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JP2732328B2 - 赤外レーザー用感熱記録材料 - Google Patents

赤外レーザー用感熱記録材料

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Publication number
JP2732328B2
JP2732328B2 JP4084427A JP8442792A JP2732328B2 JP 2732328 B2 JP2732328 B2 JP 2732328B2 JP 4084427 A JP4084427 A JP 4084427A JP 8442792 A JP8442792 A JP 8442792A JP 2732328 B2 JP2732328 B2 JP 2732328B2
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JP
Japan
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group
heat
dye
color
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公 竹内
由夫 稲垣
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は感熱記録材料に関し、特
に赤外レーザー光を利用して記録する非接触の感熱記録
材料に関する。
【0002】
【従来技術】支持体上に感熱発色層を設けた感熱記録材
料の表面にサーマルヘッドを密着走査させ、熱エネルギ
ーを感熱記録層に直接若しくは保護層を通して伝えるこ
とによって発色画像を記録する感熱記録方式は広範囲に
知られており、ファクシミリやプリンターなどに適用さ
れている。
【0003】しかしながら、このような感熱記録方法に
おいては、サーマルヘッドを感熱記録材料に密着させて
走査させるために、サーマルヘッドが摩耗したり、サー
マルヘッド表面へ感熱記録材料の成分がカスとなって付
着することにより記録画像が正しく得られない場合が生
じたり、サーマルヘッドが破壊されるという欠点があっ
た。又、このようなサーマルヘッドを用いた感熱記録方
式には、サーマルヘッドの構造上の特質から、発熱素子
の加熱冷却の高速制御や発熱素子密度を大きくする上で
限界があるために、高速記録や高密度、高画質記録には
限度があるという欠点があった。
【0004】サーマルヘッドを用いる感熱記録方式の上
記の如き欠点を解決するために、レーザー光を用い、感
熱記録材料に対して非接触でかつ高速、高密度で熱記録
を行うことが提案されている(例えば、特開昭50−2
3617号、特開昭54−121140号、特開昭57
−11090号、特開昭58−56890号、特開昭5
8−94494号、特開昭58−134791号、特開
昭58−145493号、特開昭59−89192号、
特開昭60−205182号、特開昭62−56195
号公報)。
【0005】しかしながら、このようなレーザー光を用
いた記録方式においては、感熱発色層は、一般に可視及
び近赤外領域の光を吸収しにくいために、レーザーの出
力を相当大きくしないと発色に必要な熱エネルギーが得
られず、小型で安価な装置をつくることが極めて困難で
あるという欠点があった。又、特公昭50−774号に
はインクを封入したマイクロカプセルを原紙に塗布し、
強力な光を照射してカプセル中のインクを噴出させて原
紙に記録する方法が提案されているが、感度が非常に低
く未だ実用されるに至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、感熱記録層に
効率良くレーザー光を吸収させるための提案も多くされ
ており、一般的には感熱記録層の中にレーザー光の波長
に合った光吸収物質を添加することが行われている。こ
の場合、添加する光吸収物質が白色でないと記録材料の
地肌が着色して、コントラストが低く品位のない記録し
か得られない。
【0007】一般に白色の光吸収物質は無機化合物に多
いが、その殆どのものは光吸収効率が低いため、光吸収
効率の良い有機化合物で着色の少ない化合物を開発する
ことが望まれている。しかしながら、一般的に可視光領
域の光を吸収する有機化合物は着色しており又色の濃い
もの程光吸収効率が高いため、それを光吸収物質として
感熱記録層(以下感熱層という)に添加して感度を増加
させることができる一方、逆に記録紙の白色度を良好な
ものとすることは困難となる。
【0008】ところで、水溶液状態では、可視光領域に
も極大吸収波長を有しているために着色しているような
赤外線を吸収する有機化合物(染料という)であって
も、該水溶液の水分を除き、乾燥状態にした場合には、
染料が会合する等によって可視光領域の極大吸収波長が
長波長側へ、即ち赤外領域へシフトするような染料があ
る。そこで、このような染料を感熱層に添加した場合に
は、塗布時には着色していても感熱層が乾燥された後に
は無色化するので、感熱記録材料の地肌を白色又は無色
に近くすることが可能である上、赤外レーザー光の吸収
効率を良くすることもできる。
【0009】そこで、本発明者等は、感熱層中に、実質
的に無色の発色成分と特定のトリカルボシアニン染料を
含有させ、赤外レーザーを用いて記録を行ったところ、
極めて良好な結果を得ることができるということを見出
し本発明に到達した。従って本発明の目的は、地肌の着
