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JP2837239B2 - 光散乱透過性領域を備えた光制御板の製造法 - Google Patents

光散乱透過性領域を備えた光制御板の製造法

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Publication number
JP2837239B2
JP2837239B2 JP14266090A JP14266090A JP2837239B2 JP 2837239 B2 JP2837239 B2 JP 2837239B2 JP 14266090 A JP14266090 A JP 14266090A JP 14266090 A JP14266090 A JP 14266090A JP 2837239 B2 JP2837239 B2 JP 2837239B2
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angle
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敏文 辻野
浩一 前田
聡 石塚
慎一郎 北山
滋郎 穂積
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は光散乱透過性領域および光直進透過性領域を
備えた光制御板の製造法に関する。
<従来の技術> 従来、プラスチックやガラスからなる透明体はどの角
度からの光に対しても透明なものしかなかった。ところ
で、特定の角度からの光のみを透過するものとして、プ
ラスチックの透明シートおよび不透明シートを交互に貼
合わせたプラスチックブロックから切り出した配向膜あ
るいは感光性樹脂を用いて透明基板上に格子や縞などの
模様をなすレリーフを設け更にその上に透明基板などを
組合せたいわゆる「遮光板」が一般的に用いられてい
た。このような遮光板は特開昭57−189439号公報に提案
されている。
これらの従来の配向膜や遮光板は、その製造方法が煩
雑であるために高価であり、また配向膜では膜質が均質
にならないという問題点を有していた。
特開昭64−40902号公報には、屈折率に差がある少な
くとも2種の光重合性のオリゴマーまたはモノマーを含
有する樹脂組成物を膜状に維持し、その膜状体に特定の
方向から光を照射して硬化させることによって、所定角
度範囲の入射光を散乱する機能を有する光制御板の製造
方法において、第1の線状光照射源と膜状体の間に第1
の形状を持つフォトマスクを配置して前記照射源から光
を照射し、これと同時に膜状体に対して第1の光照射源
とは反対側に第2の線状光照射源を設置し、第2の照射
源と膜状体との間に第2の形状を持つフォトマスクを配
置して第2の照射源から光を照射する方法が開示されて
いる。
特開昭64−40903号公報には、上記方法と同様にして
光制御板を製造する方法において、膜状体の表面を複数
の領域に分割し、少なくとも1つの領域に線状光照射源
からの光を照射し、他の少なくとも1つの領域に、
(A)前記照射源とは異なる角度から線状光照射源の光
を照射するか、(B)点光源からの光もしくは平行光を
照射するか、(C)拡散光を照射するか、または(D)
熱を付与する方法が開示されている。
特開昭64−77001号公報には、特定の角度を成す入射
光のみを選択的に散乱するプラスチックシートからなる
光制御板およびその製造法が開示されている。
上記製造法において、光源としては棒状ランプが用い
られる。光照射により、硬化した樹脂板は光源の長軸と
短軸方向に対して異方性を示し、光源の長軸方向を軸と
して回転させた場合にのみ所定の角度範囲の光を散乱す
る。すなわち、生成した樹脂板は屈折率の異なる領域
が、ある方向に配向した状態で存在しており特定の角度
より入射した光はこの構造により散乱されるものと考え
られる。
しかも上記光制御板は、上記公報に記載されているよ
うに、基板のある一部が正面では透明でどちらに傾けて
も不透明になり、残りの部分はその逆の機能を持つもの
や基板の第1の部分は正面から見たら不透明でどちらに
傾けても透明であり、第2の部分は常に不透明であり、
残りの部分は常に透明である光制御板の作製も可能であ
る。
上記公報に記載されている方法によると、分子内に1
個以上の重合性炭素−炭素二重結合を有し、かつ互いに
屈折率の異なる少なくとも2種の化合物を含有する光重
合性組成物を膜状体に維持し、これに特定の方向から光
を照射して硬化させる方法において、前記膜状体の表面
の一部を例えばフォトマスクで覆うことにより複数の領
域に分割し、少なくとも1つの領域、例えば前記フォト
マスクの開口に面する部分に第1の線状光照射光源から
の光を照射し、他の少なくとも1つの領域、例えばフォ
トマスクで覆われていた部分に前記照射源とは異なる角
度から第2の線状光照射源の光を照射して硬化させ、も
しその後に未照射の部分があれば光または熱重合により
硬化を完結させることにより散乱する角度範囲の異なる
種々の領域を膜状体に持たせた光制御板が得られる。
前記第2の線状光照射源からの光の代わりに点光源か
らの光もしくは平行光を照射するか、拡散光を照射する
か、または熱を付与してもよい。
点光源もしくは平行光を照射すれば後で硬化した領域
は一様にスリガラス状になり前記第1の光源によって硬
化した領域だけ角度依存性を有する光制御膜となる。
拡散光を照射すれば前記第1の光源によって硬化した
領域だけが角度依存性を有し、後で硬化した領域は透明
な光制御板となる。上記従来の方法によると、一枚の樹
脂板内に散乱する角度範囲が鮮明に異なる種々の領域を
持つ光制御板を製造することができる。
