JP3089424B2 - 強靭非調質鋼の製造方法 - Google Patents
強靭非調質鋼の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は熱間鍛造後、焼入れ、焼きもどし等の熱処理
を行わず非調質のままで引張強さ90kgf/mm2以上、シャ
ルピー衝撃値8kgf/mm2以上の高強度、高靱性を有し、特
に高強度と高靱性を必要とする自動車の足廻り部品に用
いられる鋼として有用な強靱非調質鋼の製造方法に関す
る。
を行わず非調質のままで引張強さ90kgf/mm2以上、シャ
ルピー衝撃値8kgf/mm2以上の高強度、高靱性を有し、特
に高強度と高靱性を必要とする自動車の足廻り部品に用
いられる鋼として有用な強靱非調質鋼の製造方法に関す
る。
[従来の技術] 従来、ステアリングナックル、アッパーアーム等の自
動車の足廻り部品または建設機械等の大形部品に用いら
れる鋼には、高強度と高靱性が要求され、機械製造用合
金鋼であるSCM440あるいはSCr440が用いられ、熱間鍛造
により成形後、高強度、高靱性を付与させるため焼入れ
焼きもどし等の熱処理(以下調質と称する。)が施され
ていた。
動車の足廻り部品または建設機械等の大形部品に用いら
れる鋼には、高強度と高靱性が要求され、機械製造用合
金鋼であるSCM440あるいはSCr440が用いられ、熱間鍛造
により成形後、高強度、高靱性を付与させるため焼入れ
焼きもどし等の熱処理(以下調質と称する。)が施され
ていた。
しかしこれらの熱処理工程はかなり高価であり、熱処
理工程を省略できれば、大幅なコスト低減が図られ、省
エネルギーの社会的要請に応えることができる。そこで
熱間鍛造のままで使用することのできる非調質鋼の開発
が近年盛んに行われている。
理工程を省略できれば、大幅なコスト低減が図られ、省
エネルギーの社会的要請に応えることができる。そこで
熱間鍛造のままで使用することのできる非調質鋼の開発
が近年盛んに行われている。
例えば、Cを0.30〜0.50%含有する中炭素鋼、あるい
はMn鋼に0.03〜0.20%のVを添加したフェライト−パー
ライト型の非調質鋼が提案されている。この非調質鋼は
熱間鍛造後の冷却過程でVの炭窒化物が析出し、このV
炭窒化物がフェライト生地を強化するものである。
はMn鋼に0.03〜0.20%のVを添加したフェライト−パー
ライト型の非調質鋼が提案されている。この非調質鋼は
熱間鍛造後の冷却過程でVの炭窒化物が析出し、このV
炭窒化物がフェライト生地を強化するものである。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら従来開発された非調質鋼は、粗大なフェ
ライト・パーライト組織を有するものであり、靱性は中
炭素鋼の調質材と同等の性能が得られるが、SCM440等の
性能には遠く及ばない。一方、C含有量を低下させると
ともに合金元素を増加したベイナイト型の非調質鋼が提
案されているが、強度および靱性が不足し、未だ不十分
な結果しか得られていない。特に、小さな部品では靱性
が確保できるが、大きな部品になると靱性が不足するの
で、未だ実用化には至っていない。
ライト・パーライト組織を有するものであり、靱性は中
炭素鋼の調質材と同等の性能が得られるが、SCM440等の
性能には遠く及ばない。一方、C含有量を低下させると
ともに合金元素を増加したベイナイト型の非調質鋼が提
案されているが、強度および靱性が不足し、未だ不十分
な結果しか得られていない。特に、小さな部品では靱性
が確保できるが、大きな部品になると靱性が不足するの
で、未だ実用化には至っていない。
本発明は従来の非調質鋼の前記のごとき問題点に鑑み
てなされたもので、非調質でSCM440またはSCr440以上の
引張強さおよび衝撃値を得ることができ、強度および靱
性等の性能の高い強靱非調質鋼の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
