JP2800829B2 - リン酸三カルシウム焼結体 - Google Patents
リン酸三カルシウム焼結体Info
- Publication number
- JP2800829B2 JP2800829B2 JP63109942A JP10994288A JP2800829B2 JP 2800829 B2 JP2800829 B2 JP 2800829B2 JP 63109942 A JP63109942 A JP 63109942A JP 10994288 A JP10994288 A JP 10994288A JP 2800829 B2 JP2800829 B2 JP 2800829B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- tcp
- sintered body
- powder
- tricalcium phosphate
- phase
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Materials For Medical Uses (AREA)
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、生体親和性を有したリン酸カルシウム系
化合物を主成分とした、高強度かつ高じん性を有するリ
ン酸三カルシウム焼結体に関する。
化合物を主成分とした、高強度かつ高じん性を有するリ
ン酸三カルシウム焼結体に関する。
[従来の技術] 水酸アパタイト(HAP)やリン酸三カルシウム(TCP)
等のリン酸カルシウム系化合物は、生体に対する無毒
性、骨に対する骨伝導能,結合性、新生骨との置換性な
どすぐれた生体親和性を有しており、生体硬組織代替材
料(人工骨,人工関節,人工歯根など)として大きな期
待が持たれている。しかし、上記水酸アパタイトやリン
酸三カルシウム等のリン酸カルシウム系化合物は、単体
では天然の骨に比べて強度が低く、人工骨等に利用する
のに十分な強度を備えたリン酸カルシウム焼結体は、提
供されていない。そこで、すこしでもリン酸カルシウム
焼結体の強度を高めるために、熱間静水圧焼結法(HIP
法)やホットプレス法などにより、水酸アパタイトと炭
素繊維あるいは各種ウィスカー、ジルコニア粉末との複
合化、リン酸三カルシウムとジルコニア粉末との複合化
などが検討されてきている。
等のリン酸カルシウム系化合物は、生体に対する無毒
性、骨に対する骨伝導能,結合性、新生骨との置換性な
どすぐれた生体親和性を有しており、生体硬組織代替材
料(人工骨,人工関節,人工歯根など)として大きな期
待が持たれている。しかし、上記水酸アパタイトやリン
酸三カルシウム等のリン酸カルシウム系化合物は、単体
では天然の骨に比べて強度が低く、人工骨等に利用する
のに十分な強度を備えたリン酸カルシウム焼結体は、提
供されていない。そこで、すこしでもリン酸カルシウム
焼結体の強度を高めるために、熱間静水圧焼結法(HIP
法)やホットプレス法などにより、水酸アパタイトと炭
素繊維あるいは各種ウィスカー、ジルコニア粉末との複
合化、リン酸三カルシウムとジルコニア粉末との複合化
などが検討されてきている。
しかし、上記の方法では生体親和性と高強度をともに
満足するような良好なリン酸カルシウム焼結体は得られ
ておらず、また、上記の方法で高強度のリン酸カルシウ
ム焼結体を作製するには、高価な熱間静水加圧装置やホ
ットプレス装置が必要で製造コストが高くなるという問
題があった。
満足するような良好なリン酸カルシウム焼結体は得られ
ておらず、また、上記の方法で高強度のリン酸カルシウ
ム焼結体を作製するには、高価な熱間静水加圧装置やホ
ットプレス装置が必要で製造コストが高くなるという問
題があった。
そこで、本出願人は上記問題点を解決し比較的簡便な
方法で生体親和性に優れ、高強度のリン酸カルシウム焼
結体を作製する方法を先に出願している。(特願昭62-2
23386号) これは、メカノケミカル法で合成したリン酸カルシウ
ム系化合物(リン酸三カルシウム,水酸アパタイトな
ど)に、非晶質シリカとα−アルミナの混合粉末を加え
て混合し、成型、焼結することにより高強度のリン酸カ
ルシウム焼結体が得られるというものである。
方法で生体親和性に優れ、高強度のリン酸カルシウム焼
結体を作製する方法を先に出願している。(特願昭62-2
23386号) これは、メカノケミカル法で合成したリン酸カルシウ
