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JP3083296B2 - 車両搭載型音響再生装置 - Google Patents

車両搭載型音響再生装置

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Publication number
JP3083296B2
JP3083296B2 JP63074494A JP7449488A JP3083296B2 JP 3083296 B2 JP3083296 B2 JP 3083296B2 JP 63074494 A JP63074494 A JP 63074494A JP 7449488 A JP7449488 A JP 7449488A JP 3083296 B2 JP3083296 B2 JP 3083296B2
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JP
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delay
sound
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vehicle
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Application number
JP63074494A
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富士男 早川
義晴 森廣
昌弘 日比野
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、車両搭載型音響再生装置に関するもので
あり、特に、乗用車のような自動車に搭載して好適に使
用することのできる、ステレオ再生式の車両搭載型音響
再生装置に関するものである。
[従来の技術] 第11図は、既に製品として市販されているような、従
来の車両搭載型音響再生装置を示す概略構成図である。
この第11図において、CDプレーヤ(1)は第1、第2の
イコライザ回路(2a)、(2b)に接続されている。第1
のイコライザ回路(2a)は第1、第3のアッテネータ回
路(3a)、(3c)に接続されており、また、第2のイコ
ライザ回路(2b)は第2、第4のアッテネータ回路(3
b)、(3d)に接続されている。なお、バランス・フェ
ーダ・コントロール・スイッチ(4)が前記第1ないし
第4のアッテネータ回路(3a)〜(3d)に接続されてい
る。更に、第1ないし第4のアッテネータ回路(3a)〜
(3d)の後段には、それぞれに、第1ないし第4アンプ
回路(5a)〜(5d)が接続されている。そして、車体
(6)の四隅部には、それぞれに、右フロント・スピー
カ(7R)、左フロント・スピーカ(7L)、右リア・スピ
ーカ(8R)および左リア・スピーカ(8L)が配置されて
おり、これらは対応のアンプ回路と個別に接続されてい
る。
従来の車両搭載型音響再生装置は上記のように構成さ
れているものであり、以下にその動作について説明す
る。いま、CDプレーヤ(1)で適当な音楽の再生が行わ
れているものとすると、これに対応する音楽信号が第
1、第2イコライザ回路(2a)、(2b)により車両乗員
の嗜好に応じて周波数特性が変えられてから、第1ない
し第4アッテネータ回路(3a)〜(3d)に加えられる。
これらの第1ないし第4アッテネータ回路(3a)〜(3
d)は、バランス・フェーダ・コントロール・スイッチ
(4)によって、それぞれに対応するスピーカに入力さ
れる電気信号のレベル比を調整するようにされている。
従って、車両乗員は、このバランス・フェーダ・コント
ロール・スイッチ(4)を動作させることで、前記スピ
ーカの各々に入力される電気信号のレベルを変化させる
ことができる。そして、このバランス・フェーダ・コン
トロール・スイッチ(4)によって適当にレベル比が調
整された電気信号は、対応の第1ないし第4アンプ回路
