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JP2811698B2 - 内燃機関の点火時期制御装置 - Google Patents

内燃機関の点火時期制御装置

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Publication number
JP2811698B2
JP2811698B2 JP63325102A JP32510288A JP2811698B2 JP 2811698 B2 JP2811698 B2 JP 2811698B2 JP 63325102 A JP63325102 A JP 63325102A JP 32510288 A JP32510288 A JP 32510288A JP 2811698 B2 JP2811698 B2 JP 2811698B2
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ignition timing
section
correction
ignition
signal
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敏夫 高畑
芳裕 岡田
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Nissan Motor Co Ltd
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Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、内燃機関の点火時期を電子的に行なう点火
時期制御装置に関する。
従来の技術 従来この種の電子式点火時期制御装置としては、種々
なものが提供されており、その一例として特開昭57−19
3768号公報等に記載されたものがある。これは、角加速
度に対応した点火時期の補正時間を加減速の不感帯の境
界において零とし、不感帯外ではこの零を基点として補
正時間が角加速度に応じて連続的に変化するように構成
したものであって、アイドル運転時のように回転数が不
安定な場合に生ずる点火進角度のばらつきを抑制すると
共に、角加速度に応じた点火時期の補正を行なうように
したものである。
発明が解決しようとする課題 ところで、上述のようなクランク軸の角加速度により
発生する点火時期の誤差を補正する制御方法としては、
下記に述べる周期の直線補間外挿法によって補正係数を
求め、この補正係数に基づいて所定の進角制御を行なっ
ている。つまりクランク角センサが発生する基準位置パ
ルス間を回転するのに要した時間を計測して記憶し、前
回の値T2と今回の値T1との差値Tdを演算し、その差値に
よってのみ次回の周期を予測して補正係数を求めている
ため、低速から高速までの広い範囲に亘って加速時の高
精度な点火時期制御が困難であった。具体例を掲げて詳
述すれば、まず、第13図〜第15図において、空吹し時の
目標点火時期と、実際に点火された点火時期の関係を示
す。すなわち、角加速度補正が無い場合は、第13図に示
すように一連の加速中に実際の点火時期(破線)が目標
の点火時期(実線)より大巾に遅角してしまう。これに
対して、上述のような方法で角加速度補正を行なった場
合で、その補正係数を低回転側で目標点火時期と実際の
点火時期が一致するように選定すると、上記補正が無い
場合に比して精度が向上するものの、第14図に示すよう
に機関回転数が上昇するにしたがって目標点火時期(実
線)に対して実際の点火時期(破線)が遅角してしま
う。一方、補正係数を高回転側で目標の点火時期と実際
の点火時期が一致するように選定すると、第15図に示す
ように低回転側では目標の点火時期(実線)に対して実
際の点火時期(破線)が進角してしまう。このように補
正係数が一定の値である場合は、加速時の高精度な点火
時期を行なうことが困難である。
課題を解決するための手段及び作用 本発明は、上記従来の問題点に鑑みて案出されたもの
で、第1図に示すように所定のクランク角度において気
筒数に応じて基準位置パルスを発生するクランク角検出
手段100と、上記基準位置パルスのON,OFFパルス巾の時
間を計測して機関回転数を演算する手段200と、上記ON
パルスまたはOFFパルスにより今回と前回の所定角度間
の時間計測値と前回と前々回の所定角度間の時間計測値
の差値を演算する手段300と、機関運転状態に応じて点
火進角値を算出する手段400と、上記機関回転数の関数
として角加速度補正係数を決定する手段500と、上記時
