JP2942205B2 - 壁面反射低減型の電波暗箱 - Google Patents
壁面反射低減型の電波暗箱Info
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Description
な金属製筐体の内面全体に、被測定機器の使用周波数近
傍の指定した周波数帯域に対応した電波吸収特性をもつ
電波吸収シートを貼り付けた専用の電波暗箱に関し、更
に詳しく述べると、金属製筐体は、中央部分が外向きに
広がり、両側部分が狭まった形状の内部空間を有し、そ
の内面に沿って電波吸収シートが貼着されている壁面反
射低減型の電波暗箱に関するものである。この電波暗箱
は、小型の、特に携帯用の各種無線機器などの簡易的な
測定試験、検査などに有用である。
々な通信機器が実用化されおり、その研究開発や製造に
おいては、電磁波性能試験や感度試験などを頻繁に行う
必要性が生じている。従来、これらの試験は電波暗室で
行われていた。電波暗室は、電磁的にシールドされた部
屋の周囲の壁面、天井、床面全てに電波吸収体を貼り付
け、外部から侵入する電磁波を遮断し、内部で発生する
電磁波を吸収する特別な構造の部屋である。簡易的な場
合でも、縦横高さがいずれも数m程度(例えば、5m×
8m×4m)のかなり大きな測定空間であり、内部に作
業者が立ち入れるような大型設備である。電波吸収体と
しては、例えばフェライトタイル(フェライトの平板状
焼結品)やピラミッド型の誘電体が用いられている。
が開発・製造されており、例えば、800MHz帯のアナ
ログ式携帯電話機、1.5GHz帯のGPS(全世界測位
システム)アンテナやデジタル式携帯電話機、1.9G
Hz帯のPHS(簡易型携帯電話機)、2.5GHz帯の無
線LAN、VICS(道路交通情報通信システム)、ワ
イヤレスカードなどがある。従来技術では、これらは全
て同じ電波暗室を使って試験している。
うな様々な周波数帯の被測定機器について、その大きさ
を問わず、高精度で測定できる利点があり、極めて重要
な測定空間を提供している。しかし、測定精度を高く維
持すること、広い周波数帯域に対応できるようにするこ
と、などのために、厚いフェライトタイルや嵩張るピラ
ミッド型の電波吸収体を内壁全面に取り付ける必要があ
り、非常に広い設置スペースを必要とし、施工面におい
ても時間とコストがかかる欠点がある。特に、測定する
必要のある機器の数や種類が増えると、電波暗室を多数
設備しなければならず、上記の欠点は極めて重大な問題
となる。
良、製品検査などでは、特定の周波数帯を使用している
量産化されている被測定機器等について、さほど厳密な
測定結果は必要とせず、とりあえず簡易的な測定試験や
検査を行い、おおよその測定レベルあるいは相対的な値
や傾向が分かれば十分である場合も多い。そのような用
途では、電波暗室のような大型で高価な測定空間ではな
く、小型で且つ安価な測定空間が求められている。しか
し、単に小型で安価というだけではなく、できるだけ性
能の優れたものが求められることは言うまでもない。
被試験機器について、その指定周波数帯域に対応してい
て、壁面での反射によって生じるモードが抑えられ電波
吸収性能も優れており、簡易的な測定試験や検査を安定
に行える小型で安価な測定空間となる電波暗箱を提供す
ることである。
良好な金属製筐体の内面全体に、被測定機器の使用周波
数近傍の指定した周波数帯域に対応した電波吸収特性を
もつ電波吸収シートを貼り付け、測定空間内の両側に送
信部と受信部を設ける専用の電波暗箱である。ここで金
属製筐体は、中央部分が外向きに広がり、両側部分が狭
まった形状の内部空間を有し、その内面に沿って電波吸
収シートを貼着した構成となっており、それによって壁
面反射低減型の電波暗箱を構成している。本発明におい
て、電波暗室ではなく、電波暗箱という用語を用いてい
るのは、部屋のような大型の施設ではなく、作業台上に
載置できるような小型の装置であることを明確にするた
めである。
材料、例えば鉄板やステンレス鋼板などが好ましい。磁
性を有することで、磁気シールドの機能も果たさせるこ
とができる。電波吸収シートは、例えばフェライト粉体
とEPDM(エチレン・プロピレンジエンモノマ)系ゴ
ムを、前記指定周波数帯域に対応した所定の割合で混練
し、所定の厚みに成形した薄いシートである。測定空間
