JP2792938B2 - アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金電極 - Google Patents
アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金電極Info
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Description
【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、水素を可逆的に吸蔵・放出できる水素吸蔵
合金粉末を含む水素吸蔵合金層が集電体の表面に形成さ
れたアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金電極に関する。
合金粉末を含む水素吸蔵合金層が集電体の表面に形成さ
れたアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金電極に関する。
従来の技術 従来から用いられている蓄電池としては、ニッケル−
カドミウム蓄電池のようなアルカリ蓄電池や鉛蓄電池等
が知られている。しかし、近年は、これらの電池よりも
軽量且つ高容量で高エネルギー密度となる可能性があ
る、水素吸蔵合金電極を負極に用いた金属−水素アルカ
リ蓄電池が注目されている。
カドミウム蓄電池のようなアルカリ蓄電池や鉛蓄電池等
が知られている。しかし、近年は、これらの電池よりも
軽量且つ高容量で高エネルギー密度となる可能性があ
る、水素吸蔵合金電極を負極に用いた金属−水素アルカ
リ蓄電池が注目されている。
この種、金属水素アルカリ蓄電池に用いられる水素吸
蔵合金の組成としては、例えば特公昭59−49671号公報
に示すように、LaNi5やその改良である三元素系のLaNi4
Co,LaNi4Cu及びLaNi4.8Fe0.2などの合金が知られてい
る。そして、特公昭57−30273号公報に示すように、上
記水素吸蔵合金粉末と導電材粉末との混合物を、耐アル
カリ電解液性の粒子状結着剤によって電極支持体に固着
させて、水素吸蔵合金電極を製造している。上記水素吸
蔵合金としては上記に示すものの他にも、Laの代わりに
Mm(ミッシュメタル)を用いた各種希土類系水素吸蔵合
金も開発されている。
蔵合金の組成としては、例えば特公昭59−49671号公報
に示すように、LaNi5やその改良である三元素系のLaNi4
Co,LaNi4Cu及びLaNi4.8Fe0.2などの合金が知られてい
る。そして、特公昭57−30273号公報に示すように、上
記水素吸蔵合金粉末と導電材粉末との混合物を、耐アル
カリ電解液性の粒子状結着剤によって電極支持体に固着
させて、水素吸蔵合金電極を製造している。上記水素吸
蔵合金としては上記に示すものの他にも、Laの代わりに
Mm(ミッシュメタル)を用いた各種希土類系水素吸蔵合
金も開発されている。
また、正極としては、ニッケル−カドミウム蓄電池に
用いられる、焼結式ニッケル極などが用いられている。
用いられる、焼結式ニッケル極などが用いられている。
この種の電極においては水素吸蔵合金の電解液による
腐食、充放電による微粉化などに起因する放電容量の低
下、正極容量規制型の密閉電池においては、過充電時に
発生する酸素ガスを吸収する能力が要求されてくる。
腐食、充放電による微粉化などに起因する放電容量の低
下、正極容量規制型の密閉電池においては、過充電時に
発生する酸素ガスを吸収する能力が要求されてくる。
発明が解決しようとする課題 ところで、上記構造の蓄電池において、水素吸蔵合金
の平均粒径が大きなものを電極として用いると、大電流
で放電したときに電池電圧が低下するため、単セル当り
の終止電圧を1.0Vに設定したときには放電容量が小さく
なるという課題を有していた。
の平均粒径が大きなものを電極として用いると、大電流
で放電したときに電池電圧が低下するため、単セル当り
の終止電圧を1.0Vに設定したときには放電容量が小さく
なるという課題を有していた。
これに対して、水素吸蔵合金の平均粒径が非常に小さ
なものを電極として用いると、大電流で放電したときに
電池電圧が高くなるため、大電流での放電容量が大きく
なる。ところが、密閉型ニッケル−水素蓄電池では、電
池内圧が異常に上昇した場合には外部へガスを放出でき
