JP3085908B2 - 楽音合成装置 - Google Patents
楽音合成装置Info
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- JP3085908B2 JP3085908B2 JP08191257A JP19125796A JP3085908B2 JP 3085908 B2 JP3085908 B2 JP 3085908B2 JP 08191257 A JP08191257 A JP 08191257A JP 19125796 A JP19125796 A JP 19125796A JP 3085908 B2 JP3085908 B2 JP 3085908B2
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はピアノ音等の打弦
楽器音、ギター音等の撥弦楽器音の合成に用いて好適な
楽音合成装置に関する。
楽器音、ギター音等の撥弦楽器音の合成に用いて好適な
楽音合成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自然楽器の発音メカニズムをシミュレー
トしたモデルを動作させ、自然楽器音を合成する楽音合
成装置が知られている。打弦楽器あるいは撥弦楽器の楽
音合成装置としては、弦における振動の伝播遅延をシミ
ュレートした遅延回路および弦における音響損失をシミ
ュレートしたフィルタを含んだループ回路と、このルー
プ回路に撥弦あるいは打弦の際の励起振動に相当する励
起信号を入力する励振回路とからなる構成のものが知ら
れている。なお、この種の楽音合成装置は、例えば特公
昭58−58679号公報に開示されている。
トしたモデルを動作させ、自然楽器音を合成する楽音合
成装置が知られている。打弦楽器あるいは撥弦楽器の楽
音合成装置としては、弦における振動の伝播遅延をシミ
ュレートした遅延回路および弦における音響損失をシミ
ュレートしたフィルタを含んだループ回路と、このルー
プ回路に撥弦あるいは打弦の際の励起振動に相当する励
起信号を入力する励振回路とからなる構成のものが知ら
れている。なお、この種の楽音合成装置は、例えば特公
昭58−58679号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】さて、一般にピアノ
は、1つの鍵に対し、複数の弦が設けられている。ここ
で、各弦の張力等は厳密には一致しておらず、各弦によ
って発生される音高は微妙にずれており、この結果とし
て、各ピアノ個有の独特の音色が得られると考えられて
いる。また、厳密に観察すると、各弦の振動は駒部を介
して他の弦に伝播し、各弦間の相互干渉が行われてお
り、この結果として微妙なうねりを伴った音が発生され
る。この現象は、ピアノに限らず、ギターやバイオリン
の演奏においても観察される。すなわち、ギターやバイ
オリンにおいては、実際に弾かれている弦の振動に対
し、隣の弦が共鳴し、良い響きを持った楽音が発生され
る。しかしながら、従来の楽音合成装置は、上述したよ
うな励起される複数の微妙な特性のずれを考慮したもの
がなく、また、各弦間の相互干渉を考慮したものもなか
った。
は、1つの鍵に対し、複数の弦が設けられている。ここ
で、各弦の張力等は厳密には一致しておらず、各弦によ
って発生される音高は微妙にずれており、この結果とし
て、各ピアノ個有の独特の音色が得られると考えられて
いる。また、厳密に観察すると、各弦の振動は駒部を介
して他の弦に伝播し、各弦間の相互干渉が行われてお
り、この結果として微妙なうねりを伴った音が発生され
る。この現象は、ピアノに限らず、ギターやバイオリン
の演奏においても観察される。すなわち、ギターやバイ
オリンにおいては、実際に弾かれている弦の振動に対
し、隣の弦が共鳴し、良い響きを持った楽音が発生され
る。しかしながら、従来の楽音合成装置は、上述したよ
うな励起される複数の微妙な特性のずれを考慮したもの
がなく、また、各弦間の相互干渉を考慮したものもなか
った。
【0004】さらに、ピアノにあっては、弦の変位量に
よって弦の反発力が変化するとともに、ハンマの速度に
よってハンマが弦に与える力が変化するために、ハンマ
が弦を打撃する際に弦に加えられる力は、弦の変位量と
ハンマの速度との関係において時々刻々変化することに
なる。しかしながら、従来の楽音合成装置では、所定の
パラメータに従って励振信号を発生しているに過ぎず、
上述したような実際のピアノにおける現象を何ら考慮し
ていなかった。
よって弦の反発力が変化するとともに、ハンマの速度に
よってハンマが弦に与える力が変化するために、ハンマ
が弦を打撃する際に弦に加えられる力は、弦の変位量と
ハンマの速度との関係において時々刻々変化することに
なる。しかしながら、従来の楽音合成装置では、所定の
パラメータに従って励振信号を発生しているに過ぎず、
上述したような実際のピアノにおける現象を何ら考慮し
ていなかった。
【0005】この発明は上述した事情に鑑みてなされた
ものであり、ハンマが弦を打撃する際に弦に加えられる
力の時間変化を忠実に模倣することの可能な楽音合成装
置を提供することを目的とする。
ものであり、ハンマが弦を打撃する際に弦に加えられる
力の時間変化を忠実に模倣することの可能な楽音合成装
置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、少なくとも
遅延手段を含んだ複数の第1のループ手段と各第1のル
ープ手段から取り出した信号を他の第1のループ手段に
入力する結合手段とからなる多ループ結合手段と、少な
くとも非線形変換手段を含んだ第2のループ手段を有
し、該第2のループ手段に楽音を励振させるための初期
信号(Vh)および前記第1のループ手段から取り出した信
号(VS1) を入力するとともに、前記第2のループ手段を
循環する信号を励振信号として前記複数の第1のループ
手段の少なくとも1つの第1のループ手段に入力する励
振信号発生手段とを具備し、前記多ループ結合手段を循
