JP2866270B2 - ノルカンファンジカルボニトリル類の製造方法 - Google Patents
ノルカンファンジカルボニトリル類の製造方法Info
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- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Description
ボニトリル(以下、「NDC」と略称する。)類の製造
方法に関するものである。より詳しくは、適当な有機溶
媒中、特定の配位子の存在下、ニッケルハロゲン化物の
水和物を還元剤で還元することにより調製されるゼロ価
ニッケル錯体触媒と副生するルイス酸助触媒とにより1
S‐2‐シアノノルボルネン及び1R‐2‐シアノノル
ボルネン(以下、「CNN類」と略称する。)にシアン
化水素化を行うことにより2,5‐ノルカンファンジカ
ルボニトリル(以下、「2,5‐NDC」と略称す
る。)及び2,6‐ノルカンファンジカルボニトリル
(以下、「2,6‐NDC」と略称する。)を主成分と
するNDC類の製造方法に関するものである。
るNDC類の製造方法としては、 i) コバルトカルボニル触媒とトリフェニルホスフィン
を触媒系とする方法(米国特許2,666,780号)、 ii) テトラキス(トリアリールホスファイト)パラジウ
ムとトリフェニルホスファイトを触媒系とする方法(J.
Am.Chem.Soc.1969,112)、 iii)ゼロ価ニッケル錯体触媒とルイス酸を触媒系とする
方法(特開平3−95151号公報)等が知られてい
る。
i)〜iii)の従来技術においては、十分満足できるND
C類の製造方法が提供されているとは言い難い。すなわ
ち、上記i)の方法ではコバルト触媒及びトリフェニル
ホスフィンをCNN類に対し15〜30wt%、またシア
ン化水素をCNN類に対し、1.4倍量と大量に用い、
130℃で8時間反応の結果、NDC類の収率は62%
に過ぎない。また、上記ii)の方法では、高価なパラジ
ウム触媒を用いることによる触媒回収の煩雑さ及びND
C類の収率が57〜58%と低い。さらに、上記iii)の
方法では、ゼロ価ニッケル錯体の調製法として米国特許
3,328,443号などを引用しているが、これらのい
ずれもが合成、精製工程を含む錯体を単離する方法であ
る。
NDC類を製造する方法を確立せんと鋭意検討した結
果、工業的に入手が容易なジシクロペンタジエンとアク
リロニトリルとの反応により容易に得られるCNN類の
シアン化水素化を、配位子の存在下、ニッケルハロゲン
化物の水和物を亜鉛、カドミウム、ベリリウム、アルミ
ニウム、鉄、コバルトの内から選ばれた少なくとも1種
類の金属で還元することにより高収率で得られるゼロ価
ニッケル錯体とルイス酸助触媒とを単離することなしに
用いて、行うことによるNDC類の製造方法を見い出
し、さらに研究を重ねて、高収率でかつ工業的にNDC
類を製造することが可能になり、本発明を完成させるに
至ったのである。すなわち、
の製造方法は、有機溶媒中、配位子P(x)(y)(z)(P
はリン原子であり、x,y,zはそれぞれRまたはOR
でRは炭素数18以下のアルキル基またはアリール基を
表す。)の存在下、ニッケルハロゲン化物の水和物を亜
鉛、カドミウム、ベリリウム、アルミニウム、鉄、コバ
ルトの内から選ばれた少なくとも1種類の金属で還元す
ることにより調製されるゼロ価ニッケル錯体触媒とルイ
ス酸助触媒とにより、1S−2−シアノノルボルネン及
び1R−2−シアノノルボルネンにシアン化水素化を行
うことを特徴とする。
用いられるCNN類は、シクロペンタジエンとアクリロ
ニトリルを加熱反応させるディールス・アルダー反応に
よって容易に高収率で得られるが、蒸留等により精製し
たものを使用するのが良い。
媒及びルイス酸助触媒は、下記の化学反応式に従い合成
される。 NiX2 + M + 4L → NiL4 + MX2 ニッケルハロケ゛ン化物 セ゛ロ価ニッケル錯体 ルイス酸助触媒 ただし、上記反応式中、Xはハロゲン原子、Mは亜鉛、
カドミウム、ベリリウム、アルミニウム、鉄、コバルト
の内から選ばれた少なくとも1種類の金属であり、Lは
配位子P(x)(y)(z)(Pはリン原子であり、x,y,
zは、それぞれRまたはORで、Rは炭素数18以下の
アルキル基またはアリール基を表す。)である。なお、