色が少なく、品位の良い記録が可能である赤外レーザー
用感熱記録材料を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、
支持体上に、少なくとも実質的に無色の発色成分Aと、
該発色成分Aと反応して発色する実質的に無色の発色成
分B及び酸性基を少なくとも2個有するトリカルボシア
ニン染料を含有する感熱層を設けた感熱記録材料であっ
て、前記トリカルボシアニン染料が該水溶液の吸収極大
波長より50nm以上長波長であると共に650〜13
00nmの範囲に吸収極大波長を有する状態で感熱層に
含有されていることを特徴とする赤外レーザー用感熱記
録材料によって達成された。
【0011】本発明に使用するA成分とB成分の組み合
わせからなる発色成分とは、物質の接触に基づく発色反
応を生ずる成分であり、具体的には光分解性ジアゾ化合
物とカプラーの組み合わせ又は電子供与性染料前駆体と
酸性物質の組み合わせが好ましい。本発明で使用する光
分解性ジアゾ化合物とは、後述するカップリング成分と
呼ばれる顕色剤と反応して所望の色相に発色するもので
あって、反応前に特定の波長の光を受けると分解し、も
はやカップリング成分が作用しても発色能力を持たなく
なるジアゾ化合物である。
【0012】この発色系における色相は、ジアゾ化合物
とカップリング成分が反応して生成したジアゾ色素によ
り主に決定される。従って、良く知られているように、
ジアゾ化合物の化学構造を変えるか、カップリング成分
の化学構造を変えれば容易に発色色相を変えることがで
き、組み合わせ次第で略任意の発色色相を得ることがで
きる。
【0013】本発明における光分解性のジアゾ化合物と
は主に芳香族ジアゾ化合物を指し、更に具体的には、芳
香族ジアゾニウム塩、ジアゾスルホネート化合物、ジア
ゾアミノ化合物等の化合物を指す。ジアゾニウム塩は、
一般式ArN2 + - で示される化合物である(式中、
Arは置換された、或いは無置換の芳香族部分を表し、
2 + はジアゾニウム基を表し、X- は酸アニオンを表
わす。)。
【0014】普通、ジアゾニウム塩の光分解波長はその
吸収極大波長であるといわれている。又ジアゾニウム塩
の吸収極大波長は、その化学構造に応じて200nm位
から700nm位迄変化することが知られている(「感
光性ジアゾニウム塩の光分解と化学構造」角田隆弘、山
岡亜夫著 日本写真学会誌29(4)197〜205頁
(1965))。即ち、ジアゾニウム塩を光分解性化合
物として用いると、その化学構造に応じた特定の波長の
光で分解し、又、ジアゾニウム塩の化学構造を変えれ
ば、同じカップリング成分とカップリング反応した時の
色素の色相も変化する。
【0015】本発明で用いることのできるジアゾスルホ
ネート化合物は多数のものが知られており、各々のジア
ゾニウム塩を亜硫酸塩で処理することにより得られる。
又、本発明で用いることのできるジアゾアミノ化合物
は、ジアゾ基をジシアンジアミド、サルコシン、メチル
タウリン、N−エチルアントラニックアシッド−5−ス
ルホニックアシッド、モノエタノールアミン、ジエタノ
ールアミン、グアニジン等でカップリングさせた化合物
である。これらのジアゾ化合物の詳細は、例えば特開平
2−136286号に記載されている。
【0016】ジアゾ化合物の光分解用の光源としては、
希望する波長の光を発する種々の光源を用いることがで
き、例えば種々の螢光灯、キセノンランプ、キセノンフ
ラッシュランプ、各種圧力の水銀灯、写真用フラッシ
ュ、ストロボ等種々の光源を用いることができる。又、
光定着ゾーンをコンパクトにするため、光源部と露光部
とを光ファイバーを用いて分離してもよい。
【0017】本発明に用いられるジアゾ化合物とカップ
リングして色素を形成するカップリング成分は、例え
ば、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリドの他、レ
ゾルシンを初めとし特開昭62−146678号に記載
されているものを挙げることができる。更にこれらのカ
ップリング成分を2種以上併用することによって任意の
色調の画像を得ることができる。従って、本発明は単色
の感熱記録材料に限定されるものではない。
【0018】これらのジアゾ化合物とカップリング成分
とのカップリング反応は塩基性雰囲気下で起こり易い
為、感熱層内に塩基性物質を添加してもよい。塩基性物
質としては、水難溶性又は水不溶性の塩基性物質や、加
熱によりアルカリを発生する物質が用いられる。それら
の例としては無機及び有機アンモニウム塩、有機アミ
ン、アミド、尿素やチオ尿素及びその誘導体、チアゾー
ル類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グア
ニジン類、、インドール類、イミダゾール類、イミダゾ
リン類、トリアゾール類、モルホリン類、ピペリジン
類、アミジン類、フォルムアジン類、ピリジン類等の含
窒素化合物が挙げられる。これらの具体例は、例えば、
特開昭61−291183号に記載されている。塩基性
物質は2種以上併用してもよい。
【0019】本発明で使用する電子供与性染料前駆体は
特に限定されるものではないが、エレクトロンを供与し
て、或いは酸等のプロトンを受容して発色する性質を有
するものであって、通常略無色で、ラクトン、ラクタ
ム、サルトン、スピロピラン、エステル、アミド等の部
分骨格を有し、顕色剤と接触してこれらの部分骨格が開
環若しくは開裂する化合物が用いられる。具体的には、