環する信号を楽音として出力することを特徴としてい
る。
遅延手段を含んだ複数の第1のループ手段と各第1のル
ープ手段から取り出した信号を他の第1のループ手段に
入力する結合手段とからなる多ループ結合手段と、少な
くとも非線形変換手段を含んだ第2のループ手段を有
し、該第2のループ手段に楽音を励振させるための初期
信号(Vh)および前記第1のループ手段から取り出した信
号(VS1) を入力するとともに、前記第2のループ手段を
循環する信号を励振信号として前記複数の第1のループ
手段の少なくとも1つの第1のループ手段に入力する励
振信号発生手段とを具備し、前記多ループ結合手段を循
環する信号を楽音として出力することを特徴としてい
る。
【0007】上記構成によれば、少なくとも非線形変換
手段が含まれた第2のループ手段に対して、楽音を励振
させるための初期信号と多ループ結合手段中の第1のル
ープ手段から取り出した信号とを入力し、この第2のル
ープ手段を循環する信号を励振信号として複数の第1の
ループ手段の少なくとも1つに入力することで、第1の
ループ手段において信号の循環が行われる。また、各第
1のループ手段を循環する信号は結合手段を介して他の
第1のループ手段に導入され、各第1のループ手段間の
相互干渉が行われて、各第1のループ手段から所望の楽
音の音高に対応した周波数の信号が得られる。各第1の
ループ手段を信号が一巡する遅延時間にずれがある場合
は、そのずれに基づくうねりを持った楽音が発生され
る。
手段が含まれた第2のループ手段に対して、楽音を励振
させるための初期信号と多ループ結合手段中の第1のル
ープ手段から取り出した信号とを入力し、この第2のル
ープ手段を循環する信号を励振信号として複数の第1の
ループ手段の少なくとも1つに入力することで、第1の
ループ手段において信号の循環が行われる。また、各第
1のループ手段を循環する信号は結合手段を介して他の
第1のループ手段に導入され、各第1のループ手段間の
相互干渉が行われて、各第1のループ手段から所望の楽
音の音高に対応した周波数の信号が得られる。各第1の
ループ手段を信号が一巡する遅延時間にずれがある場合
は、そのずれに基づくうねりを持った楽音が発生され
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照し、この発明の
実施形態を説明する。 〔第1実施形態〕図1はこの発明の第1実施形態による
楽音合成装置の構成を示すブロック図である。1は電子
楽器用の鍵盤、2は鍵情報発生部である。ここで、鍵盤
1において押鍵操作がなされた場合、押下された鍵のキ
ーコード情報KC、鍵が押下されていることを示すキー
オン信号KONおよび押鍵の際の強さを示すイニシャル
タッチ情報ITが鍵情報発生部2から出力され、押下中
の鍵が離鍵された場合にはキーオフ信号KOFFが出力
されるようになっている。
実施形態を説明する。 〔第1実施形態〕図1はこの発明の第1実施形態による
楽音合成装置の構成を示すブロック図である。1は電子
楽器用の鍵盤、2は鍵情報発生部である。ここで、鍵盤
1において押鍵操作がなされた場合、押下された鍵のキ
ーコード情報KC、鍵が押下されていることを示すキー
オン信号KONおよび押鍵の際の強さを示すイニシャル
タッチ情報ITが鍵情報発生部2から出力され、押下中
の鍵が離鍵された場合にはキーオフ信号KOFFが出力
されるようになっている。
【0009】3は弦系パラメータ形成部であり、図2に
示すように、マイクロプロセッサ31およびROM(リ
ードオンメモリ)によって実現されるパラメータメモリ
32からなる。マイクロプロセッサ31はキーコード情
報KC、キーオン信号KONおよびキーオフ信号KOF
Fが入力され、キーコード情報KCに対応した遅延情報
T1〜T4、フィルタ演算用係数C1〜C4および乗算係数
k1〜k6を発生する。これらの各情報は、図3に示すよ
うに、パラメータメモリ32内に記憶されており、キー
オン信号KONがアサートされた場合に、キーコード情
報KCに対応したものがマイクロプロセッサ31によっ
て読み出されて出力されるようになっている。なお、こ
れらの各情報T1〜T4,C1〜C4およびk1〜k6の意味
する所については後述する。
示すように、マイクロプロセッサ31およびROM(リ
ードオンメモリ)によって実現されるパラメータメモリ
32からなる。マイクロプロセッサ31はキーコード情
報KC、キーオン信号KONおよびキーオフ信号KOF
Fが入力され、キーコード情報KCに対応した遅延情報
T1〜T4、フィルタ演算用係数C1〜C4および乗算係数
k1〜k6を発生する。これらの各情報は、図3に示すよ
うに、パラメータメモリ32内に記憶されており、キー
オン信号KONがアサートされた場合に、キーコード情
報KCに対応したものがマイクロプロセッサ31によっ
て読み出されて出力されるようになっている。なお、こ
れらの各情報T1〜T4,C1〜C4およびk1〜k6の意味
する所については後述する。
【0010】4はハンマ系パラメータ形成部であり、図
4にその構成を示す。同図において、セットリセット型
フリップフロップ43はキーオン信号KONによってセ
ットされ、フリップフロップ43のQ出力は、所定の周
期で発生されるクロックφによってデレイド型フリップ
フロップ44に取り込まれ、フリップフロップ44のQ
出力によってフリップフロップ43がリセットされるよ
うになっている。また、ANDゲート42はクロックφ
およびフリップフロップ43のQ出力が入力され、AN
Dゲート42の出力は出力イネーブル信号OEとしてR
OM41に入力される。このROM41にはイニシャル
タッチ情報ITに対応したハンマ速度を示す情報が記憶
されている。
4にその構成を示す。同図において、セットリセット型
フリップフロップ43はキーオン信号KONによってセ
ットされ、フリップフロップ43のQ出力は、所定の周
期で発生されるクロックφによってデレイド型フリップ
フロップ44に取り込まれ、フリップフロップ44のQ
出力によってフリップフロップ43がリセットされるよ