るように安全弁が設けられているが、この安全弁が作動
すると電解液が電池外部に放出される結果、電池特性が
低下してサイクル寿命の低下を招く。この場合、上記粒
径の小さな粒子から成る水素吸蔵合金を電極として用い
た電池では、ある程度大きな粒子から成る水素吸蔵合金
を電極として用いた電池と比べて、過充電時の酸素ガス
吸収能力が低くなる。このため、過充電時に電池内圧が
上昇し、安全弁が頻繁に作動する結果、サイクル寿命の
低下を招く。更に酸素ガスが増えると、水素吸蔵合金が
電解液により腐食され易くなるため、この点からもサイ
クル寿命の低下を招くという課題を有していた。
なものを電極として用いると、大電流で放電したときに
電池電圧が高くなるため、大電流での放電容量が大きく
なる。ところが、密閉型ニッケル−水素蓄電池では、電
池内圧が異常に上昇した場合には外部へガスを放出でき
るように安全弁が設けられているが、この安全弁が作動
すると電解液が電池外部に放出される結果、電池特性が
低下してサイクル寿命の低下を招く。この場合、上記粒
径の小さな粒子から成る水素吸蔵合金を電極として用い
た電池では、ある程度大きな粒子から成る水素吸蔵合金
を電極として用いた電池と比べて、過充電時の酸素ガス
吸収能力が低くなる。このため、過充電時に電池内圧が
上昇し、安全弁が頻繁に作動する結果、サイクル寿命の
低下を招く。更に酸素ガスが増えると、水素吸蔵合金が
電解液により腐食され易くなるため、この点からもサイ
クル寿命の低下を招くという課題を有していた。
本発明はかかる現状に鑑みてなされたものであり、高
率放電特性とサイクル特性とを共に向上させることがで
きるアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金電極を提供すること
を目的とする。
率放電特性とサイクル特性とを共に向上させることがで
きるアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金電極を提供すること
を目的とする。
課題を解決するための手段 本発明は上記課題を解決するために、水素を可逆的に
吸蔵・放出できる水素吸蔵合金粉末を含む水素吸蔵合金
層が集電体の表面に形成されたアルカリ蓄電池用水素吸
蔵合金電極において、前記水素吸蔵合金層は、前記集電
体の近傍に配置され粒径の小さな水素吸蔵合金粉末から
成る第1水素吸蔵合金層と、電極の表面に配置され粒径
の大きな水素吸蔵合金粉末から成る第2水素吸蔵合金層
とから成ることを特徴とする。
吸蔵・放出できる水素吸蔵合金粉末を含む水素吸蔵合金
層が集電体の表面に形成されたアルカリ蓄電池用水素吸
蔵合金電極において、前記水素吸蔵合金層は、前記集電
体の近傍に配置され粒径の小さな水素吸蔵合金粉末から
成る第1水素吸蔵合金層と、電極の表面に配置され粒径
の大きな水素吸蔵合金粉末から成る第2水素吸蔵合金層
とから成ることを特徴とする。
作用 水素吸蔵合金電極での水素イオンの吸蔵放出反応は、
主に、集電体に近い部分で進行する。したがって、上記
構成の如く集電体の近傍に微細な(即ち、比表面積が大
きい)水素吸蔵合金粉末から成る第1水素吸蔵合金層を
配置すれば、反応面積が増加するため、高率充放電特性
が改善される。尚、この場合の反応は下記(1)式にて
表される。
主に、集電体に近い部分で進行する。したがって、上記
構成の如く集電体の近傍に微細な(即ち、比表面積が大
きい)水素吸蔵合金粉末から成る第1水素吸蔵合金層を
配置すれば、反応面積が増加するため、高率充放電特性
が改善される。尚、この場合の反応は下記(1)式にて
表される。
MH+OH-→M+H2O+e- ……(1) 但し、Mは水素吸蔵合金である。
一方、過充電時に正極から発生した酸素ガスは、主に
水素吸蔵合金電極の表面で消費される。したがって、上
記構成の如く電極の表面に酸素吸収能力の高い粒径の大
きな水素吸蔵合金粉末から成る第2水素吸蔵合金層を配
置すれば、電池内圧の上昇を防ぐことができると共に、
水素吸蔵合金が腐食するのを抑制することができる。
尚、この場合の反応は下記(2)式にて表される。
水素吸蔵合金電極の表面で消費される。したがって、上
記構成の如く電極の表面に酸素吸収能力の高い粒径の大
きな水素吸蔵合金粉末から成る第2水素吸蔵合金層を配
置すれば、電池内圧の上昇を防ぐことができると共に、
水素吸蔵合金が腐食するのを抑制することができる。