てなされたもので、非調質でSCM440またはSCr440以上の
引張強さおよび衝撃値を得ることができ、強度および靱
性等の性能の高い強靱非調質鋼の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
[課題を解決するための手段] 発明者等は現状のベイナイト型非調質鋼が何故強度お
よび靱性が出ないのかその原因について鋭意研究を重ね
た。その結果、ベイナイト鋼の場合、小型の部品であっ
て冷却速度が十分に速いと、強度および靱性ともに優れ
たものが得られるが、部品が大型になり冷却速度が遅く
なると、ベイナイトラスの間隔が大きい粗い組織とな
り、十分な強度と靱性が得られなくなることが判明し
た。
よび靱性が出ないのかその原因について鋭意研究を重ね
た。その結果、ベイナイト鋼の場合、小型の部品であっ
て冷却速度が十分に速いと、強度および靱性ともに優れ
たものが得られるが、部品が大型になり冷却速度が遅く
なると、ベイナイトラスの間隔が大きい粗い組織とな
り、十分な強度と靱性が得られなくなることが判明し
た。
そこで、ベイナイトラス間隔の大きいベイナイト組織
を、細かい組織にするための種々の方策について研究を
重ねた。この粗い組織はベイナイトラスと未変態のオー
ステナイトの混合組織からなるが、発明者等は熱間鍛造
後の700℃から500℃まで、および500℃から300℃までの
冷却速度を制御することにより、この未変態のオーステ
ナイトが細かい炭化物とフェライトに分解し易くなり、
ベイナイトラス間隔の細かく詰まった組織が得られ、強
度および衝撃値を著しく改善出来ることを見出だした。
を、細かい組織にするための種々の方策について研究を
重ねた。この粗い組織はベイナイトラスと未変態のオー
ステナイトの混合組織からなるが、発明者等は熱間鍛造
後の700℃から500℃まで、および500℃から300℃までの
冷却速度を制御することにより、この未変態のオーステ
ナイトが細かい炭化物とフェライトに分解し易くなり、
ベイナイトラス間隔の細かく詰まった組織が得られ、強
度および衝撃値を著しく改善出来ることを見出だした。
また、本発明方法で使用される鋼の特徴としては、第
1に低炭素化により靱性を向上させたこと、第2にMn、
Cr、Moの添加により焼入性を向上させ、熱間鍛造後放冷
するだけで強度と靱性の優れたベイナイト組織を得たこ
とである。さらに、第3としてベイナイト組織は一般的
に加熱後の冷却速度が変化すると強度および靱性も変化
し、扱いにくい組織であったが、これにVを添加するこ
とにより、冷却速度の変化に対する強度および靱性の変
化を小さくしたことである。
1に低炭素化により靱性を向上させたこと、第2にMn、
Cr、Moの添加により焼入性を向上させ、熱間鍛造後放冷
するだけで強度と靱性の優れたベイナイト組織を得たこ
とである。さらに、第3としてベイナイト組織は一般的
に加熱後の冷却速度が変化すると強度および靱性も変化
し、扱いにくい組織であったが、これにVを添加するこ
とにより、冷却速度の変化に対する強度および靱性の変
化を小さくしたことである。
本発明の強靱非調質鋼の製造方法は前記のごとき知見
に基づき完成されたものであって、第1発明として、重
量比でC;0.05〜0.20%、Si;0.10〜0.50%、Mn;1.50〜2.
50%、Cr;0.30〜1.50%、Mo;0.50〜0.30%、V;0.05〜0.
30%を含有し、残部がFeおよび不純物元素からなる鋼
を、熱間鍛造後700℃から500℃までを10℃/分以上の冷
却速度で冷却し、500℃から300℃までを10℃〜200℃/
分の冷却速度で冷却することを要旨とする。
に基づき完成されたものであって、第1発明として、重
量比でC;0.05〜0.20%、Si;0.10〜0.50%、Mn;1.50〜2.
50%、Cr;0.30〜1.50%、Mo;0.50〜0.30%、V;0.05〜0.