うになっている。また、ANDゲート42はクロックφ
およびフリップフロップ43のQ出力が入力され、AN
Dゲート42の出力は出力イネーブル信号OEとしてR
OM41に入力される。このROM41にはイニシャル
タッチ情報ITに対応したハンマ速度を示す情報が記憶
されている。
【0011】しかして、このハンマ系パラメータ形成部
4によれば、キーオン信号KONがアサートされた後、
クロックφの1周期相当の期間、ROM41がイネーブ
ルされ、イニシャルタッチ情報ITに対応したハンマ速
度信号Vhが出力される。
4によれば、キーオン信号KONがアサートされた後、
クロックφの1周期相当の期間、ROM41がイネーブ
ルされ、イニシャルタッチ情報ITに対応したハンマ速
度信号Vhが出力される。
【0012】5は楽音形成部であり、図5にその構成を
示す。この楽音形成部5は、2本弦のピアノの楽音を形
成するものである。図5において、フィルタ511、加
算器512、遅延回路513、乗算器514、加算器5
15、フィルタ516、加算器517、遅延回路518
および位相反転回路519からなるループ回路510、
および、このループ回路510と同様な構成のループ回
路520によって各弦における振動の往復伝播がシミュ
レートされている。
示す。この楽音形成部5は、2本弦のピアノの楽音を形
成するものである。図5において、フィルタ511、加
算器512、遅延回路513、乗算器514、加算器5
15、フィルタ516、加算器517、遅延回路518
および位相反転回路519からなるループ回路510、
および、このループ回路510と同様な構成のループ回
路520によって各弦における振動の往復伝播がシミュ
レートされている。
【0013】遅延回路513および518は、第1の弦
における振動の伝播遅延をシミュレートした遅延時間可
変の遅延回路であり、弦系パラメータ形成部3によって
発生される遅延情報T1およびT2によって遅延時間が制
御される。同様に、第2の弦に対応した遅延回路523
および528には遅延情報T3およびT4が供給される。
この種の遅延時間可変の遅延回路は、例えば入力信号を
遅延させるシフトレジスタとこのシフトレジスタの各段
の遅延出力を遅延情報に従って選択して出力するセレク
タとによって実現することができる。
における振動の伝播遅延をシミュレートした遅延時間可
変の遅延回路であり、弦系パラメータ形成部3によって
発生される遅延情報T1およびT2によって遅延時間が制
御される。同様に、第2の弦に対応した遅延回路523
および528には遅延情報T3およびT4が供給される。
この種の遅延時間可変の遅延回路は、例えば入力信号を
遅延させるシフトレジスタとこのシフトレジスタの各段
の遅延出力を遅延情報に従って選択して出力するセレク
タとによって実現することができる。
【0014】実際のピアノの場合、1つの鍵に対応した
各弦の張力は常に同じとはならず、これに起因したデチ
ューン効果が現れる。従って、通常のピアノにおいて発
生し得るデチューン効果を考慮し、ループ回路510お
よび520の各々の総遅延時間は、ほぼ音高に対応した
値であり、かつ、互いに微妙にずれた状態となるように
遅延情報T1〜T4が設定される。
各弦の張力は常に同じとはならず、これに起因したデチ
ューン効果が現れる。従って、通常のピアノにおいて発
生し得るデチューン効果を考慮し、ループ回路510お
よび520の各々の総遅延時間は、ほぼ音高に対応した
値であり、かつ、互いに微妙にずれた状態となるように
遅延情報T1〜T4が設定される。
【0015】フィルタ511および516、フィルタ5
21および526は、各弦における音響損失をシミュレ
ートしたものである。通常、周波数が高い程、損失が大
きいため、これらのフィルタはローパスフィルタによっ
て実現される。各フィルタ511および516、フィル
タ521および526には、弦系パラメータ形成部3に
よって発生されるフィルタ演算用係数C1およびC2、C
3およびC4が各々与えられ、これらに基づいてキーコー
ド情報KCに対応したフィルタ演算が行われる。
21および526は、各弦における音響損失をシミュレ
ートしたものである。通常、周波数が高い程、損失が大
きいため、これらのフィルタはローパスフィルタによっ
て実現される。各フィルタ511および516、フィル
タ521および526には、弦系パラメータ形成部3に
よって発生されるフィルタ演算用係数C1およびC2、C
3およびC4が各々与えられ、これらに基づいてキーコー
ド情報KCに対応したフィルタ演算が行われる。
【0016】位相反転回路519および乗算器514、
位相反転回路529および乗算器524は、各弦の両端
部において振動が反射される際に起こる位相反転現象を
シミュレートするために設けられたものであり、楽音発
生中、乗算器514および524には、各々、負の乗算
係数k3およびk4が弦系パラメータ形成部3によって与
えられる。また、離鍵に伴ってキーオフ信号KOFFが
発生されると、乗算係数k3およびk4は弦系パラメータ
形成部3によって絶対値の小さな値に切り換えられ、楽
音の急速減衰が行われる。
位相反転回路529および乗算器524は、各弦の両端
部において振動が反射される際に起こる位相反転現象を
シミュレートするために設けられたものであり、楽音発
生中、乗算器514および524には、各々、負の乗算
係数k3およびk4が弦系パラメータ形成部3によって与
えられる。また、離鍵に伴ってキーオフ信号KOFFが
発生されると、乗算係数k3およびk4は弦系パラメータ
形成部3によって絶対値の小さな値に切り換えられ、楽
音の急速減衰が行われる。
【0017】ループ回路510における遅延回路513
の出力信号は、乗算器M2 によって乗算係数k2 が乗じ
られて加算器525を介してループ回路520内に導入
される。同様に、ループ回路520における遅延回路5
23の出力信号は、乗算器M 1(乗算係数k1)および加
算器515を介してループ回路510内に導入される。
このような構成によれば、ループ回路510および52
