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JP2984888B2 - 伸線加工性に優れた高炭素鋼線材または鋼線およびその製造方法 - Google Patents

伸線加工性に優れた高炭素鋼線材または鋼線およびその製造方法

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Publication number
JP2984888B2
JP2984888B2 JP5122984A JP12298493A JP2984888B2 JP 2984888 B2 JP2984888 B2 JP 2984888B2 JP 5122984 A JP5122984 A JP 5122984A JP 12298493 A JP12298493 A JP 12298493A JP 2984888 B2 JP2984888 B2 JP 2984888B2
Authority
JP
Japan
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temperature
steel wire
wire
cooling
bainite transformation
Prior art date
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Expired - Lifetime
Application number
JP5122984A
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JPH0673501A (ja
Inventor
章文 川名
征雄 落合
浩 大羽
世紀 西田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP5122984A priority Critical patent/JP2984888B2/ja
Publication of JPH0673501A publication Critical patent/JPH0673501A/ja
Priority to US08/545,675 priority patent/US5658402A/en
Priority to PCT/JP1994/000576 priority patent/WO1994028189A1/ja
Priority to DE69423619T priority patent/DE69423619T2/de
Priority to EP94912062A priority patent/EP0708183B1/en
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  • Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)
  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、伸線加工性に優れた高
炭素鋼線材または鋼線とその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】通常線材または鋼線は、種々の最終製品
の用途に応じて、伸線加工が行われるが、この伸線加工
の前に予め伸線に適した線材あるいは鋼線にしておく必
要がある。従来その対策として、特公昭60−5621
5号公報に開示されているように、オーステナイト化温
度にあるC:0.2〜1.0%、Si<0.30%、M
n:0.30〜0.90%を含む鋼線材を、カリウム硝
酸塩系またはナトリウム硝酸塩を、単独又は複合して3
50〜600℃の温度に加熱溶融し、ガス体により攪拌
した溶融塩に浸漬して、800〜600℃間の冷却速度
を、15〜60℃/secにすることを特徴とする高強
度かつ強度ばらつきの小さい鋼線材の熱処理方法があ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記特許公報
記載の熱処理方法により得られるパーライト組織の線材
では、伸線加工工程において高減面率における延性の劣
化、捻回試験での割れの発生(以下デラミネーションと
称する)が問題となっている。本発明は、前記の如き従
来技術の問題点を有利に解決することのできる伸線加工
性の優れた高炭素鋼線材または鋼線およびその製造方法
を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは下記のとおりである。 (1) 重量%で C:0.70〜1.20%、 Si:0.15〜1.00%、 Mn:0.30〜0.90%、 を含有し、さらに Al:0.006〜0.100%、 Ti:0.01〜0.35% のいずれか1種または2種を含有し、 P:0.02%以下、 S:0.01%以下 に制限され、残部がFeおよび不可避的不純物よりな
り、2段変態により得られた上部ベイナイト組織が面積
率で80%以上で、かつHvが450以下であるミクロ
組織を有することを特徴とする伸線加工性に優れた高炭