間計測値の差値と点火進角値と角加速度補正係数加速時
の点火時期補正を行なう手段600と、スロットル開度量
がアイドル回転数以下であるか否かを判断する手段700
と、アイドル回転数以下のスロットル開度量であるとき
は、前記点火時期補正手段600による点火時期補正を中
止する手段800とを備えることを特徴としている。この
ように、点火時期の補正係数を、特に機関回転数の関数
として求めたため、角加速度に起因して発生する点火時
期の誤差を適確に抑制することが可能となる。しかも、
本発明は、スロットルがアイドル回転数以下の開度量で
あるときには、点火時期補正中止手段800によって点火
時期補正手段600による点火時期補正を中止するように
したため、アイドル回転の安定化が図れる。
すなわち、前述の点火時期補正手段600により角加速
度補正係数などに基づいて点火時期を補正するという基
本的な技術目的は、車両の加速時において機関回転数が
急上昇した際に、最適な点火時期に制御して出力を向上
させる点にある。したがって、アイドル回転時に前述の
点火時期補正を行うと、例えばわずかな回転変動、つま
りわずかに回転が上昇すると、前記点火時期補正手段60
0による点火時期補正制御によって回転を上昇させる方
向に点火時期制御が働いて、アイドル回転を上昇させて
しまうおそれがある。
そこで、本発明のように、アイドル回転時には、点火
時期補正中止手段800によって前記点火時期補正制御を
中止すれば、わずかな回転変動が生じても常に安定した
回転が得られる。これは、逆に機関回転数がわずかに低
下した場合にも回転を低下させる方向への制御を防止で
きるので、アイドル回転の安定化が図れる。
実施例 以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。
第4図は本発明が適用される4サイクル4気筒の電子
制御式内燃機関1における機械的構成を示しており、2
はCPU3,ROM4,RAM5,I/Oポート6を備えたマイクロコンピ
ュータであって、このマイクロコンピュータ2は、吸気
管7に設けられたエアフローメータ8からの吸気量信号
Qaや、スロットルバルブ9の開度検出センサ10からの開
度量信号TVOや、水温センサ11からの冷却水温信号Tw
他、排気管12に設けられたO2センサ13からの基準電圧Vs
や、ディストリビュータ14に内蔵された光電式のクラン
ク角センサ21からの機関回転数信号N等を入力して現在
の機関運転状態を検出し、点火時期制御を行なってその
信号を点火プラグ15に出力している一方、噴射燃料量を
制御してその信号を燃料噴射弁16に出力している。
そして、上記クランク角センサ21は、第2図に示すよ
うにディスシャフト17に連結されたロータプレート22
と、該ロータプレート22の上下にセットされた図外の発
光ダイオード及び受光ダイオードと、信号処理部とを備
えており、上記ロータプレート22には、#1,#2,#3,#
4気体に対応した4つのシグナルスリット23,24,25,26
と、1つの気筒判別基準信号用スリット27とが同一円周
上に設けられている。上記4つのシグナルスリット23,2
4,25,26は、周方向へ同一の長さに設定され、互いにデ
ィスシャフト17を中心とした対称位置つまりクランク軸
の回転角度で180゜(図中は90゜)の等間隔位置に配設
されている。また、各シグナルスリット23,24,25,26は
その気筒毎の基準位置パルス信号であるクランク角180
゜のON信号(HレベルPH)が第3図のaにも示すように
クランク回転角の圧縮上死点(TDC)前約75゜付近から
立上がり、TDC前約5゜付近で立下るようにそのHレベ
ルエッジからLレベルエッジまでの巾長さが設定されて
いる。一方、気筒判別基準信号用スリット27は、周方向
の長さが各シグナルスリット23,24,25,26の長さよりも
短く設定され、#1気筒シグナルスリット23の近傍つま
り上記TDC後約30゜以内に設けられ、Hレベルエッジ(O
H)がTDC後約5゜位置に設定されている。
そして、上記各スリット23,24,25,26,27を通過する光
によって第3図aに示すようなクランク角180゜のHレ
ベル信号PHと気筒判別基準信号PSとのON−OFFパルス信
号が出力されている。そして、この各パルス信号を入力
したマイクロコンピュータ2は、クランク角180゜信号
間の時間を計測してエンジン回転数Nを検出し、このエ
ンジン回転数Nとエアフローメータ8からの吸気量信号
Qa及び水温センサ11からの冷却水温TWとの関数で求めら
れて予め記憶された点火時期値データによて可変点火時
期制御を行なっている(第3図c参照)と共に、アイド
ル時や減速時には上記点火時期値データを用いないエン
