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JP3095210B2 - 可変案内羽根付き流体機械 - Google Patents

可変案内羽根付き流体機械

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JP3095210B2
JP3095210B2 JP07350630A JP35063095A JP3095210B2 JP 3095210 B2 JP3095210 B2 JP 3095210B2 JP 07350630 A JP07350630 A JP 07350630A JP 35063095 A JP35063095 A JP 35063095A JP 3095210 B2 JP3095210 B2 JP 3095210B2
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flow
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英臣 原田
俊朗 西脇
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Ebara Corp
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  • Control Of Positive-Displacement Air Blowers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、遠心及び斜流形の流体
ポンプ、気体用のブロワ、圧縮機などの流体機械に係
り、特に入口案内羽根及びディフューザ羽根付き流体機
械に関するものである。なお、本明細書では上記流体機
械を総称してポンプと称する。
【0002】
【従来の技術】従来、これらのポンプに、羽根車から流
出する運動エネルギーを効率的に静圧に変換する装置と
してディフューザを取り付ける事がある。その場合、羽
根なしディフューザか、羽根付きディフューザを用いる
が、羽根付きディフューザの場合は、羽根と羽根との間
で形成される流路を拡大流路としてディフューザの役目
を果たすように構成されているものがほとんどあった。
【0003】しかし、最近、羽根の間隔を広げ、円周長
さを羽根枚数で除したピッチよりも羽根長さの短いディ
フューザ羽根を用いると性能が改善されるという報告
(「小弦節比円形翼列ディフューザ」(機械学会論文集
45巻396号、昭54−8等)がなされている。しか
し、これらの報告では羽根は固定のものであった。羽根
角度を換えて実験したものでは(「Experimental Resul
ts on a Rotatable LowSolidity Vaned Diffuser」ASME
paper 92-GT-19)がある。
【0004】また、上記のような従来の遠心及び斜流の
ポンプを設計点以外の低流量域で運転すると、羽根車、
ディフューザなどの構成要素で流れの剥離等が発生し、
これらの原因によって、当該ポンプで発生できる流量に
対する圧力の上昇率が低下して、配管系との不安定現象
(サージング等)が発生してしまい、運転が不能となる
欠点があった。
【0005】この流れの不安定現象について、以下にさ
らに考察する。羽根車から流出する流れの速度ベクトル
は、図1に示すように半径方向の成分と周方向の成分に
分けて示すことができる。ディフューザ内に損失がな
く、流れが非圧縮であると仮定すると、ディフューザ入
口の半径r2と周方向速度成分Vθ2の積r2Vθ2は角運
動量保存の法則に従って出口まで流れるから、ディフュ
ーザ出口の周方向速度成分Vθ3は、 Vθ3=Vθ2・(r2/r3) と表され、ディフューザの半径比分だけ減速される。
【0006】一方、ディフューザ入口の面積A2はディ
フューザ幅をb2とすると、 A2=2πb22 と表され、同様にディフューザ出口の面積A3は、 A3=2πb33 となる。
【0007】ディフューザが羽根なしの平行壁ディフュ
ーザであるとすると、面積比A2/A3は半径比r2/r3
と等しくなる。ディフューザ内に損失がなく、流れが非
圧縮であると仮定すると、質量保存の法則から、ディフ