(5a)〜(5d)で増幅されてから、それぞれに対応の右
フロント・スピーカ(7R)、左フロント・スピーカ(7
L)、右リア・スピーカ(8R)および左リア・スピーカ
(8L)に加えられて、所望の音楽信号に対応する音波が
車室内に放射されることになる。
ここで、車両乗員によって操作できるものは、前記バ
ランス・フェーダ・コントロール・スイッチ(4)と第
1、第2イコライザ回路(2a)、(2b)であって、これ
らを適当に調整することで、車両乗員の座席における音
質が好適になるようにしていた。ところで、車両には通
常複数個の座席があり、この座席毎に前記の調整をせね
ばならないという煩わしさがあった。
この従来例装置においては、車両の運転者席におい
て、左右に配置されているスピーカのレベル差は、バラ
ンス・フェーダ・コントロール・スイッチ(4)の操作
によって補正ないし調整をすることができるけれども、
前記スピーカの時間差の補正ないし調整をすることは不
可能であるために、その定位が不完全であった。
また、第1、第2のイコライザ回路(2a)、(2b)は
左チャンネルと右チャンネルとの2チャンネル分に充当
されるだけであって、車両の前方にあるスピーカと後方
にあるスピーカとでは、そのイコライズ特性が同じにな
るために、例えば、フロント・スピーカ側の周波数特性
がフラットになるようなイコライズ処理をしたときに
は、リア・スピーカ側の周波数特性が最適化されないこ
とがある。
更に、車室内での前後のスピーカから放射される音波
の位相差によって、60〜300Hzの重要な低音域での音圧
分布が生じることがある。このために、車室内の中央部
より少し前方にある車両運転者席は、音圧分布上のディ
ップとなって、低音域における音圧が減少してしまう。
このような従来例装置においては、車両前後のスピーカ
の音圧比を変化させることはできるが、スピーカから放
射される音波の位相差を変化させることができないため
に、音圧分布上のディップを改善することは不可能であ
る。
また、車両の後部座席においては、左右フロント・ス
ピーカ(7L)、(7R)に比べて、左右リア・スピーカ
(8L)、(8R)との距離が極端に小さいために、バラン
ス・フェーダ・コントロール・スイッチ(4)を用い
て、前記左右リア・スピーカ(8L)、(8R)のレベルを
低下させたとしても、公知の先行音効果のために、完全
に前方へ定位させることは困難である。
また、車両の後部座席における乗員の頭部位置での音
波の周波数特性をフラットにするために、第1、第2の
イコライザ回路(2a)、(2b)で高域を増強したときに
は、左右リア・スピーカ(8L)、(8R)の高域が増強さ
れることとなって、後部座席での乗員にとっては、耳障
りで不快な印象を与えるものである。
[発明が解決しようとする課題] 従来の車両搭載型音響再生装置は以上のように構成さ
れ、動作するものであることから、乗員の占める座席毎
に音質の調整をせねばならず、また、この調整を充分に
行うことが不可能であることから、乗員にとって耳障り
で不快な印象を与えてしまうという問題点があった。
この発明は上記のような問題点を解決するためになさ
れたもので、各スピーカの再生レベルの調整が可能にさ
れるだけではなく、スピーカ毎の周波数特性の調整を個
別に行うことが可能であり、更に、スピーカからの音波
に関する時間差や位相差の補正を施すことが可能にさ
れ、また、乗員が占める座席に対応する選択スイッチを
操作することで、最適に調整された再生音が迅速に得ら
れるようにされた車両搭載型音響再生装置を得ることを
目的とする。
[課題を解決するための手段] この発明に係る車両搭載型音響再生装置は:車室内前
部に配置された前部スピーカ、車室内後部に配置された
後部スピーカ、上記車室内の所望の位置を選択する選択
手段、上記前部スピーカおよび後部スピーカに入力され
る電気信号の周波数特性を変化させるイコライズ手段、
上記電気信号の減衰量を変化させる減衰手段、上記電気
信号から得られる音声信号が上記車室内で反射しない範
囲内において上記電気信号の遅延時間を変化させるディ
