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JP2713569B2 - 電子放出装置 - Google Patents

電子放出装置

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JP2713569B2
JP2713569B2 JP6789287A JP6789287A JP2713569B2 JP 2713569 B2 JP2713569 B2 JP 2713569B2 JP 6789287 A JP6789287 A JP 6789287A JP 6789287 A JP6789287 A JP 6789287A JP 2713569 B2 JP2713569 B2 JP 2713569B2
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electron emission
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insulating layer
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彰 鈴木
勇 下田
健夫 塚本
俊彦 武田
隆夫 米原
武史 市川
昌彦 奥貫
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は電子放出装置に係り、特に絶縁材料面上に設
けられた尖頭部を有する電極と、前記絶縁材料面上に設
けられた絶縁部材を介して、前記尖頭部の近傍に設けら
れた引き出し電極とを有する電子放出装置に関する。 〔従来技術〕 従来、電子放出源としては熱陰極型電子放出素子が多
く用いられていたが、熱陰極を利用した電子放出は加熱
によるエネルギーロスが大きく、予備加熱が必要等の問
題点を有していた。 これらの問題点を解決すべく、冷陰極型の電子放出素
子がいくつか提案されており、その中に局部的に高電界
を発生させ、電界放出により電子放出を行わせる電界効
果型の電子放出素子がある。 第13図は電界効果型の電子放出素子の一例を示す概略
的部分断面図である。 第13図に示すように、Si等の基体23上にMo(モリブデ
ン)等の円錘形状の電極26を設け、この電極26を中心と
して開口部が設けられたSiO2等の絶縁層24が形成され、
この上に、前記円錘形状の尖頭部の近傍にその端部が形
成された引き出し電極25を設ける。 このような構造の電子放出素子において、基体23と引
き出し電極25との間に電圧を印加すると、電界強度の強
い尖頭部から電子が放出される。 〔発明が解決しようとする問題点〕 上記のような電界効果型の電子放出素子において、耐
電圧を向上させたり、またマルチ型電子放出素子におい
て、ファインピッチ化を図るために、隣接する尖頭部を
有する電極との影響を防がんとする場合には、尖頭部を
有する電極26は絶縁表面に形成することが望ましい。 またマルチ型電子放出素子において、所望の位置か
ら、電子を放出させるためには、それぞれの電子放出源
の電子放出を制御する必要があった。 本発明の目的は簡易な構成で、尖頭部を有する電極か
ら放出される電子放出量を制御でき、且つ尖頭部を有す
る電極を絶縁材料面に形成可能な電子放出装置を提供す
ることにある。 〔問題点を解決するための手段〕 上記の問題点は、平坦な形状の導電性材料上に絶縁層
を挟んで形成された尖頭部を有する電極と、前記絶縁層
上に設けられた絶縁部材を介して前記尖頭部を有する電
極の近傍に設けられた引き出し電極と、前記尖頭部を有
する電極と前記引き出し電極との間に電圧を印加するこ
とによって前記尖頭部を有する電極から電子を放出させ
る第1の電圧印加手段と、前記導電性材料と前記尖頭部
を有する電極との間に電圧を印加することによって、電
子を前記尖頭部を有する電極に供給する第2の電圧印加
手段とから成り、 前記第2の電圧印加手段によって印加される電圧を制
御することによって前記尖頭部を有する電極から放出さ
れる電子の放出量を制御してなる本発明の電子放出装置
によって解決される。 〔作用〕 本発明の電子放出装置は、導電性材料上に絶縁層を挟
んで尖頭部を有する電極を形成し(以下、この構成をMI
M構成という)、絶縁材料面に形成された尖頭部を有す
