JP3016544B2 - 永久磁石磁気回路 - Google Patents
永久磁石磁気回路Info
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- JP3016544B2 JP3016544B2 JP7140974A JP14097495A JP3016544B2 JP 3016544 B2 JP3016544 B2 JP 3016544B2 JP 7140974 A JP7140974 A JP 7140974A JP 14097495 A JP14097495 A JP 14097495A JP 3016544 B2 JP3016544 B2 JP 3016544B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医療診断用の核磁気共
鳴断層撮影装置(以下、MRI装置という)において、
勾配磁場印加に伴う渦電流発生が少なく、勾配磁束が通
り易いバイアス磁場発生に有用な核磁気共鳴断層撮影装
置用永久磁石磁気回路である。
鳴断層撮影装置(以下、MRI装置という)において、
勾配磁場印加に伴う渦電流発生が少なく、勾配磁束が通
り易いバイアス磁場発生に有用な核磁気共鳴断層撮影装
置用永久磁石磁気回路である。
【0002】
【従来の技術】磁気共鳴断層装置に使用するマグネット
として、磁石対向型永久磁石磁気回路はよく知られてい
る。例えば、W.H.Oldendorf; WO 84/00611 (PCT/US83/0
1175)、実公平2- 44483号、 実公平2- 44484号、 実公平2-
44485号、実公平2- 44486号各公報、映像情報15巻 p.3
79(1983)および病態生理4巻 p.91(1985) などがある。
該磁気回路は空隙に磁石を対向させただけでは空隙中心
に十分な磁場均一性が得られない。このため空隙中に発
生する磁場強度は少し低下するが、図6に示したように
空隙に面した磁石表面に整磁板と呼ばれる鉄板を貼って
磁場均一性を向上させている。この整磁板形状には磁場
の均一性を向上させる様々な工夫がされている。例え
ば、整磁板外周部に環状突起を設けることは空隙中心部
の磁場を向上(磁場均一性は空隙中心に仮想的に設けら
れた球空間の磁場分布で評価される)させ、極と赤道部
の磁場の不均一性を緩和する。更に整磁板表面に環状突
起よりもっと小さい環状段差を設けることも行われてお
り、均一球(例えば40cm直径の球空間)内の磁場均一性
として例えば2000Gの発生磁場に対して50ppm 以下の磁
場均一度が得られている。このように永久磁石対向型磁
気回路において整磁板は磁場均一性向上のため必要不可
欠な部材である。
として、磁石対向型永久磁石磁気回路はよく知られてい
る。例えば、W.H.Oldendorf; WO 84/00611 (PCT/US83/0
1175)、実公平2- 44483号、 実公平2- 44484号、 実公平2-
44485号、実公平2- 44486号各公報、映像情報15巻 p.3
79(1983)および病態生理4巻 p.91(1985) などがある。
該磁気回路は空隙に磁石を対向させただけでは空隙中心
に十分な磁場均一性が得られない。このため空隙中に発
生する磁場強度は少し低下するが、図6に示したように
空隙に面した磁石表面に整磁板と呼ばれる鉄板を貼って
磁場均一性を向上させている。この整磁板形状には磁場
の均一性を向上させる様々な工夫がされている。例え
ば、整磁板外周部に環状突起を設けることは空隙中心部
の磁場を向上(磁場均一性は空隙中心に仮想的に設けら
れた球空間の磁場分布で評価される)させ、極と赤道部
の磁場の不均一性を緩和する。更に整磁板表面に環状突
起よりもっと小さい環状段差を設けることも行われてお
り、均一球(例えば40cm直径の球空間)内の磁場均一性
として例えば2000Gの発生磁場に対して50ppm 以下の磁
場均一度が得られている。このように永久磁石対向型磁
気回路において整磁板は磁場均一性向上のため必要不可
欠な部材である。
【0003】一方、MRI装置においては、位置情報を
得るためにソレノイドコイルに通電して該磁気回路空隙
空間内に勾配磁場を発生させる。該勾配磁場は永久磁石
