JP2790079B2 - 酸化物超電導回路 - Google Patents
酸化物超電導回路Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、段差部を有する絶縁体
と、これに接して形成された酸化物超電導体からなる超
電導薄膜とを含んで構成され、この段差部が超電導弱結
合部として機能する段差型ジョセフソン接合を含んだ酸
化物超電導回路の構成に関する。
と、これに接して形成された酸化物超電導体からなる超
電導薄膜とを含んで構成され、この段差部が超電導弱結
合部として機能する段差型ジョセフソン接合を含んだ酸
化物超電導回路の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、段差型ジョセフソン接合を用いた
応用については、アップライド フィズィックス レタ
ー 第60巻 1992年 第3048頁から第305
0頁(Applied Physics Letters 60 (1992) 3048-3050)
に記載されている。
応用については、アップライド フィズィックス レタ
ー 第60巻 1992年 第3048頁から第305
0頁(Applied Physics Letters 60 (1992) 3048-3050)
に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は段差型
ジョセフソン接合を用いてdc SQUID(Superconduct
ing Quantum Interference Device;超電導量子干渉素
子)を作製した例である。上記文献Fig.1に示されてい
るように、絶縁体としてSrTiO3またはLaAlO3絶縁
性基板を用い、その表面に凹部領域を形成している。凹
部領域の深さは0.3〜0.4μmであり、凹部領域とそ
うでない領域の境界は段差部となる。凹部領域は基板半
平面全体に亘って形成されているので段差部すなわち境
界は基板中央に一直線状に配置されている。段差高さは
凹部領域の深さ0.3〜0.4μmに一致する。この基板
上にYBa2Cu3Ox酸化物超電導体からなる超電導薄膜
が形成されている。膜厚は段差高さより低い150nm
である。この超電導薄膜は超電導線路を含んでおり、こ
の超電導線路は段差部を2箇所で乗り越えているが、凹
部領域を横断していない。これら超電導線路の段差部は
いずれも超電導弱結合部、すなわちジョセフソン接合と
して機能している。この従来例はジョセフソン接合を2
つ含む例であるが、2つ以上の多くのジョセフソン接合
を含んだ複雑な超電導回路を作製する試みはなされてい
ない。従って多数のジョセフソン接合を含む超電導回路
を実現する際の問題点が考察されていない。段差型ジョ
セフソン接合を含んだ超電導回路では、段差部は凹部領
域とそうでない領域の境界に形成されるため、元々任意
の位置にジョセフソン接合を配置することが困難である
という問題を有するが、さらに超電導薄膜が段差部を乗
り越える時に常にジョセフソン接合が形成されるため凹
部領域とそうでない領域をジョセフソン接合を含まない
超電導線路、すなわち超電導配線で接続することがむず
かしいという問題を有する。従って上記従来例のように
凹部領域を基板半平面全体という広い領域に亘って形成
すると複雑な超電導回路を作製する際、レイアウト設計
に大きな制約を加えることになる。
ジョセフソン接合を用いてdc SQUID(Superconduct
ing Quantum Interference Device;超電導量子干渉素
子)を作製した例である。上記文献Fig.1に示されてい
るように、絶縁体としてSrTiO3またはLaAlO3絶縁
性基板を用い、その表面に凹部領域を形成している。凹
部領域の深さは0.3〜0.4μmであり、凹部領域とそ
うでない領域の境界は段差部となる。凹部領域は基板半
平面全体に亘って形成されているので段差部すなわち境
界は基板中央に一直線状に配置されている。段差高さは
凹部領域の深さ0.3〜0.4μmに一致する。この基板
上にYBa2Cu3Ox酸化物超電導体からなる超電導薄膜
が形成されている。膜厚は段差高さより低い150nm
である。この超電導薄膜は超電導線路を含んでおり、こ
の超電導線路は段差部を2箇所で乗り越えているが、凹
部領域を横断していない。これら超電導線路の段差部は
いずれも超電導弱結合部、すなわちジョセフソン接合と
して機能している。この従来例はジョセフソン接合を2