る電極と導電性材料との間に電圧(V)を印加すること
によって、絶縁層を電子がトンネリング可能な状態と
し、電子を導電性材料から尖頭部を有する電極に供給し
ようとするものである。すなわち、電圧Vの制御によっ
て尖頭部を有する電極へ供給する電子の量を制御するこ
とによって、放出される電子放出量の制御を行わんとす
るものである。 〔実施例〕 以下、本発明の実施例について図面を用いて詳細に説
明する。 第1図(A)は、本発明の電子放出装置の一実施例を
示す概略的説明図である。第1図(B)は第1図(A)
中のa部の部分拡大図である。 第2図は上記電子放出装置の動作を説明するためのタ
イミングチャートである。 第1図(A)に示すように、基体1上にAl,Ta,Mo,W等
の金属、又はSi等の半導体からなる電圧印加用の電極2
が形成され、さらにAl2O3,Ta2O5,SiO2等の絶縁体を厚
さ50〜150Å程度に形成して絶縁層3を形成する。第1
図(B)に示すように、この絶縁層3上の、電極2に対
向する位置には、絶縁層3の構成材料と異種材料の核形
成ベース9が形成され、この核形成ベース9に形成され
た単一の核を中心として、Si等の単結晶を成長させるこ
とによって約50〜10,000Å程度の大きさの略円錘形状の
尖頭部を有する電子放出用の電極7を形成する。 また、絶縁層3上にはAl,Au又はPt等の金属層4が形
成され、電子放出用電極7と接続される。電極7は単結
晶に限定されず多結晶等であってもよいが、単結晶とす
れば、導電性を向上させ、電子放出効率を向上させるこ
とができる。一般に絶縁材料面に単結晶を形成すること
は困難であるが、前述した単結晶成長方法によれば、容
易に単結晶を成長させることができる。 なお、電子放出用の電極7の形成方法については後述
する。 金属層4上には、電極7を中心として開口部が設けら
れたSiO2,Si3N4,ポリイミド樹脂膜等の絶縁層5が形
成され、さらに電子放出口が開口された引き出し電極6
が形成される。 上記の電極2と金属層4との間に所定の電圧を印加す
ると、トンネリングによって電極2と電極7との間は導
通可能な状態となる。このとき、引き出し電極6に電源
11から引き出し電極6を高電位とする電圧を印加し、被
照射体8に電源10から被照射体8を高電位とする電圧を
印加すると、電極7の尖頭部から電子が放出される。 このような電子放出装置において、電極2に印加する
電圧と、金属層4に印加する電圧とを制御することによ
り、所望のタイミングで電子放出を行わせることができ
る。 第1図(A)に示すように、電極2にパルス発生電源
13を接続し、金属層4にパルス発生電源12を接続し、第
2図に示すように、区間t1で電極2にV1なる負電圧を印
加し、金属層4に0Vを印加し、電位差V1を所定の値以上
にすれば、電子はトンネリングにより絶縁層3を通過し
て、電子放出用の電極7の尖頭部から放出される。区間
t2で電極2にV2(>V1)なる負電圧を印加し、金属層4
にV3なる負電圧を印加し、電位差V3−V2を所定の値未満
とすれば、電子のトンネリングが抑えられ、電極2と電
極7との間は遮断状態となる。また区間t3において、金
属層4にV1なる負電圧を印加しとも、電位差V3−V1を所
定の値未満としておけば、トンネリングが抑えられ、電
極2と電極7との間の遮断状態は保持される。 以上説明したパルス電圧による電子放出制御は、複数
個の電子放出源を有するマトリクス方式のマルチ型電子
放出装置に好適に用いられる。 第3図は本発明によるマルチ型電子放出装置の電子放
出部の等価回路図である。 第4図(A),(B)はマトリクス状に配置された電
極に印加される電圧を示すタイミングチャートである。 第3図において、ダイオード1411〜1433は電極2と絶
縁層3と電子放出用の電極7からなるMIM構成を示し、
電極21〜23と金属層41〜43を任意に選んで金属層を高電
位とする所定の電圧を印加すれば、所望の位置のダイオ
ードが導通状態となる。例えば、第4図(A),(B)
に示されるように、区間t4で電極21に電圧V1を印加し、
金属層41〜43にそれぞれ0Vを順に印加していくと、ダイ
オード1411,1412,1413は順に導通状態となる。区間t5
及び区間t6においても同様にして順にダイオード1421
らダイオード1433へと導通状態となる。この時、金属層
