JP2987043B2 - 薄膜トランジスタ素子およびその製造方法 - Google Patents
薄膜トランジスタ素子およびその製造方法Info
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Description
【産業上の利用分野】この発明は、液晶表示装置等に利
用できる薄膜トランジスタ素子およびその製造方法に関
するものである。
用できる薄膜トランジスタ素子およびその製造方法に関
するものである。
【従来の技術】従来の液晶表示装置を構成するアクティ
ブマトリクス基板における薄膜トランジスタ(以下TF
Tと略する)の構造を、図2の部分断面図を用いて説明
する。非晶質シリコン薄膜トランジスタは、ガラスや石
英などの絶縁性基板1上に第1の電極たとえばアルミニ
ウムからなるゲ−ト電極8が形成され、そのゲ−ト電極
8を覆うようにしてアルミニウムを陽極酸化することに
よって第1のゲ−ト絶縁膜9が形成され、さらに窒化シ
リコンの第2のゲ−ト絶縁膜10を介して非晶質シリコ
ン半導体層(a−Si層)11とチャンネルストッパ層
12が形成され、チタンおよびアルミニウムからなるソ
−ス電極13aおよびドレイン電極13bがリンを含む
非晶質シリコン半導体層(n+ a−Si層)11a,1
1bを介して形成されている。このようなTFTの製造
方法における製作工程の例は図3に示す通りである。ま
ず、図3(a)のように絶縁性基板1上にアルミニウム
(Al)を製膜して、フォトリソグラフィ技術によりゲ
−ト電極8を形成する。次に図3(b)のようにゲ−ト
電極8の必要部分に陽極酸化することにより、酸化アル
ミニウム(AlOx)の第1のゲ−ト絶縁膜9を形成す
る。次に図3(c)のようにTFTの主材料である窒化
シリコン(SiNx )からなる第2のゲ−ト絶縁膜1
0、非晶質半導体層(a−Si層)11、チャンネルス
トッパ層12およびソ−ス・ドレイン電極13a,13
bと半導体間でオ−ミック接触を得るためのn+ a−S
i層11a,11bをプラズマCVD法により連続製膜
し、図3(d)のようにTFTを形成する部分以外のチ
ャンネルストッパ層12とa−Si層11およびn+a
−Si層11a,11bをエッチング除去する。最後に
図3(e)のようにAlを製膜してフォトリソグラフィ
技術によりソ−ス電極13aおよびドレイン電極13b
を形成し、TFTのチャンネル部上のn+ a−Si層1
1a,11bを除去してTFTが完成する。
ブマトリクス基板における薄膜トランジスタ(以下TF
Tと略する)の構造を、図2の部分断面図を用いて説明
する。非晶質シリコン薄膜トランジスタは、ガラスや石
英などの絶縁性基板1上に第1の電極たとえばアルミニ
ウムからなるゲ−ト電極8が形成され、そのゲ−ト電極
8を覆うようにしてアルミニウムを陽極酸化することに
よって第1のゲ−ト絶縁膜9が形成され、さらに窒化シ
リコンの第2のゲ−ト絶縁膜10を介して非晶質シリコ
ン半導体層(a−Si層)11とチャンネルストッパ層
12が形成され、チタンおよびアルミニウムからなるソ
−ス電極13aおよびドレイン電極13bがリンを含む
非晶質シリコン半導体層(n+ a−Si層)11a,1
1bを介して形成されている。このようなTFTの製造
方法における製作工程の例は図3に示す通りである。ま
ず、図3(a)のように絶縁性基板1上にアルミニウム
(Al)を製膜して、フォトリソグラフィ技術によりゲ
−ト電極8を形成する。次に図3(b)のようにゲ−ト