尚、この場合の反応は下記(2)式にて表される。
4MH+O2→4M+2H2O ……(2) 実 施 例 本発明の一実施例を、第1図及び第2図に基づいて、
以下に説明する。
以下に説明する。
本発明の水素吸蔵合金電極は、第1図に示すように、
ニッケルメッキを施したパンチグメタルから成る集電体
1の両面には、平均粒径8μmの水素吸蔵合金粉末を有
する第1水素吸蔵合金層2が形成されており、この第1
水素吸蔵合金層2の表面には平均粒径100μmの水素吸
蔵合金粉末を有する第2水素吸蔵合金層3が形成されて
いる。
ニッケルメッキを施したパンチグメタルから成る集電体
1の両面には、平均粒径8μmの水素吸蔵合金粉末を有
する第1水素吸蔵合金層2が形成されており、この第1
水素吸蔵合金層2の表面には平均粒径100μmの水素吸
蔵合金粉末を有する第2水素吸蔵合金層3が形成されて
いる。
ここで、上記構造の水素吸蔵合金電極は、以下のよう
にして作製される。
にして作製される。
先ず、市販のMm(ミッシュメタル)と、Niと、Coと、
Alと、Mnとを組成比で1:3.2:1:0.2:0.6の割合となるよ
うに秤量した後、これらをアルゴン不活性雰囲気アーク
溶解炉内に装填する。次いで、公知のアーク処理を施し
て、MmNi3.2CoAl0.2Mn0.6で表される水素吸蔵合金を作
成する。次に、この水素吸蔵合金を粉砕した後、100メ
ッシュ、200メッシュ、300メッシュ、400メッシュ、500
メッシュのふるいで分級する。この際、各ふるいで得ら
れる水素吸蔵合金粉末の平均粒径は、それぞれ100μ
m、60μm、40μm、30μm、8μmである。次いで、
上記平均粒径8μmの水素吸蔵合金粉末95重量%に、結
着材としてPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)粉末5
重量%を添加し、これらを均一に混合することによりPT
FEを繊維化させ、更にこれに水を加えてペーストを作成
した。この後、このペーストを、ニッケルメッキを施し
たパンチグメタルから成る集電体の両面に圧着して第1
水素吸蔵合金層2を形成する。
Alと、Mnとを組成比で1:3.2:1:0.2:0.6の割合となるよ
うに秤量した後、これらをアルゴン不活性雰囲気アーク
溶解炉内に装填する。次いで、公知のアーク処理を施し
て、MmNi3.2CoAl0.2Mn0.6で表される水素吸蔵合金を作
成する。次に、この水素吸蔵合金を粉砕した後、100メ
ッシュ、200メッシュ、300メッシュ、400メッシュ、500
メッシュのふるいで分級する。この際、各ふるいで得ら
れる水素吸蔵合金粉末の平均粒径は、それぞれ100μ
m、60μm、40μm、30μm、8μmである。次いで、
上記平均粒径8μmの水素吸蔵合金粉末95重量%に、結
着材としてPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)粉末5
重量%を添加し、これらを均一に混合することによりPT
FEを繊維化させ、更にこれに水を加えてペーストを作成
した。この後、このペーストを、ニッケルメッキを施し
たパンチグメタルから成る集電体の両面に圧着して第1
水素吸蔵合金層2を形成する。
しかる後、上記平均粒径100μmの水素吸蔵合金を用
いて上記と同様にペーストを作製し、前記第1水素吸蔵
合金層2上に重ねて圧着する。これにより、第1水素吸
蔵合金層2上に第2水素吸蔵合金層3を形成する。尚、
上記両合金層2・3を作成するに際して、平均粒径8μ
mの水素吸蔵合金のペーストと平均粒径100μmの水素
吸蔵合金のペーストとの割合は7:3としている。
いて上記と同様にペーストを作製し、前記第1水素吸蔵
合金層2上に重ねて圧着する。これにより、第1水素吸
蔵合金層2上に第2水素吸蔵合金層3を形成する。尚、
上記両合金層2・3を作成するに際して、平均粒径8μ
mの水素吸蔵合金のペーストと平均粒径100μmの水素
吸蔵合金のペーストとの割合は7:3としている。
次に、上記の如く作製した負極と公知の焼成式ニッケ
ル正極とを、耐アルカリ性のセパレータを介して惓回し
て渦巻電極体を作製した後、電池外装缶内に上記渦巻電
極体を挿入する。更に、電池外装缶内に電解液を注液し
た後、電池の封口を行う。これにより、公称容量1000mA
hの円筒密閉型ニッケル−水素アルカリ蓄電池が作製さ
れる。
ル正極とを、耐アルカリ性のセパレータを介して惓回し