41〜43に接続される不図示のそれぞれの電子放出用の電
極711〜733に対して、共通に第1図に示したような引き
出し電極6を設け、この引き出し電極6と被照射体8と
に、電極711〜733に対して高電位な電圧を印加すると、
順にダイオード1411〜1433と結びついた電極711〜733
尖頭部から電子が放出される。 次に電子放出用の電極7の形成方法について説明す
る。 前述した実施例で用いた単結晶成長方法は、堆積され
る面に、この堆積される面の材料より核形成密度が十分
大きく、且つ単一の核だけが成長する程度に十分微細な
異種材料を形成し、この異種材料に成長した単一の核を
中心として結晶を成長させるものであるが、この方法は
次のような長所を有する。 (1)尖頭部を有する電極の形状が、堆積される面,異
種材料,堆積物の材質,堆積条件等の製造条件で決定さ
れ、絶縁部材,引き出し電極の開口部の寸法精度と独立
して形成されるので、所望の大きさの電極を形成するこ
とができ、またその大きさのバラツキを抑えることがで
きる。 (2)尖頭部を有する電極の位置が異種材料の位置精度
で決められるので、所望の位置に高精度に作製すること
ができ、複数の電子放出口を有するマルチ型電子放出素
子をファインピッチで作製することができる。 (3)単結晶特有の尖頭部が形成され、電子放出部の形
状が均一且つシャープに形成されるので、特別な針状加
工が不要であり、電界強度を均一且つ強いものとし、動
作開始電圧の範囲のバラツキを抑え、電子放出効率を向
上させることができる。 (4)従来、単結晶の成長が困難であった非晶質の絶縁
基板にも単結晶を成長させることが容易となり、高耐圧
な電子放出素子を提供することができる。 (5)通常の半導体製造プロセスで製造することができ
るので、簡易な工程で高集積化を行なうことができる。 以下、堆積される面に単結晶を成長させる単結晶成長
法について詳述する。 まず、堆積される面上に選択的に堆積膜を形成する選
択堆積法について述べる。選択堆積法とは、表面エネル
ギー、付着係数、脱離係数、表面拡散速度等という薄膜
形成過程での核形成を左右する因子の材料間での差を利
用して、基板上に選択的に薄膜を形成する方法である。 第5図(A)および(B)は選択堆積法の説明図であ
る。 まず、同図(A)に示すように、基板15上に、基板15
と上記因子の異なる材料から成る薄膜16を所望部分に形
成する。そして、適当な堆積条件によって適当な材料か
ら成る薄膜の堆積を行うと、同図(B)に示すように、
薄膜17は薄膜16上にのみ成長し、基板15上には成長しな
いという現象を生じさせることができる。この現象を利
用することで、自己整合的に成形された薄膜12を成長さ
せることができ、従来のようなレジストを用いたリソグ
ラフィ工程の省略が可能となる。 このような選択形成法による堆積を行うことができる
材料としては、たとえば基板15としてSiO2、薄膜16とし
てSi、GaAs、窒化シリコンそして堆積させる薄膜17とし
てSi、W、GaAs、InP等がある。 第6図は、SiO2の堆積される面と窒化シリコンの堆積
される面との核形成密度の経時変化を示すグラフであ
る。 同グラフが示すように、堆積を開始して間もなくSiO2
上での核形成密度は103cm-2以下で飽和し、20分後でも
その値はほとんど変化しない。 それに対して窒化シリコン(Si3N4)上では、〜4×1
05cm-2で一旦飽和し、それから10分ほど変化しないが、
それ以降は急激に増大する。なお、この測定例では、Si
Cl4ガスをH2ガスで希釈し、圧力175Torr、温度1000℃の
条件下でCVD法により堆積した場合を示している。他にS
iH4、SiH2Cl2、SiHCl3、SiF4等を反応ガスとして用い
て、圧力、温度等を調整することで同様の作用を得るこ
とができる。また、真空蒸着でも可能である。 この場合、SiO2上の核形成はほとんど問題とならない
が、反応ガス中にHClガスを添加することで、SiO2上で
の核形成を更に抑制し、SiO2上でのSiの堆積を皆無にす
ることができる。 このような現象は、SiO2および窒化シリコンの材料表
面のSiに対する吸着係数、脱離係数、表面拡散係数等の
差によるところが大きいが、Si原子自身によってSiO2
反応し、蒸気圧が高い一酸化シリコンが生成されること
でSiO2自身がエッチングされ、窒化シリコン上ではこの
