JP3058236B2

JP3058236B2 - インクジェット記録方法

Info

Publication number: JP3058236B2
Application number: JP20954193A
Authority: JP
Inventors: 守坂木; 昭夫柏崎; みふね広瀬; 鋭一鈴木
Original assignee: Canon Inc
Current assignee: Canon Inc
Priority date: 1993-08-24
Filing date: 1993-08-24
Publication date: 2000-07-04
Anticipated expiration: 2015-07-04
Also published as: JPH0761115A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は色濃度が高く、且つ高解
像度である画像を提供することの可能なインクジェット
記録方法に関し、特に、透光性、あるいは表面光沢性に
優れた記録画像を提供するのに好適なインクジェット記
録方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来インクジェット記録方法に用いられ
る画像を形成する記録媒体として、例えば、特公平３−
２６６６５号公報に記載されている様な基紙上に微粉シ
リカとポリビニルアルコールのような水溶性バインダー
を含む塗工層を設けた記録紙や、特公平３−２５３５２
号公報に記載されている様なキャストコート紙の一表面
にけん化度５０〜９０モル％のポリビニルアルコールと
架橋剤を含有する被膜を形成しインク受容層とした光沢
紙、更には特開昭６０−２２０７５０号公報に記載され
ている様なポリエステルフィルム上にけん化度７０〜９
０モル％の水溶性ポリビニルアルコールからなる親水性
被膜を設けインク受容層としたオーバーヘッドプロジェ
クター（ＯＨＰ）用記録シートが用いられてきた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】近年、記録の高速化、
多色化などインクジェット記録装置の性能の向上に伴
い、インクジェット用記録媒体に対しても、より高度で
広範な特性が要求されている。特に、（１）インクの吸収能力が高いこと（吸収容量が大き
く、吸収時間が早い）（２）インクドットの光学濃度が高く、ドット周辺がぼ
けないこと（３）インクドット形状が真円に近く、その周辺が滑ら
かであること（４）温度、湿度の変化で特性の変化が小さく、カール
をおこさないこと（５）ブロッキングをおこさないことなどの特性を同時に満足させることが要求される。更に（６）記録媒体に形成された画像が長期保存において安
定で変質しないこと（特に、高温高湿環境下）（７）記録媒体自体が長期保存において安定で変質しな
いこと（特に、高温高湿環境下）などの保存性も要求される。

【０００４】また、インクジェット記録方法を用いて、
ＯＨＰに使用可能な透明性に優れた画像や、表面に高光
沢を有する画像を形成することも要求されており、透光
性に優れる記録媒体や、表面光沢を有する記録媒体（光
沢紙）が必要とされている。これらの記録媒体は、記録
面での入射光の拡散反射を制御するために、極力透明な
被覆層を設ける必要があるため、前述したフィルム等の
基材上にポリビニルアルコール等の親水性樹脂を主体と
するインク受容層を設けることにより形成されてきた。

【０００５】このような透光性画像、あるいは表面光沢
性画像を形成するインクジェット記録方法において、記
録の高速化、画像の高密度化、カラー化が進むにつれ、
記録媒体のインク定着不良による画像品位の低下が深刻
な問題となっている。即ち、これらの記録媒体の記録面
は従来のコート紙や普通紙のような多孔質構造ではない
ために、インクの吸収能力が不十分であるため、画像濃
度の高い部分即ちインク打ち込み量の多い部分でインク
のあふれ出しによる画像汚れや、記録面において未定着
のインク滴が凝集したような濃度ムラ（ビーディング）
を起こし、また特にカラー画像形成の場合、異なった色
の境界部の混色による色汚れ（境界にじみ）を起こす。
これらの現象は画像の鮮明性を著しく低下させる。

【０００６】例えば特公平３−２９５９６号公報に記載
されているポリビニルピロリドンを主体とするインク受
容層を設けた記録シートでは、インクの吸収能力は常温
上湿で比較的良好であるが、高温高湿下でインクの乾き
が極めて遅い為ブロッキングを起こしやすく、また記録
面の機械的強度が弱くキズがつきやすいという欠点を有
する。

【０００７】特に、上記の透光性、または表面光沢性を
有する記録シートを用いた記録方法において、顕著な問
題であるビーディングや境界にじみの問題に関して、記
録媒体の側から改良する試みは成されてきたが十分に効
果的な記録媒体は得られていない。また、インク、記録
媒体の双方の面からのこれらの問題を解決するための検
討は、ほとんどなされていなかった。

【０００８】本発明の目的は、上記した諸特性をバラン
ス良く同時に満足する記録媒体を用いたインクジェット
記録方法を提供することであり、特に、濃度が高く、高
解像度であり、透明性あるいは表面光沢性に優れた記録
画像を形成することが可能なインクジェット記録方法を
提供することである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、イ
ンクの小滴を記録信号に応じて記録ヘッドのオリフィス
から吐出させ、記録媒体に付着させることにより該媒体
に記録画像を形成するインクジェット記録方法におい
て、前記インクとして、表面張力が２５〜３５ｄｙｎｅ
／ｃｍの範囲内にあるインクを用い、且つ前記記録媒体
として、芳香族系ポリビニルアセタール樹脂と、ポリア
ルキレンオキサイドまたはその誘導体とを主体とし、前
記ポリアルキレンオキサイドまたはその誘導体を２〜１
０重量％含む被覆層を基材上に有するものを用いること
を特徴とする、インクジェット記録方法、によって達成
される。

【００１０】本発明の上記方法では、好ましくは、イン
クとして、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックイ
ンクの４種を用い、記録媒体にカラー記録画像を形成す
る。

【００１１】また、本発明の好ましい実施態様として、
上記インクジェット記録方法において、記録媒体を構成
する被覆層が、カチオン性基を有するビニル系モノマー
と疎水性基を有するビニル系モノマーとの共重合体から
なる親水性アクリル樹脂を含むこと、前記記録媒体の被
覆層が０．５重量％以上のエポキシ化合物を含有するこ
と、および／または記録媒体の基材がプラスチックフィ
ルムであることを特徴とする方法が提供される。