素鋼線材または鋼線。
【0005】(2) 合金成分として、さらにCr:
0.10〜0.50%を含有することを特徴とする前項
1記載の伸線加工性に優れた高炭素鋼線材または鋼線。 (3) 重量%で C:0.70〜1.20%、 Si:0.15〜1.00%、 Mn:0.30〜0.90%、 を含有し、さらに Al:0.006〜0.100%、 Ti:0.01〜0.35% のいずれか1種または2種を含有し、 P:0.02%以下、 S:0.01%以下 に制限され、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる
鋼片を線材に圧延後、1100〜755℃の温度範囲か
ら60〜300℃/secの冷却速度で350〜500
℃の温度範囲に冷却し、この温度範囲に、ベイナイト変
態が開始しない範囲内でまたはベイナイト変態開始後で
かつベイナイト変態終了前の範囲内で、一定時間保定し
た後、昇温し、完全にベイナイト変態が終了するまで保
定することを特徴とする伸線加工性に優れた高炭素鋼線
材の製造方法。
【0006】(4) 出発鋼片が、合金成分としてさら
にCr:0.10〜0.50%を含有することを特徴と
する前項3記載の伸線加工性に優れた高炭素鋼線材の製
造方法。 (5) 出発鋼片を線材に圧延後、1100〜755℃
の温度範囲から60〜300℃/secの冷却速度で3
50〜500℃の温度範囲に冷却し、この温度範囲に1
秒以上、かつベイナイト変態が開始しない範囲内で下記
式(1)で定める時間X秒以下保定した後、10℃以
上、600−T1 (T1 :冷却後の保定温度)℃以下昇
温し、完全にベイナイト変態が終了するまで保定するこ
とを特徴とする前項3または4記載の伸線加工性に優れ
た高炭素鋼線材の製造方法。
【0007】 X=exp(16.03−0.0307×T1)……(1) T1 :冷却後の保定温度 (6) 出発鋼片を線材に圧延後、1100〜755℃
の温度範囲から60〜300℃/secの冷却速度で3
50〜500℃の温度範囲に冷却し、この温度範囲にベ
イナイト変態開始後、ベイナイト変態が終了する以前、
すなわち下記式(2)で定める時間Y秒以下保定した
後、10℃以上、600−T1 (T1 :冷却後の保定温
度)℃以下昇温し、完全にベイナイト変態が終了するま
で保定することを特徴とする前項3または4記載の伸線
加工性に優れた高炭素鋼線材の製造方法。
【0008】 Y=exp(19.83−0.0329×T1)……(2) T1 :冷却後の保定温度 (7) 重量%で C:0.70〜1.20%、 Si:0.15〜1.00%、 Mn:0.30〜0.90%、 を含有し、さらに Al:0.006〜0.100%、 Ti:0.01〜0.35% のいずれか1種または2種を含有し、 P:0.02%以下、 S:0.01%以下 に制限され、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる
鋼線を1100〜755℃の加熱温度範囲から60〜3
00℃/secの冷却速度で350〜500℃の温度範
囲に冷却し、この温度範囲に、ベイナイト変態が開始し
ない範囲内でまたはベイナイト変態開始後でかつベイナ
イト変態終了前の範囲内で、一定時間保定した後、昇温
し、完全にベイナイト変態が終了するまで保定すること
を特徴とする伸線加工性に優れた高炭素鋼鋼線の製造方
法。
【0009】(8) 出発鋼線が、合金成分としてさら
にCr:0.10〜0.50%を含有することを特徴と
する前項7記載の伸線加工性に優れた高炭素鋼鋼線の製
造方法。 (9) 出発鋼線を1100〜755℃の加熱温度範囲
から60〜300℃/secの冷却速度で350〜50
0℃の温度範囲に冷却し、この温度範囲に1秒以上、か
つベイナイト変態が開始しない範囲内で下記式(1)で
定める時間X秒以下保定した後、10℃以上、600−
1 (T1 :冷却後の保定温度)℃以下昇温し、完全に
ベイナイト変態が終了するまで保定することを特徴とす
る前項6または7記載の伸線加工性に優れた高炭素鋼鋼
線の製造方法。
【0010】 X=exp(16.03−0.0307×T1)……(1) T1 :冷却後の保定温度 (10) 出発鋼線を1100〜755℃の加熱温度範
囲から60〜300℃/secの冷却速度で350〜5
00℃の温度範囲に冷却し、この温度範囲にベイナイト
変態開始後、ベイナイト変態が終了する以前、すなわち
下記式(2)で定める時間Y秒以下保定した後、10℃
以上、600−T1 (T1 :冷却後の保定温度)℃以下
昇温し、完全にベイナイト変態が終了するまで保定する
ことを特徴とする前項6または7記載の伸線加工性に優
れた高炭素鋼鋼線の製造方法。
【0011】 Y=exp(19.83−0.0329×T1)……(2) T1 :冷却後の保定温度
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
【作用】本発明におけるベイナイト線材および鋼線の化
学成分の限定理由について述べる。Cは鋼の強度と延性
を支配する基本的な元素であり、高炭素化するほど強度
が向上する。下限は焼入性と強度を確保するために0.
