JP2731841B2 - 板ガラス端面研磨機におけるガラス搬送装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、主に液晶パネル（ＬＣ
Ｄ）などの薄板ガラスや自動車用、室内用板ガラスに対
して使用される板ガラス端面研磨機におけるガラス搬送
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】板ガラスを水平な状態で送りながら研磨
する端面研磨機には次のような二種類のものが存在して
いる。

【０００３】即ち、その一つは移動台に板ガラスを固定
した後、同台を一方へ移動させる過程でそのガラスの一
方の側端面を研磨加工する。さらに必要があれば移動台
上のガラスの向きを必要な角度転回させた後、先と同様
に同台を移動させる過程で、他方の側端面を研磨加工す
るものとなされている。

【０００４】そして他の一つは板ガラスの対向した各側
端部の上下面を同時に無端状の搬送ベルトで挟みつけ、
この状態の下で同ベルトを各々周回変位させてガラスを
搬送し、この搬送過程で各側端部を同時に研磨加工する
ものとなされている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記した在来の研磨機
において前者のものでは移動台の一方への移動によっ
て、即ち単一の工程でガラスの対向した各側端部を同時
に研磨処理することはできず、また移動台の幅寸法が固
定的であるため、ガラスの寸法によってはこれを安定的
に支持できず加工が困難となるのであり、また後者のも
のでは搬送ベルトがゴム質で長く撓み易いためガラスを
強固に支持するためには同ベルトを板ガラスに強力に当
接させなければならず、このためガラス表面に同べルト
の当接跡が残ったり、ガラス切粉の介在で品質を損ねる
ことがあり、また搬送ベルトの長さが長いことやベルト
の同期不良のため搬送軌跡が厳密に安定したものとなら
ず搬送中のガラスが同ベルトの幅方向へ蛇行するため、
研磨された端面の直線性に問題が生じ易いのである。

【０００６】木発明は、斯かる問題点を解消して任意寸
法のガラスの対向した各側端面を簡易かつ同時にしかも
品質よく研磨処理し得るものとした板ガラス端面研磨機
におけるガラス搬送装置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段及び作用】上記目的を達成
するため、本発明では機台上面の一方の側辺部に沿って
第一軌道を設け、他方の側辺部上には中間支持台を前記
軌道と交叉する方向の位置調整自在に装設し、この支持
台上面に前記軌道に沿わせた第二軌道を設け、また前記
第一、第二軌道に案内される一対の支持脚を設け、これ
ら支持脚間をリンク機構により寸法変化自在に結合し、
各支持脚の上面に真空圧を付与されるガラス吸引孔を設
けるほか一方の支持脚を軌道方向の移動駆動可能とな
す。

【０００８】これによれば、一対の支持脚の相互間寸法
はこれに載置される板ガラスの幅寸法に関連して調整さ
れる。この調整にさいしては中間支持台が軌道と交叉す
る方向へ適当寸法だけ変位されるのであり、この変位に
連動して第二軌道に案内された一方の支持脚がリンク機
構の伸縮作動により、第一軌道に案内された他方の支持
脚に対して変位されるものとなる。この作用の一方でリ
ンク機構は一対の支持脚を、軌道方向への移動に対して
は相対変位しないように関連づける作用をする。このさ
い、リンク機構を用いたことが常に一対の支持脚内部に
幅調整機構を存在させるものとなって都合がよい。また
一対の支持脚は吸引孔を介してその上面に板ガラスを吸
引固定してこのガラスを軌道に沿って移動させるのであ
り、この移動中、予め位置調整された状態の研磨処理装
置が板ガラスの各側端面を同時に研磨する。

【０００９】また、支持脚間に橋渡し状に載置された板
ガラスの中間部下面に上方への押圧力を付与するものと
したサポートをリンク機構を介して設けることもでき
る。これによれば支持脚の移動と共にガラスサポートも
同体的に移動し、加工中にわたりガラスの撓みが阻止さ
れるほか、ガラスサポートの装着が簡易となり、かつ専
用の移動機構も不要となる。特に薄板ガラスについて有
効となる。

【００１０】さらに支持脚間に載置された板ガラスの前
後方向の位置決め体は支持脚に設けるのがよい。

【００１１】

【実施例】図１は本発明に係る研磨機の平面図、図２は
同研磨機の一部を省略した正面図、図３は同研磨機の支
持脚及びリンク機構を示す平面図、図４は支持体の正面
図である。