【００１２】更に、本発明の他の実施態様として、上記
インクジェット記録方法において、前記インクの液媒体
成分が、水及び水混和性グリコール類またはグリコール
エーテル類を主体に組成されたものであること、インク
を吐出するオリフィスを１色あたり２つ以上、同時に同
色のインク滴を２滴以上吐出させることにより記録画像
を形成すること、少なくとも３ＫＨｚ以上の周波数でイ
ンクの小滴を吐出すること、インクの最大記録密度が６
ｎｌ／ｍｍ²以上であること、あるいはインクの吐出を
熱エネルギーによって行うことを特徴とする方法が提案
される。

【００１３】本発明者等は、インクジェット記録方法を
用いた、例えばオーバーヘッドプロジェクター等に使用
可能な透光性の画像や、銀塩写真に匹敵するような表面
に高光沢を有する画像の形成方法について検討を行い、
前記特定の組成の被覆層を有する記録媒体に対して、前
記特定の範囲の表面張力を有するインクを用いてインク
ジェット記録を行うことにより、前記の要求性能を満足
する記録画像を形成することが可能であり、特に、上記
のような記録画像を形成する際に顕著な問題であった、
ビーディングや境界にじみの発生のない高品位な記録画
像の形成が可能なことを見いだし、本発明を完成するに
至ったものである。

【００１４】本発明者らが知見するところによれば、ビ
ーディングや境界にじみの問題は、すでに述べたような
記録媒体のインク吸収性の不足による問題であるだけで
なく、記録シートに付着したインクと記録媒体表面との
濡れ性にも関わる問題である。即ち、ベタ印字、あるい
はそれに近い記録のなされている部分では、インクの記
録媒体表面に対する濡れ性が不十分であると、インク滴
が記録媒体表面に着弾する位置の微少なズレなどが原因
となり、媒体表面で隣り合った画素の未定着のインク滴
同士が、数個乃至数十個の単位で不規則につながった形
で集合し孤立した状態となり、マクロ的にみると記録部
の濃淡ムラとなってみえるビーディング現象が起こる。
逆に、濡れ性が良好な場合には、未定着のインク滴のほ
ぼ全てが均一につながり集合状態となるため、記録部は
濃淡ムラを発生せずに均一な状態に見える。ところが一
方で、濡れ性が過度に高い場合には、これが異なる色の
インクで記録された境界部分で起こるため、色混じりを
発生し、境界が不鮮明となる境界にじみの問題が起こ
る。以上のように、これらの問題は、記録媒体側だけで
の改良を進めても十分な解決策が得られにくい問題であ
ることがわかった。

【００１５】記録媒体上でのインクの濡れ性を最適化す
るように、インクの表面張力を調整することは上記の問
題を解決するための一つの手段である。しかしながら、
本発明者らの検討結果によると、記録媒体表面を構成す
る材料により上記のインクの表面張力の好適範囲は異な
るばかりでなく、好適範囲が極端に狭かったり、両者を
両立する範囲が存在しない場合もあり、また、最適化し
た際の画像品位のレベルも異なることがわかった。この
ような検討結果から、本発明者らは、記録媒体形成材料
としてインクとの組み合わせの相乗効果を考慮したうえ
で特定の材料を選択し、更に、その材料に対して最も適
した表面張力を有するインクとを組み合わせることによ
り、従来、得ることのできなかった高品位な透光性画像
及び表面光沢性画像を形成することが可能であることを
知見し、本発明に至った。

【００１６】なお、本発明でいう透光性（透明性）と
は、記録媒体の直線透過率が３０％以上であることを意
味する。ここで、直線透過率（Ｔ％）とは、サンプルに
垂直に入射し、サンプルを透過し、サンプルから少なく
とも８ｃｍ離れた距離にある入射光路の延長線上にある
受光スリットを透過し、検出器に受光される直線光の分
光透過率を、例えば３２３型日立自記分光光度計（日立
製作所製）等を使用して測定し、さらに測定された分光
透過率から、色の３刺激値のＹ値を求め、これらの値を
基に次式より求められる値である。

【００１７】Ｔ＝（Ｙ／Ｙ０）×１００Ｔ；直線透過率Ｙ；サンプルのＹ値Ｙ０；ブランクのＹ値

【００１８】また、本発明で言う優れた表面光沢性記録
シートとは、記録媒体において、少なくとも一方の面の
６０度鏡面光沢が３０％以上のものである。６０度鏡面
光沢とは、ＪＩＳ−Ｚ−８７４１に基づいて測定された
値である。

【００１９】以下、好ましい実施態様を挙げて、本発明
を詳細に説明する。

【００２０】本発明の第１の特徴は、基材上に、インク
受容層として特定の材料、即ち芳香族系ポリビニルアセ
タール樹脂と、ポリアルキレンオキサイドまたは、その
誘導体とを含む組成物を主体とした被覆層を設けた記録
媒体を用いる点にある。

【００２１】かかる被覆層を構成する第一の成分である
芳香族系ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、原材料
としてのポリビニルアルコールにアルデヒドを反応（縮
合）させアセタール化することにより得られる。

【００２２】ここで、原材料となるポリビニルアルコー
ルは、酢酸ビニルのホモポリマー、あるいは酢酸ビニル
と、例えば塩化ビニル、エチレン、マレイン酸、イタコ
ン酸、アクリル酸、ジメチルアミノエチルメタクリレー
ト、あるいはその４級化物等とのコポリマーを、酸また
はアルカリで所定のケン化度にケン化することにより得
ることができる。

【００２３】一方、ポリビニルアルコールと縮合させる
アルデヒドは、芳香族系のアルデヒドである。その具体
例としては、ベンズアルデヒド、２−メチルベンズアル
デヒド等のアルキル置換ベンズアルデヒド；クロルベン
ズアルデヒド等のハロゲン置換ベンズアルデヒド；フェ
ニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデ
ヒド等のフェニル置換アルキルアルデヒド；芳香族環に
ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、シアノ基等の
置換基をもった芳香族アルデヒド；ナフトルアルデヒ
ド、アントルアルデヒド等の縮合芳香族環をもつアルデ
ヒドなどが挙げられる。

