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JP2859577B2 - 肝実質細胞増殖因子 - Google Patents

肝実質細胞増殖因子

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Publication number
JP2859577B2
JP2859577B2 JP8071911A JP7191196A JP2859577B2 JP 2859577 B2 JP2859577 B2 JP 2859577B2 JP 8071911 A JP8071911 A JP 8071911A JP 7191196 A JP7191196 A JP 7191196A JP 2859577 B2 JP2859577 B2 JP 2859577B2
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JP
Japan
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hhgf
gene
sequence
amino acid
cdna
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JP8071911A
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直実 喜多村
恵二 宮澤
恭 大工原
博仁 坪内
大地 仲
和展 高橋
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遺伝子組換えによ
って得られた肝実質細胞増殖因子に関する。
【0002】
【従来の技術】肝臓は、生体中で最も高度に分化の進ん
だ最大の器官である。これは主に各種栄養素(糖質、タ
ンパク質、脂質、ビタミン、ホルモン等)の処理(代
謝)、貯蔵、解毒、分解、排せつ等の重要な多種の機能
を兼ね備えており、なかでも生体内中間代謝の中心的な
役割を果たすことが知られている。これらの機能を担っ
ている肝実質細胞は生体内において各種のホルモンによ
る制御下に置かれ、ある場合にはきわめて旺盛な増殖を
示す。例えば、ラットの肝臓のほぼ 2/3を切除しても、
約10日後には元の大きさに戻ることが知られており、ヒ
トでも肝癌患者等において、部分肝切除とその後の再生
による治療法が行われている。肝実質細胞の増殖による
肝再生の機構については従来より数多くの研究が行わ
れ、肝実質細胞増殖因子の存在が報告されてきた。とり
わけ、本発明者らの一部は、ヒト劇症肝炎患者血漿中に
は、肝実質細胞増殖活性が極めて高いことを見いだし
(Biomed.Res., 6, 231(1985)及び Exp. Cell. Res. 16
6, 139(1986))、その活性を有する因子を世界で初めて
単一のタンパク質として精製することに成功した(特開
昭63-22526号公報及び J. Clin.Invest., 81, 414(198
8))。
【0003】このヒト肝細胞増殖因子(以下「hHGF」と
略す)は非還元条件下の SDS-PAGEによる推定分子量が
約 76000-92000であり、還元条件下の SDS-PAGE では分
子量56000-65000及び 32000-35000の2つのバンドに分
かれた。中村らは、ラット血小板由来の同様な活性を有
する因子を報告しており(Biochem. Biophys. Res. Comm
un., 122, 1450(1984))、 SDS-PAGE により、その推定
分子量は約 27000であるとしていたが(Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA, 83, 6489(1986))、その後、単一のタン
パク質として精製し、分子量 69000と 34000との2つの
ポリペプチドからなる分子量 82000のタンパク質である
と報告された(FEBS Letters, 224, 311(1987))。これ
ら hHGF 及びラットHGF 以外には単一のタンパク質とし
て精製された肝細胞増殖因子は今までに報告されていな
いし、 hHGF 及びラットHGF に関しても、その一次構造
及び該当する cDNA の塩基配列については、なんの報告