クリスタルバイオレットラクトン、ベンゾイルロイコメ
チレンブルー、マラカイトグリーンラクトン、ローダミ
ンBラクタム、1,3,3−トリメチル−6’−エチル
−8’−ブトキシインドリノベンゾスピロピラン等があ
る。
【0020】これらの発色剤に対する顕色剤としては、
フェノール化合物、有機酸若しくはその金属塩、オキシ
安息香酸エステル等の酸性物質が用いられ、その具体例
は、例えば特開昭61−291183号に記載されてい
る。本発明において使用する発色成分は、単に感熱層中
に固体分散して用いても良いが、感熱層の透明性向上の
観点、常温で発色成分の接触を防止するといった生保存
性の観点(カブリ防止)、及び希望のレーザーエネルギ
ーで発色させるような発色感度の制御の観点等からA及
びBの発色成分を各々異なるマイクロカプセルに内包せ
しめて用いるか、A又はB成分の一方をマイクロカプセ
ル化して用いることが好ましい。
【0021】次に、本発明において使用する酸性基を少
なくとも2個有するトリカルボシアニン染料(以下単に
トリカルボシアニン染料という)について詳述する。ト
リカルボシアニン染料としては下記一般式化1で表され
る染料が好ましい。
【化1】
【0022】上式中、Z1 及びZ2 は、各々置換又は非
置換のベンゾチアゾール環、ベンゾセレナゾール環、イ
ンドール環、ナフトチアゾール環、ナフトセレナゾール
環及びベンズインドール環を形成する非金属原子群であ
る。R1 及びR2 は各々置換又は非置換のアルキル基、
3 及びR5 は各々水素原子又は連結して5員環を形成
するのに必要な原子、R4 は水素原子又は1価の基(但
し、ジ置換アミノ基における環を形成する原子群は除
く)である。X- はアニオン、nは1又は2であり、染
料分子が分子内塩を形成する場合には、nは1である。
【0023】Z1 及びZ2 で表されるベンゾチアゾール
環、ベンゾセレナゾール環、インドール環、ナフトチア
ゾール環、ナフトセレナゾール環及びベンズインドール
環を形成する非金属原子群に置換する基としては、スル
ホン酸基、カルボン酸基、水酸基、ハロゲン原子(例え
ば、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等)、シアノ
基、置換アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基、ジエチ
ルアミノ基、エチル─4─スルホブチルアミノ基及びジ
(3─スルホプロピル)アミノ基等)の他、直接又は2
価の連結基を介して環に結合している置換若しくは非置
換で炭素原子数1〜5のアルキル基(例えば、アルキル
基としてはメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル
基等、置換基としてはスルホン酸基、カルボン酸基及び
水酸基等、2価の連結基としては、─O−、─NHCO
─、NHSO3 ─、─NHCOO─、─NHCONH
─、─COO─、─CO─、─SO2 ─等がある。)等
が挙げられる。
【0024】この場合、スルホン酸基とはスルホ基又は
その塩を、カルボン酸基とはカルボキシル基又はその塩
を包含する意味である。塩の例としては、Na、K等の
アルカリ金属塩、アンモニウム塩及びトリエチルアンモ
ニウム塩、トリブチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩
等の有機アンモニウム塩等が挙げられる。上記Z1 及び
2 で表される非金属原子群の中でも、特に1個以上の
スルホン酸基を有するベンズインドール環が好ましい。
【0025】R1 及びR2 で表されるアルキル基の好ま
しい具体例としては、メチル基、エチル基、n─ブチル
基、イソプロピル基、n─ペンチル基等の炭素原子数1
〜5の低級アルキル基又はこれらの基にスルホン酸基、
カルボン酸基又は水酸基等の置換基を有する基が挙げら
れるが、これらの中でも特に2─スルホエチル基、3─
スルホプロピル基、3─スルホブチル基及び4─スルホ
ブチル基等の、スルホン酸基を有する炭素原子数2〜5
の低級アルキル基が好ましい。
【0026】R3 とR5 が連結して形成される5員環と
しては、インデン環、シクロペンチン環等が挙げられ
る。R4 で表される1価の基の好ましい例としては、メ
チル基等の低級アルキル基、置換又は非置換のフェニル
基及びベンジル基等のアラルキル基、メトキシ基等の低
級サルコキシ基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ
基及びメチルフェニルアミノ基等のジ置換アミノ基、ア
セトキシ基等のアルキルカルボキシルオキシ基、メチル
チオ基等のアルキルチオ基、シアノ基、ニトロ基並びに
フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等のハロゲン原子等
が挙げられる。
【0027】Xで表されるアニオンの具体例としては、
Cl- 、Br- 等のハロゲンイオン、p─トルエンスル
ホン酸イオン及びエチル硫酸イオン等が挙げられる。以
上詳述したトリカルボシアニン染料の中でも、特にZ1
及びZ2 がスルホ置換されたベンズインドール環であっ
て、R1 及びR2 がスルホアルキル基であるものが好ま
しい。
【0028】前記一般式化1で表されるトリカルボシア
ニン染料の具体例としては、下記化2〜4で表される化
合物の他、特開平3−226736号に記載されている
化合物を挙げることができる。
【化2】