ム系化合物(リン酸三カルシウム,水酸アパタイトな
ど)に、非晶質シリカとα−アルミナの混合粉末を加え
て混合し、成型、焼結することにより高強度のリン酸カ
ルシウム焼結体が得られるというものである。
[発明が解決しようとする課題] しかし、上記先願の発明においては、高強度なリン酸
カルシウム焼結体を得ることのできる焼結温度の範囲が
狭いため(1280±10℃)、焼結時の温度条件を厳しく管
理しなくてはならず、また、安定した高強度の焼結体を
得られないという問題があった。
カルシウム焼結体を得ることのできる焼結温度の範囲が
狭いため(1280±10℃)、焼結時の温度条件を厳しく管
理しなくてはならず、また、安定した高強度の焼結体を
得られないという問題があった。
また、先願では、主成分となるリン酸カルシウム材料
としてリン酸三カルシウム(TCP)あるいは水酸アパタ
イト(HAP)を単独で用いており、リン酸三カルシウム
のCa/P比を変化させて、焼結体を作製するということ
は、示されていない。
としてリン酸三カルシウム(TCP)あるいは水酸アパタ
イト(HAP)を単独で用いており、リン酸三カルシウム
のCa/P比を変化させて、焼結体を作製するということ
は、示されていない。
そこで、この発明の目的は、適用できる焼結温度範囲
が広くなり、簡便な方法で安定的に高強度のリン酸三カ
ルシウム焼結体を提供することを目的とする。
が広くなり、簡便な方法で安定的に高強度のリン酸三カ
ルシウム焼結体を提供することを目的とする。
[課題を解決するための手段および作用] そこで、本発明者らは上記目的を達成すべく研究を重
ね、TCP構造(Ca/P比=1.50)よりも、HAP構造(Ca/P比
=1.67)のほうが強度が高いことに着目し、リン酸カル
シウム材料のCa/P比をTCPのCa/P比よりも若干増加させ
たリン酸カルシウム材料を作製し、これに先願と同様に
Al2O3とSiO2を添加することで、先願のものよりも広い
温度範囲で、簡便に高強度のリン酸カルシウム焼結体が
得られることを見出したものである。
ね、TCP構造(Ca/P比=1.50)よりも、HAP構造(Ca/P比
=1.67)のほうが強度が高いことに着目し、リン酸カル
シウム材料のCa/P比をTCPのCa/P比よりも若干増加させ
たリン酸カルシウム材料を作製し、これに先願と同様に
Al2O3とSiO2を添加することで、先願のものよりも広い
温度範囲で、簡便に高強度のリン酸カルシウム焼結体が
得られることを見出したものである。
この発明は、高強度のリン酸三カルシウム焼結体をよ
り簡便に作製できるように、メカノケミカル法で合成す
るリン酸三カルシウムのCa/P比を1.50より大きくし、そ
して、Al2O3とSiO2の最適な導入量と、最適な焼結温度
を選定したものである。
り簡便に作製できるように、メカノケミカル法で合成す
るリン酸三カルシウムのCa/P比を1.50より大きくし、そ
して、Al2O3とSiO2の最適な導入量と、最適な焼結温度
を選定したものである。
この発明によれば、高強度の焼結体を得ることのでき
る焼結温度範囲が広くなり、安定して高強度のリン酸三
カルシウム焼結体を得られる。また、HIP法やホットプ
レス法のように特別な装置を必要とせず、一般に使用さ
れているセラミックス製造設備を用いて、通常の成型方
法で成型でき、常圧で焼結することができる。
る焼結温度範囲が広くなり、安定して高強度のリン酸三
カルシウム焼結体を得られる。また、HIP法やホットプ
レス法のように特別な装置を必要とせず、一般に使用さ
れているセラミックス製造設備を用いて、通常の成型方
法で成型でき、常圧で焼結することができる。
[実施例] 以下、この発明の一実施例を説明する。表−1に各実
施例の各焼結温度に対する結晶相(β−TCPを100とした
ときのα−TCPのX線回折強度比)を示し、表−2及び
第1図に各実施例の各焼結温度に対する曲げ強度を示
す。なお、表−1には、各実施例の原料粉末において、
β−TCPを100としたときのHAPのX線強度比を合せて示
す。
施例の各焼結温度に対する結晶相(β−TCPを100とした
ときのα−TCPのX線回折強度比)を示し、表−2及び
第1図に各実施例の各焼結温度に対する曲げ強度を示
す。なお、表−1には、各実施例の原料粉末において、
β−TCPを100としたときのHAPのX線強度比を合せて示
す。
ここで、リン酸三カルシウムには、TCPには、高温型
のα−TCPと低温型のβ−TCPがあることが知られている