もなされていない。
【0004】
【発明の解決すべき課題】hHGF の生体における詳細な
機能あるいは肝障害時における肝再生に対する効果等を
生体外で調べるには、多量の hHGF を必要とするが、劇
症肝炎患者血漿から多量の hHGF を精製することは人
的、時間的、経費的に必ずしも容易ではなく、また感染
源の存在する血漿中から hHGF のみを安定に取り出すこ
とは困難を極める。かかる理由から hHGF の劇症肝炎患
者血漿からの安定かつ大量の精製は行われていなかっ
た。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
hHGFを組換え DNA技術により大量に取得するべく種々検
討した結果、かかる目的に有用な hHGF をコードする遺
伝子を初めてクローニングすることに成功し、本発明を
完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明の要旨は、図1及び2に
示すアミノ酸配列で表される、シグナル配列を含むhHG
F、図1及び2に示すアミノ酸配列のうち30番目のグル
タミン酸残基 (Glu)から最後のセリン残基 (Ser)までの
配列で表される hHGF 、図1及び2に示すアミノ酸配列
のうち32番目のグルタミン (Gln)から最後のセリン残基
(Ser)までの配列で表される hHGF に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明を説明するに、本発
明の hHGF をコードする遺伝子 (cDNA) は例えば図3な
いし5に示すような塩基配列を有する。なお、塩基配列
は他の相補的な塩基配列を省略し1本鎖のみを記載し
た。この遺伝子より組換え DNA技術により例えば図1及
び2に示すアミノ酸配列を有する hHGF を発現させるこ
とができる。この時、 hHGF をコードする mRNA から翻
訳される蛋白はシグナル配列を含んでいるが、細胞から
分泌される場合にはシグナル配列が切断され、30番目の
グルタミン酸残基 (Glu)または32番目のグルタミン残基
(Gln)以後のアミノ酸配列を有する hHGF が産生され
る。シグナル配列として、他の蛋白のシグナル配列を利
用する事もできる。また、宿主細胞内にシグナル配列の
ない成熟 hHGF を発現させる場合は、 hHGF をコードす
る遺伝子として図3ないし5に示す塩基配列のうち88番
目のGまたは94番目のCから以後の塩基配列を有する遺
伝子を、ベクターの ATGコドンにつなげて使用すればよ
い。さらに、本発明においては、肝実質細胞増殖促進活
性を損なわない範囲内で、一部のアミノ酸または核酸を
除去、変更あるいは追加する等の改変を行ったものも本
発明に含まれる。
【0008】本発明の hHGF をコードする遺伝子の DNA
断片は例えば次の様な方法によって得られる。劇症肝炎
患者血漿より、例えば J. Clin. Invest, 81, 414(198
8) に記載された方法によって精製された hHGF は、還
元条件下では、ジスルフィド結合が切断されて2本のポ
リペプチドに分かれる。分子量 56000-65000ポリペプチ
ドをH鎖、分子量 32000-35000のポリペプチドをL鎖と
する。 hHGF を還元処理し生成したシステイン残基のチ
オール基をカルボキシメチル化したのち、逆相高速液体
クロマトグラフィーでH鎖とL鎖を分離するか、あるい
は hHGF を還元条件下で電気泳動し、そのゲルからH
鎖、L鎖のそれぞれを抽出したのち、例えばアプライド
・バイオシステムズ社製気相プロテインシーケンサーで
分析することにより、両鎖のアミノ末端アミノ酸配列を
調べることができる。さらに、 hHGF自体を、またはH
鎖、L鎖分離後に、適切な蛋白分解酵素例えばアクロモ
バクタープロテアーゼI(リジルエンドペプチダーゼ)
で分解し、生成するペプチド断片を例えば逆相高速液体
クロマトグラフィーで分離したのち、各ペプチドを上記
と同様にしてアミノ酸配列分析すればポリペプチド内部
のアミノ酸配列を知ることができる。これらのアミノ酸
配列から DNA塩基配列を推定しオリゴヌクレオチドを作
成しやすい配列を選定して、そのオリゴヌクレオチド、
例えば、後述の実施例に示すようなオリゴヌクレオチド