レイ手段、上記車室内における複数の位置と、これら位
置のそれぞれに対応する上記イコライズ手段の変化量と
上記減衰手段の変化量と上記ディレイ手段の変化量とを
一組にした一組変化量とをそれぞれ対応させて記憶した
記憶手段、上記選択手段により選択された位置に対応す
る一組変化量を上記記憶手段から抽出する抽出手段、こ
の抽出手段の抽出した上記一組変化量に基づき、上記イ
コライズ手段と上記減衰手段と上記ディレイ手段とを制
御する制御手段を備え、上記制御手は、上記選択手段に
より前席対応の操作を行った際、上記前席対応の一組変
化量に基づき、上記前部スピーカへの入力音声信号に対
し、上記ディレイ手段による制御と上記イコライズ手段
による制御を行い、上記後部スピーカへの入力音声信号
に対し、上記減衰手段による制御を行うとともに、後席
対応の操作を行った際、上記後席対応の一組変化量に基
づき、上記前部スピーカへの入力音声信号に対し、上記
イコライズ段による制御を行い、上記後部スピーカへの
入力音声信号に対し、上記ディレイ手段による制御と上
記減衰手段による制御を行うようにしたものである。
[作用] この発明においては、車室内における座席位置を選択
した際、抽出手段が記憶手段に記憶した一組変化量を抽
出し、この一組変化量に基づき制御手段がディレイ手
段、イコライズ手段及び減衰手段を制御して、所望のス
テレオ再生が行われる。
[実施例] 以下、この発明の一実施例を図について説明する。第
1図は、この発明の一実施例である車両搭載型音響再生
装置を示す概略構成図である。この第1図において、CD
プレーヤ(1)の一方の出力部は第1、第3のディレイ
回路(10a)、(10c)に接続されており、また、その他
方の出力部は第2、第4のディレイ回路(10b)、(10
d)に接続されている。ここで、例えば、第1のディレ
イ回路(10a)に着目すると、その後段には、第1のト
ーン回路(11a)、第1のアッテネータ回路(12a)、第
1のアンプ回路(5a)の順で直列にされており、また、
この第1のアンプ回路(5a)の後段には左フロント・ス
ピーカ(7L)が接続されている。なお、第2ないし第4
のディレイ回路(10b)〜(10d)の後段の接続関係につ
いては、前記第1のディレイ回路(10a)の場合と同様
であるから、これ以上の説明は省略する。(9)はポジ
ション選択スイッチ部であって、選択手段である複数個
の選択スイッチ(A1)〜(A3)が設けられており、ま
た、このポジション選択スイッチ部(9)は、第1ない
し第4のディレイ回路(10a)〜(10d)、第1ないし第
4のトーン回路(11a)〜(11d)、および、第1ないし
第4のアッテネータ回路(12a)〜(12d)のそれぞれと
接続されている。そして、車体(6)の四隅部には、そ
れぞれに、右フロント・スピーカ(7R)、左フロント・
スピーカ(7L)、右リア・スピーカ(8R)および左リア
・スピーカ(8L)が配置されており、これらは対応のア
ンプ回路と個別に接続されている。
次に、第1図に示したこの発明の一実施例の動作につ
いて説明する。いま、CDプレーヤ(1)で所望の音声再
生がなされているものとすると、再生された左右2チャ
ンネルのステレオ信号は、左右フロント・スピーカ(7
L)、(7R)の駆動用信号と、左右リア・スピーカ(8
L)、(8R)の駆動用信号とに分岐された後で、それぞ
れに、第1ないし第4のディレイ回路(10a)〜(10b)
により所定のディレイが与えられてから、第1ないし第
4のトーン回路(11a)〜(11d)でイコライズ処理が施
される。次いで、第1ないし第4のアッテネータ回路
(12a)〜(12d)で所定の減衰がなされ、第1ないし第
4のアンプ回路(5a)〜(5d)で電力増幅がなされてか
ら、それぞれに対応する左右フロント・スピーカ(7
L),(7R)および左右リア・スピーカ(8L),(8R)
から音波が放射される。
ポジション選択スイッチ部(9)に設けられた複数個
の選択スイッチ(A1)〜(A3)は、車両内の座席を選択
・指定する機能を果たすものである。いま、乗員が選択