が、以下に示す各実施例では生体内で溶出し骨に置換さ
れるβ−TCP焼結体を作製するようにしている。
のα−TCPと低温型のβ−TCPがあることが知られている
が、以下に示す各実施例では生体内で溶出し骨に置換さ
れるβ−TCP焼結体を作製するようにしている。
第1実施例 リン酸三カルシウム粉末をボールミルによる湿式混合
方法により次のようにして作製した。
方法により次のようにして作製した。
作製されるリン酸三カルシウム粉末のCa/P比が1.51と
なるように、CaCO3とCaHPO4・2H2Oをモル比で1.02:2の
割合にして、ボールミルにて水とともに24時間粉砕混合
させ、メカノケミカル反応を行わせて、スラリーを作製
した。スラリーを乾燥後750℃で焼成してβ−TCP粉末を
得た。このβ−TCP粉末に対して、Al2O3及びSiO2がそ
れぞれ2重量%,6重量%(1:3の割合)となるように、
β−TCP粉末92gに対して、それぞれ2g,6gを加えて合計1
00gとして混合した。そして、この混合粉末10gに対し
て、10%ポリアクリル酸アンモニウム塩系の解膠剤を5m
lの割合で加え、これをボールミルにて5時間混合させ
た。混合後、スラリーを石コウ型に流し込んでφ7×60
mmの円柱状に成型し、乾燥後、焼結し、β−TCP焼結体
を得た。焼結は、100℃/hrの速度で昇温し、1200〜1300
℃の間で1時間保持した。
なるように、CaCO3とCaHPO4・2H2Oをモル比で1.02:2の
割合にして、ボールミルにて水とともに24時間粉砕混合
させ、メカノケミカル反応を行わせて、スラリーを作製
した。スラリーを乾燥後750℃で焼成してβ−TCP粉末を
得た。このβ−TCP粉末に対して、Al2O3及びSiO2がそ
れぞれ2重量%,6重量%(1:3の割合)となるように、
β−TCP粉末92gに対して、それぞれ2g,6gを加えて合計1
00gとして混合した。そして、この混合粉末10gに対し
て、10%ポリアクリル酸アンモニウム塩系の解膠剤を5m
lの割合で加え、これをボールミルにて5時間混合させ
た。混合後、スラリーを石コウ型に流し込んでφ7×60
mmの円柱状に成型し、乾燥後、焼結し、β−TCP焼結体
を得た。焼結は、100℃/hrの速度で昇温し、1200〜1300
℃の間で1時間保持した。
なお、上記温度範囲内で20℃ごとに保持する焼結温度
を変えて、6例のβ−TCP焼結体を作製した。
を変えて、6例のβ−TCP焼結体を作製した。
各焼結温度により得られた焼結体の結晶相をそれぞれ
粉末X線回折法により確認し、その結果を表−1に示
す。
粉末X線回折法により確認し、その結果を表−1に示
す。
また、各焼結体の曲げ強度も合せて調べ、その結果を
表−2及び第1図に示す。このとき曲げ強度の測定はJI
S:R1601による3点曲げ強度測定法に従って行った。
表−2及び第1図に示す。このとき曲げ強度の測定はJI
S:R1601による3点曲げ強度測定法に従って行った。
表−1に示したように結晶相はβ−TCP相のみで、α
−TCP相への転移はみられなかった。通常、無添加のβ
−TCPは、1180℃付近でα−TCP相へ転移するが、Al
2O3,SiO2の添加効果により、それが抑制され、1340℃
でもβ−TCP相を保持していた。
−TCP相への転移はみられなかった。通常、無添加のβ
−TCPは、1180℃付近でα−TCP相へ転移するが、Al
2O3,SiO2の添加効果により、それが抑制され、1340℃
でもβ−TCP相を保持していた。
また、表−2及び第1図に示すように、これらの焼結
体の曲げ強度も焼結温度が高くなるにつれて大きくなっ
ており、1300℃では1580kgf/cm2の値を示した。
体の曲げ強度も焼結温度が高くなるにつれて大きくなっ
ており、1300℃では1580kgf/cm2の値を示した。
ここで、純粋な高純度β−TCPの曲げ強度は最高1400k
gf/cm2であるので、この実施例によるCa/P比を1.51と
し、Al2O3とSiO2を添加したリン酸カルシウム焼結体の
方が強度が向上していることが認められた。
gf/cm2であるので、この実施例によるCa/P比を1.51と
し、Al2O3とSiO2を添加したリン酸カルシウム焼結体の
方が強度が向上していることが認められた。
第2実施例 第1実施例においては、リン酸カルシウムのCa/P比を
1.51としたが、この実施例では、Ca/P比を1.53とした場
合を示す。リン酸三カルシウム(TCP)粉末の作製方法
