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JP2977019B2 - 2重スペクトラム拡散送信機及び受信機 - Google Patents

2重スペクトラム拡散送信機及び受信機

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Publication number
JP2977019B2
JP2977019B2 JP14291396A JP14291396A JP2977019B2 JP 2977019 B2 JP2977019 B2 JP 2977019B2 JP 14291396 A JP14291396 A JP 14291396A JP 14291396 A JP14291396 A JP 14291396A JP 2977019 B2 JP2977019 B2 JP 2977019B2
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JP
Japan
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short
short code
spread spectrum
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JP14291396A
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和彦 府川
博 鈴木
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NTT Docomo Inc
Original Assignee
NTT Mobile Communications Networks Inc
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Filing date
Publication date
Application filed by NTT Mobile Communications Networks Inc filed Critical NTT Mobile Communications Networks Inc
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02DCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGIES [ICT], I.E. INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGIES AIMING AT THE REDUCTION OF THEIR OWN ENERGY USE
    • Y02D30/00Reducing energy consumption in communication networks
    • Y02D30/70Reducing energy consumption in communication networks in wireless communication networks

Landscapes

  • Radio Transmission System (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】この発明は、スペクトラム拡
散通信における直接拡散符号分割多元接続方式、特に短
周期拡散符号と、長周期拡散符号とにより二重拡散を行
うスペクトラム拡散送信及び受信機に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、ディジタル移動通信において周波
数の有効利用を図るため、様々なスペクトラム拡散方式
が検討されている(M.K.Simon,J.K.Omura,R.A.Scholtz
and B.K.Levitt著,“Spread Spectrum Communication
”,Computer Science Press出版,1985)。特
に、直接拡散(Direct Sequence :DS)方式を用いた
CDMA(Code Division Multiple Access)方式は比較
的構成が簡単であることから実用化方式が検討されてい
る。DS−CDMA方式を例えばセルラー方式の移動通
信システムに適用する場合、隣接セルに異なるロングコ
ードを割り当てることにより、隣接セルで同じショート
コードを使用することが可能となる。
【0003】図1に、このDS−CDMA方式における
送信機の従来構成例を示す。入力端子11からディジタ
ル信号s(m)が入力され、ベースバンド変調器12はこの
ディジタル信号s(m)を用いてベースバンド変調信号b(n)
を生成する。このベースバンド変調信号b(n)は、ショー
トコード発生器13S が出力する短周期拡散符号SCS が拡
散部14を構成する乗算器14A で乗算されてスペクトラ
ム拡散される。さらにこの乗算出力は、ロングコード発
生器13L が出力する長周期拡散符号SCL が拡散部14を
構成するもう1つの乗算器14B で乗算されてスペクトラ
ム拡散される。ここで、短周期拡散符号SCS と長周期拡
散符号SCL のチップ周期は共にTc であり、ショートコ
ード発生器13S とロングコード発生器13L は共に、クロ
ック信号発生器17が出力するクロック周波数1/TCのク
ロック信号CKを基に駆動している。乗算器14B の出力で
あるスペクトラム拡散されたベースバンド変調信号b
sp(n)は、キャリア信号発生器18が出力するキャリア
信号CWを乗算器19で乗算してRF周波数帯にアップコ
ンバートし、送信増幅器21で増幅された後アンテナ2
2から送信変調波として送信される。
【0004】上記の短周期拡散符号SCS はショートコー
ドと呼ばれ、その符号周期は図2に示すようにベースバ
ンド変調信号b(n)のシンボル周期TS と同じ長さを有
し、各シンボルb(1),b(2),…をスペクトラム拡散す
る。一方、長周期拡散符号SCL はロングコードと呼ば
れ、数10〜数100 シンボル長相当の非常に長い周期TL
の符号であり、他セル(ゾーン)からの受信信号をラン
ダム化するために用いられる。このロングコードは通
常、長周期のPN系列が用いられ、同一セル内では同一
のものが、セルが異なると異なるものが割当てられる。
異なるロングコード間の相関は非常に小さいために、他
セルからの受信信号をランダム化することができる。シ
ョートコード発生器13S は、例えば周知のようにシフト
レジスタの所望の少なくとも2つのシフト段の出力の排
他的論理和演算を排他的論理和回路によって行い、シフ
トレジスタの入力に帰還することによって構成すること
ができる。シフトレジスタのシフト段数をKとすると、
シフトレジスタをチップレート1/TCのクロック信号で駆
動することにより(2K-1)TC周期で繰り返す(2K-1)チップ
の疑似雑音コード(PNコード)を発生することができ
る。ロングコード発生器13Lも同様に構成することがで
き、シフト段数Kをショートコード発生器13S のそれよ
り充分大きく選べばよい。
【0005】次に、DS−CDMA方式における受信機
の従来構成例を図3に示す。なお、伝搬路は2パス・レ
イリーフェージングモデルであり、従って受信波は先行
波と遅延波からなる2波モデルであると仮定してこの動
作を説明する。まず、アンテナ25に受信波が到来す
る。この受信波は低雑音増幅器26で増幅された後、キ
ャリア信号発生器27が出力するキャリア信号CWと乗算
器28で乗算されて低域通過フィルタ29に入力され
る。この操作はダウンコンバートに相当し、低域通過フ
ィルタ29からはスペクトル拡散されたベースバンド変
調信号bsp(n)が出力され、マルチパス分離部30の入力
端子3INに与えられる。この拡散ベースバンド変調信号
bsp(n)はハイブリッド31により2つの伝搬路に対応し
て2つの経路に分岐され、逆拡散部321 及び322 に入力
される。逆拡散部321 を構成する乗算器32A1は、拡散ベ
ースバンド変調信号に、ショートコード発生器33S が出
力する短周期拡散符号SCS を乗算して逆拡散部321 を構
成するもう1つの乗算器32B1に入力する。乗算器32B1
その入力に更に、ロングコード発生器33L が出力する長
周期拡散符号SCL を乗算して積分器351 に与え、ショー
トコードのチップ数と同じ数の最新の乗算結果の累積加
算を行う。即ち、積分器351 は一連の所定数の乗算結果
の平均値を出力する低域通過フィルタのような作用とす
る。これらの操作は逆拡散に相当する。これらの拡散符
号SCS、SCLは自己相関性が強く、送受信での拡散符号の
タイミングが一致しないと希望信号が抽出できない。シ
ョートコード発生器33S 、ロングコード発生器33L はク
ロック信号発生器39が発生するクロック周波数1/TC
クロック信号CKにより駆動される。
【0006】先行波の拡散符号SCS、SCLと、ショートコ
ード発生器33S 及びロングコード発生器33L が出力する
拡散符号SCS、SCLのタイミングが一致しているとする
と、積分器351 から先行波のパス成分が抽出され、逆拡
散ベースバンド変調信号b1(n)として端子31 に出力さ
れる。同様に、逆拡散部322 を構成する乗算器32A2は拡
散ベースバンド変調信号bsp(n)に遅延回路36S が出力す
る遅延した短周期拡散符号SCS を乗算して逆拡散部322
を構成するもう1つの乗算器32B2に与える。乗算器32B2
は与えられた乗算結果にさらに、遅延回路36L が出力す
る遅延した長周期拡散符号を乗算して積分器352 を通し
て逆拡散ベースバンド変調信号b2(n) を出力する。これ
らの操作は逆拡散に相当する。受信遅延波中の短周期拡
散符号及び長周期拡散符号による拡散タイミング位置
と、遅延した短周期及び長周期拡散符号SCS,SCLのタイ
ミングが一致しているとすると、積分器352 から遅延波
のパス成分が抽出され、逆拡散ベースバンド変調信号b2
(n) としてマルチパス分離部30の端子32 に出力され
る。
【0007】ここで、ハイブリッド31、拡散部321,3
22,積分器351,352、遅延回路36S,36L 、ショートコ
ード発生器33S 及びロングコード発生器33L はマルチパ
ス分離部30を構成する。ダイバーシチ形検波部40
は、積分器351 及び352 が出力するそれぞれの伝搬路に
ついての逆拡散ベースバンド変調信号b1(n),b2(n)を入
力としてダイバーシチ検波を行い、得られたベースバン
ドディジタル信号s(m)を端子41に出力する。このダイ
バーシチ形検波部40としては、各入力信号を遅延検波
後合成して硬判定する構成等が考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述の受信機では共通
の長周期拡散符号SCL を使用する同一セル内の異なる短
周期拡散符号を使用する他ユーザーの信号、即ち干渉波
信号をランダム化し、加えて希望波の遅延時間が異なる
マルチパス成分をランダム化している。これらのランダ
ム化された信号は雑音として逆拡散ベースバンド変調信