電極8の必要部分に陽極酸化することにより、酸化アル
ミニウム(AlOx)の第1のゲ−ト絶縁膜9を形成す
る。次に図3(c)のようにTFTの主材料である窒化
シリコン(SiNx )からなる第2のゲ−ト絶縁膜1
0、非晶質半導体層(a−Si層)11、チャンネルス
トッパ層12およびソ−ス・ドレイン電極13a,13
bと半導体間でオ−ミック接触を得るためのn+ a−S
i層11a,11bをプラズマCVD法により連続製膜
し、図3(d)のようにTFTを形成する部分以外のチ
ャンネルストッパ層12とa−Si層11およびn+a
−Si層11a,11bをエッチング除去する。最後に
図3(e)のようにAlを製膜してフォトリソグラフィ
技術によりソ−ス電極13aおよびドレイン電極13b
を形成し、TFTのチャンネル部上のn+ a−Si層1
1a,11bを除去してTFTが完成する。
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来例は、陽極酸化によって形成された第1のゲ−ト絶縁
膜9において、後工程のチャンネルストッパ層12の形
成のためのBHFエッチング中に、たとえば図3(c)
の第2のゲ−ト絶縁膜10の欠陥部17などによる陽極
酸化膜である第1のゲート絶縁膜9の露出部で、図3
(d)のように第1のゲート絶縁膜9がフッ酸によって
エッチングされ、第1のゲ−ト絶縁膜9が薄くなること
により、低耐圧部が発生するという問題点があった。こ
れに対して、耐フッ酸性に優れた第1のゲート絶縁膜9
を形成しようとすると、膜表面の凹凸が大きくなって、
絶縁耐圧を低下させるという問題点もあった。その結
果、図2のようにゲート電極8−ドレイン電極13b間
が短絡15する可能性があった。したがって、この発明
の目的は、第1の絶縁膜の耐フッ酸性と絶縁耐圧を同時
に達成することができる薄膜トランジスタ素子およびそ
の製造方法を提供することである。
来例は、陽極酸化によって形成された第1のゲ−ト絶縁
膜9において、後工程のチャンネルストッパ層12の形
成のためのBHFエッチング中に、たとえば図3(c)
の第2のゲ−ト絶縁膜10の欠陥部17などによる陽極
酸化膜である第1のゲート絶縁膜9の露出部で、図3
(d)のように第1のゲート絶縁膜9がフッ酸によって
エッチングされ、第1のゲ−ト絶縁膜9が薄くなること
により、低耐圧部が発生するという問題点があった。こ
れに対して、耐フッ酸性に優れた第1のゲート絶縁膜9
を形成しようとすると、膜表面の凹凸が大きくなって、
絶縁耐圧を低下させるという問題点もあった。その結
果、図2のようにゲート電極8−ドレイン電極13b間
が短絡15する可能性があった。したがって、この発明
の目的は、第1の絶縁膜の耐フッ酸性と絶縁耐圧を同時
に達成することができる薄膜トランジスタ素子およびそ
の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】請求項1の薄膜トランジ
スタ素子は、絶縁性基板上に形成された第1の電極と、
この第1の電極の表面に陽極酸化により形成したフッ化
物を含む第1の絶縁膜と、この第1の絶縁膜上に前記陽
極酸化以外の手段によって形成された第2の絶縁膜と、
この第2の絶縁膜上に形成されたチャンネルストッパ層
を含む半導体層と、この半導体層上に形成された第2の
電極とを備えたものである。請求項2の薄膜トランジス
タ素子の製造方法は、請求項1記載の薄膜トランジスタ
