JP2617490B2 - 焼入剤 - Google Patents
焼入剤Info
- Publication number
- JP2617490B2 JP2617490B2 JP25736387A JP25736387A JP2617490B2 JP 2617490 B2 JP2617490 B2 JP 2617490B2 JP 25736387 A JP25736387 A JP 25736387A JP 25736387 A JP25736387 A JP 25736387A JP 2617490 B2 JP2617490 B2 JP 2617490B2
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- quenching agent
- water
- colloidal silica
- quenching
- weight
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
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- Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は焼入剤に関し、詳しくは焼入操作において蒸
気膜段階を短縮するとともに、300℃付近での冷却速度
を制御し、焼入物に充分な硬度と均一な物性を付与する
ことのできるすぐれた焼入剤に関する。
気膜段階を短縮するとともに、300℃付近での冷却速度
を制御し、焼入物に充分な硬度と均一な物性を付与する
ことのできるすぐれた焼入剤に関する。
一般に、焼入剤には蒸気膜段階(処理物の表面が蒸気
膜で覆われている段階)を短縮することならびに冷却速
度、特に鋼のマルテンサイト変態開始温度である300℃
付近での冷却速度が速過ぎないことが要求されている。
膜で覆われている段階)を短縮することならびに冷却速
度、特に鋼のマルテンサイト変態開始温度である300℃
付近での冷却速度が速過ぎないことが要求されている。
従来から、水溶性焼入剤が高い安全性を有するため、
広く用いられているが、300℃付近での冷却速度が速過
ぎ、その結果として焼入物に歪みや焼割れが生ずるとい
う問題がある。
広く用いられているが、300℃付近での冷却速度が速過
ぎ、その結果として焼入物に歪みや焼割れが生ずるとい
う問題がある。
そのため、冷却速度を適当な範囲に制御する目的で、
水に水溶性ポリマー等の高分子化合物を配合することが
試みられている。
水に水溶性ポリマー等の高分子化合物を配合することが
試みられている。
しかしながら、高分子化合物を配合した焼入剤は、30
0℃付近での冷却温度は適度にコントロールされるが、
蒸気膜段階が長くなり、その結果、焼入物の金属に異常
組成を発生させ、また硬度不足や焼むらを起こし、実用
上満足しうるものではない。
0℃付近での冷却温度は適度にコントロールされるが、
蒸気膜段階が長くなり、その結果、焼入物の金属に異常
組成を発生させ、また硬度不足や焼むらを起こし、実用
上満足しうるものではない。
〔問題点を解決するための手段〕 そこで、本発明者らは上記従来技術の問題点を解消
し、焼入操作において上記膜段階を短縮するとともに、
300℃付近での冷却速度を制御できる焼入剤を開発すべ
く鋭意研究を重ねた。
し、焼入操作において上記膜段階を短縮するとともに、
300℃付近での冷却速度を制御できる焼入剤を開発すべ
く鋭意研究を重ねた。
その結果、特定の粒径を有するコロイド状シリカを用
いることによって、上記課題を達成しうることを見出
し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は水
に粒径1000×10-9m以下のコロイド状シリカを配合した
ことを特徴とする焼入剤を提供する(以下、第一発明と
いう)とともに、水に水溶性ポリマー及び粒径1000×10
-9以下のコロイド状シリカを配合したことを特徴とする
焼入剤(以下、第二発明という)を提供するものであ
る。
いることによって、上記課題を達成しうることを見出
し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は水
に粒径1000×10-9m以下のコロイド状シリカを配合した
ことを特徴とする焼入剤を提供する(以下、第一発明と
いう)とともに、水に水溶性ポリマー及び粒径1000×10
-9以下のコロイド状シリカを配合したことを特徴とする
焼入剤(以下、第二発明という)を提供するものであ
る。
上記第一発明では、水にコロイド状シリカを配合する
が、このコロイド状シリカは、シロキサン構造を有し、
シリカの各粒子にそれらが互いに反発し合うのに充分な
負電荷をもたせたものである。このコロイド状シリカを
製造するには、各種の方法があるが、最も一般的にはイ
オン交換樹脂を用いる方法で、ケイ酸ナトリウム水溶液
を陽イオン交換樹脂層を通してSiO2/Na2O(モル比)が6
0〜130のゾルを得、これを60℃以上に加熱熟成して、10
nm以下の粒子を重合させ、密度の大きい独立分散粒子に
まで成長させ、これを新たにイオン交換樹脂層を通して
得た希薄ゾルを徐々に添加することによって、前記独立
分散粒子に表面に重合沈積させて所望のコロイド状シリ
カとすることができる。さらに、高濃度のゾルを得るに
は、陰陽両イオン交換樹脂層を次々に通して高純度にす
ればよい。
が、このコロイド状シリカは、シロキサン構造を有し、
シリカの各粒子にそれらが互いに反発し合うのに充分な
負電荷をもたせたものである。このコロイド状シリカを
製造するには、各種の方法があるが、最も一般的にはイ
オン交換樹脂を用いる方法で、ケイ酸ナトリウム水溶液
を陽イオン交換樹脂層を通してSiO2/Na2O(モル比)が6
0〜130のゾルを得、これを60℃以上に加熱熟成して、10
nm以下の粒子を重合させ、密度の大きい独立分散粒子に
まで成長させ、これを新たにイオン交換樹脂層を通して
得た希薄ゾルを徐々に添加することによって、前記独立
分散粒子に表面に重合沈積させて所望のコロイド状シリ