号b1(n),b2(n)に加算され、実質的な雑音電力が増加す
る欠点がある。上記のダイバーシチ形検波部40に干渉
キャンセル機能を加え、干渉波信号成分を逆拡散ベース
バンド変調信号から除去できるならば、上述の実質的な
雑音電力の増加を抑え伝送特性を改善することができ
る。しかし、長周期拡散符号は自己相関性が強いため、
同じ長周期拡散符号を使用する同一セル内の他ユーザー
及び希望波の信号に対し、1チップでも相対的遅延時間
が異なるマルチパス成分は長周期拡散符号によってラン
ダム化されるため、これらの信号成分は干渉キャンセル
で除去することができないという欠点がある。
【0009】短周期拡散符号と長周期拡散符号を使った
DS−CDMAの他の例として、例えば米国特許第4,96
9,159 に、異なるチップレートの短周期拡散符号と長周
期拡散符号を使用することが示されている。これは受信
機においてSAWフィルタを使って短周期符号による逆
拡散を行うことを前提としている。SAWフィルタの規
模は短周期符号の周期長と共に大きくなるため、SAW
フィルタの規模を小さくし、かつ消費電力を小さくする
目的のため、使用する短周期符号の周期長をデータビッ
ト周期の1/8 にしている。これと共に大きな拡散ゲイン
を実現するため、データビット周期より長い周期(15/8
倍)の長周期拡散符号を使用している。このシステムに
おいて、長周期符号の周期は短周期符号の周期の15倍
であり、長周期符号のチップ周期は短周期符号のチップ
周期の 127倍に選んでいる。このシステムでは長周期符
号の周期はデータビット周期の2倍程度と短く、しかも
長周期符号のチップ数も15と短周期拡散符号のチップ
数127 よりかなり少ないため、長周期符号によるランダ
ムかの効果は小さくなる。そのため、セル毎に異なる相
互相関の小さい長周期符号と短周期符号の組を多数決め
ることはできない。
【0010】この発明の第1の目的は、受信機において
マルチパス伝搬路の受信信号エネルギーを有効に利用す
ることができ、従ってビット誤り率を改善できる2重ス
ペクトル拡散送信機及び受信機を提供することにある。
この発明の第2の目的は、上記第1の目的を達成すると
共に、異なる伝送速度のベースバンド信号に対し送信波
のスペクトラム帯域幅が一定となる2重スペクトル拡散
送信機及び受信機を提供することである。
【0011】この発明の第3の目的は、上記第1の目的
を実現すると共に、他ユーザの干渉信号を除去できる2
重スペクトル拡散受信機を提供することである。この発
明の第4の目的は、上記第1の目的を実現すると共に、
フェージングに強い2重スペクトラム拡散受信機を提供
することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明の第1の観点に
よれば、ベースバンド変調信号に対し、短周期拡散符号
とこれよりもチップ周期の長い長周期拡散符号とで拡散
して拡散ベースバンド変調信号を生成し、その拡散ベー
スバンド変調信号により送信部でキャリア信号を変調し
て送信するように構成して第1の目的の2重スペクトラ
ム拡散送信機を実現する。
【0013】この発明の第2の観点によれば、第1の観
点の2重スペクトラム拡散送信機において、ベースバン
ド変調信号の伝送速度に応じて短周期拡散符号のチップ
周期を変更せずに、符号周期がシンボル周期と同じにな
るよう、ショートコード発生器において発生される短周
期拡散符号のチップ数を可変にするよう構成して第2の
目的を達成する。
【0014】この発明の第3の観点によれば、デマルチ
プレクサと、複数の変調器と、複数の拡散部が設けら
れ、入力ディジタル信号の伝送速度に応じてデマルチプ
レクサにより入力信号を1つ又は複数の予め決めた一定
伝送速度の信号系列に配列し、それぞれの信号系列に対
し対応する拡散部でそれぞれ異なる短周期拡散符号と共
通の長周期拡散符号の組で拡散して拡散ベースバンド変
調信号を生成し、それら拡散ベースバンド変調信号を加
算器で加算して送信部から送信するように構成し、第2
の目的の2重スペクトラム拡散送信機を実現する。
【0015】この発明の第4の観点によれば、受信部に
より受信波から拡散されたベースバンド受信信号を得
て、そのベースバンド受信信号に対し限定数のマルチパ
スに対応して設けたそれぞれの逆拡散部で短周期拡散符
号と、それよりチップ数が大の長周期拡散符号との組に
より第1のクロック信号とそれより周期がN倍の第2の
クロック信号にそれぞれ同期してそれぞれのマルチパス
に対応したタイミングで逆拡散を行ってそれぞれのマル
チパス成分に対応した逆拡散信号をそれぞれ分離して出
力し、それら逆拡散信号をダイバーシチ形検波部でダイ
バーシチ検波を行って復号ディジタル信号を得るように
構成し、第1の目的の受信機を実現する。
【0016】この発明の第5の観点によれば、第4の観
点の受信機において、ベースバンド変調信号の伝送速度
に応じて短周期拡散符号のチップ周期を変更せずに、符
号周期がシンボル周期と同じになるよう、ショートコー
ド発生器において発生される短周期拡散符号のチップ数
を可変にするよう構成して第2の目的を達成する。この
発明の第6の観点によれば、受信部からの拡散されたベ
ースバンド受信信号を複数のマルチパス分離部において
それぞれのマルチパス成分毎に異なる短周期拡散符号と
共通の長周期拡散符号の組で逆拡散してマルチパス成分
のベースバンド変調信号の組をそれぞれ得て、複数のダ
イバーシチ形検波部によりそれらの組のベースバンド変
調信号をダイバーシチ検波して復号ディジタル信号をそ
れぞれ得て、マルチプレクサにより伝送速度に対応して
ダイバーシチ形検波部の出力を順次選択して1系統の復
号ディジタル信号を得るように構成し、第2の目的の2
重スペクトラム拡散受信機を実現する。
【0017】この発明の第7の観点によれば、第4、第
5及び第6の観点による受信機においてダイバーシチ形
検波部は各マルチパス成分に対応して他ユーザの干渉信
号を除去する干渉キャンセラが設けられ、第3の目的の
受信機を実現する。この発明の第8の観点によれば、そ
れぞれがアンテナを有する複数の受信部と、それらの受
信部からの拡散されたベースバンド受信信号をそれぞれ
マルチパス成分毎に短周期拡散符号と長周期拡散符号の
組で逆拡散してそれぞれベースバンド変調信号を得て、
それらをダイバーシチ形検波部でダイバーシチ検波して
復号ディジタル信号を得るように構成し、第4の目的の
2重スペクトラム拡散受信機を実現する。
【0018】
【発明の実施の形態】図4に、この発明のスペクトラム
拡散送信機の実施例を示し、図1と対応する部分に同一
符号を付けてある。入力端子11からディジタル信号s
(m)が入力され、ベースバンド変調器12はこのディジ
タル信号s(m)を用いてベースバンド変調信号b(n)を生成
する。このベースバンド変調信号b(n)は、拡散部14を
構成する乗算器14A においてショートコード発生器13S
が出力する短周期拡散符号SCS と乗算されてスペクトラ
ム拡散される。その乗算結果はさらに、拡散部14を構
成するもう1つの乗算器14B においてロングコード発生
器13L が出力する長周期拡散符号SCL が乗算されてスペ
クトラム拡散される。ここで、ショートコード発生器13
S はクロック信号発生器17が出力するクロック周波数
1/TCのクロック信号CKを基に駆動しており、短周期拡散
符号のチップ周期はTC である。
【0019】図1で説明したと同様に、ベースバンド信
号b(n)の各シンボルは図5に示すように周期TS の短周
期拡散符号SCS とその全長に渡って乗算器14A において
乗算される。しかし、図1に示した従来技術と異なり、
ロングコード発生器13L は、クロック信号発生器17か
らの周波数1/TCのクロック信号CKを分周回路24でN分
周して得た分周クロック信号(クロック周波数 1/(N
TC)、Nは2以上の整数)CKL で駆動している。従っ
て、長周期拡散符号のチップ周期TCLはNTC であり、短
周期拡散符号のチップ周期TC よりも大きい。このよう
に長周期拡散符号、即ちロングコードSCL のチップ周期
を長くすると、ロングコードの自己相関性が弛み、即
ち、2つの同一ロングコードがショートコードの数チッ
プ(Nより小)分ずれていても比較的大きな相関が得ら
れる。特に、ロングコードのチップ周期NT C を伝搬路の
先行波に対するいくつかの代表的遅延波の遅延時間より
も長くすると、受信機における受信信号の逆拡散後、逆
拡散ベースバンド変調信号に含まれる遅延時間の異なる
マルチパス成分は、ロングコードによる逆拡散によって
充分ランダム化されなくなる。即ち、その遅延時間の異
なるマルチパス成分間には相関が生じるので、それらを
希望信号成分エネルギーとしてダイバーシチ検波により
有効に利用することができる。
【0020】実際に使用される移動通信システムにおい
ては、先行波の受信レベルに対し無視できない受信レベ
ルの遅延波の遅延時間(先行波を基準とする遅延波の遅
延時間範囲)は、高層ビルの多い市街地において最大3
マイクロ秒程度までを考慮すればよく、山間地において
最大50マイクロ秒まで考慮すれば充分である。従っ
て、システムとしての遅延時間差は3〜50マイクロ秒
までの範囲について考慮すればよく、ロングコードのチ
ップ周期TCL=NTC は3マイクロ秒以上、50マイクロ秒
以下の範囲で適当に選べば充分である。現実には、ロン
グコードのチップ周期TCLが10マイクロ秒以上だと受
信機のロングコードによる逆拡散のための同期引き込み
に要する時間が長すぎて好ましくないので、市街地にお
ける最大延長時間を考慮してロングコードのチップ周期
CLは3マイクロ秒程度に選ぶのが好ましい。Nの値は
ショートコードのチップ周期TC の選び方によって変化
する。例えば、ショートコードのチップ数を127 とし、
そのチップ周期TC を1マイクロ秒とし、ロングコード
のチップ周期TCL=NTC を3マイクロ秒とし、送信信号の
ベースバンドシンボル周期を127 マイクロ秒とするとN
=3である。
【0021】上述では分周期24を使ってショートコー
ドチップ周期TC より長いショートコード周期TCLを得
る場合を示したため、Nは2以上の整数であると説明し
たが、この発明の原理はロングコードチップ周期TCL
ショートコードチップ周期T C より長いことに基づいて
おり、従ってNは整数である必要はなく、N>1であれ
ばどのような値でもよい。Nが整数でない場合の分周器
24は例えば逓倍器と分周回路で構成することができ、
jを2以上の整数、kを3以上の整数でj<kとする
と、例えばクロック信号CKの周波数を逓倍器でj倍にし
てから1/k-分周回路で1/k の周波数に分周することによ
りN=k/j の場合の分周器24を構成できる。しかしなが
ら、Nを整数とする場合は逓倍器を必要としないので構
成が簡単になる利点がある。あるいはクロック信号発生
回路17のクロック周波数を上述の実施例の場合のj倍
に設定しておき、分周器24内に1/j-分周回路と1/k-分
周回路を設け、クロック信号発生回路17からのクロッ
ク信号を1/j-分周した出力をショートコード発生器13S
に対するクロック信号として与え、1/k-分周した出力を
ロングコード発生器13L に対するクロック信号として与
えてもよい。Nの値は大きくした方がよいが、Nの値は
