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JP2880903B2 - 有機けい素化合物の製造方法 - Google Patents

有機けい素化合物の製造方法

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JP2880903B2
JP2880903B2 JP2472794A JP2472794A JP2880903B2 JP 2880903 B2 JP2880903 B2 JP 2880903B2 JP 2472794 A JP2472794 A JP 2472794A JP 2472794 A JP2472794 A JP 2472794A JP 2880903 B2 JP2880903 B2 JP 2880903B2
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省二 一戸
敏夫 山崎
信行 鈴木
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機けい素化合物の製
造方法に関し、特に、コンタクトレンズ用のメタクリル
樹脂の強度を向上させることのできるオルガノポリシロ
キサンを、高純度で合成するための有機けい素化合物の
製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来から、酸素透過性を有するハードコン
タクトレンズが広く使用されている。この特性を有する
ハードコンタクトレンズは、例えばシロキサニルメタク
リレート、フッ素メタクリレート、メチルメタクリレー
トなどの各種メタクリレートを共重合させたメタクリル
系樹脂を用いて製造されている。この場合、上記酸素透
過性は、メタアクリロイル基を含有する有機けい素化合
物(例えば、下記化4で表されるシロキサニルメタクリ
レート)を共重合させることによって実現されている。
【化4】
【0003】一方、コンタクトレンズ用の原料となるメ
タクリル樹脂の強度を向上させる観点から、同一分子中
に(メタ)アクリロイル基を2個有する化合物を架橋剤
として共重合することも一般的に行われている。このよ
うな架橋剤としては、酸素透過性を重視して、下記化5
で表される同一分子中に(メタ)アクリロイル基を2個
有する有機けい素化合物が使用されている。
【化5】
【0004】ところで、コンタクトレンズ用のメタクリ
ル樹脂を製造するに際しては、上記化4及び化5で表さ
れる化合物がそれぞれ別々に添加されずに、通常両者の
混合物として添加されている。これは、上記化4で表さ
れる化合物を製造する際に、同時に上記化5で表される
化合物も副生し、この両者を同時に添加しても、コンタ
クトレンズの性能に影響を及ぼさないためである。
【0005】しかしながら、架橋剤の配合割合は、レン
ズの物性を安定化するために厳密に制御する必要があ
り、かかる観点から、化5で表される化合物のみを選択
的に高純度で得る製造方法が求められていた。また、上
記したように、前記化4及び化5で表される化合物は混
合物の形で得られるが、実際には、更に下記化6で表さ
れるトリメタクリル体も副生される。
【化6】
【0006】しかしながら、上記化4、化5及び化6で
表される化合物の中で、蒸留によって単離することが可
能なものは、化4で表される化合物のみであるので、化
5の使用を許容する場合には、化6で表される化合物も
混入することになる。しかしながら、化6で表される化
合物の混入は、レンズ物性のふれの原因となる。そこ
で、化6で表される化合物を含まず、化5で表される高
純度のシリコーン系架橋剤が求められていたが、未だ、
そのための方法は開発されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、前記化
5で表される化合物のみを選択的に得ることのできる方
法を開発すべく鋭意研究した結果、(メタ)アクリロイ
ル基と共にシラノール基を含有する有機けい素化合物を
使用することにより、同一分子中に(メタ)アクリロイ
ル基を2個有するオルガノポリシロキサンを高純度で合
成することができることを見出し、本発明に到達した。
従って本発明の目的は、一分子中に(メタ)アクリロイ
ル基を2個有するオルガノポリシロキサンを高純度で合
成するための、有機けい素化合物の製造方法を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、
下記化7で表されるオルガノポリシロキサンの合成方法
であって、下記化8で表されるシラノール含有有機けい
素化合物を反応させることを特徴とする有機けい素化合
物の製造方法によって達成された。