の発生するバイアス磁場に重畳されて、水素原子核の核
磁気共鳴(NMR)周波数を場所により変化させる。M
RI装置における勾配磁場の役割は単にこれだけではな
いが、時間軸に対して矩形状のパルス磁場を印加するこ
とが本質的に必要である。磁石対向型磁気回路におい
て、勾配コイルは整磁板表面に図1のように設置される
のが一般的である。該勾配コイルにパルス矩形波状の勾
配磁場を印加した場合、勾配コイルと整磁板は近接して
いるため整磁板には勾配磁場を打ち消す方向に渦電流が
流れる。該渦電流はパルス勾配磁場波形(矩形波)の立
ち上がりを鈍らせ、立ち下がりの裾を引かせるように働
く(図5参照)。このことはMRI装置において画像を
得る上で非常に有害であり、勾配磁場印加における整磁
板の渦電流の発生をできるだけ低減する事が望ましい。
得るためにソレノイドコイルに通電して該磁気回路空隙
空間内に勾配磁場を発生させる。該勾配磁場は永久磁石
の発生するバイアス磁場に重畳されて、水素原子核の核
磁気共鳴(NMR)周波数を場所により変化させる。M
RI装置における勾配磁場の役割は単にこれだけではな
いが、時間軸に対して矩形状のパルス磁場を印加するこ
とが本質的に必要である。磁石対向型磁気回路におい
て、勾配コイルは整磁板表面に図1のように設置される
のが一般的である。該勾配コイルにパルス矩形波状の勾
配磁場を印加した場合、勾配コイルと整磁板は近接して
いるため整磁板には勾配磁場を打ち消す方向に渦電流が
流れる。該渦電流はパルス勾配磁場波形(矩形波)の立
ち上がりを鈍らせ、立ち下がりの裾を引かせるように働
く(図5参照)。このことはMRI装置において画像を
得る上で非常に有害であり、勾配磁場印加における整磁
板の渦電流の発生をできるだけ低減する事が望ましい。
【0004】該渦電流低減のためには種々のハイブリッ
ド構造の整磁板が考案されており、一般的にはベース鉄
板と軟磁性層の組み合わせが用いられる。例えば、特開
昭63-241905 号、 特開平1-304709号、 特開平2-2603号、
特開平2-184002号、 特開平2-218343号、 特開平3-203203
号、 特開平4-82536 号、 特開平4-138131号、 特開平5-18
2821号などの各公報が開示されている。勾配コイルに面
する整磁板表面の材質に要求される特性は、磁気的に透
磁率が高く、保磁力が低い軟質磁性で、かつ電気抵抗の
高いことであり、これを構造的に保持するためバルク鉄
板がベースとして使用されている。このような整磁板表
面の材質に要求される特性の内、前者は均一磁場を得る
ために必要であり、後者は渦電流を抑制するために必要
である。このような要求を満たす軟質磁性素材として
は、軟磁性フェライト(MnZnフェライト、NiZnフェライ
トなど)、アモルファス薄帯、珪素鋼板、パーマロイ、
純鉄などがある。後4者はバルク状態では電気抵抗が高
くないので薄板形状を積層する必要がある。また電気抵
抗をできるだけ高くするため薄板間は絶縁処理すること
が望ましい。この他、鉄粉を樹脂とともに圧粉成形した
樹脂鉄も高電気抵抗と軟磁気特性を有するため使用可能
である。これらの軟質磁性素材の中では、バルク状態で
電気抵抗が非常に高く、透磁率も高いフェライトが磁気
特性的に好ましい。しかしフェライトはセラミックスで
あるから元々脆く、バイアス磁場中に設置されるため常
に磁場方向にフェライトの長手方向が配向するような力
を受ける。このため整磁板ベースへの固着方法が難し
く、割れやクラックが発生する危険性がつきまとう。ま
た、粉末燒結法により作製する焼き物であるため、大型
ブロックを作製することは寸法精度や加工の面から難し
い。また純鉄積層や樹脂鉄は軟磁気特性の面から他の素
材ほど良くない。さらにパーマロイは非常に優れた軟磁
気特性を有するが、非常に高価でかつ応力などによる磁
気特性の劣化が生じ易いため使いにくい。
ド構造の整磁板が考案されており、一般的にはベース鉄
板と軟磁性層の組み合わせが用いられる。例えば、特開
昭63-241905 号、 特開平1-304709号、 特開平2-2603号、
特開平2-184002号、 特開平2-218343号、 特開平3-203203
号、 特開平4-82536 号、 特開平4-138131号、 特開平5-18