ようなエッチング現象は生じないということも選択堆積
を生じさせる原因となっていると考えられる(T.Yoneha
ra,S.Yoshioka,S.Miyazawa Journal of Applied Physic
s 53,6839,1982)。 このように堆積される面の材料としてSiO2および窒化
シリコンを選択し、堆積材料としてシリコンを選択すれ
ば、同グラフに示すように十分に大きな核形成密度差を
得ることができる。なお、ここでは堆積される面の材料
としてSiO2が望ましいが、これに限らずSiOXであっても
核形成密度差を得ることができる。 勿論、これらの材料に限定されるものではなく、核形
成密度の差が同グラフで示すように核の密度で102倍以
上であれば十分であり、後に例示するような材料によっ
ても堆積膜の十分な選択形成を行うことができる。 この核形成密度差を得る他の方法としては、SiO2上に
局所的にSiやN等をイオン注入して過剰にSiやN等を有
する領域を形成してもよい。 このような選択堆積法を利用し、堆積される面の材料
より核形成密度の十分大きい異種材料を単一の核だけが
成長するように十分微細に形成することによって、その
微細な異種材料の存在する箇所だけに単結晶を選択的に
成長させることができる。 なお、単結晶の選択的成長は、堆積される面の表面の
電子状態、特にダングリングボンドの状態によって決定
されるために、核形成密度の低い材料(たとえばSiO2
はバルク材料である必要はなく、任意の材料や基板等の
表面のみに形成されて上記堆積される面を成していれば
よい。 第7図(A)〜(C)は、単結晶形成方法の一例を示
す形成工程図であり、第8図(A)および(B)は、第
7図(A)および(C)における基板の斜視図である。 まず、第7図(A)および第8図(A)に示すよう
に、基板18上に、選択堆積を可能にする核形成密度の小
さい薄膜19を形成し、その上に核形成密度の大きい異種
材料を薄く堆積させ、リソグラフィ等によってパターニ
ングすることで異種材料20を十分微細に形成する。ただ
し、基板18の大きさ、結晶構造および組成は任意のもの
でよく、機能素子が形成された基板であってもよい。ま
た、異種材料20とは、上述したようにSiやN等を薄膜19
にイオン注入して形成される過剰にSiやN等を有する変
質領域も含めるものとする。 次に、適当な堆積条件によって異種材料20だけに薄膜
材料の単一の核が形成される。すなわち、異種材料20
は、単一の核のみが形成される程度に十分微細に形成す
る必要がある。異種材料20の大きさは、材料の種類によ
って異なるが、数ミクロン以下であればよい。更に、核
は単結晶構造を保ちながら成長し、第7図(B)に示す
ように島状の単結晶粒21となる。島状の単結晶粒21が形
成されるためには、すでに述べたように、薄膜19上で全
く核形成が起こらないように条件を決めることが必要で
ある。 島状の単結晶粒21は単結晶構造を保ちながら異種材料
20を中心にして更に成長し、同図(C)に示すように略
円錘形の尖頭部を有する回転体の単結晶22となる。 このように堆積される面の材料である薄膜19が基板18
上に形成されているために、支持体となる基板18は任意
の材料を使用することができ、更に基板18に機能素子等
が形成されたものであっても、その上に容易に単結晶を
形成することができる。 なお、上記実施例では、堆積される面の材料を薄膜19
で形成したが、選択堆積を可能にする核形成密度の小さ
い材料から成る基板をそのまま用いて、単結晶を同様に
形成してもよい。 第9図(A)〜(C)は、単結晶形成方法の他の例を
示す形成工程図である。 同図に示すように、選択堆積を可能にする核形成密度
の小さい材料からなる基板19上に、異種材料20を十分微
小に形成することで、第7図に示した例と同様にして単
結晶を形成することができる。 (具体例) 次に、上記例における単結晶層の具体的形成方法を説
明する。 SiO2を薄膜19の堆積される面の材料とする。勿論、石
英基板を用いてもよいし、金属、半導体、磁性体、圧電
体、絶縁体等の任意の基板上に、スパッタ法、CVD法、
真空蒸着法等を用いて基板表面にSiO2層を形成してもよ
い。また、堆積される面の材料としてはSiO2が望ましい
が、SiOXとしてのxの値を変化させたものでもよい。 こうして形成されたSiO2層19上に減圧気相成長法によ