は、第1実施例と同様であるが、原料のCaCO3とCaHPO4
・2H2Oのモル比を1.06:2にして作製した。なお、この
粉末をX線回折法により調べたところTCP相だけでな
く、若干のHAP相(β−TCP100に対して15)が含まれて
いた。
1.51としたが、この実施例では、Ca/P比を1.53とした場
合を示す。リン酸三カルシウム(TCP)粉末の作製方法
は、第1実施例と同様であるが、原料のCaCO3とCaHPO4
・2H2Oのモル比を1.06:2にして作製した。なお、この
粉末をX線回折法により調べたところTCP相だけでな
く、若干のHAP相(β−TCP100に対して15)が含まれて
いた。
この粉末に第1実施例と同様に、Al2O3とSiO2がそれ
ぞれ2重量%,6重量%となるように加えて混合,成型
し、焼結温度範囲を1200〜1300℃として焼結した。第1
実施例と同様に20℃ごとに6個の焼結体を得た。
ぞれ2重量%,6重量%となるように加えて混合,成型
し、焼結温度範囲を1200〜1300℃として焼結した。第1
実施例と同様に20℃ごとに6個の焼結体を得た。
このようにして、得られた焼結体をX線回折法により
調べて、その結晶相を確認した。その結果を表−1に示
す。この表に示すように原料のTCP粉末には、若干のHAP
が含まれていたのであるが、Al2O3とSiO2を添加した焼
結体ではHAP相は消滅し、β−TCP相のみとなっていた。
調べて、その結晶相を確認した。その結果を表−1に示
す。この表に示すように原料のTCP粉末には、若干のHAP
が含まれていたのであるが、Al2O3とSiO2を添加した焼
結体ではHAP相は消滅し、β−TCP相のみとなっていた。
これらの焼結体の曲げ強度を表−2及び第1図に合わ
せて示すが、焼結温度が1280℃のときに最高値2800kgf/
cm2を示した。
せて示すが、焼結温度が1280℃のときに最高値2800kgf/
cm2を示した。
このように、Ca/P比を1.53とした第2実施例では、焼
結温度が1260〜1300℃という比較的広い範囲で、天然の
緻密骨の曲げ強度1900kg/cm2より高い強度が得られた。
結温度が1260〜1300℃という比較的広い範囲で、天然の
緻密骨の曲げ強度1900kg/cm2より高い強度が得られた。
第3実施例 リン酸三カルシウムのCa/P比を1.55としたものを第3
実施例とする。TCP粉末は、原料のCaCO3とCaHPO4・2H2
Oのモル比を1.10:2とした以外は、第1実施例と同様な
方法で作製した。このようにして得られた粉末は、第2
実施例と同様にβ−TCP相に加えて若干のHAP相(β−TC
P100に対して35)が含まれていた。
実施例とする。TCP粉末は、原料のCaCO3とCaHPO4・2H2
Oのモル比を1.10:2とした以外は、第1実施例と同様な
方法で作製した。このようにして得られた粉末は、第2
実施例と同様にβ−TCP相に加えて若干のHAP相(β−TC
P100に対して35)が含まれていた。
この粉末に第1実施例と同様に、Al2O3とSiO2がそれ
ぞれ2重量%,6重量%となるように加えて、混合,成型
し、焼結温度範囲を1200〜1300℃として焼結した。第1
実施例と同様に20℃ごとに6個の焼結体を得た。
ぞれ2重量%,6重量%となるように加えて、混合,成型
し、焼結温度範囲を1200〜1300℃として焼結した。第1
実施例と同様に20℃ごとに6個の焼結体を得た。
表−1に示すように1200℃で、原料に見られたHAP相
は消滅し、β−TCP相のみとなっているが、1220℃以上
では、HAP相は消滅しているものの、α−TCP相が現われ
た。これは、Ca/P比の増加によるものと推測される。
は消滅し、β−TCP相のみとなっているが、1220℃以上
では、HAP相は消滅しているものの、α−TCP相が現われ
た。これは、Ca/P比の増加によるものと推測される。
また、曲げ強度は1240℃のとき、最高値2510kgf/cm2
を示した。
を示した。
通常、α−TCP相が析出すると強度が低下するのであ
るが、この実施例ではそのようなことはなく、β−TCP
相とα−TCP相が混在しているのにもかかわらず、高強
度を示した。
るが、この実施例ではそのようなことはなく、β−TCP
相とα−TCP相が混在しているのにもかかわらず、高強
度を示した。
第4実施例 第2実施例で用いたCa/P比1.53のリン酸カルシウム粉
末に、上記各実施例とは異なり、Al2O3とSiO2を添加す