素子の製造方法であって、第1の絶縁膜を形成する陽極
酸化時の電解液に、フッ化アンモニウムを0.5モル/
l以上含むことにより、フッ化物を含む第1の絶縁膜を
形成するものである。請求項3の薄膜トランジスタ素子
の製造方法は、請求項2において、第1の電極をAlま
たはTaを主成分とした薄膜とするものである。
スタ素子は、絶縁性基板上に形成された第1の電極と、
この第1の電極の表面に陽極酸化により形成したフッ化
物を含む第1の絶縁膜と、この第1の絶縁膜上に前記陽
極酸化以外の手段によって形成された第2の絶縁膜と、
この第2の絶縁膜上に形成されたチャンネルストッパ層
を含む半導体層と、この半導体層上に形成された第2の
電極とを備えたものである。請求項2の薄膜トランジス
タ素子の製造方法は、請求項1記載の薄膜トランジスタ
素子の製造方法であって、第1の絶縁膜を形成する陽極
酸化時の電解液に、フッ化アンモニウムを0.5モル/
l以上含むことにより、フッ化物を含む第1の絶縁膜を
形成するものである。請求項3の薄膜トランジスタ素子
の製造方法は、請求項2において、第1の電極をAlま
たはTaを主成分とした薄膜とするものである。
【作用】請求項1の薄膜トランジスタ素子によれば、第
1の電極上に陽極酸化により形成する第1の絶縁膜がフ
ッ化物を含むため耐HF性が大きいので、第2の絶縁膜
の欠陥部などによりチャンネルストッパ層の形成の際の
BHFエッチング中に欠陥部等を通して第1の絶縁膜が
エッチングされ、低耐圧部が発生するのを防止でき、こ
のため耐フッ酸性と絶縁耐圧を同時に向上できるので、
ゲート電極とソース電極間等の短絡を防止することがで
きる。請求項2の薄膜トランジスタ素子の製造方法によ
れば、請求項1記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法
であって、第1の絶縁膜を形成する陽極酸化時の電解液
に、フッ化アンモニウムを0.5モル/l以上含むこと
により、フッ化物を含む第1の絶縁膜を形成するため、
ゲート電極とソース電極間等の短絡のない薄膜トランジ
スタ素子が形成できるので、歩留りを向上することがで
きる。請求項3の薄膜トランジスタ素子の製造方法によ
れば、請求項2において、第1の電極をAlまたはTa
を主成分とした薄膜とするため、請求項2の作用のほ
か、第1の電極が単一層および積層のいずれの場合で
も、第1の絶縁膜の形成が容易にできる。
1の電極上に陽極酸化により形成する第1の絶縁膜がフ
ッ化物を含むため耐HF性が大きいので、第2の絶縁膜
の欠陥部などによりチャンネルストッパ層の形成の際の
BHFエッチング中に欠陥部等を通して第1の絶縁膜が
エッチングされ、低耐圧部が発生するのを防止でき、こ
のため耐フッ酸性と絶縁耐圧を同時に向上できるので、
ゲート電極とソース電極間等の短絡を防止することがで
きる。請求項2の薄膜トランジスタ素子の製造方法によ
れば、請求項1記載の薄膜トランジスタ素子の製造方法
であって、第1の絶縁膜を形成する陽極酸化時の電解液
に、フッ化アンモニウムを0.5モル/l以上含むこと
により、フッ化物を含む第1の絶縁膜を形成するため、
ゲート電極とソース電極間等の短絡のない薄膜トランジ
スタ素子が形成できるので、歩留りを向上することがで
きる。請求項3の薄膜トランジスタ素子の製造方法によ
れば、請求項2において、第1の電極をAlまたはTa
を主成分とした薄膜とするため、請求項2の作用のほ
か、第1の電極が単一層および積層のいずれの場合で
