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JP3196139B2 - 人工皮革の製造方法 - Google Patents

人工皮革の製造方法

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JP3196139B2
JP3196139B2 JP33445998A JP33445998A JP3196139B2 JP 3196139 B2 JP3196139 B2 JP 3196139B2 JP 33445998 A JP33445998 A JP 33445998A JP 33445998 A JP33445998 A JP 33445998A JP 3196139 B2 JP3196139 B2 JP 3196139B2
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artificial leather
elastic polymer
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polyurethane resin
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裕史 川口
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株式会社市金テクニカル
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紳士用靴の甲皮、
婦人用靴の甲皮、スポーツ靴の甲皮、カジュアルシュー
ズの甲皮、鞄、ソファの表皮、カーシートの表皮等とし
て利用でき、更に、ブレザーコート、手袋の素材等とし
て利用できる人工皮革の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリウレタン人工皮革の製造方法として
は、ポリウレタン樹脂溶液を乾燥して表皮層被膜を形成
する乾式法と、ポリウレタン溶液を塗工または含浸させ
た基材を水中に導き、ポリウレタンを凝固・析出させて
微多孔を形成する湿式法とがある。乾式法は、型押しさ
れた離型紙の上に、表皮層用ポリウレタン樹脂溶液を塗
工し、乾燥室中で80〜130℃で約1分間乾燥する。
次に、接着剤として二液型ポリウレタン溶液を塗工し
て、乾燥しないうちに圧着ロールで、基材に重ね圧着
し、そのまま2〜3分乾燥して巻き取り、50〜70℃
の熟成室内で2〜3日反応させた後、離型紙を剥して製
品を得ている。湿式法は、靴用素材の例では、基材(不
織布)をポリウレタンのジメチルホルムアミド(DM
F)溶液の入った含浸液槽に導き、含浸液を基材に含浸
させ、次に水中に短時間だけ浸漬して樹脂を前凝固させ
たのち、微多孔構造を作るための塗工液を塗る。塗工
後、水槽に導き、DMFを抽出して微多孔構造の人工樹
脂を得ている(例えば特開平8−41786号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前者、即ち乾
式法で得られる製品には細孔がないため、通気性・透湿
性を求める場合、離型紙に細工をして細孔を作るか、針
で孔をあけるといったことが行われている。しかし、こ
の方法で得られる細孔は、孔位置が不均一で合ったり、
孔径が大きくなるといった不具合がある。後者、即ち湿
式法では、環境上問題のある有機溶剤であるDMFを使
用するため、加工現場の作業環境を悪くするといった問
題あり、更に、処理後の湯洗等のために多くの水を使用
するため、その処理水を処理するに、費用と労力がかか
る。しかも、ポリウレタンの性状、凝固調節剤の組成、
凝固浴中のDMF濃度、凝固浴の温度などにより微多孔
構造が決まるが、その調整が難しく、しかも、DMFの
抽出が不十分であると、乾燥中にDMFにより微多孔構
造が破壊され表面が乾燥膜化してしまう等の不具合があ
る。本発明はかかる現状に鑑み、製造が比較的簡単な乾
式法を用いて、通気性・透湿性のある人工皮革を製造す
る方法を得ることを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するため、請求項1記載の発明は、通気性のある床
