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JP3055488B2 - 多層プリント基板及びその製造方法 - Google Patents

多層プリント基板及びその製造方法

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JP3055488B2
JP3055488B2 JP9047870A JP4787097A JP3055488B2 JP 3055488 B2 JP3055488 B2 JP 3055488B2 JP 9047870 A JP9047870 A JP 9047870A JP 4787097 A JP4787097 A JP 4787097A JP 3055488 B2 JP3055488 B2 JP 3055488B2
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impedance
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光雄 斉藤
勇三 嶋田
弘和 遠矢
亮 馬庭
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NEC Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多層プリント基板に
係り、特にトランジスタ、集積回路(IC)、大規模集
積回路(LSI)などのような回路素子が搭載された多
層プリント基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】トランジスタ、IC、LSIなどのよう
な回路素子が搭載された多層プリント基板は電磁ノイズ
を発生するため、そのプリント基板が電子機器自身にあ
るいは他の電子機器に誤動作を引き起こす問題があるこ
とはよく知られている。
【0003】特に大きなウェートを占めるのは、コモン
モードと言われる、回路の寄生容量や寄生相互インダク
タンスによって流れる電流(廻り込み電流)や電源供給
線に流れ込む高周波電流、による放射であり、その発生
機構が複雑なため、発生源に近い所での有効な対策方法
がなかった。そのため、従来は電子機器全体を金属筐体
で電磁遮蔽をする対策がとられている。
【0004】従来、図12に示すようにプリント基板の
電源層15による電源供給線とグランド層16によるグ
ランド線との間に接続された、高周波電源電流発生源で
あるIC/LSI3c、3d及び3eの近傍に各々デカ
ップリングコンデンサ4d、4e及び4fを並列に接続
することがよく行われている。これは、例えばIC/L
SI3cのスイッチング動作に伴って、電源層15に流
れる高周波電源電流をIC/LSI3c近傍でデカップ
リングコンデンサ4dを介してバイパスさせると共に、
IC/LSI3cのスイッチング動作に伴うIC/LS
I3cの電源端子部の電圧変動を抑制しようとしてい
た。
【0005】一方、従来の多層プリント基板の電源供給
線となる電源層15は、全面導電膜の層で構成された、
いわゆる全面平板の電源層である。これにより、電流の
流れる面を最大にして電源供給線の抵抗値を小さくし、
直流電源電圧変動を抑圧する効果を得ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記の従来
の多層プリント基板では、IC/LSIの動作に伴い電
源層に流れ込む高周波電源電流を設計者がコントロール
出来ないという問題がある。
【0007】すなわち、全面平板の場合、電源層のイン
ピーダンスが小さいことから、IC/LSIの高周波電
源電流は、一つのIC/LSIの近傍に配置したデカッ
プリングコンデンサだけでなく、その他のIC/LSI
の近傍に配置したデカップリングコンデンサにも流れ込
むことにより、多層プリント基板全体では、高周波電源
電流の分布は非常に複雑であり、解析が困難であった。
【0008】このため、IC/LSI毎に配置するデカ
ップリングコンデンサ容量値を決定することが出来なか
った。
【0009】また、電源層に流れ込んだ高周波電源電流
は、電源層自身が全面平板となっているため、その経路
が複雑であり、場合によっては、大きなループを形成
し、電磁放射やイミュニティ劣化の要因になるという問
題がある。
【0010】例えば、図12に示すように、高周波電源