つ含む例であるが、2つ以上の多くのジョセフソン接合
を含んだ複雑な超電導回路を作製する試みはなされてい
ない。従って多数のジョセフソン接合を含む超電導回路
を実現する際の問題点が考察されていない。段差型ジョ
セフソン接合を含んだ超電導回路では、段差部は凹部領
域とそうでない領域の境界に形成されるため、元々任意
の位置にジョセフソン接合を配置することが困難である
という問題を有するが、さらに超電導薄膜が段差部を乗
り越える時に常にジョセフソン接合が形成されるため凹
部領域とそうでない領域をジョセフソン接合を含まない
超電導線路、すなわち超電導配線で接続することがむず
かしいという問題を有する。従って上記従来例のように
凹部領域を基板半平面全体という広い領域に亘って形成
すると複雑な超電導回路を作製する際、レイアウト設計
に大きな制約を加えることになる。
【0004】この問題を解決するための方法の1つは、
凹部領域を比較的大きな面積としたまま、凹部領域とそ
うでない領域の境界である段差部を超電導弱結合として
ではなく、超電導配線として乗り越えることであり、こ
のためには以下の2つの手段が考えられる。
凹部領域を比較的大きな面積としたまま、凹部領域とそ
うでない領域の境界である段差部を超電導弱結合として
ではなく、超電導配線として乗り越えることであり、こ
のためには以下の2つの手段が考えられる。
【0005】第1の手段は、段差部を乗り越える超電導
薄膜の性質が、段差の高さ、段差の角度に依存すること
に注目する。すなわち、段差の高さが高く、角度が急峻
であるほどその超電導性は弱められ、超電導弱結合部が
形成され、従ってこの箇所はジョセフソン接合として機
能する。一方、2つの領域を超電導配線で接続するため
には、接合部の超電導性を強める必要がある。従って段
差部で分けられた凹部領域とそうでない領域の2つの領
域をある箇所ではジョセフソン接合として、またある箇
所では超電導配線として接続するためには、段差の高
さ、段差の角度を接続箇所によって変え、結合の強さを
調整すればよい。しかし、この手段では段差作製のため
に多数の工程を要してしまう。
薄膜の性質が、段差の高さ、段差の角度に依存すること
に注目する。すなわち、段差の高さが高く、角度が急峻
であるほどその超電導性は弱められ、超電導弱結合部が
形成され、従ってこの箇所はジョセフソン接合として機
能する。一方、2つの領域を超電導配線で接続するため
には、接合部の超電導性を強める必要がある。従って段
差部で分けられた凹部領域とそうでない領域の2つの領
域をある箇所ではジョセフソン接合として、またある箇
所では超電導配線として接続するためには、段差の高
さ、段差の角度を接続箇所によって変え、結合の強さを
調整すればよい。しかし、この手段では段差作製のため
に多数の工程を要してしまう。
【0006】第2の手段は、接続の配線幅を広くし、最
大超電導電流値を他のジョセフソン接合部よりも大きく
し、これより弱結合特性が現れないようにすることであ
る。しかし、この手段では、配線の占める面積が大きく
なり、集積性が損なわれるという問題が生じる。
大超電導電流値を他のジョセフソン接合部よりも大きく
し、これより弱結合特性が現れないようにすることであ
る。しかし、この手段では、配線の占める面積が大きく
なり、集積性が損なわれるという問題が生じる。
【0007】本発明の第1の目的は、レイアウト設計上
の制約を緩和し、かつ工程数や集積性を著しく損なわず
に、多数の段差型ジョセフソン接合を含んだ複雑な酸化
物超電導回路を実現することにある。
の制約を緩和し、かつ工程数や集積性を著しく損なわず
に、多数の段差型ジョセフソン接合を含んだ複雑な酸化
物超電導回路を実現することにある。
【0008】本発明の第2の目的は、良好な素子特性を
実現することにある。
実現することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の酸化物超電導回路は、基板上に形成された
絶縁性薄膜または絶縁性基板自体からなる絶縁体と、該
絶縁体に接して形成された酸化物超電導体からなる超電
導薄膜とを少なくとも含んで構成され、該絶縁体は表面
に少なくとも1つ以上の凹部領域を含み、該超電導薄膜
は少なくとも1つ以上の超電導線路を含み、かつ該超電
導線路は該凹部領域とそうでない領域の境界と2箇所以
上で交わり、該超電導線路は該凹部領域を横断して2つ
以上の領域に分割していることを特徴とするものであ
る。
に、本発明の酸化物超電導回路は、基板上に形成された