【化3】
【化4】
【0029】本発明で使用するトリカルボシアニン染料
は、感熱記録材料の地肌の白色度を高めると共に赤外レ
ーザーの吸収効率を高める観点から、該染料の水溶液の
吸収極大波長より50nm以上長波長であって且つ65
0〜1300nmの範囲に極大吸収波長を有する状態で
感熱層に含有される必要がある。
【0030】上記の状態にする方法としては、非感光性
ハロゲン化粒子にトリカルボシアニン染料(単に染料と
いう)を吸着させる方法;高沸点オイルに染料を溶解
し、乳化分散する方法;染料を微粒子状として固体分散
させる方法;又は染料を会合体(凝集体という)として
存在させる方法等がある。これらの方法の中でも、感熱
記録材料の製造適性の観点から、染料を水に溶解させて
水溶液とした後該水分を除き、感熱層中に凝集体として
存在せしめる方法が好ましい。
【0031】本発明で使用するマイクロカプセルの製造
には界面重合法、内部重合法、外部重合法の何れの方法
をも採用することができるが、特に、発色成分を含有し
た芯物質を水溶性高分子を溶解した水溶液中で乳化した
後、その油滴の周囲に高分子物質の壁を形成させる方法
を採用することが好ましい。
【0032】高分子物質を形成するリアクタントは油滴
の内部及び/又は油滴の外部に添加される。高分子物質
の具体例としては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリア
ミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルム
アルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレ
ンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共
重合体等が挙げられる。好ましい高分子物質はポリウレ
タン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカ
ーボネートであり、特に好ましくはポリウレタン及びポ
リウレアである。高分子物質は2種以上併用することも
できる。
【0033】前記水溶性高分子の具体例としては、ゼラ
チン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等
が挙げられる。例えばポリウレアをカプセル壁材として
用いる場合には、ジイソシアナート、トリイソシアナー
ト、テトライソシアナート、ポリイソシアナートプレポ
リマー等のポリイソシアナートと、ジアミン、トリアミ
ン、テトラアミン等のポリアミン、アミノ基を2個以上
含むプレポリマー、ピペラジン若しくはその誘導体又は
ポリオール等とを、水系溶媒中で界面重合法によって反
応させることにより容易にマイクロカプセル壁を形成さ
せることができる。
【0034】又、例えばポリウレアとポリアミドからな
る複合壁若しくはポリウレタンとポリアミドからなる複
合壁は、例えばポリイソシアナートと酸クロライド若し
くはポリアミンとポリオールを用い、反応液となる乳化
媒体のpHを調整した後加温することにより調製するこ
とができる。これらのポリウレアとポリアミドとからな
る複合壁の製造方法の詳細については、特開昭58─6
6948号公報に記載されている。
【0035】又、本発明で使用するマイクロカプセルの
芯物質には、前記トリカルボシアニン染料を含有させる
ことができるが、勿論マイクロカプセル外部に或いはマ
イクロカプセル壁中に含有せしめても良い。同時に2以
上の箇所に含有せしめても良い。更に、レーザー光加熱
時にマイクロカプセル壁を膨潤させるために固体増感剤
を添加して熱感度を増大させることもできる。
【0036】固体増感剤は、マイクロカプセル壁として
用いるポリマーの可塑剤と言われるものの中から、融点
が50℃以上好ましくは120℃以下で、常温では固体
であるものを選択して用いることができる。例えば、壁
材がポリウレア、ポリウレタンから成る場合には、ヒド
ロキシ化合物、カルバミン酸エステル化合物、芳香族ア
ルコキシ化合物、有機スルホンアミド化合物、脂肪族ア
ミド化合物、アリールアミド化合物等が好適に用いられ
る。
【0037】本発明では、発色助剤を用いることも可能
である。本発明で用いることのできる発色助剤とは、レ
ーザー加熱記録時の発色濃度を高くする、若しくは最低
発色温度を低くする物質であり、発色成分や塩基性物質
等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下せし
める作用により、発色成分Aと発色成分Bとが反応し易
い状況を作るためのものである。
【0038】発色助剤としては、フェノール化合物、ア
ルコール性化合物、アミド化合物、スルホンアミド化合
物等があり、具体例としては、p−tert−オクチルフェ
ノール、p−ベンジルオキシフェノール、p−オキシ安
息香酸フェニル、カルバニル酸ベンジル、カルバニル酸
フェネチル、ハイドロキノンジヒドロキシエチルエーテ
ル、キシリレンジオール、N−ヒドロキシエチル−メタ
ンスルホン酸アミド、N−フェニル−メタンスルホン酸
アミド等の化合物を挙げることができる。これらは、芯
物質中に含有させても良いし、乳化分散物としてマイク
ロカプセル外に添加してもよい。
【0039】本発明においては、発色成分の一方のみを
マイクロカプセル化する場合には、ジアゾ化合物又は電
子供与性染料前駆体をマイクロカプセル化することが好
ましい。この場合、カプラー又は顕色剤並びにその他の