電流の異なるIC/LSI3c(電流大)、3d(電流
中)、3e(電流小)がそれぞれ電源層15およびグラ
ンド層16に並列に接続されており、また、それぞれの
IC/LSIの高周波電源電流量に応じて、IC/LS
I3cの近傍には容量の大きいデカップリングコンデン
サ4d(インピーダンスZは小)、IC/LSI3dの
近傍には容量が中程度のデカップリングコンデンサ4e
(インピーダンスは中)、IC/LSI3eの近傍には
容量の小さいデカップリングコンデンサ4f(インピー
ダンスは大)が配置されている。例えば、IC/LSI
3eの近傍に配置したデカップリングコンデンサ4fの
インピーダンスが大きいため、IC/LSI3eからの
全ての高周波電源電流が、デカップリングコンデンサ4
fでグランド層16にバイパスされず、IC/LSI3
cまたは3dに流れ込んでしまい、電流ループ面積が大
きくなり、結果として、放射電磁ノイズが増大し、イミ
ュニティが劣化する問題が起こり得る。また、IC/L
SIの高周波電源電流が近傍のデカップリングコンデン
サでバイパスされない場合、高周波電源電流の他経路へ
の流れ込みにより、経路のインピーダンスが大きくな
り、その結果、交流電圧変動も大きくなり、IC/LS
I自身の安定動作にも影響することすらあり得る。
【0011】そのため、前記したように、従来は電子機
器全体を金属筐体に収納することにより、電磁遮蔽をし
ているが、金属筐体には電子機器の操作部その他を設け
る必要上、開口部を設けなければならないために、完全
に電磁ノイズの外部への漏れを防止することは困難であ
る。
【0012】本発明は以上の点に鑑みなされたもので、
電磁ノイズ発生を大幅に低減し得る多層プリント基板を
提供することを目的とする。
【0013】また、本発明の他の目的は、放射の原因と
なる電源層に廻り込むIC/LSIの高周波電源電流を
コントロールできる多層プリント基板を提供することに
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、第一の信号
層、第一のグランド層、配線化したインピーダンス付加
回路を有する電源層、第二のグランド層、第二の信号層
が、互いに絶縁されて積層された多層プリント基板にお
いて、前記インピーダンス付加回路と前記第一のグラン
ド層の間、もしくは前記インピーダンス付加回路と前記
第二のグランド層との間の少なくともいずれか一方に高
飽和磁束密度を有する磁性体層を設けたことを特徴とす
るものである。ここで、磁性体層はインピーダンス付加
回路上のみに設けられても、前記磁性体層が、前記電源
層上の全面に形成されていてもよく、前記インピーダン
ス付加回路と直接接していても、絶縁材料を介して接し
ていても良い。このようにしてノイズの発生源となって
いる電源層を改善することによって、多層プリント基板
内部からのノイズの発生を本質的に抑制することができ
る。
【0015】さらに、前記インピーダンス付加回路を構
成する導体の少なくとも側面が高飽和磁束密度を有する
酸化物磁性体材料、もしくは絶縁体によって覆われてい
てもよい。またこれら磁性体層もしくは磁性体材料が針
状の磁性粉末より形成されており、前記インピーダンス
付加回路に流れる電流の向きと垂直な方向に配向されて
いてもよい。この場合磁性粉末の長軸と短軸の比が3以
上10以下であることが望ましい。
【0016】これらの構造においてグランド層は、スル
ーホールやヴィアホール以外の切り抜きや独立配線を含
まない全面平板のほうが、信号線のリターンパス、すな
わち信号の帰路電流のルートを最短に確保する意味で望
ましい。また電源層には上下あるいは周囲に磁性体を配
置したインピーダンス付加回路が形成されているので、
大きな値のインダクタンスを確保することができること
に加え、広い範囲にわたって実装されているデカップリ
ングコンデンサに流れ込んでしまうIC/LSI動作に
伴う高周波電源電流を従来に比べ小さくできる。同時
に、IC/LSI毎に最適のデカップリングコンデンサ
容量を決定することが出来るため、IC/LSI電源端
子部の交流電圧変動を小さくすることが容易となり、こ
の結果、IC/LSIの動作安定化が計られる。
【0017】前記インピーダンス付加回路は、限られた
領域で最大のインダクタンスを得られる線路パターンと
該線路パターンの上下あるいは該線路パターンの周囲に
高飽和磁束密度を有する磁性体で構成される。従来の全