も、第1の絶縁膜の形成が容易にできる。
【実施例】この発明の第1の実施例を図1に基づいて説
明する。すなわち、図1は薄膜トランジスタ素子の製造
工程を示す部分断面図であり、1は薄膜トランジスタ素
子の絶縁性基板であり、ガラス基板を用いている。2は
絶縁性基板1上に形成されたストライプ状のAl膜のゲ
ート電極である第1の電極である。3は第1の電極2の
表面に陽極酸化により形成したフッ化物を含む膜よりな
るAl2 O3 のゲート絶縁膜である第1の絶縁膜であ
る。4は第1の絶縁膜3上に陽極酸化以外の手段によっ
て形成されたSiNx (窒化シリコン絶縁膜)のゲート
絶縁膜である第2の絶縁膜である。5はa−Si層(非
晶質シリコン半導体層)の半導体層である。6はSiN
x 膜のチャンネルストッパ層である。7は第1の電極2
に直交したソース電極である第2の電極である。この実
施例によれば、第1の電極2上に陽極酸化により形成す
る第1の絶縁膜3がフッ化物を含むため耐HF性が大き
いので、図1(c)のように第2の絶縁膜4の欠陥部1
7などによりチャンネルストッパ層6の形成の際のBH
Fエッチング中に欠陥部17を通して第1の絶縁膜3が
エッチングされ、低耐圧部が発生するのを防止でき、こ
のため耐フッ酸性と絶縁耐圧を同時に向上できるので、
ゲート電極である第1の電極2とソース電極である第2
の電極7間等の短絡を防止することができる。つぎにこ
の薄膜トランジスタ素子の製造方法について説明する。
すなわち、図1に示すように、絶縁性基板1としてのガ
ラス基板上にAl膜を300nm形成し、フォトリソグ
ラフィとエッチングにより第1の電極2として図1
(a)のようにゲ−ト電極を完成した。陽極酸化法によ
り、第1の絶縁膜3として図1(b)のようにAl2 O
3 膜(Alの陽極酸化膜)を200nm形成した。陽極
酸化条件はクエン酸を主成分とし、エチレングリコ−ル
を溶媒とする電解液にフッ化アンモニウムを1モル/l
(リットル)添加したものを30℃に加温し、電流密度
5mA/cm2 、所定電圧140Vまで定電流で行っ
た。140V到達後は定電圧で電流値が初期の1%に低
下するまで延長した。つぎに図1(c)のようにプラズ
マCVD法により第2の絶縁膜4としてゲ−ト絶縁膜S
iNx (窒化シリコン絶縁膜)を200nm製膜すると
ともに、半導体層5のa−Si(非晶質シリコン半導体
層)を50nmと、その上に設けられるチャンネルスト
ッパ層6のSiNx 膜を100nm連続製膜した。この
チャンネルストッパ層6のSiNx 膜を選択的にエッチ
ングし、図1(d)のようにチャンネルストッパ層6と
した。Alの300nmをスパッタリング法で形成した
後、フォトリソグラフィとエッチングにより、図1
(e)のようにソース電極7を形成し、薄膜トランジス
タ素子を完成した。このような製造方法により製造され
た薄膜トランジスタ素子の第1の絶縁膜3を成分分析す
ると、フッ化物が混入していることが明らかとなった。
また比較測定のため、第1の絶縁膜3にフッ化物を含ま
ないサンプルも用意した。これらのサンプルについて、
ゲ−ト電極2とソ−ス電極7間に50V印加したときの
ショ−ト発生数を測定した。尚クロスポイントは一枚あ
たり10万個有するものを用いた。その結果、陽極酸化
膜すなわち第1の絶縁膜3の構成と欠陥数の関係を表1
に示した。
明する。すなわち、図1は薄膜トランジスタ素子の製造
工程を示す部分断面図であり、1は薄膜トランジスタ素