て渦巻電極体を作製した後、電池外装缶内に上記渦巻電
極体を挿入する。更に、電池外装缶内に電解液を注液し
た後、電池の封口を行う。これにより、公称容量1000mA
hの円筒密閉型ニッケル−水素アルカリ蓄電池が作製さ
れる。
このようにして作製した電池を、以下(A)電池と称
する。
する。
平均粒径8μmの水素吸蔵合金のペーストのみを集電
体両面に圧着して負極を作製する他は、上記実施例と同
様にして電池を作製した。
体両面に圧着して負極を作製する他は、上記実施例と同
様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下(X1)電池と称
する。
する。
平均粒径100μmの水素吸蔵合金のペーストのみを集
電体両面に圧着して負極を作製する他は、上記実施例と
同様にして電池を作製した。
電体両面に圧着して負極を作製する他は、上記実施例と
同様にして電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下(X2)電池と称
する。
する。
平均粒径8μmの水素吸蔵合金と100μmの水素吸蔵
合金を7:3の割合で混合したペーストのみを集電体両面
に圧着して負極を作製する他は、上記実施例と同様にし
て電池を作製した。
合金を7:3の割合で混合したペーストのみを集電体両面
に圧着して負極を作製する他は、上記実施例と同様にし
て電池を作製した。
このようにして作製した電池を、以下(X3)電池と称
する。
する。
上記本発明の電極を用いた(A)電池及び比較例の電
極を用いた(X1)電池〜(X3)電池との放電容量と電池
内圧とサイクル寿命とを調べたので、その結果を下記第
1表に示す。
極を用いた(X1)電池〜(X3)電池との放電容量と電池
内圧とサイクル寿命とを調べたので、その結果を下記第
1表に示す。
尚、5サイクル目までの実験条件は、0.3Cの電流で5
時間充電した後、0.3Cの電流で電池電圧が1.0Vになるま
で放電するという条件で行った。下記第1表における5
サイクル目の放電容量は、放電電圧が1.0Vになるまでの
放電時間により計算している。
時間充電した後、0.3Cの電流で電池電圧が1.0Vになるま
で放電するという条件で行った。下記第1表における5
サイクル目の放電容量は、放電電圧が1.0Vになるまでの
放電時間により計算している。
また、6サイクル目の実験条件は、0.3Cで5時間充電
した後、5Cで電池電圧が1.0Vになるまで放電するという
条件である。下記第1表における6サイクル目の放電容
量は、放電電圧が1.0Vになるまでの放電時間により計算
している。
した後、5Cで電池電圧が1.0Vになるまで放電するという
条件である。下記第1表における6サイクル目の放電容
量は、放電電圧が1.0Vになるまでの放電時間により計算
している。
更に、7サイクル目以降は、1Cの電流で1.2時間充電
した後、1Cの電流で1.0Vまで放電するという条件であ
る。そして、初期容量(7サイクル目の放電容量)の50
%まで低下したときに電池寿命とした。
した後、1Cの電流で1.0Vまで放電するという条件であ
る。そして、初期容量(7サイクル目の放電容量)の50
%まで低下したときに電池寿命とした。
また、電池内圧の測定は、5サイクル目まで前記5サ
イクル目までの実験条件と同一の条件で充放電を行った
後、水中で電池缶を開孔してガス量を測定することによ
り行った。
イクル目までの実験条件と同一の条件で充放電を行った
後、水中で電池缶を開孔してガス量を測定することによ
り行った。
上記第1表に示すように、5サイクル目の放電(通常
の放電)における容量は、何れの電池も大差ないことが
認められる。しかし、6サイクル目の放電(高率放電)
における容量は、本発明の(A)電池と比較例の(X1)
電池とは大きい値を示しているが、比較例の(X2)電池
では小さい値となっていることが認められる。これは、
上述の如く放電反応は主に集電体付近で進行するが、
(A)電池と(X1)電池とは集電体付近に比表面積の大
きい微小粒径の水素吸蔵合金が位置しているため反応面
積が大きくなるのに対して、(X2)電池では、集電体付
近に比表面積の小さな大きな粒径の水素吸蔵合金が位置
しているため、反応面積が小さくなるということに起因
しているものと考えられる。尚、(X3)電池の高率放電
