にも、二枚以上の片面金属化フィルムを重
ねる方法、両面金属化フィルムと非金属化フィルムを重
ねる方法のいずれも採ることができる。さらには、巻回
される1ターン毎にマージン位置が交互に移動した一枚
の片面金属化フィルムを巻回する方法もある。巻回軸の
形状は前記同様に円柱状のもの、平板状のものなどがあ
る。これらの方法は積層コンデンサを得る場合に特に有
効である。これらの方法に於いては巻回時のマージン位
置精度の問題からフィルム全面に蒸着した金属化フィル
ムを巻回前または巻回時にレーザービームなどによって
マージンを設ける方法が好ましく用いられる。またマー
ジンは隣りあったコンデンサ素子が悪影響を及ぼしあわ
ないようにインナーマージン型のマージンが好ましく用
いられる。このようにして得られた幅方向に複数のコン
デンサ素子の前駆体を持つ巻回体は、巻回軸からはずさ
れる前あるいは後に加熱および加圧して成形し、幅方向
に切断するなどして分割してコンデンサ素子またはコン
デンサ母素子を得る。平板状の巻回軸は、巻回体を巻回
軸からはずすことなく高い精度でプレス可能な平行平板
プレスができる点で好都合である。また加熱押圧ローラ
ーなどで巻回中に予備成形しておく方法を採れば、巻回
軸から巻回体をはずしてもフィルムがばらけることがな
いので、やはり平行平板プレスが可能である。また、幅
方向への分割を巻回後の切断によって行なう場合には、
外部電極を設けるべき切断面が比較的平滑であり外部電
極と内部電極(金属薄膜)との電気的、機械的な接続が
脆弱になる恐れがあるので、巻回前あるいは切断後に該
切断面に物理的、化学的な方法により外部電極の内部電
極とのコンタクトを強化する手段を講じることが好まし
い。このような技術としては、巻回前のフィルムに切断
予定線に沿って欠損部(空孔、凹みなど)を設けてお
き、切断面が結果的に凹凸ができるようにする方法や、
切断面にプラズマエッチング、サンドブラストなどの方
法で凹凸を設ける方法、放電処理によって化学的に易接
着化する方法などがある。このようにして得られたコン
デンサ素子またはコンデンサ母素子は前述同様の工程を
経てコンデンサとする。
【0047】上述したコンデンサの製造工程に於いて本
発明のフィルムが支持体フィルム付である場合、フィル
ムAが支持体フィルム層から剥離される段階はいずれの
工程であってもかまわないし、また剥離されたフィルム
Aが次工程に移る前に一旦巻き取られることがあっても
かまわない。この場合、フィルムAの損傷を避けるため
フィルム層間に合紙を入れながら巻取ることもできる。
この方法は、特に蒸着、レーザーによるマージン形成後
などフィルムが変形している可能性がある部位に於いて
用いると効果的である。
【0048】フィルムAが支持体フィルム層から剥離さ
れる段階として、最初にフィルムAを支持体フィルム層
から剥離して、単体のフィルムAを得た後、コンデンサ
を製造する方法は、剥離以降の工程が従来のコンデンサ
製造工程をそのまま利用できる利点がある。また蒸着の
みを積層フィルム状態で行ない、蒸着後に剥離して金属
化されたフィルムAを得てからコンデンサを製造する方
法は、支持体層付の状態で蒸着するため蒸着時に於ける
フィルムのダメージを最小限に抑えることができる。ま
たコンデンサ製造工程も従来の工程をそのまま利用する
ことができる。ただしコンデンサの生産性の点からは剥
離後のフィルムAはフィルム厚みが薄くなる程ハンドリ
ングが難しくなるので、剥離はできるだけ後工程で行な
うことが好ましい。特に巻回前に細幅にスリットする工
程がある場合はスリット精度を向上するために、剥離す
る前にスリットする方法が好ましく用いられる。また、
レーザービームによってマージンを形成する場合はレー
ザーによるフィルムのダメージを抑制する点で、剥離す
る前にマージンを形成する方法が好ましく用いられる。
いずれの方法によってコンデンサを製造する場合にも、
巻回する直前あるいは同時に剥離する方法は、剥離後の
極薄フィルムを単体でハンドリングする工程が殆どなく
最も好ましい。
【0049】
【物性の測定方法ならびに効果の測定方法】本発明の特
性値の測定方法ならびに効果の測定方法は次のとおりで
ある。
【0050】(1)粒子の液体スラリー中での平均粒径 スラリーを同じ液体で希釈して、光学式粒度分布測定機
