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JP2761768B2 - Nadhの定量法及びそれを用いた胆汁酸の定量法 - Google Patents

Nadhの定量法及びそれを用いた胆汁酸の定量法

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JP2761768B2
JP2761768B2 JP26113989A JP26113989A JP2761768B2 JP 2761768 B2 JP2761768 B2 JP 2761768B2 JP 26113989 A JP26113989 A JP 26113989A JP 26113989 A JP26113989 A JP 26113989A JP 2761768 B2 JP2761768 B2 JP 2761768B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はNADHの定量法及びそれを用いた胆汁酸の定量
法に関する。さらに詳細には、主として臨床検査の分野
で利用することを目的とするNADHの定量法及びこの反応
系を組合わせた胆汁酸の定量法に関する。
[従来の技術] 従来、臨床検査の分野などでは、NAD+とNADH間の酸化
還元反応を伴う反応を利用し、該酸化還元反応に関与す
る被検物質(例えば、脱水素酵素やその基質等)を測定
する方法が汎用されている。このような例としては、乳
酸脱水素酵素や胆汁酸の定量が挙げられる。前者は、乳
酸とNAD+とを乳酸脱水素酵素の存在下に反応させてピル
ビン酸とNADHを生成させ、生成したNADHを定量すること
により乳酸脱水素酵素の活性を定量するものである。ま
た後者は、3α−ヒドロキシステロイド・デヒドロゲナ
ーゼ(以下、3α−HSDという)の存在下にその基質で
ある胆汁酸とNAD+とを反応させ、生成するNADHを測定す
ることにより胆汁酸を定量するものである。
さらに、臨床検査等においては、前記の酸化還元反応
に、一又は二以上の別の反応を共役させた組合せ系を形
成させ、最終的にNADH量として、その別の反応に関与す
る酵素や基質を測定することも多く行われている。その
ような代表的な例を示すと、酵素の例としてはGOT、GPT
の定量を、基質の例としてはグルコース(血糖)の定量
を挙げることができる。
このように、臨床検査の分野では、NADHの生成量を定
量することにより、目的の酵素や基質の測定を行なうこ
とが広く用いられており、従来、NADHの定量には、次の
2つの方法がよく知られている。
波長340nmにおけるNADHの吸光度を測定する方法:こ
の方法は、NAD+は波長340nmには吸収がなく、還元型のN
ADHは吸収をもつため、波長340nmの吸光度の変化を測定
することにより、NADH量を定量するものである。
NADHとテトラゾリウム塩化合物を共役反応させ、生成
するホルマザンを測定する方法:この方法は、ジアホラ
ーゼの存在下にNADHでテトラゾリウム塩化合物を還元
し、生成した色素ホルマザンを比色定量するものであ
る。
なお、この他にも螢光を測定する方法もあるが、螢光
光度計は臨床検査の分野ではあまり普及していないので
一般的ではない。
また、本発明の定量法の一つの測定対象である胆汁酸
(3α−ヒドロキシ胆汁酸)は胆汁の生成分の一部で、
脂質の腸管からの吸収を促進させる作用を有する。胆汁
酸は、通常は閉鎖的な回路で循環し肝細胞で処理されて
いるため、血中濃度は極めて低いが、肝・胆道系の疾患
時には胆汁酸の取り込み、処理等に機能障害が生じて血
中濃度が上昇する。血中胆汁酸濃度は、肝・胆道疾患を
特異的且つ鋭敏に反映するので、肝・胆道疾患の診断に
有用である。
この胆汁酸の定量法としては、種々の方法が提案され
ているが、例えば、3α−HSDの存在下に胆汁酸とNAD+
とを反応させ、生成したNADHにジアホラーゼの存在下で