内の両側に送信部と受信部を対向させて設けるが、実際
の試験では、送信部と受信部の一方が被測定機器とな
る。金属製筐体は、被測定機器の出し入れ用の開閉扉部
を設ける。また、壁面の一部を取り外し可能な構造とす
るのが好ましい。壁面の一部を取り外すことで、内部の
送信部あるいは受信部の着脱や位置・向きなどの調整が
容易に行えるようになる。それらの場合、電磁波漏れが
生じないようにする必要がある。
直角に近い向きで入射するほど吸収され易くなる。その
ため、本発明のような金属製筐体形状とすると、送信部
から受信部へと向かう電磁波の壁面での電波吸収性能が
高まり、壁面での反射によって起きるモードが抑えられ
るため、送信部から受信部へ直接波のみが向かうように
なり、より安定した測定が可能となる。
ば800MHz帯のアナログ式携帯電話機を試験するため
の800MHz帯用電波暗箱、GSPアンテナあるいは
1.5GHz帯のデジタル式携帯電話機を試験するための
1.5GHz帯用電波暗箱、PHSを試験するための1.
9GHz帯用電波暗箱、無線LANやVICS、ワイヤレ
スカードを試験するための2.5GHz帯用電波暗箱など
がある。各電波暗箱の指定周波数帯域は、次の通りであ
る。 800MHz帯用電波暗箱…700MHz〜900MHz 1.5GHz帯用電波暗箱…1.4GHz〜1.65GHz 1.9GHz帯用電波暗箱…1.75GHz〜2.0GHz 2.5GHz帯用電波暗箱…2.35GHz〜2.65GHz それぞれの電波暗箱は、そこで指定されている周波数帯
域の電磁波を十分に吸収しうる特性をもつ内壁面で構成
されている。
(波長)に対応して以下のような範囲内の筐体内部寸法
とする。各数値は筐体長さの最小と最大を表している。 800MHz帯用電波暗箱…最小75cm〜最大225cm 1.5GHz帯用電波暗箱…最小40cm〜最大120cm 1.9GHz帯用電波暗箱…最小32cm〜最大95cm 2.5GHz帯用電波暗箱…最小24cm〜最大72cm 従って、各指定周波数帯域毎に異なる内寸法の筐体を製
作してもよいが、いく種類かの指定周波数帯域について
は同じ内寸法の筐体を用いるように共通化することも可
能である。
は、次のようなものとする。 800MHz帯用電波暗箱…EPDM系ゴム100gに対
して、Mn−Zn系フェライト粉を1200g±10g
混合して厚さ6.7mm±0.1mmのシート状に成形した
もの。 1.5GHz帯用電波暗箱…EPDM系ゴム100gに対
して、Mn−Zn系フェライト粉を650g±10g混
合して厚さ6.3mm±0.1mmのシート状に成形したも
の。 1.9GHz帯用電波暗箱…EPDM系ゴム100gに対
して、Mn−Zn系フェライト粉を500g±10g混
合して厚さ6.3mm±0.1mmのシート状に成形したも
の。 2.5GHz帯用電波暗箱…EPDM系ゴム100gに対
して、Mn−Zn系フェライト粉を360g±10g混
合して厚さ6.3mm±0.1mmのシート状に成形したも
の。
図であり、図2はその横断面図である。この電波暗箱
は、指定周波数帯域に対応した内寸法のシールド性の良
好な金属製筐体10からなる。該金属製筐体10は、横
断面が六角形状であって、中央部分が外向きに広がり、
両端部分が狭まった形状となっている。そして、被測定
機器の出し入れ用の開閉扉部12及び被測定機器とのデ
ータ授受用の接続部(コネクタ)14を設ける。この金
属製筐体10の内面全体(開閉扉部12の内面なども含
む)に、前記指定周波数帯域に対応した電波吸収特性を
もつ電波吸収シート16を貼り付ける。内部の測定空間
には送信部20及び/又は受信部22を設置する。送信
部20あるいは受信部22の一方が被測定機器であり、
各種の試験・検査を行う。
一方に開閉扉部12が設けられている)が互いに平行で
あり、それらを除く外側面は中央で折れ曲がった4枚の
面で構成されている。それらのうちの一面(例えば上面
パネル10a)を取り外し可能な構成にするのが好まし
い。例えば取り付けネジによって金属製筐体の本体部分
に対して着脱可能とする。そうすると、電波吸収シート
16の貼り付け、送信部20や受信部22の取り付けや
取り外し、設置位置や向きの調整などが容易に行える利
点が生じる。なお、電磁波の漏れを防ぐために、開閉扉
部12や上面パネル10aと金属製筐体の本体部分との
接合部分には、シールドフィンガ等の導電性のある弾性