30%を含有し、残部がFeおよび不純物元素からなる鋼
を、熱間鍛造後700℃から500℃までを10℃/分以上の冷
却速度で冷却し、500℃から300℃までを10℃〜200℃/
分の冷却速度で冷却することを要旨とする。
さらに、第2発明は第1発明の切削性を改善するた
め、さらにS;0.04〜0.12%、Pb;0.05〜0.30%、Ca;0.00
05〜0.0100%のうち1種または2種以上を含有した鋼
を、また第3発明は第1発明の靱性をさらに改善するた
め、Ni;0.20〜2.0%を含有した鋼を、第4発明は第1発
明の切削性と併せて靱性を改善するため、さらにNi;0.2
0〜2.0%と、S;0.04〜0.12%、Pb;0.05〜0.30%、Ca;0.
0005〜0.0100%のうち1種または2種以上を含有した鋼
を、それぞれ熱間鍛造後700℃から500℃までを10℃/分
以上の冷却速度で冷却し、500℃から300℃までを10℃〜
200℃/分の冷却速度で冷却することを要旨とするもの
である。
め、さらにS;0.04〜0.12%、Pb;0.05〜0.30%、Ca;0.00
05〜0.0100%のうち1種または2種以上を含有した鋼
を、また第3発明は第1発明の靱性をさらに改善するた
め、Ni;0.20〜2.0%を含有した鋼を、第4発明は第1発
明の切削性と併せて靱性を改善するため、さらにNi;0.2
0〜2.0%と、S;0.04〜0.12%、Pb;0.05〜0.30%、Ca;0.
0005〜0.0100%のうち1種または2種以上を含有した鋼
を、それぞれ熱間鍛造後700℃から500℃までを10℃/分
以上の冷却速度で冷却し、500℃から300℃までを10℃〜
200℃/分の冷却速度で冷却することを要旨とするもの
である。
[作用] 本発明の強靱非調質鋼の製造方法においては、熱間鍛
造後の700℃から500℃までの冷却速度を、10℃/分以上
としてので、ポリゴナルフェライトの析出を防止するこ
とができる。700℃から500℃までの冷却速度を10℃/分
以上としたのは、10℃未満になるとポリゴナルフェライ
トか析出し、強度が低下するからである。
造後の700℃から500℃までの冷却速度を、10℃/分以上
としてので、ポリゴナルフェライトの析出を防止するこ
とができる。700℃から500℃までの冷却速度を10℃/分
以上としたのは、10℃未満になるとポリゴナルフェライ
トか析出し、強度が低下するからである。
また、500℃から300℃までの冷却速度を10〜200℃/
分としたので、未変態のオーステナイトを細かい炭化物
とフェライトに分解し、ベイナイトラス間隔の細かく詰
まった組織が得られ、強度および衝撃値を著しく改善出
来る。500℃から300℃までの冷却速度を10〜200℃/分
としたのは、冷却速度が10℃/分未満になるとベイナイ
トラスを十分に細かい組織とすることができないからで
あり、冷却速度が200℃/分を越えるとマルテンサイト
が生成するようになるからである。
分としたので、未変態のオーステナイトを細かい炭化物
とフェライトに分解し、ベイナイトラス間隔の細かく詰
まった組織が得られ、強度および衝撃値を著しく改善出
来る。500℃から300℃までの冷却速度を10〜200℃/分
としたのは、冷却速度が10℃/分未満になるとベイナイ
トラスを十分に細かい組織とすることができないからで
あり、冷却速度が200℃/分を越えるとマルテンサイト
が生成するようになるからである。
次に本発明にかかる強靱非調質鋼の成分組成の限定理
由について説明する。
由について説明する。
C;0.05〜0.20% Cは強度を確保するために必要な元素であり0.05%未
満であると強度が不足するので下限を0.05%とした。ま
た、Cが0.20%を越えると靱性が低下するので、上限を
0.20%とした。
満であると強度が不足するので下限を0.05%とした。ま
た、Cが0.20%を越えると靱性が低下するので、上限を
0.20%とした。
Si;0.10〜0.50% Siは製鋼時の脱酸剤として添加されるものであり、0.