テトラゾリウム塩を作用させ、生成したホルマザン色素
を定量する方法(特公昭59−13197号公報)が知られて
いる。
[発明が解決しようとする課題] 前記のNADHの定量法のうち、の波長340nmにおけるN
ADHの吸光度を測定する方法は簡便ではあるが、NADHの
分子吸光係数(6.2×103M-1・cm-1)が小さいので感度
が低いという問題がある。特に胆汁酸の測定においては
微量なレベルの測定が要求されるため、この方法では高
精度な測定はできない。
また、のホルマザンを測定する方法は、上記の方
法よりも高感度であるが、テトラゾリウム塩が試料(血
清)中の還元性物質の影響を受けて正の誤差を与える場
合があること;及び生成された色素であるホルマザンが
水に不溶なため、通常は界面活性剤で分散させるが、そ
れでも時間の経過にともない測定装置のキュベット(セ
ル)に該色素が吸着し、測定精度の低下をもたらすとい
う問題がある。このため、前記公報記載の生成ホルマザ
ンを測定する胆汁酸の定量法においても同様な問題が生
ずる。
本発明は、上記のような従来技術の欠点を解消するた
めに創案されたもので、高感度、とりわけ胆汁酸の測定
のように微量レベルの測定にも適用可能なNADHの定量法
及びそれを用いた胆汁酸の定量法を提供することを目的
とする。
[課題を解決するための手段、作用] 上記の目的を達成するためになされた本発明のNADHの
定量法は、試料中のNADHと酸化型グルタチオンとをグル
タチオン・リダクターゼ(以下、GRという)の存在下に
反応させてNAD+と還元型グルタチオンを生成させ、生成
した還元型グルタチオンとジスルフィド型チオール定量
試薬とを反応させ、該反応により生成したチオール化合
物を測定することによりNADHを定量するか(以下、グル
タチオン共役法という)、又はNADHとL−シスチンとを
シスチン・リダクターゼ(以下、CRという)の存在下に
反応させてNAD+とL−システインを生成させ、生成した
L−システインとジスルフィド型チオール定量試薬とを
反応させ、該反応により生成したチオール化合物を測定
することによりNADHを定量するものである(以下、シス
チン共役法という)。
また、本発明の胆汁酸の定量法は、胆汁酸とNAD+とを
3α−ヒドロキシステロイド・デヒドロゲナーゼの存在
下に反応させ、生成したNADHを上記のグルタチオン共役
法又はシスチン共役法により定量するものである。
上記のグルタチオン共役法又はシスチン共役法に使用
されるジスルフィド型チオール定量試薬としては、分子
内に電子吸引基(例えば、ニトロ基、カルボキシ基、シ
アノ基、環内窒素原子等)を有する芳香族ジスルフィド
化合物が挙げられ、より具体的には、5,5′−ジチオビ
ス(2−ニトロ安息香酸)(以下、DTNBという)、4,
4′−ジピリジルジスルフィド、2,2′−ジピリジルジス
ルフィド等が例示される。これらのジスルフィド型チオ
ール定量試薬は、還元型グルタチオン又はL−システイ
ンにより化学量論的に還元され、チオール化合物を生成
する。該チオール化合物は、キノイド型又はチオピリド
ン型に異性化し、紫外〜可視部に強い吸収を有するの
で、吸光度を測定することにより還元型グルタチオン又
はL−システインを定量することができる。上記のジス
ルフィド型チオール定量試薬のうち、特にDTNBを用いる
のが好ましい。DTNBは還元されて5−チオ−2−ニトロ
−安息香酸(以下、TNBという)を生成し、該チオール
化合物はキノイド型に異性化し、波長412nm付近に強い
吸収を有するため、臨床検査の分野で血清などの試料を
分析する際の測定波長の点から有利である。
前記のグルタチオン共役法及びシスチン共役法はそれ
ぞれ下記の反応式−1及び2で表される。
反応式−1 反応式−2 上記反応式−1で示されるグルタチオン共役法は、酵
素GR(EC1.6.4.2)の存在下、NADHと酸化型グルタチオ
ンとが反応してNAD+と還元型グルタチオンに変換される