2821号などの各公報が開示されている。勾配コイルに面
する整磁板表面の材質に要求される特性は、磁気的に透
磁率が高く、保磁力が低い軟質磁性で、かつ電気抵抗の
高いことであり、これを構造的に保持するためバルク鉄
板がベースとして使用されている。このような整磁板表
面の材質に要求される特性の内、前者は均一磁場を得る
ために必要であり、後者は渦電流を抑制するために必要
である。このような要求を満たす軟質磁性素材として
は、軟磁性フェライト(MnZnフェライト、NiZnフェライ
トなど)、アモルファス薄帯、珪素鋼板、パーマロイ、
純鉄などがある。後4者はバルク状態では電気抵抗が高
くないので薄板形状を積層する必要がある。また電気抵
抗をできるだけ高くするため薄板間は絶縁処理すること
が望ましい。この他、鉄粉を樹脂とともに圧粉成形した
樹脂鉄も高電気抵抗と軟磁気特性を有するため使用可能
である。これらの軟質磁性素材の中では、バルク状態で
電気抵抗が非常に高く、透磁率も高いフェライトが磁気
特性的に好ましい。しかしフェライトはセラミックスで
あるから元々脆く、バイアス磁場中に設置されるため常
に磁場方向にフェライトの長手方向が配向するような力
を受ける。このため整磁板ベースへの固着方法が難し
く、割れやクラックが発生する危険性がつきまとう。ま
た、粉末燒結法により作製する焼き物であるため、大型
ブロックを作製することは寸法精度や加工の面から難し
い。また純鉄積層や樹脂鉄は軟磁気特性の面から他の素
材ほど良くない。さらにパーマロイは非常に優れた軟磁
気特性を有するが、非常に高価でかつ応力などによる磁
気特性の劣化が生じ易いため使いにくい。
【0005】これに対し、珪素鋼板は軟磁気特性が良好
で、打ち抜きなどで大型の薄板加工も容易であり、モー
タなどに大量に使用されているため廉価であり該整磁板
のハイブリッド素材として適している。珪素鋼板には無
方向性と方向性の2種類があり、方向性珪素鋼板の方が
磁気特性は良好であるが使用は難しい。勾配磁場はX、
Y、Zの3方向に印加されるので、方向性珪素鋼板では
X、Y、Z勾配磁場3方向に対して磁束の流れる方向全
てを満足するように方向性珪素鋼板の配向を配置するこ
とが困難である。方向性珪素鋼板を容易軸が2方向にな
るように積層することも提案(特開平4-138131号参照)
されているが、X、Y、Z3方向の勾配磁束の流れを満
足する積層構造ではなく、無方向性珪素鋼板を積層する
のが一般的である。
で、打ち抜きなどで大型の薄板加工も容易であり、モー
タなどに大量に使用されているため廉価であり該整磁板
のハイブリッド素材として適している。珪素鋼板には無
方向性と方向性の2種類があり、方向性珪素鋼板の方が
磁気特性は良好であるが使用は難しい。勾配磁場はX、
Y、Zの3方向に印加されるので、方向性珪素鋼板では
X、Y、Z勾配磁場3方向に対して磁束の流れる方向全
てを満足するように方向性珪素鋼板の配向を配置するこ
とが困難である。方向性珪素鋼板を容易軸が2方向にな
るように積層することも提案(特開平4-138131号参照)
されているが、X、Y、Z3方向の勾配磁束の流れを満
足する積層構造ではなく、無方向性珪素鋼板を積層する
のが一般的である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って磁石対向型永久
磁石磁気回路の整磁板として、従来のものよりも更に渦
電流の発生が少なく、勾配磁束が流れ易く、製作の容易
な整磁板構造が望まれている。本発明はかかる課題を解
決し、X、Y、Zの勾配磁束が流れ易く、渦電流発生の
少ない整磁板構造を提供してMRI装置の画質向上を図
ろうとするものである。
磁石磁気回路の整磁板として、従来のものよりも更に渦
電流の発生が少なく、勾配磁束が流れ易く、製作の容易
な整磁板構造が望まれている。本発明はかかる課題を解
決し、X、Y、Zの勾配磁束が流れ易く、渦電流発生の
少ない整磁板構造を提供してMRI装置の画質向上を図
ろうとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は磁石対向型
永久磁石磁気回路で、勾配磁束が流れ易く、渦電流発生
の少ない、珪素鋼板と鉄板のハイブリッド構造の整磁板