10%は必要である。しかし、0.50%を越えると靱性が低
下するので、上限を0.50%とした。
10%は必要である。しかし、0.50%を越えると靱性が低
下するので、上限を0.50%とした。
Mn;0.50〜2.50% Mnは焼入れ性を向上させて組織をベイナイト化するの
に必要な元素である。Mnが1.50%未満であると焼入れ性
が不足しベイナイトの生成が不足し、強度が不足するの
で、下限を1.50%とした。しかし、2.5%を越えると焼
入れ性が向上し過ぎてマルテンサイトが生成され、靱性
が低下するので、上限を2.50%とした。
に必要な元素である。Mnが1.50%未満であると焼入れ性
が不足しベイナイトの生成が不足し、強度が不足するの
で、下限を1.50%とした。しかし、2.5%を越えると焼
入れ性が向上し過ぎてマルテンサイトが生成され、靱性
が低下するので、上限を2.50%とした。
Cr;0.30〜1.50% Crは組織をベイナイト化するのに必要な元素である。
0.30%未満であると前記効果が不充分であるので、下限
を0.30%とした。しかし、0.50%を越えると前記効果が
飽和するとともに、コスト的に高くなるので、上限を1.
50%とした。
0.30%未満であると前記効果が不充分であるので、下限
を0.30%とした。しかし、0.50%を越えると前記効果が
飽和するとともに、コスト的に高くなるので、上限を1.
50%とした。
Mo;0.05〜0.30% Moは組織をベイナイト化するために必要な元素であ
る。Moが0.05%未満であるとベイナイト化が不充分であ
るので、下限を0.50%とした。Moは高価な元素であり、
0.30%を越えると前記効果が飽和すると共にコスト高と
なるので、上限を0.30%とした。
る。Moが0.05%未満であるとベイナイト化が不充分であ
るので、下限を0.50%とした。Moは高価な元素であり、
0.30%を越えると前記効果が飽和すると共にコスト高と
なるので、上限を0.30%とした。
V;0.05〜0.30% VはMoと共に微細な炭化物を析出し強度および靱性を
付与するに必要な元素であり、熱間鍛造後の冷却速度の
変化に対して強度を安定化させる効果がある。0.05%未
満ではその効果が不充分なので、下限を0.05%とした。
しかし、0.30%を越えて含有させてもその効果が飽和す
ると共にコスト高となるので、上限を0.30%とした。
付与するに必要な元素であり、熱間鍛造後の冷却速度の
変化に対して強度を安定化させる効果がある。0.05%未
満ではその効果が不充分なので、下限を0.05%とした。
しかし、0.30%を越えて含有させてもその効果が飽和す
ると共にコスト高となるので、上限を0.30%とした。
S;0.04〜0.12% Sは被削性を一層改善するため有効な元素であり、そ
の効果を得るためには0.04%以上が必要である。しか
し、0.12%を越えて含有させてもその効果が飽和し、靱
性を低下させるので上限を0.12%とした。
の効果を得るためには0.04%以上が必要である。しか
し、0.12%を越えて含有させてもその効果が飽和し、靱
性を低下させるので上限を0.12%とした。
Pb;0.05〜0.30% Pbは被削性を一層改善するため有効な元素であり、そ
の効果を得るためには0.05%以上が必要である。しか
し、0.30%を越えて含有させてもその被削性改善の効果
の向上が少なくなるので上限を0.30%とした。
の効果を得るためには0.05%以上が必要である。しか
し、0.30%を越えて含有させてもその被削性改善の効果
の向上が少なくなるので上限を0.30%とした。
Ca;0.0005〜0.0100% Caは被削性を一層改善するため有効な元素であり、そ
の効果を得るためには0.0005%以上が必要である。しか
し、0.0100%を越えて含有させてもその被削性改善の効
果の向上が少なくなるので上限を0.0100%とした。
の効果を得るためには0.0005%以上が必要である。しか
し、0.0100%を越えて含有させてもその被削性改善の効
果の向上が少なくなるので上限を0.0100%とした。
Ni;0.2〜2.0%以下 Niは焼入れ性を一層向上し靱性を改善するのに有効な
元素である。前記効果を得るためには少なくとも0.20%
以上添加する必要がある。しかし、2.0%を越えて含有
させても前記効果が飽和しコスト高となるので、上限を
2.0%とした。