って窒化シリコン層(ここではSi3N4層)又は多結晶シ
リコン層を異種材料として堆積させ、通常のリソグラフ
ィ技術又はX線、電子線若しくはイオン線を用いたリソ
グラフィ技術で窒化シリコン層又は多結晶シリコン層を
パターニングし、数ミクロン以下、望ましくは〜1μm
以下の微小な異種材料20を形成する。 続いて、HClとH2と、SiH2Cl2、SiCl4、SiHCl3、SiF4
若しくはSiH4との混合ガスを用いて上記基板11上にSiを
選択的に成長させる。その際の基板温度は700〜1000
℃、圧力は約100Torrである。 数十分程度の時間で、SiO2上の窒化シリコン又は多結
晶シリコンの微細な異種材料15を中心として、単結晶の
Siの粒21が成長し、最適の成長条件とすることで、その
大きさは上記の異種材料程度の大きさから数十μm程度
に制御された単結晶22が形成される。 (窒化シリコンの組成) これまで述べてきたような堆積される面の材料と異種
材料との十分な核形成密度差を得るには、Si3N4に限定
されるものではなく、窒化シリコンの組成を変化させた
ものでもよい。 RFプラズマ中でSiH4ガスとNH3ガスとを分解させて低
温で窒化シリコン膜を形成するプラズマCVD法では、SiH
4ガスとNH3ガスとの流量比を変化させることで、堆積す
る窒化シリコン膜のSiとNの組成比を大幅に変化させる
ことができる。 第10図は、SiH4とNH3の流量比と形成された窒化シリ
コン膜中のSiおよびNの組成比との関係を示したグラフ
である。 この時の堆積条件は、RF出力175W、基板温度380℃で
あり、SiH4ガス流量を300cc/minに固定し、NH3ガスの流
量を変化させた。同グラフに示すようにNH3/SiH4のガ
ス流量比を4〜10へ変化させると、窒化シリコン膜中の
Si/N比は1.1〜0.58に変化することがオージェ電子分光
法によって明らかとなった。 また、減圧CVD法でSiH2Cl2ガスとNH3ガスとを導入
し、0.3Torrの減圧下、温度約800℃の条件で形成した窒
化シリコン膜の組成は、ほぼ化学量論比であるSi3N4(S
i/N=0.75)に近いものであった。 また、SiをアンモニアあるいはN2中で約1200℃で熱処
理すること(熱窒化法)で形成される窒化シリコン膜
は、その形成方法が熱平衡下で行われるために、更に化
学量論比に近い組成を得ることができる。 以上の様に種々の方法で形成した窒化シリコンをSiの
核形成密度がSiO2より高い堆積される面の材料として用
いて上記Siの核を成長させると、その組成比により核形
成密度に差が生じる。 第11図は、Si/N組成比と核形成密度との関係を示すグ
ラフである。同グラフに示すように、窒化シリコン膜の
組成を変化させることで、その上に成長するSiの核形成
密度は大幅に変化する。この時の核形成条件は、SiCl4
ガスを175Torrに減圧し、1000℃でH2と反応させてSiを
生成させる。 このように窒化シリコンの組成によって核形成密度が
変化する現象は、単一の核を成長させる程度に十分微細
に形成される異種材料としての窒化シリコンの大きさに
影響を与える。すなわち、核形成密度が大きい組成を有
する窒化シリコンは、非常に微細に形成しない限り、単
一の核を形成することができない。 したがって、核形成密度と、単一の核が選択できる最
適な窒化シリコンの大きさとを選択する必要がある。た
とえば〜105cm-2の核形成密度を得る堆積条件では、窒
化シリコンの大きさは約4μm以下であれば単一の核を
選択できる。 (イオン注入による異種材料の形成) Siに対して核形成密度差を実現する方法として、核形
成密度の低い堆積される面の材料であるSiO2の表面に局
所的にSi,N,P,B,F,Ar,He,C,As,Ga,Ge等をイオン注入し
てSiO2の堆積される面に変質領域を形成し、この変質領
域を核形成密度の高い堆積される面の材料としても良
い。 例えば、SiO2表面をレジストで多い、所望の箇所を露
光、現像、溶解させてSiO2表面を部分的に表出させる。 続いて、SiF4ガスをソースガスとして用い、Siイオン
を10keVで1×1016〜1×1018cm-2の密度でSiO2表面に
打込む。これによる投影飛程は114Åであり、SiO2表面
ではSi濃度が〜1022cm-3に達する。SiO2はもともと非晶
