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JP2969066B2 - 同位体ガス分光測定装置 - Google Patents

同位体ガス分光測定装置

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JP2969066B2
JP2969066B2 JP26330595A JP26330595A JP2969066B2 JP 2969066 B2 JP2969066 B2 JP 2969066B2 JP 26330595 A JP26330595 A JP 26330595A JP 26330595 A JP26330595 A JP 26330595A JP 2969066 B2 JP2969066 B2 JP 2969066B2
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保 浜尾
英司 池上
和典 筒井
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OOTSUKA SEIYAKU KK
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  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Non-Biological Materials By The Use Of Chemical Means (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】同位体の入った薬物を生体に
投与した後、同位体の濃度変化、又は濃度比の変化を測
定することにより、生体の代謝機能を測定することがで
きるので、同位体の分析は、医療の分野での病気の診断
に利用されている。また、医療の分野以外でも、同位体
の分析は、光合成の研究、植物の代謝作用の研究に利用
され、地球化学分野では生態系のトレースに利用されて
いる。
【0002】本発明は、同位体の光吸収特性の相違に着
目して、同位体ガスの濃度を測定する同位体ガス分光測
定方法及び測定装置に関するものである。
【0003】
【従来の技術】一般に、胃潰瘍、胃炎の原因として、ス
トレスの他に、ヘリコバクタピロリー(HP)と言われ
ているバクテリアが存在することが知られている。患者
の胃の中にHPが存在すれば、抗生物質の投与等による
除菌治療を行う必要がある。したがって、患者にHPが
存在するか否かを確認することが重要である。HPは、
強いウレアーゼ活性を持っていて、尿素を二酸化炭素と
アンモニアに分解する。
【0004】一方、炭素には、質量数が12のものの
他、質量数が13や14の同位体が存在するが、これら
の中で質量数が13の同位体13Cは、放射性がなく、安
定して存在するため取扱いが容易である。そこで、同位
13Cでマーキングした尿素を生体に投与した後、最終
代謝産物である患者の呼気中の13CO2 の濃度、具体的
には13CO2 12CO2 との濃度比を測定することがで
きれば、HPの存在を確認することができる。
【0005】ところが、13CO2 12CO2 との濃度比
は、自然界では1:100と大きく、このため患者の呼
気中の濃度比を精度よく測定することは難しい。従来、
13CO2 12CO2 との濃度比を求める方法として、赤
外分光を用いる方法が知られている(特公昭61−42
219号、特公昭61‐42220号公報参照)。
【0006】特公昭61−42220号記載の方法は、
長短2本のセルを用意し、一方のセルでの13CO2 の吸
収と、一方のセルでの12CO2 の吸収とが等しくなるよ
うなセルの長さにし、2本のセルを透過した光を両方の
セルに導いて、それぞれ最大感度を実現する波長での光
強度を測定する方法である。この方法によれば、自然界
の濃度比での光吸収比を1にすることができ、これから
濃度比がずれると、ずれた分だけ光吸収比がずれるの
で、光吸収比の変化を知って濃度比の変化を知ることが
できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記したような従来か
らの赤外分光方法では、被測定ガスの入ったバッグを所
定のパイプにつなぎ、バックを手で収縮させて、被測定