反応系に、さらにジスルフィド型チオール定量試薬がチ
オール化合物に変換させる反応系を共役させ、生成した
チオール化合物を測定することにより、NADHを定量する
ものである。本方法をより具体的に説明すると、NADHを
含有する試料液に、酸化型グルタチオン、GR及びジスル
フィド型チオール定量試薬を含む緩衝液(pH5.5〜8程
度、好ましくはpH約7)を添加し、室温ないし加温下で
所定時間(5〜20分間程度、通常10分間程度)反応さ
せ、生成するチオール化合物を測定することにより行わ
れる。生成したチオール化合物の測定は適宜な方法で行
なうことができるが、該チオール化合物の特性波長(通
常300〜450nm)における吸光度を測定する方法が簡便で
好ましく、得られた吸光度より、分子吸光係数に基づき
又は標準試料を用いて予め作成した検量線に基づき、試
料中のNADH量を算出することができる。
上記の方法において、試料中のNADH含量としては3mM
程度以下、好ましくは1.5mM程度以下に調整するのがよ
い。
緩衝液としては、例えば、リン酸緩衝液、トリス緩衝
液等が例示される。緩衝液に含有される酸化型グルタチ
オンの濃度としては0.3〜3.0mM程度、好ましくは1mM程
度とされ、ジスルフィド型チオール定量試薬の濃度とし
ては0.5〜5mM程度、好ましくは1mM程度とされる。またG
Rの濃度としては1〜20単位/ml、好ましくは10単位/ml
程度とされる。なお、還元型グルタチオン及び反応生成
物であるチオール化合物の自動酸化を防止するため、該
緩衝液にはEDTAを添加するのが好ましく、EDTAの濃度と
しては1mM〜0.1M程度とすればよい。また自動酸化の防
止はEDTAとα,α′−ジピリジルを共存させることによ
っても行なうことができる。
前記反応式−2で示されるシスチン共役法は、酵素CR
(EC1.6.4.1)の存在下、NADHとL−シスチンとが反応
してNAD+とL−システインとに変換される反応系に、さ
らにジスルフィド型チオール定量試薬がチオール化合物
に変換される反応系を共役させ、生成したチオール化合
物を測定することにより、NADHを定量するものである。
本方法をより具体的に説明すると、NADHを含有する試料
液に、L−シスチン、CR及びジスルフィド型チオール定
量試薬を含む緩衝液(pH5.5〜8程度、好ましくはpH約
7)を添加し、室温ないし加温下に所定時間(5〜20分
間程度、通常10分間程度)反応させ、生成するチオール
化合物を測定することにより行われる。生成したチオー
ル化合物の測定及びNADH量の算出は、上記グルタチオン
共役法と同様にして行なうことができる。
上記の方法において、試料中のNADH含量、緩衝液の種
類、L−シスチンの濃度、酵素CRの濃度、ジスルフィド
型チオール定量試薬の濃度等は上記グルタチオン共役法
と略同様である。
本発明のNADHの定量法は、高感度であると共に試料中
の還元性夾雑物質等の影響を受けないため、NADHの定量
を介して酵素活性や基質量を定量する種々の方法の何れ
にも適用することができる。
また、本発明の他の目的は、上記グルタチオン共役法
又はシスチン共役法を用いて、血清、尿、胆汁等に含有
される胆汁酸の定量法を提供するもので、グルタチオン
共役法又はシスチン共役法は従来のNADHの定量法の問題
点を解決した優れた方法であるので、胆汁酸のような微
量レベルの測定に好適に用いられる。
上記の胆汁酸の定量法は下記の反応式−3で表され
る。
反応式−3 又は 即ち、胆汁酸(3α−ヒドロキシ胆汁酸)はNAD+と共
に3α−HSDの作用で、3−ケト胆汁酸とNADHに変換さ
れる。ここで生成されたNADHを前記のグルタチオン共役
法又はシスチン共役法と組合わせて定量することによ
り、胆汁酸の定量を行うことができる。本方法の一例
を、グルタチオン共役法を用いて吸光度測定により行な
う例でより具体的に説明すると、胆汁酸を含有する試料