子の絶縁性基板であり、ガラス基板を用いている。2は
絶縁性基板1上に形成されたストライプ状のAl膜のゲ
ート電極である第1の電極である。3は第1の電極2の
表面に陽極酸化により形成したフッ化物を含む膜よりな
るAl2 O3 のゲート絶縁膜である第1の絶縁膜であ
る。4は第1の絶縁膜3上に陽極酸化以外の手段によっ
て形成されたSiNx (窒化シリコン絶縁膜)のゲート
絶縁膜である第2の絶縁膜である。5はa−Si層(非
晶質シリコン半導体層)の半導体層である。6はSiN
x 膜のチャンネルストッパ層である。7は第1の電極2
に直交したソース電極である第2の電極である。この実
施例によれば、第1の電極2上に陽極酸化により形成す
る第1の絶縁膜3がフッ化物を含むため耐HF性が大き
いので、図1(c)のように第2の絶縁膜4の欠陥部1
7などによりチャンネルストッパ層6の形成の際のBH
Fエッチング中に欠陥部17を通して第1の絶縁膜3が
エッチングされ、低耐圧部が発生するのを防止でき、こ
のため耐フッ酸性と絶縁耐圧を同時に向上できるので、
ゲート電極である第1の電極2とソース電極である第2
の電極7間等の短絡を防止することができる。つぎにこ
の薄膜トランジスタ素子の製造方法について説明する。
すなわち、図1に示すように、絶縁性基板1としてのガ
ラス基板上にAl膜を300nm形成し、フォトリソグ
ラフィとエッチングにより第1の電極2として図1
(a)のようにゲ−ト電極を完成した。陽極酸化法によ
り、第1の絶縁膜3として図1(b)のようにAl2 O
3 膜(Alの陽極酸化膜)を200nm形成した。陽極
酸化条件はクエン酸を主成分とし、エチレングリコ−ル
を溶媒とする電解液にフッ化アンモニウムを1モル/l
(リットル)添加したものを30℃に加温し、電流密度
5mA/cm2 、所定電圧140Vまで定電流で行っ
た。140V到達後は定電圧で電流値が初期の1%に低
下するまで延長した。つぎに図1(c)のようにプラズ
マCVD法により第2の絶縁膜4としてゲ−ト絶縁膜S
iNx (窒化シリコン絶縁膜)を200nm製膜すると
ともに、半導体層5のa−Si(非晶質シリコン半導体
層)を50nmと、その上に設けられるチャンネルスト
ッパ層6のSiNx 膜を100nm連続製膜した。この
チャンネルストッパ層6のSiNx 膜を選択的にエッチ
ングし、図1(d)のようにチャンネルストッパ層6と
した。Alの300nmをスパッタリング法で形成した
後、フォトリソグラフィとエッチングにより、図1
(e)のようにソース電極7を形成し、薄膜トランジス
タ素子を完成した。このような製造方法により製造され
た薄膜トランジスタ素子の第1の絶縁膜3を成分分析す
ると、フッ化物が混入していることが明らかとなった。
また比較測定のため、第1の絶縁膜3にフッ化物を含ま
ないサンプルも用意した。これらのサンプルについて、
ゲ−ト電極2とソ−ス電極7間に50V印加したときの
ショ−ト発生数を測定した。尚クロスポイントは一枚あ
たり10万個有するものを用いた。その結果、陽極酸化
膜すなわち第1の絶縁膜3の構成と欠陥数の関係を表1
に示した。
【表1】 この表1より、第1の絶縁膜3にフッ化物を混入したも
のが良好であることがわかった。したがって、この薄膜
トランジスタ素子の製造方法によれば、第1の絶縁膜3
を形成する陽極酸化時の電解液にフッ化アンモニウムを
含むことにより、フッ化物を含む第1の絶縁膜3を形成
でき、ゲート電極2とソース電極7間の短絡のない薄膜