70%とした。上限は初析セメンタイトの発生を防止す
るために1.20%とした。
【0014】Siは鋼の脱酸剤として0.15%以上加
える。また鋼を固溶強化する元素であると共に、鋼線の
リラクセーションロスを低減できる元素である。しか
し、スケール生成量を減少させ、メカニカルデスケーリ
ング性を悪くするほか、線材のボンデ潤滑性をやや低下
させる。そのために上限は1.00%とした。Mnは脱
酸剤として0.30%以上加える。また鋼に固溶して強
化する元素であるが、添加量を増加させると線材中心部
において偏析を生じ易くなる。偏析部は焼入性が向上
し、変態終了時間が長時間側にずれるため、未変態部が
マルテンサイトとなり、伸線加工中の断線につながる。
そこで、上限は0.90%とした。
【0015】Alは脱酸作用をするほか、鋼中のNを固
定し、細粒オーステナイトにするために最も経済的な元
素である。上限は非金属介在物の増加を考慮し0.10
0%とし、下限はAlの効果が表れる0.006%とし
た。Tiは現在すでにTi脱酸鋼、主としてプレイン炭
素のオーステナイト結晶粒の調整作用に利用されてい
る。上限はTi介在物の増加を抑えることと、鋼中への
離固溶炭窒化物の生成を抑えるため、0.35%とし
た。下限はこれらの作用が効果的である0.01%とし
た。
【0016】なお、本発明においては、AlおよびTi
の1種または2種が添加され得る。SおよびPは結晶粒
界に析出し、鋼の特性を劣化させるため、できる限り低
く抑える必要がある。そのためSの上限を0.01%と
し、Pの上限を0.02%とした。
【0017】Crは鋼の強度を増加させるために必要に
応じて添加される元素であり、添加量が増えるに従って
強度は増加する。しかし、焼入性も向上し、変態終了線
が長時間側に移動する。これにより、熱処理に必要な時
間も長くなるため、上限を0.50%とし、また下限は
強度を増すために0.10%とした。
【0018】本発明の製造方法の限定理由は以下に述べ
るとおりである。線材圧延後または鋼線加熱後の冷却開
始温度(T0)は変態後の組織に影響を与える。下限は
平衡変態開始温度であるオーステナイト変態点(755
℃)以上とした。上限はオーステナイト結晶粒の異常成
長を抑えるために1100℃とした。
【0019】線材圧延後または鋼線加熱後における冷却
速度(V1)はパーライト変態の開始を抑制するための
重要な因子である。このことを本発明者等は実験的に求
めた。初期冷却速度が60℃/sec未満で緩冷した場
合、パーライト変態のノーズ位置より高温側で変態が開
始し、パーライト組織が生成するため完全なベイナイト
組織が得られない。ベイナイト組織の生成温度は500
℃以下であるが、完全なベイナイト組織を生成させるた
めには冷却初期に急激に冷却する必要がある。そこで冷
却速度(V1)の下限を60℃/secとし、上限は工
業的に可能な300℃/secとした。
【0020】冷却後の恒温保持温度(T1)は生成する
組織を決定する重要な因子である。保持温度が500℃
超では線材または鋼線中心部にパーライト組織が生成す
るため、引張強さが上昇し伸線加工性が劣化する。また
保持温度が350℃未満ではベイナイト組織中のセメン
タイトの粒状化が始まることにより、引張強さが上昇
し、伸線加工性が劣化する。このため恒温変態温度の上
限を500℃、下限を350℃とした。
【0021】350〜500℃に一定時間以内保持する
ことにより過冷オーステナイト組織が得られる。その後
温度を上昇させることにより出現するベイナイト組織
は、等温変態に比較し、セメンタイトの析出が粗くな
る。このため2段変態させた上部ベイナイト組織は軟質
化する。完全2段変態の場合は、350〜500℃の温
度範囲での必要な過冷時間(t 1)は、過冷オーステナ
イト組織を生成するのに必要な時間以上で、かつ上限は
ベイナイト変態が開始する以前までとする。好ましくは
1秒以上かつ下記式で示すX秒以下とする。
【0022】X=exp(16.03−0.0307×
1 )(T1 :冷却後の保定温度) 過冷後、2段変態させる場合の昇温温度幅(ΔT)は、
下限を2段変態による軟質化効果が現れる10℃とし、
上限は昇温後の温度を600℃以下にする必要があるた
め下記式に示すΔT以下とする。 ΔT=600−T1 (T1 :冷却後の保定温度) 昇温後の保定時間(t2)は完全に変態が完了する迄と
する。
【0023】混合2段変態の場合は、350〜500℃
の温度範囲での必要な過冷時間(t 1)は、ベイナイト