を開発し、諸条件を確立して本発明を完成したもので、
その要旨は、一対の磁石を対向させて該磁石空隙表面に
整磁板を設け、これらを継鉄により結合して閉磁路を構
成した永久磁石対向型磁気回路において、該整磁板が鉄
板と珪素鋼板から成る積層鋼板であり、該珪素鋼板は空
隙に面した整磁板表面に配置され、該珪素鋼板は配向方
向が径方向に向いた径配向方向性珪素鋼板と無方向性珪
素鋼板とを、または該径配向方向性珪素鋼板と配向方向
が周方向に向いた周配向方向性珪素鋼板とを、厚み方向
に混在するように積層されて成ることを特徴とする永久
磁石磁気回路にあり、更に詳しくは、該積層珪素鋼板
は、勾配磁束を通すのに十分な厚みを有し、周方向に4
分割以上かつ径方向に2分割以上分割され、個々の珪素
鋼板は隣接珪素鋼板と電気的に絶縁されている永久磁石
磁気回路にある。
永久磁石磁気回路で、勾配磁束が流れ易く、渦電流発生
の少ない、珪素鋼板と鉄板のハイブリッド構造の整磁板
を開発し、諸条件を確立して本発明を完成したもので、
その要旨は、一対の磁石を対向させて該磁石空隙表面に
整磁板を設け、これらを継鉄により結合して閉磁路を構
成した永久磁石対向型磁気回路において、該整磁板が鉄
板と珪素鋼板から成る積層鋼板であり、該珪素鋼板は空
隙に面した整磁板表面に配置され、該珪素鋼板は配向方
向が径方向に向いた径配向方向性珪素鋼板と無方向性珪
素鋼板とを、または該径配向方向性珪素鋼板と配向方向
が周方向に向いた周配向方向性珪素鋼板とを、厚み方向
に混在するように積層されて成ることを特徴とする永久
磁石磁気回路にあり、更に詳しくは、該積層珪素鋼板
は、勾配磁束を通すのに十分な厚みを有し、周方向に4
分割以上かつ径方向に2分割以上分割され、個々の珪素
鋼板は隣接珪素鋼板と電気的に絶縁されている永久磁石
磁気回路にある。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。既に述べ
たように方向性珪素鋼板の径方向配向したものでの積層
は、Z勾配磁場に対して軟磁気特性は優れているが、
X、Y勾配磁場に対しては磁束を通しにくいという問題
があった。一方、無方向性珪素鋼板の積層は、X、Y、
Z勾配磁場に対応できるが、軟磁気特性が方向性珪素鋼
板より劣っている。そこで鉄板−珪素鋼板からなるハイ
ブリッド整磁板を改良するため、Z勾配磁場に対して径
配向の方向性珪素鋼板を採用し、X、Y勾配磁場に対し
て無方向性珪素鋼板か周配向の方向性珪素鋼板を採用す
ることとした。Z勾配磁場に対応する珪素鋼板の配置
は、図2(a)に示したように径方向に分割され、各珪
素鋼板セグメントは疑似径方向に配向したものを組み合
わせて円板状とし、容易磁化方向を径方向配向とした。
勾配コイルにより発生したZ勾配磁束は、整磁板のギャ
ップ側底面を通って外周の環状突起を経由して元に戻
る。このため、整磁板底面でのZ勾配磁束は環状突起に
向かって径方向に流れるため、径配向方向性珪素鋼板を
採用する。これにより径方向に磁束が流れ易いので、Z
勾配磁場印加に伴う渦電流発生や、整磁板に起因する残
留磁化の変化が低減される。一方、X、Y勾配磁場に対
応する無方向性珪素鋼板または周配向方向性珪素鋼板の
分割は、径方向性珪素鋼板と同じで円板状にする。例え
ば、X勾配コイルは図4(a)のような形状をしてお
り、図4(b)のようにX方向に勾配磁束が流れる。X
勾配磁束の流れる周方向に、方向性珪素鋼板をを配置す
るか、無方向性珪素鋼板を用いる。後者の場合、配向を
考慮する必要はない。周配向の方向性珪素鋼板と無方向
性珪素鋼板で、勾配磁束の通り易さは同等である。何故
なら、周配向は必ずしもX勾配磁束の最適導磁方向と一
致していないためである。従って、X、Y勾配磁場に対
して、どちらを採用してもよい。
たように方向性珪素鋼板の径方向配向したものでの積層
は、Z勾配磁場に対して軟磁気特性は優れているが、
X、Y勾配磁場に対しては磁束を通しにくいという問題
があった。一方、無方向性珪素鋼板の積層は、X、Y、
Z勾配磁場に対応できるが、軟磁気特性が方向性珪素鋼
板より劣っている。そこで鉄板−珪素鋼板からなるハイ
ブリッド整磁板を改良するため、Z勾配磁場に対して径
配向の方向性珪素鋼板を採用し、X、Y勾配磁場に対し