スイッチ(A1)〜(A3)の中の所要のものを押すと、こ
れに対応する制御信号が発生されて、ポジション選択ス
イッチ部(9)に設けられた記憶手段(図示せず)から
ポジション選択スイッチ部(9)に設けられた抽出手段
(図示せず)がスピーカ毎の所要のディレイ量、イコラ
イズ特性、減衰比等を選択・設定する。
ここでは、例えば、選択スイッチ(A1)が押されて、
運転者席が選択された場合について説明する。一般的
に、左右フロント・スピーカ(7L),(7R)には、大形
のバッフル板を取り付けることが不可能であるために、
低音域でのレベルが不足がちであり、また、これらのス
ピーカの中心軸が運転者席からずれているために、高音
域が減衰していることが多い。そこで、トーン回路を使
用することにより、左右フロント・スピーカ(7L),
(7R)の中音域を減衰させ、低音域および高音域を相対
的に持ち上げることで、前記左右フロント・スピーカ
(7L),(7R)の周波数特性をフラットにすることがで
きる。
第2図は、上記実施例における周波数特性の調整を例
示するためのグラフ図である。ここでは、車室の全長が
2.6mの乗用車を例にとったグラフ図が示されている。こ
の第2図においては、その横軸には周波数(Hz)がとら
れており、また、その縦軸にはレベル(dB)がとられて
いる。いま、中音域でのレベル調整を、400Hzおよび5kH
zにおいて−6dB、1.5kHzにおいて−10dBのようにする
と、点線で示されるように、ほぼフラットな周波数特性
が実現されることが認められる。
また、右フロント・スピーカ(7R)は運転者席の近傍
に配置されているが、左フロント・スピーカ(7L)は遠
隔に配置されているために、これら2個のスピーカから
放射された音波が運転者席に到達するまでに時間差が生
じて、左右の定位が劣化することになる。通常の乗用車
においては、左右フロント・スピーカ(7L)、(7R)か
らの距離の差は、約30〜約60cmであって、その時間差は
1msec程度のものであるから、右フロント・スピーカ(7
R)からの信号に対して、対応のディレイ回路によって1
msec程度のディレイを与えることで、左右の定位を改善
することができる。
なお、通常のリスニング・ルームにおいては、聴取者
の後方からの後方音の音圧は、その前方からの前方の音
圧よりも小さいために、対応のアッテネータ回路を使用
することで左右リア・スピーカ(8L),(8R)の音量を
減衰させると、より自然に近い聴取状態が実現される。
先の第2図の例においては、対応のアッテネータ回路に
よって左右リア・スピーカ(8L),(8R)の音圧を3dB
以上下げると、後方音の音圧が前方音の音圧以下になっ
た。
次に、後部座席にいる乗員が、ポジション選択スイッ
チ部(9)における選択スイッチ(A2)を押すことによ
り、後部座席が選択された場合について説明する。後部
座席では、乗員の頭部の近傍に配置された左右リア・ス
ピーカ(8L),(8R)の音量が極めて大きく、他の左右
フロント・スピーカ(7L),(7R)からの音声を聞き取
ることが困難である。その対処策として、前記第2図の
例においては、対応のアッテネータ回路により、左右リ
ア・スピーカ(8L),(8R)の音圧を10dB以上下げて、
左右フロント・スピーカ(7L),(7R)の音圧を下回る
ようにされる。
中音域および高音域の音圧が大きい場合には、対応の
トーン回路を使用して、左右リア・スピーカ(8L),
(8R)の中音域および高音域を減衰させるようにすれば
良い。一方、左右フロント・スピーカ(7L),(7R)に
ついては、前述された理由により、その低音域および高
音域の音圧が不足する。また、一般的に、これらのフロ
ント・スピーカと後部座席との間には、中音域および高
音域で吸音性の高い内装材が使用されているために、運
転者席に比べて、高音域での音圧の不足が甚だしくな
る。そこで、上記第2図の例においては、400Hzおよび2
kHzで−6dB、1kHzで−8dBと中音域での減衰をさせるこ
とにより、運転者席に比べて、低音域および高音域が相