大きくなればロングコードの1周期の時間が長くなり、
同期補足に要する時間も長くなるので、ロングコードと
して例えば15段のシフトレジスタと排他的論理和回路
によりPNコードを発生する場合、実用的なNの値の上
限はN=8程度である。
【0022】キャリア信号発生器18、乗算器19、増
幅器21、アンテナ22は送信部15を構成し、前述の
スペクトラム拡散されたベースバンド変調信号bsp(n)
は、キャリア信号発生器18が出力するキャリア信号C
Wで乗算器19によりRF周波数帯にアップコンバート
され、送信増幅器21で増幅された後アンテナ22から
送信変調波として送信される。
【0023】次に、この発明のスペクトラム拡散受信機
の実施例を、図3と対応する部分に同一符号を付けて図
6に示す。なお、伝搬路は先行波と遅延波からなる2波
モデルであると仮定してこの動作を説明する。まず、ア
ンテナ25に受信波が到来する。この受信波は低雑音増
幅器26で増幅された後、キャリア信号発生器27が発
生するキャリア信号CWが乗算されて低域通過フィルタ2
9に入力される。この操作はダウンコンバートに相当
し、低域通過フィルタ29からは拡散ベースバンド受信
信号bsp(n)が出力される。アンテナ25、増幅器26、
キャリア信号発生器27、乗算器28、低域通過フィル
タ29は受信部20を構成している。この拡散ベースバ
ンド受信信号bsp(n)はハイブリッド31により先行波パ
スに対応する逆拡散処理経路と遅延波パスに対応する逆
拡散処理経路に分岐され、それぞれ逆拡散部321 、322
に入力される。逆拡散部321 を構成する乗算器32A1は、
拡散ベースバンド受信信号bsp(n)にショートコード発生
器33S が出力する短周期拡散符号SCS を乗算して、逆拡
散部321 を構成するもう1つの乗算器32B1に乗算結果を
与える。乗算器32B1は、その乗算結果にさらにロングコ
ード発生器33Lが出力する長周期拡散符号SCL を乗算し
て逆拡散ベースバンド変調信号b1(n) を得て積分器351
に与える。積分器351 はショートコードのチップ数と同
じ数の最新の一連のロングコード乗算結果の累積加算値
を出力する。なお、ショートコード発生器33S とロング
コード発生器33L は図4の送信機におけるショートコー
ド発生器13S とロングコード発生器15と同じ構成であ
りそれぞれ同じ短周期拡散符号SCS 及び長周期拡散符号
SCL を発生する。また図4と同様、ロングコード発生器
33L は、クロック信号発生器39よりの周波数1/TCのク
ロックを分周回路37でN分周した分周クロック信号
(クロック周波数1/(NTC)、Nは2以上の整数)CKLで駆
動され、長周期拡散符号SCL のチップ周期はNTC であ
る。上述の乗算器32A1、32B1及び積分器351 の動作は逆
拡散に相当する。これらの拡散符号SCS、SCLは自己相関
性が強く、送受信での拡散符号のタイミングが僅かにず
れても抽出信号レベルは急激に低下する。
【0024】今、先行波中の短周期及び長周期拡散符号
SCS、SCLによる拡散タイミングと、ショートコード発生
器33S 及びロングコード発生器33L がそれぞれ出力する
短周期及び長周期拡散符号SCS、SCLのタイミングが一致
しているとすると、積分器35 1 から先行波のパス成分が
抽出され、逆拡散ベースバンド変調信号b1(n) として出
力される。同様に、逆拡散部322 を構成する乗算器32A2
は拡散ベースバンド受信信号bsp(n)に遅延回路36S が出
力する遅延した短周期拡散符号SCS を乗算して、その乗
算結果を、逆拡散部322 を構成するもう1つの乗算器32
B2に与える。乗算器32B2はその乗算結果にさらに、遅延
回路36L で遅延した長周期拡散符号SCLを乗算して逆拡
散ベースバンド変調信号b2(n) を得て、低域通過フィル
タとしての積分器352 を通して出力する。この操作は逆
拡散に相当する。遅延回路36S,36Lには先行波に対する
遅延波の遅延時間(同じ値)をそれぞれ設定しておく。
なお、遅延時間については、逆拡散ベースバンド変調信
号の電力ピークを探すことで推定する。遅延波中の短周
期及び長周期拡散符号による拡散タイミングと、遅延し
た短周期及び長周期拡散符号SCS、SCLのタイミングが一
致しているとすると、積分器352 から遅延波のパス成分
が抽出され、逆拡散ベースバンド変調信号b2(n) として
出力される。ここで、ハイブリッド31、逆拡散部3
21,322、積分器351 ,352 、遅延回路36S,36L、ショ
ートコード発生器33S 及びロングコード発生器33L はマ
ルチパス分離部30を構成している。
【0025】ショートコード(短周期拡散符号)SCS
チップ数も少ないため(例えば数10〜数100 程度)、
自己相関はロングコード(長周期拡散符号)SCL の自己
相関に比べてかなり弱い。そのため、位相の異なる同一
の2つのショートコード間の相互相関はある程度の大き
さを有しており、乗算器32A1における先行波に同期した
ショートコードSCS による逆拡散出力には、遅延波の逆
拡散ベースバンド信号成分がある程度含まれている。同
様に、乗算器32A2における遅延波に同期したショートコ
ードSCS による逆拡散出力には先行波の逆拡散ベースバ
ンド信号成分がある程度含まれている。更に、乗算器32
B1においてロングコードSCL を正しいタイミングで乗算
することによって先行波成分の逆拡散ベースバンド変調
信号得ることができるが、この発明ではロングコードの
チップ周期TCLを遅延波の遅延時間より長くしているた
め、ロングコードは遅延波とも相関を有することにな
り、乗算器32B1の出力には先行波の逆拡散ベースバンド
変調信号だけでなく、遅延波の逆拡散信号成分も含んで
いる。同様に、乗算器32B2の逆拡散出力には遅延波の逆
拡散ベースバンド変調信号と、先行波の逆拡散ベースバ
ンド変調信号成分を含んでいる。従って、積分器351
出力には先行波と遅延波のフェージング複素包絡線の相
関が1の場合について例えば図7の行Aに模式的に示す
ように、先行波の逆拡散ベースバンド変調信号S1と、そ
れより時間Δだけ遅れた遅延波の逆拡散ベースバンド変
調信号成分s2が含まれている。
【0026】図7Aではこれら2つの成分のパワーレベ
ルP1とp2を区別して示すため、それらの波形をレベル0
を基準に示してあるが、元々これら2つの信号は同じシ
ンボル区間内では同一ベースバンド変調信号b(n)の同一
シンボルに対応しており、積分器351 の出力には例えば
図7の行Cに示すようなこれら2つの成分を合成したレ
ベルP1+p2 を有する合成信号波形が得られる。この合成
信号波形の確定されたシンボル区間は(TS−Δ)であ
り、隣接シンボル間に幅Δの不確定区間がある。同様に
積分器352 の出力には図7Bに示すように遅延波の逆拡
散ベースバンド変調信号S2と、先行波の逆拡散ベースバ
ンド変調信号成分s1が含まれている。それらのパワーレ
ベルをそれぞれP2及びp1とすると、積分器352 の出力に
得られる合成波形は図7行Dに示すように(TS−Δ)の
シンボル区間においてパワーレベルがP2+p1 となる。こ
の様に先行波のパスに対応する逆拡散の経路と遅延波の
パスに対応する逆拡散の経路のいずれも逆拡散ベースバ
ンド変調信号に互いに他のパスの逆拡散ベースバンド変
調信号成分が加算されており、(TS−Δ)のシンボル区
間においてS/N がそれだけ改善される。従って、(TS
Δ)のシンボル区間内において信号判定を行えば判定誤
り率を小さくすることができる。実際には遅延時間差Δ
はシンボル周期TS に比べて非常に小さいので(そのよ
うに送信信号のシンボル周期TS を選んでおく)、積分
器351、352の出力である逆拡散ベースバンド合成信号中
の不確定区間Δを無視してダイバーシチ検波部40にお
いてダイバーシチ検波を行うことにより、先行波と遅延
波の両方の受信信号エネルギーを有効に利用したベース
バンド信号の復号が可能となる。
【0027】図4及び6のこの発明に対し、図1及び3
に示した従来のDS−CDMA方式では、図3の受信機
の積分器351、352の出力には図7行A,Bに示すレベル
P1の先行波逆拡散ベースバンド変調信号S1と、レベルP2
の遅延波逆拡散ベースバンド変調信号S2のみが得られ、
この発明におけるような相互相関に基づく互いに他のパ
ス成分s2,s1は得られない。むしろこれらの成分はロン
グコードによりランダム化され、雑音として逆拡散ベー
スバンド変調信号S1,S2にそれぞれ加算されることにな
る。従って、この発明によれば、図1及び3の従来の方
式に比べて逆拡散ベースバンド変調信号のS/N の改善効
果が大である。また前述の米国特許 No.4,969,159 の受
信機では、図7の行Cの合成信号のみを遅延検波してい
るが、ダイバーシチ検波は行っておらず、先行波に対す
る遅延波の有効利用はされていない。
【0028】図6に示す実施例の受信機において、積分
器351、352の出力をダイバーシチ検波部40においてそ
れぞれ検波して、その検波出力を線形合成するダイバー
シチ検波を行うことにより、ディジタル信号s(m)が復号
され、端子41に出力される。図6の実施例ではダイバ
ーシチ検波部40においてダイバーシチ検波を行う前
に、干渉キャンセラ421、422により、同一セル内の他の
ユーザにそれぞれ割り当てられている異なるショートコ
ードと自局で希望波に対して使用するショートコードSC
S との間の相関に起因する干渉波を除去する場合を示し
ている。
【0029】ダイバーシチ形検波部40はこの実施例で
は干渉キャンセラ421、422とダイバーシチ検波器43に
より構成されている。干渉キャンセラ421、422は、積分
器35 1 及び352 がそれぞれ出力する逆拡散ベースバンド
変調信号b1(n)、b2(n)を入力として、逆拡散ベースバン
ド変調信号に含まれる他ユーザの干渉波信号成分を除去
する。上述したように、各経路の拡散部321(322)から
の逆拡散ベースバンド変調信号に含まれる遅延時間の異
なるマルチパス成分もロングコードと相関が生じるの
で、希望波のマルチパス成分も検出される。干渉キャン
セラ421、422は、希望波の短周期拡散符号と他ユーザの
短周期拡散符号との間の相関に起因するそれぞれのパス
成分に含まれる干渉波成分を除去するために使用され
る。干渉キャンセラ421、422は簡単な構成として、入力
信号を線形合成するタイプが考えられるが、他の構成の
ものも適用できる。ダイバーシチ形検波器43は、干渉
キャンセラ421、422が出力する干渉除去されたベースバ
ンド変調信号を入力として信号判定を行い、判定信号を
端子41に出力する。以下に干渉キャンセラ421、422
びダイバーシチ形検波器43の具体的構成例を示す。
【0030】図8は干渉キャンセラ421(422は421 と同
じ構成なので図示しない)として、Lupas R. and S. Ve
rdu, "Linear multiuser detectors for synchronous C
ode-Division Multiple-Accsee channels", IEEE Tran
s.Inform Theory., vol.IT-35, No.1, pp123-136, Jan.