Mがアルミニウムの場合は、下記化学反応式に従い合成
される。 3NiX2+2Al+12L → 3NiL4+2AlX3
(I)で表される。 NiL4 …… (I) 上記一般式(I)中の4個のLは、同じものまたは異な
るものであってもよい。Lは、下記一般式(II) P(x)(y)(z) …… (II) を有する配位子を示し、Pはリン原子、x,y,zは、
それぞれ式RまたはORで示されるものとし、Rは炭素
数18以下のアルキル基及び炭素数18以下のアリール
基からなる群より選択されるものを示す。
スファイト、トリ(m‐又は‐p‐クロロフェニル)ホ
スファイト、トリ(m‐又は‐p‐メトキシフェニル)
ホスファイト、トリ(m‐又は‐p‐クレジル)ホスフ
ァイト、トリ(m‐又は‐p‐ノニルフェニル)ホスフ
ァイト等のトリアリールホスファイト類、トリエチルホ
スファイト、トリイソプロピルホスファイト、トリブチ
ルホスファイト等のトリアルキルホスファイト類、トリ
フェニルホスフィン、トリ(m‐又は‐p‐クロロフェ
ニル)ホスフィン、トリ(m‐又は‐p‐メトキシフェ
ニル)ホスフィン、トリ(m‐又は‐p‐クレジル)ホ
スフィン、トリ(m‐又は‐p‐ノニルフェニル)ホス
フィン等のトリアリールホスフィン類、トリエチルホス
フィン、トリイソプロピルホスフィン、トリブチルホス
フィン等のトリアルキルホスフィン類及びこれらの混合
物が挙げられ、好ましくは、トリアリールホスファイト
類及びトリアリールホスフィン類であり、さらに好まし
くは、トリフェニルホスファイト、トリ(m‐又は‐p
‐クレジル)ホスファイト、トリ(m‐又は‐p‐ノニ
ルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスフィン、
トリ(m‐又は‐p‐クレジル)ホスフィン、トリ(m
‐又は‐p‐ノニルフェニル)ホスフィン等である。
和物としては、例えば、塩化ニッケル六水塩、臭化ニッ
ケル三水塩、ヨウ化ニッケル六水塩が挙げられる。
の結果、ルイス酸助触媒を生成するものであり、亜鉛、
カドミウム、ベリリウム、アルミニウム、鉄、コバルト
の内から選ばれる少なくとも1種類の金属であり、最も
好ましい還元剤としては亜鉛である。また、還元剤の使
用量については、ゼロ価ニッケル錯体触媒の収率を高め
るため、ニッケルハロゲン化物の水和物より過剰に用い
るのが望ましいが、経済的な理由によりニッケルハロゲ
ン化物の水和物:還元剤=1:1〜1:6のモル比が最
も好ましい。使用後の還元剤は濾過等により未反応分を
回収して次のバッチに使用可能である。
ロゲン化物の水和物に対し、4倍モル(化学当量)程度
あればよく、ゼロ価ニッケル錯体の収率には問題がな
い。しかしながら、シアン化水素化反応時の活性及び寿
命を高めるため、配位子は、用いるニッケルハロゲン化
物の水和物1モルを基準として、少なくとも5モル以
上、好ましくは6〜36モル、より好ましくは8〜20
モルの範囲で使用される。36モルを越えても反応には
差し支えないが、シアン化水素化反応液の後処理及び精
製時、配位子回収の損失を考慮すると、必ずしも経済的
に好ましくない。
は、前述の中性配位子が溶媒の役割をも担いうるもので
あるが、これ以外に新たな溶媒を用いても何ら差し支え
ない。使用される溶媒種としては、例えば、少なくとも
1個以上の水酸基を有する炭素数6〜20、好ましく
は、6〜10のアリール化合物であり、場合によって
は、弗素、塩素、臭素、沃素、ニトロ基、シアノ基及び
炭素数1〜9の炭化水素基からなる群から選択した置換
基を1個以上有する前述のアリール化合物であっても良
い。例えば、フェノール、p−クレゾール、レゾルシノ
ール、β−ナフトール、p−クロロフェノール、p−ニ
トロフェノール、p−ブチルフェノール及び類似化合物
である。他の溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;
アセトニトリル及びベンゾニトリル等のニトリル類;ジ
オキサン、o−ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラ
ン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン等のエーテル
類;o−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン等の