元素である。前記効果を得るためには少なくとも0.20%
以上添加する必要がある。しかし、2.0%を越えて含有
させても前記効果が飽和しコスト高となるので、上限を
2.0%とした。
[実施例] 本発明の実施例を比較鋼および従来鋼と比較しつつ説
明し本発明の特徴を明らかにする。
明し本発明の特徴を明らかにする。
(実施例1) 第1表は、本発明鋼、比較鋼および従来鋼の化学成分
を示したものである。第1表においてNo.1〜16は本発明
鋼であって、No.1〜4は第1発明、No.5〜8は第2発
明、No.9〜11は第3発明、No.12〜16は第4発明であ
る。No.17〜20は比較鋼であって、No.17はCが本発明の
組成範囲より高い比較鋼、No.18は他の元素は本発明の
組成範囲であるがMoを含有しない比較鋼、No.19はMnが
本発明の組成範囲より低い比較鋼、No.20は他の元素は
本発明の組成範囲であるがVを含有しない比較鋼であ
る。また、No.21は従来鋼であってその組成はSCM445に
相当する。
を示したものである。第1表においてNo.1〜16は本発明
鋼であって、No.1〜4は第1発明、No.5〜8は第2発
明、No.9〜11は第3発明、No.12〜16は第4発明であ
る。No.17〜20は比較鋼であって、No.17はCが本発明の
組成範囲より高い比較鋼、No.18は他の元素は本発明の
組成範囲であるがMoを含有しない比較鋼、No.19はMnが
本発明の組成範囲より低い比較鋼、No.20は他の元素は
本発明の組成範囲であるがVを含有しない比較鋼であ
る。また、No.21は従来鋼であってその組成はSCM445に
相当する。
第1表の発明鋼および比較鋼を200mm直径の棒鋼と
し、これを1250℃に加熱した後、約1100℃で熱間鍛造を
行い、これより30mm直径100mm直径および150mm直径の棒
鋼を形成し、その後は第2表に示すように、700℃から5
00℃の間を自然冷却または強制冷却し、500℃から300℃
の間を自然冷却または強制冷却した。各供試材の中心部
よりJIS4号試験片およびシャルピーJIS3号試験片を採取
し試験に供した。また、従来鋼のNo.21は、30mm直径、1
00mm直径および150mm直径の棒鋼に形成した後850℃にて
油焼入後、520℃にて焼もどしを行い、同様に試験片を
製作して引張強さおよび衝撃値を測定した。測定した結
果は第2表に示した。なお、第2表において700〜
(自)は700℃から500℃までを自然冷却した場合を、70
0〜(強)は700℃から500℃までを強制冷却した場合
を、500〜(自)は500℃から300℃までを自然冷却した
場合を、500〜(強)は500℃から300℃までを強制冷却
した場合を示す。
し、これを1250℃に加熱した後、約1100℃で熱間鍛造を
行い、これより30mm直径100mm直径および150mm直径の棒
鋼を形成し、その後は第2表に示すように、700℃から5
00℃の間を自然冷却または強制冷却し、500℃から300℃
の間を自然冷却または強制冷却した。各供試材の中心部
よりJIS4号試験片およびシャルピーJIS3号試験片を採取
し試験に供した。また、従来鋼のNo.21は、30mm直径、1
00mm直径および150mm直径の棒鋼に形成した後850℃にて
油焼入後、520℃にて焼もどしを行い、同様に試験片を
製作して引張強さおよび衝撃値を測定した。測定した結
果は第2表に示した。なお、第2表において700〜
(自)は700℃から500℃までを自然冷却した場合を、70
0〜(強)は700℃から500℃までを強制冷却した場合
を、500〜(自)は500℃から300℃までを自然冷却した
場合を、500〜(強)は500℃から300℃までを強制冷却
した場合を示す。
第2表から知られるように、No.17はC含有量が高か
ったので、衝撃値がいずれも低く靱性が不足する。No.1
8はMoを含有しないので、強度および靱性において劣
る。No.19はMn含有量が低いので、同様に強度および靱
性が劣る。No.20はVの含有量が低かったので、靱性が
劣る。
ったので、衝撃値がいずれも低く靱性が不足する。No.1
8はMoを含有しないので、強度および靱性において劣
る。No.19はMn含有量が低いので、同様に強度および靱
性が劣る。No.20はVの含有量が低かったので、靱性が
劣る。
また、本発明鋼であっても、冷却速度が本発明方法の