1989に示されている干渉キャンセラを利用して構成した
例を示す。図において、端子31 からの逆拡散ベースバ
ンド変調信号b1(n) は整合フィルタ42A2〜42A4に供給さ
れ、各他ユーザの短周期拡散符号SCS2、SCS3、SCS4との
相関がとられる。端子31 に与えられる信号b1(n) は既
に希望波に対する短周期拡散符号SCS により逆拡散され
たベースバンド変調信号となっているので、乗算器42B1
にはその逆拡散ベースバンド変調信号b1(n) をそのまま
与えると共に、乗算器42B2〜42B4にはそれぞれ整合フィ
ルタ42A2 ,42A3 ,42A4で他ユーザの短周期拡散符号SC
S2、SCS3、SCS4との相関をとって、それらの相関出力を
与える。ただし、この実施例では整合フィルタ42A2は逆
フィルタ4A12とそれに続く他ユーザの短周期拡散符号に
よる相関器4A22から構成される。前段の短周期拡散符号
の逆拡散と整合フィルタの2つの合成特性が図6におけ
る乗算器32A1での逆拡散を行わない場合のベースバンド
受信信号に対する他ユーザの短周期拡散符号SCS2の相関
を出力する整合フィルタと等価なフィルタを構成するよ
うに逆フィルタ4A12の特性が決められる。実際には逆フ
ィルタ4A12は端子31 から与えられる逆拡散ベースバン
ド変調信号b1(n) に対し、図6のショートコード発生器
33S からの短周期拡散符号SCS を乗算して拡散する拡散
器によって構成される。整合フィルタ42A3及び42A4も42
A2と同様に構成され、それぞれ他ユーザの短周期拡散符
号SCS3、SCS4と逆拡散ベースバンド変調信号b1(n) との
相関を出力する。
【0031】端子31 からの逆拡散ベースバンド変調信
号b1(n) は希望波以外に他ユーザによる干渉波信号成分
が含まれている。この干渉波信号成分は整合フィルタ42
A2〜42A4の出力信号の線形結合として表すことができる
ので、端子31 からの直接の信号と整合フィルタ42A2
42A4の出力とにそれぞれ乗算器42B1〜42B4で乗算する重
みつけ係数w1〜w4を調整して、加算器42D の出力である
合成信号に干渉信号が含まれないようにすることができ
る。これは数学的には、希望波の逆拡散信号として干渉
信号に直交化した成分を抽出することに相当する。この
様に動作する干渉キャンセラでは、重み係数制御部42C
が、ユーザの拡散符号及び受信タイミングの情報をもと
に拡散符号の相関行列の逆行列を計算し、その逆行列の
特定の要素を重みつけ係数w1〜w4として出力する。
【0032】図8の干渉キャンセラを動作させるには、
全ユーザの短周期拡散符号及び受信タイミングの情報が
必要となるという問題がある。この問題を解決した干渉
キャンセラの構成例を図9に示す。これは、K. Fukawa,
and H. Suzuki, "Orthogonalizing Matched Filter (O
MF) detection for DS-CDMA mobile radio systems,"IE
EE Globecom 1994, pp.385-389, Nov.1994 に示された
ものを利用して構成したものである。図9の干渉キャン
セラは図8と同様に整合フィルタ42A2〜42A4と、乗算器
42B1〜42B2と、加算器42D と、重み係数制御部42C から
構成されており、各整合フィルタ42A2〜42A4の構成も図
8の対応するものと同じ構成である。ただし、各整合フ
ィルタの相関器に与える短周期拡散符号SCS2、SCS3、SC
S4は他ユーザの拡散符号である必要はなく、希望波の短
周期拡散符号SCS と直交し、かつ互いに直交すればよ
い。乗算器42B1〜42B4は端子31 及び整合フィルタ42A2
〜42A4からの逆拡散ベースバンド変調信号にそれぞれ重
み係数w1〜w4をそれぞれ乗算し、その乗算結果を加算器
42D で加算して合成信号を生成し端子41 に出力する。
重み係数制御部42C は、整合フィルタ42A2〜42A4からの
相関出力と端子31 からの逆拡散ベースバンド変調信号
と、加算器42D からの合成信号とに基づいて、重み係数
の拘束条件のもとで加算器42D の合成信号の平均電力を
最小にするアルゴリズムにより重みつけ係数w1〜w4を求
めて出力する。
【0033】次に図6の受信機におけるダイバーシチ検
波器43の構成例を図10A,10B,10Cにそれぞ
れ示す。ただし2つの入力端子は図6の端子31 と32
に接続した場合を示しているが、端子41 と42 に接続
してもよい。図10Aは遅延検波を使ったダイバーシチ
検波器43の例であり、John G. Proaks,"Digital Comm
unications", 2nd edition, p.738 に示されている。こ
の例では端子31、32からそれぞれ入力する逆拡散ベー
スバンド変調信号b1(n)、 b2(n) と、それらの信号を遅
延段43A1,43A2でそれぞれ1シンボル時間TS 遅延さ
せ、複素共役演算部43B1,43B2において( )*で示す複素
共役演算を行って得た信号とを乗算器43C1,43C2でそれ
ぞれ乗算することにより遅延検波が行われる。遅延段43
A1、演算部43B1、乗算器43C1の組及び遅延段43A2、演算
部43B2、乗算器43C2の組はそれぞれ遅延検波回路を構成
している。この乗算結果を加算器43D で加算し、判定部
43E に入力して、硬判定による信号判定を行い、判定結
果s(m)を出力41に出力する。
【0034】図10Bは同期検波を使ったダイバーシチ
検波器43の例であり、鈴木博の「最小2乗合成ダイバ
ーシチ受信における信号伝送特性−希望波合成と干渉キ
ャンセルとの関係」、電子情報学会論文誌、B-II,Vol.J
75-B-II,No.8,pp.524-534,1992年8月、に示されてい
る。この例では、端子31 、32 から入力する逆拡散ベ
ースバンド変調信号b1(n) 、b2(n) が乗算器43F1,43F2
で制御部43G からの推定キャリア同期信号SY1、SY2と乗
算され、キャリア位相が同期した信号として出力され
る。この乗算出力信号を加算器43D で加算し、判定部43
E に入力する。判定部43E は、硬判定による信号判定を
行い、判定結果s(m)を端子41に出力する。減算器43
Hは判定部43Eの入出力の差分を推定誤差信号として
出力する。制御部43G は、減算器43H の出力推定誤差信
号と入力端子31、32から入力される逆拡散信号b1(n)
、b2(n) を入力として、推定誤差の絶対値の2乗が最
小になるように前述の推定キャリア同期信号SY1、SY2
推定し出力する。
【0035】図10Cは予測形同期検波を使ったダイバ
ーシチ検波器43の例であり、府川、鈴木の「移動通信
用干渉キャンセル形RAKE受信機」、信学技報RCS93-
51,1993年9月、に示されている。この例では、先行波
と遅延波に対応した逆拡散経路毎にブランチメトリック
生成部43M1,43M2を設け、これらはそれぞれ逆拡散ベー
スバンド変調信号b1(n) 、b2(n) 及び最尤系列推定部43
K が出力するシンボル系列候補を共通に入力として尤度
情報信号を出力する。加算器43D はこれらの尤度情報信
号を加算し、最尤系列推定部43K に入力する。最尤系列
推定部43K ではこの加算値をもとに対数尤度関数を計算
し、対数尤度関数が最大となるシンボル系列候補をビタ
ビアルゴリズムを用いて選択し、判定結果をディジタル
信号s(m)として端子41に出力する。
【0036】DS−CDMA方式においては送信シンボ
ル周期(シンボル長)TS と短周期拡散符号の周期(符
号長)が一致するように決められており、従って、図4
で示した送信器の実施例において、送信すべきディジタ
ル信号s(m)の伝送速度(ビットレート)を変更する場合
にはそれに対応してクロック信号発生器17で発生する
クロック信号CKの周波数を変更する必要がある。その
場合、発生される短周期拡散符号SCS 及び長周期拡散符
号SCL のチップレートも変化することになり、乗算器14
B の出力である拡散ベースバンド変調信号bsp(n)のスペ
クトラム帯域幅が変化し、それにともないアンテナ22
から送出される送信波の帯域幅も変化することになる。
しかしながら、実際に実施されるDS−CDMA通信シ
ステムにおいては、各短周期拡散符号で規定される使用
通信チャネルのスペクトラム帯域幅が変化するのは好ま
しくない。そこで図4の送信機において、入力ディジタ
ル信号の予め決めた複数の伝送速度のいずれに対しても
送信波のスペクトラム帯域幅をほぼ一定とする事ができ
るように改善した送信機の実施例と、それに対応する受
信機の実施例を図11と図13にそれぞれ示す。
【0037】図11の実施例はこの発明が適用された図
4の実施例の送信機において、入力ディジタル信号s(m)
のビットレートに応じてショートコード発生器13S 及び
ロングコード発生器13L で発生する短周期拡散符号及び
長周期拡散符号のチップ数Kを変更可能とし、選択信号
発生部23に設定した伝送速度に従ってショートコード
発生器13S を制御して、短周期拡散符号の周期と入力信
号を変調したベースバンド変調信号b(n)のシンボル周期
S が一致するような短周期拡散符号を発生させるよう
にしている。この場合のショートコード発生器13S の構
成例を図12に示す。
【0038】短周期拡散符号としてPN系列を用いる場
合、図12に示すように、ショートコード発生器13S
周知のようにクロック信号CKにより駆動されるシフト
レジスタ13S と、排他的論理和回路13X を有し、シフト
レジスタ13S の少なくとも2つのシフト段の出力を排他
的論理和回路13X に与え、その排他的論理和出力をシフ
トレジスタ13S の初段に帰還することにより、シフトレ
ジスタ13S の任意の入出力点から拡散符号を繰り返し発
生することができる。この実施例では排他的論理和回路
13X に与える1つの入力として、異なる3つの連続する
シフト段の出力を入力ディジタル信号s(m)の伝送速度に
応じてスイッチ13C により選択して排他的論理和回路13
X に与えるように構成している。例えばシフトレジスタ
13S のシフト段数Kは7段とし、排他的論理和回路13X2
による第2、4及び5シフト段の出力の排他的論理和
と、第6及び7シフト段の出力のいずれか1つをスイッ
チ13C で選択する。排他的論理和回路13X 、13X2とスイ
ッチ13C はシフトレジスタ13S の複数の組のシフト段出
力の排他的論理和を選択する選択的排他的論理和回路を
構成している。これら排他的論理和回路13X2の出力と第
6及び7シフト段の出力とをスイッチ13C でそれぞれ選
択した場合の拡散信号発生器13が繰り返し発生する符
号はチップ数がそれぞれ25-1=31,26-1=63,27-1=127の
符号である。従って、使用するクロック信号CKの周波
数1/TCを一定とした場合、入力信号の送信レートもそれ
らのシンボル周期がそれらの長さの符号の繰り返し周期
とそれぞれ一致するものを予め決めておくことができ
る。これらの符号長は順次ほぼ2倍の関係にあるので、
入力信号のシンボル長もほぼ順次2倍となる関係に選ぶ
ことができる。
【0039】例えば、クロック信号CKの周波数を1.0M
Hzとし、従って発生する短周期拡散符号のチップ周期T
C を1マイクロ秒とすると、排他的論理和回路13X2、第
6、第7シフト段をスイッチ13C でそれぞれ選択した場
合に、ショートコード発生器13S が出力するチップ数が
それぞれ31、63、127 の符号の周期TS はそれぞれ31μ
sec、63μsec、127μsecである。ベースバンド変調器1
2の変調方式が例えばBPSKの場合は入力ビットレートと