面平板電源層と、本発明の線路の上下あるいは周囲に磁
性体を配置したインピーダンス付加回路が形成された電
源層を比較すると、インピーダンス付加回路が形成され
た電源層の方が、電流の流れる経路を設計者が特定で
き、高周波電源電流の発生源であるIC/LSI毎に最
適デカップリングコンデンサを決定できるという特徴が
ある。
【0018】このインピーダンス付加回路の線路パター
ンとしては特に限定されないが、例えば図9(a)に示
すようにつづら折り状に形成した線路パターン10があ
る。この線路パターンは単純に2点間を結ぶ直線状の線
路パターンよりも線路長が長い。線路パターンのインダ
クタンスは線路長に応じて大きくなるので、この線路パ
ターン10で構成されるインピーダンス付加回路はイン
ダクタンスが直線状パターンのみで構成した場合より大
きい。且つ、高飽和磁束密度の磁性体を本発明の配置に
形成することで大きなインダクタンスを実現でき、とそ
の効果は著しく大きくなり、結果的に実際の部品を使用
せずに大きな値のインダクタンスを確保することができ
る。
【0019】また、インピーダンス付加回路の線路パタ
ーンの応用例として、図9(c)に示すように、特に大
きな線路インダクタンスを得たい場合において、基板配
線領域上の制約を受ける場合には、スパイラル状線路パ
ターン12が有効である。つづら折りに代表される配線
例では、配線インダクタンスは線路長に応じて大きくな
るが、スパイラル状に配線した場合は、巻き数の二乗に
応じた大きなインダクタンスを得られるという利点があ
る。この場合、スパイラル状配線の内側の端点17より
の配線は、グランド層にヴィアホールを介して引き出し
て、できる限り短い線長で配線パターンを形成するか、
ヴィアホールを介して、部品を搭載している表面層まで
配線を引き出して、その引き出し点に、コンデンサを低
インピーダンスで接続した上で、電源層に戻すという配
線処理が必要となる。
【0020】なお、インピーダンス付加回路の線路パタ
ーンとして、図9(b)に示すような交差状の線路パタ
ーン11を用いることもでき、また、この線路パターン
11と線路パターン10又は線路パターン12と組み合
わせて用いることもできるし、線路パターンの形状も図
9に示されるものに限定されない。線路パターン11は
線路パターン10を簡略化したパターンである。
【0021】なお、電源層にインピーダンス付加回路を
用い、配線分布インダクタンスを確保する理由として
は、本出願人による特願平8−137904号にて詳細
に説明しているとおりであるが、以下に簡単に説明をし
ておく。
【0022】図10に示すように、高周波電源電流の異
なるIC/LSI3c(電流大)、3d(電流中)、3
e(電流小)がそれぞれ電源供給線15およびグランド
16に並列に接続されており、また、それぞれのIC/
LSIの高周波電源電流量に応じて、IC/LSI3c
の近傍には容量の大きいデカップリングコンデンサ4d
(インピーダンスZは小)、IC/LSI3dの近傍に
は容量が中程度のデカップリングコンデンサ4e(イン
ピーダンスは中)、IC/LSI3eの近傍には容量の
小さいデカップリングコンデンサ4f(インピーダンス
は大)が配置されている。インダクタンス9が無い場合
は、それぞれのデカップリングコンデンサのインピーダ
ンスが異なるため、例えば、IC/LSI3eの近傍に
配置したデカップリングコンデンサ4fのインピーダン
スが大きいため、IC/LSI3eからの全ての高周波
電源電流が、デカップリングコンデンサ4fでグランド
16にバイパスされず、IC/LSI3cまたは3dに
流れ込んでしまうことがあり得る。
【0023】すなわち、デカップリングコンデンサだけ
では、個々のIC/LSIを高周波的に分離するには不
十分である。従って、各々インダクタンス9a、9b、
9cを入れることにより、各IC/LSIの高周波電源
電流を近傍に配置したデカップリングコンデンサでバイ
パスさせ、電流ループを小さくし、他のIC/LSIへ
の流れ込みを遮断するという目的で、個々のIC/LS
Iを高周波的に分離することが可能となる。
【0024】ところで、図11に示すように金属板13
の面上に平板状磁性体14を重ねた構造体のA−A’間
の単位面積あたりのインピーダンスZは次式で求められ
る。 Z=Psd+jωμ0 (μa 1)d (1) Psd:表皮効果によるインピーダンス jωμ0 (μa 1)d:磁性体15の効果によるインピ