を合成してプローブとして使用する。
【0009】hHGFをコードする遺伝子をスクリーニング
する cDNA ライブラリーとしては、人由来の肝臓 cDNA
ライブラリー、脾臓 cDNA ライブラリー、胎盤 cDNA ラ
イブラリー、等が利用できる。これらのライブラリーは
クローンテック社より販売されている。特に胎盤 cDNA
ライブラリーが望ましい。その他 hHGF を発現している
細胞株、及び組織材料から常法に従って cDNA ライブラ
リーを作成してもよい。このような cDNA が組み込まれ
たλファージを Maniatis らの方法(「モレキュラーク
ローニング」、コールドスプリングハーバーラボラトリ
ー、56頁−73頁(1982))により大腸菌に感染させ培養す
る。形成されたプラークを hHGF の一部のアミノ酸配列
から推定される塩基配列から作成したオリゴヌクレオチ
ドをプローブとしてプラークハイブリダイゼーション法
(「モレキュラークローニング」、コールドスプリング
ハーバーラボラトリー、 320頁-328頁(1982))に従って
選択することにより、容易に目的とする hHGF のアミノ
酸配列の一部と同じアミノ酸配列を有しなおかつ hHGF
のアミノ酸配列のプローブ以外の領域に相当する塩基配
列をも有する、異なるλファージクローンをいくつか得
ることができる。
【0010】さらに上記スクリーニング陽性のプラーク
から Maniatis らの方法(「モレキュラークローニン
グ」、コールドスプリングハーバーラボラトリー、76頁
−79頁(1982) )によりファージを増殖させ、そのもの
からグリセロールグラヂエント法にしたがって DNAを精
製し適切な制限酵素例えば EcoRI等で切断後、 pUC 1
8、 pUC 19 等のプラスミドベクターあるいは M 13 mp
18 、 M 13 mp 19 などの一本鎖ファージベクターに cD
NA をサブクローニングし、Sangerらのジデオキシ法
(プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミー
・オブ・サイエンス・ユー・エス・エー(Proc. Natl.
Acad. Sci. U.S.A. )74, 5463(1977))に従って目的 c
DNA セグメントの塩基配列を決定することができる。得
られたクローンの塩基配列を解析しそれらを統合するこ
とにより、 hHGF の一部をコードする cDNA クローン群
によって、図1及び2に示す hHGF の全アミノ酸配列の
全てに対応する遺伝子を得ることができる。
【0011】かくして得られる cDNA の発現は、例え
ば、該 DNA群をその塩基配列の順番がhHGF のアミノ酸
配列に従う形でつないでそれら hHGF の全領域を含む D
NA断片としこれを pCDL-SRα296 等のプラスミドのプロ
モーターの下流に翻訳開始コドンATG とフェーズを合わ
せて接続して蛋白質発現用プラスミドを形成し、該プラ
スミドで形質転換された動物細胞の宿主内等で行うこと
ができる。次いで、常法に従い発現された蛋白質を回収
することにより本発明の HGFを得ることができる。
【0012】上記発現用プラスミドとしては、工業的生
産のためには、安定した宿主−ベクター系を構築するこ
とが望ましい。例えば、特願平1-115831号に記載されて
いるようなものが挙げられる。具体的には、大腸菌、枯
草菌等の微生物を宿主とするときは、プロモーター、リ
ボゾーム結合配列、 hHGF 遺伝子、転写終結因子、及び
プロモーターを制御する遺伝子より成ることが好まし
い。プロモーターとしては、例えばトリプトファン合成
酵素オペロン (trp)、ラクトースオペロン (lac)、リポ
プロテインのプロモーター (lpp)等が挙げられ、また、
tac(trp : lac)、 trc(trp : lac) 、 pac(ファー
ジ:大腸菌)等のハイブリッドプロモーターでもよい。
hHGF 遺伝子としてはシグナル配列に相当する部分を除
去したものが好ましいが、シグナル配列に相当する部分
を含むものでも産生されるプレ体からシグナル配列を除
くことによって hHGF を得ることが出来る。使用するプ
ラスミドとしては、大腸菌や枯草菌で多コピー数になる
プラスミド、例えば pBR 322系プラスミド、 pUB 110系
