JP2922173B2 - サイドドライブロータリ耕うん装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、サイドドライブロ
ータリ耕うん装置の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】サイドドライブ型のロータリ耕うん装置
は、耕耘部機枠の下部に横架支承するロータリ爪軸の左
右端部を、前記機枠のサイド駆動ケースとサイドフレー
ムとで両持ちに支持し、サイド駆動ケース内に収容組成
する爪軸駆動機構でもって回転駆動するように構成され
るが、前記ロータリ爪軸は、それを軸芯方向において複
数個の爪筒部に分割形成して、それらの爪筒部を、爪軸
駆動機構に設ける正転伝動系と逆転伝動系とで互いに反
対方向に回転駆動するように構成（以下、同軸正逆転型
のロータリ爪軸という）するのが、耕耘反力による機体
のダッシング現象を抑止し、耕耘所要動力を低減する等
の種々の面で有利である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上述のよう
な同軸正逆転型のロータリ爪軸にすると、サイド駆動ケ
ース内に収容組成する爪軸駆動機構に正転伝動系と逆転
伝動系を備えねばならないのでサイド駆動ケースが広幅
になり、その広幅な駆動ケースがロータリ爪軸の耕耘幅
域外に位置するので、畦ぎわ耕耘の場合に、広幅な駆動
ケースが畦に至近の個所までの耕耘を妨げ、畦に強圧的
に摺接して移行することによって畦を損傷させたした
り、畦との摺接で機体の直進性を悪くする等の問題が生
じ、また、通常の隣接耕においても、広幅な駆動ケース
が既耕部分を移行するために、同部分の既耕土を土押し
てケース移行跡を残すこととなって整斎な耕耘仕上がり
が望めないなどの問題が生じる。

【０００４】本発明は、機体のダッシング現象抑止など
に有利な同軸正逆転型のロータリ爪軸を備えたサイドド
ライブ型のロータリ耕耘装置でありながら、畦ぎわ耕耘
の場合に、畦を損傷させたしたり機体の直進性を損なわ
せたりすることなく、畦に至近の個所までを的確に耕耘
することができ、また、通常の隣接耕などの場合にも既
耕土を土押して移行跡を残すようなことが少なくなるよ
うにしたサイドドライブロータリ耕うん装置を提供する
ものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】すなわち、本発明に係る
サイドドライブロータリ耕うん装置は、耕耘部機枠のサ
イド駆動ケースとサイドフレームとの間に横架支承する
ロータリ爪軸を、そのロータリ爪軸に動力伝達する爪軸
駆動機構中の正転伝動機構によって回転駆動される爪軸
筒と、爪軸筒の軸心方向横側部に並設されて前記爪軸駆
動機構中の逆転伝動機構によって回転駆動される爪筒と
に分割形成して、爪軸筒と爪筒とを互いに反対方向に回
転させるようにしたサイドドライブロータリ耕耘うん装
置において、前記爪筒に動力伝達する逆転伝動機構を、
爪筒の横外側部に位置する駆動ケースの内側膨出部の室
内に収容されるように設け、爪筒に装着した耕耘爪が駆
動ケースの内側膨出部を内包する状態で回転するように
したことを特徴とするものである。

【０００６】また、上述のような構成を具備するサイド
ドライブロータリ耕うん装置において、爪軸駆動機構中
の逆転伝動機構よりも伝動上手側に正逆転切り換え機構
を設け、該正逆転切り換え機構の切り換えによって爪筒
の回転方向を変更できるようにしている。

【０００７】

【実施例】実施例について図面を参照して説明すると、
図２において、耕耘機（Ｔ）は、ミッションケースから
延出するフレームにエンジン（１）を搭載し、該エンジ
ン（１）の動力をミッションケース内の伝動機構を経て
下部に軸支する車軸（２）に伝達し該車軸（２）に装着
する車輪（３）を駆動して走行するように構成され、運
転操作はミッションケースから後方に延出する操縦ハン
ドル（４）の把手部において行えるように構成されてい
る。そして、ミッションケースの後部にサイドドライブ
型のロータリ耕うん装置（Ｒ）が着脱自在に装備されて
いる。

【０００８】ロータリ耕うん装置（Ｒ）は、機体横巾方
向の基フレーム（５）と、その一方端に連設するサイド
駆動ケース（６）と、基フレーム（５）の他方端に連設
するサイドフレーム（７）とで形成される耕うん部機枠
の下部、つまり、サイド駆動ケース（６）とサイドフレ
ーム（７）の下端部間に横軸回転型のロータリ爪軸を横
架支承して構成されている。