ーダンス μ0 :真空の透磁率 μa :磁性体15の比透磁率 d :磁性体15の厚さ 前記使用する磁性体は、十分大きな値の高飽和磁束密度
Bsと、十分小さな残留磁束密度Brを有するものが適
切であり、ある程度の電流(数アンペア)での励磁が可
能であるという特性を有するものが望ましい。すなわ
ち、磁化曲線におけるヒステリシス特性が、ある程度の
電流(数アンペア)で飽和せず、励磁可能であることが
必要である。インピーダンス付加回路に流れる高周波電
源電流は、IC/LSIのスイッチング動作時に流れる
貫通電流に代表されるように瞬時にある程度大きな電流
が流れることがあり、その場合にも励磁可能な磁性体で
ある必要がある。
【0025】なお、特開平6−244582号公報に開
示された発明は、自己の多層プリント基板から発生する
ノイズの遮蔽、及び他の多層プリント基板から発生した
ノイズの遮蔽によりクロストーク等の防止を目的とした
ものである。一方、本発明は自己の多層プリント基板か
ら本質的にノイズが発生しないようにノイズ発生の源と
なっている電源層を改善するものである。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を図面を用いて詳
細に説明する。
【0027】
【第一の実施形態】図1は第一の実施の形態として、多
層プリント基板全体を示した図であり、信号層5、グラ
ンド層6、電源層7が絶縁層8を介して積層されてい
る。本発明では、電源層7にインピーダンス付加回路1
が形成されており、さらにこのインピーダンス付加回路
の上下の少なくとも一方に磁性体層2が設けられてい
る。
【0028】図1(a)の例ではインピーダンス付加回
路1、グランド層6間と磁性体層2それぞれの間には絶
縁層8が存在しているが、例えばインピーダンス付加回
路1の上下に接するようにして磁性体層2を設けても良
く、また図1(b)のようにインピーダンス付加回路1
とグランド層6間に絶縁層を全く設けない形態でも良
い。さらには、図1(c)に示すように、インピーダン
ス付加回路1上のみならず電源層7上全面に磁性体層2
を設けても良い。さらに、これらの図で設けられている
各インピーダンス付加回路間の絶縁体層は設けなくても
良いが、プリント基板の凹凸を低減するためには図のよ
うに絶縁体層があることが好ましい。
【0029】図1(a)に示した多層プリント基板は以
下のようにして製造することができる。この工程を図2
に示す。まず、絶縁層8上に電源層7を形成し、さらに
この上に導体20を形成し、インピーダンス付加回路1
を形成する(図2(a))。この後、少なくともインピ
ーダンス付加回路1上に絶縁性材料を塗布し(図2
(b))、さらにこの上に磁性体材料を塗布する(図2
(c)。電源層の下方にも磁性体層2を形成する場合に
は、図2(c)において磁性体材料を塗布する際に少な
くともインピーダンス付加回路1の下方に磁性体層2を
形成するか、もしくは電源層7を形成する絶縁層8のイ
ンピーダンス付加回路を形成する箇所に最初から磁性体
材料を埋め込んでおいても良い。
【0030】この後、この上に絶縁層8上に形成された
グランド層6、信号層5を積層すれば図1(a)に示す
ような構造の多層プリント基板を製造することができ
る。
【0031】また、図2(b)の工程を省いてインピー
ダンス付加回路1に直接磁性体材料を塗布しても良い。
【0032】さらに図3に示す工程によっても本発明の
構造を得ることができる。
【0033】すなわち、絶縁層8上にそれぞれ信号層
5、グランド層6、電源層7を形成し、インピーダンス
付加回路パターン1、磁性体層パターン2を別に用意し
てこれらを積層・圧着する。ここでインピーダンス回路
パターンは絶縁体や磁性体中に埋め込むようにして形成
してから積層しても良い。
【0034】図1(b)、(c)の工程についても図1
(a)の構造と同様にして製造することができる。
【0035】これらの例において、磁性体2として酸化
物軟磁性フェライト例えば、リチウム系フェライト(B
s=5000ガウス)、NiーZn系フェライト(53
00ガウス)及び金属軟磁性材料例えばFe−Niパー
マロイ(Bs=14000ガウス)、Fe−Al−Si
センダスト(10000ガウス)の粉末あるいはそれら
の板を用いることができるが、金属磁性材料は導体であ
るのでこれを用いる場合には図1(a)のように絶縁体
を介した構造にする必要がある。