て無方向性珪素鋼板か周配向の方向性珪素鋼板を採用す
ることとした。Z勾配磁場に対応する珪素鋼板の配置
は、図2(a)に示したように径方向に分割され、各珪
素鋼板セグメントは疑似径方向に配向したものを組み合
わせて円板状とし、容易磁化方向を径方向配向とした。
勾配コイルにより発生したZ勾配磁束は、整磁板のギャ
ップ側底面を通って外周の環状突起を経由して元に戻
る。このため、整磁板底面でのZ勾配磁束は環状突起に
向かって径方向に流れるため、径配向方向性珪素鋼板を
採用する。これにより径方向に磁束が流れ易いので、Z
勾配磁場印加に伴う渦電流発生や、整磁板に起因する残
留磁化の変化が低減される。一方、X、Y勾配磁場に対
応する無方向性珪素鋼板または周配向方向性珪素鋼板の
分割は、径方向性珪素鋼板と同じで円板状にする。例え
ば、X勾配コイルは図4(a)のような形状をしてお
り、図4(b)のようにX方向に勾配磁束が流れる。X
勾配磁束の流れる周方向に、方向性珪素鋼板をを配置す
るか、無方向性珪素鋼板を用いる。後者の場合、配向を
考慮する必要はない。周配向の方向性珪素鋼板と無方向
性珪素鋼板で、勾配磁束の通り易さは同等である。何故
なら、周配向は必ずしもX勾配磁束の最適導磁方向と一
致していないためである。従って、X、Y勾配磁場に対
して、どちらを採用してもよい。
【0009】方向性と無方向性珪素鋼板の積層は、1枚
づつ交互に、複数同数枚毎交互に、或は異数枚毎交互に
積層してもよいが、整磁板の厚み方向に混合しているこ
とが好ましく、少なくとも4組以上、好ましくは6組以
上が良い。勾配磁束は、整磁板表面の磁束が流れ易い所
(透磁率の高い所)を流れるため、例えば上半分が方向
性で下半分が無方向性のような(もしくはその逆)1組
の交互積層は好ましくない。何故なら、このような積層
ではX、Y勾配磁束は環状突起部を流れる可能性があ
り、勾配磁場の線形性が乱されるからである。この場合
用いる珪素鋼板厚みは0.1mm 〜1mmの間のものでよい。
づつ交互に、複数同数枚毎交互に、或は異数枚毎交互に
積層してもよいが、整磁板の厚み方向に混合しているこ
とが好ましく、少なくとも4組以上、好ましくは6組以
上が良い。勾配磁束は、整磁板表面の磁束が流れ易い所
(透磁率の高い所)を流れるため、例えば上半分が方向
性で下半分が無方向性のような(もしくはその逆)1組
の交互積層は好ましくない。何故なら、このような積層
ではX、Y勾配磁束は環状突起部を流れる可能性があ
り、勾配磁場の線形性が乱されるからである。この場合
用いる珪素鋼板厚みは0.1mm 〜1mmの間のものでよい。
【0010】渦電流を抑制するため、珪素鋼板は径方向
と周方向に分割する必要がある。周方向には4分割以上
が必要で、好ましくは6分割以上[図3(a)参照]で
ある。径方向には更に渦電流低減のため2分割以上の分
割が好ましい。各珪素鋼板セグメントは積層方向(厚み
方向)の表面は絶縁処理されており、渦電流が流れたと
しても整磁板面内に制限される。また、隣接セグメント
間も絶縁処理されていることが望ましく、整磁板面内周
方向に流れる渦電流を抑制できる。該珪素鋼板の表面絶
縁処理と分割により、渦電流の強度を大幅に低減でき
る。
と周方向に分割する必要がある。周方向には4分割以上
が必要で、好ましくは6分割以上[図3(a)参照]で
ある。径方向には更に渦電流低減のため2分割以上の分
割が好ましい。各珪素鋼板セグメントは積層方向(厚み
方向)の表面は絶縁処理されており、渦電流が流れたと
しても整磁板面内に制限される。また、隣接セグメント
間も絶縁処理されていることが望ましく、整磁板面内周
方向に流れる渦電流を抑制できる。該珪素鋼板の表面絶
縁処理と分割により、渦電流の強度を大幅に低減でき
る。
【0011】本発明において整磁板の環状突起および勾
配コイルの設計条件については従来公知の技術を適応す
ることができる。
配コイルの設計条件については従来公知の技術を適応す
ることができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施態様を実施例を挙げて具
体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。 (実施例)中心磁場が2,000Gの磁石対向型磁気回路で、