絶縁性薄膜または絶縁性基板自体からなる絶縁体と、該
絶縁体に接して形成された酸化物超電導体からなる超電
導薄膜とを少なくとも含んで構成され、該絶縁体は表面
に少なくとも1つ以上の凹部領域を含み、該超電導薄膜
は少なくとも1つ以上の超電導線路を含み、かつ該超電
導線路は該凹部領域とそうでない領域の境界と2箇所以
上で交わり、該超電導線路は該凹部領域を横断して2つ
以上の領域に分割していることを特徴とするものであ
る。
【0010】さらにまた、上記課題を解決するために、
本発明の酸化物超電導回路は、上記凹部領域の深さは1
μm以下、かつ該凹部領域と上記超電導線路の交わりは
該超電導線路に沿って長さ2μm以下であることを特徴
とするものである。
本発明の酸化物超電導回路は、上記凹部領域の深さは1
μm以下、かつ該凹部領域と上記超電導線路の交わりは
該超電導線路に沿って長さ2μm以下であることを特徴
とするものである。
【0011】
【作用】段差部を境界として絶縁体表面は凹部領域とそ
うでない領域に分けられる。超電導線路はこの境界と2
箇所以上で交わり、この凹部領域を横断して凹部領域を
2つ以上の領域に分割している。すると、この交点はジ
ョセフソン接合となるので、超電導線路に沿ってジョセ
フソン接合の直列接続体が形成されることになる。ジョ
セフソン接合の直列接続体は特性値のバラツキを増大さ
せる要因となり、必ずしも望ましくはないが、出力電圧
を直列接続の数だけ倍増させる以外に、特に素子動作に
影響を及ぼすことはない。従って、この凹部領域の面積
を十分小さくして、絶縁体の表面の所望の位置に配置
し、ジョセフソン接合を形成したい超電導線路は、この
凹部領域を横断し、凹部領域を2つ以上の領域に分割す
るように配置し、超電導配線を形成したい超電導線路
は、この凹部領域を横断しないように迂回して配置すれ
ば、レイアウト設計に何らの制約も加えずに、ジョセフ
ソン接合と超電導配線を同時に得られることになる。但
し、たとえ絶縁体表面に凹部領域を形成し、超電導線路
をこの凹部領域と交わるように形成したとしても、この
超電導線路がこの凹部領域を2つ以上の領域に分割しな
ければ、超電導線路の幅を横切ってジョセフソン接合は
形成されない。従って、ジョセフソン接合を形成する超
電導線路は、凹部領域を2つ以上の領域に分割すること
が必要である。また本発明の回路を作製する工程数は上
記従来例より何ら増加することはない。さらに、凹部領
域の面積を十分小さくすれば集積性を著しく損なうこと
もない。従って、これよりレイアウト設計上の制約を緩
和し、かつ工程数や集積性を著しく損なわずに、多数の
段差型ジョセフソン接合を含んだ複雑な酸化物超電導回
路を実現でき、上記本発明の第1の目的を達成できるこ
とになる。
うでない領域に分けられる。超電導線路はこの境界と2
箇所以上で交わり、この凹部領域を横断して凹部領域を
2つ以上の領域に分割している。すると、この交点はジ
ョセフソン接合となるので、超電導線路に沿ってジョセ
フソン接合の直列接続体が形成されることになる。ジョ
セフソン接合の直列接続体は特性値のバラツキを増大さ
せる要因となり、必ずしも望ましくはないが、出力電圧
を直列接続の数だけ倍増させる以外に、特に素子動作に
影響を及ぼすことはない。従って、この凹部領域の面積
を十分小さくして、絶縁体の表面の所望の位置に配置
し、ジョセフソン接合を形成したい超電導線路は、この
凹部領域を横断し、凹部領域を2つ以上の領域に分割す
るように配置し、超電導配線を形成したい超電導線路
は、この凹部領域を横断しないように迂回して配置すれ
ば、レイアウト設計に何らの制約も加えずに、ジョセフ
ソン接合と超電導配線を同時に得られることになる。但
し、たとえ絶縁体表面に凹部領域を形成し、超電導線路
をこの凹部領域と交わるように形成したとしても、この
超電導線路がこの凹部領域を2つ以上の領域に分割しな
ければ、超電導線路の幅を横切ってジョセフソン接合は
形成されない。従って、ジョセフソン接合を形成する超
電導線路は、凹部領域を2つ以上の領域に分割すること
が必要である。また本発明の回路を作製する工程数は上
記従来例より何ら増加することはない。さらに、凹部領
域の面積を十分小さくすれば集積性を著しく損なうこと
もない。従って、これよりレイアウト設計上の制約を緩
和し、かつ工程数や集積性を著しく損なわずに、多数の
段差型ジョセフソン接合を含んだ複雑な酸化物超電導回
路を実現でき、上記本発明の第1の目的を達成できるこ
とになる。