材の表面に、水系エマルジョン状態のポリウレタン樹脂
液を主体とする弾性重合体液を薄膜状に塗工し、これを
湿熱とマイクロ波を併用した加熱室内で加熱処理するこ
とで、マイクロ波によって弾性重合体液が急激な温度上
昇を起こし、ゲル化が始まって薄膜を形成すると共に弾
性重合体液に含まれる水分(蒸気)が該薄膜外に飛び出
し、水分の放出経路が極微細孔として薄膜中に残る。次
いでこれを熱風乾燥して、水分を飛ばした後加熱加圧成
形することで、薄膜は床材に一体に密着して、通気性、
透湿性のある人工皮革が得られる。
【0005】請求項2記載の発明は、離型紙上に、水系
エマルジョン状態のポリウレタン樹脂液を主体とする弾
性重合体液を薄膜状に塗工し、これを湿熱とマイクロ波
を併用した加熱室内で加熱処理しすることで、マイクロ
波によって弾性重合体液が急激な温度上昇を起こし、ゲ
ル化が始まって薄膜を形成すると同時に弾性重合体液に
含まれる水分(蒸気)が該薄膜外に飛び出し、水分の放
出経路が極微細孔として薄膜中に残る。次いでこれを熱
風乾燥して薄膜に含まれる水分を除いた後、該薄膜を請
求項1の方法で製造した人工皮革の表面に熱接着するこ
とで、薄膜は、請求項1で得た人工皮革に一体に密着し
て、通気性、透湿性のある人工皮革が得られる。
【0006】請求項3記載の発明は、請求項1並びに2
記載の人工皮革の製造方法において、弾性重合体液に、
誘電物質を含ませたことで、誘電損による発熱に加え
て、伝導電流による電力損失によって発熱することを生
かし、より速やかに均一に内部から弾性重合体液を加熱
できて、水分が蒸発するとき、微細な無数の孔を形成し
た表皮層を備える人工皮革が得られる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明方法の実施の形態を図面に
付き説明する。図1は、床材1の表面に、水系エマルジ
ョン状態のポリウレタン樹脂液をナイフコーター2で塗
工し、これを乾燥前の状態で、湿熱とマイクロ波を併用
した加熱室3内に導いて加熱した後、次いで熱風乾燥機
4で乾燥し、その後カレンダーロール5で加熱加圧成形
して製品を得る方法を示す。
【0008】この方法では、床材1の素材としては、不
織布、織物、編物等の通気性のある素材を使用できる
が、特に、靴の甲皮、鞄の素材として用いる製品を得る
場合は、ポリアミド繊維(ナイロン繊維)又はポリエス
テル系繊維を使用した不織布が好ましく、これを、水系
エマルジョン状態のポリウレタン樹脂液に浸漬した後、
ポリウレタン樹脂液を、湿熱(水蒸気の保有する熱)
マイクロ波を併用した固着装置でポリウレタン樹脂を素
材に固着させた通気性のあるものを用いた。
【0009】床材1の表面に塗工する弾性重合体液とし
ては、例えば香族系のポリエステルジオール、脂肪族
系のポリエーテルジオール、脂環化合物のポリカーボネ
イトジオールを原料とするポリウレタンエマルジョンに
ゲル化剤を混入したものを用いる。このポリウレタンエ
マルジョンのポリウレタン組成物の量は、固形分として
重量比20〜50%の範囲が好ましい。この範囲を外れ
ると、床材1と該弾性重合体液が固着して得られる弾性
重合体とのバランスが悪くなって、製品の腰がなくなっ
たり、膨らみ感が得られなくなったりする。なお、ゲル
化剤としては、塩化カルシウム、塩化バリウム等を用い
る。
【0010】加熱室3は水蒸気の導入口3aと導出口3
とを備えており、該加熱室3内を100〜110℃の
水蒸気雰囲気とし、且つ該室内に、出力1Kw〜10K
w、周波数2450MHzのマグネトロン6(図2)のマイ
クロ波照射口7からマイクロ波を照射する。なお、加熱
室3に設けたマイクロ波照射口7には、図2に示すごと
く、反射板8を設けてマイクロ波照射口7から照射され
るマイクロ波を加熱室3内に均一に分散させるようにし
た。
【0011】この加熱室3内を、弾性重合体液を塗工し
た床材1を、5〜10数秒間通過させるときは、該加熱
室3内を床材1が通過する間に、塗工されたポリウレタ
ン樹脂液は、外部から水蒸気により加熱されると共に、
マグネトロン6から照射されるマイクロ波を均一に受
け、マイクロ波による急激な内部加熱とにより加熱され