径1,000mm の整磁板を使用した。整磁板厚み60mmの内表
層部30mmが珪素鋼板で、残り30mmがベース鉄板である。
表層部珪素鋼板は周方向が8分割、径方向が4分割され
ており、厚み 0.5mmの珪素鋼板を積層した。径配向方向
性珪素鋼板5枚(2.5mmt)と無方向性珪素鋼板5枚(2.5mm
t)を交互に厚み方向に積層して6組(30mmt) で表層部を
形成した。この整磁板にX方向とZ方向に夫々1G/cmに
相当する矩形波状勾配磁場(立ち上がり1msec、パルス
幅5msec、上下の勾配コイルに同じ方向の磁場)を印加
して、均一磁場空間の磁場変化を測定したところ、その
変化の割合は、中心で20ppm であった。
体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。 (実施例)中心磁場が2,000Gの磁石対向型磁気回路で、
径1,000mm の整磁板を使用した。整磁板厚み60mmの内表
層部30mmが珪素鋼板で、残り30mmがベース鉄板である。
表層部珪素鋼板は周方向が8分割、径方向が4分割され
ており、厚み 0.5mmの珪素鋼板を積層した。径配向方向
性珪素鋼板5枚(2.5mmt)と無方向性珪素鋼板5枚(2.5mm
t)を交互に厚み方向に積層して6組(30mmt) で表層部を
形成した。この整磁板にX方向とZ方向に夫々1G/cmに
相当する矩形波状勾配磁場(立ち上がり1msec、パルス
幅5msec、上下の勾配コイルに同じ方向の磁場)を印加
して、均一磁場空間の磁場変化を測定したところ、その
変化の割合は、中心で20ppm であった。
【0013】(比較例)無方向性珪素鋼板のみで表層部
を形成した整磁板に、実施例と同じ磁場を印加してその
変化率を測定したところ 56ppmであった。以上の結果か
ら、方向性珪素鋼板と無方向性珪素鋼板を併用すること
により、渦電流が抑制され磁束が通り易くなったため、
均一空間の磁場変化が小さくなることがわかった。
を形成した整磁板に、実施例と同じ磁場を印加してその
変化率を測定したところ 56ppmであった。以上の結果か
ら、方向性珪素鋼板と無方向性珪素鋼板を併用すること
により、渦電流が抑制され磁束が通り易くなったため、
均一空間の磁場変化が小さくなることがわかった。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば、勾配磁場に対する整磁
板表面の軟磁気特性と、渦電流低減を両立させることが
でき、勾配磁場による整磁板の残留磁化変化の少ない磁
石対向型磁気回路が実現でき、核磁気共鳴断層撮影装置
の画質向上に効果がある。
板表面の軟磁気特性と、渦電流低減を両立させることが
でき、勾配磁場による整磁板の残留磁化変化の少ない磁
石対向型磁気回路が実現でき、核磁気共鳴断層撮影装置
の画質向上に効果がある。
【図1】本発明の磁石対向型磁気回路における整磁板お
よび勾配コイルの配置を示す縦断面図である。
よび勾配コイルの配置を示す縦断面図である。
【図2】本発明の整磁板の一例を示す(a)平面図、
(b)縦断面図である。
(b)縦断面図である。
【図3】本発明の整磁板の別の例を示す(a)平面図、
(b)縦断面図である。
(b)縦断面図である。
【図4】本発明の整磁板内における(a)勾配コイル形
状を示す平面図と(b)勾配磁束の流れを示す縦断面図
である(X方向勾配コイルを表し、Y、Z方向勾配コイ
ルは省略した)。
状を示す平面図と(b)勾配磁束の流れを示す縦断面図
である(X方向勾配コイルを表し、Y、Z方向勾配コイ
ルは省略した)。
【図5】勾配磁場と渦電流の関係を表した説明図であ
る。
る。
【図6】従来の磁石対向型磁気回路を示す斜視図であ
る。
る。
【符号の説明】 1 永久磁石 2 整磁板 3 鉄ヨーク 4 磁場空間 5 環状突起 6 勾配コイル 7 無方向性珪素鋼板 8 方向性珪素
鋼板 9 径配向方向性珪素鋼板 10 周配向方向
性珪素鋼板 11 X勾配コイル → 磁束配向方
向
鋼板 9 径配向方向性珪素鋼板 10 周配向方向
性珪素鋼板 11 X勾配コイル → 磁束配向方
向
Claims (2)
- 【請求項1】一対の磁石を対向させて該磁石空隙表面に
整磁板を設け、これらを継鉄により結合して閉磁路を構