<発明が解決しようとする課題> 本発明の目的は光散乱透過性領域および光直進透過領
域を備えた光制御板を製造する方法を提供することにあ
る。
本発明の他の目的は光散乱透過性領域が特定の角度の
入射光のみを散乱透過させ、それ以外の角度の入射光を
直進透過させる光制御板の製造法を提供することにあ
る。
本発明のさらに他の目的は上記の如き光散乱透過性領
域を備えた光制御板を工業的に製造する方法を提供する
ことにある。
本発明のさらに他の目的は、従来のバッチ方式では製
造できない、特定の角度の入射光のみを散乱透過させる
領域が比較的広い範囲にわたる光制御板をも容易に製造
しうる、光制御板の連続的製造法を提供することにあ
る。
本発明のさらに他の目的は、光散乱透過性パターン
が、特に線状光源の長軸方向において、明瞭に転写され
た光制御板を連続的に製造する方法を提供することにあ
る。
本発明のさらに他の目的は、光散乱透過性領域がいず
れの角度の入射光も散乱透過させる光制御板を製造する
方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から
明らかとなろう。
<課題を解決するための手段> 本発明によれば、本発明のかかる目的および利点は、
第1に、 (1)光重合性組成物のフィルム及び該フィルムの表面
に沿って配置された、光を散乱透過する光散乱透過性パ
ターンおよび光を直進透過する部分を備えた光透過体か
らなるアセンブリーを準備し、 ここで、該光重合性組成物は、 (a)重合性炭素−炭素二重結合を有し且つ屈折率の異
なる重合体を生成し得る少なくとも2種の単量体の混合
物、 (b)重合性炭素−炭素二重結合を分子内に複数個有す
る単量体の少なくとも一種、及び (c)重合性炭素−炭素二重結合を持たない化合物およ
び重合性炭素−炭素二重結合を有し且つ該化合物の屈折
率と異なる屈折率の重合体を生成し得る少なくとも1種
の単量体の混合物、 から選ばれ;そして (2)上記アセンブリーに、上記光透過体の存在する側
に配置された、 [1]上記光重合性組成物のフィルムの表面にほぼ平行
に位置する長軸を備えた線状光源、または [2]点光源もしくは平行光源 からの光を照射して該フィルムの光重合性組成物を重合
せしめて、 (イ)上記光散乱透過パターンにより規定される、いず
れの角度の入射光も直進透過させる領域、および (ロ)上記光を直進透過する部分により規定される、上
記線状光源からの光を照射する場合には所定の角度の入
射光のみを散乱透過させそれ以外の角度の入射光を直進
透過させる領域、または、上記点光源もしくは平行光源
からの光を照射する場合にはいずれの角度の入射光も散
乱透過させる領域、 をそれぞれ備えた光制御板を形成せしめる、 ことを特徴とする光制御板の製造法によって達成され
る。
上記本発明方法によれば、先ず工程(1)すなわち上
記第1工程において、光重合性組成物のフィルムおよび
該フィルムの表面に沿って配置された所定の光散乱透過
性パターンを備えた光透過体からなるアセンブリーが準
備される。
光重合性組成物は、光重合性を有する重合性炭素−炭
素二重結合を有する不飽和化合物を含有している。かか
る光重合性組成物は、 (a)重合性炭素−炭素二重結合を有し且つ屈折率の異
なる重合体を生成し得る少なくとも2種の単量体の混合
物、 (b)重合性炭素−炭素二重結合を分子内に複数個有す
る単量体の少なくとも一種、及び (c)重合性炭素−炭素二重結合を持たない化合物およ
び重合性炭素−炭素二重結合を有し且つ該化合物の屈折
率と異なる屈折率の重合体を生成し得る少なくとも1種
の単量体の混合物、から選ばれる。
上記混合物(a)を構成する単量体は重合性炭素−炭
素二重結合を有する。重合性炭素−炭素二重結合として
は、例えばアクリロイル基、メタアクリロイル基、ビニ
ル基あるいはアリル基を好適なものとして挙げることが
できる。
かかる単量体としては、例えば、ポリエステルアクリ
レート、ポリオールポリアクリレート、変性ポリオール
ポリアクリレート、イソシアヌル酸骨格ポリアクリレー
ト、メラミンアクリレート、ビダントイン骨格のポリア
クリレート、ポリブタジエンアクリレート、エポキシア
クリレート、ウレタンアクリレート、ビスフェノールA
ジアクリレート、2,2−ビス(4−アクリロキシエトキ
シ−3,5−ジブロモフェニル)プロパンなどの多官能性
アクリレートあるいはこれらのアクリレートに対応する
メタクリレート類:メチルアクリレート、テトラヒドロ
フルフリルアクリレート、エチルカルビトールアクリレ
ート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、
イソボルニルアクリレート、フェニルカルビトールアク
リレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、2−
ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ω
−ヒドロキシヘキサノイルオキシエチルアクリレート、
アクリロイルオキシエチルサクシネート、アクリロイル
オキシエチルフタレート、フェニルアクリレート、トリ
ブロモフェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリ
レート、トリブロモフェノキシエチルアクリレート、ベ
ンジルアクリレート、p−ブロモベンジルアクリレー
ト、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリ
レート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレー
トならびにこれらの単官能性アクリレートに対応するメ
タクリレート類:スチレン、p−クロロスチレン、ジビ
ニルベンゼン、ビニルアセテート、アクリロニトリル、