ューザ出口の半径方向速度成分Vr3は、 Vr3=Vr2・(r2/r3) となる。従って、半径方向速度成分もディフューザの半
径比分だけ減速される事になり、入口流れ角度α2と出
口流れ角度α3は等しくなり、等角螺旋の流れとなる。
【0008】ポンプの流量を減じていくと、羽根車内で
の流体の滑りが流量によってほぼ一定であるとすると、
周方向の速度成分はほとんど変化しないにも係わらず、
半径方向の速度成分はほぼ流量に比例して減少していく
ので、流れ角度は減少する。ポンプの流量を減少する
と、ディフューザ入口で半径方向の速度成分を持ってい
た流れもディフューザ面積の拡大により減速し、質量保
存則が保たれる結果としてディフューザ出口では半径方
向の速度成分が小さい流れになってしまう。
【0009】ディフューザ壁面には境界層があり、主流
の速度よりも速度・エネルギーともに小さい層があるの
で、上述の平均速度で考えた流量で半径方向の速度成分
が正であったとしても、境界層内の流れでは剥離が起こ
り、負の速度成分の流れが発生し、大規模な逆流へと発
達してしまう。この逆流領域は周期的に変動を伴う旋回
失速となり、これがサージング等の大規模な系全体の振
動を発生させる引き金となっている事が明らかにされつ
つある。
【0010】従来の、固定のディフューザ流路を持つポ
ンプでは流量の減少によって発生するディフューザ内の
剥離、逆流を抑制する事は不可能であった。これを改善
するために、ディフューザ幅を可変にする特許(米国特
許4,378,194号、米国特許3,426,964
号、特開昭58−594号、特開昭58−122400
号等)がいくつか出されている。また、ディフューザ羽
根の角度を変えるものとして、特開昭53−11330
8号、特開昭54−119111号、特開昭54−13
3611号、特開昭55−123399号、特開昭55
−125400号、特開昭57−56699号、特開平
3−37397号)が出されている。
【0011】また、流れの不安定化を防止する他の方法
として、ポンプに接続された配管の他にバイパス(送風
機、圧縮機の場合には放風)用の配管を設け、当該ポン
プの不安定現象が発生する流量で、バイパス用配管のバ
ルブを開くことによって、装置側の流量は減少させても
当該ポンプの運転状態は変わらないようにするなどの方
法も採用されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の方法においては、ディフューザ幅を狭くす
る方法では、ディフューザ壁面の摩擦損失が大きくな
り、ディフューザ性能が大幅に低下するので、このよう
な機構は使用できる流量範囲が限定されるという欠点が
ある。
【0013】また、従来までのディフューザ羽根角度を
変える方法では、設計点付近の流れを最適に制御するの
が目的であったので、サージングが発生する流量あるい
はそれ以下の流量まで制御できるものではなく、さらに
ディフューザ羽根角度を決定する方法は明らかにされて
いなかった。
【0014】ディフューザの羽根角度を決定する方法と
しては、特開平4−81598があるが、これも設計点
近傍の流れについてディフューザ羽根角度を概念的に決
定する方法を示したに過ぎず、締切流量までの範囲でデ
ィフューザ羽根角度を決定する具体的な方法は明らかに
されていなかった。
【0015】ディフューザ羽根を分割して前方部分のデ
ィフューザ羽根だけを可変にした米国特許3,957,
392号があるが、この方法でも締切流量までの制御は
不可能であった。
【0016】また、配管にバイパスを設ける方法では、
装置側で不安定現象を回避するために、ポンプの不安定
現象発生点の流量を予め決めておき、その流量になった
ときにバイパス用配管のバルブを開く制御を行わなけれ
ばならない。従って、この方法では、ポンプの不安定現
象発生点流量を正確に把握できないと装置全体の制御が
正確にできず、さらに、ポンプの回転速度を変えたとき
の特性も正確に把握しておかなければ装置全体の制御が
正確にできないので、ポンプの流量を連続的に変化させ
るような運転の場合はそれに追随できないなどの欠点が
あった。
【0017】また、バイパス用配管のバルブを開くこと
により不安定現象発生点を回避することはできても、ポ
ンプ自体は高負荷で運転されている状態にあり、ポンプ
に不必要な運転をさせることになり、省エネルギーの観
点から問題が多かった。さらにバイパス用配管やバルブ