【０００９】なお、前出のロータリ爪軸は、サイド駆動
ケース（６）の内脇部に位置する爪筒（２３ａ）と、サ
イドフレーム（７）の内脇部に位置する爪筒（２３ｂ）
と、これらの爪筒（２３ａ）（２３ｂ）の間に位置する
爪軸筒（８）とからなるが、その詳細な構成は後記に説
明する。また、図中の（９）は耕うん部機枠から後延す
るビーム、（１０）はビーム（９）から両側方に翼状に
張り出して設けられる上面部とその両端部から垂設され
る側面部とからなる耕うんカバー、（１１）はビーム
（９）の後端部に装設された耕深設定用のゲージホイル
装置である。

【００１０】耕うん部機枠の基フレーム（５）は、その
中央部に受動部（１３）を備え、該受動部（１３）を前
記ミッションケースに連結し、ミッションケースの出力
部から付与される動力を入力軸（１４）に受けて、基フ
レーム（５）内に軸支する回転軸（１５）に伝達するよ
うに構成されている。そして、回転軸（１５）の端部
は、図１にみられるように、基フレーム（５）の一方の
端部に連設されるサイド駆動ケース（６）内に突入され
ており、サイド駆動ケース（６）の内部に収容構成され
る爪軸駆動機構に入力するものとなっている。

【００１１】爪軸駆動機構は、回転軸（１５）に嵌着さ
れるスプロケット（１７）と、耕耘駆動軸（１５ａ）に
嵌着されるスプロケット（１８）とにチエン（１９）を
掛回し、任意のタイトナー（２０）でチエン張りして構
成されて、サイド駆動ケース（６）の下部に横架支承さ
れる左駆動軸（１５ａ）に動力伝達する正転伝動機構
（Ａ）と、その正転伝動機構（Ａ）に連動構成される逆
転伝動機構（Ａ１）（Ａ２）とを備えている。

【００１２】左駆動軸（１５ａ）は、サイド駆動ケース
（６）に設けられている軸支部（２１ａ）の中心孔部に
水平に軸受支持され、その内方突出端部に爪軸筒（８）
の一方が連結され、その爪軸筒（８）の他方端部は、前
記サイドフレーム（７）の下端に装着した駆動ケース
（２２）に設けられている軸支部（２１ｂ）の中心孔部
に水平に軸受支持される右駆動軸（１５ｂ）の内方端部
に連結されている。つまり、正転伝動機構（Ａ）に連動
する左駆動軸（１５ａ）によって爪軸筒（８）が駆動さ
れ、その爪軸筒（８）を経て駆動ケース（２２）側の右
駆動軸（１５ｂ）に入力伝動されるようになっている。

【００１３】サイド駆動ケース（６）側の軸支部（２１
ａ）の外径部、駆動ケース（２２）側の軸支部（２１
ｂ）の外径部は、それぞれ左駆動軸（１５ａ）、右駆動
軸（１５ｂ）の軸心に対して一定角度で内方下がりに傾
斜する軸受部に形成され、それぞれの傾斜軸受部に前記
爪筒（２３ａ）（２３ｂ）を回転自在に軸受支承してい
る。そして、サイド駆動ケース（６）の内脇部に位置す
る爪筒（２３ａ）は、サイド駆動ケース（６）内に組成
される逆転伝動機構（Ａ１）で回転駆動し、サイドフレ
ーム（７）の内脇部に位置する爪筒（２３ｂ）は、前記
駆動ケース（２２）内に組成される逆転伝動機構（Ａ
２）で回転駆動するように構成されている。

【００１４】さらに説明を加えると、サイド駆動ケース
（６）側の逆転伝動機構（Ａ１）は、正転伝動機構
（Ａ）に連動する駆動ギア（２４ａ）とそれに噛合する
受動ギア（２５ａ）とで構成され、受動ギア（２５ａ）
に伝達された逆転方向の回転動力を、受動ギア（２５
ａ）に一体的に設けられているギア（２６ａ）と爪筒
（２３ａ）の内径部に形設された受けギア部（２７ａ）
の噛合により爪筒（２３ａ）に伝達し、同爪筒（２３
ａ）を前記爪軸筒（８）とは反対の方向に回転駆動する
ように構成されている。