トランジスタ素子が形成できるので、欠陥のない第1の
絶縁膜3を得ることで歩留りを向上することができる。
この発明の第2の実施例の薄膜トランジスタ素子の製造
方法について説明する。すなわち、絶縁性基板1として
のガラス基板上にAl:Ta膜を300nm形成し、フ
ォトリソグラフィとエッチングにより第1の電極2とし
てゲ−ト電極を形成した。第1の絶縁膜3は、表2に示
したように、種々の陽極酸化条件とくに電解液のフッ化
アンモニウム濃度に着目して、第1の絶縁膜3を各々2
00nmの厚さに形成した。この時の陽極酸化条件は、
温度30℃、アジピン酸の非水溶液を用いて、電流密度
1mA/cm2 で行なった。その他は第1の実施例と同
様である。第1の絶縁膜3の膜質の評価は、チャンネル
ストッパ層6の形成時に用いるBHF液によるエッチン
グ量と膜表面の凹凸の観察によって行った。また良否の
判定は、BHF液のエッチング量で2分浸漬後の第1の
絶縁膜3の残膜量が30nm以上のものを○、0以下を
×とした。膜表面の凹凸は目検で白濁の感じられるもの
を×とした。これら2点より両方を満足するものを○と
した。
のが良好であることがわかった。したがって、この薄膜
トランジスタ素子の製造方法によれば、第1の絶縁膜3
を形成する陽極酸化時の電解液にフッ化アンモニウムを
含むことにより、フッ化物を含む第1の絶縁膜3を形成
でき、ゲート電極2とソース電極7間の短絡のない薄膜
トランジスタ素子が形成できるので、欠陥のない第1の
絶縁膜3を得ることで歩留りを向上することができる。
この発明の第2の実施例の薄膜トランジスタ素子の製造
方法について説明する。すなわち、絶縁性基板1として
のガラス基板上にAl:Ta膜を300nm形成し、フ
ォトリソグラフィとエッチングにより第1の電極2とし
てゲ−ト電極を形成した。第1の絶縁膜3は、表2に示
したように、種々の陽極酸化条件とくに電解液のフッ化
アンモニウム濃度に着目して、第1の絶縁膜3を各々2
00nmの厚さに形成した。この時の陽極酸化条件は、
温度30℃、アジピン酸の非水溶液を用いて、電流密度
1mA/cm2 で行なった。その他は第1の実施例と同
様である。第1の絶縁膜3の膜質の評価は、チャンネル
ストッパ層6の形成時に用いるBHF液によるエッチン
グ量と膜表面の凹凸の観察によって行った。また良否の
判定は、BHF液のエッチング量で2分浸漬後の第1の
絶縁膜3の残膜量が30nm以上のものを○、0以下を
×とした。膜表面の凹凸は目検で白濁の感じられるもの
を×とした。これら2点より両方を満足するものを○と
した。
【表2】 表2を参照すると、フッ化アンモニウム濃度が1.1〜
1.7モル/lの4種類でよい結果が得られた。つぎ
に、実施例1と同様に4種類の積層構成の薄膜トランジ
スタ素子を作製し、これらのサンプルについてゲ−ト電
極2とソ−ス電極7間に50V印加したときのショ−ト
発生数を測定した。その結果、いずれも欠陥数はゼロで
あった。したがって、第1の絶縁膜3を形成する陽極酸
化時の電解液に、フッ化アンモニウムを1モル/l以上
含むことにより、耐圧性と耐フッ酸性を同時に達成でき
ることがわかる。これにより、第1の実施例と同様の効
果を得ることができる。この発明の第3の実施例の薄膜
トランジスタ素子の製造方法について説明する。すなわ
ち、ガラス基板上にAl/Al:Ta膜を200nm/
100nm形成し、フォトリソグラフィとエッチングに
より第1の電極2としてゲ−ト電極を形成した。第1の
絶縁膜3のAl2 O3 膜は、表3に示したように、種々