添加剤等は、固体分散させて使用することも、水に難溶
性又は不溶性の有機溶剤に溶解せしめた後、これを、界
面活性剤及び/又は保護コロイドとして水溶性高分子を
有する水相と混合し、乳化分散した分散物の形で使用す
ることもできる。後者の場合には、感熱層を透明にする
ことができる。
【0040】上記乳化分散物を調製する際に使用される
有機溶剤は、高沸点オイルの中から適宜選択することが
できる。中でも好ましいオイルとしては、エステル類の
他、ジメチルナフタレン、ジエチルナフタレン、ジイソ
プロピルナフタレン、ジメチルビフェニル、ジエチルビ
フェニル、ジイソプロピルビフェニル、ジイソブチルビ
フェニル、1−メチル−1−ジメチルフェニル−1−フ
ェニルメタン、1−エチル−1−ジメチルフェニル−1
−フェニルメタン、1−プロピル−1−ジメチルフェニ
ル−1−フェニルメタン、トリアリルメタン(例えば、
トリトルイルメタン、トルイルジフェニルメタン)、タ
ーフェニル化合物(例えば、ターフェニル)、アルキル
化ジフェニルエーテル(例えば、プロピルジフェニルエ
ーテル)、水添ターフェニル(例えば、ヘキサヒドロタ
ーフェニル)、ジフェニルエーテル等が挙げられる。こ
れらの中でも特にエステル類を使用することが乳化分散
物の乳化安定性の観点から好ましい。
【0041】エステル類としては、燐酸エステル類(例
えば、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ブチ
ル、燐酸オクチル、燐酸クレジルジフェニル)、フタル
酸エステル(フタル酸ジブチル、フタル酸―2―エチル
ヘキシル、フタル酸エチル、フタル酸オクチル、フタル
酸ブチルベンジル)、テトラヒドロフタル酸ジオクチ
ル、安息香酸エステル(安息香酸エチル、安息香酸プロ
ピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソペンチル、安息香
酸ベンジル)、アビエチン酸エステル(アビエチン酸エ
チル、アビエチン酸ベンジル)、アジピン酸ジオクチ
ル、コハク酸イソデシル、アゼライン酸ジオクチル、シ
ュウ酸エステル(シュウ酸ジブチル、シュウ酸ジペンチ
ル)、マロン酸ジエチル、マレイン酸エステル(マレイ
ン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチ
ル)、クエン酸トリブチル、ソルビン酸エステル(ソル
ビン酸メチル、ソルビン酸エチル、ソルビン酸ブチ
ル)、セバシン酸エステル(セバシン酸ジブチル、セバ
シン酸ジオクチル)、エチレングリコールエステル類
(ギ酸モノエステル及びジエステル、酪酸モノエステル
及びジエステル、ラウリン酸モノエステル及びジエステ
ル、パルミチン酸モノエステル及びジエステル、ステア
リン酸モノエステル及びジエステル、オレイン酸モノエ
ステル及びジエステル)、トリアセチン、炭酸ジエチ
ル、炭酸ジフェニル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、
ホウ酸エステル(ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリペンチ
ル)等が挙げられる。これらの中でも、燐酸トリクレジ
ルを単独又は混合して使用した場合には顕色剤の乳化分
散安定性が特に良好であり好ましい。
【0042】上記のオイル同志、又は他のオイルとの併
用も可能である。本発明においては、上記の有機溶剤
に、更に低沸点の溶解助剤として補助溶剤を加えること
もできる。このような補助溶剤として、例えば酢酸エチ
ル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル及びメチレンクロラ
イド等を特に好ましいものとして挙げることができる。
【0043】これ等の成分を含有する油相と混合する水
相に、保護コロイドとして含有せしめる水溶性高分子
は、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子及び両
性高分子の中から適宜選択することができるが、ポリビ
ニルアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体等が好ま
しい。
【0044】又水相に含有せしめる界面活性剤は、アニ
オン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、上記保護
コロイドと作用して沈澱や凝集を起こさないものを適宜
選択して使用することができる。好ましい界面活性剤と
しては、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル
硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム
塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエ
チレンノニルフェニルエーテル)等を挙げることができ
る。
【0045】本発明における乳化分散物は、上記成分を
含有した油相と保護コロイド及び界面活性剤を含有する
水相を、高速撹拌、超音波分散等、通常の微粒子乳化に
用いられる手段を使用して混合分散せしめ容易に得るこ
とができる。又、油相の水相に対する比(油相重量/水
相重量)は、0.02〜0.6が好ましく、特に0.1
〜0.4であることが好ましい。0.02以下では水相
が多すぎて希薄となって十分な発色性が得られず、0.