ジン回転数Nに応じた固定点火時期制御を行なっている
(第3図b参照)。尚、上記クランク角180゜パルス信
号のHレベルPH(ON)巾は70゜、LレベルPO(OFF)巾
は110゜に設定されており、上記固定点火時期制御にお
ける通電時間は上記クランク角180゜のHレベルパルス
巾と同一であり、点火時期はLレベルエッジと同時期に
なっている一方、可変点火時期制御における通電時間は
マイクロコンピュータ2に記憶している通電時間を通電
角に演算して求められ、点火時期はクランク角180゜信
号のHレベルPHを基準とした所定角度の進角時期に設定
されており、この可変点火時期制御においては、車両加
速時の角加速度によって生じる点火時期の誤差を後述す
る所定の手段で制御する制御も行なっている。
また、上記マイクロコンピュータ2は、燃料噴射制御
についても、機関運転状態に応じて例えば始動初期時に
はクランク角度位置検出信号に基づいて全気筒同時噴射
を行ない、一方所定の条件下ではクランク角度位置検出
信号と気筒判別信号PSに基づいて各気筒の圧縮上死点前
に順番に噴射する所謂シーケンシャル噴射を行なってい
る。
以下、上記マイクロコンピュータ2の制御作用を第5
図のフローチャートに基づいて説明する。この基本ルー
チンはクランク角センサ21から出力された基準位置パル
ス(HレベルPH…)の立上りあるいは立下りで割り込み
する。まず、セクション1で各パルス間(第3図aDT1
DTn)の時間を読み取り、セクション2で時間比(DDT)
をDTn-1/DTnの式で求める。次にセクション3で始動ス
イッチをONした後に入力パルスは所定の回数以上か否か
を判断する。ここでON、つまり始動初期時のようにクラ
ンク軸2回転以下で5パルス発生以下であれば、気筒判
別をしないためセクション4に進む。ここでは、燃料噴
射をHレベル信号の2回に1回の割合で行ない、点火を
Hレベル信号で通電、Lレベルで放電の制御フラグ(FL
G)を立てて後述のルーチン(FLGA=0)に進む。一
方、上記セクション3でYESであればセクション5で180
゜パルス信号はHレベルか否かを判別し、Hレベルでは
ない場合は立上りエッジによる割り込みにより次のルー
チンへ進む。このセクション5でHレベルであると判別
した場合は、セクション6に進み、ここでは上記セレク
ション2で計算した時間比が所定値以上か否かを判別す
る。すなわち、ここでは180゜パルス信号の今回のLレ
ベル角度θOFFと前回のHレベル角度θONの比θON
OFF(第3図参照)が例えば3よりも大きいか否かを判
別する。ここで「3以上」としたのはパルス巾の分解能
が発揮できる範囲でかつ点火時期の固定進角範囲(5゜
〜10゜)が得られる値とするためである。ここで、3以
上と判断した場合(5回に1回の気筒判別基準信号のOH
の場合)は、セクション7で気筒認識信号であるFLGBで
1を立てて、単に気筒を認識する。次に、セクション8
で後述の180゜角度間の計測時間 T180から の式により通常の機関回転数Nを演算する。次に、セク
ション9で始動スイッチがOFFか否かを判別し、OFFであ
ればセクション10で上記機関回転数Nが例えば400r・p
・m以上か否かを判別し、400r・p・m以上であればセ
クション11でFLGCが1になっているか否かを判別する。
つまりここでは、上記始動スイッチや機関回転数等の全
ての条件がシーケンシャル制御の可能条件を満たしてい
るか否かを判別し、YESであればセクション12でシーケ
ンシャル噴射,点火進角を実施するフラグを立てて後述
のルーチン(FLGA=2)に移行する。
一方、上記セクション9,10,11のいずれか1つがNOで
あればセクション13に進み、ここではクランク軸1回転
2回の同時燃料噴射と、固定の通電角,点火時期を実施
するフラグを立てて後述のルーチン(FLGA=1)に移行
する。
一方、上記セクション6でNOと判別した場合(気筒判
別基準信号のOHの場合以外)は、セクション14でFLGBが
1になっているか否かを判別し、つまり気筒認識信号が
立っているか否かを判別して、YESであればセクション1
5でMシリンダ(CYL)を0にして基準を置く。ここでMC
YLとは、0,1,2,3を用いる変数であって、0のときは第
1気筒、1のときは第2気筒としており、上記FLGB=1
ではMCYLを0にセットしている。続いて、セクション16
でFLGCを1に立てて、セクション17で上記のように機関
回転数Nを求める要素として180゜間の時間をT180によって計測する。つまりここでは、セクション15でMC
YL=0となっているため、DT2+DT3+DT4+DT5の4つの