(堀場製作所製、CAPA500)を用いて測定した。
【0051】(2)粒子の平均粒径、粒度分布係数、形
状係数 フィルム表面から結晶性熱可塑性樹脂をプラズマ低温灰
化処理法で除去し表面近傍の粒子を露出させる。このと
き、粒子はダメージを受けない条件を選択する。これを
走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、粒子の画像(粒
子によってできる光の濃淡)をイメージアナライザーで
処理する。観察箇所を変えて粒子数5000個以上で次
の数値処理を行ない、それによって求めた平均径dを平
均粒径とした。
【0052】d=Σdi/N ここで、diは粒子の円相当径、Nは個数である。
【0053】(3)粒径の相対標準偏差 上記(2)の方法で測定された個々の粒径di、平均粒
径d、粒子数Nから計算される標準偏差σ(={Σ(d
i−d)2 /N}1/2 )を平均粒径dで割った値(σ/
d)で表わした。
【0054】(4)表面粗さ JIS−R−0601に準じて測定した。
【0055】(5)滑り性(静摩擦係数) ASTM−1894−63に準じて測定した。
【0056】(6)フィルムの絶縁欠陥 真鍮製の電極(150mm×200mm、表面粗度2S
以下)とアルミニウム蒸着ポリエステルフィルムの蒸着
面との間に測定フィルム(200mm×250mm)を
密着させ、150V/μmの直流電圧を、90秒間印加
した際の絶縁欠陥個数を数えた。
【0057】
【実施例】次に本発明を実施例を挙げて詳細に説明す
る。
【0058】実施例1〜実施例4、比較例1〜比較例7 (1)ポリフェニレンスルフィドの重合 ステンレス製オートクレーブに硫化ナトリウム32.6
kg(250モル、結晶水40wt%を含む)、水酸化
ナトリウム100g、安息香酸ナトリウム36.1kg
(250モル)及びN−メチル−2−ピロリドン(以下
NMPという。)79.2kgを仕込み205℃で脱水
したのち、1,4−ジクロルベンゼン37.5kg(2
55モル)及びNMP20.0kgを加え、265℃で
4時間反応させた。反応生成物を水洗、乾燥して溶融粘
度3300ポイズのPPS粉末21kgを得た。
【0059】(2)ポリフェニレンスルフィド組成物の
調製 上記で得られたPPS粉末100重量部に平均径0.3
μmの球状炭酸カルシウムのエチレングリコールスラリ
ー(固形分濃度50%)10重量部を加え、ヘンシェル
ミキサーを用いて50℃で高速撹拌した。
【0060】この混合物を、1段のベント孔を有する異
方向回転二軸押出機に供給して、310℃で溶融し、ベ
ント部で、溶融状態の樹脂からエチレングリコールを除
去した。その後、溶融ポリマを3mmφの口金から押し
出し、急冷後ペレット状に切断して、球状炭酸カルシウ
ム5.0重量%含有したポリマ(PPS−A)を得た。
【0061】同様に、粒子を変更すること以外は上記と
同様にペレット化を行ない、表1に示したようなPPS
−B〜Mを得た。
【0062】これらのPPS−A〜Mのペレットを混合
し、表2に示すようにポリフェニレンスルフィド組成物
を調製した。
【0063】(3)製膜 (2)で得られたポリフェニレンスルフィド組成物を4
0mm径のエクストルーダによって310℃で溶融し、
金属繊維を用いた95%カット孔径10μmのフィルタ
で瀘過した後、長さ400mm、間隙1.5mmの直線
状リップを有するTダイから押し出し、表面を25℃に
保った金属ドラム上にキャストして冷却固化し、厚さ2
5μmの未延伸フィルムを得た。このフィルムをロール
群からなる縦延伸装置によって、フィルム温度100
℃、延伸速度30000%/minで3.7倍延伸し、
続いてテンタを用いて、温度100℃、延伸速度100
0%/minで3.4倍延伸し、さらに同一テンタ内の
後続する熱処理室で、270℃で10秒間緊張下に熱処
理して、厚さ1μmの二軸配向PPSフィルムを得た。
このフィルムの組成、評価結果を表1、表2、表3に示
した。
【0064】実施例5、比較例8 PPS−A、EおよびMの混合物、および固有粘度が
0.7のポリエチレンテレフタレートを別々のエクスト
ルーダに供給し、溶融状態で口金上部にある二重管型の
積層装置で中央の層がPPS−A、PPS−EおよびP