【００１２】図において、１は機台でこれの上面の一方
の側辺部に沿って直状の第一軌道２が設けてある。

【００１３】３は機台１上面の他方の側辺部上に設けた
中間支持台であって、機台１上面に前記軌道２と直交す
る方向へ向けられた軌道４を設けると共にこの軌道４に
案内される被案内体５を同支持台３の下面側に固定する
などして同支持台３を支持し、且つ操作ハンドル６の回
転操作により連動されるネジ機構７、７を介して特定方
向の変位力を発生する機構を形成し、第一軌道２と直交
する方向の位置調整操作自在となしてある。このさい、
ｍは軌道４や被案内体５に準じたものとした案内手段で
ある。

【００１４】８は第二軌道で中間支持台３の上面に第一
軌道２に沿わせて設けてある。

【００１５】９ａ及び９ｂは一対の支持脚で、各々の下
端の前後に固定された被案内部材１０ａ・・、１０ｂ・
・を第一軌道２と第二軌道８に嵌合させて軌道２、８方
向の移動自在となすと共に支持脚９ａ、９ｂ間をリンク
機構１１を介して結合してある。

【００１６】このさい、リンク機構１１は例えば二つの
リンク部材１２、１２を交叉状に軸１３着すると共に各
々のリンク部材１２の一端を各支持脚９ａ、９ｂに軸１
４着し、他端を各支持脚９ａ、９ｂに固定した水平案内
棒１５に外嵌された摺動体１６に軸着し、一対の支持脚
９ａ、９ｂの相互間寸法を変更自在に保持すると同時に
一対の支持脚９ａ、９ｂを前後方向への位置ずれの生じ
ないように一体的に結合したものとなす。

【００１７】上記した軸１３の中心部とリンク部材の中
間位置１９には図４に示すように支持脚９ａ、９ｂの上
面に載置された板ガラスｗの下面に押圧力を付与するも
のとしたガラスサポート２０を設けるようになす。この
ガラスサポート２０は中心孔２０ａに空気圧を供給さ
れ、この空気圧で押し上げられたボール２０ｂで板ガラ
スｗを支持するようなものとなすか、或いはこれに代え
て、空気噴出ノズルを設け、これの先端開口から噴出さ
れた空気で板ガラスｗを支持するようなものとなすのが
よい。

【００１８】各支持脚９ａ、９ｂの上面には図３に示す
ように真空圧の付与される複数のガラス吸引孔２１・・
・を列設すると共に、これら吸引孔２１・・・は支持脚
９ａ、９ｂの上面に載置された板ガラスｗを吸引固定す
るものとなす。

【００１９】２２ａ及び２２ｂは支持脚９ａ、９ｂ間に
載置された板ガラスｗの周縁に当接される位置決め体で
前者は機台に、そして後者は各支持脚９ａ、９ｂの前面
箇所にそれぞれ上下動可能に設けてある。

【００２０】２３ａ及び２３ｂは機台１上面に固定され
た一対のプーリ手段で、これらのプーリ間には無端状ベ
ルト２４を掛け回すと共にこのベルトの特定箇所ｐを一
方の支持脚９ａに結合してある。このさい搬送ベルト２
４は機台１の下面側に固定されたモータ２５の回転をベ
ルト伝動装置２６を介して伝達される。

【００２１】２９ａは機台１上面に位置調整自在に固定
された研磨処理装置であって支持脚９ａ、９ｂ間に載置
状に吸引固定された板ガラスｗの一方の側端面ｅ１を研
磨するものであり、また２９ｂは中間支持台３上に位置
調整自在に固定された研磨処理装置で前記板ガラスｗの
他方の側端面ｅ２を研磨するものである。

【００２２】なお、３０は斜状の回転軸に固定された砥
石、３１は垂直の回転軸に固定された砥石であり、３２
は空気供給管である。

【００２３】次に上記した本発明品の使用例及び作動を
説明する。作業者は加工すべき板ガラスｗの加工幅寸法
に関連して操作ハンドル６を回転させ、中間支持台３を
矢印方向ｆ１へ適当寸法だけ移動させる。これにより、
一方の支持脚９ｂが中間支持台３と一緒に変位するた
め、一対の支持脚９ａ、９ｂの相互間寸法は適当大きさ
に設定される。

【００２４】続いて、位置決め体２２ａ、２２ｂを上方
へ突出させ、板ガラスｗを、図１に示すように移動始端
位置に停止された一対の支持脚９ａ、９ｂ間に載置し、
同ガラスｗの周縁を全ての位置決め体２２ａ、２２ｂの
周面に当接させ、続いてガラス吸引孔２１に真空圧を付
与する。

【００２５】これにより、板ガラスｗは各側端面ｅ１、
ｅ２が一対の支持脚９ａ、９ｂの外方へ僅かに張り出す
ように支持脚９ａ、９ｂ上面に吸着固定されるものとな
り、このさい板ガラスｗの上面には何物も当接しないた
め接触跡が残るようなことはない。このことは板ガラス
ｗが通常、高品質の要求される面を上面にして送るた
め、品質保持の上で好都合となる。