液に、酸化型グルタチオン、ジスルフィド型チオール定
量試薬、GR及びNAD+を含有する緩衝液〔I〕(pH5.5〜
8程度、好ましくはpH約7)を添加し、室温ないし加温
下にて所定時間(約5〜10分間)放置した後、吸光度の
測定を行なう(ブランク)。次いで3α−HSDを含有す
る緩衝液〔II〕(pH5.5〜8程度、好ましくはpH約7)
を添加して室温ないし加温下に所定時間(5〜20分間程
度、通常15分間程度)反応させ、反応液の吸光度を測定
する。得られた吸光度からブランクの吸光度を差し引い
た吸光度差を求め、該吸光度差より分子吸光係数に基づ
いて又は標準試料を用いて予め作成した検量線に基づい
て、胆汁酸量を算出することができる。
上記の緩衝液〔I〕としてはリン酸緩衝液、トリス緩
衝液等が用いられ、該緩衝液中のNAD+の濃度は、試料中
の胆汁酸濃度に依存するが、1〜5mM程度、通常3mM程度
とされる。また該緩衝液中の酸化型グルタチオン濃度、
ジスルフィド型チオール定量試薬濃度及びGR濃度は、前
記のグルタチオン共役法によるNADHの定量法における濃
度と略同様である。なお、試料が血清等の場合、試料中
に含まれる乳酸脱水素酵素の影響を排除するため、オキ
ザミン酸塩(例えば、オキザミン酸カリウム等)を添加
するのが好ましく、該オキザミン酸塩は5〜30mM程度、
好ましくは20mM程度添加される。
緩衝液〔II〕としてはリン酸緩衝液、トリス緩衝液等
が用いられ、該緩衝液中の3α−HSDの濃度としては1
〜20単位/ml程度、好ましくは10単位/ml程度とされる。
なお、緩衝液〔I〕及び〔II〕には、還元型グルタチ
オン及びチオール化合物の自動酸化を防止するため、ED
TAを添加するのが好ましい。
本発明の胆汁酸の定量法をシスチン共役法を用いて行
なうには、上記方法中のグルタチオン共役法を、前述の
シスチン共役法に変更することにより、実質的に同様な
方法で行なうことができる。
[発明の効果及び作用] 本発明のNADHの定量法によれば、高感度であると共に
試料中の還元性物質の影響やキュベット内への色素沈着
の影響を受けることなくNADHの定量ができるという効果
を奏する。即ち、本発明のグルタチオン共役法及びシス
チン共役法では、生成物であるチオール化合物の分子吸
光係数が大きいのみならず、1分子のNADHより2分子の
チオール化合物が生成するので、測定感度を上げること
ができる。例えば、前記TNBの分子吸光係数は13.6×103
M-1・cm-1であり、また1分子のNADHから2分子のTNBが
生成することから、NADH(分子吸光係数:6.2×103M-1
cm-1)を波長340nmで測定する従来法に比べて約4.4倍
(13.6×103×2/6.2×103≒4.4倍)感度を上昇させるこ
とができる。また、本発明で用いるチオール−ジスルフ
ィド交換反応はSH基の特異的な測定法であるため、従来
のホルマザンを測定する方法のように他の還元性物質の
影響を受けることがない。さらに生成したチオール化合
物はホルマザンに比べて可溶性であるため、キュベット
(セル)への吸着の問題もない。
また、本発明の胆汁酸の定量法は、上記の優れた効果
を有するグルタチオン共役法又はシスチン共役法を用い
たものであり、胆汁酸のように微量レベルの被検物質で
も高精度で測定できるという効果を奏する。
[実施例] 以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1 NADH標準液を試料とし、ジスルフィド型チオール定量
試薬としてDTNBを用い、グルタチオン共役法によりNADH
の定量を行なった。
まず、各種濃度のNADH溶液0.1ml(NADHを安定化させ
るために0.01N水酸化ナトリウム水溶液に溶解させた)
を下記の組成からなる試薬(1)2.5mlと混和し、10分
間放置した後に波長415nmの吸光度を測定した。
試薬(1):1mM EDTA 2Na、1mM酸化型グルタチオン、1m