【0012】凹部領域の面積を小さくすることは、集積
性を向上させるために有効であるが、さらに良好な素子
特性を実現するという効果ももたらす。すなわち、段差
型ジョセフソン接合では、絶縁体は上面、下面及び有限
の角度で形成された段差の斜面からなり、さらに酸化物
超電導体からなる超電導薄膜がこの絶縁体に接して形成
されるが、この超電導薄膜の配向軸は段差の上面と下面
では同じであるが、段差の斜面ではこれと異なる。従っ
て、段差の上端および下端では配向軸が異なることによ
り粒界が形成され、これがジョセフソン接合となる。こ
のため、凹部領域の面積が大きく、凹部領域と超電導線
路の交わる領域の長さが十分長い場合には、超電導線路
と上記閉ループの交点2箇所それぞれにおいて、段差の
上端および下端に粒界が形成され、ジョセフソン接合の
直列接続体が形成されることになる。一方、段差の角度
を90°未満として、凹部領域の面積を十分小さくし、
凹部領域と超電導線路の交わる領域の超電導線路の進行
方向に沿った長さを十分短くすれば、段差の斜面が近接
して対向し、下面は近似的に無視することができる。こ
の時、上面と斜面のみ存在することになるので、粒界は
近接して対向した2つの斜面の上端に形成され、直列接
続ではない単一のジョセフソン接合が得られることにな
る。実際、この凹部領域と超電導線路の交わる領域の超
電導線路の進行方向に沿った長さを2μm以下とし、凹
部領域の深さを1μm以下とすればこの構造を実現する
ことができる。これより直列接続体ではなく単一のジョ
セフソン接合が得られ、特性値のバラツキが抑えられ、
従って、良好な素子特性を実現できるので、上記本発明
の第2の目的を達成できることになる。
性を向上させるために有効であるが、さらに良好な素子
特性を実現するという効果ももたらす。すなわち、段差
型ジョセフソン接合では、絶縁体は上面、下面及び有限
の角度で形成された段差の斜面からなり、さらに酸化物
超電導体からなる超電導薄膜がこの絶縁体に接して形成
されるが、この超電導薄膜の配向軸は段差の上面と下面
では同じであるが、段差の斜面ではこれと異なる。従っ
て、段差の上端および下端では配向軸が異なることによ
り粒界が形成され、これがジョセフソン接合となる。こ
のため、凹部領域の面積が大きく、凹部領域と超電導線
路の交わる領域の長さが十分長い場合には、超電導線路
と上記閉ループの交点2箇所それぞれにおいて、段差の
上端および下端に粒界が形成され、ジョセフソン接合の
直列接続体が形成されることになる。一方、段差の角度
を90°未満として、凹部領域の面積を十分小さくし、
凹部領域と超電導線路の交わる領域の超電導線路の進行
方向に沿った長さを十分短くすれば、段差の斜面が近接
して対向し、下面は近似的に無視することができる。こ
の時、上面と斜面のみ存在することになるので、粒界は
近接して対向した2つの斜面の上端に形成され、直列接
続ではない単一のジョセフソン接合が得られることにな
る。実際、この凹部領域と超電導線路の交わる領域の超
電導線路の進行方向に沿った長さを2μm以下とし、凹
部領域の深さを1μm以下とすればこの構造を実現する
ことができる。これより直列接続体ではなく単一のジョ
セフソン接合が得られ、特性値のバラツキが抑えられ、
従って、良好な素子特性を実現できるので、上記本発明
の第2の目的を達成できることになる。
【0013】
【実施例】本発明の内容を以下実施例を用いて詳細に説
明する。図1及び図2を用いて第1の実施例を説明す
る。本実施例は、酸化物超電導回路としてQFP(Quant
um Flux Parametron;量子磁束パラメトロン)を作製し
た例である。
明する。図1及び図2を用いて第1の実施例を説明す
る。本実施例は、酸化物超電導回路としてQFP(Quant
um Flux Parametron;量子磁束パラメトロン)を作製し
た例である。
【0014】図1はQFPのレイアウト図である。但し
励振線を省略して記述している。(100)SrTiO3基
板からなる絶縁体1の表面に長方形ABCDの凹部領域
2を形成した。凹部領域の深さ、すなわち段差の高さは
h=0.3μm、線分AB、線分DCの長さは共に1μ
m、線分AD、線分BCの長さは共に8μmである。段
差は通常の有機レジスト、光リソグラフィ、Arイオン
ビームエッチングを用いて作製した。
励振線を省略して記述している。(100)SrTiO3基
板からなる絶縁体1の表面に長方形ABCDの凹部領域
2を形成した。凹部領域の深さ、すなわち段差の高さは