変態開始後下記式で示すY秒以下とする。 Y=exp(19.83−0.0329×T1
(T1 :冷却後の保定温度) 過冷後、2段変態させる場合の昇温温度幅(ΔT)は完
全2段変態の場合と同様に、下限を2段変態による軟質
化効果が現れる10℃とし、上限は昇温後の温度を60
0℃以下にする必要があるため下記式に示すΔT以下と
する。
【0024】 ΔT=600−T1 (T1 :冷却後の保定温度) 恒温保定温度500℃超で処理したパーライト線材また
は鋼線は線材または鋼線中心部にパーライト組織が生成
する。パーライト組織はセメンタイトとフェライトが層
状構造を有しているため、加工硬化には大きな寄与をも
たらすが、延性の低下が妨げない。このため高減面率領
域において引張強さが上昇しするとともに捻回特性が劣
化し、デラミネーションの発生をまねく。
【0025】これに対して、本発明に従い2段変態させ
たベイナイト線材または鋼線は、フェライト中に粗いセ
メンタイトが分散している状態にあるため加工硬化を抑
えられる。これにより高減面率領域までデラミネーショ
ンの発生を抑制でき、伸線加工が可能である。ベイナイ
ト組織の面積率の測定法は、断面内の組織観察から格子
点法により求める。面積率はベイナイト組織の生成状況
を示す重要な指標であり、伸線加工性に影響を与える。
面積率の下限は2段変態効果が顕著に現れる80%とし
た。
【0026】上部ベイナイト組織のビッカース硬度はそ
の試料の特性を示すのに重要な因子である。冷却過程及
び昇温過程を施した2段変態させたベイナイト線材また
は鋼線は、等温変態させた場合に比較し、セメンタイト
の析出が粗くなる。このため2段変態させた上部ベイナ
イト組織は軟質化する。ビッカース硬度の上限はC量の
影響を考え450以下とした。
【0027】
【実施例】
実施例1 表1に供試鋼の化学成分を示す。表1のA〜Dは本発明
鋼の例、E〜Jは比較鋼の例である。E鋼はC量が上限
以上、F鋼はMn量が上限以上である。
【0028】連続鋳造設備により300×500mmと
した鋳片を122mm角断面の鋼片に圧延した。これら
の鋼片を線材圧延後、表2に示す条件で直接溶融塩(D
LP)冷却を行なった。これらの線材を平均減面率17
%で1.00mmφまで伸線し引張試験、捻回試験を行
なった。
【0029】引張試験はJISZ2201の2号試験片
を用い、JISZ2241記載の方法で行なった。捻回
試験は試験片長さ100d+100に切断後、チャック
間距離100d、回転速度10rpmで破断するまで回
転させた。dは鋼線の直径を表わす。このようにして得
られた特性値を表2に合わせて示す。
【0030】No.1〜No.4は本発明鋼である。N
o.5〜No.10は比較鋼である。比較例No.5は
冷却速度が遅すぎたためにパーライト組織が生成し、伸
線加工性が低下し、伸線途中で断線が生じた。比較例N
o.6は昇温温度が低すぎたため2段変態させたベイナ
イト組織が生成せず、伸線加工性が低下し、伸線途中で
断線が生じた。
【0031】比較例No.7は恒温変態時間が十分確保
されなかったためマルテンサイトが発生し、伸線加工性
が低下し、伸線途中で断線が生じた。比較例No.8は
過冷却処理時間が長かったため2段変態させたベイナイ
ト組織が生成する割合が低下し、伸線加工性が低下し、
伸線途中で断線が生じた。比較例No.9はC量が高す
ぎたため初析セメンタイトが発生し、伸線加工性が低下
した。
【0032】比較例No.10はMn量が高すぎたため
中心偏析に伴うミクロマルテンサイトが発生し伸線加工
性が低下した。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】実施例2 表3に供試鋼の化学成分を示す。表3のA〜Dは本発明
鋼の例、E〜Jは比較鋼の例である。E鋼はC量が上限
以上、F鋼はMn量が上限以上である。連続鋳造設備に
より300×500mmとした鋳片を122mm角断面
の鋼片から鋼線を製造した。
【0036】これらの鋼線を加熱後、表4に示す条件で
直接溶融塩(DLP)冷却を行なった。これらの鋼線を
平均減面率17%で1.00mmφまで伸線し引張試
験、捻回試験を行った。引張試験はJISZ2201の
2号試験片を用い、JISZ2241記載の方法で行っ
た。
【0037】捻回試験は試験片長さ100d+100に
切断後、チャック間距離100d、回転速度10rpm
で破断するまで回転させた。dは鋼線の直径を表わす。
このようにして得られた特性値を表4に併せて示す。N
o.1〜No.4は本発明鋼である。No.5〜No.