特性が上記(A)電池等に比べて悪いのは、(X3)電池
では比較的大きな粒径と非常に微小な粒径を単に混合し
ているだけであるので、集電体付近には微小な粒径の水
素吸蔵合金の他大きな粒径の水素吸蔵合金も位置してい
るということに起因する。したがって、集電体付近にの
み微小粒径の水素吸蔵合金を配置すれば、高率放電特性
が向上することが判る。
の放電)における容量は、何れの電池も大差ないことが
認められる。しかし、6サイクル目の放電(高率放電)
における容量は、本発明の(A)電池と比較例の(X1)
電池とは大きい値を示しているが、比較例の(X2)電池
では小さい値となっていることが認められる。これは、
上述の如く放電反応は主に集電体付近で進行するが、
(A)電池と(X1)電池とは集電体付近に比表面積の大
きい微小粒径の水素吸蔵合金が位置しているため反応面
積が大きくなるのに対して、(X2)電池では、集電体付
近に比表面積の小さな大きな粒径の水素吸蔵合金が位置
しているため、反応面積が小さくなるということに起因
しているものと考えられる。尚、(X3)電池の高率放電
特性が上記(A)電池等に比べて悪いのは、(X3)電池
では比較的大きな粒径と非常に微小な粒径を単に混合し
ているだけであるので、集電体付近には微小な粒径の水
素吸蔵合金の他大きな粒径の水素吸蔵合金も位置してい
るということに起因する。したがって、集電体付近にの
み微小粒径の水素吸蔵合金を配置すれば、高率放電特性
が向上することが判る。
一方、電池内圧については、本発明の(A)電池と比
較例の(X2)電池とは小さいが、比較例の(X1)電池で
は大きくなっていることが認められる。これは、上述の
如く過充電時の酸素ガス吸収反応は主に電極表面付近で
進行するが、(A)電池と(X2)電池とは電極表面付近
にガス吸収能力の高い大きな粒径の水素吸蔵合金が配置
されているのに対して、(X1)電池では電極表面付近に
ガス吸収能力の低い小さな粒径の水素吸蔵合金が配置さ
れているということに起因しているものと考えられる。
尚、(X3)電池の電池内圧が上記(A)電池等に比べて
大きいのは、(X3)電池では比較的大きな粒径と非常に
微小な粒径を単に混合しているだけであるので、電極表
面付近には大きな粒径の水素吸蔵合金の他微小な粒径の
水素吸蔵合金も位置しているということに起因する。し
たがって、電極表面付近にのみ大きな粒径の水素吸蔵合
金を配置すれば、電池内圧が低下することが判る。
較例の(X2)電池とは小さいが、比較例の(X1)電池で
は大きくなっていることが認められる。これは、上述の
如く過充電時の酸素ガス吸収反応は主に電極表面付近で
進行するが、(A)電池と(X2)電池とは電極表面付近
にガス吸収能力の高い大きな粒径の水素吸蔵合金が配置
されているのに対して、(X1)電池では電極表面付近に
ガス吸収能力の低い小さな粒径の水素吸蔵合金が配置さ
れているということに起因しているものと考えられる。
尚、(X3)電池の電池内圧が上記(A)電池等に比べて
大きいのは、(X3)電池では比較的大きな粒径と非常に
微小な粒径を単に混合しているだけであるので、電極表
面付近には大きな粒径の水素吸蔵合金の他微小な粒径の
水素吸蔵合金も位置しているということに起因する。し
たがって、電極表面付近にのみ大きな粒径の水素吸蔵合
金を配置すれば、電池内圧が低下することが判る。
次に、サイクル寿命については、(A)電池では500
サイクル以上にならないと電池寿命とならないのに対し
て、比較例の(X1)電池〜(X3)電池では全て400サイ
クル以下で電池寿命となっていることが認められる。こ
れは以下に示す理由によるものと考えられる。即ち、
(X1)電池及び(X3)電池では、ガス吸収力が低いた
め、安全弁が作動し、電解液が外部に放出される。ま
た、(X2)電池では、水素吸蔵合金の粒径が大きいた
め、集電体とペーストとの密着性が悪くなり、充放電サ
イクルを繰り返すにしたがって電極抵抗が増加する。こ
れに対して、(A)電池では電池ガス吸収力が高いため
安全弁の作動せず、電解液が外部へ放出されない。加え
て、集電体付近に小さい粒径合金を配置しているので、
集電体とペーストとの密着性が良くなるということに起
因するものと考えられる。
サイクル以上にならないと電池寿命とならないのに対し
て、比較例の(X1)電池〜(X3)電池では全て400サイ
クル以下で電池寿命となっていることが認められる。こ