対的に持ち上がるようなイコライズ処理がなされる。ま
た、左右リア・スピーカ(8L),(8R)側のディレイ回
路により、前記左右リア・スピーカ(8L),(8R)内の
電気信号に対して、音波が車室内で前後方向に伝播する
時間内でのディレイを与えるようにすれば、公知の先行
音効果を活用して、音像を前方に定位させることができ
る。例えば、音速が340m/secであるときに、車室の全長
が2.6mの乗用車における音波の伝播時間は8msec以内に
なる。
第3図および第4図は、上記実施例における各種の特
性の例示図である。その中の第3図(A)は、第1表と
しての、時間的なディレイと減衰比との対応関係を例示
する表を示す図であり、また、第3図(B)は、第2表
としての、イコライズ特性を例示する表を示す図であ
る。そして、第4図は、前記第3図(B)に対応するグ
ラフ図である。
第5図ないし第8図は、それぞれに、上記実施例の必
要部分を示す概略構成図である。まず、第5図にはディ
レイ回路が例示されている。ここに例示されたディレイ
回路は、例えば、BBD(Bucket Brigade Device)のよう
なディレイ素子から構成されており、音質を最適にしよ
うとする座席を選択するためのポジション選択スイッチ
部で選択された時間的なディレイを各スピーカへの電気
信号に与えるようにされる。次に、第6図にはトーン回
路が例示されている。ここに例示されたトーン回路は、
異なるイコライズ特性を有する幾つかのトーン機能部を
備えており、ポジション選択スイッチ部毎に選択された
座席毎に予め設定されているイコライズ特性に従って、
各スピーカに対する電気信号のイコライズ処理がなされ
る。また、第7図にはアッテネータ回路が例示されてい
る。ここに例示されたアッテネータ回路は、ポジション
選択スイッチ部で選択された座席毎に、予め定められた
減衰比をもって、各スピーカに対する電気信号の減衰処
理がなされる。そして、第8図にはポジション選択スイ
ッチ部が例示されている。ここに例示されたポジション
選択スイッチ部は、制御回路としての機能を果たすもの
であって、車両の乗員よって押された選択スイッチに対
応する制御信号が発生されて、スピーカ毎のディレイ回
路、トーン回路およびアッテネータ回路において、予め
設定されている時間的ディレイ、イコライズ特性および
減衰比が選択される。
これらの第5図ないし第8図において、LおよびR
は、それぞれに、左右のステレオ信号、D1〜D4は、例え
ばBBDのような、互いにディレイ量が異なるディレイ素
子、S1〜S9は、それぞれにリレー・スイッチであって、
制御信号C1〜C9がLOW状態にあるときにONにされるも
の、T1〜T6は、例えば、カー・オーディオ用のグラフィ
ック・イコライザに使用されるような、イコライズICか
らなるイコライザ回路、R1〜R6は所定の抵抗、そして、
(A1)〜(A3)は座席を選択するための選択スイッチで
ある。なお、前記第5図ないし第7図においては、それ
ぞれに、左右フロント・スピーカ(7L)、(7R)側のた
めのものとして例示されているが、いうまでもなく、左
右リア・スピーカ(8L)、(8R)側のためにも、同様な
構成のものを設けることができる。
いま、第8図において、ポジション選択スイッチ部
(9)の選択スイッチ(A1)が閉にされたものとする
と、これに従って、制御信号C1、C4およびC7がLOWにな
る。このために、第5図のディレイ回路においては、リ
レー・スイッチ(S1)がONにされて、左チャンネル側に
D1なるディレイが与えられ、また、右チャンネル側には
D2なるディレイが与えられる。そして、第6図のトーン
回路においては、リレー・スイッチ(S4)がONにされ
て、左チャンネル側になるT1なるイコライズ処理が施さ
れ、また、右チャンネル側にはT2なるイコライズ処理が
施される。更に、第7図のアッテネータ回路において
は、リレー・スイッチ(S7)がONにされて、左右チャン
ネルのいずれも、何等の減衰もされない電気信号が加え
られることになる。
これに対して、前記第8図におけるポジション選択ス
イッチ部(9)の選択スイッチ(A2)が閉にされたもの