る量を変え、それぞれ3重量%,9重量%添加した場合
(リン酸カルシウム粉末88gに対して、それぞれ3g,9gを
加え、合計100gとした)を第4実施例とする。
末に、上記各実施例とは異なり、Al2O3とSiO2を添加す
る量を変え、それぞれ3重量%,9重量%添加した場合
(リン酸カルシウム粉末88gに対して、それぞれ3g,9gを
加え、合計100gとした)を第4実施例とする。
焼結体の作製方法は、上記第2実施例と同様である
が、焼結温度範囲を1220〜1340℃とし、20℃ごとに7個
の焼結体を作製した。
が、焼結温度範囲を1220〜1340℃とし、20℃ごとに7個
の焼結体を作製した。
表−1に示すように、原料に見られたHAP相は全ての
焼結温度範囲で消滅し、TCP相のみとなっている。ま
た、1320℃までは、β−TCP相のみであるが、1340℃で
は、α−TCP相が析出した。
焼結温度範囲で消滅し、TCP相のみとなっている。ま
た、1320℃までは、β−TCP相のみであるが、1340℃で
は、α−TCP相が析出した。
また、表−2及び第1図に示すように、曲げ強度は、
焼結温度1300℃のとき、最高値2540kgf/cm2を示した。
焼結温度1300℃のとき、最高値2540kgf/cm2を示した。
第5実施例 第3実施例で用いたCa/P比1.55のリン酸カルシウム粉
末に、上記第4実施例と同様にAl2O3とSiO2をそれぞれ
3重量%,9重量%添加した場合を第5実施例とする。
末に、上記第4実施例と同様にAl2O3とSiO2をそれぞれ
3重量%,9重量%添加した場合を第5実施例とする。
焼結体の作製方法は、上記第3実施例と同様である
が、焼結温度範囲を1200〜1340℃とし、20℃ごとに8個
の焼結体を作製した。
が、焼結温度範囲を1200〜1340℃とし、20℃ごとに8個
の焼結体を作製した。
表−1に示すように、原料に見られたHAP相は全ての
焼結温度範囲で消滅し、TCP相のみとなっている。ま
た、1320℃までは、β−TCP相のみを保持しているもの
の、1340℃でα−TCP相が析出した。第3実施例に比べ
てα−TCPが析出する温度が高くなっているのは、Al2O
3,SiO2の添加量が増加したことによりα相への転移が抑
制されたためである。
焼結温度範囲で消滅し、TCP相のみとなっている。ま
た、1320℃までは、β−TCP相のみを保持しているもの
の、1340℃でα−TCP相が析出した。第3実施例に比べ
てα−TCPが析出する温度が高くなっているのは、Al2O
3,SiO2の添加量が増加したことによりα相への転移が抑
制されたためである。
表−2及び第1図に示すように、曲げ強度は、焼結温
度が1280℃のとき、最高値2220kgf/cm2を示した。
度が1280℃のとき、最高値2220kgf/cm2を示した。
なお、この発明は上記実施例に限定されることはな
く、種々の変型,変更が可能である。
く、種々の変型,変更が可能である。
例えば、上記実施例ではリン酸カルシウムを粉末を作
製する工程で焼成温度を750℃としているが、この温度
に限定することはなく、リン酸カルシウムの結晶相が析
出し、かつ、α−TCPの転移温度よりも低い750〜1150℃
の間であれば構わない。ただし、高温で焼成すると結晶
相が安定してしまうので、後のアルミナ,シリカを添加
し、焼結体を作製する際に反応しやすくするには、でき
るだけ低温側で焼成することが好ましい。
製する工程で焼成温度を750℃としているが、この温度
に限定することはなく、リン酸カルシウムの結晶相が析
出し、かつ、α−TCPの転移温度よりも低い750〜1150℃
の間であれば構わない。ただし、高温で焼成すると結晶
相が安定してしまうので、後のアルミナ,シリカを添加
し、焼結体を作製する際に反応しやすくするには、でき
るだけ低温側で焼成することが好ましい。
[発明の効果] 以上説明したようにこの発明によれば、焼結前のリン
酸カルシウム粉末のCa/P比を1.51〜1.55とし、この粉末
に、Al2O3とSiO2を添加して混合し、焼結することで、
生体親和性に優れ、かつ、高強度のリン酸三カルシウム
焼結体を作製することができ、また、特別な装置を用い
ずに通常の装置および方法により、容易にかつ、安定的
に作製することができるものである。
酸カルシウム粉末のCa/P比を1.51〜1.55とし、この粉末
に、Al2O3とSiO2を添加して混合し、焼結することで、
生体親和性に優れ、かつ、高強度のリン酸三カルシウム