【0036】これら磁性粉末の平均粒径は、従来厚膜配
線等を作製する場合に用いられている1μm 以上で40
μm 以下が適切である。1μm より小さい粉末は作製す
ることが困難であり、40μm より大きくなると磁性体
が均一に塗布できない可能性があるためである。
【0037】磁性粉末を使用する場合は溶剤で混錬しペ
ースト状にして塗布する。磁性粉末と溶剤の混合比は重
量で3/7以上で9/1以下が適切であった。磁性粉末
の比が3/7より小さいとインダクタンス付加回路とし
て不十分となり、逆に9/1より大きくなると塗布が困
難になり、実用的でないためである。
【0038】また、長軸と短軸の比が3以上で10以下
の針状磁性粉末を溶剤と混錬したペーストを使用して、
電流の流れる向きに垂直に配向させて磁性体を形成する
と、針状でない通常の形状をした磁性粉末を使用した場
合と比べてインダクタンス付加回路の効果は顕著であっ
た。なお、長軸と短軸の比が3を下回る場合は針状磁性
粉末を使用する意味が無く、10を越える場合は均一な
塗布が困難となるため実用的ではない。
【0039】この多層プリント基板の電源層の平面図を
図8に示す。電源層7によるIC/LSI3をそれぞれ
電源供給線とグランド層による接地との間に共通接続す
るように搭載し、これらのIC/LSI3のそれぞれの
近傍に別々にデカップリングコンデンサ4を配置し、更
に、デカップリングコンデンサ4’に共通接続した構成
の電源回路を設けた場合は、電源層7のインピーダンス
付加回路の配線により分布インダクタンスが確保され
る。
【0040】この分布インダクタンスはデカップリング
コンデンサ4、4’と共にフィルタを構成し、電源供給
線に流れ込むIC/LSI動作に伴う高周波電源電流を
抑制する効果がある。分布インダクタンスの値は、電源
層のインピーダンス付加回路の構成により調整すること
ができるため、上記フィルタの定数を調整できる。
【0041】このため、スイッチング動作するIC/L
SI3の近傍に配置したデカップリングコンデンサ4を
介して、電源供給線に流れ込んでしまうIC/LSI動
作に伴う高周波電源電流を従来に比べて大幅に小さくで
き、このため、多層プリント基板からの電磁放射を抑制
することができる。
【0042】加えて、図8に示す平面図の少なくともイ
ンピーダンス付加回路の上下、周辺等に磁性層を設ける
ことによって、従来の金属筐体から外部へ漏れる電磁放
射を十分抑制でき、場合によっては金属筐体をも不要に
できる。
【0043】
【第二の実施形態】図4は第二の実施形態として、イン
ピーダンス付加回路1の構造を示したものである。図4
(a)ではインピーダンス付加回路1を構成する導体2
0の間が絶縁体8’からなる形態である。さらに導体2
0上にも絶縁層を設け、その上に磁性体層2を設ける構
成にすると、磁性体が電気的に導体の場合に電流の漏洩
を防止するのに適切である。
【0044】また図4(b)はインピーダンス付加回路
1を構成する導体20の間が磁性体2’からなる形態で
ある。例えば図4(b)の構成と図1(b)の構成とを
組み合わせると、導体20の全周が磁性体に覆われた構
造となるため、磁気回路として閉ループとすることが可
能となる。また、図4(c)のように導体下のみに磁性
体を設けても良い。
【0045】図4(d)はインピーダンス付加回路1の
左右の絶縁材8に形成されているスルーホールに磁性体
を配置し、線路側及び絶縁材を介してその反対側に磁性
体を配置して磁性体を額縁状に形成する構成である。磁
性体は磁気的に閉ループとなり、効率よく大きいインダ
クタンスを実現でき、額縁状磁性体の断面積及び単位長
さ当たりの個数を調整することで、所望のインダクタン
スを得ることができる。この構成は磁性粉末を使用して
磁気的に閉ループとなる磁性体を形成することが必要な
場合に適した構成である。この構造の製造方法を図5に
示す。
【0046】絶縁層8上の電源層7に形成されたインピ
ーダンス付加回路1を構成する導体20の幅方向の左右
にスルーホール21を形成後、該スルーホール21に磁
性体2’を充填する。前記充填した磁性体2’上に再度
磁性体2’を導体20の高さと同程度まで形成する。次
に導体20上及び導体20の左右の磁性体2’上及び絶
縁層8を介して反対側に磁性体層2を形成する。
【0047】図4(d)の例の場合は、前記線路の長手
方向に平行な断面積が線路の単位長さ(mm)当たり0.