がコスト高になる欠点があった。
【0018】本発明は上述の事情に鑑みなされたもの
で、流体機械を設計点流量以下の流量域で運転したとき
に発生する不安定現象を回避して、流体機械を広い流量
範囲で運転できる可変案内羽根付き流体機械を提供する
ことを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ため、本発明は、次に示す3つの手段によってディフュ
ーザ内で発生する流れの変動を抑制し、従来サージング
が発生して運転不能であった小流量領域まで運転を可能
とする。
【0020】本願請求項1の発明は、ディフューザ羽根
を具備した流体機械において、流体機械の吸込流量を検
出する検出装置と、吸込流量とディフューザ羽根角度と
の下記の関係に基づいて、前記検出装置によって検出さ
れた吸込流量からディフューザ羽根角度を制御する制御
装置とを備えたもので、その関係は、 α=arctan(Q/(KN−KQ)) (1) ここにおける記号は以下の通りである。 α:ディフューザ羽根角度 Q:吸込流量 K=(πDσbB:定数 N:回転数 K=cotβ:定数 σ:すべり係数 β:周方向からの羽根出口角度 D:羽根車外径 b:羽根車出口幅 B:ブロッケージ係数 ここにおいて、機械の回転数Nが変化する場合には、さ
らに回転数を検出する検出装置を設け、この検出値に基
づき、上記関数により羽根角度を制御するようにしても
よい。
【0021】また、請求項の発明は、ディフューザ羽
根を具備した流体機械において、流体機械の吸込流量を
検出する検出装置、および入口、出口の圧力比を検出す
る検出装置と、吸込流量及び圧力比とディフューザ羽根
角度との下記の関係に基づいて、前記検出装置によって
検出された吸込流量及び圧力比からディフューザ羽根角
度を制御する制御装置とを備えたものである。
【数3】ここにおける記号は以下の通りである。 α:ディフューザ羽根角度 Q:吸込流量 K=(πDσbB:定数 N:回転数 K=cotβ:定数 P:圧縮機入口出口圧力比 κ:比熱比 σ:すべり係数 β:周方向からの羽根出口角度 D:羽根車外径 b:羽根車出口幅 B:ブロッケージ係数 ここにおいて、機械の回転数Nが変化する場合には、さ
らに回転数を検出する検出装置を設け、この検出値に基
づき、上記関数により羽根角度を制御するようにしても
よい。また、制御を流体機械の最大流量から締切流量ま
で行うようにしてもよい。
【0022】このような請求項1または2の発明の構成
は、以下のような考察に基づくものである。図2は、流
体機械(圧縮機)の羽根車出口の状態を示す模式図であ
る。羽根車2から流出する流体の流れ方向をa(設計流
量)、b(小流量)、c(大流量)の矢印で示す。この
図から明らかなように、設計点以外の大流量ではディフ
ューザ3の羽根3aの負圧面側、小流量ではディフュー
ザ3の羽根3aの圧力面側に衝突する流れとなり、流れ
が剥離して図3(無次元流量とディフューザ損失との関
係を示す図)に示すようにディフューザでの損失が増大
する。その結果、圧縮機の全体性能は図4(無次元流量
と無次元ヘッド係数との関係を示す図)に示すようにな
り、設計点より小流量側で右上がりな特性(不安定)が
現れるようになるばかりでなく、ある流量でサージング
が発生し、配管での圧力変動が大きくなり、運転ができ
なくなる。
【0023】これらの現象を回避するためには、ディフ
ューザ羽根の角度を可変とし、この角度を羽根車から流
出する流れの方向に一致するように制御すれば良いと考
えられる。以下にその方法を示す。羽根車出口の流量を
2、羽根車外径をD2、羽根車出口幅をb2、羽根車出
口部のブロッケージ係数をBとすると、羽根車出口の半
径方向速度成分Cm2は、 Cm2=Q2/(πD22B) (3) と表せる。流体が非圧縮であると仮定すると、Q2は入
口流量Qと等しいので、 Cm2=Q/(πD22B) (4) となる。
【0024】なお、ディフューザ内に流体が流れる場
合、実際の流れでは境界層のために壁面近くの速度は主
流に比べて小さくなる。主流の速度をU、境界層内の速
度をuとして境界層内の速度が主流の速度より遅いため
に不足する流量は、
【数4】 で表される。排除厚さをδ* としてこの厚さ部分に、主
流速度Uと等しい流れが流れたとした場合の流量はUδ