【化7】
【化8】
【0009】化7中、R1 は水素原子又はメチル基、R
2 、R3 、R4 は炭素原子数1〜8の1価の有機基又は
−OSiR6 7 8 で表されるシロキシ基、R5 、R
6 、R7 及びR8 は炭素原子数1〜8の1価の有機基、
m及びnは1〜12の整数、a及びbは0又は1を表
し、化8式中のR1 、R2 、R3 、R4 、R5 、m、
n、a及びbは、前記化7のものとすべて同じである。
ここで、R1 が水素原子の場合にはアクリロイル基、R
1 がメチル基の場合にはメタクリロイル基であり、いず
れの場合も一般の(メタ)アクリルエステルと同様にラ
ジカル重合が可能である。
【0010】R2 、R3 、R4 、R5 、R6 、R7 及び
8 の炭素原子数1〜8の1価の有機基としては、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル
基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロ
アルキル基、フェニルなどのアリール基、ベンジルなど
のアラルキル基、ビニル基、アリル基などのアルケニル
基、クロロメチル基、3,3,3−トリフロロプロピル
基などの置換炭化水素基などが例示される。
【0011】R2 、R3 及びR4 のOSiR6 7 8
で表されるシロキシ基としては、トリメチルシロキシ
基、エチルジメチルシロキシ基、フェニルジメチルシロ
キシ基、ビニルジメチルシロキシ基、クロロメチルジメ
チルシロキシ基、3,3,3−トリフロロプロピルジメ
チルシロキシ基などが例示される。R2 、R3 、R4
5 、R6 、R7 及びR8 は、それぞれ同一であって
も、異なってもよいが、原料の入手や合成の容易さ等の
観点から、いずれもメチル基であることが好ましい。同
様な理由、及びハードコンタクト用として必要な酸素透
過性等の効果を考慮すると、nが3でaが0且つbが0
のものが最も好ましい。
【0012】前記化8で表される化合物は、公知の方法
を用いて適宜合成することができるが、特に下記化9の
具体例で表される合成法が副反応が少ないので好まし
い。
【化9】 この合成法は、まずγ−メタクリロキシプロピルトリク
ロロシランとトリメチルシラノールとを脱塩酸反応させ
ることによってシロキシ基を導入し、次いで、得られた
クロロシランを加水分解することにより、シラノール基
を一個生成させる方法である。
【0013】この方法では、脱塩酸反応時にトリエチル
アミン等の脱塩酸剤を、トリメチルシラノールに対し、
通常等モル使用する。この反応自体は公知であり、反応
時間、反応温度、反応溶媒、精製法などは特に限定され
るものではない。上記化9で表される反応を行い、得ら
れる粗生成物を蒸留して精製することにより、下記化1
0で表される化合物が95%以上の純度で得られる。
【化10】
【0014】化10で表される化合物中に含まれる不純
物は前記化4で表される化合物であり、γ−メタクリロ
キシプロピルトリクロロシランに3モルのトリメチルシ
ラノールが反応したものである。化4及び化10で表さ
れる化合物をそれぞれ分離することは困難であるが、加
水分解して化10の化合物を得るために残すべき最後の
SiClの反応性が、立体障害のために低下するので、
化10で表される目的化合物が比較的高純度で得られ
る。
【0015】こうして得られた化10で表されるシラノ
ール化合物2分子を脱水縮合させることによって、化1
1で表される化合物が得られる。
【化11】 化11のシラノールの二分子脱水縮合には、公知の縮合
触媒を適宜選択して使用することができるが、特に錫化
合物、チタン化合物、アルミニウム化合物、アミン化合
物等の中から選択される縮合触媒を使用することが好ま
しい。この脱水縮合反応は、通常、100℃以上に加熱
することにより進行する。
【0016】反応時間は、シラノールの立体障害がある
ために、通常、10時間以上を必要とする。この場合、
化12で表される化合物が副生するが、これは、更にト
リメチルクロロシランを反応させることにより、化13
に示した如く、容易に化11の化合物に変換することが
できる。
【化12】
【化13】
【0017】また、化10で表されるシラノールを、下
記化14に示す如くクロロシランと脱塩酸反応させるこ
とにより、化11で表される本発明の化合物を得ること
もできる。
【化14】 この反応における、化10で表される化合物とγ−メタ
クリロキシプロピルトリクロロシランとの反応は、化1
0で表される化合物中のシラノール基の立体障害のため
に選択性が良いので、γ−メタクリロキシプロピルトリ
クロロシランに対して化10で表される化合物が2分子
反応した副生物は生成しない。