6以上では逆に液の粘度が高くなり、取り扱いの不便さ
や塗液安定性の低下をもたらす。
【0046】又、感熱層には、必要に応じて、顔料、ワ
ックス、硬膜剤等を添加しても良い上記のようにして調
製した感熱層液を支持体上に塗布するに際しては、ブレ
ード塗布法、エアナイフ塗布法、グラビア塗布法、ロー
ルコーティング塗布法、スプレー塗布法、デイップ塗布
法、バー塗布法等の公知の水系又は有機溶剤系の塗液を
用いる塗布手段が用いられる。
【0047】この場合、感熱層液を安全且つ均一に塗布
すると共に塗膜の強度を保持するために、本発明におい
ては、バインダーとして、メチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デ
ンプン類、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキ
シ変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポ
リスチレン及びその共重合体、ポリエステル及びその共
重合体、ポリエチレン及びその共重合体、エポキシ樹
脂、アクリレート及びメタアクリレート系樹脂及びその
共重合体、ポリウレタン樹脂並びにポリアミド樹脂等を
マイクロカプセルと共に併用して塗工することもでき
る。
【0048】感熱層は発色成分及びカルボシアニン染料
の全量が1〜20g/m2 になるように塗布されるこ
と、及び該層の厚みが1〜20μmとなるように塗布さ
れることが望ましい。本発明で用いる支持体は透明であ
っても不透明であっても良い。透明な支持体としては、
照射するレーザー光を吸収せず、レーザー照射時の発熱
に対して変形しない寸度安定性を有する支持体を使用す
ることが好ましい。この場合には、該透明支持体を通し
てレーザー光を照射し、記録することもできる。支持体
の厚みとしては、10μm〜200μmのものが用いら
れる。
【0049】このような透明な支持体としては例えば、
ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレ
ート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロースフィ
ルム等のセルロース誘導体フィルム、ポリスチレンフィ
ルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム
等のポリオレフィンフィルム、ポリイミドフィルム、ポ
リ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、
ポリアクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム等が
挙げられ、これらを単独或いは貼り合わせて用いること
ができる。
【0050】一方、記録材料の不透明な支持体としては
紙、合成紙、アルミ蒸着ベース、前記透明な支持体に顔
料等をコートしたもの等が挙げられる。この場合には、
感熱層側からレーザー光が照射されて効率良く感熱層に
吸収されるようにする為に、記録材料の不透明な支持体
として、レーザー光の反射性が高いものを使用すること
が好ましい。本発明に用いる支持体としては、特にポリ
エステルフィルムに耐熱処理、帯電防止処理を施したも
のが好ましい。
【0051】本発明においては、支持体から感熱層全体
が剥がれることを防ぐ目的で、マイクロカプセルなどを
含有する感熱層液を塗布する前に、支持体上に下塗り層
を設けることが望ましい。下塗り層としては、アクリル
酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、SBR、水
性ポリエステル等を用いることができ、膜厚としては、
0.1〜0.5μmが望ましい。
【0052】これらの組成物からなる下塗層は、前記感
熱層液の塗布手段と同様の塗布方法により塗布される。
塗布量は0.1〜10g/m2 とすることが好ましく、
特に0.2〜2g/m2 とすることが好ましい。本発明
で用いられるレーザー光は、近赤外領域にその波長をも
つものが使用される。その具体例としては、ヘリウム−
ネオンレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザ
ー、YAGレーザー、半導体レーザー等が挙げられる。
【0053】本発明において、記録材料の感熱層が前記
カルボシアニン染料をマイクロカプセルの内部、外部及
び壁内部の何れか1箇所以上に含有している場合は、前
記カルボシアニン染料が照射されたレーザー光を吸収し
てそのエネルギーを熱エネルギーに変換する。これによ
り、前記マイクロカプセルが加熱されて物質透過性とな
ると共に内部の圧力が高まる結果、マイクロカプセル内
外の反応物質がマイクロカプセル壁を透過接触して発色
する。
【0054】
【発明の効果】本発明の赤外レーザー用感熱記録材料
は、水溶液の状態では可視光領域に吸収極大波長がある
ため着色しているが、水分が除去されて該染料が凝集状
態(会合状態)になった場合には、該吸収極大波長が赤
外領域にシフトして無色化する染料を感熱層に含有させ
るので、赤外レーザーの吸収効率が高い上地肌の着色が
少なく品位の良い記録が可能な感熱記録材料である。
【0055】
【実施例】以下本発明を実施例により更に詳述するが、
本発明はこれによって限定されるものではない。尚、添
加量を示す「部」は「重量部」を示す。
【0056】実施例1.分散液の調製 2─アニリノ─3─メチル─6─N─ジブチル─アミノ