ることで、該弾性重合体液がゲル化し薄膜を形成すると
共に、ゲル化する弾性重合体の網目に閉じ込められてい
る水分は蒸発し膜外に飛び出す。このとき、該弾性重合
体に無数の微細孔が形成されることが確認できた。な
お、加熱室3の水蒸気の導入口3aと導出口3b並びに
床材1の導入導出口に電波シールを施すこと申すまでも
ない。なお、床材1の表面に形成する薄膜の厚さは、
0.03〜1mmの範囲とすることが好ましく、この厚
みは、ポリウレタン(固形分)の濃度や塗工量、乾燥条
件の調節により任意に変更できる。また、弾性重合体液
には、必要に応じて着色剤、架橋剤、安定剤等の添加材
を配合する。
【0012】なお、弾性重合体液に、食塩水、カーボン
粉末のような誘電物質を混入させると、誘電損による発
熱とは別に、伝導電流による電力損失によっても発熱
し、より速やかに弾性重合体液を内部からより速やかに
且つ均一に加熱することができる。
【0013】なお、床材1としては、靴の甲皮、鞄の素
材として用いる人工皮革として、不織布を用いたものを
示したが、例えば、衣服等に用いる等用途に応じて、織
物、編み物等を使用できる。なお、図1で9は床材1の
供給ロール、10は製品の巻取ロールを示す。
【0014】図4は、他の実施の形態を示すもので、離
型紙11上に、水系エマルジョン状態のポリウレタン樹
脂液を主体とする弾性重合体液をコータロール12で薄
膜状に塗工し、これを、湿熱とマイクロ波を併用した加
熱室13内で加熱処理した後、次いで熱風乾燥機14で
乾燥して薄膜を形成し、その後上記実施の形態で得た人
工皮革の表面に熱接着する場合を示す。
【0015】この実施の形態に使用するポリウレタン樹
脂液の成分、濃度等は上記実施の形態と同じものでも良
いが、このものは、薄いため上記実施の形態よりは、腰
のあるポリウレタン樹脂液を使用することが望ましい。
また加熱室13の構成も上記実施の形態で説明した加熱
室13と変るところはなく、水蒸気の導入口13aと導
出口13bを備えて該加熱室13内を100〜110℃
の水蒸気雰囲気とし、且つ出力1〜10Kwのマグネト
ロンから該加熱室13内にマイクロ波を照射し、該水蒸
気によりポリウレタン樹脂液を外部から加熱すると共に
マイクロ波によって内部加熱させるもので、マイクロ波
照射口17には、図2に示すと同様の反射板を設けてマ
イクロ波照射口17から照射されるマイクロ波を加熱室
13内に均一に分散させる。
【0016】なお、図4で16は、離型紙11の供給ロ
ール、15は人工皮革の供給ロール、18は薄膜を人工
皮革の表面に熱接着するカレンダーロール、19は薄膜
を人工皮革の表面に熱接着した後、剥取られた離型紙1
1を巻取る巻取ロール、20は製品の巻取ロールを示
す。なおこの方法によって、得られる人工皮革にあって
は、上記実施の形態の薄膜が中間層となる。
【0017】(実施例1) 水系エマルジョン状態のポリウレタン樹脂液成分 芳香族系のポリウレタンエマルジョン 100重量部 高級脂肪酸アルカノールアミド系(ゲル化剤) 8重量部 0.1モル食塩水(誘電物質) 5重量部 酸化チタン(白色顔料) 5重量部 ポリアクリル酸アンモニウム(増粘剤) 2重量部 上記配合処方した水系エマルジョン状態のポリウレタン
樹脂液を、ミキサーで、混合攪拌して均一な配合液(濃
度20〜30%)とし、これを床材(分割後の単繊維繊
度が0.2 デニールとなるポリアミド繊維50%とポリエ
ステル繊維50%からなる原綿を、ニードルパンチ法に
よって厚さ1.2 mm目付300 g/m2 とした不織布)に、
1.0mm の厚さでコーチングする。その後、これを、内部
を100〜110℃の水蒸気雰囲気とし且つ出力1.2 K
w、周波数2450MHzのマグネトロンを設置した加
熱室3に導いて上記弾性重合体液をゲル化して薄膜化さ
せた後、熱風乾燥炉で水分を蒸発させた後、該薄膜面に
エンボス柄離形紙を置いた加熱装置(130℃)で5秒
間、3.5kg/cm2で面圧成形する。かくするときは、
床材上に、厚さが約0.8mmで、無数の微細孔構造を
備え、しかもソフト(無数の微細孔によって多少堅めの
材料を選択してもソフト感を失わず)で腰のある薄膜層
を形成できて、天然皮革様の風合いを持ち、通気性、透