ガスをパイプを通してセルまで流していた。しかし、同
位体ガスの測定では、徴量に存在する13CO2 の光吸収
を測定するため、僅かでも乱流があると、測定精度は大
きく悪化する。前記のようにバッグを手で収縮させて、
被測定ガスをセルに流すと、被測定ガスは一定流量とな
らず、このためセル内でガスが不均一に流れ、局所的な
温度変化や、それに基づく濃度変化を惹き起こし光検出
信号のゆらぎを生じさせる。
【0008】被測定ガスの流量を一定にするため、ポン
プと流量計を組み合わせて流量をコントロールすること
も考えられるが、被測定ガスの入ったバッグの容量はも
ともと小さく、流量も少ないので、流量コントロールの
精度が確保できない。また、流量コントロールの手段と
してマスフローメータという電子的な流量制御をする装
置を使用すれば精度が向上するが、装置が複雑になり、
コストも上昇する。
【0009】そこで、本発明は、簡単な装置構成で、複
数の成分ガスを含む被測定ガスを一定の流量でセルに導
き、分光測定をすることができる同位体ガス分光測定装
置を実現することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めの請求項1記載の同位体ガス分光測定装置では、被測
定ガスを吸い込んだ後、一定速度で機械的に押し出すこ
とにより被測定ガスをセルに注入するガス注入手段を備
、各成分ガスに適した波長の透過光の光量を測定する
手段が、被測定ガスがセルに注入されている間に測定を
行う。前記の構成によれば、被測定ガスは、セルの中に
一定の流量で注入される。したがって、セル内で測定中
被測定ガスは均一に流れ、光検出信号はゆらぎのない精
度のよいものとなる。なお、複数の成分ガスは、二酸化
炭素 12 CO と、二酸化炭素 13 CO である。
【0011】なお、一定速度で機械的に押し出すガス注
入手段として、ピストンとシリンダーを備え、ピストン
を一定速度で動かす機構を採用する。また、請求項2記
載の同位体ガス分光測定装置は、被測定ガスを導くセル
の温度を一定に保つ温度保持手段をさらに備えている。
被測定ガスを導くセル内の温度を一定に保つことによ
り、被測定ガスの温度条件を均一にすることができる。
したがって、請求項1記載の構成とあいまってゆらぎの
ない精度のよい光検出信号が得られる。
【0012】
【0013】
【発明の実施の形態】以下、同位体13Cでマーキングし
たウレア診断薬を人間に投与した後、呼気中の13CO2
の濃度を分光測定する場合の、本発明の実施の形態を、
添付図面を参照しながら詳細に説明する。 I.呼気テスト まず、ウレア診断薬を投与する前の患者の呼気を呼気バ
ッグに採集する。呼気バッグの容量は、250ml程度
でよい。その後、ウレア診断薬を経口投与し、10−1
5分後、投与前と同様の方法で呼気バッグに呼気を採集
する。
【0014】投与前と投与後の呼気バッグをそれぞれ同
位体ガス分光測定装置の所定のノズルにセットし、以下
の自動測定を行う。 II.同位体ガス分光測定装置 図1は、同位体ガス分光測定装置の全体構成を示すブロ
ック図である。投与後の呼気(以下「サンプルガス」と
いう)を採集した呼気バッグと投与前の呼気(以下「ベ
ースガス」という)を採集した呼気バッグとはそれぞれ
ノズルN1 ,N2 にセットされる。ノズルN1 は、透明
樹脂パイプ(以下単に「パイプ」という)を通して三方
バルブV1 につながり、ノズルN2 は、パイプを通して
三万バルブV2 につながっている。
【0015】一方、ガスボンベからリファレンスガス
(測定対象波長域に吸収のないガスであれば何でもよ
い。例えば窒素ガス)が供給されている。リファレンス
ガスは二方に分かれ、一方は流量計M1 を通してリファ
レンスセル11cに入り、他方は流量計M2 を通して三
方バルブV3 に通じている。リファレンスセル11cに
入ったりファレンスガスはリファレンスセル11cから
出てそのまま排出される。
【0016】三方バルブV3 から分かれた一方は、三方
バルブV1 につながり、他方は、12CO2 の吸収を測定
するための第1サンプルセル11aにつながっている。
また、三方バルブV2 から分かれた一方は、二方バルブ
4 を通して第1サンプルセル11aにつながり、他方
は三方バルブV1 につながっている。さらに、三方バル