M DTNB及び10単位/mlGRを含む0.1Mリン酸緩衝液pH7.0 その結果を第1図に示す。第1図に示されるように少
なくともNADHが1.5mMまでは直線性が得られ、NADHが波
長415nmの吸光度測定により定量できることが判明し
た。
実施例2 試料として胆汁酸の一成分であるコール酸を用い、3
α−HSDの存在下NAD+をNADHに還元し、生成したNADHをD
TNBを用いたグルタチオン共役法で定量することにより
コール酸の定量を行なった。
まず、各種濃度のコール酸ナトリウム溶液100μに
下記の組成からなる試薬(2)2.0mlを加え37℃で5分
間加温後、波長415nmの吸光度(A)を測定した。次い
で、下記の組成からなる試薬(3)0.5mlを加え37℃で1
5分間加温し、波長415nmの吸光度(B)を測定し、吸光
度差(B−A)を求めた。
試薬(2):1mM EDTA 2Na、1mM酸化型グルタチオン、1m
M DTNB、10単位/mlGR及び3mM NAD+を含む0.1Mリン酸緩
衝液pH7.0 試薬(3):1mM EDTA 2Na及び10単位/ml3α−HSDを含む
0.1Mリン酸緩衝液pH7.0 コール酸ナトリウム濃度に対して吸光度差(B−A)
をプロットした図を第2図に示す。第2図に示されるよ
うに少なくともコール酸ナトリウムが0.5mMまでは直線
性が得られ、コール酸ナトリウム(即ち胆汁酸)が波長
415nmの吸光度測定により定量できることが判明した。
実施例3 試料としてヒト血清(10検体)を使用し、グルタチオ
ン共役法を用いた本発明の胆汁酸の定量法により胆汁酸
の定量を行なった。
まず、ヒト血清100−μに下記の組成からなる試薬
(4)2.0mlを加え37℃で5分間加温後、波長415nmの吸
光度(A)を測定した。次いで、実施例2で用いた試薬
(3)0.5mlを加え37℃で15分間加温し、波長415nmの吸
光度(B)を測定し、吸光度差(B−A)を求めた。そ
して胆汁酸濃度が既知の標準液を試料に用いて同様に操
作し、得られた検量線からこれらのヒト血清中の胆汁酸
の値を求めた。
試薬(4):実施例2で用いた試薬(2)に、試料であ
るヒト血清中の乳酸脱水素酵素の影響を除くためオキザ
ミン酸カリウム20mMを添加したもの。
一方、対照として、従来法であるホルマザン法に基づ
いて、これらのヒト血清中の胆汁酸量を求めた。そし
て、両者の測定値を比較したところ、相関係数0.93とな
りよく相関しており、本発明の方法により胆汁酸の定量
を行えることが明らかとなった。さらに、この際、本発
明の方法はホルマザン法に比べ、吸光度変化量が約1.26
倍大きく、高感度であった。
実施例4 NADH標準液を試料とし、ジスルフィド型チオール定量
試薬としてDTNBを用い、シスチン共役法によりNADHの定
量を行なった。
まず、各種濃度のNADH溶液0.1ml(NADHを安定化させ
るために0.01N水酸化ナトリウム水溶液に溶解させた)
を下記の組成からなる試薬(5)2.5mlと混和し、10分
間放置した後に波長415nmの吸光度を測定した。
試薬(5):1mM EDTA 2Na、1mM L−シスチン、1mM DTNB
及び10単位/mlCRを含む0.1Mリン酸緩衝液pH7.0 その結果を第3図に示す。第3図に示されるように少
なくともNADHが1.5mMまでは直線性が得られ、NADHが波
長415nmの吸光度測定により定量できることが判明し
た。
実施例5 試料として胆汁酸の一成分であるコール酸を用い、3
α−HSDの存在下NAD+をNADHに還元し、生成したNADHをD
TNBを用いたシスチン共役法で定量することによりコー
ル酸の定量を行なった。
まず、各種濃度のコール酸ナトリウム溶液100μに
下記の組成からなる試薬(6)2.0mlを加え37℃で5分
間加温後、波長415nmの吸光度(A)を測定した。次い
で、下記の組成からなる試薬(7)0.5mlを加え37℃で1
5分間加温し、波長415nmの吸光度(B)を測定し、吸光