【００２４】アセタール化の方法としては、溶解法、沈
殿法、均一法等従来公知の方法が採用される。

【００２５】原材料となるポリビニルアルコールの好ま
しいケン化度の範囲は、７５〜９８モル％の範囲であ
る。この範囲外のポリビニルアルコールをアセタール化
したものを被覆層に用いた記録媒体を本発明の方法に用
いると、インク吸収能が低く、ビーディング、境界にじ
み等の画像品位が悪くなる傾向にあるため好ましくな
い。ポリビニルアルコールの好ましい重合度の範囲は５
００〜４５００程度である。また、ポリビニルアセター
ル樹脂におけるアセタール化度の好ましい範囲は２〜４
０モル％の範囲である。２モル％に満たない場合には、
通常のポリビニルアルコールを用いた場合と大差なく、
画像上に、ビーディング、境界にじみの問題を発生する
恐れがあり好ましくなく、４０モル％を超えるとインク
吸収性が低下し画質が悪くなる恐れがある。

【００２６】一方、前記被覆層を構成する第２の成分で
あるポリアルキレンオキサイドは、活性水素基を２個以
上有する化合物にエチレンオキシド及び／またはプロピ
レンオキシド等を付加して得られるポリヒドロキシ化合
物である。活性水素基を２個以上有する化合物としては
例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロ
ピレングリコール、１，４−ブタンジオール、１，６−
ヘキサンジオール、テトラエチレングリコール、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピ
ルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、シクロヘキ
シルアミン、ビスフェノールＡ、グリセリン、トリメチ
ロールプロパン、ペンタエリスリトール、モノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、イソプロパノールアミンなどが挙げられる。

【００２７】また、同様に前記被覆層を構成するポリア
ルキレンオキサイドの誘導体としては、上記ポリヒドロ
キシ化合物とこれらと反応性を有する化合物との反応生
成物が挙げられる。これらのものは、少なくとも２万以
上の重量平均分子量を有することが望ましい。分子量の
低いものはインク受容層を形成した後でも粘着性が強
く、ブロッキング等を発生しやすい。

【００２８】特に好ましいポリアルキレンオキサイド化
合物としては、下記のものが挙げられる。即ち、上記の
ポリヒドロキシ化合物であって重量平均分子量１０００
以上のものに、多価カルボン酸、その酸無水物、または
その低級アルキルエステルを反応させて得られる重量平
均分子量２万以上のポリマーである。ポリヒドロキシ化
合物と反応させる多価カルボン酸の具体例としては、マ
ロン酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、イタコン
酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン
酸、セバシン酸、ダイマー酸、ピロメリット酸、トリメ
リット酸などが挙げられる。その低級アルキルエステル
の一例としてはモノメチル、ジメチル、モノエチル、ジ
エチル、モノプロピル、ジプロピル、モノブチル、ジブ
チルエステルなどが挙げられる。かかるポリヒドロキシ
化合物と多価カルボン酸、その酸無水物、またはその低
級アルキルエステルとの反応は例えば８０〜２５０℃の
加熱下で０．００１〜２０ｍｍＨｇの減圧下で脱水また
は脱アルコール（エステル交換）反応を３０分〜１０時
間行うことにより得られる。ここで得られる高分子化合
物の分子量が２万未満の場合は被膜強度が弱く、耐ブロ
ッキング性が不満足なものとなる恐れがある。

【００２９】以上のような２成分を主体とする被覆層を
インク受容層として有する記録媒体によれば、後述する
ように特定の表面張力を有するインクと組合わせて用い
た場合に、ビーディング、つなぎスジ等の画像ムラを発
生せず、均一性に優れる画像が形成可能であり、またイ
ンク吸収性に優れ、境界にじみの発生の少ない、鮮明な
画像が形成可能である。

【００３０】更に、低温低湿や高温高湿等、いかなる環
境に於いても、上記の性能が保持できる利点がある。

【００３１】本発明の方法では、前記記録媒体の被覆層
において、上記２成分に加えてカチオン性基を有するビ
ニル系モノマーと疎水性基を有するビニル系モノマーと
の共重合体である親水性アクリル樹脂を配合することが
できる。この親水性アクリル樹脂は、例えば少なくとも
下記の２つの群より選択された各１種以上のモノマーを
構成単位とする共重合体である。カチオン性基を有する
モノマーとしては、例えばジメチルアミノエチルアクリ
レート、ジメチルアミノエチルメタアクリレート、ジエ
チルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチル
メタアクリレート、メチルエチルアミノエチルアクリレ
ート、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレ
ン、メチルエチルアミノスチレン、およびその４級化化
合物等、側鎖に１〜３級アミン乃至４級アンモニウム塩
基を有するものを挙げることができる。疎水性基を有す
るモノマーとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリ
ル酸エチル等のアクリル酸アルキルエステル、メタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸アル
キルエステル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニ
ル、エチレン等が挙げられる。かかる共重合体の共重合
組成は、カチオン性基を有するモノマー／疎水性基を有
するモノマー＝１／９〜９／１（モル比）の範囲が好ま
しい。かかる共重合体は、必要に応じて、２−ヒドロキ
シエチルアクリレート、２−ヒドロキシエチルメタクリ
レート等の他の親水性モノマーを構成単位として含んで
もよい。

【００３２】以上のように、本発明の方法で用いる記録
媒体では、基材の少なくとも片方の面上に、前記ポリビ
ニルアセタール樹脂及びポリアルキレンオキサイドまた
はその誘導体に加えて、上記親水性アクリル樹脂を含む
被覆層（インク受容層）を設けると、インクジェット記
録用媒体に対するすべての要求特性をバランスよく満足
し、更に記録媒体自体、および画像を高温高湿環境下に
長期間放置した場合の、記録媒体自体、および画像の変
質の発生を極力抑えることができるため好ましい。これ
は上記３成分の相乗効果に因るものである。