03mm2 以上で0.4mm2 を下回るのが適切であった。
この限定条件から外れると、インダクタンス付加回路と
して不十分となるか、あるいは均一な塗布が困難となる
ため、実用的ではない。
【0048】
【第三の実施形態】以上の第一及び第二の実施形態に示
した本発明は絶縁体あるいは該記絶縁体に薄く塗布され
た磁性体の表面に形成されたインピーダンス付加回路に
対して磁性体を配置するものである。
【0049】第3の実施形態は、図6に示すような、前
記導体の形成方法のその他の例を示すもので、磁性体
2’で周囲をコーティングした金属導体または金属ワイ
ヤ3、もしくはこれをさらに絶縁性の高分子樹脂18で
被覆した磁性体コーティング金属導体または金属ワイヤ
3を使用し、それを引き回して所望のインピーダンス付
加回路を形成する。
【0050】前記金属導体または金属ワイヤ3の構成及
び形状は、それらを加圧あるいは圧延して扁平形状にし
て使用するのが適切である。プリント基板上の電極パッ
ドとの接続は図7に示すように前記導体またはワイヤを
被覆している箇所を除去して行うことができる。
【0051】全面平板の電源層と該電源層を本発明の各
種インピーダンス付加回路を用い配線化し、デカップリ
ング回路を強化した電子機器(EWS:エンジニアリン
グワークステーション)の放射磁界を測定した。クロッ
ク周波数(40MHz)の逓倍波のスペクトラムの各周
波数320MHz、360MHz、480MHz、80
0MHz、920MHzで、電源層が全面平板であるオ
リジナル基板と電源層を配線化し磁性体を配置した本発
明の各種基板の測定結果を比較し、改善された数値を表
1に示す。その結果、電源層配線化基板のほうが顕著に
抑制されており、放射磁界の低減効果があることが分か
る。
【0052】
【表1】
【0053】以上の結果は、電源層のインピーダンス付
加回路による配線化と磁性体配置によって、デカップリ
ングコンデンサのフィルタ効果が高まり、放射ノイズ抑
制効果があったことを示している。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電源層を線路の上下あるいは周囲に磁性体を配置したイ
ンピーダンス付加回路が形成された構成にすることによ
り、実際の部品を使用せずに大きな値のインダクタンス
を確保することができるため、広い範囲にわたって実装
されているデカップリングコンデンサに流れ込んでしま
うIC/LSI動作に伴う高周波電源電流を従来に比べ
小さくできる。
【0055】同時に、IC/LSI毎に最適のデカップ
リングコンデンサ容量を決定することが出来るため、I
C/LSI電源端子部の交流電圧変動を小さくすること
が容易となり、この結果、IC/LSIの動作安定化が
計られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態を示す図である。
【図2】本発明の第一の実施形態の製造方法を示す図で
ある。
【図3】本発明の第一の実施形態の製造方法を示す図で
ある。
【図4】本発明の第二の実施形態を示す図である。
【図5】本発明の第二の実施形態の製造方法を示す図で
ある。
【図6】本発明の第三の実施形態を示す図である。
【図7】本発明の第三の実施形態を示す図である。
【図8】本発明の多層プリント基板における電源層を示
す平面図である。
【図9】インピ−ダンス付加回路の各例を示す図であ
る。
【図10】本発明のインダクタンスの意味を説明する図
である。
【図11】本発明の作用の説明図である。
【図12】従来の課題説明図である。
【符号の説明】
1 インピーダンス付加回路 2 磁性体層 2’ 磁性体 3、3a、3b、3c、3d、3e IC/LSIまた
は他の能動素子からなる独立と見なされる回路 4、4a、4b、4c、4d、4e、4f デカップリ