【0018】そこで、残った2個の珪素原子に結合する
塩素原子にトリメチルシラノールを反応させて、目的物
である化11で表される化合物が得ることができる。反
応が完結せず、前記化12で表される化合物が残存する
場合には、更に前記化13で表される反応を行わせるこ
とにより、化11で表される高純度の化合物が得られ
る。
【0019】化11で表される化合物は、下記化15で
表される反応により一段で得ることも可能であるが、反
応するシラノール及びクロロシランの立体障害が共に大
きいため、反応に長時間を要し、反応が完結しずらいの
で、好ましい反応とは言えない。
【化15】
【0020】前記化14で表される反応では、原料とな
る化10で表される化合物とγ−メタクリロキシプロピ
ルトリクロロシランの反応モル比が厳密に等モルに制御
される必要がある。反応モル比が等モルでないと、それ
に伴って化4で表される化合物の副生が増大する。化1
4の反応における反応温度は−20℃〜150℃の範囲
であり、特に0℃〜80℃の範囲であることが好まし
い。この反応に際しては、脱塩酸剤をシラノールに対し
て等モル以上使用することが必要である。
【0021】脱塩酸剤としては、トリエチルアミン、ピ
リジンなどの第3級アミンが通常使用されるが、尿素な
どを使用することもできる。また、この反応では、副生
アミンの塩酸塩が嵩ばるので、溶媒を使用することが好
ましい。この場合の溶媒としては、活性水素を持たない
ものを使用することが重要であり、例えばトルエン、キ
シレン、ヘキサン、四塩化炭素、酢酸エチル、ジブチル
エーテル等が好適に使用される。
【0022】化10で表される化合物とγ−メタクリロ
キシプロピルトリクロロシランを反応させた後の反応液
に対するトリメチルシラノールの添加モル数は、化10
で表される化合物1モルに対して2倍モル以上必要であ
るが、反応を有効に進行させること及び試剤の経済性の
観点から、2.2〜3.0倍モル程度の反応モル比でト
リメチルシラノールを使用することが好ましい。反応温
度は0℃〜80℃の範囲であることが好ましく、反応時
間は5時間前後で十分である。
【0023】反応原液を水洗、脱水した後、前記化12
で表される化合物が不純物として残存する場合には、残
存する化12の化合物に対して過剰なモル数のトリメチ
ルクロロシランをアミンの存在下で反応させて、不純物
のシラノールを目的物のシロキサンに誘導する。この反
応も前述した条件で行うことが好ましい。こうして純度
90%以上の、(メタ)アクリロイル基を一分子中に2
個以上有する有機けい素化合物が得られる。
【0024】
【発明の効果】本発明の有機けい素化合物の製造方法
は、一分子中に一個の(メタ)アクリロイル基とシラノ
ール基をそれぞれ含有する有機けい素化合物を用いるの
で、一分子中に(メタ)アクリロイル基を2個有するオ
ルガノポリシロキサンを高純度で合成することができ
る。また、本発明によって得られた有機けい素化合物を
架橋剤として使用した場合には得られるコンタクトレン
ズの性能が安定化するので、再現性良く、性能特性の均
一なコンタクトレンズを製造することができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳述する
が、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0026】実施例1.γ−メタクリロキシプロピルト
リクロロシラン78.5g(0.3モル)、トルエン3
50g及びジt−ブチルヒドロキシトルエン0.08g
を容量が2リットルのフラスコに仕込み、次いでトリエ
チルアミン95.5g(0.95モル)を室温で投入し
た。次に、前記化10で表されるシラノール含有メタク
リルシロキサン〔b.p.103℃〜110℃/0.0
3Torr、ガスクロ純度97%、不純物としての化4
で表される化合物:3%〕105g(0.3モル)を、
室温で攪拌しながら30分かけて滴下した後、60℃で
2時間熟成した。
【0027】熟成した後、トリメチルシラノール72g
(0.8モル)を30分かけて滴下し、60℃で5時
間、再度熟成した。次に、室温で水を投入して、有機層
を水洗し、二層分離した有機層のみを採取してトリエチ
ルアミン塩酸塩を除去した。得られた有機層をストリッ
プ処理することにより、目的物である前記化11で表さ
れる化合物を得た。得られた化合物をガスクロマトグラ
フィー及びGPCで分析したところ、その純度は93%
であり、不純物である前記化4で表される化合物が5%
及び目的物以外の高分子が2%含まれていた。
【0028】実施例2.実施例1で用いたトリメチルシ
ラノールに代えてトリエチルシラノールを用いた他は、
実施例1と全く同様にして目的物の化合物を得た。得ら