* と表される。両者は等しいので境界層の排除厚さは、
【数5】 と表される。(例えば、「流体力学(2)」(コロナ
社)、「内部流れの力学」(養賢堂))
【0025】一般には、この排除厚さによる流路幅の減
少分を考慮して流路断面内の平均速度を計算するが、流
体機械の場合、羽根車から流出する流れは流路幅方向に
均一ではなく(例えば、日本機械学会論文集44巻38
4号、「遠心羽根車の相対速度分布と性能に関する研
究」図20)、主流の速度より遅い領域は、境界層によ
る厚さより更に大きくなる。従って、幾何学上の流路幅
に対して、境界層及び速度の歪みによる流路幅の修正を
行わなければ流路断面内速度が過小評価され、それに基
づいて計算される流れの角度も誤差が大きくなる。そこ
で本発明ではこの流路幅の修正量としてブロッケージ係
数を考慮にいれた。
【0026】このブロッケージ係数が流量に対しては一
様でないことは、上記文献等でも明らかである。従っ
て、流量に対して変化するブロッケージ係数がある程度
つかめなければ羽根車出口での流れ角度を決定すること
はできない。そこで、ある流体機械の本体や配管に圧
力、温度あるいは振動や音などの物理量を検出する手段
を設置し、流量とディフューザ羽根角度を調整しながら
最も振動の少ない時の羽根角度を求め、このデータと本
発明の式をもとにして、逆にブロッケージ係数を逆算し
た。この求め方によれば、上記式が正しい場合には、流
量とブロッケージ係数の間に一定の物理的な意味のある
関係が得られると考えられる。
【0027】図5はそのようにして求めたブロッケージ
係数と流量の関係である。ここでは、上記文献の値と対
比させるために(1−B)を用いて整理して、横軸を設
計流量に対する無次元流量を取って示した。この結果に
よると、本発明によるブロッケージ係数は上記文献の結
果とは傾向が異なり、流量比にほぼ比例して変化するこ
とが明らかとなった。
【0028】この直線の傾きは羽根車の種類によって異
なるが、傾向は同じとなると考えられるので、機種ごと
にこの直線の傾きを決定しておけば、流量の変化に対し
てこの直線からブロッケージ係数を求め、吸い込み流量
とから羽根車出口の流れ角度を正確に決定することがで
きる。
【0029】上記ブロッケージ係数を吸込流量Qの関数
として与えるようにしてもよい。 また、上記ブロッケー
ジ係数を吸込流量Qに対して直線的な関係を持つように
してもよい。
【0030】一方、羽根車出口の周方向速度成分Cu2
は、すべり係数をσ、周方向からの羽根車出口角度をβ
2、羽根車周速度をU2とすると、 Cu2=σU2−Cm2cotβ2 (5) と表せる。従って、羽根車出口の流れ角、すなわちディ
フューザの羽根角度αは、 α=arctan(Cm2/Cu2) =arctan(Q/(πσD222B−Qcotβ2)) (6) となる。ここで、 K1=(πD22σb2B, K2=cotβ2 (7) と置き、Nを回転数とすると、 α=arctan(Q/(K1N−K2Q)) (8) となる。一方、圧縮性流体の場合、羽根車出口流量Q2
は、圧縮機入口・出口の圧力比をPr、比熱比をκとす
ると、簡便的に、
【数6】 と表せる。従って、
【数7】 となるので、(5),(10)式から羽根車出口流れ角
すなわちディフューザ羽根角αは、
【数8】 となる。
【0031】このようにして、非圧縮性流体を扱う流体
機械では吸込流量及び回転数、圧縮性流体を扱う機械で
は吸込流量、回転数と入口、出口の圧力比を検出する検
出装置によってディフューザ流れ角度を算出して、ディ
フューザ羽根を流れ角度に一致するように制御すること
によって、流れの剥離を抑制してサージングを回避する
ことができる。そして、このようにディフューザ羽根角
度の決定を流体機械の諸元をパラメータとして算出する
ので、寸法や形状が異なる流体機械であっても統一的に
適用することができる。従って、異なる機種毎に実験を
繰り返すことなく、流量に応じた適切なディフューザ羽
根角度を例えば機械の制御装置に予めインプットしてお
くことができる。
【0032】また、ディフューザ羽根を具備した流体機
械において、流体機械の吸込流量を検出する検出装置
と、この吸込流量及び、予め求められた吸込流量とディ
フューザ羽根間の面積との関係に基づいて、ディフュー
ザ羽根間の面積を制御するようにしてもよい。
【0033】この発明の基本的考え方は、以下の通りで