【００１５】また、サイドフレーム（７）側の駆動ケー
ス（２２）における逆転伝動機構（Ａ２）は、左駆動軸
（１５ａ）及び爪軸筒（８）を経て右駆動軸（１５ｂ）
に入力された動力をチエン機構によりアイドル軸に伝達
し、そのアイドル軸より駆動ギア（２４ｂ）と受動ギア
（２５ｂ）からなる逆転ギア列、および受動ギア（２５
ｂ）に一体的に設けられるギア（２６ｂ）と爪筒（２３
ｂ）の内径部に形設された受けギア部（２７ｂ）の噛合
によって爪筒（２３ｂ）に動力伝達するように構成され
ている。

【００１６】なお、爪軸筒（８）、および爪軸筒（８）
の左右両側部位に位置する爪筒（２３ａ）（２３ｂ）の
外周には、各々所要本数の正逆転耕うん爪（１２）、
（２８ａ）（２８ｂ）が取付けられており、また、上述
した耕うん部機枠の基フレーム（５）における受動部
（１３）内には、入力軸（１４）及び回転軸（１５）
と、ベベルギア（２９）（３０）（３１）と、スライド
自在な爪クラッチ体（３２）とで構成される正逆転切り
換え機構（Ｂ）が設けられている。

【００１７】しかして、上述したサイド駆動ケース
（６）側の逆転伝動機構（Ａ１）は、図１にみられるよ
うに、サイド駆動ケース（６）の下部内側に形成されて
いる膨出部の室内に収容されるように設けられ、これと
同様に、サイドフレーム（７）側の駆動ケース（２２）
における逆転伝動機構（Ａ２）も、駆動ケース（２２）
の下部内側に形成されている膨出部の室内に収容される
ように設けられられている。

【００１８】そして、サイド駆動ケース（６）側の爪筒
（２３ａ）に設けられた正逆転耕うん爪（２８ａ）が、
サイド駆動ケース（６）の膨出部を内包する状態で回転
し、また、サイドフレーム（７）側の爪筒（２３ｂ）に
取着された正逆転耕うん爪（２８ａ）が、駆動ケース
（２２）の膨出部を内包する状態で回転するようになさ
れている。

【００１９】従って、図示の実施例のように構成された
サイドドライブロータリ耕うん装置にあっては、入力軸
（１４）よりの動力が正逆転切り換え機構（Ｂ）を経
て、サイド駆動ケース（６）内の正転伝動機構（Ａ）に
より左駆動（１５ａ）に伝動され、左駆動軸（１５ａ）
の動力は逆転伝動機構（Ａ１）を経て左側の爪筒（２３
ａ）に伝動されると共に爪軸（８）に伝動され、爪軸
（８）を経た動力は、右駆動軸（１５ｂ）及び逆転機構
（Ａ２）を経て耕うん爪筒（２３ｂ）に伝動される。

【００２０】爪軸（８）及び爪筒（２３ａ）（２３ｂ）
は、正逆転切り換え機構（Ｂ）を正転に切り換えている
時は、爪軸（８）が正転してその外周の正逆転耕うん爪
（１２）によって土壌がダウンカット耕うんされると共
に、耕うん爪筒（２３ａ）（２３ｂ）は逆転して、その
外周に装着される正逆転耕うん爪（２８ａ）（２８ｂ）
によって土壌がアップカット耕うんされる。

【００２１】そして、正逆転切り換え機構（Ｂ）を逆転
に切り換えている時は、ロータリ爪軸（８）が逆転し
て、その外周に装着される正逆転耕うん爪（１２）によ
って土壌がアップカット耕うんされると共に、爪筒（２
３ａ）（２３ｂ）は正転してその外周の正逆転耕うん爪
（２８ａ）（２８ｂ）によって土壌がダウンカット耕う
んされる。そして、実施例では、爪筒（２３ａ）（２３
ｂ）が傾斜軸支部（２６ａ）（２６ｂ）に軸支されてい
るので、それに装着された正逆転耕うん爪（２８ａ）
（２８ｂ）は、サイド駆動ケース（６）及びサイドフレ
ーム（７）の下部に到達し、同部の土壌をも残耕なく耕
うんする。尚、実施例においては、爪筒（２３ａ）（２
３ｂ）に動力伝達する逆転駆動機構をチエンとギアの組
み合わせにより構成したが、これは遊星ギア等の逆転動
力伝達装置を用いてもよいものである。