範囲外であったもの、すなわち100mm直径で自然冷却し
たもの、150mm直径で自然冷却したもの、150mm直径で70
0℃からかまたは500℃からのいずれか一方のみを強制冷
却したものは、所期の引張強さおよび衝撃値が得られな
かった。
範囲外であったもの、すなわち100mm直径で自然冷却し
たもの、150mm直径で自然冷却したもの、150mm直径で70
0℃からかまたは500℃からのいずれか一方のみを強制冷
却したものは、所期の引張強さおよび衝撃値が得られな
かった。
これに対して、本発明鋼を用いて本発明方法の冷却速
度の範囲、すなわち700℃から500℃までの冷却速度が10
℃/分以上であって、かつ500℃から300℃までの冷却速
度が10℃〜200℃/分であったものは、いずれも引張強
さが90kgf/mm2以上であり、衝撃値は8.0kgfm/cm2以上で
あって、本発明方法の効果が確認された。
度の範囲、すなわち700℃から500℃までの冷却速度が10
℃/分以上であって、かつ500℃から300℃までの冷却速
度が10℃〜200℃/分であったものは、いずれも引張強
さが90kgf/mm2以上であり、衝撃値は8.0kgfm/cm2以上で
あって、本発明方法の効果が確認された。
(実施例2) 第1表に示した発明鋼および比較鋼について、実施例
1の鍛造を施したままの状態で、従来鋼R鋼については
実施例1と同様の焼入焼もどしを行った状態で、ドリル
穿孔試験を行った。なお、ドリルの材質はSKH9、ドリル
回転数は1710rpm、切削油なし、荷重75kg、ドリルは5mm
φストレートシャンクを用いた。測定した結果は第2表
に示したが、従来鋼のR鋼の定荷重単位時間穿孔距離を
100とし、それぞれの穿孔距離を整数比で示した。得ら
れた結果は第3表に示す。
1の鍛造を施したままの状態で、従来鋼R鋼については
実施例1と同様の焼入焼もどしを行った状態で、ドリル
穿孔試験を行った。なお、ドリルの材質はSKH9、ドリル
回転数は1710rpm、切削油なし、荷重75kg、ドリルは5mm
φストレートシャンクを用いた。測定した結果は第2表
に示したが、従来鋼のR鋼の定荷重単位時間穿孔距離を
100とし、それぞれの穿孔距離を整数比で示した。得ら
れた結果は第3表に示す。
第3表に示したように切削性については従来鋼No.21
に比べて、本発明鋼は非常に良好で、特にS、Pbを添加
した第2発明、第4発明はその効果が大きく表れてい
る。
に比べて、本発明鋼は非常に良好で、特にS、Pbを添加
した第2発明、第4発明はその効果が大きく表れてい
る。
[発明の効果] 本発明の強靱非調質鋼の製造方法は以上説明したよう
に、強靱化するため低炭素化し、焼入れ性を向上させて
ベイナイト組織を得、冷却速度に対する強度の低下を緩
和するためVを添加した鋼を用い、700℃から500℃まで
の冷却速度を10℃/分以上にすることにより、フェライ
トの析出を遅らせ、500℃から300℃までの冷却速度を10
〜200℃/分とすることにより、ベイナイトラス間隔の
細かく詰まった組織を得て、強度および衝撃値を著しく
改善したものであって、引張強さが90kgf/mm2以上、衝
撃値が8.0kgfm/cm2の大型部品が非調質で得られ、自動
車の足廻り部品および建設機械等の大形部品の製造に極
めて有用である。
に、強靱化するため低炭素化し、焼入れ性を向上させて
ベイナイト組織を得、冷却速度に対する強度の低下を緩
和するためVを添加した鋼を用い、700℃から500℃まで
の冷却速度を10℃/分以上にすることにより、フェライ
トの析出を遅らせ、500℃から300℃までの冷却速度を10
〜200℃/分とすることにより、ベイナイトラス間隔の
細かく詰まった組織を得て、強度および衝撃値を著しく
改善したものであって、引張強さが90kgf/mm2以上、衝
撃値が8.0kgfm/cm2の大型部品が非調質で得られ、自動
車の足廻り部品および建設機械等の大形部品の製造に極
めて有用である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 6/00 C22C 38/00 - 38/60
Claims (4)
- 【請求項1】重量比でC;0.05〜0.20%、Si;0.10〜0.50
%、Mn;1.50〜2.50%、Cr;0.30〜1.50%、Mo;0.50〜0.3
0%、V;0.05〜0.30%を含有し、残部がFeおよび不純物