N−ビニルピロリドン、ビニルナフタレン等のビニル化
合物:あるいは、ジメチルグリコールビスアリルカーボ
ネート、ジアリリデンペンタエリスリトール、トリアリ
ルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルイ
ソフタレート等のアリル化合物などがあげられる。
これらの化合物は、モノマーのままであるいはオリゴ
マーにして使用することもできる。
上記(a)の混合物においては、上記単量体は少なく
とも2種使用される。それらの単量体は屈折率の互いに
異なる単独重合体を与える組合せとする必要がある。屈
折率の差の大きい単独重合体を与える単量体の組合せほ
ど好ましい。屈折率の差が例えば少なくとも0.01、より
好ましくは0.05である2種の単独重合体を与える単量体
の組合せを使用するのが有利である。
3種またはそれ以上の種類の単量体を使用するとき
は、それらの単独重合体の少なくともいずれか2つの屈
折率の差が0.01、より好ましくは0.05である単量体の組
合せを使用するのが望ましい。
上記(a)の混合物において、単独重合体の屈折率の
差が最も大きい2種の単量体は、重合比で、10:90〜90:
10の割合で用いられる。
また、少なくとも2種の単量体から得られる少なくと
も2種の単独重合体は互いに相溶性が十分でないことが
好ましい。もし相溶性があまり高い場合には、得られる
樹脂が完全に均一になってしまいヘイズ(白濁)が発生
しない。また、相溶性が極端に悪くなり過ぎると光硬化
する以前に相分離が生じるため得られる樹脂のヘイズ率
が上昇し過ぎて全面ヘイズとなり全く光制御機能を示し
難くなる。
上記(a)の混合物は、必要に応じ、光重合開始剤を
含有することができる。
光重合開始剤は特に限定されるものではなく、通常の
光重合で使用されているものならどのようなものでもよ
い。例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケ
ト、2−クロロチオキサントン、ベンゾインエチルエー
テル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケ
タール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノ
ン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなど
があげられる。
上記(a)の混合物は、少なくとも2種の単量体およ
び必要により光重合開始剤とを撹拌混合することによっ
て調製することができる。
また、上記(b)の重合性組成物を構成する重合性炭
素−炭素二重結合を分子内に複数個有する単量体として
は、例えばアクリロイル基、メタアクリロイル基、ビニ
ル基又はアリル基の如き基を重合性炭素−炭素二重結合
として分子内に複数個有する化合物が有利に用いられ
る。
かかる化合物としては、例えば、トリエチレングリコ
ールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリ
レート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6
−ヘキサンジオールジアクリレート、水添ジシクロペン
タジエンジイルジアクリレート、エチレンオキサイド変
性ビスフェノールAジアクリレート、トリメチロールプ
ロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレート、トリスアクリロキシイソシアヌレー
ト、多官能のエポキシアクリレート、多官能のウレタン
アクリルシートや、これらのアクリレートに対応するメ
タクリレートおよびジビニルベンゼン、トリアリルイソ
シアヌレート、ジエチレングリコールビスアリルカーボ
ネートなどがあげられる。
これらの化合物はモノマーのままで、あるいはオリゴ
マーにして使用することもできる。
かかる化合物としては、光照射による硬化前の屈折率
と硬化後の樹脂の屈折率との差が少なくとも0.01、より
好ましくは少なくとも0.02であるものが有利に使用され
る。
かかる化合物は単独であるいは2種以上の混合物とし
て、さらに必要により光重合開始剤との混合物として、
使用することができる。光重合開始剤としては上記
(a)の組成物について既述したものと同じものが使用
できる。
さらに、上記混合物(c)は、重合性炭素−炭素二重
結合を持たない化合物および重合性炭素−炭素二重結合
を有し且つ該化合物の屈折率と異なる屈折率を示す重合
体を生成し得る少なくとも1種の単量体とからなる。
重合性炭素−炭素二重結合を持たない上記化合物と
は、分子内にアクリロイル基、メタアクリロイル基、ビ
ニル基あるいはアリル基の如き重合性炭素−炭素二重結
合を持たない化合物をいう。
かかる化合物としては、例えば、ポリスチレン、ポリ
メタクリル酸メチル、ポリエチレンオキシド、ポリビニ
ルピロリドン、ポリビニルアルコール、ナイロンの如き
ポリマー類:トルエン、n−ヘキサン、シクロヘキサ
ン、メチルアルコール、エチルアルコール、アセトン、
メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、酢酸エチ
ル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ア
セトニトリルの如き低分子化合物:あるいは有機ハロゲ
ン化合物、有機ケイ素化合物、可塑剤、安定剤の如きプ
ラスチック添加剤などがあげられる。
また、混合物(c)を構成する上記単量体としては、
混合物(a)および重合性組成物(b)において記載し
たものと同じものを使用することができる。
混合物(c)を構成する重合性炭素−炭素二重結合を