質であるために、Siイオンを注入した領域も非晶質であ
る。 なお、変質領域を形成するには、レジストをマスクと
してイオン注入を行うこともできるが、集束イオンビー
ム技術を用いて、レジストマスクを使用せずに絞られた
SiイオンをSiO2表面に注入してもよい。 こうしてイオン注入を行った後、レジストを剥離する
ことで、SiO2面にSiが過剰な変質領域が形成される。こ
のような変質領域が形成された堆積される面となるSiO2
面にSiを気相成長させる。 第12図は、Siイオン注入量と核形成密度との関係を示
すグラフである。 同グラフに示すようにSi+注入量が多い程、核形成密
度が増大することがわかる。 したがって、変質領域を十分微細に形成することで、
この変質領域を異種材料としてSiの単一の核を成長させ
ることができ、上述したように単結晶を成長させること
ができる。 なお、変質領域を単一の核が成長する程度に十分微細
に形成することは、レジストのパターニングや、集束イ
オンビームのビームを絞ることによって容易に達成され
る。 (CVD以外のSi堆積方法) Siの選択核形成によって単結晶を成長させるには、CV
D法だけではなく、Siを真空中(<10-6Torr)で電子銃
により蒸発させ、加熱した基板に堆積させる方法も用い
られる。特に、超高真空中(<10-9Torr)で蒸着を行う
MBE(Molecular Beam Epitaxy)法では、基板温度900℃
以上でSiビームとSiO2が反応を始め、SiO2上でのSiの核
形成は皆無になることが知られている(T.Yonehara,S.Y
oshioka and S.Miyazawa Journal of Applied Physics
53,10,p6839,1983)。 この現象を利用してSiO2上に点在させた微小な窒化シ
リコンに完全な選択性をもってSiの単一の核を形成し、
そこに単結晶Siを成長させることができた。この時の堆
積条件は、真空度10-8Torr以下、Siビーム強度9.7×10
14atoms/cm2・sec、基板温度900℃〜1000℃であった。 この場合、SiO2+Si→2SiO↑という反応により、SiO
という蒸気圧の著しく高い反応生成物が形成され、この
蒸発によるSiO2自身のSiによるエッチングが生起してい
る。 これに対して、窒化シリコン上では上記エッチング現
象は起こらず、核形成、そして堆積が生じている。 したがって、核形成密度の高い堆積される面の材料と
しては、窒化シリコン以外に、タンタル酸化物(Ta
2O5)、窒化シリコン酸化物(SiON)等を使用しても同
様の効果を得ることができる。すなわち、これらの材料
を微小形成して上記異種材料とすることで、同様に単結
晶を成長させることができる。 〔発明の効果〕 以上詳細に説明したように、本発明の電子放出装置に
よれば、絶縁材料表面に形成された尖頭部を有する電極
に供給される電子の量を、尖頭部を有する電極と導電材
料との間に印加される電圧で制御可能となり、簡易な構
造で、電子放出量の制御が可能となる。 なお、尖頭部を有する電極の製造方法として、絶縁層
に、この絶縁層の材料より核形成密度が十分大きく、且
つ単一の核だけが成長する程度に十分微細な異種材料を
形成し、この異種材料に成長した単一の核を中心として
結晶を成長させる結晶成長方法を用いれば、次のような
効果がある。 (1)尖頭部を有する電極の形状が、堆積される面,異
種材料,導電部材の材質,堆積条件等の製造条件で決定
され、絶縁部材,引き出し電極の開口部の寸法精度と独
立して形成されるので、所望の大きさの電極を形成する
ことができ、またその大きさのバラツキを抑えることが
できる。 (2)尖頭部を有する電極の位置が異種材料の位置精度
で決められるので、所望の位置に高精度に作製すること
ができ、複数の電子放出口を有するマルチ型電子放出素
子をファインピッチで作製することができる。 (3)単結晶特有の尖頭部を形成され、電子放出部の形
状が均一且つシャープに形成されるので、特別な針状加
工が不要であり、電界強度を均一且つ強いものとし、動
作開始電圧の範囲のバラツキを抑え、電子放出効率を向
上させることができる。 (4)従来、単結晶の成長が困難であった非晶質の絶縁
基板にも単結晶を成長させることが容易となり、高耐圧
な電子放出素子を提供することができる。 (5)通常の半導体製造プロセスで製造することができ