0の相互間において信号の授受が行われ、各弦の相互干
渉がシミュレートされる。各乗算係数k1,k2は、1よ
りはかなり小さな値であり、実現しようとする相互干渉
の度合に応じたものが設定される。
の出力信号は、乗算器M2 によって乗算係数k2 が乗じ
られて加算器525を介してループ回路520内に導入
される。同様に、ループ回路520における遅延回路5
23の出力信号は、乗算器M 1(乗算係数k1)および加
算器515を介してループ回路510内に導入される。
このような構成によれば、ループ回路510および52
0の相互間において信号の授受が行われ、各弦の相互干
渉がシミュレートされる。各乗算係数k1,k2は、1よ
りはかなり小さな値であり、実現しようとする相互干渉
の度合に応じたものが設定される。
【0018】次に励振回路550について説明する。こ
の励振回路550では、ハンマによって弦に与えられる
励起振動に相当する励振信号が生成される。ループ回路
520におけるフィルタ521および526の各出力は
加算器551に入力され、加算器551から弦の速度に
相当する弦速度信号Vs1が出力される。この弦速度信号
Vs1に乗算器552によって係数sadmが乗算される。な
お、この係数sadmについては後述する。
の励振回路550では、ハンマによって弦に与えられる
励起振動に相当する励振信号が生成される。ループ回路
520におけるフィルタ521および526の各出力は
加算器551に入力され、加算器551から弦の速度に
相当する弦速度信号Vs1が出力される。この弦速度信号
Vs1に乗算器552によって係数sadmが乗算される。な
お、この係数sadmについては後述する。
【0019】乗算器552の出力信号sadm・Vs1は、加
算器553および1サンプル周期遅延回路554からな
る積分回路555によって積分される。そして、積分回
路555から、図6に示すピアノの弦SPの基準線RE
Fからの変位に相当する弦変位信号xが出力され、弦変
位信号xは減算器556の一方の入力端に入力される。
ここで、減算器556のもう一方の入力端には後述する
積分器566から出力されるハンマHMの変位(図6参
照)に相当するハンマ変位信号y が入力される。そし
て、減算器556から、ハンマHMと弦SPとの相対変
位に相当する相対変位信号y−xが出力される。
算器553および1サンプル周期遅延回路554からな
る積分回路555によって積分される。そして、積分回
路555から、図6に示すピアノの弦SPの基準線RE
Fからの変位に相当する弦変位信号xが出力され、弦変
位信号xは減算器556の一方の入力端に入力される。
ここで、減算器556のもう一方の入力端には後述する
積分器566から出力されるハンマHMの変位(図6参
照)に相当するハンマ変位信号y が入力される。そし
て、減算器556から、ハンマHMと弦SPとの相対変
位に相当する相対変位信号y−xが出力される。
【0020】ここで、弦SPがハンマHMに食い込んで
いる場合、y−xは正となり、弦SPとハンマHMとの間
にはその食い込み量に応じた反撥力が働く。一方、弦S
PのハンマHMが軽く触れているだけの状態あるいは弦
SPからハンマHMが離れている場合、y−xは0あるい
は負であり、反撥力は0である。
いる場合、y−xは正となり、弦SPとハンマHMとの間
にはその食い込み量に応じた反撥力が働く。一方、弦S
PのハンマHMが軽く触れているだけの状態あるいは弦
SPからハンマHMが離れている場合、y−xは0あるい
は負であり、反撥力は0である。
【0021】非線形回路557は、相対変位信号y−xに
基づいて弦SPとハンマHMとの反撥力に相当する反撥
力信号Fを演算するものであり、図7に示すような例え
ば2次曲線等の非線形関数のテーブルを記憶したROM
によって実現されている。
基づいて弦SPとハンマHMとの反撥力に相当する反撥
力信号Fを演算するものであり、図7に示すような例え
ば2次曲線等の非線形関数のテーブルを記憶したROM
によって実現されている。
【0022】反撥力信号Fは、ループ回路510の加算
器512,517、ループ回路520の加算器522,
527に入力される。本来ならば、反撥力信号Fに対
し、弦SPの速度変化に対する抵抗に相当する係数を乗
じて弦SPの速度変化分を算出し、その1/2を各ルー
プ回路510および520に入力すべきところである
が、本実施形態では、上述した乗算係数sadmを調整する
ことにより、上記速度変化に対する抵抗等を考慮してい
る。
器512,517、ループ回路520の加算器522,
527に入力される。本来ならば、反撥力信号Fに対
し、弦SPの速度変化に対する抵抗に相当する係数を乗
じて弦SPの速度変化分を算出し、その1/2を各ルー
プ回路510および520に入力すべきところである
が、本実施形態では、上述した乗算係数sadmを調整する
ことにより、上記速度変化に対する抵抗等を考慮してい
る。
【0023】また、反撥力信号Fは乗算器567によっ
て係数fadmを乗じられ、ハンマHMによって弦SPに与
えられる速度変化分に相当する弦速度信号βs が得られ
る。この弦速度信号βs が遅延回路568によって1サ
ンプル周期遅延され、積分器555に入力される。この
ようにすることにより、弦SPがハンマHMによって叩
かれることによって変位する現象がシミュレートされ
る。
て係数fadmを乗じられ、ハンマHMによって弦SPに与
えられる速度変化分に相当する弦速度信号βs が得られ
る。この弦速度信号βs が遅延回路568によって1サ
ンプル周期遅延され、積分器555に入力される。この
ようにすることにより、弦SPがハンマHMによって叩
かれることによって変位する現象がシミュレートされ
る。
【0024】また、反撥力信号Fは乗算器559に入力
される。ここで、乗算器559には、ハンマHMの慣性
量Mの逆数−1/Mが乗算係数として与えられる。この
結果、乗算器559からハンマHMの加速度に相当する
ハンマ加速度信号αが出力される。このハンマ加速度信
号αは、加算器560および遅延回路561からなる積