ブV3 と第1サンプルセル11aとの間には、サンプル
ガス又はべースガスを定量的に注入するためのガス注入
器21(容量60cc)が介在している。このガス注入
器21は、ピストンとシリンダーを有する注射器のよう
な形状のもので、ピストンの駆動は、モータと、モータ
に連結された送りネジと、ピストンに固定されたナット
との共働によって行われる(後述)。
【0017】セル室11は、図1に示すように、12CO
2 の吸収を測定するための短い第1サンプルセル11
a、13CO2 の吸収を測定するための長い第2サンプル
セル11b及びリファレンスガスを流すリファレンスセ
ル11cからなり、第1サンプルセル11aと第2サン
プルセル11bとは連通しており、第1サンプルセル1
1aに導かれたガスは、そのまま第2サンプルセル11
bに入り、排気されるようになっている。また、リファ
レンスセル11cにはリファレンスガスが導かれ、排気
されるようになっている。第1サンプルセル11aの長
さは具体的には13mmであり、第2サンプルセル11
bの長さは具体的には250mmであり、リファレンス
セル11cの長さは具体的には236mmである。
【0018】符号Lは、赤外線光源装置を示す。赤外線
光源装置Lは赤外線を照射するための2つの導波管23
a,23bを備えている。赤外線発生の方式は、任意の
ものでよく、例えばセラミックスヒータ(表面温度45
0℃)等が使用可能である。また、赤外線を一定周期で
しゃ断し通過させる回転するチョッパ22が設けられて
いる。赤外線光源装置Lから照射された赤外線のうち、
第1サンプルセル11a及びリファレンスセル11cを
通るものが形成する光路を「第1の光路」といい、第2
サンプルセル11bを通るものが形成する光路を「第2
の光路」という(図2参照)。
【0019】符号Dは、セルを通過した赤外線を検出す
る赤外線検出装置を示している。赤外線検出装置Dは、
第1の光路に置かれた第1の波長フィルタ24aと第1
の検出素子25a、第2の光路に置かれた第2の波長フ
ィルタ24bと第2の検出素子25bを備えている。第
1の波長フィルタ24aは、12CO2 の吸収を測定する
ため約4280nmの波長の赤外線を通し(バンド幅約
20nm)、第2の波長フィルタ24bは、 13CO2
吸収を測定するため約4412nmの波長の赤外線を通
すように設計されている(バンド幅約50nm)。第1
の検出素子25a、第2の検出素子25bは赤外線を検
出する素子であれば任意のものでよく、例えばPbSe
といった半導体赤外センサが使用される。
【0020】第1の波長フィルタ24a、第1の検出素
子25aは、Ar等の不活性ガスで満たされたパッケー
ジ26aの中に入っており、第2の波長フィルタ24
b、第2の検出素子25bも、同じく不活性ガスで満た
されたパッケージ26bの中に入っている。赤外線検出
装置Dの全体はヒータ及びペルチェ素子により一定温度
(25℃)に保たれ、パッケージ26a,26bの中は
ペルチェ素子により0℃に保たれている。
【0021】図2は、前記セル室11の詳細な構造を示
す断面図である。セル室11は、それ自体ステンレス製
であり、上下左右が金属板(例えば真鍮板)12で挟ま
れ、ヒータ13を介して、発泡スチロール等の断熱材1
4で密閉されている。また、図には示していないが、セ
ル室11の温度を測定する温度センサ(例えば白金測温
体)が取り付けられている。
【0022】セル室11の中は、2段に分かれ、一方の
段には第1サンプルセル11aと、リファレンスセル1
1cとが配置され、他方の段には第2サンプルセル11
bが配置されている。第1サンプルセル11a及びリフ
ァレンスセル11cには第1の光路が直列に通り、第2
サンプルセル11bには第2の光路が通っている。符号
15,16,17は、赤外線を透過させるサファイヤ透
過窓である。
【0023】図9は、セル室11の温度を調整する機構
を示すブロック図である。温度調整機構は、セル室11
に取り付けられた温度センサ32と、温度調整基板31
と、ヒータ13とからなっている。温度調整基板31の
温度調整方法は、いかなる方法を採用してもよいが、例
えば温度センサ32の温度測定信号に基づいて、ヒータ
13に流すパルス電流のデューティ比を変える、という
方法でよい。この温度調整方法に基づいて、前記セル室
11は、ヒータ13により一定温度(40℃)に保たれ