プラスミド等が望ましい。通常の方法により形質転換さ
れた大腸菌、枯草菌などは、通常の培地を用いて15−42
℃で培養すればよい。酵母を宿主とする場合は、酵母由
来のプロモーター、例えばピルビン酸キナーゼ (pYK)、
ホスホグリセロキナーゼ (pGK)等の配列の支配下に hHG
F 遺伝子を接続し、酵母内に導入して30℃前後で培養す
ればよい。
【0013】しかしながら、天然の hHGF は糖蛋白であ
ることを考慮すると、宿主としては動物細胞が望まし
い。また、動物細胞を宿主とする場合はシグナル配列に
相当する部分を含む hHGF 遺伝子を導入することによ
り、シグナル配列が除かれた hHGF が分泌生産されると
いう利点が期待される。シグナル配列としては hHGF の
本来のシグナル配列以外にもヒト血清アルブミン、イン
ターフェロン、ヒト・アミラーゼ等のシグナル配列を利
用してもよく、その場合は本来のシグナル配列をコード
する DNA断片にかえて、それらのシグナル配列に相当す
る塩基配列の DNA断片を5'側に置換すればよい。動物細
胞を宿主とする場合、プロモーターとしては、 SV40 後
期プロモーター、アポリポプロテインE遺伝子のプロモ
ーター、アポリポプロテインA1遺伝子のプロモーター、
熱ショック蛋白遺伝子のプロモーター、メタロチオネイ
ン遺伝子のプロモーター、 HSVTKプロモーター、アデノ
ウイルスのプロモーター、レトロウイルスの LTR等が挙
げられるが、 SV40 プロモーター及びメタロチオネイン
遺伝子のプロモーターが好ましい。発現ベクターには、
hHGF 遺伝子の下流にポリアデニル化部位が含まれる。
ポリアデニル化部位の具体例としては、 SV40 DNA 、β
−グロビン遺伝子またはメタロチオネイン遺伝子に由来
するものが挙げられる。
【0014】また、β−グロビン遺伝子のポリアデニル
化部位及び SV40 DNA のポリアデニル化部位が連結した
ものであってもよい。発現ベクターは、形質転換体の選
択マーカーを有していてもよい。発現ベクター中に選択
マーカーがなくても、二重形質転換により、形質転換さ
れた動物細胞を選択できる。このような選択マーカーと
しては、メトトレキセート耐性を与える DHFR 遺伝子、
HAT培地中での形質転換tk株の選択を可能とするヘルペ
ス・シンプレックスウイルス (HSV)のtk- 遺伝子、3'−
デオキシストレプタミン抗生物質 G418 に対する耐性を
付与する大腸菌のトランスポゾン Tn 5 からのアミノグ
リコシド 3'-ホスホトランスフェラーゼ遺伝子、重層増
殖によるウシパピローマウイルス遺伝子、 aprt 遺伝子
等が挙げられる。また、二重形質転換法により、発現ベ
クターで形質転換した動物細胞を選択するには、上記し
た選択マーカーとなる遺伝子を含有するプラスミドその
他の DNAを発現ベクターと一緒に形質転換し、選択マー
カーの発現による上記した表現形質により、形質転換細
胞を選択出来る。
【0015】発現ベクターは、大腸菌等の細菌由来の複
製開始点を有するプラスミド断片を有すると、細菌中で
のクローニングも可能となり有利である。このようなプ
ラスミド断片としては pBR 322、 pBR 327、 pML等のプ
ラスミド断片が挙げられる。発現ベクターに使用される
プラスミドベクターの具体例としては、 SV40 初期プロ
モーター、ウサギのβ−グロビン遺伝子に由来するスプ
ライス配列 DNA、ウサギのβ−グロビン遺伝子からのポ
リアデニル化部位、 SV40 初期領域からのポリアデニル
化部位並びに pBR 322からの複製開始点及びアンピシリ
ン耐性遺伝子を含有する pKCR 、 pKCR の pBR 322部分
を pBR 327で置換し、ウサギβ−グロビン遺伝子のエク
ソン3中に存在する Eco R1 部位を Hind III 部位に変
えた pKCR H2、 BPV遺伝子及びメタロチオネイン遺伝子
を含有する pBPV MT1 等が挙げられる。
【0016】発現ベクターで形質転換される動物細胞と
しては、 CHO細胞、 COS細胞、マウスL細胞、マウス C
127 細胞、マウス FM3A 細胞等が挙げられる。発現ベク
ターの動物細胞への移入はトランスフェクション法、マ
イクロインジェクション法等により行われるが、その中
では、リン酸カルシウム法が最も一般的である。移入に