【００３３】上記の好ましい態様の記録媒体において、
ポリアルキレンオキサイド（特にポリエチレンオキサイ
ド）またはその誘導体は、被覆層（インク受容層中）に
２〜１０重量％の割合で含まれる。上記範囲の下限より
少ないと、特に、高温高湿環境下に長期間放置した場合
の、記録媒体自体の変質（インク吸収性の低下）が発生
しやすくなる。上記範囲の上限より多いと、カチオン性
基を有するビニル系モノマーと疎水性基を有するビニル
系モノマーとの共重合体である親水性アクリル樹脂を併
用しても、高温高湿環境下に長期間画像を放置した場合
の変質（ドットが経時的ににじみ、画像の鮮明性が低下
する。）が発生しやすくなる。

【００３４】従来、ポリビニルアセタールとポリアルキ
レンオキサイドとは、相溶性に乏しい場合があり混合し
て任意の基材上に被膜を形成すると、経時的に分離し白
濁することがあることが知られている。しかし、上記の
態様においてはカチオン性基を有するビニル系モノマー
と疎水性基を有するビニル系モノマーとの共重合体であ
る親水性アクリル樹脂と併用することにより、ＯＨＰ用
記録シートとして十分に使いうる透明性に優れた記録媒
体を調製することが可能となる。

【００３５】この点に鑑みてインク受容層中にカチオン
性基を有するビニル系モノマーと疎水性基を有するビニ
ル系モノマーとの共重合体である親水性アクリル樹脂を
含有させる場合、その含有量は、少なくともポリアルキ
レンオキサイドまたはその誘導体より大きいことが望ま
しい。上記の態様における、カチオン性基を有するビニ
ル系モノマーと疎水性基を有するビニル系モノマーとの
共重合体である親水性アクリル樹脂は、インク受容層中
に１０〜４０重量％の割合で含まれることが好ましい。
上記範囲の下限より少ないと、ポリアルキレンオキサイ
ド、またはその誘導体を上記の範囲で含有しても高温高
湿環境下での画像の経時的なにじみを発生することがあ
る。上記範囲の上限を超えると、画像上にムラを発生す
るため好ましくない。

【００３６】さらに本発明においては、前記記録媒体に
おいて、被覆層中にエポキシ化合物を０．５重量％以
上、好ましくは０．５〜５重量％の割合で含有させるこ
とにより、記録面の機械的強度をより向上させることが
可能である。エポキシ化合物の具体例としては、エチレ
ングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリ
コールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジ
グリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリ
シジルエーテル、ネオペンチルアルコールジグリシジル
エーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリ
メチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセ
ロールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。

【００３７】本発明の方法で用いる記録媒体は、上記の
成分を含有する組成物を、基材の少なくとも片方の面に
塗布し、被覆層（インク受容層）としたものであるが、
この組成物には本発明の目的達成を妨げない範囲におい
て各種バインダー、フィラー添加剤を併用することがで
きる。バインダーの一例としては従来公知のデンプン、
カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、アクリル樹
脂、無水マレイン酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、Ｓ
ＢＲラテックス、アルギン酸ソーダ、ポリビニルピロリ
ドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチル
セルロース、ポリビニルアルコールなどが挙げられるが
これらに限定されない。フィラーの一例としてはシリ
カ、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウ
ム、塩基性炭酸マグネシウム、タルク、クレイ、ハイド
ロタルサイト、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛
などの無機顔料、及びポリエチレン、ポリスチレン、ポ
リアクリレート、などのプラスチックピグメントなどが
挙げられるがこれらに限定されない。添加剤の具体的な
一例としては各種界面活性剤、染料固着剤（耐水化
剤）、消泡剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、紫外線吸収
剤、分散剤、粘度調整剤、ＰＨ調整剤、防カビ剤、可塑
剤などが挙げられる。これらの添加剤については公知の
化合物から目的に応じて任意に選択すればよい。

【００３８】本発明の方法で用いる記録媒体を構成する
基材として、例えば、上質紙、中質紙、アート紙、ボン
ド紙、再生紙、バライタ紙、キャストコート紙、ダンボ
ール紙などの紙や、ポリエチレンテレフタレート、ジア
セテート、トリアセテート、セロハン、セルロイド、ポ
リカーボネート、ポリイミド、ポリビニルクロライド、
ポリビニリデンクロライド、ポリアクリレート、ポリエ
チレン、ポリプロピレンなどのプラスチックからなるフ
ィルムもしくは板、ガラス板、あるいは木綿、レーヨ
ン、アクリル、ナイロン、絹、ポリエステルなどの布を
使用することができる。記録媒体の記録目的、記録画像
の用途、あるいはその上部に被覆される組成物との密着
性などの諸条件に応じて上記基材の中から適宜選択され
る。透明記録シート、または表面光沢性記録シートを作
成する場合には、プラスチックフィルムがよい。

【００３９】本発明の方法で用いる記録媒体は、以下の
如作成することができる。即ち、まず前記被覆層（イン
ク受容層）形成用組成物を、必要により他の添加剤と共
に、水あるいはアルコール、または他の適当な有機溶媒
に溶解し、または分散し、塗工液を調製する。

【００４０】続いて、得られた塗工液を、例えば、ロー
ルコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコータ
ー法、ゲートロールコーター法、バーコーター法、サイ
ズプレス法、スプレーコート法、グラビアコーター法、
カーテンコーター法などにより基材表面に塗工する。そ
の後、例えば熱風乾燥炉、熱ドラム等を用いて乾燥し、
記録媒体を得る。さらに必要に応じて塗工層表面にスー
パーカレンダー処理などを施してもよい。

【００４１】ここで、インク受容層の塗工量は総量とし
て０．２〜５０ｇ／ｍ²、より好ましくは１〜３０ｇ／
ｍ²の範囲内である。塗工量が少ない場合には基材の一
部が表面に露出していてもよい。又、塗工量が０．２ｇ
／ｍ²に満たない場合には、インク受容層を設けなかっ
た場合に比べて塗料の発色性の点で効果がなく、一方、
５０ｇ／ｍ²を越えて設けた場合には特に、低温低湿環
境下に於けるカールの発生が著しくなる恐れがある。塗
工層の厚みは０．５〜１００μｍの範囲が好適である。