るよう制御されている。
【0024】図10は、被測定ガスを定量的に注入する
ためのガス注入器21を示す平面図(同図(a) )と側面
図(同図(b) )である。ガス注入器21は、基台21a
の上に、ピストン21cの入ったシリンダー21bが配
置され、基台21aの下に、ピストン21cと連結した
移動自在なナット21d、ナット21dと噛み合う送り
ネジ21e、及び送りネジ21eを回転させるモータ2
1fが配置された構造である。
【0025】前記モータ21fは、図示しない駆動回路
によって、正転、逆転駆動される。モータ21fの回転
によって送りネジ21eが回転すると、回転方向に応じ
てナット21dが前後移動し、これによって、ピストン
21cが図10(a) の二点鎖線の位置まで前後移動す
る。したがって、シリンダー21bへの被測定ガスの導
入と、シリンダー21bからの被測定ガスの導出を自在
に制御することができる。 III .測定手順 測定は、リファレンスガス測定→ベースガス測定→リフ
ァレンスガス測定→サンプルガス測定→リファレンスガ
ス測定→・・・という手順で行う。
【0026】測定の間、リファレンスセル11cにはリ
ファレンスガスが常時流れていて、その流速は流量計M
1 により常に一定に保たれるよう設定される。 III −1.リファレンス測定 図3に示すように、同位体ガス分光測定装置のガス流路
及びセル室11に、清浄なリファレンスガスを約15秒
間、毎分200ml流してガス流路及びセル室11の洗
浄をする。
【0027】次に、図4に示すように、ガス流路を変え
てリファレンスガスを流し、ガス流路及びセル室11の
洗浄をする。約30秒経過後、それぞれの検出素子25
a,25bにより、光量測定をする。このようにリファ
レンス測定をするのは、吸光度の算出をするためであ
る。このようにして、第1の検出素子25aで得られた
光量を121 、第2の検出素子25bで得られた光量を
131 と書く。 III ‐2.ベースガス測定 次に、リファレンスガスが第1サンプルセル11a、第
2サンプルセル11bを流れないようにして、呼気バッ
グより、ベースガスをガス注入器21で吸い込む(図5
参照)。
【0028】ベースガスを吸い込んだ後、図6に示すよ
うに、ガス注入器21を用いてべースガスを一定流量で
機械的に押し出す(毎分80ml)。この間、それぞれ
の検出素子25a,25bにより、光量測定をする。こ
のようにして、第1の検出素子25aで得られた光量を
12B、第2の検出素子25bで得られた光量を13Bと書
く。 III −3.リファレンス測定 再び、ガス流路及びセルの洗浄と、リファレンスガスの
光量測定をする(図3、図4参照)。
【0029】このようにして、第1の検出素子25aで
得られた光量を122 、第2の検出素子25bで得られ
た光量を132 と書く。 III −4.サンプルガス測定 リファレンスガスが第1サンプルセル11a、第2サン
プルセル11bを流れないようにして、呼気バッグよ
り、サンプルガスをガス注入器21で吸い込む(図7参
照)。
【0030】サンプルガスを吸い込んだ後、図8に示す
ように、ガス注入器21を用いてサンプルガスを一定速
度で機械的に押し出す(毎分60ml)。この間、それ
ぞれの検出素子25a,25bにより、光量測定をす
る。このようにして、第1の検出素子25aで得られた
光量を12S、第2の検出素子25bで得られた光量を13
Sと書く。 III −5.リファレンス測定 再び、ガス流路及びセルの洗浄と、リファレンスガスの
光量測定をする(図3、図4参照)。
【0031】このようにして、第1の検出素子25aで
得られた光量を123 、第2の検出素子25bで得られ
た光量を133 と書く。 IV.データ処理 IV−1.ベースガスの吸光度の算出 まず、前記リファレンスガスの透過光量121
131 、ベースガスの透過光量12B、13B、リファレン
スガスの透過光量122 132 を使って、ベースガス
における12CO2 の吸光度12Abs(B) と、13CO2 の吸
光度13Abs(B) とを求める。
【0032】ここで12CO2 の吸光度12Abs(B) は、12 Abs(B) =−log 〔212B/(121 122 )〕 で求められ、13CO2 の吸光度13Abs(B) は、13 Abs(B) =−log 〔213B/(131 132 )〕 で求められる。