持たない化合物と該結合を有する単量体とは、好ましく
は該結合を有する単量体が該化合物と該単量体の合計重
量を基準にして10〜99重量を占める割合、より好ましく
は該結合を有する単量体が同じ基準に対し50〜95重量%
を占める割合で使用するのが有利である。
また、上記重合性炭素−炭素二重結合を持たない化合
物と該結合を有する単量体とは、該化合物の屈折率と該
単量体の単独重合体の屈折率との差が少なくとも0.01で
ある組合せが好ましく、さらに少なくとも0.02である組
合せがより好ましい。
本発明の工程(1)において、上記の如き光重合性組
成物は、基板例えばガラス板上に塗布され所定の長さと
巾を有するフィルムに形成される。このフィルムの表面
に沿って。所定の光散乱透過性パターンを備えた光透過
体を配置する。これによって、光重合性組成物のフィル
ムと、該パターンを備えた光透過体からなるアセンブリ
ーが準備される。
該パターンを備えた光透過体は例えば、光透過性基板
そのものの表面の一部に微細な凹凸を付与することによ
り光散乱透過性のパターンを設けた基板、基板そのもの
に光散乱透過性のパターンを有する物体を持つ基板、光
散乱透過性のパターンを与える光散乱透過性物体で部分
的に被覆した基板、あるいは光散乱透過性のパターンを
有する物体を設置した基板(好ましくは基板面から3mm
以内の距離に物体を設置する)を使用するのが有利であ
る。
アセンブリーを構成する光重合性組成物のフィルム
は、好ましくは少なくとも25μm、より好ましくは少な
くとも100μm、特に好ましくは少なくとも200μmの厚
さを有する。
本発明方法によれば、次いで、工程(2)すなわち第
2工程において、上記アセンブリーに、上記光透過体の
存在する側から光を照射する。ここで光を照射するため
の光源としては、線状の光源、点光源、及び平行光源の
いずれを用いることもできる。光照射源が線状光源の場
合、光透過体のうち光を散乱透過する部分を通って散乱
光となり照射されたフィルム部分は、硬化されて光を直
進透過するようになる。いいかえればこの硬化されたフ
ィルム部分はどの角度からも透明な視野を与える。一
方、光透過体のうち光を直進透過する部分を通って照射
され硬化したフィルム部分は、所定の角度から入射した
光を散乱透過しそれ以外の角度から入射した光は直進透
過させるようになる。いいかえればこの硬化されたフィ
ルム部分は所定の角度からみれば不透明な視野を与え、
その他の角度からみれば透明な視野を与える。線状光源
は、光重合性組成物のフィルムの表面にほぼ平行に位置
する長軸を備え且つ上記アセンブリーの上方空間に配置
されている。
本発明で使用される線状光源は、フィルムの光重合性
組成物の光重合に寄与する紫外線または、その他の活性
光線を発するものであって、被照射位置(フィルム面)
からみて光源が線状の形状をなしているものである。被
照射位置からみた光源の大きさは、光源の長軸方向の視
角Aが少なくとも8゜、好ましくは少なくとも12゜であ
り、光源の短軸方向の視角Bが多くともA/4、より好ま
しくは多くともA/10以下であるようなものが好ましい。
棒状の紫外線ランプは好ましい線状照射光源の一つであ
る。長さ約40cm、直径約2cmの棒状紫外線ランプ(3KW)
を例えば水平に保った10cm×10cmのフィルムの上方40cm
にランプがフィルム面に平行になるように配置したとき
上記視角Aは約54゜となり、視角Bは約3゜となる。棒
状の紫外線ランプは本発明における好適な線状光源であ
る。このような線状光源の他に、被照射位置から見て、
光源が見かけ上線状になる様なもの、例えば点光源を多
数個連続して並べて、見かけ上線状に並べた光源、また
はレーザー光等からの光を回転鏡及び凹面鏡を用いて走
査(被照射位置の1点について異なる多数の角度から照
射)するようにした装置も線状光源として使用すること
ができる。
照射光が紫外線の場合、棒状紫外線ランプとしては、
例えば、水銀ランプあるいはメタルハライドランプなど
が取扱の容易さを考慮した場合、好適である。また、線
状光源は、その長軸の長さが光重合性組成物のフィルム
の長さと同等であるか又はそれよりも長くするのが好ま
しい。
この場合、線状光源の長さが大きくなるほど、線状光
源から照射された光は、線状光源の長軸方向において光
散乱透過性パターンの後方へ廻り込み易くなる。その結
果、光散乱透過性パターンに被覆されているフィルム部
分までが重合硬化して、本来いずれの角度から見ても透
明であるべき部分がある角度範囲から見て不透明な視野
を与える部分になる。
この不都合を避けるため、好ましくは、線状光源によ
る光照射を、線状光源とアセンブリーとの間の空間に複
数の光邪魔板を配置し、該光邪魔板を通して行う。複数
の該光邪魔板は各板が板面を対向する関係で、該アセン
ブリーの面に実質的に垂直に且つ該線状光源の長軸方向
にほぼ等間隔で配列されている。
すなわち、上記の如く配置された光邪魔板を通して光
照射を行うことにより、線状光源の長軸方向のある位置
から発せられた光は、もし、該位置から比較的離れた位
置のフィルム部分にまで到達するならば、光散乱透過性
パターンの後へ廻り込むところであるが、該光邪魔板に
よってカットされて該フィルム部分にまで到達できなく
なる。換言すれば、該光邪魔板を通して光照射を行うこ
とにより、線状光源の長軸方向のある位置から発せられ
た光は、その直下およびその比較的近傍のフィルム部分
にしか到達することができず、従って光散乱透過性パタ
ーンの後方へ廻り込むこともなくなる。
ここで使用される光邪魔板は光硬化させることが可能
な光を遮ることができるものなら何でもよいが、厚みは
薄いものがより好ましい。
一方、光照射源が点光源または平行光源の場合、光透
過体のうち照射光を散乱透過する部分を介して光を照射
