JP2808048B2 - 高強度フェライト系耐熱鋼 - Google Patents
高強度フェライト系耐熱鋼Info
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Description
強度と十分な常温靱性を有する高強度フェライト系耐熱
鋼に関し、さらに詳しくはボイラ用鋼管用鋼等に係わる
ものである。
力発電においては蒸気条件の高温高圧化が進められ、例
えば、蒸気条件を現行の538℃/246kgf/cm2 から
593℃/316kgf/cm2 に引き上げようとする計画が
推進されている。このような動向にともない、ボイラ管
などの材料選択にあたっては耐酸化性と高温強度の観点
から、現在使われている2・1/4Cr-Mo鋼は適用できなく
なる。一方、18−8オーステナイト系耐熱鋼の適用が
考えられるが、コストアップなどの問題がある。したが
って、この二者の間に位置する高強度高靱性のフェライ
ト系耐熱鋼の開発が望まれている。
Mo鋼及び9Cr−2Mo鋼などの高クロムフェライト系耐熱
鋼も用いられてきたが、これらは何れも上記の蒸気条件
ではクリープ破断強度が不足するので適用できない。な
お、其他の関連技術として、すでに特開昭62−297
435号、特開昭62−297436号、特開昭63−
89644号の各公報などに記載のものがある。
要望に応えるために、超々臨界圧ボイラ用鋼管などの鋼
素材として使用できるような高強度高靱性を有するフェ
ライト系耐熱鋼を提供することを目的としている。
成するために、合金成分の最適化をはかり、MoよりWを
積極的に利用し、Coの添加などにより、すぐれた高温強
度と十分な常温靱性を有する高強度フェライト系耐熱鋼
を得た。すなわち、本発明の要旨とするところは、下記
のとおりである。
フェライトの発生を抑制するとともに、クリープ強度の
低下を阻止した、すぐれた高温強度と十分な常温靱性を
有する高強度フェライト系耐熱鋼。
フェライトの発生を抑制するとともに、クリープ強度の
低下を阻止した、すぐれた高温強度と十分な常温靱性を
有する高強度フェライト系耐熱鋼。
する。Cは主にMC(Mは合金元素を指す、以下も同
じ)及びM23C6 型の炭化物として析出し、強度及び靱
性に大きな影響を有する。0.05%未満では析出量が
少なく、強化に不十分であり、0.15%以上では靱性
が低下するとともに、炭化物の凝集粗大化が促進され、
高温長時間側のクリープ破断強度を低下させるので、
0.05〜0.15%未満に限定する。
0%超を添加すると、Laves相の析出を促進して靱
性を低下させるので、0.20%以下に限定する。Mnは
δフェライトの生成を抑制する効果を有する。最低0.
05%が必要であるが、1.50%を超えると高温強度
を低下させるので、上限は1.50%とした。
欠な元素であり、M23C6 型炭化物を析出させる効果も
ある。8.00%未満では高温での耐酸化性が不足し、
高温強度も低下する。一方、13.00%超ではδフェ
ライトの抑制が困難で、強度と靱性が損なわれるので、
8.00〜13.00%に限定する。Niはオーステナイ
ト生成元素であり、δフェライトを抑制する効果を有
し、靱性にも有益な影響を及ぼす。しかし1.00%超
では析出物の凝集粗大化をきたし、長時間側のクリープ
破断強度が低下するので、1.00%以下とした。
C6 を安定化させ、高温強度を向上させる。Wの添加量
と関連して、0.50%以上ではδフェライトの生成を
促進すると同時に、M6 CとLaves相の析出及び凝
集粗大化を促進するので、0.50%未満とした。Wは
固溶体強化とM23C6 の微細析出の効果を奏すると同時
に、炭化物の凝集粗大化を抑制し、高温長時間側のクリ
ープ破断強度の向上に極めて有効である。最低2.00
%超が必要であるが、3.50%を超えるとδフェライ
ト及び粗大なLaves相が生成しやすくなり、高温強
度と靱性を低下させるため、2.00%超〜3.50%
とした。
度を高める働きをする。0.10%未満では効果が小さ
く、0.30%超ではV(C、N)の粗大化を招くだけ
ではなく、M23C6 として析出し得るC量を減少させ、
逆に高温強度を低下させるので、0.10〜0.30%
に限定する。Nbは炭窒化物として析出し、強度を高める
のに有効である。最低0.01%が必要であるが、0.
15%を超えて添加すると焼ならし温度ではマトリック
スに完全に溶けきれず、十分な強化効果が得られないの
で、0.01〜0.15%に限定する。
または炭窒化物を析出させ、高温強度を高める重要な元
素の一つである。最低0.01%で有効であるが、0.