ングコンデンサ 5 信号層 6 グランド層 7 電源層 8 誘電体特性のみを有する絶縁材 8’ 不導体としての絶縁層 9 分布インダクタンス 10、11、12 線路パターン 13 金属板 14 磁性体 15 電源層7による電源供給線 16 グランド 17 スパイラル状パターンの内側端点 18 高分子樹脂 19 金属パッド 20 導体 21 スルーホール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 嶋田 勇三 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気 株式会社内 (72)発明者 遠矢 弘和 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気 株式会社内 (72)発明者 馬庭 亮 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気 株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−139573(JP,A) 特開 平10−163636(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05K 1/02 H05K 3/46

Claims (27)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第一の信号層、第一のグランド層、配線化
    したインピーダンス付加回路を有する電源層、第二のグ
    ランド層、第二の信号層が、互いに絶縁されて積層され
    た多層プリント基板において、前記インピーダンス付加
    回路と前記第一のグランド層の間、もしくは前記インピ
    ーダンス付加回路と前記第二のグランド層との間の少な
    くともいずれか一方に高飽和磁束密度を有する磁性体層
    を設け、 前記磁性体層が、絶縁材料を介して前記インピーダンス
    付加回路と接していることを特徴とする多層プリント基
    板。
  2. 【請求項2】前記磁性体層が、前記電源層上の全面に形
    成されていることを特徴とする請求項1記載の多層プリ
    ント基板。
  3. 【請求項3】第一の信号層、第一のグランド層、配線化
    したインピーダンス付加回路を有する電源層、第二のグ
    ランド層、第二の信号層が、互いに絶縁されて積層され
    た多層プリント基板において、前記インピーダンス付加
    回路と前記第一のグランド層の間、もしくは前記インピ
    ーダンス付加回路と前記第二のグランド層との間の少な
    くともいずれか一方に高飽和磁束密度を有する磁性体層
    を設け、 前記インピーダンス付加回路を構成する導体の少なくと
    も側面が絶縁体によって覆われていることを特徴とする
    多層プリント基板。
  4. 【請求項4】前記磁性体層が、前記電源層上の全面に形
    成されていることを特徴とする請求項3記載の多層プリ
    ント基板。
  5. 【請求項5】前記磁性体層が酸化物材料よりなり、前記
    インピーダンス付加回路と接して設けられていることを
    特徴とする請求項3または4記載の多層プリント基板。
  6. 【請求項6】前記インピーダンス付加回路が、前記第一
    のグランド層もしくは前記第二のグランド層の少なくと
    も一方と前記磁性体層を介して接していることを特徴と
    する請求項5記載の多層プリント基板。
  7. 【請求項7】前記磁性体層が、絶縁材料を介して前記イ
    ンピーダンス付加回路と接していることを特徴とする請
    求項3または4記載の多層プリント基板。
  8. 【請求項8】前記磁性体層が金属磁性体よりなることを
    特徴とする請求項7記載の多層プリント基板。
  9. 【請求項9】第一の信号層、第一のグランド層、配線化
    したインピーダンス付加回路を有する電源層、第二のグ
    ランド層、第二の信号層が、互いに絶縁されて積層され
    た多層プリント基板において、前記インピーダンス付加
    回路と前記第一のグランド層の間、もしくは前記インピ
    ーダンス付加回路と前記第二のグランド層との間の少な
    くともいずれか一方に高飽和磁束密度を有する磁性体層
    を設け、 前記磁性体層が針状の磁性粉末より形成されており、前
    記インピーダンス付加回路に流れる電流の向きと垂直な
    方向に配向されていることを特徴とする多層プリント基
    板。
  10. 【請求項10】前記磁性体層が、前記電源層上の全面に
    形成されていることを特徴とする請求項9記載の多層プ
    リント基板。
  11. 【請求項11】前記磁性体層が酸化物材料よりなり、前