れた化合物をガスクロマトグラフィーで分析したとこ
ろ、シラノール基を含んでいたので、再度、得られたシ
ラノール含有化合物78.5g、トルエン350g及び
ジt−ブチルヒドロキシトルエン0.08gをフラスコ
に投入し、次いでトリエチルアミン51g(0.5モ
ル)を投入した後、室温で、トリエチルクロロシラン6
7.5g(0.45モル)を30分かけて滴下した。6
0℃で5時間熟成した後、実施例1と同様に水洗し、ス
トリップ処理することにより、目的とする化合物を得
た。この化合物をガスクロマトグラフ及びGPCにかけ
たところ、その純度は91%であった。
【0029】実施例3.化10で表されるシラノール含
有メタクリルシロキサン100g(0.29モル)、ト
ルエン100g、ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン
0.2g及びAlCl3 ・6H2 O1gをフラスコに投
入し、エステルアダプターを付けて攪拌しながらトルエ
ンを還流し、12時間反応させた。得られた反応液を水
洗してストリップ処理し、ガスクロマトグラフィーで分
析したところ、前記化12で表されるシラノール体が残
存していた。
【0030】そこで、反応液に対して、トリメチルクロ
ロシラン23g(0.21モル)及びトリエチルアミン
23g(0.23モル)を加えて60℃で2時間反応さ
せ、実施例1と同様な後処理を行い、目的とする化合物
を得た(前記化13の反応)。この化合物をガスクロマ
トグラフィー及びGPCで分析したところ、その純度は
90%であった。また不純物である前記化4で表される
化合物は6%、目的物以外の高分子は4%であった。
【0031】比較例1.γ−メタクリロキシプロピルト
リメトキシシラン25g(0.1モル)及びトリメチル
クロロシラン54g(0.5モル)を混合してシラン混
合液を得た。次に、滴下ロート、冷却管、温度計及び攪
拌装置を備えたフラスコに水200ml、メタノール1
00ml、トルエン100ml、触媒として濃塩酸17
gを投入し、攪拌しながら冷却し、反応液を20℃以下
に保ちながら、シラン混合液を滴下した。
【0032】得られた反応液を室温で2時間熟成し、水
層を分離した後、有機層を中性になるまで洗浄し、次い
で溶媒を留去することにより、シロキサン混合物を得
た。得られたシロキサン化合物をガスクロマトグラフィ
ー及びGPCで分析したところ、前記化4で表される化
合物が82%であり、目的とする前記化11の化合物は
15%しか得られなかった。また、前記化6で表される
化合物も3%生成していた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 信行 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社 シリコーン電 子材料技術研究所 内 (56)参考文献 特開 平5−178998(JP,A) 特表 昭62−500176(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07F 7/08 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記化1で表されるオルガノポリシロキサ
    ンの合成方法であって、下記化2で表されるシラノール
    含有有機けい素化合物を反応させることを特徴とする有
    機けい素化合物の製造方法。 【化1】 【化2】 化1中、R1 は水素原子又はメチル基、R2 、R3 、R
    4 は炭素原子数1〜8の1価の有機基又は−OSiR6
    7 8 で表されるシロキシ基、R5 、R6 、R7 及び
    8 は炭素原子数1〜8の1価の有機基、m及びnは1
    〜12の整数、a及びbは0又は1を表し、化2式中
    の、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 、m、n、a及びb
    は化1中のものとすべて同じである。
  2. 【請求項2】化2で表されるシラノール含有有機けい素
    化合物2分子を脱水縮合する、請求項1に記載の有機け
    い素化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】化2のシラノール含有有機けい素化合物
    を、脱塩酸剤の存在下に化3で表されるクロロシランと
    反応させ、次いでR2 3 4 SiOHと反応させる、
    請求項1に記載の有機けい素化合物の製造方法。 【化3】
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