し硬化したフィルム部分は、どの角度からの入射光も直
進透過するようになり、光透過体の光直進透過部分を介
して光を照射し硬化したフィルム部分は、どの角度から
の入射光も散乱透過するようになる。
本発明によれば、上記の如き方法により、光透過体の
光散乱透過性パターンにより規定される光直進透過領域
を備えた光制御板が製造される。
本発明によれば、さらに、照射光源が線状光源である
場合に、光制御板を連続的に製造する方法が同様に提供
される。
すなわち、本発明により提供されるかかる連続的製造
法は、 (1)光重合性組成物のフィルムおよび該フィルムの表
面に沿って配置された所定の光散乱透過性パターンを備
えた光透過体からなるアセンブリーを準備し、 ここで、該光重合性組成物は、 (a)重合性炭素−炭素二重結合を有し且つ屈折率の異
なる重合体を生成し得る少なくとも2種の単量体の混合
物、 (b)重合性炭素−炭素二重結合を分子内に複数個有す
る単量体の少なくとも一種、及び (c)重合性炭素−炭素二重結合を持たない化合物およ
び重合性炭素−炭素二重結合を有し且つ該化合物の屈折
率と異なる屈折率の重合体を生成し得る少なくとも1種
の単量体の混合物、 から選ばれ、 (2)上記アセンブリーを該フィルムの面方向に連続的
に移動せしめつつ、上記アセンブリーに対し上記光透過
体の存在する側から限定的角度で光を照射して該フィル
ムの光重合性組成物を重合せしめ、その際上記光は上記
アセンブリーの移動方向を横切る方向に且つ該フィルム
の表面にほぼ平行に長軸が位置するように上記アセンブ
リーの上方空間に配置された線状光源から発せられ、か
くして所定の角度の入射光のみを散乱透過させそれ以外
の角度の入射光を直進透過させる領域といずれの角度の
入射光をも直進透過させる領域を備えた光制御板を形成
せしめることを特徴とする光制御板の連続的製造法であ
る。
上記連続的製造法(以下連続法という)において、工
程(1)は先に記述した方法における工程(1)と全く
同種である。
連続法によれば、次いで、工程(2)すなわち第2工
程において、上記アセンブリーを、フィルムの面方向
に、連続的に移動せしめつつ、上記アセンブリーに対
し、上記光透過体の存在する側から限定的に光を照射す
る。その際照射する光は、上記アセンブリーの移動方向
を横切る方向に長軸が位置するように配置された線状光
源から発せられる。
線状光源を用い、アセンブリーに対し、上記光透過体
の存在する側から限定的角度で光を照射することによ
り、光透過体の光散乱透過性パターン以外の部分に相当
する光直進透過性部分により限定される、特定の角度の
光のみを散乱する領域を備えた光制御板すなわち線状光
源の長軸と短軸方向に対して異方性を示し、光源長軸方
向を軸として回転させた場合にのみ、特定角度の光を散
乱する領域と前記パターンに対応する全ての角度からみ
て透明な領域とを有する光制御板が得られる。
すなわち、工程(2)において、アセンブリーを移動
させながら、その移動方向を横切る方向に長軸が位置す
るように配置された線状光源からの光を、例えば該アセ
ンブリーと該線状光源との間に設けた照射角度限定手段
で一部カットして、すなわちアセンブリーの移動方向に
対し上流側に降り注ぐ部分の光をカットして、移動する
該アセンブリーに対して、光透過体を通して光を照射す
る。換言すれば、本発明の工程(2)では、アセンブリ
ーの移動方向に対し下流側に降り注ぐ部分の光しか該ア
センブリーには照射されないので、限定的角度で光が照
射されることになる。かくして、工程(2)によれば、
アセンブリーはアセンブリーの移動方向において、常に
一定角度で、光透過体を通して、線状光源からの光照射
を受けることになる。このことが、散乱される入射光の
角度が一定である領域を備えた光制御板を製造すること
を可能とするのである。
上記照射角度限定手段は、例えば移動するアセンブリ
ーを、移動方向において光照射から遮蔽しうるように設
けられる。
照射角度限定手段のアセンブリーに対する光照射角度
を限定する先端部の形状は直線状であるのが好ましく、
直線状先端部はアセンブリーの移動方向に対し垂直であ
っても傾斜していてもよい。
また、上記線状光源は、その長軸の長さがアセンブリ
ーの移動方向と直交する方向の長さと同等であるか又は
それよりも大きくなるように設けるのが望ましい。
この場合、線状光源の長さが大きくなるほど、線状光
源からの光照射は、線状光源の長軸方向において、光散
乱透過性パターンの後へ廻り込み易くなるので、それを
避けるため前記した如き光邪魔板を設けることが好まし
い。
<作用、効果> 以下、線状光源から、光透過体の光直進透過域(光散
乱透過性パターン以外の領域)を通して、光を照射さ
れ、硬化されたフィルム部分が、特定の角度の入射光の
みを散乱透過させる選択的光散乱機能を有することを添
付図面を参照しつつ説明する。
水平に置かれた未重合のフィルムの上方に、例えば約
40cm上方でフィルム面中央から立てた垂直面から測って
約45゜傾斜した位置に前記線状光源をその光源の長さ方
向が前記垂直面に平行になるようにかつ水平に配置して
光を照射し、フィルムの硬化反応を生じさせると、作成
された硬化フィルムには異方性が生じる。すなわち、第
9図に示すように硬化フィルムの断面を見ると、光照射
面側を8とした硬化フィルムの内部に微小構造の層9が
形成される。この層の厚みd2は約5−5000ミクロンであ
り、表面から層までの深さd1は0−100ミクロンであ
る。d1の厚みはフィルムの硬化反応が生じる雰囲気によ
って変化する。ここで、層の厚みd3は通常は25−5000μ
mである。
平面図である第10図及び断面図である第9図に示すよ
うに、微小構造層9は線状光源13にほぼ平行に伸びる多
数の細長い微小体11,12から構成される。第10図のA−