分器562によって積分され、積分器562からハンマ
HMの速度変化分に相当するハンマ速度信号βが出力さ
れる。そして、このハンマ速度信号βは、乗算器563
を介すことにより所定の減衰係数が乗算され、ハンマ系
パラメータ形成部4によって発生されるハンマ初速度信
号Vh と共に、加算器564および遅延回路565から
なる積分器566に入力され、積分器566から前述し
たハンマ変位信号yが出力される。
される。ここで、乗算器559には、ハンマHMの慣性
量Mの逆数−1/Mが乗算係数として与えられる。この
結果、乗算器559からハンマHMの加速度に相当する
ハンマ加速度信号αが出力される。このハンマ加速度信
号αは、加算器560および遅延回路561からなる積
分器562によって積分され、積分器562からハンマ
HMの速度変化分に相当するハンマ速度信号βが出力さ
れる。そして、このハンマ速度信号βは、乗算器563
を介すことにより所定の減衰係数が乗算され、ハンマ系
パラメータ形成部4によって発生されるハンマ初速度信
号Vh と共に、加算器564および遅延回路565から
なる積分器566に入力され、積分器566から前述し
たハンマ変位信号yが出力される。
【0025】各ループ回路における遅延回路513およ
び523の各出力信号は、各々、乗算器M11およびM12
によって所定の乗算係数が乗じられて加算器A5 によっ
て加算され、弦SPの振動によって生じる直接音の楽音
信号として出力される。この楽音信号は、ピアノの響板
をシミュレートしたフィルタ6によって共鳴効果が付与
された後、図示しないD/A(デジタル/アナログ)変
換器によってアナログ信号に変換され、スピーカ7から
楽音として発音される。
び523の各出力信号は、各々、乗算器M11およびM12
によって所定の乗算係数が乗じられて加算器A5 によっ
て加算され、弦SPの振動によって生じる直接音の楽音
信号として出力される。この楽音信号は、ピアノの響板
をシミュレートしたフィルタ6によって共鳴効果が付与
された後、図示しないD/A(デジタル/アナログ)変
換器によってアナログ信号に変換され、スピーカ7から
楽音として発音される。
【0026】以下、本実施形態の動作を説明する。打弦
前の初期状態において、ハンマHMは弦SPから離れて
おり、楽音形成部5において、相対変位信号y−xは負の
値になっており、従って、反撥力信号Fは0となってい
る。また、遅延回路554,561および565はすべ
て0にリセットされている。
前の初期状態において、ハンマHMは弦SPから離れて
おり、楽音形成部5において、相対変位信号y−xは負の
値になっており、従って、反撥力信号Fは0となってい
る。また、遅延回路554,561および565はすべ
て0にリセットされている。
【0027】鍵盤1の押鍵操作が行われると、鍵情報発
生部から当該鍵のキーコード情報KC、キーオン信号K
ONおよびイニシャルタッチ情報ITが出力される。そ
して、弦系パラメータ形成部3からキーコード情報KC
に対応した遅延情報T1〜T4、フィルタ演算用係数C1
〜C4および乗算係数k1〜k6が出力され、楽音形成部
5の対応する各部に設定され、ハンマ系パラメータ形成
部4によってイニシャルタッチ情報ITに応じたハンマ
初速度が演算され、クロックφの1周期に相当する期
間、ハンマ初速度信号Vh が出力され、楽音形成部5に
おける積分器566に与えられる。
生部から当該鍵のキーコード情報KC、キーオン信号K
ONおよびイニシャルタッチ情報ITが出力される。そ
して、弦系パラメータ形成部3からキーコード情報KC
に対応した遅延情報T1〜T4、フィルタ演算用係数C1
〜C4および乗算係数k1〜k6が出力され、楽音形成部
5の対応する各部に設定され、ハンマ系パラメータ形成
部4によってイニシャルタッチ情報ITに応じたハンマ
初速度が演算され、クロックφの1周期に相当する期
間、ハンマ初速度信号Vh が出力され、楽音形成部5に
おける積分器566に与えられる。
【0028】この結果、積分器566の積分値、すなわ
ち、ハンマ変位信号y が時間経過と共に負から正に向っ
て変化する。この期間、弦変位信号x が0であるため、
相対変位信号y−xは負の値であり(ハンマHMと弦SP
とが離れた状態に対応)、図9に示すように反撥力信号
Fは0であり、ハンマ速度信号βは0である。従って、
積分器566ではハンマ初速度信号Vhのみが積分され
る。
ち、ハンマ変位信号y が時間経過と共に負から正に向っ
て変化する。この期間、弦変位信号x が0であるため、
相対変位信号y−xは負の値であり(ハンマHMと弦SP
とが離れた状態に対応)、図9に示すように反撥力信号
Fは0であり、ハンマ速度信号βは0である。従って、
積分器566ではハンマ初速度信号Vhのみが積分され
る。
【0029】そして、相対変位信号y−xが0を越えて
(ハンマHMが弦SPに衝突した状態に対応)正の値に
なると、非線形回路557から相対変位信号y−xに応じ
た大きさの反撥力信号Fが出力される。そして、この反
撥力信号Fに対し、係数−1/Mが乗算器559によっ
て乗じられ、ハンマ加速度信号α(負の値)が演算さ
れ、積分器562によってハンマ加速度信号αが積分さ
れてハンマ速度信号βが求められる。ここで、ハンマ速
度信号βは負の値となるので、積分器566では、初速
度信号Vh がハンマ速度信号βの分だけ減速されて積分
が行われ、ハンマ変位信号y の増加の時間的変化は徐々
に鈍くなる。また、ハンマ反撥力信号Fに応じた弦速度
信号βsが発生されて積分器555によって積分され、
弦変位信号xが変化する。
(ハンマHMが弦SPに衝突した状態に対応)正の値に
なると、非線形回路557から相対変位信号y−xに応じ
た大きさの反撥力信号Fが出力される。そして、この反
撥力信号Fに対し、係数−1/Mが乗算器559によっ
て乗じられ、ハンマ加速度信号α(負の値)が演算さ
れ、積分器562によってハンマ加速度信号αが積分さ
れてハンマ速度信号βが求められる。ここで、ハンマ速
度信号βは負の値となるので、積分器566では、初速