変調シンボルレートは同じなので、これらの短周期符号
に対応して入力ディジタル信号の伝送速度は32.26Kbits
/sec,15.87Kbits/sec,7.87Kbits/sec となる。これら
の値は互いに整数倍の関係にないのでこの様な伝送速度
の値は実用通信システムの使用にはあまり適していな
い。そこで実用的な伝送速度として例えば32Kbits/se
c,64Kbits/sec,128Kbits/secを選択可能にするには例
えば、図12に示すようにカウンタ13A とデコーダ13D
とAND回路13B とを設け、クロック信号CKはAND
回路13B を通してシフトレジスタ13S の駆動端子に与え
ると共にカウンタ13A に与える。
【0040】伝送速度に応じて選択信号発生器23によ
りデコーダに25 、26 、27 のいずれかを選択して設
定し、カウンタ13A でクロックを計数してその計数値が
デコーダ13D に設定した値と一致すると、デコーダ13D
は一致信号"1" を出力してAND回路13B に与え、クロ
ック信号の通過を禁止すると共にカウンタ13A がリセッ
トされる。これによってデコーダ13D の出力は"0" とな
りAND回路13B に対する禁止は解除され再びクロック
信号CKが通過可能となる。この動作によりシフトレジ
スタ13S の駆動は第25 番目、又は第26 番目、又は第
7 番目のクロック毎にクロック信号CKの供給が1クロ
ック期間禁止されるので、その時点でのショートコード
発生器13S の出力チップの値は直前の状態を保持する。
従って図13の構成のショートコード発生器ではスイッ
チ13C の選択により、チップ数が25 、26 又は27
短周期符号を発生することと等価になる。これらのチッ
プ数は互いに整数倍の関係にあるので、入力ディジタル
信号s(m)の伝送速度も例えば128Kbits/sec,64Kbits/se
c,32Kbits/secのように整数倍の関係に選ぶことができ
る。この場合の例では、クロック信号CWの周波数1/TC
は4.096MHzとすればよい。このように伝送速度を変更し
てもクロック周波数は一定に保つことができるので、短
周期拡散符号のチップ周期TC も一定となり、送信波の
スペクトラム帯域幅も一定となる。
【0041】ロングコード発生器13L も図12で示した
ショートコード発生器13S と同様に構成できる。ただし
シフトレジスタの全段数Kはショートコード発生器13S
のシフト段数Kより大きく、例えばK=15とする。あ
るいは、ロングコード発生器13Lは伝送速度によら
ず、図4の場合と同様に同じ一定チップ数の長周期拡散
符号を発生するようにしてもよい。
【0042】図13は図11の送信機に対応する受信機
の実施例を示す。図6の実施例と異なる点は、ショート
コード発生器33S 及びロングコード発生器33L を図12
で説明したと同様に構成し、選択信号発生部38によ
り、受信する信号のシンボルレートに応じてショートコ
ード発生器33S 及びロングコード発生器33L で発生する
拡散符号のチップ周期長を変更せずに、チップ数を変更
するようにしていることである。その他の構成及び動作
は図6の受信機と同様なので説明を省略する。
【0043】図11、13では送信信号のビットレート
(又はシンボルレート)に応じて短周期拡散符号及び長
周期拡散符号の長さ(チップ数)を変更することにより
送信信号のスペクトラム帯域幅を一定に保つ場合を示し
たが、送信するディジタル信号s(m)をそのビットレート
に応じてそれぞれが一定のビットレートの複数の信号系
列に分配し、それぞれ同じチップレートで同じチップ数
の、互いに異なる短周期拡散符号で拡散してから合成す
ることによりスペクトラム帯域幅を一定に保つ構成の送
信機とそれに対応する受信機の実施例を図14、15に
示す。
【0044】図14において、図4と対応する部分に同
じ参照番号を付けてある。この実施例の送信機では、一
定ビットレートの入力ディジタル信号に対するベースバ
ンド変調器と、短周期拡散符号を発生するショートコー
ド発生器と、ベースバンド変調信号に短周期拡散符号を
乗算する乗算器との組を複数設け、入力ディジタル信号
s(m)をそのビットレートに応じてデマルチプレクサ16
により各組に対し予め決めた一定のビットレートとなる
ように入力ディジタル信号を分配するように構成する。
図14の例では、入力ディジタル信号s(m)をビット毎に
所望の系列数に順次分配するデマルチプレクサ16と、
4つのベースバンド変調器121〜124と、それぞれ異なる
同じチップ周期で同じチップ数の短周期拡散符号SCS1,S
CS2,SCS3,SCS4を発生するショートコード発生器13S1〜1
3S4と、これら短周期拡散符号とベースバンド変調器121
〜124の変調出力とを乗算する乗算器14A1〜14A4と、こ
れら乗算器14A1〜14A4の出力を加算する加算器20と、
を含み、ショートコード発生器13S1〜13S4はクロック信
号発生器17からのクロック信号CKに同期してそれぞ
れチップ周期が同じでチップ数が同じ、異なる短周期拡
散符号を発生する。その他、図4と同様にクロック信号
発生器17と、1/N 分周回路24と、ロングコード発生
器13L と、加算器20の出力とロングコードを乗算する
乗算器14B と、キャリア信号発生器18と、ロングコー
ドで拡散されたベースバンド変調信号bsp(n)でキャリア
信号CWを変調する乗算器19と、送信増幅器21と、ア
ンテナ22を有している。
【0045】デマルチプレクサ16に与える入力ディジ
タル信号s(m)のビットレートは例えば8Kbits/sec、16Kb
its/sec、32Kbits/secのいずれかとする。デマルチプレ
クサ16は、入力ディジタル信号s(m)が8Kbits/secの場
合は、その入力ディジタル信号s(m)のビット列をそのま
まベースバンド変調器121〜124の予め決めた1つ(例え
ば121 )に供給して変調し、得られたベースバンド変調
信号を乗算器14A1で短周期拡散符号SCS1により拡散し、
その拡散ベースバンド変調信号を加算器20を経由して
乗算器14B に与える。入力ディジタル信号s(m)が16Kbit
s/sec の場合は、デマルチプレクサ16は、入力ディジ
タル信号s(m)のビットを、ベースバンド変調器121〜124
の予め決めた2つ(例えば121、122)に交互に分配し、
得られた2系列のベースバンド変調信号をそれぞれ乗算
器14A1、14A2で短周期拡散符号SC S1,SCS2により拡散
し、それら拡散ベースバンド変調信号を加算器20で加
算して、加算結果を乗算器14B に与える。入力ディジタ
ル信号s(m)が32Kbits/sec の場合は、デマルチプレクサ
16は入力ディジタル信号s(m)をビット毎にベースバン
ド変調器121〜124に順次循環して分配し、得られた4系
列のベースバンド変調信号を乗算器14A1〜14A4でそれぞ
れ短周期拡散符号SCS1〜SCS4により拡散し、それら拡散
ベースバンド変調信号を加算器20で加算し、加算結果
を乗算器14B に与える。
【0046】以下図4の送信機と同様に乗算器14B は入
力拡散ベースバンド変調信号をロングコードSCL により
更に拡散し、その拡散出力bsp(n)で搬送波CWを変調
し、アンテナ22から送出する。この実施例において
も、ロングコード発生器13L を駆動するクロック信号は
ショートコード発生器13S1〜13S4に与えるクロック信号
CK(周期TC )を分周回路17で1/N に分周してロング
コードのチップ周期NTC が伝搬路の先行波に対する電力
が無視できない遅延波の遅延時間より大となるようにし
ている。
【0047】図15は図14の送信機に対応した受信機
の実施例を示す。この実施例では異なる4つの短周期拡
散符号に対応して4つのマルチパス分離部301〜304が設
けられる。各マルチパス分離部は301 で代表して示すよ
うに、図6で示したと同様に先行波に対応して短周期拡
散符号によりベースバンド受信信号を逆拡散するための
乗算器32A1と、長周期拡散符号により逆拡散するための
乗算器32B1と、積分器351 とを一方の逆拡散経路に有
し、遅延波に対応して短周期拡散符号により拡散ベース
バンド受信信号を逆拡散するための乗算器32A2と、長周
期拡散符号により逆拡散するための乗算器32B2と、積分
器352 とを他方の逆拡散経路に有し、更に短周期拡散符
号を発生するショートコード発生器33S と、短周期拡散
符号と長周期拡散符号をそれぞれ先行波に対して遅延時
間だけ遅延させる遅延回路36S,36Lとを含む。しかしな
がら、長周期拡散符号は4つのマルチパス分離部301〜3
04では同一の長周期拡散符号SCL を使用するため、ここ
ではこれら4つのマルチパス分離部に対し同じ長周期拡
散符号SCL を与える共通のロングコード発生器33L が1
つ設けられている。
【0048】マルチパス分離部301〜304のショートコー
ド発生器は図14の送信機における対応するショートコ
ード発生器13S1〜13S4がそれぞれ発生する短周期拡散符
号と同じものを発生する。また各マルチパス分離部301
〜304からの先行波と遅延波に対応する逆拡散ベースバ
ンド変調信号の組みはダイバーシチ形検波部401〜404
対応する1つに与えられてダイバーシチ検波され、その
検波出力はマルチプレクサ44に与えられる。選択信号
発生部45は受信信号のデータ速度に対応してマルチプ
レクサ44に対し例えばデータ速度が8Kbits/secの時は
検波部401 の出力をそのまま、16Kbits/sec の時は検波
部401 と402 の出力をビット毎に交互に選択して1系列
に合成し、32Kbits/sec の時は全ての検波部401〜404
出力をビット毎に順次循環して選択して1系列に合成
し、端子41に出力するように選択信号を与える。
【0049】図14の送信機及び図15の受信機によれ
ば、送信信号のデータ速度を変更しても送信電波のスペ
クトラム帯域幅をほぼ一定に保つことができる。図6、
13、15の受信機の実施例では、マルチパスの伝搬遅
延時間差を利用したダイバーシチ検波を使った場合を示
したが、このマルチパスダイバーシチを更にアンテナダ
イバーシチ(空間ダイバーシチ)と組み合わせることに
より更にフェージングに強い受信を可能とする受信機の
実施例を図16に示す。この例では2つのアンテナ2
51、252が間隔をおいて、又は異なる向きに設けられ、
それぞれ受信信号を増幅器261、262で増幅してから乗算
器281、282でキャリア信号発生器271、272からのキャリ
ア信号CWと乗算してその乗算出力から差の周波数成分を
低域通過フィルタ291、292で抽出し、拡散ベースバンド
受信信号としてそれぞれマルチパス分離部301、302に与
える。各マルチパス分離部301、302の構成は例えば図
6、13又は15の受信機におけるマルチパス分離部3
0と同様に構成することができる。ただし、図6と13
のいずれかの受信機のマルチパス分離部を適用する場合
は、2つのマルチパス分離部301、302のロングコード発
生器33L は同じ長周期拡散符号SCL を発生するので、図
15の場合と同様に共通に使用するロングコード発生器
33L を図16に示すように1つ設ける構成としてもよ
い。
【0050】マルチパス分離部301、302からのそれぞれ
からの先行波と遅延波に対応した逆拡散ベースバンド信
号の対はダイバーシチ検波部40に与えられ、ダイバー
シチ検波が行われる。ダイバーシチ検波部40は、図1
0A,10B又は10Cにおいて示す2つの端子31
2から加算器43D にいたる経路の構成と同じ構成を更
に2つの経路について追加して4つの経路の構成とすれ