るので、簡易な工程で高集積化を行なうことができる。 本発明の電子放出装置は複数個の電子放出源を有する
マトリクス型の電子放出装置に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】 第1図(A)は、本発明の電子放出装置の一実施例を示
す概略的説明図である。第1図(B)は第1図(A)中
のa部の部分拡大図である。 第2図は上記電子放出装置の動作を説明するためのタイ
ミングチャートである。 第3図は本発明によるマルチ型電子放出装置の電子放出
部の等価回路図である。 第4図(A),(B)はマトリクス状に配置された電極
に印加される電圧を示すタイミングチャートである。 第5図(A)および第5図(B)は選択堆積法の説明図
である。 第6図は、SiO2の堆積される面と窒化シリコンの堆積さ
れる面との核形成密度の経時変化を示すグラフである。 第7図(A)〜(C)は、単結晶形成方法の一例を示す
形成工程図である。 第8図(A)および第8図(B)は、第7図(A)およ
び第7図(C)における基板の斜視図である。 第9図(A)〜(C)は、単結晶形成方法の他の例を示
す形成工程図である。 第10図は、SiH4とNH3の流量比と形成された窒化シリコ
ン膜中のSiおよびNの組成比との関係を示したグラフで
ある。 第11図は、Si/N組成比と核形成密度との関係を示すグラ
フである。 第12図は、Siイオンの注入量と核形成密度との関係を示
すグラフである。 第13図は電界効果型の電子放出素子の一例を示す概略的
部分断面図である。 1…基体、2…電極、3,5…絶縁層、4…金属層、6…
引き出し電極、7…尖頭部を有する電子放出用の電極、
8…被照射体、9…核形成ベース、10,11…電源、12,13
…パルス発生電源。
フロントページの続き (72)発明者 塚本 健夫 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 武田 俊彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 米原 隆夫 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 市川 武史 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 奥貫 昌彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−221783(JP,A) 実開 昭56−167456(JP,U) 実開 昭56−140134(JP,U)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.平坦な形状の導電性材料上に絶縁層を挟んで形成さ
    れた尖頭部を有する電極と、前記絶縁層上に設けられた
    絶縁部材を介して前記尖頭部を有する電極の近傍に設け
    られた引き出し電極と、前記尖頭部を有する電極と前記
    引き出し電極との間に電圧を印加することによって前記
    尖頭部を有する電極から電子を放出させる第1の電圧印
    加手段と、前記導電性材料と前記尖頭部を有する電極と
    の間に電圧を印加することによって、電子を前記尖頭部
    を有する電極に供給する第2の電圧印加手段とから成
    り、 前記第2の電圧印加手段によって印加される電圧を制御
    することによって前記尖頭部を有する電極から放出され
    る電子の放出量を制御してなる電子放出装置。 2.前記尖頭部を有する電極が、前記絶縁層の面に、前
    記絶縁層の材料より核形成密度が十分大きく、且つ単一
    の核だけが成長する程度に十分微細な異種材料が設けら
    れ、この異種材料に成長した単一の核によって成長した
    結晶によって形成された特許請求の範囲第1項記載の電
    子放出装置。 3.前記尖頭部を有する電極を複数個列状に共通に接続
    する配線電極と、この配線電極とマトリクス状に、前記
    絶縁層を介して設けられた前記導電性材料からなる配線
    電極とを有する特許請求の範囲第1項記載の電子放出装
    置。
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