10は比較鋼である。
【0038】比較例No.5は冷却速度が遅すぎたため
にパーライト組織が生成し、伸線加工性が低下し、伸線
途中で断線が生じた。比較例No.6は昇温温度が低す
ぎたため2段変態させたベイナイト組織が生成せず、伸
線加工性が低下し、伸線途中で断線が生じた。比較例N
o.7は恒温変態時間が十分確保されなかったためマル
テンサイトが発生し、伸線加工性が低下し、伸線途中で
断線が生じた。
【0039】比較例No.8は過冷却処理時間が長かっ
たため2段変態させたベイナイト組織が生成する割合が
低下し、伸線加工性が低下し、伸線途中で断線が生じ
た。比較例No.9はC量が高すぎたため初析セメンタ
イトが発生し、伸線加工性が低下した。比較例No.1
0はMn量が高すぎたため中心偏析に伴うミクロマルテ
ンサイトが発生し伸線加工性が低下した。
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【発明の効果】以上述べた如く本発明に従った高炭素鋼
線材または鋼線は、従来材にくらべてより一段と高減面
率まで伸線が可能で、耐デラミネーション特性も改善さ
れている。また本発明によれば伸線加工性が優れた高炭
素鋼線材または鋼線の製造が可能になり、2次加工工程
における中間熱処理が省略でき、大幅なコストダウン、
工期短縮、設備費削減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱処理パターンを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西田 世紀 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株 式会社 君津製鐵所内 (56)参考文献 特開 平6−17190(JP,A) 特開 昭53−51121(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 - 38/14 C21D 8/06 - 9/52

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で C:0.70〜1.20%、 Si:0.15〜1.00%、 Mn:0.30〜0.90%、 を含有し、さらに Al:0.006〜0.100%、 Ti:0.01〜0.35% のいずれか1種または2種を含有し、 P:0.02%以下、 S:0.01%以下 に制限され、残部がFeおよび不可避的不純物よりな
    り、2段変態により得られた上部ベイナイト組織が面積
    率で80%以上で、かつHvが450以下であるミクロ
    組織を有することを特徴とする伸線加工性に優れた高炭
    素鋼線材または鋼線。
  2. 【請求項2】 合金成分として、さらにCr:0.10
    〜0.50%を含有することを特徴とする請求項1記載
    の伸線加工性に優れた高炭素鋼線材または鋼線。
  3. 【請求項3】 重量%で C:0.70〜1.20%、 Si:0.15〜1.00%、 Mn:0.30〜0.90%、 を含有し、さらに Al:0.006〜0.100%、 Ti:0.01〜0.35% のいずれか1種または2種を含有し、 P:0.02%以下、 S:0.01%以下 に制限され、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる
    鋼片を線材に圧延後、1100〜755℃の温度範囲か
    ら60〜300℃/secの冷却速度で350〜500
    ℃の温度範囲に冷却し、この温度範囲に、ベイナイト変
    態が開始しない範囲内でまたはベイナイト変態開始後で
    かつベイナイト変態終了前の範囲内で、一定時間保定し
    た後、昇温し、完全にベイナイト変態が終了するまで保
    定することを特徴とする伸線加工性に優れた高炭素鋼線
    材の製造方法。
  4. 【請求項4】 出発鋼片が、合金成分としてさらにC
    r:0.10〜0.50%を含有することを特徴とする
    請求項3記載の伸線加工性に優れた高炭素鋼線材の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 出発鋼片を線材に圧延後、1100〜7