フルオラン20g(発色剤)、ビスフェノールA(顕色
剤)20g並びにβ─ナフチル─ベンジルエーテル(増
感剤)20gを、各々、独立に5重量%のポリビニルア
ルコール(PVA−105:クラレ株式会社製の商品
名)水溶液100gに添加し、ボールミルを用いて一昼
夜分散し、平均粒子径が1.5μm以下の発色剤、顕色
剤及び増感剤の各分散液を得た。一方、炭酸カルシウム
80gをヘキサメタリン酸ソーダ0.5重量%水溶液1
60gに添加し、ホモジナイザーを用いて分散し、顔料
分散液を得た。
【0057】感熱記録材料の作製 上記の、発色剤の分散液5g、顕色剤の分散液10g、
増感剤の分散液10g、顔料分散液5g、前記化2で表
されるトリカルボシアニン染料0.3g及びステアリン
酸亜鉛21重量%のエマルジョン液3gとを攪拌・混合
し、坪量50g/m2 の上質紙上に乾燥塗布量が6g/
2 となるようにワイヤーバーを用いて塗布し、次いで
50℃のオーブンを用いて乾燥し、感熱記録材料を作製
した。
【0058】上記の様にして作製した感熱記録材料の感
熱層側から、波長950nmの半導体レーザー光(Ga
As接合レーザー)を画像様に照射して黒色の記録画像
を得た。レーザーの出力は、感熱層の表面で、1ミリ秒
間で40mJ/mm2 のエネルギーとなるように調整し
た。得られた画像の、発色部分の反射濃度をマクベス濃
度計を用いて測定したところ1.23であった。又、感
熱記録材料の地肌の着色は殆ど認められなかった。
【0059】実施例2.マイクロカプセル液の調整 クリスタルバイオレットラクトン(ロイコ染料)14
g、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロ
パン(3:1)付加物の75重量%酢酸エチル溶液(タ
ケネートD−110N:武田薬品工業株式会社製のカプ
セル壁材の商品名)60g及び紫外線吸収剤(スミソー
プ200:住友化学株式会社製の商品名)2gを、1−
フェニル−1−キシリルエタン55gとメチレンクロラ
イド55gの混合溶媒に添加して溶解した。
【0060】得られた溶液を8重量%のポリビニールア
ルコール水溶液100gと水40g及び2重量%のスル
ホコハク酸ジオクチルのナトリウム塩(分散剤)1.4
gの水溶液に混合した後、エースホモジナイザー(日本
精機株式会社製)を用いて10,000rpmで5分間
乳化を行った。得られた乳化液に更に水150gを加え
た後、40℃で3時間マイクロカプセル化反応を行って
平均粒径0.7μmのマイクロカプセル液を調整した。
【0061】顕色剤乳化分散液の調整 下記化5で表される顕色剤8g、下記化6で表される顕
色剤4g及び下記化7で表される顕色剤30gを、1−
フェニル−1−キシリルエタン8.0gと酢酸エチル3
0gの混合液に溶解した。得られた溶液を8重量%のポ
リビニルアルコール水溶液100gと水150g及びド
デシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5gの水溶液に混
合した後、エースホモジナイザー(日本精機株式会社
製)を用いて、10,000rpm常温で平均粒径が
0.5μmになるように、5分間乳化を行って乳化分散
液を得た。
【0062】
【化5】
【化6】
【化7】
【0063】感熱記録材料の作製 前記マイクロカプセル液5.0g、上記顕色剤乳化分散
液10.0g、水5.0g及び前記化3で表されるトリ
カルボシアニン染料0.2gを攪拌・混合した液を、厚
さ70μmの透明なポリエチレンテレフタレート(PE
T)支持体上に、固形分で15g/m2 になるように塗
布して乾燥した。上記のようにして形成された感熱層の
上に、下記表1で表される組成の保護層液を、乾燥後の
厚さが2μmとなるように塗布・乾燥して本発明に係る
透明な感熱記録材料を作製した。
【0064】
【表1】 ──────────────────────────────────── 保護層液の組成 10重量%ポリビニルアルコール 20g 水 30g 2重量%スルホコハクサンジオクチルのナトリウム塩 0.3g ポリビニルアルコール3g、水100g及びカオリン35gをボールミルで分散 したカオリン分散物 3g ハイドリンZ−7(中京油脂株式会社製) 0.5g ────────────────────────────────────
【0065】上記の様にして作製した感熱記録材料の感
熱層側から、波長910nmの半導体レーザー光(Ga
As接合レーザー)を画像様に照射して青色の記録画像
を得た。レーザーの出力は、感熱層の表面で、1ミリ秒
間で40mJ/mm2 のエネルギーとなるように調整し
た。得られた画像の発色部分の透過濃度をマクベス濃度
計を用いて測定したところ1.85であった。また、感
熱記録材料の地肌の着色は殆ど認められなかった。
【0066】実施例3.マイクロカプセル液の調製 下記化8
【化8】 で表される化合物50部と、メチレンクロライド150
部、トリクレジルホスフェート50部、トリメチロール
プロパントリメタクリレート150部及びm−キシリレ
ンジイソシアナートのトリメチロールプロパン3:1付
加物の75重量%酢酸エチル溶液(タケネートD110
N:武田薬品工業株式会社製のカプセル壁材の商品名)
200部を均一に混合して油相溶液とした。
【0067】一方、7重量%のポリビニルアルコール
(PVA217E:ケン化度88〜89%、重合度1,
700:クラレ株式会社製の商品名)600部を調製し
て水溶性高分子水溶液とした。次いで、温浴の付いた5