ある。ディフューザ羽根間で形成される面積をAとす
る。この面積を通過する速度は、羽根車の出口絶対速度
をCとし、羽根車からディフューザ羽根までの区間での
減速割合を減速係数をK1としてK1Cと表される。ここ
でCは羽根車出口半径方向速度成分をCm2 、周方向速
度成分をCu2とすると、
【数9】 と表される。この羽根と羽根の間を通過する流量Q
2は、 Q2=K1CA (13 ) と表される。周方向速度成分Cu2は(5)式と同様
に、 Cu2=σU2−Cm2cotβ2 (14 ) と表される。
【0034】従って、Q2 は、
【数10】 となる。一方、Q2は(3)式から、 Q2=πD22B・Cm2 (16 ) と表されるので、羽根車出口半径方向速度成分Cm2は Cm2=Q/πD22B (17 ) 従って、
【数11】 となる。
【0035】ここで、 K2=πD22B (19 ) K3=(K2σπD22 (20 ) K4=2K2σπD2cotβ2 (21 ) K5=1+cot2β2 (22 ) とおき、流体が非圧縮であり、吸込流量をQ、回転数を
Nとすると、面積Aは、
【数12】 と表すことができる。圧縮性流体の場合には、圧縮機入
口出口の圧力比をPr、比熱比をκとすると、羽根車出
口の流量は簡便的に、
【数13】 となる。
【0036】この式を用いて、図5で示した実際の圧縮
機の実験結果から面積を計算した結果と、後述する図1
2ないし24のディフューザ羽根間の面積を比較して、
図11に横軸に設計点流量との流量比、縦軸にディフュ
ーザ取付け半径位置での面積との面積比で示した。ここ
で、実線は計算値、○印は実測した面積を示す。両者は
良く一致する。
【0037】請求項1または2の上記手段により、吸込
流量回転数及び入口、出口の圧力比によって決定される
上記関数に従ってディフューザ羽根角度を制御すること
により、不安定状態を回避しながら運転できる。さら
に、回転数を制御できる場合には、ディフューザ羽根を
制御した時に、ヘッドが所定値を満足しない場合は、回
転数を制御して不安定状態を回避しながら運転できる。
また、ディフューザ羽根を具備した流体機械において、
流体機械の吸込流量を検出する検出装置と、この吸込流
量及び、予め求められた吸込流量とディフューザ羽根間
の面積との関係に基づいて、ディフューザ羽根間の面積
を制御する制御装置とを備え、吸込流量によって決定さ
れるディフューザ羽根間の面積を制御することとすれ
、不安定状態を回避しながら運転することができる。
【0038】ィフューザ羽根を具備した流体機械にお
いて、流体機械の吸込流量を検出する検出装置と、この
検出装置によって検出された吸込流量からディフューザ
羽根角度及びディフーザ羽根の間の面積を並行して制御
する制御装置とを備えるようにしてもよく、このように
羽根角度と面積を同時に制御することとすれば、不安定
状態を回避しながら運転することができる。
【0039】ディフューザ羽根を具備した流体機械にお
いて、流体機械の吸込流量及び回転数を検出する検出装
置と、入口、出口の圧力比を検出する検出装置と、これ
らの検出装置によって検出された吸込流量、回転数及び
圧力比からディフューザ羽根角度及びディフーザ羽根の
間の面積を並行して制御する制御装置とを備えるように
してもよい。 また、上記制御を流体機械の最大流量から
締切流量まで行うようにしてもよい。
【0040】
【実施例】以下、本発明に係る可変案内羽根付き流体機
械の実施例を、図面を参照して説明する。
【0041】図6は、本発明が適用される単段遠心圧縮
機を示す縦断面図である。この図に示されるように、羽
根車2の下流にあるディフューザ3のディフューザ羽根
3aは、複数の歯車4を介してアクチュエータ5に連結
されている。また、圧縮機の吸込側には、吸込流量を検
出する検出装置6、回転数を検出する検出装置8、入口
・出口の圧力比を検出する検出装置9が設置されてい
る。アクチュエータ5は制御装置7に接続されており、
ディフューザ羽根3aの羽根角度が可変になっている。
また、10は入口案内羽根であり、これを開閉すること
により、回転数を変えずに流体機械の流量を調整できる
ようになっている。このように、本発明では入口案内羽
根10があっても問題なく扱える。また、モータが定回
転で駆動される場合には回転検出装置8はなくてもかま