A′線で切った断面図である第7−a図に示すように微
小体11,12の各々は第7−b図に示す照射源からの光の
照射方向Zよりも小さい角度Z′で傾斜している。この
角度Z′は照射した光がフィルム内を屈折し進行する屈
折角にほぼ等しい。各微小体11間及び12間のピッチd5は
0.1−20μmである。
このフィルムの光選択散乱性は、第8図において、照
射源からの照射角Zに等しい角度Y1で入射する光A1、及
びフィルムの反対側で照射角Zに等しい角Y2で入射する
光1Aは最も強く散乱される。言い替えればその角度でフ
ィルムを通して向こう側に見たとき、最も白濁して視界
が遮られる。入射する光は必ずしも第8図の紙面に平行
な入射光だけでなく、前記入射角Y1またはY2の光線を含
みかつ紙面に垂直な平面内を通ってフィルムに入射する
光(紙面に投影して測った入射角Y1またはY2に等しい入
射光)を最も強く散乱される。そして種々の入射角の光
に対するヘイズ率はZの入射角近傍において最大である
山形のグラフ形状を示す。もし照射光源の大きさが小さ
くなり、前記視角で表して、長軸の視角Aが5゜未満に
なった時は重合後のフィルムはもはや異方性を示さなく
なり、どの方向の入射光に対しても散乱するようにな
る。このように照射光源として点光源または実質的に平
行な光を用いて重合したフィルムは無方向性の光散乱を
示すようになる。
また逆に照射光源の大きさが次第に大きくなると、ヘ
イズ率のグラフの山の高さが低くなり、照射光源の大き
さが前記視角で表して、短軸方向の視角Bが100゜より
も大きくなった時は、もはや異方性を示さなくなる。即
ち、照射され重合したフィルムはどの方向からみても透
明であり、選択的な光散乱を示さなくなる。
このような光源としては、重合すべきフィルムに比較
的近接して配置した面光源、または拡散光源を挙げるこ
とが出来る。また、加熱によってフィルムを重合した場
合も透明になる。
このように線状光源を用いて重合したフィルムが選択
的光散乱を示す理由は定かではないが、第10図において
微小構造11,12は相互に屈折率が異なる層構造であり、
(このような屈折率差はフィルムの原料として用いる光
重合性の化合物の単量体の単独重合体の屈折率差と深い
関連がある)微小体の傾斜角Z′に近い角度で入ってき
た光は屈折率の異なる領域の境界で回折、散乱されるた
めであると考えられる。角度選択性は回折の角度選択性
により、層構造の間隔によって決定される。即ち、層間
隔が小さければ小さいほど散乱する角度幅は大きくな
る。また散乱の程度を表すヘイズ率は層構造の乱れに影
響される。即ち、乱れが大きければ大きいほどヘイズ率
は高くなる。また、同じ層構造の乱れであればフィルム
厚が厚くなるほど光が通る距離が長くなるために散乱の
程度が増幅されるためヘイズ率は高くなる。
照射光源が面光源または拡散光源である場合には、こ
のような微小構造は形成されることなく、フィルムは透
明であって選択的な光散乱は示さない。また、照射光源
が点光源である場合には膜内には微小構造は形成される
ものの、線状光源の場合のような規則性がなくランダム
に配置し、従って、どの様な入射光も微小構造内で反射
して、方向性の無い光散乱を与えるフィルムとなると考
えられる。
<実施例> 以下、この発明の実施例を挙げて説明するが本発明
は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 ポリプロピレングリコール、ヒドロキシエチルアクリ
レートおよびイソホロンジイソシアネートから成るポリ
エーテルウレタンアクリレート(屈折率1.481)100部、
トリブロモフェノキシエチルアクリレート(屈折率1.56
7)100部並びにヒドロキシイソブチルフェノン6部から
成る重合性組成物を調製した。この組成物を40cm×40cm
で2mmの厚みのガラス基板1の上に流しだして、25cm×4
0cmで300μmの厚みのフィルム5に成膜した。一方第3
図に示したように、字体「A」というパターンをサンド
ブラストにより表面をスリ状態の粗面にした40cm×40cm
で2mmの厚みの別のマスク体ガラス板(光透過体)2を
準備した。第1図および第2図に示したように、重合性
組成物のフィルム5を上面にしたガラス基板1の周辺に
高さ1mmのスペイサー4を配置し、光透過体2をスリの
ある面を下方にしてその上に保持した。ガラス基板1の
中心から垂直方向の上方に50cmの間隔をあけて、棒状の
紫外線ランプ3(80W/cm、2KW、直径2cm、発光長25cm)
を水平にかつガラス基板1の辺abに平行になるように設
置した。ランプ3により紫外光をマスク体ガラス板2を
介して照射しフィルム5の重合性組成物を光硬化せしめ
た。硬化したフィルムをガラス基板1から剥離した。フ
ィルム状の光制御板が得られた。この光制御板をランプ
の設置してあった方向の正面から見ると、文字Aの部分
は透明に見え、その他の部分は不透明に見えた。辺abの
軸方向左右に25度以上回転させると文字以外の部分も透
明に見え、文字Aの輪郭が完全に見えなくなった。
JISK−6714に準じ積分球式光線透過率測定装置により
この光制御板の全光線透過率および散乱光線透過率をそ
れぞれ文字Aの部分および文字A以外の部分について測
定しヘーズ率(曇価)を求めた。光制御板をその辺abに
平行な軸の回りに傾けて光を辺abに垂直な方向から入射
させて入射光と光制御板との角度を変化させて、上記ヘ
ーズ率を算出した。入射角に対するヘーズ率の変化を第
4図に示す。
ここで「文字A」と表示した実線は文字Aの部分、
「文字A以外」と表示した実線は文字A以外の部分にお
けるヘーズ率を示している。即ち光制御板の文字Aの部
分は入射角が何度であってもヘーズ率の絶対値は1%以
下であり、文字A以外の部分における入射角90度の入射