h=0.3μm、線分AB、線分DCの長さは共に1μ
m、線分AD、線分BCの長さは共に8μmである。段
差は通常の有機レジスト、光リソグラフィ、Arイオン
ビームエッチングを用いて作製した。
【0015】この絶縁体1の上に酸化物超電導体YBa2
Cu3Oxからなり、膜厚0.2μmの超電導薄膜を形成し
た。さらにエッチング加工により図1に示した超電導線
路3を形成した。凹部領域とそうでない領域の境界、す
なわち長方形ABCDの周囲は段差が形成されており、
超電導線路4はこの境界と交点5、6の2箇所で、超電
導線路7は交点8、9の2箇所で交わる。従って、2つ
の超電導線路4、7はいずれも凹部領域2を横断してお
り、凹部領域2を3つの領域に分割している。従って交
点5、6、8、9では、ジョセフソン接合が超電導線路
の幅を横切って形成される。図1におけるX−X'の断
面図を図2に示す。図2において超電導薄膜のc面は任
意の位置で紙面に直交しているので、c面と紙面の交線
を図2に示したが、c面は段差の上面と下面ではいずれ
も基板表面に平行であり、同じ配向軸であるが、段差の
斜面ではc面は基板表面に直交し、配向軸は異なる。従
って、段差の上端および下端で配向軸が異なり粒界が形
成され、これがジョセフソン接合となる。従って、超電
導線路4では交点5、6で2つのジョセフソン接合の直
列接続体が形成されることになる。同様に超電導線路7
では交点8、9で2つのジョセフソン接合の直列接続体
が形成されることになる。一方、超電導線路10は凹部
領域2と交わらず、迂回して配置されているのでジョセ
フソン接合は形成されず、超電導配線として機能するこ
とになる。従って、これよりレイアウト設計に何らの制
約も加えずに、ジョセフソン接合と超電導配線を同時に
得られることになり、工程数や集積性を著しく損なわず
に、多数の段差型ジョセフソン接合を含んだ複雑な酸化
物超電導回路であるQFPを実現できることになる。
Cu3Oxからなり、膜厚0.2μmの超電導薄膜を形成し
た。さらにエッチング加工により図1に示した超電導線
路3を形成した。凹部領域とそうでない領域の境界、す
なわち長方形ABCDの周囲は段差が形成されており、
超電導線路4はこの境界と交点5、6の2箇所で、超電
導線路7は交点8、9の2箇所で交わる。従って、2つ
の超電導線路4、7はいずれも凹部領域2を横断してお
り、凹部領域2を3つの領域に分割している。従って交
点5、6、8、9では、ジョセフソン接合が超電導線路
の幅を横切って形成される。図1におけるX−X'の断
面図を図2に示す。図2において超電導薄膜のc面は任
意の位置で紙面に直交しているので、c面と紙面の交線
を図2に示したが、c面は段差の上面と下面ではいずれ
も基板表面に平行であり、同じ配向軸であるが、段差の
斜面ではc面は基板表面に直交し、配向軸は異なる。従
って、段差の上端および下端で配向軸が異なり粒界が形
成され、これがジョセフソン接合となる。従って、超電
導線路4では交点5、6で2つのジョセフソン接合の直
列接続体が形成されることになる。同様に超電導線路7
では交点8、9で2つのジョセフソン接合の直列接続体
が形成されることになる。一方、超電導線路10は凹部
領域2と交わらず、迂回して配置されているのでジョセ
フソン接合は形成されず、超電導配線として機能するこ
とになる。従って、これよりレイアウト設計に何らの制
約も加えずに、ジョセフソン接合と超電導配線を同時に
得られることになり、工程数や集積性を著しく損なわず
に、多数の段差型ジョセフソン接合を含んだ複雑な酸化
物超電導回路であるQFPを実現できることになる。
【0016】次に図3を用いて第2の実施例を説明す
る。本実施例は、単一のジョセフソン接合を作製した例
である。本発明の第1の実施例と同様にして、(100)
SrTiO3基板からなる絶縁体1の表面に長方形ABC
Dの凹部領域2を形成した。凹部領域の深さ、すなわち
段差の高さはh=0.26μm、段差の角度はα=60
°とした。長方形ABCDについては種々の大きさを検
討した。図3(a)、(b)、(c)は、凹部領域と超電導線
路の交わりの超電導線路に沿っての長さ、すなわち線分
AB、線分DCの長さを順に0.9μm、0.6μm、
0.3μmとした時の断面構造である。図3(a)、(b)
では、対向する2つの段差の上端、下端にそれぞれ粒界
が形成されている。そこで、さらに凹部領域の面積を小
さくし、凹部領域と超電導線路の交わる領域の超電導線
路の進行方向に沿った長さを短くし、対向する段差の斜