わない。
【0042】この制御装置7は、検出装置6,8,9か
らの入力信号と、予め入力されている関係式に基づい
て、アクチュエータ5に駆動信号を出力し、ディフュー
ザ羽根の角度を制御する。この関係式は、前述した解析
をもとに、以下のように設定されている。すなわち、流
体機械で処理する流体が非圧縮性の場合は、 α=arctan(Q/(K1N−K2Q)) (1 ) と設定され、流体が圧縮性である場合には、
【数14】 と設定されている。ここにおける記号は以下の通りであ
る。 α:ディフューザ羽根角度 Q:吸込流量 K1=(πD22σb2B:定数 N:回転数 K2=cotβ2:定数 σ:すべり係数 β2:周方向からの羽根出口角度 D2:羽根車外径 b2:羽根車出口幅 B:ブロッケージ係数 ここにおいてブロッケージ係数Bは流量Qによって変わ
るもので、図5の関係に基づいて与えられている。この
ように羽根角度を制御することにより、ディフューザ羽
根3aでの損失を図3の破線で示すように低減させるこ
とができる。その結果、圧縮機の全体性能を図4の破線
で示すように向上させることができ、不安定現象を回避
して安定した特性が得られる。
【0043】回転数を制御できる制御装置を有する場合
には、式(1)又は(2)の吸込流量によって決定され
るディフューザ羽根角度に従って、ディフューザ羽根3
aを制御し、ヘッドが所定値を満足しない場合は、回転
数をも制御して不安定状態を回避しながら運転できる。
図7は、図6に示した圧縮機を用いて、実験的に流量を
変えて運転し、サージングを回避できるディフューザ羽
根の羽根角度と、その条件で(2)式で求められる角度
との差を示すもので、流量係数を横軸にとって示した。
この式から本発明の設定した式が有効であることがわか
る。
【0044】図中の○印は、羽根車の周速度と圧縮機入
口の音速との比(以下、「周速マッハ数」とする。)が
0.87で、入口案内羽根の角度が0度(全開)の時の
結果を、△印は周速マッハ数が0.87で、入口案内羽
根の角度が60度の時の結果を、□印は周速マッハ数が
1.21で、入口案内羽根の角度が0度の時の結果をそ
れぞれ示す。これらの結果から、羽根車の周速度すなわ
ち回転数によらず、また、入口案内羽根によって羽根車
の入口に流れの旋回が与えられている、いないにかかわ
らず、本発明の式によってディフューザの羽根角度が決
定できることがわかる。また、図8は、本発明の(2)
式のディフューザ羽根角度を流量係数に対してプロット
したもので、2次曲線で近似することが可能である。
【0045】図9は、本発明の可変案内羽根付き流体機
械の処理手順を示すフローチャートである。図9に示さ
れるように、回転数制御をする場合には、ステップ1で
回転数設定を行う。なお、回転数制御をしない場合に
は、次のステップに進む。次に、ステップ2で吸込流量
を、さらに必要に応じて入口、出口の圧力比を測定し、
ステップ3で、式(1)又は(2)に示す関係よりディ
フューザ羽根角度を決定する。そして、ステップ4でデ
ィフューザ羽根角度の変更を行う。なお、回転数制御を
行う場合には、ステップ5でヘッドが所定値を満足する
か否かを判定し、満足しない場合にはステップ1に戻
る。
【0046】図10に、従来のディフューザ羽根を固定
した装置での全体性能と、本発明による装置での性能の
比較を示す。本発明による装置の性能は従来のものに比
べて、締切り流量付近まで安定して運転できることがわ
かる。
【0047】図11は、この発明の他の実施例の制御方
法を説明するためのもので、対象となる装置は図6に示
すものと同様であるので、説明を省く。この実施例で
は、ディフューザ羽根角度を吸込流量によって制御し
て、羽根と羽根の間で形成される面積を変化させるもの
である。この図11のグラフの求め方は、先に説明した
通りである。このような制御方法によって、設計点流量
以下の流量でディフューザ出口で半径方向速度が負にな
らず、過大な損失も生じる事がなく不安定状態を回避し
ながら運転できる。
【0048】図12ないし図16に、平板ディフューザ
羽根の角度を種々変えたときの形状と、羽根と羽根の間
に構成される開口部の形状を図示し、開口部の大きさを
円で示した。図17ないし図20は翼形を用いた場合
を、図21ないし図24は円弧翼を用いた場合をそれぞ
れ示す。開口部の面積は羽根の厚さだけに関係し、前述