光のヘーズ率の絶対値は約75%であった。
実施例2 実施例1での棒状の紫外線ランプに変えて小球の形の
超高圧水銀ランプ(20mm×20mm)を使用した以外は実施
例1と同一条件で光制御板を作成した。得られた光制御
板は、どの角度から見ても、文字Aの部分は透明に見
え、その他の部分は不透明に見えた。
実施例3 平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコ
ールとトルエンジイソシアネートおよび2−ヒドロキシ
エチルアクリレートの反応によって得たポリエーテルウ
レタンアクリレート(屈折率1.490)100部に対してトリ
ブロモフェノキシエチルアクリレート100部およびベン
ジルジメチルケタール6部を添加混合した重合性組成物
を調製した。この組成物を40cm×40cmで2mmの厚みのガ
ラス基板1の上に流しだして、25cm×40cmで300μmの
厚みのフィルム5に成膜した。一方、縦線2mm、横線5mm
の格子縞部分以外の表面をサンドブラストによりスリ状
態の粗面にして形成した40cm×40cmで2mmの厚みのマス
ク体ガラス板2を準備した。第5図および第6図に示し
たように、重合性組成物フィルム5を上面にしてガラス
基板1の周辺に高さ2mmのスペイサー4を配置し、マス
ク体ガラス板2を、スリのある面を下方にしてその上に
保持した。ガラス基板1の中心から垂直方向の上方に70
cmの間隔をあけて棒状の紫外線ランプ3(30W/cm、2.1K
W、直径2cm、発光長70cm)を水平にかつガラス基板1の
辺abに平行になるように設置した。さらにランプ長軸方
向に対し垂直に表面をアルマイト処理した20cm×20cm×
3mm厚のアルミ製の光邪魔板7をランプ下15cmの位置に5
cm間隔で13枚配置した。紫外線ランプ3により紫外光を
マスク体ガラス板2を介して照射しフィルム5の重合性
組成物を光硬化させた。硬化したフィルムをガラス基板
1から剥離し、フィルム状の光制御板を得た。この光制
御板をランプの設置してあった方向の正面からみると、
格子縞部分は不透明に見え、その他の部分は透明に見え
た。格子縞以外の部分はどの角度からでも透明に見え
た。辺abの軸方向左右に25度以上回転させると格子縞の
部分も透明に見え格子縞の輪郭が完全に見えなくなっ
た。
この光制御板をランプの設置してあった方向の正面か
らみて、不透明な格子縞の縦線および横線の線巾を調べ
てみると、縦線は2.05mm、横線は5mmであった。なお、
光邪魔板を取り除いた以外は上記と同様にして作成した
光制御板は、ランプの設置してあった方向の正面からみ
て、不透明な格子縞の縦線および横線の線巾が、縦線は
2.9mm、横線は5mmを示すものであった。
実施例4 実施例1と同じ組成物を70cm×40cmで、2mmの厚みの
ガラス基板21の上に流しだして70cm×25cmで300μmの
厚みのフィルム25に成膜した。一方、第3図に示したよ
うに字体「A」というパターンをサンドブラストにより
表面をスリ状態の粗面にした70cm×40cmで2mmの厚みの
別のマスク体ガラス板(光透過体)22を準備する。重合
性組成物のフィルム25を上面にしたガラス基板21の周辺
に高さ1mmのスペイサー24を配置し、光透過体22をスリ
のある面を下方にして、その上に保持し、アセンブリー
26を準備した。第11図に示すように、アセンブリー26を
30cm間隔に設けた回転ロール28上に置いた。ロール28が
一定速度で回転し、アセンブリー26をその進行方向が、
アセンブリー26の(第1図の)ab方向に直角になるよう
に水平に置き、アセンブリー26を40cm/分の速度で移動
(図面で右方向)にさせた。アセンブリー26の上面から
上方70cmの位置に棒状の紫外線ランプ23(80W/cm 5.6k
w、ランプ直径2cm、ランプ長70cm)をその長さ方向が水
平でかつロール28の軸に平行に、すなわちアセンブリー
26の巾方向(ab)に平行になるように配置した。さらに
ランプ23の長軸に対し、垂直に20cm×20cmの表面をアル
マイト処理した3mm厚のアルミ製の光邪魔板27を棒状の
紫外線ランプ23の下方15cmの位置に5cm間隔で13枚配置
した。照射角度限定手段29をアセンブリー26の上面のす
ぐ真上に配置した。照射角度限定手段29の先端部は図面
で棒状の紫外線ランプ23の真下から垂直の位置にロール
軸に平行に位置している。ロール28の回転により、アセ
ンブリー26は移動しながら、フィルム25の重合性組成物
は、棒状の紫外線ランプ23より紫外光を光透過体22を介
して照射され、光硬化した。硬化したフィルム25をガラ
ス基板21から剥離し、フィルム状の光制御板が得られ
た。この光制御板を正面において観察すると透明な文字
「A」が白濁した周囲の中に見えた。この透明な文字
「A」の形状および大きさは、光透過体22の字体「A」
と全く同じであった。光制御板を辺abを軸に約20度以上
左右に傾斜させると、光制御板全面が透明となり、文字
は見えなかった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の工程(1)において用いられる重合
性組成物と光散乱透過性パターンを備えた光透過体から
構成されるアセンブリーおよび線状光源の組合せ一例を
示す斜視図である。 第2図は、第1図の側面図である。 第3図は、本発明で使用する光散乱透過性パターンAを
備えた光透過性の一例を示している。 第4図は、発明方法により製造された光制御板の光学特
性を示している。 第5図は、本発明方法を実施するための光邪魔板を備え
た装置を含む本発明方法を説明するための概略斜視図で
ある。 第6図は第7図に示された装置の概略の側面図である。 第7a図、第7b図、第8図、第9図および第10図は本発明