度差(B−A)を求めた。
試薬(6):1mM EDTA 2Na、1mM L−シスチン、1mM DTN
B、10単位/mlCR及び3mM NAD+を含む0.1Mリン酸緩衝液pH
7.0 試薬(7):1mM EDTA 2Na及び10単位/ml3α−HSDを含む
0.1Mリン酸緩衝液pH7.0 コール酸ナトリウム濃度に対して吸光度差(B−A)
をプロットした図を第4図に示す。第4図に示されるよ
うに少なくともコール酸ナトリウムが0.5mMまでは直線
性が得られ、コール酸ナトリウム(即ち胆汁酸)が波長
415nmの吸光度測定により定量できることが判明した。
実施例6 試料としてヒト血清(10検体)を使用し、シスチン共
役法を用いた本発明の胆汁酸の定量法により胆汁酸の定
量を行なった。
まず、ヒト血清100μに下記の組成からなる試薬
(8)2.0mlを加え37℃で5分間加温後、波長415nmの吸
光度(A)を測定した。次いで、実施例5で用いた試薬
(7)0.5mlを加え37℃で15分間加温し、波長415nmの吸
光度(B)を測定し、吸光度差(B−A)を求めた。そ
して胆汁酸濃度が既知の標準液を試料に用いて同様に操
作し、得られた検量線からこれらのヒト血清中の胆汁酸
の値を求めた。
試薬(8):実施例5で用いた試薬(6)に、試料であ
るヒト血清中の乳酸脱水素酵素の影響を除くためオキザ
ミン酸カリウム20mMを添加したもの。
一方、対照として、従来法であるホルマザン法に基づ
いて、これらのヒト血清中の胆汁酸量を求めた。そし
て、両者の測定値を比較したところ、相関係数0.91とな
りよく相関しており、本発明の方法により胆汁酸の定量
を行えることが明らかとなった。また、実施例3と同様
に、本発明の方法はホルマザン法に比べて高感度であっ
た。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1におけるNADH濃度と吸光度との相関を
示す図、 第2図は実施例2におけるコール酸ナトリウム濃度と吸
光度差との相関を示す図、 第3図は実施例4におけるNADH濃度と吸光度との相関を
示す図、及び 第4図は実施例5におけるコール酸ナトリウム濃度と吸
光度差との相関を示す図である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】還元型β−ニコチンアミドアデニンジヌク
    レオチド(以下、NADHという)と酸化型グルタチオンと
    をグルタチオン・リダクターゼの存在下に反応させる
    か、又はNADHとL−シスチンとをシスチン・リダクター
    ゼの存在下に反応させて、それぞれ酸化型β−ニコチン
    アミドアデニンジヌクレオチド(以下、NAD+という)と
    還元型グルタチオン又はNAD+とL−システインを生成さ
    せ、生成した還元型グルタチオン又はL−システインを
    それぞれジスルフィド型チオール定量試薬と反応させ、
    該反応により生成したチオール化合物を測定することを
    特徴とするNADHの定量法。
  2. 【請求項2】ジスルフィド型チオール定量試薬が、5,
    5′−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)である請求項
    1記載のNADHの定量法。
  3. 【請求項3】胆汁酸とNAD+とを3α−ヒドロキシステロ
    イド・デヒドロゲナーゼの存在下に反応させ、生成した
    NADHを請求項1又は請求項2記載の方法で定量すること
    を特徴とする胆汁酸の定量法。
JP26113989A 1988-10-07 1989-10-05 Nadhの定量法及びそれを用いた胆汁酸の定量法 Expired - Lifetime JP2761768B2 (ja)

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