【００４２】本発明のインクジェット記録方法の第２の
特徴は、表面張力が２５〜３５ｄｙｎｅ／ｃｍの範囲内
のインクを用いて以上に説明した記録媒体に記録を行う
ことにある。表面張力が３５ｄｙｎｅ／ｃｍを越えたイ
ンクを用いた場合には、前記記録媒体を用いたとしても
形成された記録画像におけるビーディングが顕著であり
好ましくない。また、２５ｄｙｎｅ／ｃｍ以下であると
ビーティングの発生のない画像は得られるものの、境界
にじみが悪くなる。なお、本発明で言う表面張力は２５
℃において常法に従って測定された値である。

【００４３】本発明に使用するインクは、一般的に像を
形成するための色素（記録剤）と該色素を溶解または分
散するための液媒体を必須成分として配合し、必要に応
じて各種の分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、比抵抗調
製剤、ｐＨ調製剤、防カビ剤、記録剤の溶解（あるいは
分散）安定化剤等を添加し調製される。

【００４４】インクに使用する記録剤としては、直接染
料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素、分
散染料、油性染料、各種顔料等が挙げられるが、従来公
知のものは、特に制限なく使用することが出来る。この
ような色素の含有量は、液媒体成分の種類、インクに要
求される特性等に依存して決定されるが、一般には約
０．１〜２０重量％が好ましい。

【００４５】本発明に用いるインクに於て、上記のごと
き色素を溶解または分散する液溶媒としては、水又は水
と水溶性有機溶剤との混合溶媒を挙げることができ、特
に、好適なものは水と水溶性有機溶剤と混合溶媒であっ
て、水溶性有機溶剤としてインクの乾燥防止効果を有す
る多価アルコールを含有するものである。

【００４６】前記インクに使用可能な有機溶剤として
は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルア
ルコール、ｎ−ブタノール等のアルキルアルコール類；
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミ
ド類；アセトン、アセトンアルコール等のケトン、ケト
アルコール類；エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ジ
エチレングリコール、１，２，６−ヘキサントリオー
ル、ポリエチレングリコール等のアルキレングリコール
類；グリセリン類；（ジ）エチレングリコールモノメチ
ル（またはエチル）エーテル、トリエチレングリコール
モノ（またはジ）メチル（またはエチル）エーテル等の
多価アルコールのアルキルエーテル類；スルホラン、ｎ
−メチル−２−ピロリドン、１，３−ジメチル−２−イ
ミダゾリジノン等が挙げられる。これらは１種または２
種以上の混合物の形で使用される。

【００４７】前記インクは、以上の材料を用いて、更に
必要に応じて界面活性剤等を添加して、前記所定の範囲
の表面張力に調整される。

【００４８】界面活性剤の例としては、ポリオキシエチ
レンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエー
テル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類；ポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエ
チレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレ
ンアルキルフェニルエーテル類；ソルビタンモノオレー
ト、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸
エステル類；グリセリルモノステアレート、グリセリル
モノオレート等のグリセリン脂肪酸エステル類；ポリオ
キシエチレンアルキルアミン類、ポリオキシエチレンア
ルキルアミド類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル
類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、プロピレングリ
コール脂肪酸エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸
エステル類、アセチレングリコール、アセチレンアルコ
ール、フッ素系界面活性剤等の非イオン性界面活性剤が
挙げられ、これ以外にも、アルキル硫酸塩、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン
アルキルエーテルリン酸塩、アルキルベンゼンスルフォ
ン酸塩、アルキルスルフォコハク酸塩類等の陰イオン性
界面活性剤、塩化ベンザルコニウム、セチルトリメチル
アンモニウムクロライドの４級アンモニウム塩等の陽イ
オン性界面活性剤を挙げることができるが、もちろんこ
れらには限定されない。これらのうち特に好ましい界面
活性剤としては、アセチレングリコール、アセチレンア
ルコールが挙げられる。

【００４９】上記のアセチレングリコール、アセチレン
アルコールを含有するインクの例としては、特開昭６３
−１３９９６４号公報に記載のインクが挙げられる。し
かし、かかる公報に記載されたインクの表面張力の好適
な範囲は３５〜６５ｄｙｎｅ／ｃｍであって、本発明の
方法におけるインクの好適な表面張力の範囲とは異な
る。このように本発明においては、特殊な材料；芳香族
環を有するポリビニルアセタールとポリアルキレンオキ
サイド又はその誘導体とを有する記録シート、及び、従
来、比較的好ましいとされていなかった、低い表面張力
のインクを用いてインクジェット記録を実施することに
より、従来の技術では達成できなかったビーディング、
境界にじみを発生しない高品位な透光性画像及び表面光
沢性画像の形成を可能とした。

【００５０】本発明のインクジェット記録方法は、イン
クをノズルより効果的に離脱させて、射程体である記録
媒体にインクを付与し得る方式であればいかなる方法で
もよい。特に好ましくは、特開昭５４−５９９３６号公
報に記載されている方法で、熱エネルギーの作用を受け
たインクが急激な体積変化を生じ、この状態変化による
作用力によって、インクをノズルから吐出させるインク
ジェット方式を有効に使用することが出来る。

【００５１】本発明のインクジェット記録方法に好適に
用いることのできるインクジェット記録装置の一例を、
図面を参照して説明する。

【００５２】まず、図１〜図３を参照して当該装置の主
要部である記録ヘッドの構成を説明する。

【００５３】図１は、インク流路に沿った記録ヘッドの
縦断面図であり、図２は、図１のＡ−Ｂ線に沿った横断
面図である。

【００５４】同図における記録ヘッド１３は、インク２
１を通す溝１４を有するガラス、セラミックス又はプラ
スチック板等と、感熱記録に用いられる発熱ヘッド１５
（図ではヘッドが示されているが、これに限定されるも
のではない）とを接着して得られる。発熱ヘッド１５は
酸化シリコン等で形成される保護膜１６、アルミニウム
電極１７−１、１７−２、ニクロム等で形成される発熱
抵抗体層１８、蓄熱層１９、アルミナ等の放熱性の良い
基板２０より構成されている。