とすると、これに従って、制御信号C3、C5およびC8がLO
Wになる。このために、前記第7図のアッテネータ回路
においては、リレー・スイッチ(S8)がONにされて、左
右チャンネルの電気信号は、それぞれに、下記のような
抵抗比をもって減衰されることになる。即ち、 左チャンネル:(R2+R3)/(R1+R2+R3) 右チャンネル:(R5+R6)/(R4+R5+R6) ここで、従来例の問題点として先に指摘した事項につ
いてみると、車両の前後に配置されたスピーカから放射
される音波の位相差によって、当該車両の運転者席での
音圧が減衰することが挙げられる。しかるに、この発明
の実施例によれば、左右のフロント・スピーカ(7L)、
(7R)への駆動信号に対して所要の時間的なディレイを
与えることが可能であるから、車両の前後に配置された
スピーカ間での位相差を等価的に設定することができ
る。いま、フロント・スピーカ側での駆動信号に2.4mse
cのディレイを与えたものとすると、例えば、100Hzの周
波数において、前後に配置されたスピーカ間での位相差
を86゜にして放射されたときと等価にされることにな
る。このために、前記100Hz近傍の帯域で車室内の音圧
分布を変化させることで、運転者席における音圧の減衰
を確実に防止することができる。
第9図には、車室全長が2.6mの乗用車における、運転
車席での音圧周波数特性図が、縦軸に音圧レベル(dB)
をとり、横軸に周波数(Hz)をとって例示されている。
この例においては、フロントダッシュの左右部およびリ
アトレイの左右部に1個ずつ、都合4個のスピーカが配
置された構成にされており、また、後方に配置されたス
ピーカの音圧を3dBだけ下げて駆動した場合の、運転車
席での音圧周波数特性図が示されている。この第9図に
おいて、曲線(91)は時間的なディレイがないときの特
性図、そして、曲線(92)および(93)は、それぞれ
に、1.1msec、2.4msecの時間的なディレイがあるときの
特性図である。このような時間的なディレイを与えたこ
とにより、40〜150Hzでの音圧の上昇が認められる。
第10図には、車室全長が2.6mの乗用車における、後部
座席での音圧周波数特性図が、縦軸に音圧レベル(dB)
をとり、横軸に周波数(Hz)をとって例示されている。
この例においては、フロントダッシュの左右部およびリ
アトレイの左右部に1個ずつ、都合4個のスピーカが配
置された構成にされており、また、後方に配置されたス
ピーカの音圧を10dBだけ下げて駆動した場合の、後部座
席での音圧周波数特性図が示されている。この第10図に
おいて、曲線(101)は時間的なディレイがないときの
特性図、そして、曲線(102)および(103)は、それぞ
れに、2.4msec、4.4msecの時間的なディレイがあるとき
の特性図である。まず、曲線(101)についてみると、1
50Hz近傍で大きいディップが生成することが認められ
る。また、曲線(102)についてみると、150Hz近傍での
立ち上がりが生じて、前記ディップに対する大幅な改善
をもたらすことが認められる。
一般的に、BBDのようなディレイ素子は、その位相が
周波数に比例して変化するものであるが、100Hz近傍の
低音域では、その位相がほぼ一定であるとみることがで
きる。このことから、前記されたように、低音域でのデ
ィップの改善を実現することができる。また、一定位相
とみられる帯域より上の帯域においては、その前後の音
波の位相差が逆転する周波数が存在することから、ディ
ップが生成することがある。そして、このようなディッ
プの生成は、第9図における300Hzや第10図における250
Hz近傍で認められるけれども、このディップの大きさ
や、当該ディップが生成する周波数は、時間的なディレ
イの大きさや各スピーカに対する駆動レベルに応じて異
なるものである。そして、この時間的なディレイの大き
さを変化させることにより、低音域におけるディップの
大きさを変化させることができる。
そして、車室内の前後に配置されたスピーカ間での時