面を近接させると、図3(c)のように下面は近似的に無
視することができる。この時、上面と斜面のみ存在する
ことになるので、粒界は近接して対向した2つの斜面の
上端に形成され、直列接続ではない単一のジョセフソン
接合が得られることになる。本実施例では段差の角度α
=60°、段差の高さh=0.26μmとし、この時、
凹部領域と超電導線路の交わりの超電導線路に沿っての
長さが0.3μmであれば、単一のジョセフソン接合が
得られた。しかし本実施例の条件に限らず、粒界を形成
するためには段差の角度αは45°以上であれば十分で
あり、さらに通常、酸化物超電導体YBa2Cu3Oxから
なる超電導薄膜の膜厚は0.5μm以下であり、段差の
高さすなわち凹部領域の深さはその2倍以下、すなわち
1μm以下が適当であることを考慮すれば、本実施例の
結果より、凹部領域と超電導線路の交わりの超電導線路
に沿っての長さを2μm以下とすれば、良好な素子特性
を示す単一のジョセフソン接合が得られることになる。
る。本実施例は、単一のジョセフソン接合を作製した例
である。本発明の第1の実施例と同様にして、(100)
SrTiO3基板からなる絶縁体1の表面に長方形ABC
Dの凹部領域2を形成した。凹部領域の深さ、すなわち
段差の高さはh=0.26μm、段差の角度はα=60
°とした。長方形ABCDについては種々の大きさを検
討した。図3(a)、(b)、(c)は、凹部領域と超電導線
路の交わりの超電導線路に沿っての長さ、すなわち線分
AB、線分DCの長さを順に0.9μm、0.6μm、
0.3μmとした時の断面構造である。図3(a)、(b)
では、対向する2つの段差の上端、下端にそれぞれ粒界
が形成されている。そこで、さらに凹部領域の面積を小
さくし、凹部領域と超電導線路の交わる領域の超電導線
路の進行方向に沿った長さを短くし、対向する段差の斜
面を近接させると、図3(c)のように下面は近似的に無
視することができる。この時、上面と斜面のみ存在する
ことになるので、粒界は近接して対向した2つの斜面の
上端に形成され、直列接続ではない単一のジョセフソン
接合が得られることになる。本実施例では段差の角度α
=60°、段差の高さh=0.26μmとし、この時、
凹部領域と超電導線路の交わりの超電導線路に沿っての
長さが0.3μmであれば、単一のジョセフソン接合が
得られた。しかし本実施例の条件に限らず、粒界を形成
するためには段差の角度αは45°以上であれば十分で
あり、さらに通常、酸化物超電導体YBa2Cu3Oxから
なる超電導薄膜の膜厚は0.5μm以下であり、段差の
高さすなわち凹部領域の深さはその2倍以下、すなわち
1μm以下が適当であることを考慮すれば、本実施例の
結果より、凹部領域と超電導線路の交わりの超電導線路
に沿っての長さを2μm以下とすれば、良好な素子特性
を示す単一のジョセフソン接合が得られることになる。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように本発明の段差型ジョ
セフソン接合を含んだ酸化物超電導回路では、絶縁体表
面に形成された凹部領域を超電導線路が横断することに
よりジョセフソン接合が形成されるので、レイアウト設
計に何らの制約も加えずに、ジョセフソン接合と超電導
配線が同時に得られ、これより工程数や集積性を著しく
損なわずに、多数の良好な素子特性の段差型ジョセフソ
ン接合を含んだ複雑な酸化物超電導回路を実現できるこ
とになる。
セフソン接合を含んだ酸化物超電導回路では、絶縁体表
面に形成された凹部領域を超電導線路が横断することに
よりジョセフソン接合が形成されるので、レイアウト設
計に何らの制約も加えずに、ジョセフソン接合と超電導
配線が同時に得られ、これより工程数や集積性を著しく
損なわずに、多数の良好な素子特性の段差型ジョセフソ
ン接合を含んだ複雑な酸化物超電導回路を実現できるこ
とになる。
【図1】本発明の第1の実施例の酸化物超電導回路,Q
FPのレイアウト図。
FPのレイアウト図。
【図2】本発明の第1の実施例の断面構造の図。
【図3】本発明の第2の実施例の断面構造の図。
1・・・絶縁体、2・・・凹部領域、3、4、7、10
・・・超電導線路、5、6、8、9・・・交点。