度信号Vh がハンマ速度信号βの分だけ減速されて積分
が行われ、ハンマ変位信号y の増加の時間的変化は徐々
に鈍くなる。また、ハンマ反撥力信号Fに応じた弦速度
信号βsが発生されて積分器555によって積分され、
弦変位信号xが変化する。
【0030】この期間、ハンマ変位信号y は正方向(弦
SPが食い込むようなハンマHMの移動方向)に増加
し、相対変位信号y−xが増加する。この結果、図7にお
いて矢印F1によって示すように、反撥力信号Fが増大
する。
SPが食い込むようなハンマHMの移動方向)に増加
し、相対変位信号y−xが増加する。この結果、図7にお
いて矢印F1によって示すように、反撥力信号Fが増大
する。
【0031】このようにして発生される反撥力信号Fに
従って加速度信号αが出力される結果、ハンマ速度信号
βは負の方向(ハンマHMが弦SPから離れる方向)に
大きくなる。そして、ハンマ速度信号βの絶対値が初速
度信号Vh を越え、ハンマHMの速度の方向が弦SPか
ら離れる方向に逆転すると、ハンマ変位信号y は負の方
向に変化する。そして、相対変位信号y−xは徐々に小さ
くなり、それに伴って反撥力信号Fは小さくなる(矢印
F2)。そして、相対変位信号 y−x<0、すなわち、ハ
ンマHMが弦SPから離れた状態となって打弦動作が終
了する。
従って加速度信号αが出力される結果、ハンマ速度信号
βは負の方向(ハンマHMが弦SPから離れる方向)に
大きくなる。そして、ハンマ速度信号βの絶対値が初速
度信号Vh を越え、ハンマHMの速度の方向が弦SPか
ら離れる方向に逆転すると、ハンマ変位信号y は負の方
向に変化する。そして、相対変位信号y−xは徐々に小さ
くなり、それに伴って反撥力信号Fは小さくなる(矢印
F2)。そして、相対変位信号 y−x<0、すなわち、ハ
ンマHMが弦SPから離れた状態となって打弦動作が終
了する。
【0032】このようにして打弦動作時における反撥力
信号Fが演算され、この反撥力信号Fが、ハンマHMが
弦SPに与える速度変化の寄与分、すなわち、励振信号
としてループ回路510および520に入力される。そ
して、ループ回路510および520の各々において、
入力された励振信号が循環する。また、ループ回路51
0を循環する信号は、乗算器M2 を介してループ回路5
20に導入され、同様に、ループ回路520からループ
回路510への信号の導入が行われ、各弦の相互干渉が
シミュレートされる。
信号Fが演算され、この反撥力信号Fが、ハンマHMが
弦SPに与える速度変化の寄与分、すなわち、励振信号
としてループ回路510および520に入力される。そ
して、ループ回路510および520の各々において、
入力された励振信号が循環する。また、ループ回路51
0を循環する信号は、乗算器M2 を介してループ回路5
20に導入され、同様に、ループ回路520からループ
回路510への信号の導入が行われ、各弦の相互干渉が
シミュレートされる。
【0033】そして、ループ回路510および520の
各出力信号が乗算器M11およびM12を各々介した後、加
算器A5 によって加算されて楽音信号が形成され、この
楽音信号に対し、フィルタ6によって共鳴効果が付与さ
れ、スピーカ7から楽音として発音される。
各出力信号が乗算器M11およびM12を各々介した後、加
算器A5 によって加算されて楽音信号が形成され、この
楽音信号に対し、フィルタ6によって共鳴効果が付与さ
れ、スピーカ7から楽音として発音される。
【0034】〔第2実施形態〕図8はこの発明の第2実
施形態による楽音合成装置の楽音形成部を示すものであ
る。この楽音形成部は、1つの鍵に対し、3本の弦が設
けられたピアノの楽音を形成するものであり、前述した
図5の構成に対し、第3の弦に対応したループ回路53
0を設けたものである。また、3本の弦の相互干渉をシ
ミュレートするために、ループ回路530と他のループ
回路510,520とが乗算器M6〜M9(乗算係数k6〜
k9)を介して結合されている。
施形態による楽音合成装置の楽音形成部を示すものであ
る。この楽音形成部は、1つの鍵に対し、3本の弦が設
けられたピアノの楽音を形成するものであり、前述した
図5の構成に対し、第3の弦に対応したループ回路53
0を設けたものである。また、3本の弦の相互干渉をシ
ミュレートするために、ループ回路530と他のループ
回路510,520とが乗算器M6〜M9(乗算係数k6〜
k9)を介して結合されている。
【0035】〔第3実施形態〕図9はこの発明の第3実
施形態による楽音合成装置の楽音形成部を示すものであ
る。この楽音形成部は、各ループ回路510および52
0を結合する手段として、乗算器M1およびM2の代わり
に遅延回路601および602を用いた点が、前述した
図5の構成と異なる。この構成によれば、各弦の振動が
駒部を介すことにより、位相が変化して他の弦に伝播す
る場合の動作が忠実にシミュレートされる。
施形態による楽音合成装置の楽音形成部を示すものであ
る。この楽音形成部は、各ループ回路510および52
0を結合する手段として、乗算器M1およびM2の代わり
に遅延回路601および602を用いた点が、前述した
図5の構成と異なる。この構成によれば、各弦の振動が
駒部を介すことにより、位相が変化して他の弦に伝播す
る場合の動作が忠実にシミュレートされる。
【0036】〔第4実施形態〕図10はこの発明の第4
実施形態による楽音合成装置の楽音形成部を示すもので
ある。この楽音形成部は、各ループ回路510および5
20を結合する手段として、乗算器M1およびM2の代わ
りに駒部における損失の周波数特性をシミュレートした
フィルタ603および604を用いた点が、前述した図
5の構成と異なる。この構成によれば、各弦の振動が駒
部を介すことにより、スペクトラムが変容して他の弦に
伝播する場合の動作が忠実にシミュレートされる。
実施形態による楽音合成装置の楽音形成部を示すもので
ある。この楽音形成部は、各ループ回路510および5
20を結合する手段として、乗算器M1およびM2の代わ
りに駒部における損失の周波数特性をシミュレートした