の陽極酸化条件を用いて各々200nmの厚さに形成し
た。この時の陽極酸化条件は、アジピン酸の非水溶液を
用いて、温度30℃、電流密度1mA/cm2 で行っ
た。その他は第1の実施例と同様である。また膜質評価
は実施例2と同様である。
1.7モル/lの4種類でよい結果が得られた。つぎ
に、実施例1と同様に4種類の積層構成の薄膜トランジ
スタ素子を作製し、これらのサンプルについてゲ−ト電
極2とソ−ス電極7間に50V印加したときのショ−ト
発生数を測定した。その結果、いずれも欠陥数はゼロで
あった。したがって、第1の絶縁膜3を形成する陽極酸
化時の電解液に、フッ化アンモニウムを1モル/l以上
含むことにより、耐圧性と耐フッ酸性を同時に達成でき
ることがわかる。これにより、第1の実施例と同様の効
果を得ることができる。この発明の第3の実施例の薄膜
トランジスタ素子の製造方法について説明する。すなわ
ち、ガラス基板上にAl/Al:Ta膜を200nm/
100nm形成し、フォトリソグラフィとエッチングに
より第1の電極2としてゲ−ト電極を形成した。第1の
絶縁膜3のAl2 O3 膜は、表3に示したように、種々
の陽極酸化条件を用いて各々200nmの厚さに形成し
た。この時の陽極酸化条件は、アジピン酸の非水溶液を
用いて、温度30℃、電流密度1mA/cm2 で行っ
た。その他は第1の実施例と同様である。また膜質評価
は実施例2と同様である。
【表3】 表3を参照すると、フッ化アンモニウム濃度が0.5〜
1.3モル/lの範囲でよい結果が得られた。それ以上
の濃度では、膜表面に白濁が見られた。また実施例1と
同様に5種類の積層構成の薄膜トランジスタ素子を作製
し、これらのサンプルについてゲ−ト電極2とソ−ス電
極7間に50V印加したときのショ−ト発生数を測定し
た。その結果、いずれも欠陥数はゼロであった。したが
って、フッ化アンモニウム濃度が0.5モル/l以上で
耐圧性と耐フッ酸性を同時に達成し得ることがわかる。
なお、第1の電極2はAlまたはTaを主成分とした薄
膜の単一層および積層構造にすると、第1の絶縁膜3の
形成が容易にできる。
1.3モル/lの範囲でよい結果が得られた。それ以上
の濃度では、膜表面に白濁が見られた。また実施例1と
同様に5種類の積層構成の薄膜トランジスタ素子を作製
し、これらのサンプルについてゲ−ト電極2とソ−ス電
極7間に50V印加したときのショ−ト発生数を測定し
た。その結果、いずれも欠陥数はゼロであった。したが
って、フッ化アンモニウム濃度が0.5モル/l以上で
耐圧性と耐フッ酸性を同時に達成し得ることがわかる。
なお、第1の電極2はAlまたはTaを主成分とした薄
膜の単一層および積層構造にすると、第1の絶縁膜3の
形成が容易にできる。
【発明の効果】請求項1の薄膜トランジスタ素子によれ
ば、第1の電極上に陽極酸化により形成する第1の絶縁
膜がフッ化物を含むため耐HF性が大きいので、第2の
絶縁膜の欠陥部などによりチャンネルストッパ層の形成
の際のBHFエッチング中に欠陥部等を通して第1の絶
縁膜がエッチングされ、低耐圧部が発生するのを防止で
き、このため耐フッ酸性と絶縁耐圧を同時に向上できる
ので、ゲート電極とソース電極間等の短絡を防止するこ
とができるという効果がある。請求項2の薄膜トランジ
スタ素子の製造方法によれば、請求項1記載の薄膜トラ
ンジスタ素子の製造方法であって、第1の絶縁膜を形成
する陽極酸化時の電解液に、フッ化アンモニウムを0.