した平板、翼形、円弧翼ともほぼ同じ傾向を持つので、
翼の形状にはよらない。
【0049】これらの実施例においては、ディフューザ
羽根の長さが、ディフューザ羽根取付け半径における円
周長さをディフューザ羽根枚数で除した長さとほぼ等し
いかやや長くなっており、羽根を円周の接線方向に並ぶ
ように回転させたときに、隣接する2つの羽根の前縁と
後縁が重なるようになっている。また、ディフューザ羽
根を可変にするための支点の半径方向の位置は羽根車半
径の1.08倍から1.65倍の範囲にあるようになって
いる。そして、ディフューザ羽根の前縁から支点までの
長さは、ディフューザ羽根の全長の20%から50%に
設定されている。
【0050】図11は、ディフューザ入口半径(rV
での面積2πrv2と、図12から図24に示したディ
フューザ羽根間の開口部との面積比の関係を図示したも
ので、流量によって、ほぼ直線的に面積比が変化する事
がわかる。この面積比は羽根の厚さだけに関係し、前述
した平板、翼形、円弧翼ともほぼ同じ傾向を持つので、
翼形状にはよらない。図11において示したディフュー
ザ入口半径(rv)での面積2πrv2と、ディフュー
ザ羽根間の開口部との面積比と設計流量(Qd)との流
量比の関係から流量によるディフューザ開口部の面積を
決定することができる。
【0051】図24は、ディフューザ羽根角度がある角
度の時のディフューザ入口(羽根車出口)からディフュ
ーザ出口までの絶対速度のベクトルと、半径方向及び周
方向の各速度成分ベクトルを図示したものである。図中
の破線は、ディフューザに羽根が取り付けられていない
羽根なしディフューザでの状態を示す。
【0052】羽根入口部では、流量が少ないために半径
方向の速度ベクトルは小さく、このまま羽根なしの状態
でディフューザ出口まで流れれば減速によりディフュー
ザ半径比分だけ減速された流れとなる(図中の破線)。
この図では平均速度として示してあるので逆流が発生し
ていないが、実際の流れでは境界層が有るために壁面近
くでは流れが剥離して逆流が発生する。
【0053】羽根車から流失した流れが羽根間の開口部
に到達すると流路部が絞られるため、図11に示した面
積比に従って流れの加速が生じ、流れ角度が入口よりも
大となる。この部分の速度は図の実線で示した流路のほ
ぼ垂直のベクトルとして表され、その大きさは質量保存
則から決定される。
【0054】この図から明らかなように、半径方向の速
度ベクトルは流路部の面積減少による加速によって、入
口部より数倍大きくなり下流で逆流が起きにくくなる。
その結果、流量が減少したことによるディフューザでの
不安定流れを解消することが可能となる。
【0055】さらに本発明では、ディフューザ羽根角度
と面積を同時に変えることができるので、低流量で発生
するディフューザ内での逆流をさらに効果的に抑制して
サージングを回避して運転することが可能である。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
流体機械を設計点流量以下の流量域で運転したときに発
生するサージング等の不安定現象を回避して、流体機械
を広い流量範囲で運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】羽根なしディフューザ内の流れの説明図であ
る。
【図2】羽根車出口の流体の状態を示す模式図である。
【図3】無次元流量とディフューザ損失との関係を示す
図である。
【図4】無次元流量と無次元ヘッド係数との関係を示す
図である。
【図5】ブロッケージ係数と流量の関係を示すグラフで
ある。
【図6】本発明の可変案内羽根付き流体機械の一例であ
る単段遠心圧縮機を示す縦断面図である。
【図7】図5に示した圧縮機を用いて、実験的に流量を
変えて運転し、サージングを回避できるディフューザ羽
根の羽根角度と、その条件で(2)式で求められる角度
との差を示す図である。
【図8】本発明の(2)式のディフューザ羽根角度を流
量に対してプロットしたグラフである。
【図9】本発明の可変案内羽根付き流体機械の処理手順
を示すフローチャートである。
【図10】無次元流量と効率及びヘッド係数との関係を
示す図である。
【図11】流体機械の設計点の吸込流量との吸込流量比
に対して、ディフューザ羽根が取り付けられている半径