PS−Nの混合物になるように導き、続いて設けられた
Tダイ型口金より吐出させ冷却回転ドラムで急冷し、実
質的に非晶のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物/ポ
リエチレンテレフタレート/ポリフェニレンスルフィド
樹脂組成物の3層積層シートを得た。
【0065】次いで、該積層シートを表面温度90℃の
複数の加熱ロールに接触走行させ、加熱ロール群の次に
設けられた周速の異なる30℃の冷却ロールとの間で長
手方向に3.7倍延伸した。この一軸延伸シートをテン
ターを用いて長手と直交方向に100℃で3.5倍延伸
し、続いて215℃で10秒間熱処理し、厚み3.0μ
mのポリエチレンテレフタレートの支持体フィルムに積
層された厚み0.6μmのポリフェニレンスルフィド組
成物からなる二軸延伸フィルムを得た。この積層フィル
ムの剥離力は2.9g/cmと適正範囲内であった。
【0066】次に、連続剥離巻取り機を用いて、ここで
得られた積層フィルムから支持体フィルムを剥離しなが
ら巻取り0.6μmのポリフェニレンスルフィド組成物
からなる二軸延伸フィルムを得た。このフィルムの組
成、評価結果を表1、表2、表3に示した。
【0067】
【0068】
【0069】
【表1】
【表2】
【表3】
【0070】
【発明の効果】以上のように本発明の二軸延伸フィルム
は、フィルム厚み、粒子の平均径および含有量の間に特
定の関係を有する異なる2種の不活性粒子が含有されて
いることにより、極薄フィルムでありながらフィルムの
取り扱い性と電気特性などの実用特性に優れ、特にピン
ホールが少ないという特長を有している。
【0071】したがって、本発明の二軸延伸フィルム
は、コンデンサの誘電体、電気絶縁材料、磁気記録媒体
のベースフィルム等のフィルム分野ばかりでなく繊維や
その他成形品としても好ましく用いられる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 81:02 (56)参考文献 特開 平2−252226(JP,A) 特開 昭63−141308(JP,A) 特開 平1−266145(JP,A) 特開 平2−218726(JP,A) 特開 平2−251538(JP,A) 特開 平4−62136(JP,A) 特開 平4−255208(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/18 B32B 27/20 H01G 4/18 C08L 81/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリフェニレンスルフィドを主たる成分
    とする結晶性熱可塑性樹脂組成物からなる二軸延伸フィ
    ルムであって、該樹脂組成物に下記(1)〜(3)式を
    満たすように粒径の異なる2種の不活性粒子が含有され
    ていることを特徴とする二軸延伸フィルム。 0.15≦D1 /t≦0.60 (1) 0.70≦D2 /t≦1.1 (2) 0.30≦c1 ・D1 +c2 ・D2 ≦0.50 (3) D1 :第1の不活性粒子の平均粒径(μm) D2 :第2の不活性粒子の平均粒径(μm) t :二軸延伸フィルムの平均厚み(μm) c1 :第1の不活性粒子の重量含有量(%) c2 :第2の不活性粒子の重量含有量(%)
  2. 【請求項2】 少なくとも一方の不活性粒子の下記
    (4)式で表わされる面積円相当径の相対標準偏差が
    1.0以下であることを特徴とする請求項1の二軸延伸
    フィルム。 σ/d={Σ(di−d)2 /N}1/2 /d (4) (ここで、diは一方の不活性粒子の個々の粒子の円相
    当径、dは一方の不活性粒子の平均粒径、Nは個数であ
    る。)
  3. 【請求項3】 不活性粒子が、炭酸カルシウム、シリカ
    または架橋ポリスチレン系粒子であることを特徴とする
    請求項1の二軸延伸フィルム。
  4. 【請求項4】 二軸延伸フィルムの平均厚みが0.2μ
    m以上2μm以下であることを特徴とする請求項1の二
    軸延伸フィルム。
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