【００２６】支持脚９ａ、９ｂに吸着固定された板ガラ
スｗはその中間部が撓もうとするが、リンク機構１１に
装着されたガラスサポート２０が同ガラスｗの下面に押
圧力を付与するため、たわみが殆どなく、従って加工中
においてもほぼ水平の状態を保つことができる。

【００２７】この後、作業者はモータ２５を始動し、無
端状ベルト２４を特定方向へ周回移動させるのであり、
これにより一方の支持脚９ａが同ベルト２４と一緒に前
方ｆ２へ移動されるため、他方の支持脚９ｂもリンク機
構１１を介して同時に移動される。かくしてガラスｗは
剛性の大きい軌道２、８や被案内体１０ａ、１０ｂに案
内された支持脚９ａ、９ｂにより直線状かつ安定的に搬
送されるものとなる。

【００２８】この一方では予め各研磨処理装置２９ａ、
２９ｂが図示しない操作ハンドルにより板ガラスｗの位
置に関連した最適位置となるように微調整されている。

【００２９】したがって板ガラスｗは支持脚９ａ、９ｂ
の移動過程で研磨処理装置２９ａ、２９ｂにより両側端
面ｅ１、ｅ２を例えば円弧状に削り取られて仕上げられ
る。

【００３０】そして一対の支持脚９ａ、９ｂが移動終端
に達したときは、モータ２５を停止させて支持脚９ａ、
９ｂの移動を停止させる。この後、吸引孔２１の真空圧
を消失させ板ガラスｗを支持脚９ａ、９ｂの上面から取
り去る。

【００３１】この後、支持脚９ａ、９ｂは搬送始端に復
帰させるのであり、以後は同じことの繰り返しである。

【００３２】上記実施例において、作業者の行う全ての
作業を自動的に行わせるようにすることも可能である。

【００３３】

【発明の効果】上記した本発明によれば、一対の支持脚
間寸法がリンク機構を介して変更調整されること、一方
の支持脚にのみ移動駆動力を付与して一対の支持脚を移
動させること、ガラスが下面側を支持脚に確実に吸着固
定されること及びガラスが剛性の大きいものとなされる
支持脚や軌道を介して案内されることなどにより、任意
寸法のガラスであってもその両側端面を同時にかつ簡易
に、ガラスの送りの直進性を良好に保持された状態で、
しかもガラスの上表面に何等の当接跡や傷を残さないで
研磨処理し得るものとなる。

【００３４】請求項２によれば、板ガラスの撓み変形が
阻止されるほか、ガラスサポートがリンク機構を介する
ことにより簡易に装着されるものとなる。１ｍｍ厚前後
の液晶大形薄板ガラスの加工に特に有効である。

【００３５】請求項３によれば、前後方向の位置決め体
が支持脚を介して簡易に装着されるものとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るガラス搬送装置を組み入れた研磨
機の平面図である。

【図２】同研磨機の一部を省略した正面図である。

【図３】ガラス搬送装置の支持脚及びリンク機構を示す
平面図である。

【図４】ガラスサポートの機構正面図である。

【符号の説明】

１ 機台 ２ 第一軌道 ３ 中間支持台 ８ 第二軌道 ９ａ及び９ｂ 支持脚 １１ リンク機構 ２０ ガラスサポート ２１ 吸引孔 ２２ｂ 位置決め体 ２９ａ及び２９ｂ 研磨処理装置 ｅ１及びｅ２ 側端面 ｗ ガラス

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 機台上面の一方の側辺部に沿って第一軌
   道を設け、他方の側辺部上には中間支持台を前記軌道と
   交叉する方向の位置調整自在に装設し、この支持台上面
   に前記軌道に沿わせた第二軌道を設け、また前記第一、
   第二軌道に案内される一対の支持脚を設け、これら支持
   脚間をリンク機構により寸法変化自在に結合し、各支持
   脚の上面に真空圧の付与されるガラス吸引孔を設けるほ
   か、一方の支持脚を軌道方向の移動駆動可能となしたこ
   とを特徴とする板ガラスの端面研磨機。
2. 【請求項２】 支持脚間に載置された板ガラスの中間部
   下面に上方への押圧力を付与するものとしたガラスサポ
   ートをリンク機構を介して設けたことを特徴とする請求
   項１記載の板ガラス端面研磨機におけるガラス搬送装
   置。
3. 【請求項３】 支持脚間に載置された板ガラスの位置決
   め体を支持脚に設けたことを特徴とする請求項１記載の
   板ガラス端面研磨機におけるガラス搬送装置。