間的なディレイの大きさは、車室の前方(または後方)
から放射された音波が車室の後方(または前方)に到達
するまでの時間内にある限りは、車室内の前方から後方
に至る任意の点において、フロント・スピーカおよびリ
ア・スピーカから放射された音波の位相を、同相または
逆相にすることができる。かくして、車室内での音圧分
布の調整が可能にされ、更に、低音域でのディップの変
化が可能にされることになる。
自動車の車室の全長は、通常、高々4m弱であり、この
長さを音波が伝播するのには約11.8msecの時間を必要と
する。従って、車室内の前後に配置されたスピーカにお
ける時間的なディレイの大きさは1〜12msec程度であれ
ば良い。そして、このような時間的なディレイの大きさ
の範囲内で、改善しようとする帯域での音圧増大が著し
く、また、それ以外の帯域でのディップが小さくなるよ
うな前記時間的なディレイの大きさを、低音域における
音圧周波数特性の計測を行うことによって設定すること
ができる。なお、この音圧周波数特性の計測は、例え
ば、既知の正弦波をスイープさせること、1/3oct.分析
器を動作させること等により、容易に実施することがで
きる。
前記第1図に示されたこの発明の実施例においては、
この時間的なディレイのために、中音域や高音域での先
行音効果に基づき、音像が前方に定位するような作用が
なされる。そして、前記第1図のような構成をとること
により、ポジション選択スイッチ部の各選択スイッチに
応じて、予め設定された時間的なディレイの大きさ、イ
コライズ特性、減衰比の中から所定のものを選択して、
その再生音質を最適なものにすることができる。
[発明の効果] 以上説明されたように、この発明に係る車両搭載型音
響再生装置は:車室内前部に配置された前部スピーカ、
車室内後部に配置された後部スピーカ、上記車室内の所
望の位置を選択する選択手段、上記前部スピーカおよび
後部スピーカに入力される電気信号の周波数特性を変化
させるイコライズ手段、上記電気信号の減衰量を変化さ
せる減衰手段、上記電気信号から得られる音声信号が上
記車室内で反射しない範囲内において上記電気信号の遅
延時間を変化させるディレイ手段、上記車室内における
複数の位置と、これら位置のそれぞれに対応する上記イ
コライズ手段の変化量と上記減衰手段の変化量と上記デ
ィレイ手段の変化量とを一組にした一組変化量とをそれ
ぞれ対応させて記憶した記憶手段、上記選択手段により
選択された位置に対応する一組変化量を上記記憶手段か
ら抽出する抽出手段、この抽出手段の抽出した上記一組
変化量に基づき、上記イコライズ手段と上記減衰手段と
上記ディレイ手段とを制御する制御手段を備え、上記制
御手は、上記選択手段により前席対応の操作を行った
際、上記前席対応の一組変化量に基づき、上記前部スピ
ーカへの入力音声信号に対し、上記ディレイ手段による
制御と上記イコライズ手段による制御を行い、上記後部
スピーカへの入力音声信号に対し、上記減衰手段による
制御を行うとともに、後席対応の操作を行った際、上記
後席対応の一組変化量に基づき、上記前部スピーカへの
入力音声信号に対し、上記イコライズ段による制御を行
い、上記後部スピーカへの入力音声信号に対し、上記デ
ィレイ手段による制御と上記減衰手段による制御を行う
ようにしたものであり、車室内における座席位置が選定
されると、制御手段の制御に基づき、抽出手段が予め記
憶手段に記憶した一組変化量を摘出し、ディレイ手段、
イコライズ手段、および、減衰手段を一括に制御して所
望の音場を形成し再生が行われる。即ち、この発明は、
個別のスピーカに加えられる電気信号について、時間的
なディレイ、イコライズ特性及び減衰比を車室内におけ
る座席毎に選択的に設定することができるようにされて
おり、選択手段の各選択に応じて、予め設定された時間
的なディレイの大きさ、イコライズ特性、減衰比の中か
ら所定のものを選択して、その再生音質を最適にするこ
とができ、以て、車両の乗員は、所定のスイッチで最適
に調整された音質をもって、ステレオ再生された音楽等
を楽しむことができる。また、この発明は、スピーカか