【００５５】インク２１は吐出オリフィス（微細孔）２
２まで来ており、圧力Ｐによりメニスカス２３を形成し
ている。

【００５６】ここで、電極１７−１、１７−２に電気信
号（記録信号）が加わると、発熱ヘッド１５のｎで示さ
れる領域が急激に発熱し、当該箇所に接しているインク
２１に気泡が発生する。この気泡の圧力でメニスカス２
３が突出してインク２１が吐出し、オリフィス２２より
記録小滴２４が形成され記録シート２５に向かって飛翔
する。

【００５７】続いて、この小滴２４が記録シート２５の
インク受容層２６に付着し記録画像が形成される。

【００５８】尚、図３は、図１に示す構造の記録ヘッド
を多数並べて配置したマルチヘッドの構成を示す斜視図
である。同図において、マルチヘッド２７はマルチ溝２
８を有するガラス板２９と、図１で示す発熱ヘッド１５
と同様の発熱ヘッド３０を密着させてなる。

【００５９】次いで、図４を参照して、図１に示す記録
ヘッドを搭載したインクジェット記録装置を説明する。

【００６０】同図において、６１はワイピング部材とし
てのブレードであり、その一端はブレード保持部材（不
図示）によって保持されて固定端となり、カンチレバー
の形態をなす。ブレード６１は記録ヘッド６５により記
録領域に隣接した位置に配設されるが、本例の場合、記
録ヘッド６５の移動経路中に突出した形態で保持され
る。６２はキャップであり、ブレード６１に隣接するホ
ームポジションに配設され、記録ヘッド６５の移動方向
と垂直な方向に移動して吐出口面と当接し、キャッピン
グを行う構成を備える。更に６３はブレード６１に隣接
して設けられるインク吸収体であり、ブレード６１と同
様、記録ヘッド６５の移動経路中に突出した形態で保持
される。上記ブレード６１、キャップ６２、吸収体６３
によって吐出回復部６４が構成され、ブレード６１及び
吸収体６３によってインク吐出口面における水分、塵埃
等の除去が行われる。

【００６１】記録ヘッド６５は吐出エネルギー発生手段
を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する記録媒体に
インクを吐出して記録を行い、キャリッジ６６に搭載さ
れて、下記の如く移動する。即ち、キャリッジ６６はガ
イド軸６７と摺動可能に係合し、キャリッジ６６の一部
はモーター６８によって駆動されるベルト６９と接続
（不図示）している。これによりキャリッジ６６はガイ
ド軸６７に沿った移動が可能となり、記録ヘッド６５に
よる記録領域及びその隣接した領域の移動が可能とな
る。

【００６２】一方、前述したような記録媒体は、給紙部
５１に挿入され、モーター（不図示）により駆動する紙
送りローラー５２によって、記録ヘッド６５の吐出口面
と対向する位置に搬送される。続いて、記録媒体は、記
録の進行に伴い、排紙ローラー５３によって外部へ送ら
れる。

【００６３】上記構成になるインクジェット記録装置で
は、記録ヘッド６５が記録終了等でホームポジションに
戻る際、吐出回復部６４のキャップ６２は記録ヘッド６
５の移動経路から退避しているが、ブレード６１は移動
経路中に突出している。この結果、記録ヘッド６５の吐
出口面がワイピングされる。尚、キャップ６２が記録ヘ
ッド６５の突出面に当接してキャッピングを行う際、キ
ャップ６２は記録ヘッドの移動経路中に突出する様に移
動する。

【００６４】また記録ヘッド６５がホームポジションか
ら記録開始位置へ移動する際、キャップ６２及びブレー
ド６１は上述したワイピング時の位置と同一の位置にあ
る。この結果、この移動においても記録ヘッド６５の吐
出口面はワイピングされる。

【００６５】上述の記録ヘッド６５のホームポジション
への移動は、記録終了時や吐出回復時に限定されない。
即ち、記録ヘッド６５が記録の為の記録領域を移動する
間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジション
へ移動する。この移動に伴って上記ワイピングが行われ
る。

【００６６】既に述べたように、本発明は、特に、透光
性の記録画像あるいは表面光沢に優れる記録画像をイン
クジェット記録方式を用いて形成するにあたり、記録の
高速化、高密度化、カラー化に伴って発生した、ビーデ
ィング、境界にじみの問題を解決することを主目的とし
ている。従って、本発明のインクジェット記録方法は、
少なくとも３ＫＨｚ以上の駆動周波数で各色インクの小
滴を記録ヘッドのオリフィスから吐出させて記録を行う
ような高速でのインクジェット記録に、また少なくとも
各色のインクを吐出するオリフィスを１色あたり２個以
上備えた記録ヘッドを用い、同時に同色のインク滴を２
滴以上吐出させ記録画像を形成することの可能なインク
ジェット記録装置を用いた記録方法、各色のインク単色
の最大記録密度が６ｎｌ／ｍｍ²以上であるインクジェ
ット記録方法に適用することが好ましい。

【００６７】なお、本発明で言う最大記録密度とは、そ
の記録システムを用いた場合の単位面積あたりに付着さ
せうる単色インク滴の最大のドット数に、吐出されるイ
ンク滴の体積をかけ合わせたものである。

【００６８】

【実施例】以下実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。尚、文中、部または％とあるのは、特に断りのな
い限り重量基準である。

【００６９】（ポリビニルアセタール樹脂の合成）ケン
化度８８％、重合度１７００のポリビニルアルコール３
５０部を、水３０００部に過温して溶解させた後冷却
し、３５重量％濃度の塩酸１７０部、フェニルアセトア
ルデヒド７７部を適宜加え、１０℃で５時間保ち反応さ
せた。得られた沈殿物を水洗中和して触媒及び未反応ア
ルデヒドを除法した後、乾燥させ、ポリビニルフェニル
アセトアセタールを得た。この樹脂のアセタール化度
は、１４モル％であった。（この樹脂をポリビニルアセ
タール樹脂ａとする）