焼結体を作製することができ、また、特別な装置を用い
ずに通常の装置および方法により、容易にかつ、安定的
に作製することができるものである。
第1図は各実施例の焼結温度に対する曲げ強度の関係を
示す図である。
示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 入江 洋之 東京都渋谷区幡ケ谷2丁目43番2号 オ リンパス光学工業株式会社内 (72)発明者 川村 資三 愛知県名古屋市北区平手町1丁目1番地 工業技術院名古屋工業技術試験所内 (72)発明者 鳥山 素弘 愛知県名古屋市北区平手町1丁目1番地 工業技術院名古屋工業技術試験所内 (56)参考文献 特開 昭62−87406(JP,A) 特開 昭62−162676(JP,A) 特開 昭63−30361(JP,A) 特開 昭59−131347(JP,A) 特開 昭63−5758(JP,A)
Claims (4)
- 【請求項1】メカノケミカル法でCa/P比を1.53〜1.55と
して合成し焼成したリン酸カルシウム粉末に、シリカ粉
末(SiO2)とアルミナ粉末(Al2O3)を重量比が3:1と
なるように混合し焼結したことを特徴とするリン酸三カ
ルシウム焼結体。 - 【請求項2】上記リン酸三カルシウム焼結体が、1220〜
1340℃の間の所定温度で焼結され、曲げ強度が2000kgf/
cm2以上であることを特徴とする請求項1記載のリン酸
三カルシウム焼結体。 - 【請求項3】上記リン酸三カルシウム焼結体の結晶相
が、β−TCP相のみからなることを特徴とする請求項2
記載のリン酸三カルシウム焼結体。 - 【請求項4】上記シリカ粉末を結晶質のものとし、上記
シリカ粉末とアルミナ粉末とを混合した粉末が8〜12重
量%となるように、上記リン酸カルシウム粉末に加えて
混合し焼結したことを特徴とする請求項1記載のリン酸
三カルシウム焼結体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63109942A JP2800829B2 (ja) | 1988-05-06 | 1988-05-06 | リン酸三カルシウム焼結体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63109942A JP2800829B2 (ja) | 1988-05-06 | 1988-05-06 | リン酸三カルシウム焼結体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01282144A JPH01282144A (ja) | 1989-11-14 |
JP2800829B2 true JP2800829B2 (ja) | 1998-09-21 |
Family
ID=14523019
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63109942A Expired - Lifetime JP2800829B2 (ja) | 1988-05-06 | 1988-05-06 | リン酸三カルシウム焼結体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2800829B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6569396B1 (en) * | 1999-03-26 | 2003-05-27 | Nara Machinery Co., Ltd. | Method for producing calcium phosphate powder |
JP4974018B2 (ja) * | 2005-08-24 | 2012-07-11 | オリンパステルモバイオマテリアル株式会社 | 生体材料とその製造方法 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59131347A (ja) * | 1983-01-18 | 1984-07-28 | 科学技術庁無機材質研究所長 | 人工骨または人工歯用インプラント材の製造法 |
JPS6287406A (ja) * | 1985-10-11 | 1987-04-21 | Agency Of Ind Science & Technol | β−リン酸三カルシウムの製造方法 |