・・・超電導線路、5、6、8、9・・・交点。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 樺沢 宇紀 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 深沢 徳海 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 高木 一正 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (56)参考文献 特開 平1−211985(JP,A) 特開 平2−211679(JP,A) 特開 平3−35570(JP,A) 特開 平3−228381(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 39/00 ZAA H01L 39/22 ZAA H01L 39/24 ZAA G01R 33/035 ZAA
Claims (1)
- 【請求項1】基板上に形成された絶縁性薄膜または絶縁
性基板自体からなる絶縁体と、該絶縁体に接して形成さ
れた酸化物超電導体からなる超電導薄膜とを少なくとも
含んで構成される酸化物超電導回路において、該絶縁体
は表面に少なくとも1つ以上の凹部領域を含み、該超電
導薄膜は少なくとも1つ以上の超電導線路を含み、かつ
該超電導線路は該凹部領域とそうでない領域の境界と2
箇所以上で交わり、該超電導線路は該凹部領域を横断し
て2つ以上の領域に分割し、該凹部領域の深さは1μm
以下、かつ該凹部領域と該超電導線路の交わりは該超電
導線路に沿って長さ2μm以下であり、該超電導線路の
c面が凹部領域の斜面で該基板の表面に垂直であり凹部
領域でない領域で該基板の表面に平行であり、該超電導
線路が該凹部領域を横断する横断部で単一のジョセフソ
ン結合を有することを特徴とする酸化物超電導回路。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7149982A JP2790079B2 (ja) | 1995-06-16 | 1995-06-16 | 酸化物超電導回路 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7149982A JP2790079B2 (ja) | 1995-06-16 | 1995-06-16 | 酸化物超電導回路 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH098370A JPH098370A (ja) | 1997-01-10 |
JP2790079B2 true JP2790079B2 (ja) | 1998-08-27 |
Family
ID=15486887
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7149982A Expired - Fee Related JP2790079B2 (ja) | 1995-06-16 | 1995-06-16 | 酸化物超電導回路 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2790079B2 (ja) |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH01161786A (ja) * | 1987-12-18 | 1989-06-26 | Toshiba Corp | 超電導素子 |
JPH07120822B2 (ja) * | 1988-02-18 | 1995-12-20 | 日本電気株式会社 | ジョセフソン素子の製造方法 |
JPH02211679A (ja) * | 1989-02-10 | 1990-08-22 | Semiconductor Energy Lab Co Ltd | 酸化物超伝導体薄膜作製用基板 |
JPH0335570A (ja) * | 1989-06-30 | 1991-02-15 | Mitsubishi Electric Corp | 準平面型ジョセフソン接合 |
JPH07101759B2 (ja) * | 1990-02-02 | 1995-11-01 | 株式会社日立製作所 | 超電導素子 |
-
1995
- 1995-06-16 JP JP7149982A patent/JP2790079B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH098370A (ja) | 1997-01-10 |
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