時間を加算して計測している。次に、セクション18で
は、点火時期の基準となる今回と前回のHレベルPH間つ
まりLレベルの角度(110゜)間θの時間DTBを計測す
るものであって、この場合は気筒判別基準信号PSがある
ため、この信号PSを含めた によって計測する。つまり、DT3+DT4+DT5の3つの時
間を加算して計測する。
続いてセクション19では、第3図aに示すように上記
110゜θ間の時間DTBを順次更新して新しい基準値を計
測して記憶する。これは後述する角加速度分を計算する
ために用いられるものであって、可変点火時期制御(第
3図c)に加えられる各加速度補正点火時期制御の制御
要素となる。次にセクション20でFLGBを0にする。つま
りFLGBが0のときは気筒判別基準信号PSの立っていない
ところの状態であって、このときはセクション5でMCYL
=0になっているので次は0+1で第1気筒、次は第2
気筒…と認識されて、上記セクション8に移行し、以後
上述のような判断,処理がなされる。
また、上記セクション14でFLGBに1が立っていない場
合は、気筒識別信号PSが出されておらず、したがってセ
クション21でMCYLを1気筒づつ加算する処理を行ない、
次にセクション22で の式で180゜の時間計測をする。続いてセクション23で1
10゜θの時間DTBをDTnから計測し、上述のセクション
19に移行して以後の処理を行なう。
以下、上述のFLGA=0,FLGA=1,FLGA=2のルーチンに
ついて説明する。まず、気筒識別ができていないセクシ
ョン4からFLGA=0のルーチンは、第6図に示すように
セクション30で再び180゜パルス信号がHレベル気筒判
別基準信号PSを含めたか否かを判別し、YESであればセ
クション31において圧縮上死点前約75゜付近でイグニッ
ション1次コイルに通電し、セクション32で前回のパル
スHレベルPH信号で燃料噴射を行なったか否かを判断
し、YESであれば何んの処理もせずにそのままリターン
する。セクション32でNOと判断した場合は、セクション
33で全気筒同時噴射を行なう。すなわち、このセクショ
ン33では、Hレベル信号の2回に1回の割合で全気筒同
時噴射を行ない、したがってクランク軸2回転で3回の
同時噴射が行われることになる。依って、始動性が向上
すると共に、機関回転の安定化が図れる。また、上記セ
クション30で180゜パルス信号がLレベルPLであると判
断した場合は、セクション34でイグニッション1次コイ
ルの電流を遮断する。すなわち圧縮上死点前約5゜付近
で点火してリターンする。尚、斯かる気筒判別が行なわ
れない状態では、上記クランク角度位置信号の他に気筒
判別基準信号時にも点火されるが、気筒判別基準信号は
圧縮上死点後5゜で発生し、圧縮工程直後の点火になる
ため、機関燃焼作用に何んらの悪影響がなく却って良好
な燃焼作用が得られる。
次に、セクション13に続くFLGA=1のルーチンにおい
ては、既に気筒識別がなされており、始動時等の運転条
件下であるため、第7図に示すような制御となる。ま
ず、セクション40で180゜パルス信号がHレベルPHか否
かを判断し、HレベルPHである場合はセクション41で上
記時間比が所定値以上つまり「3」以上か否かを判別す
る。ここで3以上と判断するとセクション42で気筒識別
のフラグを立ててそのままリターンする。また、上記セ
クション40でNOつまりLレベルと判断した場合は、セク
ション43に進み、ここでは気筒識別フラグが立っている
か否かを判断し、立っている場合はそのままリターンす
るが、立っていなければセクション44でイグニッション
1次コイルの電流を遮断して上記固定点火時期制御に基
づき点火を開始する。一方、上記セクション41で時間比
が「3」以下であると判断した場合、つまり気筒判別基
準信号PS以外の180゜パルス信号のHレベルPHにきたと
きには、セクション45で1次コイルに通電し、続いてセ
クション46で前回のHレベルPHで噴射したか否かを判断
する。ここでYESであればセクション48に進み、NOであ
ればセクション47でクランク軸1回転で2回の全気筒同
時噴射を行ないセクション48に進む。このセクション48
では、気筒識別フラグを降ろす処理を行ないそのままリ
ターンする。
次に、セクション12から続くFLGA=2のルーチンは、
第8図に示すようにセクション50で180゜パルス信号が
HレベルPHか否かを判断し、NOであればそのままリター
ンするが、YESであればセクション51で時間比が「3」
以上か否かを判断する。ここでYESであれば信号をクリ
アするがNOであればセクション52でシーケンシャル制御
に基づきMCYLに対応する各気筒での可変点火時期制御に