ばよい。各経路の入力に図8又は9の干渉キャンセラを
図6のように設けてもよい。ダイバーシチ検波による信
号判定結果は端子41に出力される。上述した図6、1
3、15の受信機の実施例において、各マルチパス分離
部30は図17に示すようにショートコード発生器33S
からの短周期拡散符号とロングコード発生器33L からの
長周期拡散符号を排他的論理和回路34X で合成して、合
成拡散符号を生成し、一方でその合成拡散符号を1つの
乗算器で構成された逆拡散部321 に与えて先行波の拡散
ベースバンド受信信号に乗算し、その乗算結果を積分器
351 で平滑化して逆拡散信号を得て、他方で合成拡散符
号を遅延回路36で所定の遅延時間だけ遅延してから1
つの乗算器で構成された逆拡散部322 に与えて遅延波の
拡散ベースバンド受信信号に乗算し、その乗算結果を積
分器352で平滑化して逆拡散信号を得るように構成して
もよいことは明かである。ただし図15に適用する場合
は、ロングコード発生器33L は他のマルチパス分離部と
共用するように構成する。この図17の構成によれば、
図6、13、15における遅延回路は1つ省略でき、2
つの乗算器32B1、32B2の代わりに1つの排他的論理和回
路34X を設ければよいので構成が簡単になる。しかし、
動作原理は図6、13、15中のものと全く同じであ
る。また図4及び11の各送信機において、拡散部14
は図17中に示したと同様に1つの乗算器と排他的論理
和回路で構成し、ショートコード発生器13S とロングコ
ード発生器13L からの短周期拡散符号と長周期拡散符号
の排他的論理和をベースバンド変調信号b(n)と乗算する
ように構成してもよいことは明らかである。
【0051】図6、13、15で示した受信機における
各マルチパス分離部30の他の構成例として、ショート
コードによる逆拡散処理を相関器を使って行う場合の例
を図18に示す。図18に示すように遅延回路36はハ
イブリッド31の出力と先行波に対する逆拡散部321
入力との間に挿入される。先行波に対応する逆拡散部32
1 はロングコード発生器33L からのロングコードをハイ
ブリッド31から遅延回路36を経て与えられる拡散ベ
ースバンド受信信号bsp(n)に乗算する乗算器32B1と、そ
の乗算結果とショートコードSCS との相関を求め、逆拡
散ベースバンド変調信号b1(n) として端子31 に出力す
る。相関器32C1により構成されて図18の変形実施例に
おいては、ショートコードSCS の一連のチップを順次繰
り返して発生させる代わりにショートコード設定部33SS
に保持されたチップ数MのショートコードSCS を並列に
各相関器32C1、32C2にタップ係数w1 *〜wM *として与え、
ショートコードSCS と乗算器32B1、32B2からのロングコ
ード乗算結果との相関をとることにより逆拡散を行って
いる。 *は複素共役を表す。
【0052】相関器32C1は例えば図19に示すようにト
ランスバーサルフィルタにより構成される。即ち、乗算
器32B1からの乗算結果が端子B1 から入力される縦続接
続されたM-1 段の遅延素子C11〜C1M-1と、それぞれの遅
延素子C11〜C1M-1の入力及び最終段遅延素子C1M-1 の出
力とタップ係数w1 *〜wM *とをそれぞれ乗算する乗算器C2
1〜C2Mからの乗算結果を加算し、加算結果を相関値とし
て端子C1 に出力する加算器C3とから構成される。加
算器C3の機能は図6、13、15、17における積分
器351 の機能と等価である。各遅延素子C11〜C1M-1の遅
延時間はクロック信号CKの周期TC (図4の送信機に
おけるショートコードのチップ周期)と同じ長さの遅延
時間を有し、相関器32C1全体はクロック信号CKに同期
して動作する。相関器32C2も32C1と同様な構成である。
遅延回路36に設定する遅延時間を先行波に対する遅延
波の遅延時間に精度よく合わせることにより、相関器32
C1から得られる先行波に対する相関出力のピークと、相
関器32C2から得られる遅延波に対する相関出力のピーク
のタイミングが一致し、そのタイミングの相関出力をそ
れぞれ逆拡散するベースバンド変調信号b1(n)、b2(n)と
して端子31、32に出力するように構成されている。
【0053】図18の構成のマルチパス分離部30を図
6、13、15の受信機に適用した場合、他ユーザの干
渉信号を除去する干渉キャンセラ421、422を図6で示し
たようにダイバーシチ検波部40内に設ける代わりに、
相関器32C1、32C2及びショートコード設定部33SSと置き
換えるべき構成として図20に示す。この例では相関器
32C1、32C2の出力信号をそれぞれ硬判定する硬判定器34
A1、34A2と、それらの判定結果と相関器32C1、32C2の出
力との差分を誤差信号e1、e2として出力する減算器34
B1、34B2と、これらの誤差信号e1、e2と端子B1、B2に与
えられるロングコード乗算結果とに基づいて相関器32
C1、32C2にタップ係数ベクトルW1、W2として与えるシ
ョートコードを決定するショートコード設定部33C とか
ら構成される。各相関器32C1、32C2の構成は図19に示
したものと同様であり、周期TC のクロック信号CKに
より駆動され、与えられたタップ係数ベクトルW1、W2
を構成する要素{w11 *,w12 *,…,w1M *}、{w21 *,w22 *,…,w
2M *}がショートコード設定部33 C からそれぞれタップ係
数として与えられ、端子B1、B2から入力されたロングコ
ード乗算結果との間の相関がショートコードSCS1、SCS2
による逆拡散結果として端子C1、C2にそれぞれ出力され
る。
【0054】ショートコード設定部33C にはクロック信
号CKに同期して相関器32C1に端子B1から入力された最
新のM個のロングコード乗算結果x11,x12,…,x1Mと同じ
ものを常に保持しており、タップ係数ベクトルW1 の初
期値としてM個のチップから成るショートコードSCS
{s1,s2,…,sM}を相関器32C1内のそれぞれの乗算器C21,C
22,…,C2M(図19参照)に与え、最小2乗法の一種で
あるLMSアルゴリズムに従って減算器34B1からの誤差
信号e1の2乗平均が最小となるように逐次的にタップ係
数ベクトルW1={w11 *,w12 *,…,w1M *}を修正する。ショ
ートコード設定部33C は同様に端子B2から入力された最
新のM個のロングコード乗算結果x21,x22,…,x2Mと同じ
ものが与えられており、タップ係数ベクトルW2 の初期
値としてショートコードSCS={s1,s2,…,sM} を相関器32
C2に与え、LMSアルゴリズムに従って減算器34B2から
の誤差信号e2の2乗平均が最小となるように逐次的にタ
ップ係数ベクトルW2={w21 *,w22 *,…,w2M *} を修正す
る。このように、誤差信号e1、e2のそれぞれの2乗平均
が最小となるようにタップ係数ベクトルW1、W2が制御
されたときの相関器32C1、32C2の出力b1(n)、b2(n)は、
干渉信号が除去された逆拡散ベースバンド変調信号とな
っている。
【0055】図21は相関器32C1、32C2において干渉除
去を行う他の実施例であり、図18における相関器32
C1、32C2とショートコード設定部33SSの代わりに置き換
える構成を示す。この例では、ショートコード設定部33
C はショートコードのチップ数とそれぞれ同じ数の最新
のM個の乗算結果{x11,x12,…,x1M}、{x21,x22,…,x2M}
と相関器32C1、32C2の出力と、ショートコードSCS に基
づいて相関器32C1、32C2に設定するタップ係数ベクトル
1、W2を決定する。即ち、ショートコード設定部33C
は図20と同様に最新のM個のロングコード乗算結果{x
11,x12,…,x1M}が与えられており、タップ係数ベクトル
1={w11 *,w12 *,…,w1M *}と、ステアリングベクトルS
としてのショートコードSCS={s1,s2,…,sM}との内積W
T 1Sが一定となる拘束条件下で相関器32C1の出力信号の
平均電力が最小となるようにタップ係数{w11 *,w12 *,…,
w1M *} を制御する。相関器32C2に対するタップ係数ベク
トルW2={w21 *,w22 *,…,w2M *}も内積W2 TSが一定とな
る拘束条件下で相関器32C2の出力信号の平均電力が最小
となるようにタップ係数を決定する。 Tはベクトルの転
置を表す。図21の構成によっても、決定されたタップ
係数ベクトルW1、W2により相関器32C1、32C2は干渉信
号を除去すると共に先行波及び遅延波に対応するロング
コード乗算結果とショートコードSCS との相関をそれぞ
れ逆拡散ベースバンド変調信号b1(n)、b2(n)として出力
する。
【0056】図20及び21の変形例はいずれも相関器
32C1、32C2において干渉信号を除去する場合を示した
が、図8又は9と同様の原理を使って複数の相関器を逆
拡散部に設け、それらの相関出力の線形合成信号におい
て干渉信号がキャンセルされるようにしてもよく、その
場合の構成例を図22に示す。ただし図22に示す構成
は図18における1つの逆拡散部321 の端子B1-C1 間の
構成のみを示し、端子B2-C2 間にも図22と同様な構成
が設けられるものとする。また、図8の原理を適用する
場合は図22における相関器32C11〜32C14及び加算器32
S のそれぞれの出力から重み係数制御部33W に至る接続
線は不要である。
【0057】図22の例では、同じ長さで互いに異なる
ショートコードSCS1〜SCS4がショートコード設定部33SS
から相関器32C11、32C14に設定される。それらのショー
トコードのうち1つは希望波に対するショートコードSC
S1であり、例えば相関器32C1 1 に設定され、その他の相
関器32C12、32C13、32C14 には例えば図8の原理を使う
場合は他ユーザのショートコードSCS2、SCS3、SCS4を設
定し、ロングコード乗算結果とそれぞれのショートコー
ドSCS1、SCS4との相関が求められる。それらの相関出力
は乗算器32M1〜32M4によりそれぞれ重み係数制御部33W
からの重み係数w1〜w4と乗算され、乗算結果は加算器32
S により加算され、その加算結果は端子C1に逆拡散信号
b1(n) として出力される。乗算器32M1〜32M4と加算器32
S は重み付け合成器を構成している。重み係数制御部33
W は図8で説明したと同様に、加算器32S による線形合
成信号に希望信号以外の干渉信号が含まれないように重
み係数w1〜w4を演算により決定する。図22において、
相関器32C12、32C13、32C1 4 に設定するショートコード
SCS2、SCS3、SCS4は、図9の場合と同様に、他ユーザの
ショートコードでなくてもよく、希望信号に対するショ
ートコードSCS1と直交し、かつ互いに直交するものであ
ればよい。その場合の重み係数w1〜w4は図9で説明した
と同様にして演算により決めることができる。
【0058】上述した図6、13及び15の受信機にお
いて、各マルチパス分離部30(30 1、302)の2つの遅
延回路36S、36Lをショートコード発生器33S 、ロングコ
ード発生器33L と乗算器32A2、32B2との間に挿入する代
わりに、図18で示したように1つの遅延回路36をハ
イブリッド31と、先行波に対応する逆拡散部321 との
間に挿入してもよい。図17においても同様に遅延回路
36をハイブリッド31Hと逆拡散部321 との間に移し
てもよい。また、上述した図6、13、15、16の各
受信機の実施例において、各マルチパス分離部30、30
1、302は受信波が2波モデルの場合を例に説明したが、