より形質転換された動物細胞の培養は、常法により浮遊
培養または付着培養で行うことができる。培地として
は、 MEM、 RPMI 1640などが一般的である。
【0017】産生された hHGF の分離精製は、劇症肝炎
患者血漿からの精製と同様に、ヘパリン・セファローズ
やハイドロキシアパタイト等を用いたカラムクロマトグ
ラフィーにより行うことが出来る。
【0018】
【発明の効果】本発明に係わる hHGF をコードする遺伝
子は常法により発現ベクターに導入することによって、
これを鋳型とする発現により hHGF または hHGF 様物質
あるいはこれを含む融合蛋白を得ることができる。得ら
れる組換え hHGF, hHGF 様物質あるいは hHGF を含む融
合蛋白は肝再生促進剤、肝機能改善剤、肝炎治療剤ある
いは肝硬変抑制剤等肝疾患の治療薬となる可能性があ
る。
【0019】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、その要旨を越えない限り、以下の実施例に
限定されるものではない。 実施例1 [1] hHGF の部分アミノ酸配列決定及びプローブの作製 劇症肝炎患者血漿より、J. Clin. Invest., 81, 414(19
88) に記載された方法に従って hHGF を精製した。これ
を SDS−PAGEにかけたところ、非還元条件下では、分子
量 76000−92000 の位置にややブロードな単一バンドが
現れ、還元条件下では、分子量 56000−65000 のややブ
ロードなバンドと分子量 32000−35000のバンドの2つ
のバンドが現れた。この精製 hHGF 50μg を5モル濃度
の尿素を含有するpH 9の 50 ミリモル濃度のトリス塩酸
緩衝液 100μl に溶解し、これに、 hHGF に対しモル比
で 1/200に相当するアクロモバクタープロテアーゼIを
加えて37℃で6時間反応させた。生成したペプチド混合
物は常法により還元カルボキシメチル化したのち、J.
T. Baker 社製 Bakerbond WP Octyl Columnを用いた逆
相高速液体クロマトグラフィーにより分離して、各ペプ
チドを分取した。
【0020】6つのペプチドについて気相プロテインシ
ーケンサー(Applied Biosystems社Model 470A)を用い
てアミノ酸配列分析を行ったところ、表1に示すような
配列が見いだされた。
【表1】
【0021】[2] hHGF の一部をコードする cDNA のス
クリーニング (1) プラークハイブリダイゼーション スクリーニングを行うλファージ cDNA ライブラリーと
して34週齢のヒト胎盤由来の cDNA (クローンテック
社)のスクリーニングを説明書に従って行った。100万
クローンのファージを大腸菌 Y−1090株に感染させ 24.
5 cm× 24.5 cmのシャーレ中の NZY軟寒天培地 [NZY 培
地; 1% NZ−アミン、0.5%イーストイクストラクト、0.
5%塩化ナトリウム、 pH 7.5 に調整し 0.25%塩化マグネ
シウムを加えたもの、 NZY軟寒天培地; NZY培地に0.7%
になるように寒天沫を加えオートクレイブしたもの] 中
で1枚あたり20万クローンの割合で5枚分を42℃で一晩
培養した。
【0022】次に培地中のλファージクローンを市販の
ナイロン膜であるジーンスクリーニングプラス(デュポ
ン社)上に移し取り、以下に説明するプラークハイブリ
ダイゼーションを行った。即ち、1枚のシャーレあたり
ナイロン膜2枚の割合でファージ粒子を移し取り、その
様にしてできたナイロン膜を 0.1M 水酸化ナトリウム−
1.5M塩化ナトリウムが染み込んだろ紙上に2分間静置し
別に用意した乾いたろ紙上で水分を除いた後、次に、同
様に 2×SSCP(2倍の濃度の SSCP 溶液のこと、以下同
様の表記方法をとる。10×SSCP;1.2M塩化ナトリウム、
150mM クエン酸ナトリウム、130mM 燐酸二水素カリウ
ム、1mM EDTA pH 7.2)−0.2Mトリス−塩酸(pH 7.4)を染
み込ませたろ紙上でこのナイロン膜を静置し乾いたろ紙
上で風乾した後、同じ操作を再び繰り返した。こうして
処理したナイロン膜は、 3×SSC (20 倍の濃度の SSC溶
液;3M塩化ナトリウム、0.3Mクエン酸ナトリウム) −0.