元素からなる鋼を、熱間鍛造後700℃から500℃までを10
℃/分以上の冷却速度で冷却し、500℃から300℃までを
10℃〜200℃/分の冷却速度で冷却することを特徴とす
る強靱非調質鋼の製造方法。 - 【請求項2】重量比でC;0.05〜0.20%、Si;0.10〜0.50
%、Mn;1.50〜2.50%、Cr;0.30〜1.50%、Mo;0.50〜0.3
0%、V;0.05〜0.30%を含有し、さらにS;0.04〜0.12
%、Pb;0.05〜0.30%、Ca;0.0005〜0.0100%のうち1種
または2種以上を含有し、残部がFeおよび不純物元素か
らなる鋼を、熱間鍛造後700℃から500℃までを10℃/分
以上の冷却速度で冷却し、500℃から300℃までを10℃〜
200℃/分の冷却速度で冷却することを特徴とする強靱
非調質鋼の製造方法。 - 【請求項3】重量比でC;0.05〜0.20%、Si;0.10〜0.50
%、Mn;1.50〜2.50%、Cr;0.30〜1.50%、Mo;0.50〜0.3
0%、V;0.05〜0.30%、Ni;0.20〜2.0%を含有し、残部
がFeおよび不純物元素からなる鋼を、熱間鍛造後700℃
から500℃までを10℃/分以上の冷却速度で冷却し、500
℃から300℃までを10℃〜200℃/分の冷却速度で冷却す
ることを特徴とする強靱非調質鋼の製造方法。 - 【請求項4】重量比でC;0.05〜0.20%、Si;0.10〜0.50
%、Mn;1.50〜2.50%、Cr;0.30〜1.50%、Mo;0.50〜0.3
0%、V;0.05〜0.30%、Ni;0.20〜2.0%を含有し、さら
にS;0.04〜0.12%、Pb;0.05〜0.30%、Ca;0.0005〜0.01
00%のうち1種または2種以上を含有し、残部がFeおよ
び不純物元素からなる鋼を、熱間鍛造後700℃から500℃
までを10℃/分以上の冷却速度で冷却し、500℃から300
℃までを10℃〜200℃/分の冷却速度で冷却することを
特徴とする強靱非調質鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01167946A JP3089424B2 (ja) | 1989-06-29 | 1989-06-29 | 強靭非調質鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP01167946A JP3089424B2 (ja) | 1989-06-29 | 1989-06-29 | 強靭非調質鋼の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0331416A JPH0331416A (ja) | 1991-02-12 |
JP3089424B2 true JP3089424B2 (ja) | 2000-09-18 |
Family
ID=15858979
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP01167946A Expired - Lifetime JP3089424B2 (ja) | 1989-06-29 | 1989-06-29 | 強靭非調質鋼の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3089424B2 (ja) |
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KR100610933B1 (ko) * | 2002-06-29 | 2006-08-09 | 현대자동차주식회사 | 단조 분할 커넥팅 로드의 열처리 방법 |
CN103498033A (zh) * | 2013-09-24 | 2014-01-08 | 上海海隆石油管材研究所 | 改善调质钢力学性能的热处理工艺 |
CN103938100A (zh) * | 2014-04-10 | 2014-07-23 | 铜陵南江鑫钢实业有限公司 | 一种耐低温高强度合金钢材料 |
-
1989
- 1989-06-29 JP JP01167946A patent/JP3089424B2/ja not_active Expired - Lifetime
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