10%を超えると窒化物の粗大化と靱性の低下をもたら
すだけではなく、製造上でも困難であるため、0.01
〜0.10%に限定する。Coの利用は本発明の特徴の一
つである。Coはオーステナイト生成元素であり、機械的
性質を損なうδフェライトの生成を抑制する効果を有す
る。また、Coは鋼のAc1変態温度を降下させる効果が小
さいため、靱性と延性の確保のための高い温度での焼も
どしができる。一方、添加量が、1.00%以下よりも
1.00%超の方がクリープ破断強度の向上代が大き
く、2.00%を超えるとコストの面では不利となり、
2.00%以下に限定する。
として析出強化の効果があり、高温強度を向上する。
0.0010%未満では効果が小さく、0.0100%
超では粗大なB含有相を生じさせる傾向にあり、また脆
化が起こりやすくなるため、0.0010〜0.010
0%と限定する。
2、3、5、6)と比較鋼鋼(No. 1、4、7、8,
9)を真空誘導溶解炉にて各20kgのインゴットに溶製
し、熱延によって厚さ15mmの板とした後、1060℃
×60min の焼ならし、780℃×60min の焼もどし
を施した。このように用意した試料を600℃、25kg
f/mm2 と650℃、12kgf/mm2 の2条件においてクリ
ープ破断試験を行い、また600℃にて3000時間時
効後20℃においてシャルピー衝撃試験を行った。その
結果を表2に示す。表2から明らかなように、600
℃、25kgf/mm2においては本発明鋼のクリープ破断時
間が比較鋼(No.8、9)の2〜4倍以上であり、65
0℃、12kgf/mm2 の高温長時間側においてはその差が
さらに大きく、本発明鋼は比較鋼の4〜7倍以上の破断
時間を示している。なお、本発明鋼は600℃、300
0時間時効後20℃でのシャルピー吸収エネルギーが比
較鋼と同程度であり、すぐれた高温強度を有すると同時
に、高い常温靱性が保たれている。なお、比較鋼(No.
1、4、7)は、Co含有量が1.00%以下のもので、
クリープ破断強度が相対的に1.00%超のものより短
い。
ープ破断強度と良好な靱性を有する高強度フェライト系
耐熱鋼の供給が可能となり、火力発電の分野のみなら
ず、原子力発電、化学工業など多くの分野への適用が期
待され、産業界に対し貢献するところが極めて大きい。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、 C:0.05〜0.15%未満 Si:0.20%以下 Mn:0.05〜1.50% Cr:8.00〜13.00% Ni:1.00%以下 Mo:0.50%未満 W:2.00%超〜3.50% V:0.10〜0.30% Nb:0.01〜0.15% Co:1.00%超〜2.00% N:0.01〜0.10% を含有し、残部がFe及び不可避の不純物よりなり、δ
フェライトの発生を抑制するとともに、クリープ強度の
低下を阻止した、すぐれた高温強度と十分な常温靱性を
有する高強度フェライト系耐熱鋼。 - 【請求項2】 重量%で、 C:0.05〜0.15%未満 Si:0.20%以下 Mn:0.05〜1.50% Cr:8.00〜13.00% Ni:1.00%以下 Mo:0.50%未満 W:2.00%超〜3.50% V:0.10〜0.30% Nb:0.01〜0.15% Co:1.00%超〜2.00% B:0.0010〜0.0100% N:0.01〜0.10% を含有し、残部がFe及び不可避の不純物よりなり、δ
フェライトの発生を抑制するとともに、クリープ強度の
低下を阻止した、すぐれた高温強度と十分な常温靱性を
有する高強度フェライト系耐熱鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3146346A JP2808048B2 (ja) | 1991-06-18 | 1991-06-18 | 高強度フェライト系耐熱鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3146346A JP2808048B2 (ja) | 1991-06-18 | 1991-06-18 | 高強度フェライト系耐熱鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04371552A JPH04371552A (ja) | 1992-12-24 |
JP2808048B2 true JP2808048B2 (ja) | 1998-10-08 |
Family
ID=15405633
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3146346A Expired - Lifetime JP2808048B2 (ja) | 1991-06-18 | 1991-06-18 | 高強度フェライト系耐熱鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
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JP4221518B2 (ja) * | 1998-08-31 | 2009-02-12 | 独立行政法人物質・材料研究機構 | フェライト系耐熱鋼 |
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WO2017104815A1 (ja) | 2015-12-18 | 2017-06-22 | 新日鐵住金株式会社 | フェライト系耐熱鋼用溶接材料、フェライト系耐熱鋼用溶接継手及びフェライト系耐熱鋼用溶接継手の製造方法 |
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-
1991
- 1991-06-18 JP JP3146346A patent/JP2808048B2/ja not_active Expired - Lifetime
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