    記インピーダンス付加回路と接して設けられていること
    を特徴とする請求項9または10記載の多層プリント基
    板。
  12. 【請求項12】前記インピーダンス付加回路が、前記第
    一のグランド層もしくは前記第二のグランド層の少なく
    とも一方と前記磁性体層を介して接していることを特徴
    とする請求項11記載の多層プリント基板。
  13. 【請求項13】前記磁性体層が、絶縁材料を介して前記
    インピーダンス付加回路と接していることを特徴とする
    請求項9または10記載の多層プリント基板。
  14. 【請求項14】前記磁性体層が金属磁性体よりなること
    を特徴とする請求項13記載の多層プリント基板。
  15. 【請求項15】前記インピーダンス付加回路を構成する
    導体の少なくとも側面が高飽和磁束密度を有する酸化物
    磁性体材料によって覆われていることを特徴とする請求
    項9ないし13のいずれかに記載の多層プリント基板。
  16. 【請求項16】前記磁性体材料が針状の磁性粉末より形
    成されており、前記インピーダンス付加回路に流れる電
    流の向きと垂直な方向に配向されていることを特徴とす
    る請求項15記載の多層プリント基板。
  17. 【請求項17】前記磁性体層が針状の磁性粉末より形成
    されており、前記インピーダンス付加回路に流れる電流
    の向きと垂直な方向に配向されていることを特徴とする
    請求項3ないし8のいずれかに記載の多層プリント基
    板。
  18. 【請求項18】前記磁性体層が金属磁性体よりなること
    を特徴とする請求項1または2記載の多層プリント基
    板。
  19. 【請求項19】前記針状の磁性粉末の長軸と短軸の比が
    3以上10以下であることを特徴とする請求項9ないし
    17のいずれかに記載の多層プリント基板。
  20. 【請求項20】絶縁層上に形成された電源層上にインピ
    ーダンス付加回路を形成する工程と、少なくとも前記イ
    ンピーダンス付加回路上に磁性体材料を塗布する工程
    と、を有することを特徴とする多層プリント基板の製造
    方法。
  21. 【請求項21】絶縁層上に形成された電源層上にインピ
    ーダンス付加回路を形成する工程と、少なくとも前記イ
    ンピーダンス付加回路上に絶縁材料を塗布し、その後少
    なくとも前記インピーダンス付加回路上に磁性体材料を
    塗布する工程と、を有することを特徴とする多層プリン
    ト基板の製造方法。
  22. 【請求項22】前記磁性体材料が、平均粒径が1μm以
    上で40μm以下の磁性粉末と樹脂の混合体よりなるこ
    とを特徴とする請求項20または21記載の多層プリン
    ト基板の製造方法
  23. 【請求項23】前記混合体の磁性粉末と樹脂の充填比が
    3/7以上で9/1以下であることを特徴とする請求項
    22記載の多層プリント基板の製造方法
  24. 【請求項24】少なくとも絶縁層上に形成されたインピ
    ーダンス付加回路を有する電源層と、少なくとも絶縁層
    上に形成されたグランド層と、少なくとも絶縁層上に形
    成された信号層とを積層し、少なくとも前記インピーダ
    ンス付加回路を覆うように磁性体を塗布し、その後に前
    記電源層、前記グランド層、前記信号層とを圧着するこ
    とを特徴とする多層プリント基板の製造方法
  25. 【請求項25】前記インピーダンス付加回路パターンが
    絶縁材料もしくは磁性材料中に形成されていることを特
    徴とする請求項24記載の多層プリント基板の製造方
    法。
  26. 【請求項26】少なくとも磁性体で周囲をコーティング
    された金属導体または金属ワイヤを用いてインピーダン
    ス付加回路パターンを形成することを特徴とする請求項
    24記載の多層プリント基板の製造方法。
  27. 【請求項27】前記金属導体または金属ワイヤがさらに
    絶縁性の高分子樹脂で被覆されていることを特徴とする
    請求項26記載の多層プリント基板の製造方法。
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