3波モデル、4波モデル等については考慮すべき遅延波
の数に対応して逆拡散の分岐経路を追加し、それぞれの
遅延波に対応した遅延時間の遅延回路により遅延された
短周期拡散符号及び長周期拡散符号により逆拡散を行う
構成とし、またそれによって更に追加されたマルチパス
成分についてもダイバーシチ検波できるようにダイバー
シチ検波器43(図10A、10B又は10C)内のパ
ス対応の構成を追加すればよい。
【0059】
【発明の効果】上述のように、この発明の受信機では、
ダイバーシチ形検波においてマルチパス成分のエネルギ
ーを最大限利用してS/N の改善した検波が可能となる。
その結果、ビット誤り率を改善することができる。必要
に応じて干渉キャンセラを使用することにより、同一セ
ル内の他ユーザーの信号成分も除去することができ、伝
送特性が更に改善できる。また、伝送速度を変更しても
送信波のスペクトラム帯域幅が一定となるように構成す
ることも可能である。
【0060】この発明の効果を計算機シミュレーション
で確認した結果を図23に示す。拡散率は16、ユーザ
ー数は8であり、各ユーザーの受信タイミングは同期し
ているものとした。変調方式は10Kb/sのBPSK変調方
式であり、拡散符号は相互相関が0.25以下のコードを用
いた。なお、伝搬路モデルは2パス・レイリーフェジン
グ・モデルであり、遅延時間差をTC とした。また、平
均En/No は20dB、最大ドップラ周波数は80Hzと
した。同図においてN=1は従来技術であり、Nを1よ
り大とするこの発明により平均誤り率が改善される。N
は2,3,4程度が好ましく、Nを更に増加させると改
善率は飽和していくことがわかる。
【0061】以上説明したようにこの発明では、マルチ
パス伝搬路において優れた伝送特性を有するスペクトル
拡散送、受信機を提供できる。また、干渉波成分を効果
的にキャンセルできるので、通信システムの加入者容量
を大幅に増やすことができる。同一キャリア周波数を多
数のユーザーが共用する無線システムに利用すると効果
的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のDS−CDMA用送信機を示す構成図。
【図2】ベースバンド変調信号のシンボル長と短周期拡
散符号及び長周期拡散符号のタイミング関係を示すタイ
ムチャート。
【図3】従来のDS−CDMA用受信機を示す構成図。
【図4】この発明によるDS−CDMA用送信機の実施
例を示す構成図。
【図5】この発明における変調信号のシンボル長と、短
周期拡散符号及び長周期拡散符号のタイミング関係を示
すタイムチャート。
【図6】この発明によるDS−CDMA用受信機の実施
例を示す構成図。
【図7】この発明の受信機で検出される信号の各パス成
分を模式的に示すパワー波形図。
【図8】この発明の受信機で使用される干渉キャンセラ
の一例を示す構成図。
【図9】この発明の受信機で使用される干渉キャンセラ
の他の例を示す構成図。
【図10】Aはこの発明の受信機で使用されるダイバー
シチ検波器の一例を示す構成図、Bはこの発明の受信機
で使用されるダイバーシチ検波器の他の例を示す構成
図、Cはこの発明の受信機で使用されるダイバーシチ検
波器の更に他の例を示す構成図。
【図11】この発明の送信機において異なる伝送速度に
対応できる構成とした実施例を示す構成図。
【図12】図11におけるショートコード発生器の構成
図。
【図13】図11の送信機に対応した受信機の実施例を
示す構成図。
【図14】この発明の送信機において異なる伝送速度に
対応できる構成とした他の実施例を示す構成図。
【図15】図14の送信機に対応した受信機の実施例を
示す構成図。
【図16】空間ダイバーシチを適用したこの発明の受信
機の実施例を示す構成図。
【図17】受信機の各実施例におけるマルチパス分離部
の他の構成例を示す図。
【図18】受信機の各実施例において短周期拡散符号に
よる逆拡散を相関器で行う場合のマルチパス分離部の構
成を示す図。
【図19】図18における各相関器の構成例を示す図。
【図20】図18において干渉除去を逆拡散部で行う構
成例を示す図。
【図21】図18において干渉除去を逆拡散部で行う他
の構成例を示す図。
【図22】図18において干渉除去を逆拡散部で行う更
に他の構成例を示す図。
【図23】従来技術とこの発明との平均誤り率を示すグ
ラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H04B 1/707

Claims (30)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予め決めたビットレートの入力ディジタ
    ル信号を変調した一定のシンボル周期を持つベースバン
    ド変調信号を生成するベースバンド変調器と、 予め定めた第1のクロック周期の第1クロック信号と、
    上記第1クロック周期のN倍のクロック周期を有する第
    2クロック信号を発生するクロック信号発生手段と、上
    記Nは1より大で8以下の値であり、 上記第1クロック周期と同じチップ周期を有し、第1の
    繰り返し周期を有するショートコードをチップ毎に上記
    第1クロック信号と同期して繰り返し発生するショート
    コード発生器と、上記ショートコードの繰り返し周期は
    上記シンボル周期と等しくされており、 上記ショートコードのチップ周期より長く、かつ伝搬路
    の予め決めた遅延時間より長いチップ周期を有し、上記
    第1の繰り返し周期より大の第2の繰り返し周期を有す
    るロングコードをチップ毎に上記第2クロック信号と同
    期して繰り返し発生するロングコード発生器と、 上記ショートコードと上記ロングコードの組により上記
    ベースバンド変調信号を拡散して拡散ベースバンド変調
    信号を生成する拡散部と、 上記拡散ベースバンド変調信号によりキャリア信号を変
    調して送出する送信部、とを含む2重スペクトラム拡散
    送信機。
  2. 【請求項2】 請求項1の送信機において、上記ショー
    トコード発生器は、入力ディジタル信号のデータ速度に
    応じて予め定めた異なる繰り返し周期を有する複数のシ
    ョートコードの中から所望の1つを選択してチップ毎に
    上記第1クロック信号に同期して繰り返し発生する選択
    的コード発生手段を含み、上記送信機は上記ショートコ
    ード発生器に対し、上記ショートコードの繰り返し周期
    と上記ベースバンド変調信号の上記シンボル周期が一致
    するように上記入力ディジタル信号のデータ速度に対応
    する繰り返し周期のショートコードを選択発生させる選
    択信号を上記ショートコード発生器に与える選択信号発
    生器を含む。
  3. 【請求項3】 請求項2の送信機において、上記ショー
    トコード発生器の上記選択的コード発生手段は、上記第
    1クロック信号により駆動されるシフトレジスタと、上
    記シフトレジスタのシフト段出力に関して、その組み合
    わせが異なる複数の排他的論理和を選択的に生成する選
    択的排他的論理和回路と、上記選択信号発生器からの選
    択信号に従って上記異なる複数の排他的論理和の1つを
    選択し、上記シフトレジスタの入力とするスイッチとを
    含み、上記ショートコード発生器は上記シフトレジスタ
    の予め定めた1つのシフト段の入力信号を上記ショート
    コードとして出力する。
  4. 【請求項4】 入力ディジタル信号を指定された数の信
    号系列にビット毎に分配するデマルチプレクサと、 各上記信号系列のビットレートが常に予め定めた一定の
    値となるように上記入力ディジタル信号の伝送速度に応
    じて上記信号系列の数を決定し、上記デマルチプレクサ
    からそれぞれ出力された一定ビットレートの信号系列を
    変調して一定シンボル周期のベースバンド変調信号を生
    成する予め定めた複数のベースバンド変調器と、 予め定めた第1のクロック周期の第1クロック信号と、
    上記第1クロック周期のN倍の第2クロック周期の第2
    クロック信号を発生するクロック信号発生手段と、Nは
    1より大で8以下の値であり、 互いに等しい繰り返し周期を有し、互いに異なるショー
    トコードをそれぞれチップ毎に上記第1クロック信号に
    同期して発生する複数のショートコード発生器と、 上記複数のベースバンド変調器からのそれぞれのベース
    バンド変調信号を上記複数のショートコード発生器から
    のそれぞれの上記ショートコードで拡散する複数の第1
    乗算器と、 上記複数の第1乗算器の出力を加算し、1次拡散ベース
    バンド変調信号を出力する加算器と、 上記ショートコードのチップ周期より長く、かつ伝搬路
    の予め決めた遅延時間より長いチップ周期を有し、上記
    ショートコードの繰り返し周期より大の繰り返し周期を
    有するロングコードをチップ毎に上記第2クロック信号
    と同期して繰り返し発生するロングコード発生器と、 上記加算器からの上記1次拡散ベースバンド変調信号を
    上記ロングコードで拡散して2次拡散ベースバンド変調
    信号を出力する第2乗算器と、 上記2次拡散ベースバンド変調信号によりキャリア信号
    を変調して送出する送信部、とを含む2重スペクトラム
    拡散送信機。
  5. 【請求項5】 請求項2または4の送信機において、上
    記入力ディジタル信号のデータ速度は互いに整数倍の関
    係にある予め定めた複数のデータ速度のいずれかであ
    る。
  6. 【請求項6】 ショートコードとロングコードにより2
    重スペクトラム拡散された送信波を受信して拡散ベース
    バンド受信信号を得る受信部と、 予め定めた第1のクロック周期を有する第1クロック信
    号と、上記第1クロック周期のN倍の第2クロック周期
    を有する第2クロック信号とを発生するクロック信号発
    生手段と、上記Nは1より大で8以下の値であり、上記
    第2クロック周期は伝搬路の予め決めた遅延時間より大
    に決められており、 上記受信部からの上記拡散ベースバンド受信信号に対
    し、先行波成分と少なくとも1つの遅延波成分を含む所
    定数のマルチパス成分毎に第1のチップ数のショートコ
    ードと、それよりチップ数が大であるロングコードとの
    組により上記第1クロック信号と上記第2クロック信号
    にそれぞれ同期してそれぞれのマルチパスに対応したタ
    イミングで逆拡散を行い、それぞれのマルチパス成分に
    対応する逆拡散信号をそれぞれ分離して出力する所定数
    の逆拡散部を含むマルチパス分離部と、 上記所定数の逆拡散信号をダイバーシチ検波して復号さ
    れたディジタル信号を出力するダイバーシチ形検波部、
    とを含む2重スペクトラム拡散受信機。
  7. 【請求項7】 請求項6の2重スペクトラム拡散受信機
    において、上記マルチパス分離部は、上記所定数の逆拡
    散部のそれぞれにおける上記拡散されたベースバンド受
    信信号に対する、上記ショートコードとロングコードの
    組による逆拡散のそれぞれの上記タイミング間に上記先
    行波を基準とする遅延波の遅延時間に対応した時間差を
    設定するための遅延回路を含む。
  8. 【請求項8】 請求項7の2重スペクトラム拡散受信機
    において、上記マルチパス分離部は、上記ロングコード
    をチップ毎に上記第2クロック信号に同期して繰り返し
    発生するロングコード発生器を含む。