れは以下に示す理由によるものと考えられる。即ち、
(X1)電池及び(X3)電池では、ガス吸収力が低いた
め、安全弁が作動し、電解液が外部に放出される。ま
た、(X2)電池では、水素吸蔵合金の粒径が大きいた
め、集電体とペーストとの密着性が悪くなり、充放電サ
イクルを繰り返すにしたがって電極抵抗が増加する。こ
れに対して、(A)電池では電池ガス吸収力が高いため
安全弁の作動せず、電解液が外部へ放出されない。加え
て、集電体付近に小さい粒径合金を配置しているので、
集電体とペーストとの密着性が良くなるということに起
因するものと考えられる。
これらの結果より、高率放電特性、サイクル特性電池
特性を総合的に勘案すると、(A)電池の如く負極を構
成することが良い。
特性を総合的に勘案すると、(A)電池の如く負極を構
成することが良い。
平均粒径10μm以下の水素吸蔵合金の比率を変化させ
て、合金の比率と高率放電容量及びサイクル寿命との関
係を調べたので、その結果を第2図に示す。
て、合金の比率と高率放電容量及びサイクル寿命との関
係を調べたので、その結果を第2図に示す。
第2図に示すように、平均粒径10μm以下の水素吸蔵
合金の比率が60%以上になると、高率放電容量が800mA
を超えるので、高率放電容量の面から見れば微小粒径の
合金の比率は60%以上であることが望ましい。
合金の比率が60%以上になると、高率放電容量が800mA
を超えるので、高率放電容量の面から見れば微小粒径の
合金の比率は60%以上であることが望ましい。
一方、平均粒径10μm以下の水素吸蔵合金の比率が20
%以上95%以下の場合にサイクル寿命が500サイクルを
超えるが、95%を超えると極端にサイクル寿命が低下す
る。
%以上95%以下の場合にサイクル寿命が500サイクルを
超えるが、95%を超えると極端にサイクル寿命が低下す
る。
以上のことを考慮すれば、平均粒径10μm以下の水素
吸蔵合金の比率は60〜95%〔即ち、比較的大きな粒径
(20〜100μm)の水素吸蔵合金の比率が5〜40%〕で
あることが望ましい。
吸蔵合金の比率は60〜95%〔即ち、比較的大きな粒径
(20〜100μm)の水素吸蔵合金の比率が5〜40%〕で
あることが望ましい。
変 形 例 上記実施例では、比較的大きな粒径の水素吸蔵合金と
して平均粒径100μmのものを用いたが、本変形例では
それぞれ平均粒径60μm、40μm、30μmのものを用
い、上記実施例と同様の実験を行った。その結果、上記
実施例と同様の効果を得られることを確認した。加え
て、それらの粒径のものを混合した場合であっても上記
実施例と同様の効果を得られることを確認した。
して平均粒径100μmのものを用いたが、本変形例では
それぞれ平均粒径60μm、40μm、30μmのものを用
い、上記実施例と同様の実験を行った。その結果、上記
実施例と同様の効果を得られることを確認した。加え
て、それらの粒径のものを混合した場合であっても上記
実施例と同様の効果を得られることを確認した。
但し、平均粒径が20μm未満のものを用いるとガス吸
収性能が低下する一方、平均粒径100μm以上のものを
用いると。したがって、電極表面付近の水素吸蔵合金の
平均粒径は、20〜100μmであることが望ましい。
収性能が低下する一方、平均粒径100μm以上のものを
用いると。したがって、電極表面付近の水素吸蔵合金の
平均粒径は、20〜100μmであることが望ましい。
発明の効果 以上説明したように本発明によれば、高率充放電特性
とサイクル特性とを共に向上させることができるという
効果を奏する。したがって、その工業的価値は極めて大
きい。
とサイクル特性とを共に向上させることができるという
効果を奏する。したがって、その工業的価値は極めて大
きい。
第1図は本発明の水素吸蔵合金電極の断面図、第2図は
集電体側に配置した平均粒径10μmの合金粉末の重量分
率と高率放電容量及びサイクル寿命との関係を示すグラ
フである。 1……集電体、2……第1水素吸蔵合金層、3……第2
水素吸蔵合金層。
集電体側に配置した平均粒径10μmの合金粉末の重量分
率と高率放電容量及びサイクル寿命との関係を示すグラ
フである。 1……集電体、2……第1水素吸蔵合金層、3……第2
水素吸蔵合金層。