ら音波を出力する際に、周波数特性を深く落ち込ませる
ことを防止でき、所望の位置に対応した最適な音場を形
成できる。さらに、この発明は、迅速に所望の座席位置
に応じた音場制御が行え、装置の処理速度が向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の一実施例である車両搭載型音響再
生装置を示す概略構成図、第2図は、上記実施例におけ
る周波数特性の調整を例示するためのグラフ図、第3図
は、上記実施例における各種の特性を例示する表図、第
4図は、上記実施例における特定の特性を例示するグラ
フ図、第5図は、上記実施例におけるディレイ回路の例
示図、第6図は、上記実施例におけるトーン回路の例示
図、第7図は、上記実施例におけるアッテネータ回路の
例示図、第8図は、上記実施例におけるポジション選択
スイッチ部の例示図、第9図および第10図は、上記実施
例の動作を説明するための、乗用車の後部座席での音圧
周波数特性図、第11図は、従来の車両搭載型音響再生装
置を示す概略構成図である。 (1)はCDプレーヤ、(10a)〜(10d)は第1ないし第
4のディレイ回路、(11a)〜(11d)は第1ないし第4
のトーン回路、(12a)〜(12d)は第1ないし第4のア
ッテネータ回路、(5a)〜(5d)は第1ないし第4のア
ンプ回路(5a)、(9)はポジション選択スイッチ部、
(7R)は右フロント・スピーカ、(7L)は左フロント・
スピーカ、(8R)は右リア・スピーカ、(8L)は左リア
・スピーカ。 なお、図中、同一符号は同一または相当部分を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日比野 昌弘 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機株式会社応用機器研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−291300(JP,A) 特開 昭59−225700(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車室内前部に配置された前部スピーカ、 車室内後部に配置された後部スピーカ、 上記車室内の所望の位置を選択する選択手段、 上記前部スピーカおよび後部スピーカに入力される電気
    信号の周波数特性を変化させるイコライズ手段、 上記電気信号の減衰量を変化させる減衰手段、 上記電気信号から得られる音声信号が上記車室内で反射
    しない範囲内において上記電気信号の遅延時間を変化さ
    せるディレイ手段、 上記車室内における複数の位置と、これら位置のそれぞ
    れに対応する上記イコライズ手段の変化量と上記減衰手
    段の変化量と上記ディレイ手段の変化量とを一組にした
    一組変化量とをそれぞれ対応させて記憶した記憶手段、 上記選択手段により選択された位置に対応する一組変化
    量を上記記憶手段から抽出する抽出手段、 この抽出手段の抽出した上記一組変化量に基づき、上記
    イコライズ手段と上記減衰手段と上記ディレイ手段とを
    制御する制御手段、 を備え、 上記制御手は、上記選択手段により前席対応の操作を行
    った際、上記前席対応の一組変化量に基づき、上記前部
    スピーカへの入力音声信号に対し、上記ディレイ手段に
    よる制御と上記イコライズ手段による制御を行い、上記
    後部スピーカへの入力音声信号に対し、上記減衰手段に
    よる制御を行うとともに、後席対応の操作を行った際、
    上記後席対応の一組変化量に基づき、上記前部スピーカ
    への入力音声信号に対し、上記イコライズ段による制御
    を行い、上記後部スピーカへの入力音声信号に対し、上
    記ディレイ手段による制御と上記減衰手段による制御を
    行うようにしたことを特徴とする車両搭載型音響再生装
    置。
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