での面積とディフューザ羽根間の開口部との面積比の関
係を示すものである。
【図12】平板状のディフューザ羽根の角度が0度の時
の羽根形状と、羽根と羽根の間に構成される開口部の形
状を示す図である。
【図13】平板状のディフューザ羽根の角度が10度の
時の羽根形状と、羽根と羽根の間に構成される開口部の
形状を示す図である。
【図14】平板状のディフューザ羽根の角度が20度の
時の羽根形状と、羽根と羽根の間に構成される開口部の
形状を示す図である。
【図15】 平板状のディフューザ羽根の角度が40度
の時の羽根形状と、羽根と羽根の間に構成される開口部
の形状を示す図である。
【図16】平板状のディフューザ羽根の角度が60度の
時の羽根形状と、羽根と羽根の間に構成される開口部の
形状を示す図である。
【図17】翼形状のディフューザ羽根の角度が10度の
ときの羽根形状と、羽根と羽根の間に構成される開口部
の形状を示す図である。
【図18】翼形状のディフューザ羽根の角度が20度の
ときの羽根形状と、羽根と羽根の間に構成される開口部
の形状を示す図である。
【図19】翼形状のディフューザ羽根の角度が40度の
ときの羽根形状と、羽根と羽根の間に構成される開口部
の形状を示す図である。
【図20】翼形状のディフューザ羽根の角度が60度の
ときの羽根形状と、羽根と羽根の間に構成される開口部
の形状を示す図である。
【図21】円弧翼状のディフューザ羽根の角度が10度
のときの羽根形状と、羽根と羽根の間に構成される開口
部の形状を示す図である。
【図22】円弧翼状のディフューザ羽根の角度が20度
のときの羽根形状と、羽根と羽根の間に構成される開口
部の形状を示す図である。
【図23】円弧翼状のディフューザ羽根の角度が40度
のときの羽根形状と、羽根と羽根の間に構成される開口
部の形状を示す図である。
【図24】円弧翼状のディフューザ羽根の角度が60度
のときの羽根形状と、羽根と羽根の間に構成される開口
部の形状を示す図である。
【図25】ディフューザ羽根角度がある角度の時のディ
フューザ入口(羽根車出口)からディフューザ出口まで
の絶対速度のベクトルと、半径方向及び周方向の各速度
成分ベクトルを示した図である。
【符号の説明】
2 羽根車 3 ディフューザ部 3a ディフューザ羽根 4 歯車 5 アクチュエータ 6 検出装置 7 制御装置 8,9 検出装置 10 入口案内羽根
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04D 27/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディフューザ羽根を具備した流体機械に
    おいて、流体機械の吸込流量を検出する検出装置と、吸
    込流量とディフューザ羽根角度との下記の関係に基づい
    て、前記検出装置によって検出された吸込流量からディ
    フューザ羽根角度を制御する制御装置とを備えたことを
    特徴とする可変案内羽根付き流体機械。【数1】 α=arctan(Q/(KN−KQ)) ここにおける記号は以下の通りである。 α:ディフューザ羽根角度 Q:吸込流量 K=(πDσbB:定数 N:回転数 K=cotβ:定数 σ:すべり係数 β:周方向からの羽根出口角度 D:羽根車外径 b:羽根車出口幅 B:ブロッケージ係数
  2. 【請求項2】 ディフューザ羽根を具備した流体機械に
    おいて、流体機械の吸込流量を検出する検出装置、およ
    び入口、出口の圧力比を検出する検出装置と、吸込流量
    及び圧力比とディフューザ羽根角度との下記の関係に基
    づいて、前記検出装置によって検出された吸込流量及び
    圧力比からディフューザ羽根角度を制御する制御装置と
    を備えたことを特徴とする可変案内羽根付き流体機械。【数2】 α=arctan((1/P1/κQ/
    (KN−(1/P1/κQ)) ここにおける記号は以下の通りである。 α:ディフューザ羽根角度 Q:吸込流量 K=(πDσbB:定数 N:回転数 K=cotβ:定数 P:圧縮機入口出口圧力比 κ:比熱比 σ:すべり係数 β:周方向からの羽根出口角度 D:羽根車外径 b:羽根車出口幅 B:ブロッケージ係数
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