クロロ芳香族炭化水素及び類似化合物である。また、C
NN類を溶媒として用いることもできる。
が、ニッケルハロゲン化物の水和物中のニッケル分が仕
込総量に対して、0.1〜2%が望ましい。2%以上で
合成しても差し支えないが、合成後の使用の際に、生成
したゼロ価ニッケル錯体触媒によるスラリー濃度の増大
による不都合が生じるおそれがある。温度条件について
は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜100℃の
範囲で行われる。反応時間については、通常、1〜10
時間、好ましくは1〜3時間で行われる。
は、例えば、反応器に上記のゼロ化ニッケル錯体触媒合
成後、CNN類の所定量を仕込んだ後、所定温度で撹拌
下の反応液中にシアン化水素を導入することによって行
われる。ゼロ価ニッケル錯体触媒合成液とCNN類の仕
込比については、ゼロ価ニッケル錯体触媒とCNN類の
モル比が、通常、1:5000〜1:20、好ましくは
1:2000〜1:100の範囲である。
が好ましいが、取扱い上、ヘリウム、アルゴン、窒素等
の不活性なガスによって希釈し、適当な濃度にしたもの
を用いても不都合はない。シアン化水素の使用量はCN
N類1モルに対し、通常、0.2〜1.5モル、好まし
くは0.5〜1.2モルの範囲で用いるのが良い。ま
た、CNN類のシアン化水素付加の反応温度は、通常、
−20〜200℃、好ましくは20〜130℃、特に好
ましくは50〜100℃である。また、反応圧力は、通
常、常圧が好ましく、加圧系でも行えるが、圧力の増大
による顕著な効果はない。
常、回分式が採用されるが、CNN類、シアン化水素、
ゼロ価ニッケル錯体触媒合成液、また必要によっては溶
媒等を連続的に反応器に供給するような連続式も採用さ
れる。本発明によって製造されるNDC類は、2,5−
NDCと2,6−NDCを主成分とする混合物として得
られる。
を高濃度に含有する反応終了液に対し、触媒有効成分等
の回収のため、有機溶剤による抽出を行うことやルイス
酸及び無機物を水に抽出すること等の後処理を施した
後、蒸留によってNDC類を得ることができる。NDC
類の蒸留は、圧力0.3〜0.5mmHg、120℃〜13
0℃の留分をNDC類として採取するのが良い。
に説明する。なお、反応液の分析は、ゼロ価ニッケル錯
体触媒については高速液体クロマトグラフィー、NDC
類についてはガスクロマトグラフィーにより測定した。
また、「%」は断りのない限り「wt%」である。
mLガラス丸底フラスコに、塩化ニッケル六水和物3.4
0g(13.8ミリモル)、亜鉛粉末1.90g(2
9.2ミリモル)、トリフェニルホスファイト35.9
0g(114.6ミリモル)、CNN58.80g(4
83.3ミリモル)を仕込み、室温で気相部の窒素置換
を行い、撹拌下60℃で2時間反応させた。反応液の分
析により16.5%のテトラキス(トリフェニルホスフ
ァイト)ニッケルが検出された。これは91.9%の収
率に相当する。
ン化水素導入口、冷却器等を備えた1Lガラス製平底セ
パラブルフラスコに、CNN637.0g(5.237
モル)を仕込み、室温で気相部の窒素置換を行い、その
後70℃に昇温した。次いで、上記で得た合成液の全量
をこのフラスコ中に移液した。その後、液体シアン化水
素145.5g(5.384モル)を5時間に亘り供給
した。シアン化水素化終了液の分析の結果、NDC8
9.19%、CNN4.48%、テトラキス(トリフェ
ニルホスファイト)ニッケル0.80%を含んでいた。
これはCNN転化率93.7%、NDC選択率100%
に相当する。また、テトラキス(トリフェニルホスファ
イト)ニッケルの残存率は42.8%であり、失活した
錯体触媒1モルあたり742モルのNDCが生成したこ
とがわかる。
mLガラス丸底フラスコに、塩化ニッケル六水和物3.4
0g(13.8ミリモル)、トリフェニルホスフィン3
0.03g(114.6ミリモル)、CNN58.8g
(483.3ミリモル)を仕込み、室温で気相部の窒素
置換を行い、撹拌下70℃に昇温した。液の様子はスラ
リー状から黒緑色均一溶液に変化した。このことからビ
ス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリドの生
成が確認できる。その後、亜鉛粉末2.86g(43.