  9. 【請求項9】 請求項8の2重スペクトラム拡散受信機
    において、上記ショートコードをチップ毎に上記第1ク
    ロック信号に同期して繰り返し発生するショートコード
    発生器を含む。
  10. 【請求項10】 請求項9の2重スペクトラム拡散受信
    機において、上記所定数の逆拡散部はそれぞれ上記ショ
    ートコードとロングコードの組と上記拡散されたベース
    バンド受信信号とを乗算する乗算器をそれぞれ含む。
  11. 【請求項11】 請求項10の2重スペクトラム拡散受
    信機において、上記遅延回路は上記遅延波に対応する上
    記逆拡散部の上記乗算器に与える上記ショートコードと
    ロングコードの組に対し上記時間差を与えるよう設けら
    れている。
  12. 【請求項12】 請求項10の2重スペクトラム拡散受
    信機において、上記遅延回路は上記先行波に対応する上
    記逆拡散部の上記乗算器へ入力する上記拡散されたベー
    スバンド受信信号に対し上記時間差を与えるように設け
    られている。
  13. 【請求項13】 請求項11又は12の2重スペクトラ
    ム拡散受信機において、上記マルチパス分離部は上記シ
    ョートコード発生器及び上記ロングコード発生器からの
    上記ショートコードと上記ロングコードの排他的論理和
    を上記ショートコードとロングコードの組として生成す
    る排他的論理和回路を含む。
  14. 【請求項14】 請求項8の2重スペクトラム拡散受信
    機において、上記マルチパス分離部は上記ショートコー
    ドを保持するショートコード設定部を含み、各上記逆拡
    散部は上記ロングコードと上記拡散ベースバンド受信信
    号とを乗算する乗算器と、その乗算結果と上記ショート
    コード設定部から設定された上記ショートコードとの相
    関を求め、その相関を上記逆拡散信号として出力する相
    関器とを含み、上記遅延回路は上記先行波に対応する上
    記逆拡散部の上記乗算器へ入力する上記拡散ベースバン
    ド受信信号に対し上記時間差を与えるように設けられて
    いる。
  15. 【請求項15】 請求項14の2重スペクトラム拡散受
    信機において、各上記相関器は上記ショートコードのチ
    ップがそれぞれフィルタ係数として与えられるトランス
    バーサルフィルタにより構成されている。
  16. 【請求項16】 請求項9の2重スペクトラム拡散受信
    機において、上記ショートコード発生器は、予め定めた
    異なる繰り返し周期を有する複数のショートコードの中
    から所望の1つを選択してチップ毎に上記第1クロック
    信号に同期して繰り返し発生する選択的コード発生手段
    を含み、上記マルチパス分離部は上記ショートコード発
    生器の上記選択的コード発生手段に対し、上記拡散ベー
    スバンド受信信号のシンボル周期と一致する繰り返し周
    期のショートコードを選択させる選択信号を与える選択
    信号発生器を含む。
  17. 【請求項17】 請求項16の2重スペクトラム拡散受
    信機において、上記ショートコード発生器の上記選択的
    コード発生手段は、上記第1クロック信号により駆動さ
    れるシフトレジスタと、上記シフトレジスタのシフト段
    出力に関して、その組み合わせが異なる複数の排他的論
    理和を選択的に生成する選択的排他的論理和回路と、上
    記選択信号発生器からの選択信号に従って上記異なる
    の排他的論理和の1つを選択し、上記シフトレジスタ
    の入力とするスイッチとを含み、上記ショートコード発
    生器は上記シフトレジスタの予め定めた1つのシフト段
    の入力信号を上記ショートコードとして出力する。
  18. 【請求項18】 請求項6の2重スペクトラム拡散受信
    機において、上記ダイバーシチ形検波部は、上記所定数
    の逆拡散部からのそれぞれの逆拡散信号中の他のショー
    トコードによる干渉信号成分をそれぞれ除去する所定数
    の干渉キャンセラと、上記干渉信号成分が除去された逆
    拡散信号をダイバーシチ検波して上記復号ディジタル信
    号として出力するダイバーシチ検波器とを含む。
  19. 【請求項19】 請求項18の2重スペクトラム拡散受
    信機において、各上記干渉キャンセラは入力された上記
    逆拡散信号がそれぞれ入力され、希望信号のショートコ
    ードで再び拡散を行った後に、上記希望信号及び干渉信
    号にそれぞれ対応するショートコードとそれぞれ相関を
    取る複数の整合フィルタと、上記整合フィルタのそれぞ
    れの相関出力に重み係数を乗算する複数の重み乗算器
    と、それら乗算結果を加算し上記干渉キャンセラの出力
    とする加算器と、上記希望信号に対応する上記整合フィ
    ルタの出力中の上記干渉信号成分をキャンセルするよう
    にそれぞれの上記重み乗算器に与える重み係数を演算す
    る係数制御部とを含む。
  20. 【請求項20】 請求項18の2重スペクトラム拡散受
    信機において、各上記干渉キャンセラは入力された上記
    逆拡散信号がそれぞれ入力され、希望信号のショートコ
    ードで再び拡散を行った後に、上記希望信号に対応する
    ショートコードと、上記希望信号に対応するショートコ
    ードと直交し、かつ互いに直交するショートコードとそ
    れぞれ相関を取る複数の整合フィルタと、上記整合フィ
    ルタのそれぞれの相関出力に重み係数を乗算する複数の
    重み乗算器と、それら乗算結果を加算し上記干渉キャン
    セラの出力とする加算器と、上記希望信号に対応する上
    記整合フィルタの出力中の干渉信号成分をキャンセルす
    るようにそれぞれの上記重み乗算器に与える重み係数を
    演算する係数制御部とを含む。
  21. 【請求項21】 請求項6の2重スペクトラム拡散受信
    機において、上記ダイバーシチ形検波部は、上記マルチ
    パスにそれぞれ対応した上記逆拡散信号を遅延検波する
    所定数の遅延検波回路と、それら遅延検波出力を加算す
    る加算器と、その加算出力を硬判定してその判定結果を
    上記復号ディジタル信号として出力する判定部とを含
    む。
  22. 【請求項22】 請求項6の2重スペクトラム拡散受信
    機において、上記ダイバーシチ形検波部は、上記マルチ
    パスにそれぞれ対応した上記逆拡散信号を複数の同期信
    号によりそれぞれ同期検波する同期検波部と、それら同
    期検波出力を加算する加算器と、その加算出力を硬判定
    し、判定結果を上記復号ディジタル信号として出力する
    判定部と、上記判定部の入力と出力間の誤差を得る減算
    器と、上記誤差の2乗が最小となるようにそれぞれの上
    記同期信号を制御する制御回路とを含む。
  23. 【請求項23】 請求項6の2重スペクトラム拡散受信
    機において、上記ダイバーシチ形検波部は、上記マルチ
    パスにそれぞれ対応した上記逆拡散信号に対する共通の
    シンボル系列候補の尤度をそれぞれ求める複数のブラン
    チメトリック生成部と、上記複数のブランチメトリック
    生成部からのそれぞれの尤度を加算する加算器と、上記
    加算器の出力に基づいて尤度関数が最大となるシンボル
    系列候補を選択し、その選択したシンボル系列候補の判
    定結果を上記復号ディジタル信号として出力する最尤系
    列推定器とを含む。
  24. 【請求項24】 請求項14の2重スペクトラム拡散受
    信機において、上記マルチパス分離部の各上記逆拡散部
    は上記相関器の出力信号を硬判定する信号判定器と、上
    記信号判定器の判定結果と上記相関器の出力信号との差
    分を誤差として得る減算器とを含み、上記ショートコー
    ド設定器は上記誤差の2乗平均が最小となるように上記
    フィルタ係数を逐次修正する。
  25. 【請求項25】 請求項14の2重スペクトラム拡散受
    信機において、上記マルチパス分離部の上記ショートコ
    ード設定器は各上記逆拡散部の上記相関器に設定するフ
    ィルタ係数ベクトルとステアリングベクトルとしての上
    記ショートコードの内積が一定となる拘束条件下で上記
    相関器の出力の平均電力が最小となるよう上記フィルタ
    係数を推定する。
  26. 【請求項26】 請求項8の2重スペクトラム拡散受信
    機において、各上記逆拡散部は上記ロングコードと上記
    拡散ベースバンド受信信号とを乗算する乗算器と、希望
    信号に対する上記ショートコードを含む予め決めた複数
    のショートコードを保持するショートコード設定部と、
    上記乗算器からのロングコード乗算結果と、上記ショー
    トコード設定部からの上記複数のショートコードとの相
    関をそれぞれ出力する複数の相関器と、上記複数の相関
    器からの相関出力を重み付け合成して上記逆拡散信号と
    して出力する重み付け合成器とを含み、上記遅延回路は
    上記先行波に対応する上記逆拡散部の上記乗算器へ入力
    する上記拡散ベースバンド受信信号に対し上記時間差を
    与えるように設けられている。
  27. 【請求項27】 請求項6の2重スペクトラム拡散受信
    機において、上記マルチパス分離部と上記ダイバーシチ
    形検波部の組は2以上の所定数設けられ、上記所定数の
    マルチパス分離部に上記受信部からの上記拡散ベースバ
    ンド受信信号がそれぞれ入力され、上記受信機は更に上
    記所定数のダイバーシチ形検波部からの上記復号ディジ
    タル信号をビット毎に順次循環して選択結合して一系列
    のディジタル復号信号を生成するマルチプレクサと、上
    記送信信号のビットレートに対応して上記マルチプレク
    サにおいて選択すべき上記ダイバーシチ形検波部を指定
    する選択信号を上記マルチプレクサに与える選択信号発
    生器とを含み、上記所定数のマルチパス分離部で使用さ
    れる上記ショートコードは同じチップ数を有し、互いに
    異なっている。
  28. 【請求項28】 請求項6の2重スペクトラム拡散受信
    機において、2以上の所定数のアンテナに対応して上記
    受信部と上記マルチパス分離部の組が所定数設けられ、
    上記ダイバーシチ形検波部は上記所定数のマルチパス分
    離部からそれぞれ出力されたそれぞれのマルチパス成分
    に対応する逆拡散信号が与えられ、ダイバーシチ検波を
    行って上記復号ディジタル信号を出力する。
  29. 【請求項29】 請求項27または28の2重スペクト
    ラム拡散受信機において、各上記マルチパス分離部は、
    上記所定数の逆拡散部のそれぞれにおける上記拡散され
    たベースバンド受信信号に対する、上記ショートコード
    とロングコードの組による逆拡散のそれぞれの上記タイ
    ミング間に上記先行波を基準とする遅延波の遅延時間に
    対応した時間差を設定するための遅延回路を含む。
  30. 【請求項30】 請求項27または28の2重スペクト
    ラム拡散受信機は、上記ロングコードをチップ毎に上記
    第2クロック信号に同期して繰り返し発生し、各上記マ
    ルチパス分離部に与えるロングコード発生器を含む。
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