成した永久磁石対向型磁気回路において、該整磁板が鉄
板と珪素鋼板から成る積層鋼板であり、該珪素鋼板は空
隙に面した整磁板表面に配置され、該珪素鋼板は配向方
向が径方向に向いた径配向方向性珪素鋼板と無方向性珪
素鋼板とを、または該径配向方向性珪素鋼板と配向方向
が周方向に向いた周配向方向性珪素鋼板とを、厚み方向
に混在するように積層されて成ることを特徴とする永久
磁石磁気回路。 - 【請求項2】請求項1記載の積層珪素鋼板は、勾配磁束
を通すのに十分な厚みを有し、周方向に4分割以上かつ
径方向に2分割以上分割され、個々の珪素鋼板は隣接珪
素鋼板と電気的に絶縁されていることを特徴とする永久
磁石磁気回路。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP7140974A JP3016544B2 (ja) | 1995-06-08 | 1995-06-08 | 永久磁石磁気回路 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7140974A JP3016544B2 (ja) | 1995-06-08 | 1995-06-08 | 永久磁石磁気回路 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08335511A JPH08335511A (ja) | 1996-12-17 |
JP3016544B2 true JP3016544B2 (ja) | 2000-03-06 |
Family
ID=15281179
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7140974A Expired - Fee Related JP3016544B2 (ja) | 1995-06-08 | 1995-06-08 | 永久磁石磁気回路 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3016544B2 (ja) |
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JP4051301B2 (ja) * | 2003-02-12 | 2008-02-20 | ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー | 円形ポールピースおよびmri装置 |
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US9368272B2 (en) | 2003-02-26 | 2016-06-14 | Analogic Corporation | Shielded power coupling device |
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US9490063B2 (en) | 2003-02-26 | 2016-11-08 | Analogic Corporation | Shielded power coupling device |
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CN102403081B (zh) * | 2010-09-17 | 2015-02-11 | 通用电气公司 | 磁体组件及其制造方法 |
JP2014236827A (ja) * | 2013-06-07 | 2014-12-18 | 株式会社日立メディコ | 磁気共鳴イメージング装置 |
JP6368625B2 (ja) * | 2014-11-18 | 2018-08-01 | 株式会社日立製作所 | 磁気共鳴イメージング装置 |
-
1995
- 1995-06-08 JP JP7140974A patent/JP3016544B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH08335511A (ja) | 1996-12-17 |
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