の原理を説明するための説明図である。第11図は本発明
を実施するための光邪魔板を備えた装置を含む本発明方
法を説明するための側面図である。 1……ガラス基板,2……光透過体 3……棒状紫外線ランプ,4……スペイサー 5……樹脂組成物フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石塚 聡 大阪府大阪市中央区道修町3丁目5番11 号 日本板硝子株式会社内 (72)発明者 北山 慎一郎 茨城県つくば市北原6番 住友化学工業 株式会社内 (72)発明者 穂積 滋郎 茨城県つくば市北原6番 住友化学工業 株式会社内 (72)発明者 穂積 滋郎 茨城県つくば市北原6番 住友化学工業 株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−40903(JP,A) 特開 平1−40946(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02B 5/00 - 5/136

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)光重合性組成物のフィルムおよび該
    フィルムの表面に沿って配置された、光を散乱透過する
    光散乱透過性パターンおよび光を直進透過する部分を備
    えた光透過体からなるアセンブリーを準備し、 ここで、該光重合性組成物は、 (a)重合性炭素−炭素二重結合を有し且つ屈折率の異
    なる重合体を生成し得る少なくとも2種の単量体の混合
    物、 (b)重合性炭素−炭素二重結合を分子内に複数個有す
    る単量体の少なくとも一種、及び (c)重合性炭素−炭素二重結合を持たない化合物およ
    び重合性炭素−炭素二重結合を有し且つ該化合物の屈折
    率と異なる屈折率の重合体を生成し得る少なくとも1種
    の単量体の混合物、 から選ばれ;そして (2)上記アセンブリーに、上記光透過体の存在する側
    に配置された、 [1]上記光重合性組成物のフィルムの表面にほぼ平行
    に位置する長軸を備えた線状光源、または [2]点光源もしくは平行光源 からの光を照射して該フィルムの光重合性組成物を重合
    せしめて、 (イ)上記光散乱透過パターンにより規定される、いず
    れの角度の入射光も直進透過させる領域、および (ロ)上記光を直進透過する部分により規定される、上
    記線状光源からの光を照射する場合には所定の角度の入
    射光のみを散乱透過させそれ以外の角度の入射光を直進
    透過させる領域、または、上記点光源もしくは平行光源
    からの光を照射する場合にはいずれの角度の入射光も散
    乱透過させる領域、 をそれぞれ備えた光制御板を形成せしめる、 ことを特徴とする光制御板の製造法。
  2. 【請求項2】上記工程(2)における上記光照射が上記
    線状光源から行われ、しかもその光照射が上記線状光源
    と上記アセンブリーとの間の空間に配置された複数の光
    邪魔板を通して行われ、そして該光邪魔板は各板が板面
    を対向する関係で、該アセンブリーの面に実質的に垂直
    に且つ該線状光源の長軸方向にほぼ等間隔で配列されて
    いる、特許請求の範囲第1項記載の光制御板の製造方
    法。
  3. 【請求項3】(1)光重合性組成物のフィルム及び該フ
    ィルムの表面に沿って配置された光を散乱透過する光散
    乱透過性パターンおよび光を直進透過する部分を備えた
    光透過体からなるアセンブリーを準備し、 ここで、該光重合性組成物は、 (a)重合性炭素−炭素二重結合を有し且つ屈折率の異
    なる重合体を生成し得る少なくとも2種の単量体の混合
    物、 (b)重合性炭素−炭素二重結合を分子内に複数個有す
    る単量体の少なくとも一種及び (c)重合性炭素−炭素二重結合を持たない化合物およ
    び重合性炭素−炭素二重結合を有し且つ該化合物の屈折
    率と異なる屈折率の重合体を生成し得る少なくとも1種
    の単量体の混合物、 から選ばれ、 (2)上記アセンブリーを該フィルムの面方向に連続的
    に移動せしめつつ、上記アセンブリーに対し上記光透過
    体の存在する側から限定的角度で光を照射して該フィル
    ムの光重合性組成物を重合せしめ、その際上記光は上記
    アセンブリーの移動方向を横切る方向に且つ該フィルム
    の表面にほぼ平行に長軸が位置するように上記アセンブ
    リーの上方空間に配置された線状光源から発せられ、か
    くして所定の角度の入射光のみを散乱透過させそれ以外
    の角度の入射光を直進透過させる領域といずれの角度の
    入射光をも直進透過させる領域を備えた光制御板を形成
    せしめることを特徴とする光制御板の連続的製造法。
  4. 【請求項4】上記工程(2)における上記光は、該アセ
    ンブリーと該線状光源との間に位置する照射角度限定手
    段で一部分カットされて該アセンブリーに限定的角度で
    照射される特許請求の範囲第3項記載の光制御板の連続
    的製造法。
  5. 【請求項5】上記工程(2)における光照射が該線状光
    源と該照射角度限定手段との間の空間に配置された複数
    の光邪魔板を通して行われ、そして複数の該光邪魔板は
    各板が板面を対向する関係で、該アセンブリーの面に実
    質的に垂直に且つ該線状光源の長軸方向にほぼ等間隔で
    配列されている特許請求の範囲第3項または第4項に記
    載の光制御板の連続的製造法。
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