【００２２】

【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。

【００２３】耕耘部機枠のサイド駆動ケースとサイドフ
レームとの間に横架支承するロータリ爪軸を、そのロー
タリ爪軸に動力伝達する爪軸駆動機構中の正転伝動機構
によって回転駆動される爪軸筒と、爪軸筒の軸心方向横
側部に並設されて前記爪軸駆動機構中の逆転伝動機構に
よって回転駆動される爪筒とに分割形成して、爪軸筒と
爪筒とを互いに反対方向に回転させるようにしたサイド
ドライブロータリ耕耘うん装置において、前記爪筒に動
力伝達する逆転伝動機構を、爪筒の横外側部に位置する
駆動ケースの内側膨出部の室内に収容されるように設
け、爪筒に装着した耕耘爪が駆動ケースの膨出部を内包
する状態で回転するようにしたから、ロータリ爪軸を駆
動する爪軸駆動機構に、正転伝動機構と逆転伝動機構を
備えた同軸正逆転型のサイドドライブロータリ耕うん装
置でありながら、正転伝動機構及び逆転伝動機構を備え
ることによって広幅となる部分は、ロータリ爪軸の耕耘
域内に存し、同部分の下方土壌は駆動ケースの膨出部を
内包する状態で回転する耕耘爪によって残耕なく耕起さ
れる。したがって、本発明装置によれば、機体のダッシ
ング現象抑止などに有利な同軸正逆転型のロータリ爪軸
を備えるものであるにも拘らず、畦ぎわ耕耘の場合に畦
を損傷させたしたり機体の直進性を損なわせたりするこ
とがなく、畦に至近の個所までを的確に耕耘することが
でき、また、通常の隣接耕などの場合にも既耕土を土押
して移行跡を残すようなことが少なくなって良好な耕耘
作業が行われる。

【００２４】さらに、爪軸駆動機構中の逆転伝動機構よ
りも伝動上手側に正逆転切り換え機構を設け、その正逆
転切り換え機構の切り換えによって爪筒の回転方向を変
更できるようにしたことにより、圃場の硬軟度など作業
環境条件が異なる場合に、逆転機構によって回転駆動さ
れる爪筒の回転方向を変更して、異なる作業環境条件に
適応したダッシング現象抑止作用などが発揮される状態
のもとで耕耘作業することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明装置の一部断面正面図

【図２】伝動断面図

【図３】伝動側面図

【図４】本発明を実施した耕うん機の側面図

【符号の説明】

６ サイド駆動ケース ７ サイドフレーム ８ 爪軸筒 ２３ａ 爪筒 ２３ｂ 爪筒 ２８ａ 正逆転耕うん爪 ２８ｂ 正逆転耕うん爪 Ａ 正転伝動機構 Ａ１ 逆転伝動機構 Ｂ 正逆転切り換え機構

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A01B 33/08

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】耕耘部機枠のサイド駆動ケース（６）とサ
   イドフレーム（７）との間に横架支承するロータリ爪軸
   を、そのロータリ爪軸に動力伝達する爪軸駆動機構中の
   正転伝動機構（Ａ）によって回転駆動される爪軸筒
   （８）と、爪軸筒（８）の軸心方向横側部に並設されて
   前記爪軸駆動機構中の逆転伝動機構（Ａ１）（Ａ２）に
   よって回転駆動される爪筒（２３ａ）（２３ｂ）とに分
   割形成して、爪軸筒（８）と爪筒（２３ａ）（２３ｂ）
   とを互いに反対方向に回転させるようにしたサイドドラ
   イブロータリ耕耘うん装置において、前記爪筒（２３
   ａ）（２３ｂ）に動力伝達する逆転伝動機構（Ａ１）
   （Ａ２）を、爪筒（２３ａ）（２３ｂ）の横外側部に位
   置する駆動ケース（６）（２２）の内側膨出部の室内に
   収容されるように設け、爪筒（２３ａ）（２３ｂ）に装
   着した耕耘爪（２８ａ）（２８ｂ）が、駆動ケース
   （６）（２２）の内側膨出部を内包する状態で回転する
   ようにしたことを特徴とするサイドドライブロータリ耕
   うん装置。
2. 【請求項２】爪軸駆動機構中の逆転伝動機構（Ａ１）よ
   りも伝動上手側に正逆転切り換え機構（Ｂ）を設け、該
   正逆転切り換え機構（Ｂ）の切り換えによって爪筒（２
   ３ａ）（２３ｂ）の回転方向を変更できるようにしてあ
   る請求項１記載のサイドドライブロータリ耕うん装置。