フロントページの続き (72)発明者 富田 正仁 大阪府守口市京阪本通2丁目18番地 三 洋電機株式会社内 (56)参考文献 特開 昭52−26435(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01M 4/24
Claims (1)
- 【請求項1】水素を可逆的に吸蔵・放出できる水素吸蔵
合金粉末を含む水素吸蔵合金層が集電体の表面に形成さ
れたアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金電極において、 前記水素吸蔵合金層は、前記集電体の近傍に配置され粒
径の小さな水素吸蔵合金粉末から成る第1水素吸蔵合金
層と、電極の表面に配置され粒径の大きな水素吸蔵合金
粉末から成る第2水素吸蔵合金層とから成ることを特徴
とするアルカリ蓄電池用水素吸蔵合金電極。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1237864A JP2792938B2 (ja) | 1989-09-13 | 1989-09-13 | アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金電極 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1237864A JP2792938B2 (ja) | 1989-09-13 | 1989-09-13 | アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金電極 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03101055A JPH03101055A (ja) | 1991-04-25 |
JP2792938B2 true JP2792938B2 (ja) | 1998-09-03 |
Family
ID=17021551
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1237864A Expired - Fee Related JP2792938B2 (ja) | 1989-09-13 | 1989-09-13 | アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金電極 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2792938B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015008107A (ja) * | 2013-06-26 | 2015-01-15 | Fdkトワイセル株式会社 | ニッケル水素蓄電池 |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002017415A1 (fr) * | 2000-08-22 | 2002-02-28 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Batterie alcaline de stockage et electrode en alliage absorbant l'hydrogene utilisee dans ladite batterie |
JP2020198187A (ja) * | 2019-05-31 | 2020-12-10 | プライムアースEvエナジー株式会社 | 二次電池の製造方法及びニッケル水素二次電池 |
JP2021157880A (ja) * | 2020-03-25 | 2021-10-07 | Fdk株式会社 | 組電池 |
-
1989
- 1989-09-13 JP JP1237864A patent/JP2792938B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015008107A (ja) * | 2013-06-26 | 2015-01-15 | Fdkトワイセル株式会社 | ニッケル水素蓄電池 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03101055A (ja) | 1991-04-25 |
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