湿性に優れたシートが得られた。その細部は図3に代え
る顕微鏡写真(50倍の顕微鏡写真)に示すごとく、無
数の微細孔を備えたものが得られた。そして、その断面
は、図6に代える顕微鏡写真(50倍の顕微鏡写真)か
ら明らかなようにきわめてポーラスであることが分か
る。
【0018】(実施例2) 水系エマルジョン状態のポリウレタン樹脂液成分 脂肪族系のポリウレタンエマルジョン 100重量部 0.1 モル食塩水(誘電物質) 5重量部 酸化チタン(白色顔料) 5重量部 ポリアクリル酸アンモニウム(増粘剤) 1重量部 上記配合処方した水系エマルジョン状態のポリウレタン
樹脂液を、ミキサーで、混合攪拌して均一な配合液(濃
度20〜30%)とし、これを離形紙に厚さ50μ
コーチングする。その後これを、内部を100〜110
℃の水蒸気雰囲気とし且つ出力1.2 Kw、周波数245
0MHzのマグネトロンを設置した加熱室13に導いて
弾性重合体液をゲル化して薄膜化させた後、これを実施
例1で得た製品の表面に積層し、加圧約3Kg/c
2 、温度130℃のカレンダーロールを通して、実
例1で得た製品の表面に熱接着し、その後離形紙を剥が
して製品を得る。かくするときは、床材上に、厚さが約
0.02〜0.03mmで、しかも無数の微細孔を備える微多孔
構造を呈するソフト(無数の微細孔によって多少堅めの
材料を選択してもソフト感を失わず)で、しかも腰のあ
る薄膜層を形成できて、天然皮革様の風合いを持ち、通
気性、透湿性に優れたシートが得られた。その細部は図
5に代える顕微鏡写真(50倍の顕微鏡写真)に示すご
とく、無数の微細孔を備えたものが得られた。そして、
その断面は、図6に代える顕微鏡写真(50倍の顕微鏡
写真)に示すごとくきわめてポーラスであることが分か
る。施例2では、実施例1で形成される薄い膜層が中
間層となる。なお上述の両実施例で得られた人工皮革
は、靴の甲皮、鞄の素材として利用するものであるが、
床材として、織布等の薄地のものを用いれば、衣料用そ
の他の素材として利用きるものが得られること申すまで
もない。
【0019】
【発明の効果】本発明の請求項1乃至2の製造方法によ
れば、湿熱とマイクロ波を併用して加熱することで、通
気性、透湿性に優れた人工皮革を簡単に得ることがで
き、特に請求項3に示すごとく、弾性重合体液に、誘電
物質を含ませるときは、処理時間をより短くすることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の一例を示す工程図
【図2】 加熱室の概略図
【図3】 図1に示す方法によって得た図面に代える製
品の表面顕微鏡写真
【図4】 他の実施の形態を示す工程図
【図5】 図4に示す方法によって得た図面に代える製
品の表面顕微鏡写真
【図6】 図4に示す方法によって得た図面に代える製
品の断面顕微鏡写真
【符号の説明】
1 床材 3 加熱室 7 マ
イクロ波照射口

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 通気性のある床材の表面に、水系エマル
    ジョン状態のポリウレタン樹脂液を主体とする弾性重合
    体液を薄膜状に塗工し、これを湿熱とマイクロ波を併用
    した加熱室内で加熱処理した後、次いで熱風乾燥し、そ
    の後加熱加圧成形することを特徴とする人工皮革の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 離型紙上に、水系エマルジョン状態のポ
    リウレタン樹脂液を主体とする弾性重合体液を薄膜状に
    塗工し、これを湿熱とマイクロ波を併用した加熱室内で
    加熱処理した後、次いで熱風乾燥して薄膜を形成し、そ
    の後該薄膜を請求項1の方法で製造した人工皮革の表面
    に熱接着することを特徴とする人工皮革の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記弾性重合体液に、誘電物質を含ませ
    たことを特徴とする請求項1並びに2記載の人工皮革の
    製造方法。
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