よる点火・通電を行なうと共に、各気筒毎の燃料噴射を
行ないそのままリターンする。
次に、上記角加速度の点火時期補正制御を第9図のフ
ローチャートに基づいて説明する。すなわち、まずセク
ション60で機関回転数N,基本噴射量TP,機関冷却水温TW,
スロットル開度量TVOを読み込み、続いてセクション61
で上記N,TP,TWの関数から求められた上述の点火時期値
データによってTDCから所定の点火進角値(θADV)を決
定する。セクション62では、第3図で示すように今回の
110゜θ間のパルス時間DTBnを読み込み、続いてセク
ション62でスロットルバルブ9の開度量TVOが所定以上
か否かを判断する。ここでYESつまりアイドル回転以上
の開度量であると判断した場合は、セクション64で前回
の110゜θ間のパルス時間DTBn-1を読み込み、セクシ
ョン65に進む。このセクション65では、角加速度補正係
数Kを、第10図に示す機関回転数Nの関数から予め求め
られたテーブルマップから読み込む。次に、セクション
66で点火通電時間tIGNの式により演算する。ここでθは、θ後のONパルス
信号の例えば3Hレベルエッジから#2CYLのTDCまでの75
゜角である。そして、セクション67で上述のように補正
された通電時間(tIGN)後に点火プラグ15で点火するよ
うにタイマーをセットする。
一方、上記セクション63で、アイドル回転以下のスロ
ットル開度量(TVO)であると判断した場合は、セクシ
ョン68で通電時間を の式で求める。すなわち、アイドル回転以下のときは、
補正係数Kを零に設定して角加速度による点火時期補正
を行なわず、上述の固定点火時期制御に基づく通電時間
にセットする。このように、特にスロットルがアイドル
回転数以下の開度量であるときには、点火時期補正を中
止して、固定点火時期制御を行うようにしたため、アイ
ドル回転の安定化が図れる。
すなわち、前述の角加速度補正係数などに基づいて点
火時期を補正するという基本的な技術目的は、車両の加
速時において機関回転数が急上昇した際に、最適な点火
時期に制御して出力を向上させる点にある。したがっ
て、アイドル回転時に前述の点火時期補正を行うと、例
えばわずかな回転変動、つまりわずかに回転が上昇する
と、かかる点火時期補正制御によって回転を上昇させる
方向に点火時期制御が働いて、アイドル回転を上昇させ
てしまうおそれがある。
そこで、本実施例のように、アイドル回転時には、前
記点火時期補正制御を中止すれば、わずかな回転変動が
生じても常に安定した回転が得られる。
これは、逆に機関回転数がわずかに低下した場合にも
回転を低下させる方向への制御を防止できるので、アイ
ドル回転の安定化が図れる。
ここで、上記角加速度補正係数Kの意味と、その設定
方法を第11図A〜D及び第12図に基づいて説明する。す
なわち、機関の回転速度が一定の場合には、角加速度補
正を行なう必要がないことは自明であり、回転速度の変
動が大きい状態程、適確な補正が必要になる。そこで
今、回転速度の変動が最大となるスロットルバルブ9を
全開にして急加速を行なった場合を例にとって考察すれ
ば、まずスロットルバルブ9を全開にした場合の機関の
発生トルクは、回転速度によらず略一定であるため、第
11図Cに示すように機関の角加速度は略一定となる。
これによって、角加速度の一階積分である機関回転速
度は第11図Bに示すように一次関数となり、角加速度
の二階積分である機関回転位置θは第11図Aに示すよ
うに二次関数となる。
ここで、θは時間tの二次関数であることがわかった
ので、一般式 θ=1/2at2+bt+c … で表される。
また、θ=θを基準としてその後の状態変化に着目
して考察すると、式は θ=1/2at2+bt …′ となる。所定クランク角度θd(例えば180゜)毎に
θ12でクラン角基準信号が発生し、その時間を
t1,t2,tn…とすると、 となる。
式からt2を、式からtnを求めてその差tn−t2、つ
まり時間t2から次のクランク角基準信号が発生するまで
の時間を求めると、 一方、前述の補正式χを上記の式にあてはめるとtn−t2
=(t2−t1)+K{(t2−t1)−(t1−t0)} … となり、式の右辺へ式,から求めたt1,t2を代入
して、式の右辺=式の右辺とおいてKを求めると、 ここで、式の物理的な意味を考察すると、aは角加速
度で略一定、bは機関回転速度であり、刻々変化してい
る。θdは所定値である。そこで、a,b,θdを夫々代入
してKを求めると、第12図の実線のように定まる。機関
回転速度が低速では、高速に比して小さな値となり、補
正係数Kは回転速度に依存する関数である。
このようにして、Kを予め定めて第12図に示すテーブ