リットルのステンレス製ポットにデイ ゾルバーを取りつ
け、前記高分子水溶液を添加した後デイゾルバーを攪拌
しながら前記油相溶液を添加した。顕微鏡観察を行いな
がら乳化物の平均粒径が約1.5μmになるように乳化
分散を行った。
【0068】乳化分散終了後、攪拌を緩めて温浴に42
℃の温水を通し、前記ポット内の温度を40℃に保って
3時間でマイクロカプセル化反応を終了させた。得られ
た液にイオン交換樹脂(MB−3:オルガノ株式会社製
の商品名)25mlを添加して攪拌した後、濾過してマ
イクロカプセル液を得た。
【0069】分散液Aの調製 下記表1に示した物質を混合し、デイ ゾルバーで予め分
散した後ダイノミル(ウイリー・エー・バッコフェン・
エー・ジー(WILLY A.BACHOFEN A.G)社製)で平均粒径
が2μmになるように乳化分散して分散液Aを得た。
【0070】
【表1】 ──────────────────────────────────── 15重量%ポリビニルアルコール水溶液 30部 (PVA−205 クラレ株式会社製の商品名) 化9のカプラー 4.3部
【化9】 化10のカプラー 0.6部
【化10】 化11の有機塩基性化合物 5.0部
【化11】 化12の発色性向上剤 3.0部
【化12】 ────────────────────────────────────
【0071】分散液Bの調製 下記表2の物質を混合し、攪拌して分散液Bを得た。
【表2】 ──────────────────────────────────── ユニバー70(白石工業株式会社製の商品名) 20部 カオブライト(シーレカオリン株式会社(Thiele Kaolin Company )の商品名) の40重量%ヘキサメタリン酸ソーダ水溶液 0.5部 水 30部 ────────────────────────────────────
【0072】感熱記録材料の作製 前記マイクロカプセル液20部、分散液A20部、分散
液B7部、界面活性剤(ニッサンラピゾール13─9
0:日本油脂株式会社製の商品名)2重量%水溶液1.
5部及び前記化4で表されるトリカルボシアニン染料1
部を攪拌・混合し、厚さ70μmのポリエチレンテレフ
タレート(PET)の支持体上に固形分が15g/m2
となるように塗布し乾燥して感熱層を設けた。更に、該
感熱層の上に、下記表3に示す組成の混合物を、乾燥後
の厚さが2μmになるように塗布して保護層を設け、本
発明の感熱記録材料(以下記録材料という)を作製し
た。
【0073】
【表3】 保護層の組成 ─────────────────────────────────── 10重量%ポリビニルアルコール 20g 水 30g 2重量%スルホコハク酸ジオクチルのナトリウム塩 0.3g ポリビニルアルコール3g、水100g及びカオリン35gをボールミルで分散 したカオリン分散物 3g ハイドリンZ−7(中京油脂株式会社製の商品名) 0.5g ────────────────────────────────────
【0074】得られた記録材料に、波長985nmの半
導体赤外レーザー光(GaAs接合レーザー)を感熱層
側から画像様に照射して青色の画像を得た。レーザー光
の出力は、記録材料の感熱層の表面において1ミリ秒で
40mJ/mm2 のエネルギーとなるように調節した。
次いで、リコピースーパードライ100(リコー株式会
社製)を使用して上記記録材料を全面露光して光定着し
た。得られた青色の記録画像の反射濃度をマクベス反射
濃度計によって測定したところ1.56であった。ま
た、感熱記録材料の地肌の着色は殆ど見られなかった。
【0075】比較例1.実施例1で使用したトリカルボ
シアニン染料の代わりに下記化13
【化13】 で表される赤外線吸収色素を用いた他は実施例1と全く
同様にして記録材料を作製し画像を記録したところ、得
られた画像の発色部の反射濃度は1.18であった。ま
た、記録材料の地肌はやや緑色に着色していた。
【0076】比較例2.実施例2で使用したトリカルボ
シアニン染料の代わりに下記化14
【化14】 で表される赤外線吸収色素を用いた他は実施例2と全く
同様にして記録材料を作製し画像を記録したところ、得
られた画像の発色部の透過濃度は1.65であった。ま
た、記録材料の地肌はやや青緑色に着色していた。尚、
実施例1〜3、比較1〜2で使用した染料又は色素の水
溶液状態及び感熱層に添加した状態における最大吸収波
長(λmax )、半値巾(最大吸収波長(λmax )/2に
おける吸収幅)及び感熱記録材料の着色の程度は表1に
示した通りである。
【0077】
【表1】

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、少なくとも実質的に無色の
    発色成分Aと、該発色成分Aと反応して発色する実質的
    に無色の発色成分B及び酸性基を少なくとも2個有する
    トリカルボシアニン染料を含有する感熱層を設けた感熱
    記録材料であって、前記トリカルボシアニン染料が該水
    溶液の吸収極大波長より50nm以上長波長であると共
    に650〜1300nmの範囲に吸収極大波長を有する
    状態で感熱層に含有されていることを特徴とする赤外レ
    ーザー用感熱記録材料。
  2. 【請求項2】 発色成分の少なくとも一方がマイクロカ
    プセル化されている請求項1に記載の赤外レーザー用感
    熱記録材料。
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