JPS62162676A (ja) * | 1986-01-10 | 1987-07-18 | 工業技術院長 | ムライト複合強化リン酸カルシウム系焼結体、その製造原料及び製造方法 |
JPS635758A (ja) * | 1986-06-26 | 1988-01-11 | 京セラ株式会社 | 生体用充填材料とその製造方法 |
JPH0753601B2 (ja) * | 1986-07-22 | 1995-06-07 | 小野田セメント株式会社 | リン酸カルシウム質セラミツクスの製造方法 |
-
1988
- 1988-05-06 JP JP63109942A patent/JP2800829B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01282144A (ja) | 1989-11-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Kannan et al. | Effect of Ca/P ratio of precursors on the formation of different calcium apatitic ceramics—An X-ray diffraction study | |
JPS6287406A (ja) | β−リン酸三カルシウムの製造方法 | |
JP2004026648A (ja) | α−およびβ−リン酸三カルシウム粉末の製造方法 | |
JP2800829B2 (ja) | リン酸三カルシウム焼結体 | |
TW201233660A (en) | Dicalcium phosphate ceramics, dicalcium phosphate/hydroxyapatite biphasic ceramics and method of manufacturing the same | |
JPH0214866A (ja) | りん酸カルシウム系化合物セラミックスの前駆体溶液およびその製造方法 | |
RU2391316C1 (ru) | Способ получения керамического биодеградируемого материала, состоящего из пирофосфата кальция и трикальцийфосфата | |
JPH0555150B2 (ja) | ||
JP3668530B2 (ja) | リン酸四カルシウムの製造方法 | |
RU2395303C1 (ru) | Способ получения керамического композиционного биодеградируемого материала на основе двойного фосфата калия кальция | |
JP2011250868A (ja) | リン酸三カルシウムからなる生体材料セラミックス及びその製造方法 | |
JPS6366790B2 (ja) | ||
KR100492270B1 (ko) | 생체 이식용 세라믹 복합체 및 그 제조방법 | |
JPH0627025B2 (ja) | ヒドロキシアパタイト濾過ケーキ乾燥体 | |
JPH01108143A (ja) | β−TCP焼結体およびその製造方法 | |
JPH03210271A (ja) | リン酸カルシウム系生体材料の製造方法 | |
JP2696345B2 (ja) | リン酸カルシウム系セラミックス焼結体 | |
JPH0196006A (ja) | リン酸四カルシウムの製造方法 | |
JPH01115360A (ja) | 無機生体材料およびその製造方法 | |
JPH01298055A (ja) | リン酸カルシウム焼結体の製造方法 | |
CN100534897C (zh) | 钛化合物的烧结体 | |
KR20020096521A (ko) | 고강도 생체활성 세라믹복합체 및 그 제조방법 | |
JPS61197463A (ja) | 生体用リン酸カルシウム系焼結体 | |
JPH0585710A (ja) | フツ素アパタイトの製造方法 | |
JPS63279852A (ja) | ウイットロカイト焼結体の製造方法及びウイットロカイト焼結体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080710 Year of fee payment: 10 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |