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JP3436867B2 - 強度、耐疲労特性に優れた高周波焼入れ部品およびその製造方法 - Google Patents

強度、耐疲労特性に優れた高周波焼入れ部品およびその製造方法

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Publication number
JP3436867B2
JP3436867B2 JP23399497A JP23399497A JP3436867B2 JP 3436867 B2 JP3436867 B2 JP 3436867B2 JP 23399497 A JP23399497 A JP 23399497A JP 23399497 A JP23399497 A JP 23399497A JP 3436867 B2 JP3436867 B2 JP 3436867B2
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JP
Japan
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less
induction
steel
strength
hardened
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JP23399497A
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秀雄 蟹澤
誠司 伊藤
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/25Process efficiency

Landscapes

  • Gears, Cams (AREA)
  • Heat Treatment Of Steel (AREA)
  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静的強度、耐疲労
特性に優れた高周波焼入れ部品およびその製造方法に関
し、より詳しくは疲労による歯元の折損が問題になる自
動車の差動装置用歯車などの高周波焼入部品およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車用差動装置は表面硬化処理
を施して使用されることが多く、表面硬化法としては浸
炭、窒化および高周波焼き入れが採用されている。この
中で、「浸炭」はマトリックスが高靱性で材料の表層を
高炭素化することにより硬化することを狙ったもので、
疲労強度の向上を目的とした主にギヤ等の材料に適用さ
れる。しかし、浸炭処理はガス雰囲気中でのバッチ処理
が主流をなしており、例えば930℃近傍で数時間以上
の加熱保持を有するといったように多くのエネルギーと
コストが費やされる。また、実操業においては浸炭材の
処理等のために環境の悪化を伴いがちである等といった
問題のほか、インライン化が困難であるといった様な問
題もあった。
【0003】そこで、これらの問題の解決のため、高周
波焼き入れ処理のみで所望の強度特性をえるための研究
がなされるようになった。なぜなら、高周波焼き入れは
表面硬化処理時間の短縮やエネルギーの低減、さらには
環境のクリーン化に非常に有利だからである。
【0004】なお、高周波焼き入れ処理については幾つ
かの報告がなされている。例えば特開平5−33101
号公報には高周波焼入用非調質鋼に関する提案が掲載さ
れている。これはC、Mn、Cr量を調整することによ
ってマトリックス(芯部)自体にも所要硬さを確保した
ものである。しかし、その実施例の記載からもわかるよ
うに、靭性の観点からC量を0.52%以下にしたもの
である。即ち、浸炭鋼の代替には表層硬度を浸炭鋼並み
の硬度(ビッカース硬度で約700以上)にすることが
必要であるのに対し、C量を0.55%以上にしたとき
のマトリックス(芯部)の靭性および低サイクル疲労の
低下対策が不十分であるため、やはり浸炭代替鋼として
は十分なものとは言えなかった。
【0005】また、高炭素鋼の靭性向上の手段として結
晶粒の微細化が有効であることが知られている。例え
ば、特開昭61−147849号公報では未再結晶域で
鍛造後焼き入れることにより、微細なフェライトと微細
ラスのマルテンサイトを得ることが示されている。さら
に、特開平5−9576号公報では非調質棒鋼を未再結
晶域で圧延し、圧延後に加速冷却することにより微細な
フェライトパーライト組織を得ることが示されている。
しかしながら、両者ともに高周波焼き入れ鋼とは全く別
な鋼材であり、しかも鋼種が異なるため強度レベルも浸
炭鋼並みの硬度(ビッカース硬度で約700以上)には
到達していない。さらに硬化層の組織に微細フェライト
を混在させることは両者ともに特徴となっているが、フ
ェライトの混在は歯車の疲労にとって有害な降伏現象を
促進するため、やはり浸炭代替鋼の靭性向上としては実
用上好ましいものとは言えなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、部品に成形
した後に高周波焼入処理を施すのみで経済的にかつ浸炭
材なみの強度、耐疲労特性を有する高周波焼入れ部品お
よびその製造方法を提供することであり、特に自動車の
差動装置用歯車などに使用される部品の浸炭処理から高
周波焼入処理への転換を図ろうとうするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、その要旨とす
るところは下記のとおりである。 (1)質量%で、C:0.40%以上0.70%以下、
Si:0.05%以上0.80%以下、Mn:0.50
%以上2.00%以下、S:0.01%以上0.03%
以下、V:0.30%以上1.00%以下、Al:0.
010%以上0.050%以下、N:0.0050%以
上0.0200%以下を含有し、Pは0.030%以下
であり、残部Feおよび不可避不純物からなり、高周波
焼入硬化層のマルテンサイトの結晶粒度がJIS粒度番
号で14番以上であることを特徴とする静的強度と耐疲
労特性に優れた高周波焼入れ部品。 (2)(1)に記載の成分に加えて更に質量%で、N
b:0.05%以上0.50%以下を含有することを特
徴とする( 1) 記載の高周波焼入れ部品。 (3)(1)又は(2)に記載の成分に加えて更に質量
で、Cr:0.1%以上1.50%以下を含有するこ
とを特徴とする(1)又は(2)記載の高周波焼入れ部
品。
【0008】(4)質量%で、C:0.40%以上0.
70%以下、Si:0.05%以上0.80%以下、M
n:0.50%以上2.00%以下、S:0.01%以
上0.03%以下、V:0.30%以上1.00%以
下、Al:0.010%以上0.050%以下、N:
0.0050%以上0.0200%以下を含有し、Pは
0.030%以下であり、残部Feおよび不可避不純物
からなる鋼を素材とし、該素材を900℃以上1150
℃以下の温度で加熱した後、600℃850℃以下の温
度で加工を開始する加工率30%以上の温間加工を2回
以上行い、次いで高周波焼入れ処理を行い、硬化層のマ
ルテンサイトの結晶粒度がJIS粒度番号で14番以上
とすることを特徴とする静的強度と耐疲労特性に優れた
高周波焼入れ部品の製造方法。 (5)(4)に記載の成分に加えて更に質量%で、N
b:0.05%以上0.50%以下を含有する鋼を素材
とすることを特徴とする(4)記載の高周波焼入れ部品
の製造方法。 (6)(4)又は(5)に記載の成分に加えて更に質量
で、Cr:0.1%以上1.50%以下を含有する鋼
を素材とすることを特徴とする(4)又は(5)記載の
高周波焼入れ部品の製造方法。
【0009】本発明(1)〜(3)によれば、高周波焼
入れ後の硬化層のマルテンサイト組織の粒度は、通常の
高周波焼入鋼ではJIS粒度番号で10番(粒径12.
4μm)であるのに対し、本発明においては平均14番
以上(粒径3.1μm以下)としたことから、従来の高
周波焼入材に比べ、硬化層の静的強度、衝撃特性ならび
に耐疲労特性が大幅に向上し、本発明が目的とする性能
を得ることができる。
【0010】本発明(4)〜(6)によれば、所要の成
分を有する機械構造用鋼を、未再結晶域で、1回の加工
量は30%以上の大歪加工の2回以上の温間加工を実施
して累積の加工量で60%以上の大歪み加工を行い、そ
の後室温まで放冷し、その後、高周波焼入れを施すこと
により、旧オーステナイト粒径が極めて微細な組織が得
られる。すなわち、未再結晶域での大歪み加工により、
γ粒界の増加ならびに変形帯の導入により、オーステナ
イトから微細なフェライト/フェライト組織に変態し、
その後、高周波焼入れを施すと、前組織の細粒化効果と
高周波による急速加熱効果が組合わされ、再加熱時のオ
ーステナイト粒が微細化され、焼入組織も微細化され
る。
【0011】ここで、所定量のV添加、あるいはさらに
Nbを添加の結果、温間鍛造における冷却時にV炭窒化
物、Nb炭窒化物が生成され、冷却後の組織は微細化さ
れる。その後、高周波焼入れを施すと、前組織の細粒化
効果と高周波による急速加熱効果が組合わされ、再加熱
時のオーステナイト粒がさらに微細化される。
【0012】V炭窒化物およびNb炭窒化物による細粒
化効果を温間鍛造時に有効に作用させるためには、一度
900℃から1150℃の間の温度に加熱し、V炭窒化
物およびNb炭窒化物を一旦固溶させ、その後の冷却工
程で析出させることにより、大歪加工との協働して大き
な微細化効果を発揮する。
【0013】上記温間加工と高周波焼入れの組合わせに
より、高周波焼入れ後の硬化層のマルテンサイト組織の
粒度は、通常の高周波焼入鋼ではJIS粒度番号で10
番(粒径12.4μm)であるのに対し、本発明によれ
ば平均14番以上(粒径3.1μm以下)を得ることが
でき、従来の高周波焼入材に比べ、硬化層の静的強度、
衝撃特性ならびに耐疲労特性の大幅に向上し、本発明が
目的とする性能を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳しく説明する。本発明の素材鋼の化学組成は以下の
とおりである。Cには鋼(芯部)に所望の強度を確保す
る作用、更には高周波焼入後の表面硬さを確保する作用
があるが、その含有量が0.40%を下回ると前記作用
による所望の効果が得られず、一方、0.70%を越え
て含有させると靭性が劣化するようになる。従って、C
含有量は0.40%から0.70%と定めたが、上記効
果をより安定に確保するためには0.53%から0.7
0%に調整するのが好ましい。
【0015】Siは製鋼時の脱酸材として含有させると
ともに鋼材の強度向上元素であり、要求強度に応じてそ
の含有量を調節される。但し、Si含有量は脱酸作用を
有効ならしめるためには0.05%以上の含有量が必要
であり、一方、0.80%超では鋼材の靭性、延性が低
くなると同時に、その鋼材の加工性が低下する。そのた
め、Si含有量は0.05%以上0.80%以下と定め
た。
【0016】MnはSi同様に鋼材の強度向上元素であ
って、要求強度に応じてその含有量を調節される。従っ
て、この作用を有効ならしめるために0.50%以上の
含有量を確保する必要がある。但し、Mn含有量が2.
00%超では焼入性が向上し過ぎて、素材製造ならびに
温間鍛造時にベイナイト組織あるいは島状マルテンサイ
ト組織の生成が促進され、加工性が低下するようにな
る。従って、Mn含有量は0.50%から2.00%と
定めたが、上記効果をより安定に確保するためには0.
70%から1.50%に調整するのが好ましい。
【0017】CrはMnと同様に鋼材の強度向上元素で
あって、要求強度および部品の大きさに応じて所定量添
加しても本開発鋼の特性が損われることがない。但し、
Cr含有量が0.1%未満では前記作用による所望の効
果を得ることができず、一方、1.50%超では焼入性
が向上し過ぎて、素材製造ならびに温間加工時にベイナ
イト組織あるいは島状マルテンサイト組織の生成が促進
され、加工性が低下するようになる。従って、添加する
際は0.1%以上1.50%以下に調整するのが好まし
い。
【0018】MoおよびNiは粒界偏析を軽減してオー
ステナイト強化をする作用があり、所定量添加しても本
開発鋼の特性が損われることがない。
【0019】Pは硬化層の靭性を劣化させる。特に0.
030%超では靭性の劣化をもたらすようになるので、
P含有量は0.030%以下と定めたが、好ましくは
0.020%以下に調整するのが良い。
【0020】Sは被削性の改善に有効な元素であり、そ
の含有量が0.01%未満では該作用による所望の効果
を得ることができず、一方、0.03%超では鋼材の延
性が大幅に低下する。従って、S含有量は0.01%以
上0.03%以下と定めた。
【0021】Vは焼入性を高め疲労強度を向上させるの
に有効な元素であり、かつ、炭窒化物を生成し、結晶粒
を微細化させる元素であり、所望の効果を確保するには
0.30%以上含有させることが必要である。しかし、
1.00%超ではその効果が飽和する。従って、V含有
量は0.30%から1.00%と定めた。
【0022】Nbは窒化物を生成し、結晶粒を微細化さ
せる元素であり、所望の効果を確保するには0.050
%以上含有させることが必要である。しかし、0.50
%超ではその効果が飽和する。従って、Nb含有量は
0.050%から0.50%と定めた。
【0023】Alは脱酸作用を持ち、AlNとして細粒
化効果を有する元素であり、所望の効果を確保するため
には0.010%以上を含有させる必要がある。しか
し、0.050%超ではその効果が飽和してしまうばか
りか、鋼材の加工性や疲労特性を低下させるようにな
る。従って、Al含有量は0.010%から0.050
%と定めたが、好ましくは0.015%から0.030
%に調整するのが良い。
【0024】NはAl、V、Nbとの親和力が強い元素
であり、鋼中にAl、V、Nbを窒化物として析出させ
て結晶粒の微細化をはかる元素である。N含有量が0.
0050%未満では前記作用による所望の効果が得られ
ず、一方、0.0200%を越えて含有させると靭性が
低下するようになる。従って、N含有量を0.0050
%から0.0200%と定めた。
【0025】なお、本発明鋼では、本発明に係る前記各
成分の他、Pb、Bi、Te、Ca等の被削性を改善す
る快削元素を添加しても前述した効果が損われることが
ない。従って、温間鍛造後、部品の仕上げ加工に一層の
被削性が望まれる場合には、上記快削元素の一種または
2種以上を添加しても良い。
【0026】本発明の硬化層の結晶粒度条件について以
下に述べる。高周波焼入鋼の靭性および強度は、硬化層
の硬さおよび芯部硬度をほぼ一定とした場合、硬化層の
結晶粒度に強く影響を受ける。図1に示すように、結晶
粒の微細化とともに衝撃値及び三点曲げ強度は向上し、
特にJIS粒度番号で14番(3.1μm)以上に微細
化することにより著しく向上する。従って、硬化層の結
晶粒度はJIS粒度番号で14番以上と定めた。
【0027】本発明の温間加工の条件を以下に述べる。
温間加工は温間鍛造あるいは温間転造等により高周波熱
処理前の組織の微細化と同時に部品の形状を造り込む工
程である。一般に浸炭部品、あるいは高周波焼入部品は
熱間鍛造後、機械加工で仕上げられている。しかし、高
周波表面処理の前に調質や焼鈍を省略しつつ、高周波焼
入後に極めて微細な組織を達成するために温間鍛造は不
可欠な工程である。すなわち、素材を未再結晶域で大歪
み加工を行い、その後室温まで放冷し、高周波焼入れ前
の組織を十分に微細化するものである。
【0028】この場合、温間鍛造の鍛造前の加熱温度は
900℃未満ではV、Nbの固溶が不十分であり前記の
所望の効果が得られず、また1150℃超では未再結晶
域での加工が極めて困難となるため、加熱温度は900
℃以上1150℃以下に調整するのが良い。加工開始温
度は、未再結晶温度域での加工を経るため600℃以上
850℃以下、好ましくは600℃以上700℃以下に
調整するのが良い。
【0029】また、未再結晶域での大歪み加工は、γ粒
界の増加ならびに変形帯の導入により、オーステナイト
から微細なフェライト/フェライト組織に変態し、高周
波焼入れ前の組織を微細化する効果がある。この場合、
一回加工率が30%未満では細粒化効果が不十分であ
り、また、累積の加工率が60%未満では細粒化効果が
不十分である。従って、未再結晶域での大歪み加工は加
工率30%以上の大歪み加工を2回以上行うことと定め
た。
【0030】なお、大歪み加工後の冷却は放冷を基本と
するが、取り扱い上の対策から風冷あるいは水冷を実施
しても前述した効果が損われることがない。
【0031】本発明の高周波焼入条件を以下に述べる。
温間加工後、仕上げの機械加工処理を施された後、高周
波表面焼入処理を実施する。この場合、850℃未満の
温度では高周波加熱という短時間処理で、十分に溶態化
できず、また1100℃超の温度では結晶粒の成長が生
じ、組織微細化効果を十分に発揮できない。従って、加
熱温度は850℃から1100℃、好ましくは850℃
から900℃に調整するのが良い。なお、高周波加熱後
は水焼入を行い、必要に応じて焼戻しを行う。
【0032】
【実施例】表1に示す化学成分の鋼を真空溶解炉で溶製
し、インゴットに鋳造した。次いで得られたインゴット
を熱間鍛造により直径50mmの丸棒鋼に成形した。続
いて、加熱温度、加工開始温度および加工率を種々変更
し、温間鍛造を行った。加熱温度は850、900、9
50、1100、1150、1200℃とし、温間鍛造
の加工開始温度は500、600、650、750、8
00、850、950℃とした。なお、加工温度は丸棒
鋼の半径の1/2の位置に熱電対を埋め込み、放冷によ
り所定温度に達した時点で鍛造を開始した。また、加工
率は1回の加工率を20、30、40、60%とし、更
に同じ加工率を2回以上繰り返す加工も行い、累積の加
工率を20%から91%に種々変更した。温間加工の
後、丸棒鋼を放冷により室温まで冷却した。その後、丸
棒鋼から機械加工により、10mm角、長さ70mm、
中央に2mmRの半円の切欠付きの三点曲げ試験片、掴
み部15mmφ、平行部9mmφの切欠付き(ρ=1、
α=1.66)の小野式の回転曲げ疲労試験片および2
0mmφ、長さ200mmLの材質調査用の試験片を作
成した。なお、各種加工条件については表2および表3
にまとめて示した。化学成分は表1との対比で示され
る。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】次に各試験材に高周波焼入れを施した。こ
れによって達成された表面硬さ、硬化層の結晶粒度、三
点曲げ強度、回転曲げ疲労強度を調査した。調査結果は
表2および表3に示した。なお、この時の高周波焼入条
件は、周波数:3kHz出力:100kw移動速度:5
mm/sであった。また、比較のため従来鋼に温間鍛造
なしで高周波焼入れ、および浸炭処理を行った結果も調
査した。
【0037】表2および表3に示した調査結果からは次
のことが分かる。ここで、本発明法(A1からA13を
用いて、本発明範囲の加工条件で実施)は、高周波焼入
れした硬化層は結晶粒度がJIS粒度番号ですべて14
番以上と極めて微細な結晶粒度を達成し、表面硬度も高
く、三点曲げ強度および回転曲げ疲労強度も高く、通常
の浸炭処理鋼(C2)と同等以上の特性が得られる。つ
まり、本開発法は高周波焼入れ処理ではあるものの、浸
炭処理と同等以上の優れた特性が得られることが分か
る。
【0038】これに対して、本発明範囲外の成分を有す
る鋼(B1からB13)を本発明範囲内の加工条件で処
理した場合、B1とB2では14番以上の細粒鋼は得ら
れないため、強度と疲労強度は低く、また、B4からB
13では14番以上の細粒は得られるもの靭性の低下や
硬度の不足により、本発明法並みの優れた特性は得られ
ないことが分かる。さらに、本発明範囲内の成分を有す
る鋼(A1)を本発明範囲外の加工条件で処理した場
合、14番以上の細粒は得られないため、強度と疲労強
度は従来の高周波焼入鋼(C1)に比べやや良好ではあ
るものの、通常の浸炭処理鋼(C2)には及ばないこと
は明らかである。
【0039】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の高周波焼入
れ部品は高周波焼入れ処理のみで浸炭処理鋼と同等以上
の静的強度および曲げ疲労強度を得ることが可能とな
り、従来は浸炭処理を施していた鋼種に代って各種機械
構造部品の性能向上および製造コストの低減に大きく資
するなど、産業上有用な効果がもたされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】衝撃値および三点曲げ強度に及ぼす硬化層の結
晶粒度の影響を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C22C 38/38 C22C 38/38 F16H 55/06 F16H 55/06 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 C21D 1/00 - 11/00 F16H 55/06

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、 C:0.40%以上0.70%以下、 Si:0.05%以上0.80%以下、 Mn:0.50%以上2.00%以下、 S:0.01%以上0.03%以下、 V:0.30%以上1.00%以下、 Al:0.010%以上0.050%以下、 N:0.0050%以上0.0200%以下を含有し、 Pは0.030%以下であり、 残部Feおよび不可避不純物からなり、 高周波焼入れ硬化層のマルテンサイトの結晶粒度がJI
    S粒度番号で14番以上であることを特徴とする静的強
    度と耐疲労特性に優れた高周波焼入れ部品。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の成分に加えて更に
    %で、Nb:0.05%以上0.50%以下を含有する
    ことを特徴とする請求項1記載の高周波焼入れ部品。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の成分に加えて更
    量%で、Cr:0.1%以上1.50%以下を含有
    することを特徴とする請求項1又は2記載の高周波焼入
    れ部品。
  4. 【請求項4】 質量%で、 C:0.40%以上0.70%以下、 Si:0.05%以上0.80%以下、 Mn:0.50%以上2.00%以下、 S:0.01%以上0.03%以下、 V:0.30%以上1.00%以下、 Al:0.010%以上0.050%以下、 N:0.0050%以上0.0200%以下を含有し、 Pは0.030%以下であり、 残部Feおよび不可避不純物からなる鋼を素材とし、該素材を900℃以上1150℃以下の温度で加熱した
    後、600℃850℃以下の温度で加工を開始する加工
    率30%以上の温間加工を2回以上行い、 次いで高周波焼入れ処理を行い、硬化層のマルテンサイ
    トの結晶粒度がJIS粒度番号で14番以上とすること
    を特徴とする静的強度と耐疲労特性に優れた高周波焼入
    れ部品の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の成分に加えて更に質量
    %で、 Nb:0.05%以上0.50%以下を含有する鋼を素
    材とすることを特徴とする請求項4記載の高周波焼入れ
    部品の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5に記載の成分に加えて更
    質量%で、 Cr:0.1%以上1.50%以下を含有する鋼を素材
    とすることを特徴とする請求項4又は5記載の高周波焼
    入れ部品の製造方法。
JP23399497A 1997-08-29 1997-08-29 強度、耐疲労特性に優れた高周波焼入れ部品およびその製造方法 Expired - Fee Related JP3436867B2 (ja)

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