8ミリモル)を添加すると液は黄色に変化した。反応時
間2時間後の分析では、15.8%のテトラキス(トリ
フェニルホスフィン)ニッケルを含むことがわかった。
これは収率98.4%に相当する。
て、上記で得た合成液を用いること以外は全く実施例1
と同様の操作を行った。その結果、シアン化水素化終了
液は、NDC89.0%、CNN5.48%、テトラキ
ス(トリフェニルホスフィン)ニッケル0.75%を含
んでいた。これはCNN転化率93.0%、NDC選択
率100%に相当する。またテトラキス(トリフェニル
ホスフィン)ニッケルの残存率は43.8%であり、失
活した錯体触媒1モル当たり、700モルのNDCが生
成したことがわかる。
の水和物、還元剤及び配位子から誘導されるゼロ価ニッ
ケル錯体触媒及びルイス酸助触媒を単離、精製すること
なしに、CNN類のシアン化水素化に用いることがで
き、高転化率、高選択率でかつ経済的にNDC類を製造
できるため、非常に有益なNDC類の製造方法である。
Claims (5)
- 【請求項1】 有機溶媒中、配位子P(x)(y)(z)(P
はリン原子であり、x,y,zは、それぞれRまたはO
RでRは炭素数18以下のアルキル基またはアリール基
を表す。)の存在下、ニッケルハロゲン化物の水和物を
亜鉛、カドミウム、ベリリウム、アルミニウム、鉄、コ
バルトの内から選ばれた少なくとも1種類の金属で還元
することにより調製されるゼロ価ニッケル錯体触媒とル
イス酸助触媒とにより、1S‐2‐シアノノルボルネン
及び1R‐2‐シアノノルボルネンにシアン化水素化を
行うことを特徴とするノルカンファンジカルボニトリル
類の製造方法。 - 【請求項2】 還元剤として亜鉛を用いる請求項1記載
の製造方法。 - 【請求項3】 有機溶媒として1S‐2‐シアノノルボ
ルネン及び1R‐2‐シアノノルボルネンを用いる請求
項1記載の製造方法。 - 【請求項4】 配位子P(x)(y)(z)としてアルキルま
たはアリールホスファイト(x,y,zは、それぞれO
RでRは炭素数18以下のアルキル基またはアリール基
を表す。)を用いる請求項1記載の製造方法。 - 【請求項5】 配位子P(x)(y)(z)としてアルキルま
たはアリールホスフィン(x,y,zは、それぞれRで
Rは炭素数18以下のアルキル基またはアリール基を表
す。)を用いる請求項1記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4344024A JP2866270B2 (ja) | 1992-12-24 | 1992-12-24 | ノルカンファンジカルボニトリル類の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4344024A JP2866270B2 (ja) | 1992-12-24 | 1992-12-24 | ノルカンファンジカルボニトリル類の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06184082A JPH06184082A (ja) | 1994-07-05 |
JP2866270B2 true JP2866270B2 (ja) | 1999-03-08 |
Family
ID=18366074
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4344024A Expired - Lifetime JP2866270B2 (ja) | 1992-12-24 | 1992-12-24 | ノルカンファンジカルボニトリル類の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2866270B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5631332A (en) * | 1995-01-17 | 1997-05-20 | Mitsui Toatsu Chemicals, Inc. | Curing agents for epoxy resins comprising bis(aminomethyl)bicyclo[2.2.1]heptane adducts |
JPH09235352A (ja) * | 1995-12-27 | 1997-09-09 | Mitsui Toatsu Chem Inc | 樹脂用硬化剤 |
DE10351002A1 (de) * | 2003-10-30 | 2005-05-25 | Basf Ag | Einsatz von azeotrop-getrockneten Nickel(II)-halogeniden |
EP2036883B1 (en) * | 2006-06-30 | 2012-10-17 | Mitsui Chemicals, Inc. | Process for producing dicyanonorbornane |
CN110804000B (zh) * | 2019-11-11 | 2020-09-22 | 山东益丰生化环保股份有限公司 | 一种二氰基降冰片烷的制备方法 |
-
1992
- 1992-12-24 JP JP4344024A patent/JP2866270B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06184082A (ja) | 1994-07-05 |
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