フィルタ603および604を用いた点が、前述した図
5の構成と異なる。この構成によれば、各弦の振動が駒
部を介すことにより、スペクトラムが変容して他の弦に
伝播する場合の動作が忠実にシミュレートされる。
【0037】〔開放弦の共鳴をシミュレートする場合〕
以上説明した各実施形態は、ピアノのように複数の弦を
ハンマによって叩く場合のシミュレートを行ったもので
あるが、ほぼ同じ構成により、ギターやバイオリン等に
おける開放弦の共鳴をシミュレートすることができる。
この場合、すべてのループ回路に励振信号を入力するの
でなく、所望の音高に対応した遅延時間の設定のなされ
た1個のループ回路にのみ励振信号を入力する。また、
励振信号を入力しない他のループ回路は、実際弾く弦の
隣の開放弦の音高に応じた遅延時間を設定する。このよ
うにすることで、励振信号を入力するループ回路におい
て、所望の音高に対応した楽音信号が形成され、この楽
音信号が他のループ回路に入力されることにより、開放
弦によって発生される共鳴音の楽音信号が形成される。
また、上記第1実施形態および第2実施形態において、
1つのループ回路のみに励振信号を入力することで、ピ
アノのウナコルダペダルの効果を得ることができる。
以上説明した各実施形態は、ピアノのように複数の弦を
ハンマによって叩く場合のシミュレートを行ったもので
あるが、ほぼ同じ構成により、ギターやバイオリン等に
おける開放弦の共鳴をシミュレートすることができる。
この場合、すべてのループ回路に励振信号を入力するの
でなく、所望の音高に対応した遅延時間の設定のなされ
た1個のループ回路にのみ励振信号を入力する。また、
励振信号を入力しない他のループ回路は、実際弾く弦の
隣の開放弦の音高に応じた遅延時間を設定する。このよ
うにすることで、励振信号を入力するループ回路におい
て、所望の音高に対応した楽音信号が形成され、この楽
音信号が他のループ回路に入力されることにより、開放
弦によって発生される共鳴音の楽音信号が形成される。
また、上記第1実施形態および第2実施形態において、
1つのループ回路のみに励振信号を入力することで、ピ
アノのウナコルダペダルの効果を得ることができる。
【0038】なお、以上説明した実施形態では、楽音合
成装置をデジタル回路で実現する場合について説明した
が、アナログ回路によって実現することも勿論可能であ
り、デジタル回路で実現した場合と同様な効果が得られ
る。また、遅延回路を含むループ回路としてウェーブガ
イドを利用することも可能である。
成装置をデジタル回路で実現する場合について説明した
が、アナログ回路によって実現することも勿論可能であ
り、デジタル回路で実現した場合と同様な効果が得られ
る。また、遅延回路を含むループ回路としてウェーブガ
イドを利用することも可能である。
【0039】また、ループ回路はシミュレートする弦の
本数に合わせ、必要な数だけ設ければよい。また、図5
の構成に対し、実際に打弦する弦以外のすべての開放弦
に対応したループ回路を設け、これらのループ回路とル
ープ回路510および520とを結合してもよい。この
ようにすることで、ダンパペダルを踏み込んだ時の独特
の響きがシミュレートされる。
本数に合わせ、必要な数だけ設ければよい。また、図5
の構成に対し、実際に打弦する弦以外のすべての開放弦
に対応したループ回路を設け、これらのループ回路とル
ープ回路510および520とを結合してもよい。この
ようにすることで、ダンパペダルを踏み込んだ時の独特
の響きがシミュレートされる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、第1のループ手段から取り出された信号から得られ
る弦の変位量に相当する信号と、発生されている励振信
号から得られるハンマの変位量に相当する信号とに基づ
いて、弦に加えられる力に相当する励振信号を発生する
ようにしたので、ハンマが弦の打撃を開始してから打撃
を終えるまでに弦に加えられる力の時間変化を忠実に模
倣できるという効果が得られる。
ば、第1のループ手段から取り出された信号から得られ
る弦の変位量に相当する信号と、発生されている励振信
号から得られるハンマの変位量に相当する信号とに基づ
いて、弦に加えられる力に相当する励振信号を発生する
ようにしたので、ハンマが弦の打撃を開始してから打撃
を終えるまでに弦に加えられる力の時間変化を忠実に模
倣できるという効果が得られる。
【0041】また、この発明によれば、複数の第1のル
ープ手段を設けてこれら第1のループ手段を結合手段に
よって結合し、少なくとも非線形変換手段が含まれた第
2のループ手段に対して、楽音を励振させるための初期
信号と多ループ結合手段中の第1のループ手段から取り
出した信号を入力し、この第2のループ手段を循環する
信号を励振信号として発生するようにしたので、ピアノ
において1つのハンマに対して複数の弦が張設されてい
る場合の影響も考慮されるようになり、ハンマが弦に与
える力の時間変化をいっそう忠実に模倣できるという効
果が得られる。以上のように、この発明によれば、ピア
ノ等の複弦構造を持つ楽器の発音原理に則した物理モデ
リングを行うことが可能になるという効果がある。
ープ手段を設けてこれら第1のループ手段を結合手段に
よって結合し、少なくとも非線形変換手段が含まれた第
2のループ手段に対して、楽音を励振させるための初期
信号と多ループ結合手段中の第1のループ手段から取り
出した信号を入力し、この第2のループ手段を循環する
信号を励振信号として発生するようにしたので、ピアノ
において1つのハンマに対して複数の弦が張設されてい
る場合の影響も考慮されるようになり、ハンマが弦に与
える力の時間変化をいっそう忠実に模倣できるという効
果が得られる。以上のように、この発明によれば、ピア
ノ等の複弦構造を持つ楽器の発音原理に則した物理モデ
リングを行うことが可能になるという効果がある。
【図1】 この発明の第1実施形態による楽音合成装置
の構成を示すブロック図である。
の構成を示すブロック図である。
【図2】 同実施形態における弦系パラメータ形成部3