【0033】このように、吸光度を算出するときに、前
後で行ったリファレンス測定の光量の平均値(R1 +R
2 )/2をとり、その平均値と、ベースガス測定で得ら
れた光量とを用いて吸光度を算出しているので、ドリフ
ト(時間変化が測定に影響を及ぼすこと)の影響を相殺
することができる。したがって、装置の立ち上げ時に完
全に熱平衡になるまで(通常数時間かかる)待たなくて
も、速やかに測定を始めることができる。 IV−2.サンプルガスの吸光度の算出 次に、前記リファレンスガスの透過光量122
132 、サンプルガスの透過光量12S、13S、リファレ
ンスガスの透過光量123 132 を使って、サンプル
ガスにおける12CO2 の吸光度12Abs(S) と、13CO2
の吸光度13Abs(S) とを求める。
【0034】ここで12CO2 の吸光度12Abs(S) は、12 Abs(S) =−log 〔212S/( 122 123 )〕 で求められ、13CO2 の吸光度13Abs(S) は、13 Abs(S) =−log 〔213S/(132 133 )〕 で求められる。
【0035】このように、吸光度を算出するときに、前
後で行ったリファレンス測定の光量平均値をとり、その
平均値と、サンプルガス測定で得られた光量とを用いて
吸光度を算出しているので、ドリフトの影響を相殺する
ことができる。 IV−3.濃度の算出 検量線を使って、12CO2 の濃度と13CO2 の濃度を求
める。
【0036】検量線は、12CO2 濃度の分かっている被
測定ガスと、13CO2 濃度の分かっている被測定ガスを
用いて、作成する。検量線を求めるには、12CO2 濃度
を0%〜6%程度の範囲で変えてみて、12CO2 の吸光
度を測定する。横軸を12CO2 濃度にとり、縦軸を12
2 吸光度にとり、プロットし、最小自乗法を用いて曲
線を決定する。2次式で近似したものが、比較的誤差の
少ない曲線となったので、本実施形態では、2次式で近
似した検量線を採用している。
【0037】また、13CO2 濃度を0.00%〜0.0
7%程度の範囲で変えてみて、13CO2 の吸光度を測定
する。横軸を13CO2 濃度にとり、縦軸を13CO2 吸光
度にとり、プロットし、最小自乗法を用いて曲線を決定
する。2次式で近似したものが、比較的誤差の少ない曲
線となったので、本実施形態では、2次式で近似した検
量線を採用している。
【0038】なお厳密にいうと、12CO2 の入っている
ガスと、13CO2 の入っているガスをそれぞれ単独で測
定するのと、12CO2 13CO2 とが混合しているガス
を測定するのでは、13CO2 の吸光度が違ってくる。こ
れは、使用する波長フィルタがバンド幅を持っているこ
とと、12CO2 の吸収スペクトルと13CO2 の吸収スペ
クトルとが一部重なっていることによる。本測定では、
12CO2 13CO2 とが混合しているガスを測定対象と
するので、検量線を決定するときに前記重なり分を補正
しておく必要がある。本測定では実際、吸収スペクトル
の一部重なりを補正した検量線を採用している。
【0039】前記検量線を用いて求められた、ベースガ
スにおける12CO2 の濃度を12Conc(B) 、ベースガスに
おける13CO2 の濃度を13Conc(B) 、サンプルガスにお
ける 12CO2 の濃度を12Conc(S) 、サンプルガスにおけ
13CO2 の濃度を13Conc(S) と書く。 IV−4.濃度比の算出13 CO2 12CO2 との濃度比を求める。ベースガスに
おける濃度比は、13 Conc(B) /12Conc(B) サンプルガスにおける濃度比は、13 Conc(S) /12Conc(S) で求められる。
【0040】なお、濃度比は、13Conc(B) /12Conc(B)
13Conc(B) ,13Conc(S) /12Conc(S) +13Conc(S) と
定義してもよい。12CO2 の濃度のほうが13CO2 の濃
度よりはるかに大きいので、いずれもほぼ同じ値となる
からである。 IV−5.13Cの変化分の決定 サンプルガスとべースガスとを比較した13Cの変化分は
次の式で求められる。 Δ13C=〔サンプルガスの濃度比−ベースガスの濃度
比〕×103 /〔ベースガスの濃度比〕(単位:パーミ
ル(千分率))
【0041】