ルマップに記憶しておくことにより、機関運転中は式
または式χを用いて機関の低速回転から高速回転に亘っ
て短時間で高精度に点火時期の補正ができる。
尚、テーブルマップには、第12図に示すようにスロッ
トルバルブ開度または燃料噴射量などによる機関出力に
よって、あるいはクラッチの接,断による等価モーメン
トによって異なる値を選択できるようにしてもよいこと
は云うまでもない。
このように、この実施例では補正係数Kを、機関回転
数Nの関数から求めたため、角加速度に起因する点火時
期の誤差を適確に抑制できる。また、クランク角センサ
21のロータプレート22に気筒数に対応したシグナルスリ
ット23〜26と1つの気筒判別基準信号スリット27とを同
一円周上に配置したため、ロータプレート22の構造の簡
素化が図れる。更に、気筒判別基準信号スリット27を圧
縮上死点後30゜以内に形成したため、始動初期時のよう
に気筒判別が不可能な場合においてクランク角度位置信
号の他、気筒判別信号に基づいて点火されたとしても必
ず圧縮上死点前と直後に点火されることになる。したが
って、吸入行程時などに点火されるような事態が確実に
回避される。
尚、本発明は、4気筒機関に限定されるものではな
い。
発明の効果 以上の説明で明らかなように、本発明に係る内燃機関
の点火時期制御装置によれば、とりわけクランク角検出
手段から発生した今回と前回及び前回と前々回の基準位
置パルス間の角時間計測値の差値と、機関運転状態に応
じて演算された点火進角値と、機関回転数の関数として
求められた角加速度補正係数とを演算して加速時の点火
時期を補正するようにしたため、角加速度に起因して発
生する点火時期の誤差を適確に抑制することができ、加
速時における最適な点火時期制御が得られる。しかも、
この発明にあっては、スロットル開度量がアイドル回転
数以下のときには、角加速度補正係数などに基づく点火
時期補正手段による点火時期補正を中止して、固定点火
時期制御を行うため、アイドル回転の安定化が図れる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る点火時期制御装置のクレーム対応
図、第2図は本発明の実施例に供されるクランク角セン
サの要部拡大図、第3図はこのクランク角センサのタイ
ムチャート図、第4図は本実施例が適用される内燃機関
の制御要素を示す全体構成図、第5図は本実施例の基本
制御を示すフローチャート図、第6図は第5図に示すFL
GA=0のフローチャート図、第7図は第5図に示すFLGA
=1のフローチャート図、第8図は第5図に示すFLGA=
2のフローチャート図、第9図は本実施例の点火時期補
正制御のフローチャート図、第10図はこの点火時期補正
制御に供されるテーブルマップ、第11図A〜Dは角加速
度Kの意味を説明する特性図、第12図は第10図に示すテ
ーブルマップにスロットルバルブ開度やクラッチ切断に
よる等価慣性モーメントによって異なる値を記憶したマ
ップ、第13図は角加速度補正がない従来例の点火時期を
示す特性図、第14図及び第15図は直線補間外挿法による
角加速度補正を行なった場合の特性図である。 100……クランク角検出手段、200……機関回転数演算手
段、300……差値演算手段、400……点火進角値算出手
段、500……角加速度補正値決定手段、600……点火時期
補正手段、700……スロットル開度量検出手段、800……
点火時期補正中止手段。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定のクランク角度において各気筒毎の基
    準位置パルスを発生するクランク角検出手段と、上記基
    準位置パルスの各ON,OFFパルス巾の時間を計測して機関
    回転数を演算する手段と、上記ONパルスまたはOFFパル
    スにより今回と前回の所定角度間の時間計測値と前回と
    前々回の所定角度間の時間計測値の差値を演算する手段
    と、機関運転状態に応じて点火進角値を算出する手段
    と、上記機関回転数の関数として角加速度補正係数を決
    定する手段と、上記時間計測値の差値と点火進角値と角
    加速度補正係数から加速時の点火時期補正を行なう手段
    と、スロットル開度量がアイドル回転数以下であるか否
    かを判断する手段と、アイドル回転数以下のスロットル
    開度量であるときは、前記点火時期補正手段による点火
    時期補正を中止する手段とを備えたことを特徴とする内
    燃機関の点火時期制御装置。
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