接触部材を取り付けてシールド性能の向上を図る。また
被測定機器とのデータ授受用の接続部14も、電波漏れ
が生じないように、シールド線やシールドされたコネク
タなどを用いる。なお、コネクタを用いずに、直接シー
ルド線で引き出す構造とすることもできる。
えば、800MHz帯用の最大寸法でも225cmであ
る)、作業台24の上に載置でき、キャスター付きの作
業台を用いれば、実験室内などで自由に移動して必要な
測定が行えることになる。
こでは、金属製筐体30を菱形状とし、その内面全体に
電波吸収シート36を貼着している。なお図示するのを
省略するが、被測定機器の出し入れ用の開閉扉部及び被
測定機器とのデータ授受部をを設ける。また金属製筐体
の一面を取り外し可能な構成とするのが好ましい。図1
〜図3の実施例のように、金属製筐体を六角形状や菱形
状にすると、金属平板(例えば鉄板など)の切断と溶接
のみで簡単に組み立てることができる利点がある。また
電波吸収シートの貼着にも都合がよい。
り、両側部分が狭まった形状であればよく、上記実施例
のような平面による構成の他、曲面で構成してもよい。
その例を図4及び図5に示す。図4は、金属製筐体40
を、両端面は互いに平行な平面であるが、それ以外の部
分を曲面で構成している。従って、中央部分は湾曲状に
外向きに膨出した状態である。その内面全体に電波吸収
シート46を貼着する。図5は、金属製筐体50を楕円
面で構成し、その内面全体に電波吸収シート56を貼着
している。これらの例においても、図示していないが、
被測定機器の出し入れ用の開閉扉部及び被測定機器との
データ授受部を設けたり、金属製筐体の一部を取り外し
可能な構成とするのが好ましい。なお本発明は、これら
の形状のみに限定されるものではなく、平面や曲面で、
あるいはそれらを組み合わせた面によって、中央部分が
外向きに広がるように構成すればよい。
体に800MHz帯用の電波吸収シートを貼り付け、図1
に示すような構造の800MHz帯用電波暗箱を作製し
た。扉部やパネルの筐体本体との接触部分には、シール
ドフィンガを装着した。800MHz帯用の電波吸収シー
トは、EPDM系ゴム100gに対して、Mn−Zn系
フェライト粉を1200g±10gの割合で混練し、厚
さ6.7mm±0.1mmのシート状に成形したものであ
る。この電波暗箱を用いて、800MHz帯のアナログ式
携帯電話機の性能試験、動作確認などの各種試験を行っ
たところ、壁面反射が少なく安定した測定ができ、良好
な測定データが得られた。
全体に1.5GHz帯用の電波吸収シートを貼り付け、図
1に示すような構造の1.5GHz帯用電波暗箱を作製し
た。開閉扉部やパネルの筐体本体との接触部分には、シ
ールドフィンガを装着した。1.5GHz帯用の電波吸収
シートは、EPDM系ゴム100gに対して、Mn−Z
n系フェライト粉を650g±10gの割合で混練し、
厚さ6.3mm±0.1mmのシート状に成形したものであ
る。この電波暗箱を用いて、GPSアンテナ及び1.5
GHz帯のデジタル式携帯電話機の性能試験、動作確認な
どの各種試験を行ったところ、壁面反射が少なく安定し
た測定ができ、良好な測定データが得られた。
全体に1.9GHz帯用の電波吸収シートを貼り付け、図
1に示すような構造の1.9GHz帯用電波暗箱を作製し
た。開閉扉部やパネルの筐体本体との接触部分には、シ
ールドフィンガを装着した。1.9GHz帯用の電波吸収
シートは、EPDM系ゴム100gに対して、Mn−Z
n系フェライト粉を500g±10gの割合で混練し、
厚さ6.3mm±0.1mmのシート状に成形したものであ
る。この電波暗箱を用いて、PHSの性能試験、製品検
査などの各種試験を行ったところ、壁面反射が少なく安
定した測定ができ、良好な測定データが得られた。
全体に2.5GHz帯用の電波吸収シートを貼り付け、図
1に示すような構造の2.5GHz帯用電波暗箱を作製し
た。開閉扉部やパネルの筐体本体との接触部分には、シ
ールドフィンガを装着した。2.5GHz帯用の電波吸収
シートは、EPDM系ゴム100gに対して、Mn−Z
n系フェライト粉を360g±10gの割合で混練し、
厚さ6.3mm±0.1mmのシート状に成形したものであ
る。この電波暗箱を用いて、次世代ワイヤレスカード
(高速道路、定期券、入門証など)や無線LANの性能