【００７０】また、上記同様の方法で、アセタール化度
５モル％のポリビニルフェニルアセトアセタールを合成
した。（ポリビニルアセタール樹脂ｂとする）更に、上記方法において、フェニルアセトアルデヒドの
変わりに、アセトアルデヒドを用い、アセタール化度４
０モル％のポリビニルアセトアセタールを合成した。
（ポリビニルアセタール樹脂ｃとする。）

【００７１】（記録シートの調製）下記組成の被覆層形
成用塗工液をワイヤーバーを用いて、ポリエチレンテレ
フタレートフィルム（厚さ１００μｍ；ルミラー東レ
製）に、乾燥機の塗布厚が２０μｍになるように塗布し
たのち、１００℃にて１０分間乾燥して本発明、及び比
較用の記録シートを調製した。

【００７２】塗工液組成シート１ポリビニルアセタール樹脂ａ１０部ポリエチレンオキサイド（アルコックスＲー４０明成化学製）１部水／ブタノール混合溶剤８９部シート２ポリビニルアリールアセタール（エスレックＫＫー１積水化学製）１０部ポリエチレンオキサイド（アルコックスＲー４０明成化学製）１部水／ブタノール混合溶剤８９部シート３ポリビニルアセタール樹脂ｂ１０部ポリエチレンオキサイド（アルコックスＲー４０明成化学製）１部水／ブタノール混合溶剤８９部シート４ポリビニルアリールアセタール（エスレックＫＫー１積水化学製）１４部ポリエチレンオキサイド（アルコックスＲー４０明成化学製）１部メチルメタクリレートとアクリル系４級アンモニウム塩化合物との共重合体である親水性アクリル樹脂（ジュリマーＳＰー５０日本純薬製）５部水／イソプロピルアルコール混合溶剤８０部シート５ケン化度９８〜９９％、重合度約１７００であるポリビニルアルコール（ＰＶＡー１１７クラレ製）１０部水９０部シート６ポリビニルアセタール樹脂ｃ１０部ポリエチレンオキサイド（アルコックスＲー４０明成化学製）１部水／ブタノール混合溶剤８９部上記の記録シートの調製に用いた基材フィルムをそのま
ま使用してシート７とした。

【００７３】また、基材として、白色のポリエチレンテ
レフタレートフィルム（メリネックスＩＣＩ製）を用
いた以外はシート１と同様にしてシート８を、アート紙
を基材とした以外はシート４と同様にしてシート９を調
製した。

【００７４】（実施例１〜１０、比較例１〜８、インク
ジェット記録）上記の如く調製した記録シート１〜９、
下記組成のインクＡ〜Ｆ、及び熱エネルギーによりイン
クを発泡させてインクを吐出させる機構を備えたインク
ジェット記録装置を用いて、下記条件によりカラー記録
を行った。

【００７５】尚、各例において使用した記録シート及び
インクの組合わせについて、下記表１に示す。

【００７６】インク組成染料４部グリセリン１０部１．２．６−ヘキサントリオール６部尿素４部アセチレングリコール（商品名；サーフィノール１０４日信化学製）ｘ部水７６−ｘ部

【００７７】染料Ｙ：Ｃ．Ｉ．ダイレクトイエロー＃８６Ｍ：Ｃ．Ｉ．アシッドレッド＃２３Ｃ：Ｃ．Ｉ．ダイレクトブルー＃１９９Ｂｋ：Ｃ．Ｉ．フードブラック＃２

【００７８】インクＡｘ＝０．３表面張力＝４３ｄｙｎｅ／ｃｍインクＢｘ＝１表面張力＝２８ｄｙｎｅ／ｃｍインクＣｘ＝３表面張力＝２６ｄｙｎｅ／ｃｍインクＤｘ＝１０表面張力＝２０ｄｙｎｅ／ｃｍインクＥｘ＝１表面張力＝３０ｄｙｎｅ／ｃｍア
セチレングリコールに代えて、アセチレンアルコール
（商品名；サーフィノール６１日信化学製）を使用。

【００７９】インクＦｘ＝１．５表面張力＝３３ｄｙ
ｎｅ／ｃｍアセチレングリコールに代えて、ポリオキ
シエチレンノニルフェニルエーテル（商品名；ノイゲン
ＥＡ−５０第１化学製）を使用。

【００８０】記録条件吐出周波数：５ＫＨｚ吐出液滴の容量：４７ｐｌ記録密度：３６０ＤＰＩ単色の最大記録密度：９．４ｎ１／ｍｍ²

【００８１】得られたカラープリントサンプル（記録画
像）について以下の項目について評価を行った。

【００８２】（１）画像濃度上記の記録装置を用いてベタ印字（２００％Ｄｕｔｙ）
した印画物のブラック（Ｂｋ）の画像濃度を、透光性画
像である場合にはマクベス透過濃度計ＴＤー９０４を、
それ以外の場合にはマクベス濃度計ＲＤー９１８を用い
て評価した。

【００８３】（２）画像ムラは、下記の２項目について
評価した。

【００８４】（ｉ）ビーディング上記の記録装置を用いてベタ印字した印字物の２つの単
色インクの混合色である、レッド、グリーン、ブルーそ
れぞれのベタ印字部において、濃淡ムラが認められない
ものを○、印字物と眼とを２５ｃｍ離した距離からの目
視でも確認出来るものを×、その中位のものを△とし
た。

【００８５】（ｉｉ）境界にじみ上記の記録装置を用いてベタ印字した印字物の２つの単
色インクの混合色である、レッド、グリーン、ブルーそ
れぞれが隣接するベタ印字部において、印字物と眼とを
２５ｃｍ離した距離からの目視にて鮮明に境界を確認で
きるものを○、色混じりが起きて１つの線として確認で
きないものを× 、その中位のものを△とした。