5モル/l以上含むことにより、フッ化物を含む第1の
絶縁膜を形成するため、ゲート電極とソース電極間等の
短絡のない薄膜トランジスタ素子が形成できるので、歩
留りを向上することができる。請求項3の薄膜トランジ
スタ素子の製造方法によれば、請求項2において、第1
の電極をAlまたはTaを主成分とした薄膜とするた
め、請求項2の効果ほか、第1の電極が単一層および積
層のいずれの場合でも、第1の絶縁膜の形成が容易にで
きる。
ば、第1の電極上に陽極酸化により形成する第1の絶縁
膜がフッ化物を含むため耐HF性が大きいので、第2の
絶縁膜の欠陥部などによりチャンネルストッパ層の形成
の際のBHFエッチング中に欠陥部等を通して第1の絶
縁膜がエッチングされ、低耐圧部が発生するのを防止で
き、このため耐フッ酸性と絶縁耐圧を同時に向上できる
ので、ゲート電極とソース電極間等の短絡を防止するこ
とができるという効果がある。請求項2の薄膜トランジ
スタ素子の製造方法によれば、請求項1記載の薄膜トラ
ンジスタ素子の製造方法であって、第1の絶縁膜を形成
する陽極酸化時の電解液に、フッ化アンモニウムを0.
5モル/l以上含むことにより、フッ化物を含む第1の
絶縁膜を形成するため、ゲート電極とソース電極間等の
短絡のない薄膜トランジスタ素子が形成できるので、歩
留りを向上することができる。請求項3の薄膜トランジ
スタ素子の製造方法によれば、請求項2において、第1
の電極をAlまたはTaを主成分とした薄膜とするた
め、請求項2の効果ほか、第1の電極が単一層および積
層のいずれの場合でも、第1の絶縁膜の形成が容易にで
きる。
【図1】この発明の第1の実施例の薄膜トランジスタ素
子の製造工程を示す部分断面図である。
子の製造工程を示す部分断面図である。
【図2】従来の薄膜トランジスタ素子の部分断面図であ
る。
る。
【図3】その薄膜トランジスタ素子の製造工程を示す部
分断面図である。
分断面図である。
1 絶縁性基板 2 第1の電極 3 第1の絶縁膜 4 第2の絶縁膜 5 半導体層 6 チャンネルストッパ層 7 第2の電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田村 達彦 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 竹田 守 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02F 1/1343 G02F 1/136 H01L 21/316 H01L 21/336 H01L 29/786
Claims (3)
- 【請求項1】 絶縁性基板上に形成された第1の電極
と、この第1の電極の表面に陽極酸化により形成したフ
ッ化物を含む第1の絶縁膜と、この第1の絶縁膜上に前
記陽極酸化以外の手段によって形成された第2の絶縁膜
と、この第2の絶縁膜上に形成されたチャンネルストッ
パ層を含む半導体層と、この半導体層上に形成された第
2の電極とを備えた薄膜トランジスタ素子。 - 【請求項2】 請求項1記載の薄膜トランジスタ素子の
製造方法であって、第1の絶縁膜を形成する陽極酸化時
の電解液に、フッ化アンモニウムを0.5モル/l以上
含むことにより、フッ化物を含む第1の絶縁膜を形成す
ることを特徴とする薄膜トランジスタ素子の製造方法。 - 【請求項3】 第1の電極がAlまたはTaを主成分と
した薄膜である請求項2記載の薄膜トランジスタ素子の
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5293040A JP2987043B2 (ja) | 1993-11-24 | 1993-11-24 | 薄膜トランジスタ素子およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5293040A JP2987043B2 (ja) | 1993-11-24 | 1993-11-24 | 薄膜トランジスタ素子およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07147408A JPH07147408A (ja) | 1995-06-06 |
JP2987043B2 true JP2987043B2 (ja) | 1999-12-06 |
Family
ID=17789715
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5293040A Expired - Fee Related JP2987043B2 (ja) | 1993-11-24 | 1993-11-24 | 薄膜トランジスタ素子およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2987043B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101623956B1 (ko) | 2010-01-15 | 2016-05-24 | 삼성전자주식회사 | 트랜지스터와 그 제조방법 및 트랜지스터를 포함하는 전자소자 |
-
1993
- 1993-11-24 JP JP5293040A patent/JP2987043B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07147408A (ja) | 1995-06-06 |
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