の構成を示すブロック図である。
の構成を示すブロック図である。
【図3】 同実施形態におけるパラメータメモリ32の
記憶内容を示す図である。
記憶内容を示す図である。
【図4】 同実施形態におけるハンマ系パラメータ形成
部4の構成を示すブロック図である。
部4の構成を示すブロック図である。
【図5】 同実施形態における楽音形成部5の構成を示
すブロック図である。
すブロック図である。
【図6】 同実施形態がシミュレートするハンマHMお
よび弦SPの打弦時の状態を示す図である。
よび弦SPの打弦時の状態を示す図である。
【図7】 同実施形態における相対変位信号y−xに対す
る反撥力信号Fの変化を例示する図である。
る反撥力信号Fの変化を例示する図である。
【図8】 この発明の第2実施形態による楽音合成装置
の楽音形成部の構成を示すブロック図である。
の楽音形成部の構成を示すブロック図である。
【図9】 この発明の第3実施形態による楽音合成装置
の楽音形成部の構成を示すブロック図である。
の楽音形成部の構成を示すブロック図である。
【図10】 この発明の第4実施形態による楽音合成装
置の楽音形成部の構成を示すブロック図である。
置の楽音形成部の構成を示すブロック図である。
3 弦系パラメータ形成部 4 ハンマ系パラメータ形成部 5 楽音形成部 510,520,530 ループ回路 550 励振回路 601,602 遅延回路 603,604 フィルタ M1,M2,M6〜M9 乗算器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−163390(JP,A) 特開 昭63−40199(JP,A) ”Proceedings of t he venice 1982 INTER NATIONAL COMPUTER MUSIC CONFERENCE”C omputer Music Asso ciation p308〜339「Synt hesis of Bowed Str ing」J.O.Smith.1982
Claims (1)
- 【請求項1】 少なくとも遅延手段を含んだ複数の第1
のループ手段と各第1のループ手段から取り出した信号
を他の第1のループ手段に入力する結合手段とからなる
多ループ結合手段と、少なくとも非線形変換手段を含んだ第2のループ手段を
有し、該第2のループ手段に楽音を励振させるための初
期信号(Vh)および前記第1のループ手段から取り出した
信号(VS1) を入力するとともに、前記第2のループ手段
を循環する信号を励振信号として 前記複数の第1のルー
プ手段の少なくとも1つの第1のループ手段に入力する
励振信号発生手段とを具備し、前記多ループ結合手段を
循環する信号を楽音として出力することを特徴とする楽
音合成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08191257A JP3085908B2 (ja) | 1996-07-19 | 1996-07-19 | 楽音合成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08191257A JP3085908B2 (ja) | 1996-07-19 | 1996-07-19 | 楽音合成装置 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2143735A Division JPH0774958B2 (ja) | 1990-06-01 | 1990-06-01 | 楽音合成装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0954587A JPH0954587A (ja) | 1997-02-25 |
JP3085908B2 true JP3085908B2 (ja) | 2000-09-11 |
Family
ID=16271534
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP08191257A Expired - Fee Related JP3085908B2 (ja) | 1996-07-19 | 1996-07-19 | 楽音合成装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3085908B2 (ja) |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61163390A (ja) * | 1985-01-14 | 1986-07-24 | セイコーインスツルメンツ株式会社 | 電子楽器楽音発生装置 |
EP0583043B1 (en) * | 1986-05-02 | 1998-11-04 | The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University | Tone generation system |
-
1996
- 1996-07-19 JP JP08191257A patent/JP3085908B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
"Proceedings of the venice 1982 INTERNATIONAL COMPUTER MUSIC CONFERENCE"Computer Music Association p308〜339「Synthesis of Bowed String」J.O.Smith.1982 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0954587A (ja) | 1997-02-25 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 19980428 |
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