【００８６】（３）総合評価透光性記録画像の場合は、オーバーヘッドプロジェクタ
ー（型番；ＣＬー３０３ライオン製）にて投影した際
の投影画像にて、表面光沢性記録画像については、画像
を目視にて総合評価した。

【００８７】以上の各評価の結果を、下記表１に併記す
る。

【００８８】

【表１】

【００８９】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
光学濃度が高く、高品位で、高徴細であり、ＯＨＰ等に
より記録画像を投影する如き用途に適用可能な透光性の
記録画像や、通常の銀塩写真に匹敵する高光沢表面を有
する記録画像を形成し得る、インクジェット記録方法を
提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の方法に用いるイングジェット記録装置
の記録ヘッドの構成を示す縦断面図。

【図２】図１のＡーＢ線に沿った横断面図。

【図３】図１の記録ヘッドを複数配置したマルチヘッド
の構成を示す斜視図。

【図４】本発明の方法に用いるインクジェット記録装置
の構成を示す斜視図。

【符号の説明】

１３記録ヘッド１４溝１５発熱ヘッド１６保護膜１７−１、１７−２アルミニウム電極１８発熱抵抗体層１９蓄熱層２０基板２１インク２２吐出オリフィス２３メニスカス２４記録小滴２５記録シート２６インク受容層２７マルチヘッド２８マルチ溝２９ガラス板３０発熱ヘッド５１給紙部５２紙送りローラー５３排紙ローラー６１ブレード６２キャップ６３吸収体６４吐出回復部６５記録ヘッド６６キャリッジ６７ガイド軸６８モーター６９ベルト

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者鈴木鋭一東京都大田区下丸子３丁目30番２号キヤノン株式会社内 (56)参考文献特開昭63−221077（ＪＰ，Ａ) 特開平４−78570（ＪＰ，Ａ) 特開平２−55184（ＪＰ，Ａ) 特開平５−64954（ＪＰ，Ａ) 特開平５−262028（ＪＰ，Ａ) 特開平５−221112（ＪＰ，Ａ) 特開平７−1828（ＪＰ，Ａ) 特開平４−214382（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B41M 5/00

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】インクの小滴を記録信号に応じて記録ヘ
ッドのオリフィスから吐出させ、記録媒体に付着させる
ことにより該媒体に記録画像を形成するインクジェット
記録方法において、前記インクとして、表面張力が２５〜３５ｄｙｎｅ／ｃ
ｍの範囲内にあるインクを用い、且つ前記記録媒体とし
て、芳香族系ポリビニルアセタール樹脂と、ポリアルキ
レンオキサイドまたはその誘導体とを主体とし、前記ポ
リアルキレンオキサイドまたはその誘導体を２〜１０重
量％含む被覆層を基材上に有するものを用いることを特
徴とする、インクジェット記録方法。
【請求項２】前記インクとして、シアン、マゼンタ、
イエロー及びブラックインクの４種を用い、記録媒体に
カラー記録画像を形成することを特徴とする請求項１記
載のインクジェット記録方法。
【請求項３】前記ポリアルキレンオキサイドが、活性
水素基を２個以上有する化合物にエチレンオキシド又は
プロピレンオキシドを付加してなるポリヒドロキシ化合
物である請求項１記載のインクジェット記録方法。
【請求項４】前記活性水素基を２個以上有する化合物
が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピ
レングリコール、１，４−ブタンジオール、１，６−ヘ
キサンジオール、テトラエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピル
アミン、ブチルアミン、オクチルアミン、シクロヘキシ
ルアミン、ビスフェノールＡ、グリセリン、トリメチロ
ールプロパン、ペンタエリスリトール、モノエタノール
アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及
びイソプロパノールアミンから選択される請求項３記載
のインクジェット記録方法。
【請求項５】前記ポリアルキレンオキサイドが、ポリ
ヒドロキシ化合物に、多価カルボン酸、その酸無水物あ
るいはその低級アルキルエステルを反応させて得られる
ポリマーである請求項３又は４記載のインクジェット記
録方法。
【請求項６】多価カルボン酸が、マロン酸、マレイン
酸、コハク酸、フマル酸、イタコン酸、フタル酸、イソ
フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ダ
イマー酸、ピロメリット酸及びトリメリット酸から選択
される請求項５記載のインクジェット記録方法。
【請求項７】前記記録媒体の被覆層が、更にカチオン
性基を有するビニル系モノマーと、疎水性基を有するビ
ニル系モノマーとの共重合体からなる親水性アクリル樹
脂を含むことを特徴とする請求項１記載のインクジェッ
ト記録方法。
【請求項８】前記記録媒体の被覆層が、エポキシ化合
物を０．５重量％以上含有することを特徴とする請求項
１記載のインクジェット記録方法。
【請求項９】前記記録媒体の基材が、プラスチックフ
ィルムであることを特徴とする請求項１記載のインクジ
ェット記録方法。
【請求項１０】前記記録媒体が透光性である請求項１
記載のインクジェット記録方法。
【請求項１１】前記記録媒体が、６０度鏡面光沢を３
０％以上有する請求項１記載のインクジェット記録方
法。
【請求項１２】前記インクの液媒体成分が、水及び水
混和性グリコール類またはグリコールエーテル類を主体
に組成されたものであることを特徴とする請求項１記載
のインクジェット記録方法。
【請求項１３】インクを吐出するオリフィスを１色あ
たり２個以上備えた記録ヘッドを用い、同時に同色のイ
ンク滴を２滴以上吐出させることにより、記録画像を形
成することを特徴とする請求項１記載のインクジェット
記録方法。
【請求項１４】少なくとも３ＫＨｚ以上の周波数でイ
ンクの小滴を吐出することを特徴とする請求項１記載の
インクジェット記録方法。
【請求項１５】前記インクの最大記録密度が６ｎｌ／
ｍｍ2以上であることを特徴とする請求項１記載のイン
クジェット記録方法。
【請求項１６】前記インクの吐出を、熱エネルギーに
よって行う請求項１記載のインクジェット記録方法。