試験、動作確認などの各種試験を行ったところ、壁面反
射が少なく安定した測定ができ、良好な測定データが得
られた。
両側部分が狭まった形状の金属製筐体を用い、特定の周
波数を使用する被試験機器について、その指定した周波
数帯域に対応している薄い電波吸収シートを貼着して専
用の電波暗箱とする構成としたことにより、内部測定有
効スペースを確保しつつ、筐体を小形化でき、且つ内壁
面での電波吸収がより一層良好となり壁面反射によって
起きるモードを抑えることができる。そのため、簡易的
な測定試験や検査を簡便に且つ精度よく行うことができ
る。また多数の測定空間を必要とする場合でも、設置ス
ペースは少なくて済み、且つ安価に設備できる効果があ
る。
図。
面図。
図。
Claims (3)
- 【請求項1】 シールド性の良好な金属製筐体の内面全
体に、被測定機器の使用周波数近傍の指定した周波数帯
域に対応した電波吸収特性をもつ電波吸収シートを貼り
付け、測定空間内の両側に送信部と受信部を設ける専用
の電波暗箱であって、 前記金属製筐体は、中央部分が外向きに広がり、両側部
分が狭まった形状の内部空間を有し、その内面に沿って
前記電波吸収シートが貼着されている壁面反射低減型の
電波暗箱。 - 【請求項2】 測定空間の横断面形状を、六角形状もし
くは菱形状とする請求項1記載の壁面反射低減型の電波
暗箱。 - 【請求項3】 測定空間の内面を曲面で構成する請求項
1記載の壁面反射低減型の電波暗箱。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26345996A JP2942205B2 (ja) | 1996-09-12 | 1996-09-12 | 壁面反射低減型の電波暗箱 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26345996A JP2942205B2 (ja) | 1996-09-12 | 1996-09-12 | 壁面反射低減型の電波暗箱 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1093287A JPH1093287A (ja) | 1998-04-10 |
JP2942205B2 true JP2942205B2 (ja) | 1999-08-30 |
Family
ID=17389810
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26345996A Expired - Lifetime JP2942205B2 (ja) | 1996-09-12 | 1996-09-12 | 壁面反射低減型の電波暗箱 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2942205B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005108369A (ja) * | 2003-10-01 | 2005-04-21 | Hitachi-Lg Data Storage Inc | 光ディスク装置及びそれを搭載した携帯型情報処理装置 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008032692A (ja) * | 2006-06-30 | 2008-02-14 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 電磁波測定装置 |
-
1996
- 1996-09-12 JP JP26345996A patent/JP2942205B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005108369A (ja) * | 2003-10-01 | 2005-04-21 | Hitachi-Lg Data Storage Inc | 光ディスク装置及びそれを搭載した携帯型情報処理装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1093287A (ja) | 1998-04-10 |
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