1% SDSで60℃15分間2回洗浄し、次にナイロン膜1枚当
り 5 ml のプレハイブリダイゼーション液[ 3×SSC 、
0.1% SDS、10×Denhardt's(50倍の濃度のDenhardt's溶
液; 1% BSA (牛血清アルブミン) 1% ポリビニルピロ
リドン、及び 1% フィコール400)、20μg/ml鮭精子DNA]
に65℃3時間浸した。
【0023】次に、表1のペプチド4、すなわち Asn-M
et-Glu-Asp-Leu-His-Arg-His-Ile-Phe-Trp-Glu-Pro-Asp
-Ala-Ser-LysのうちのAsn-Met-Glu-Asp-Leu-His および
His-Ile-Phe-Trp-Glu-Pro を基に合成オリゴヌクレオチ
ドを作成した。即ち、前述のアミノ酸配列の順に17塩基
64種類の TH 23 (5'-T-G-T/C/A/G-A-A/G-A/G-T-C-T/C-T
-C-C-A-T-A/G-T-T-3')、17塩基24種類の TH 24 (5'-G-G
-T/C-T-C-C-C-A-A/G-A-A-A/G/T-A-T-A/G-T-G-3')を作成
した。これらを常法に従いポリヌクレオチドキナーゼに
よりその5'末端を反応液 [50 mM トリス−塩酸 pH 7.6
、10mM塩化マグネシウム、10mMメルカプトエタノー
ル、 100μM (γ32P )ATP 、基質DNA]中で32P 標識し
た後、常法に従い DEAE セルロースカラムをかけて余分
なモノヌクレオチドを除いた。こうしてできあがった32
P 標識合成オリゴヌクレオチドプローブを含むハイブリ
ダイゼーション液[3×SSC 、10×Denhardt's、50μg/ml
鮭精子DNA、1M塩化ナトリウム、1% SDS、 250μg/ml鮭
精子DNA 、合成プローブ1種類当り10万c.p.m./ml32P
標識プローブDNA]中で前述のフィルターをプローブに応
じAまたはTを2℃に、GまたはCを4℃に置き換えて
全ての塩基を合計した温度、実際はプローブにより42℃
(TH23) 46℃ (TH24) で36時間保温した。その後、ナイ
ロン膜を取り出し、 4×SSC 溶液中で室温で30分間2回
洗い、 4×SSC 溶液でハイブリダイゼーションの時と同
じ温度で30分間2回洗った後 2×SSC 溶液で室温で15分
間2回洗い、オートラジオグラフィーをとった。
【0024】2枚1組のナイロン膜のオートラジオグラ
フィー上のシグナルが一致したものは6個あった。得ら
れたシグナルに相当するクローンを単離するために、こ
れらシグナルと一致する軟寒天培地上のプラークをガラ
ス管で打ち抜き50μl のクロロフォルム存在下 1mlの T
MG緩衝液 [50mMトリス−塩酸 pH7.5、100mM 塩化ナトリ
ウム、10mM塩化マグネシウム及び0.01% ゼラチン] 中で
ファージ粒子を一晩抽出し再び大腸菌 Y−1090株に感染
させ 9cmシャーレ中で適当量培養し前述の方法でプラー
クハイブリダイゼーションを行った。この一連の操作を
繰り返すことによりシグナルに相当するクローンを各々
単離することができた。その結果独立した6個のクロー
ンを得た。そのうち2個のクローン、すなわちλ hHGF
21とλ hHGF 502 について、含まれる cDNA の塩基配列
を解析した。
【0025】(2) cDNA断片のサブクローニング及び塩基
配列の決定 これらのλファージクローンから以下のように DNAを抽
出しプラスミドベクター pUC18、 pUC19及び一本鎖ファ
ージベクター M13mp18、 M13mp19にサブクローニングを
おこなった。即ち、 500ml三角フラスコ中の 200mlの N
ZY培地中において、 200μl の TMG溶液に懸濁してある
λファージクローン 2×107p.f.u. (p.f.u.;プラーク
形成単位)と40μl の大腸菌 Y−1090株 2×108 を37℃