【発明の効果】以上のように請求項1記載の発明によれ
ば、被測定ガスを吸い込んだ後、一定速度で機械的に押
し出すことにより被測定ガスをセルに注入するガス注入
手段を備えることにより、被測定ガスを、セルの中に一
定の流量で注入することができる。したがって、セル内
で被測定ガスは均一に流れ、ゆらぎのない精度のよい光
検出信号はが得られ、より正確な濃度測定を行うことが
できる。
【0042】また、請求項2記載の発明によれば、被測
定ガスを導くセル内の温度を一定に保つことができるの
で、被測定ガスの温度分布を均一にすることができる。
したがって、請求項1記載の構成とあいまってゆらぎの
ない精度のよい光検出信号が得られる
【図面の簡単な説明】
【図1】同位体ガス分光測定装置の全体構成を示すブロ
ック図である。
【図2】セル室の構造を示す断面図である。
【図3】同位体ガス分光測定装置のガス流略及びセル室
に、清浄なリファレンスガスを流して洗浄するときのガ
ス流路を示す図である。
【図4】同位体ガス分光測定装置のガス流路及びセル室
に、清浄なリフアレンスガスを流して洗浄し、かつリフ
ァレンス測定をするときのガス流路を示す図である。
【図5】リファレンスガスが第1サンプルセル11a、
第2サンプルセル11bを流れないようにして、呼気バ
ッグより、ベースガスをガス注入器21で吸い込む途中
の状態を示す流路図である。
【図6】ベースガスを吸い込んだ後、ガス注入器21を
用いてべースガスを一定速度で機械的に押し出し、この
間、それぞれの検出素子25a,25bこより、光量測
定をするときのガス流路を示す図である。
【図7】リファレンスガスが第1サンプルセル11a、
第2サンプルセル11bを流れないようにして、呼気バ
ッグより、サンプルガスをガス注入器21で吸い込む途
中の状態を示す流路図である。
【図8】サンプルガスを吸い込んだ後、ガス注入器21
を用いてサンプルガスを一定速度で機械的に押し出し、
この間、それぞれの検出素子25a,25bにより、光
量測定をするときのガス流路を示す図である。
【図9】セル室の温度を調整する機構の概要を示すブロ
ック図である。
【図10】(a) は被測定ガスを定量的に注入するための
ガス注入器を示す平面図、(b) は同側面図である。
【符号の説明】
D 赤外線検出装置 L 赤外線光源装置 M1 ,M2 流量計 N1 ,N2 ノズル V1 〜V4 バルブ 11a 第1サンプルセル 11b 第2サンプルセル 11c リファレンスセル 21 ガス注入器 21a シリンダー 21b ピストン 24a 第1の波長フィルタ 25a 第1の検出素子 24b 第2の波長フィルタ 25b 第2の検出素子 31 温度調整基板 32 温度センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 筒井 和典 滋賀県甲賀郡水口町水口670番地の38 (56)参考文献 特開 平7−181134(JP,A) 特開 昭59−171836(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 21/00 - 21/01 G01N 21/17 - 21/61 G01N 33/497

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】二酸化炭素12CO2と、二酸化炭素13CO2
    とを成分ガスとして含む被測定ガスをセルに導き、各成
    分ガスに適した波長の透過光の光量を測定しデータ処理
    することによって、成分ガスの濃度を測定する同位体ガ
    ス分光測定装置において、 ピストンとシリンダとを有し、被測定ガスをシリンダ内
    に吸い込んだ後、ピストンを一定速度で機械的に押し出
    すことにより被測定ガスをセルに注入するガス注入手段
    を備え、 各成分ガスに適した波長の透過光の光量を測定する手段
    が、被測定ガスがセルに注入されている間に測定を行う
    ものであることを特徴とする同位体ガス分光測定装置。
  2. 【請求項2】被測定ガスを導くセルの温度を一定に保つ
    温度保持手段をさらに備えている請求項1記載の同位体
    ガス分光測定装置。
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