    55℃の温度範囲から60〜300℃/secの冷却速
    度で350〜500℃の温度範囲に冷却し、この温度範
    囲に1秒以上、かつベイナイト変態が開始しない範囲内
    で下記式(1)で定める時間X秒以下保定した後、10
    ℃以上、600−T1 (T1 :冷却後の保定温度)℃以
    下昇温し、完全にベイナイト変態が終了するまで保定す
    ることを特徴とする請求項3または4記載の伸線加工性
    に優れた高炭素鋼線材の製造方法。 X=exp(16.03−0.0307×T1)……(1) T1 :冷却後の保定温度
  6. 【請求項6】 出発鋼片を線材に圧延後、1100〜7
    55℃の温度範囲から60〜300℃/secの冷却速
    度で350〜500℃の温度範囲に冷却し、この温度範
    囲にベイナイト変態開始後、ベイナイト変態が終了する
    以前、すなわち下記式(2)で定める時間Y秒以下保定
    した後、10℃以上、600−T1 (T1 :冷却後の保
    定温度)℃以下昇温し、完全にベイナイト変態が終了す
    るまで保定することを特徴とする請求項3または4記載
    の伸線加工性に優れた高炭素鋼線材の製造方法。 Y=exp(19.83−0.0329×T1)……(2) T1 :冷却後の保定温度
  7. 【請求項7】 重量%で C:0.70〜1.20%、 Si:0.15〜1.00%、 Mn:0.30〜0.90%、 を含有し、さらに Al:0.006〜0.100%、 Ti:0.01〜0.35% のいずれか1種または2種を含有し、 P:0.02%以下、 S:0.01%以下 に制限され、残部がFeおよび不可避的不純物よりなる
    鋼線を1100〜755℃の加熱温度範囲から60〜3
    00℃/secの冷却速度で350〜500℃の温度範
    囲に冷却し、この温度範囲に、ベイナイト変態が開始し
    ない範囲内でまたはベイナイト変態開始後でかつベイナ
    イト変態終了前の範囲内で、一定時間保定した後、昇温
    し、完全にベイナイト変態が終了するまで保定すること
    を特徴とする伸線加工性に優れた高炭素鋼鋼線の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 出発鋼線が、合金成分としてさらにC
    r:0.10〜0.50%を含有することを特徴とする
    請求項7記載の伸線加工性に優れた高炭素鋼線材の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 出発鋼線を1100〜755℃の加熱温
    度範囲から60〜300℃/secの冷却速度で350
    〜500℃の温度範囲に冷却し、この温度範囲に1秒以
    上、かつベイナイト変態が開始しない範囲内で下記式
    (1)で定める時間X秒以下保定した後、10℃以上、
    600−T1 (T1 :冷却後の保定温度)℃以下昇温
    し、完全にベイナイト変態が終了するまで保定すること
    を特徴とする請求項7または8記載の伸線加工性に優れ
    た高炭素鋼鋼線の製造方法。 X=exp(16.03−0.0307×T1)……(1) T1 :冷却後の保定温度
  10. 【請求項10】 出発鋼線を1100〜755℃の加熱
    温度範囲から60〜300℃/secの冷却速度で35
    0〜500℃の温度範囲に冷却し、この温度範囲にベイ
    ナイト変態開始後、ベイナイト変態が終了する以前、す
    なわち下記式(2)で定める時間Y秒以下保定した後、
    10℃以上、600−T1 (T1 :冷却後の保定温度)
    ℃以下昇温し、完全にベイナイト変態が終了するまで保
    定することを特徴とする請求項7または8記載の伸線加
    工性に優れた高炭素鋼鋼線の製造方法。 Y=exp(19.83−0.0329×T1)……(2) T1 :冷却後の保定温度
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