15分置くことにより感染させた。15分後さらに 1mlの 1
M 塩化カルシウムを加え一晩、概ね14時間ほど培養し
た。次に、 2mlのクロロフォルムを加え10分ほど置き、
15.8 g の塩化ナトリウムを加え溶かし、それらを4℃
において日立冷却遠心機 SCR20BBで、ローター RPR 9-2
を用いて6000回転20分間遠心した上清に20g のポリエチ
レングリコール6000を加えて十分に溶解した後に氷中で
1時間静置した。
【0026】これを日立冷却遠心機 SCR 20BB で、ロー
ター RPR 9-2において6000回転20分間遠心し沈澱を 6ml
のA緩衝液 [0.5% NP 40、36mM塩化カルシウム、30mMト
リス−塩酸 pH 7.5 50mM塩化マグネシウム、125mM 塩化
カリウム、0.5mM EDTA、0.25% デオキシコール酸、0.6m
M メルカプトエタノール] に懸濁しここに 100μl の10
mg/mlのデオキシリボヌクレアーゼIと10μl の10mg/
mlのリボヌクレアーゼAを加え30℃で30分間保温するこ
とにより大腸菌由来の核酸を分解した。その後上記反応
液に等量のクロロフォルムを加え良く攪はんしたのちに
トミー遠心機 LC-06、ローター TS-7 で3000回転10分間
遠心し上清を得た。一方予め日立超遠心機ローター RPS
40T用遠心管に 40%グリセロール溶液 [0.5% NP 40、30
mMトリス−塩酸 pH 7.5 、125mM 塩化カリウム、0.5mM
EDTA、0.6mM メルカプトエタノール、10% グリセロー
ル] を 1ml入れておきその上に 3mlの10% グリセロール
溶液[0.5% NP 40、30mMトリス−塩酸 pH 7.5 、125mM
塩化カリウム、0.5mM EDTA、0.6mM メルカプトエタノー
ル、 40%グリセロール] を重層して準備しておいた上に
先ほどのヌクレアーゼ処理をしたファージ懸濁液を重層
し、日立超遠心機 70P 72、ローター RPS 40Tで 35000
回転1時間遠心した。
【0027】遠心後沈澱として落ちてきたファージ粒子
を0.4 mlの40mMトリス−塩酸 pH7.5、10mM EDTA 、2% S
DSに懸濁し 4μL の10mg/mlのプロテナーゼKを加えて
55℃1時間保温を行った。その後溶液をエッペンドルフ
チューブに移し等量のフェノール/クロロフォルムにて
ファージDNA を抽出しエタノール沈澱を行うことにより
目的とするファージDNA を 200μg 得ることが出来た。
このファージDNA を制限酵素 EcoRIで常法に従い切断し
アガロース電気泳動法にて解析した。その結果クローン
λ hHGF 21から0.2kb と0.85kbと0.72kbの3本の EcoRI
断片を得た。一方アガロースゲルから該インサート cDN
A 断片を常法に従い回収することにより目的とする cDN
A 断片を得ることが出来た。これら cDNA 断片 100ngを
予め常法に従い制限酵素 EcoRIによって切断しておいた
プラスミドベクター pUC18、 pUC19及び一本鎖ファージ
ベクター M13mp18、 M13mp19 200ngと10μl の反応液
[66mMトリス−塩酸 pH7.6、6.6mM 塩化マグネシウム、1
0mMジチオスレイトール、66μM ATP 、基質DNA]中でユ
ニットの T4 DNA リガーゼにより結合しそれぞれのベク
ターに見合った宿主の大腸菌を常法に従い形質転換する
ことにより EcoRI挿入部位に HGF蛋白質の部分配列を持
つサブクローンを得た。
【0028】得られた cDNA サブクローンの塩基配列の
決定は、Sangerらのジデオキシ法によって行った。プラ
イマーは市販の M13ファージベクターに対応するものを
使用した。その結果、最も長い cDNA を持つクローンλ
hHGF 21の塩基配列をアミノ酸に翻訳すると図1及び2
に示すようにすでに明らかにされているアミノ酸配列の
うちプローブの設計に使用したアミノ酸配列とは異なる
領域のアミノ酸配列のうちのいくつかを含んでいること
が判明し、このクローンが hHGF の少なくとも一部分の
領域を含む cDNA であることが判明した。また、λ hHG
F 21にはない cDNA 断片を含むクローンλ hHGF 502 の
cDNA の塩基配列を Sanger 法に従い解析した結果、ク
ローンλ hHGF 502 はクローンλ hHGF 21と同じ塩基配
列を図3ないし5で示す制限酵素切断部位 NcoI の近傍
から5'上流から数えて三番目の EcoRI切断部位の近傍ま
での 0.8kbの長さで共有し3'側にλ hHGF 21にはない
0.7kbの塩基配列をもつことがわかった。λ hHGF 502
の塩基配列のうちλ hHGF 21の有しない塩基配列のなか
には既に解析されているアミノ酸配列に相当する塩基配
列があることが判明した。これら2つのクローンの塩基
配列を一部が重複する形でつなぎあわせると hHGF のア
ミノ酸配列の全てをカバーすることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の hHGF の全アミノ酸配列のうち第1
番目のアミノ酸 (Met)から第360 番目のアミノ酸 (Ser)
までの配列を表す図である。図中下線はすでに明らかに
されていたアミノ酸配列を示す。
【図2】 本発明の hHGF の全アミノ酸配列のうち第36
1 番目のアミノ酸 (Glu)から第728 番目のアミノ酸 (Se
r)までの配列を表す図である。図中の下線は図1と同じ
である。
【図3】 実施例1で得られた本発明の hHGF をコード
する遺伝子を含む cDNAの全塩基配列のうち、第1番目
の塩基から第780 番目の塩基までの配列を示す図であ
る。図中に主な制限酵素の認識部位を併記した。また下
線はすでに明かにされていたアミノ酸配列に対応する部
分を示す。
【図4】 実施例1で得られた本発明の hHGF をコード
する遺伝子を含む cDNAの全塩基配列のうち、第781 番
目の塩基から第1620番目の塩基までの配列を示す図であ
る。図中に主な制限酵素の認識部位を併記した。図中の
下線は図3と同じであり、二重下線は最初のクローンを
得る際に使用したプローブに対応する塩基配列を表す。
【図5】 実施例1で得られた本発明の hHGF をコード
する遺伝子を含む cDNAの全塩基配列のうち、第1621番
目の塩基から第2187番目の塩基までの配列を示す図であ
る。図中に主な制限酵素の認識部位を併記した。また下
線は図3と同じである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 5/10 C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:91) (72)発明者 高橋 和展 神奈川県横浜市緑区鴨志田町1000番地 三菱化成株式会社総合研究所内 (56)参考文献 特開 平6−153946(JP,A) 特開 昭63−22526(JP,A) J.Clin.Invest.,Vo l.81(1988)p.414−419 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07K 14/52 C12N 15/09 ZNA BIOSIS(DIALOG) GenBank/EMBL/DDBJ WPI(DIALOG)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記のアミノ酸配列で表されるシグナル
    配列を含むことを特徴とする肝実質細胞増殖因子。
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