カとすることができる。さらに、高濃度のゾルを得るに
は、陰陽両イオン交換樹脂層を次々に通して高純度にす
ればよい。
第一発明に用いるコロイド状シリカは、粒径が1000×
10-9m以下のもの、好ましくは3〜100×10-9mのもので
ある。1000×10-9mを越えるものでは、沈殿が生じて実
用に供することができない。
10-9m以下のもの、好ましくは3〜100×10-9mのもので
ある。1000×10-9mを越えるものでは、沈殿が生じて実
用に供することができない。
第一発明の焼入剤において、上記コロイド状シリカの
配合量は、特に制限はないが、通常は焼入剤全量の0.00
5〜50重量%、好ましくは0.01〜10重量%の範囲で適宜
選定すればよい。
配合量は、特に制限はないが、通常は焼入剤全量の0.00
5〜50重量%、好ましくは0.01〜10重量%の範囲で適宜
選定すればよい。
なお、第一発明の焼入剤は、水に上述したコロイド状
シリカを配合することによって得られるが、さらに、防
錆剤,防腐剤,消泡剤,pH調整剤等の添加剤を加えるこ
ともできる。
シリカを配合することによって得られるが、さらに、防
錆剤,防腐剤,消泡剤,pH調整剤等の添加剤を加えるこ
ともできる。
また、第二発明の焼入剤には、水に上記のコロイド状
シリカとともに、水溶性ポリマーを配合する。この水溶
性ポリマーは、様々なものが使用可能であるが、一般に
平均分子量5000〜200000のものが好ましい。具体的に
は、ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン,ポ
リイソブチレンマレイン酸のアルカリ塩(Na塩,K塩な
ど),ポリアクリル酸のアルカリ塩(Na塩,K塩など),
ポリアルキレングリコール,ポリオキシエチレン−プロ
ピレンポリエーテル,ポリアミドポリアルキレングリコ
ール等を好適なものとして挙げることができる。
シリカとともに、水溶性ポリマーを配合する。この水溶
性ポリマーは、様々なものが使用可能であるが、一般に
平均分子量5000〜200000のものが好ましい。具体的に
は、ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン,ポ
リイソブチレンマレイン酸のアルカリ塩(Na塩,K塩な
ど),ポリアクリル酸のアルカリ塩(Na塩,K塩など),
ポリアルキレングリコール,ポリオキシエチレン−プロ
ピレンポリエーテル,ポリアミドポリアルキレングリコ
ール等を好適なものとして挙げることができる。
この第二発明の焼入剤において、上記コロイド状シリ
カと水溶性ポリマーの配合量は、特に制限はないが、通
常は焼入剤全量に対して、コロイド状シリカを0.005〜5
0重量%、好ましくは0.01〜10重量%の範囲とし、水溶
性ポリマーを0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%
の範囲の範囲で適宜選定すればよい。
カと水溶性ポリマーの配合量は、特に制限はないが、通
常は焼入剤全量に対して、コロイド状シリカを0.005〜5
0重量%、好ましくは0.01〜10重量%の範囲とし、水溶
性ポリマーを0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%
の範囲の範囲で適宜選定すればよい。
なお、第二発明の焼入剤は、水に上述した水溶性ポリ
マーならびにコロイド状シリカを配合することによって
得られるが、さらに、防錆剤,防腐剤,消泡剤,pH調整
剤等の添加剤を加えることもできる。
マーならびにコロイド状シリカを配合することによって
得られるが、さらに、防錆剤,防腐剤,消泡剤,pH調整
剤等の添加剤を加えることもできる。
次に、本発明を実施例及び比較例により更に詳しく説
明する。
明する。
実施例1 水89.5重量%に、水溶性ポリマーとして分子量20000
のポリエチレングリコール10重量%及び粒径12×10-9m
のコロイド状シリカ0.5重量%を配合して焼入剤を調製
した。
のポリエチレングリコール10重量%及び粒径12×10-9m
のコロイド状シリカ0.5重量%を配合して焼入剤を調製
した。
一方、直径10mm×長さ30mmのSUS304材にその表面から
0.5mmの位置に熱電対を設置してテストピースを作製し
た。
0.5mmの位置に熱電対を設置してテストピースを作製し
た。
次に、このテストピースを800℃に加熱後、上記焼入
剤に投入し、その冷却状態を測定した。
剤に投入し、その冷却状態を測定した。
焼入剤の液温が40℃の場合のテストピースの冷却曲線
を第1図に、60℃の場合のテストピースの冷却曲線を第
2図にそれぞれ示す。
を第1図に、60℃の場合のテストピースの冷却曲線を第
2図にそれぞれ示す。
比較例1 実施例1において、焼入剤として水90重量%と分子量
20000のポリアルキレングリコール10重量%からなるも
のを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行っ
た。結果を第1図及び第2図にそれぞれ示す。
20000のポリアルキレングリコール10重量%からなるも
のを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作を行っ
た。結果を第1図及び第2図にそれぞれ示す。
実施例1と比較例1を比べれば明らかなように、焼入
剤に粒径12×10-9mのコロイド状シリカを添加すること
により、処理物が蒸気膜で覆われている所謂蒸気膜段階
(800〜450℃程度)がほとんどなくなり、しかも、300
℃付近での冷却速度は、実施例1と比較例1共ほぼ同程
度であることがわかる。
剤に粒径12×10-9mのコロイド状シリカを添加すること
により、処理物が蒸気膜で覆われている所謂蒸気膜段階
(800〜450℃程度)がほとんどなくなり、しかも、300
℃付近での冷却速度は、実施例1と比較例1共ほぼ同程
度であることがわかる。
また、第1,2図からわかるように、焼入剤の液温を高
くすると、比較例1では蒸気膜段階の時間が長くなる
が、一方実施例1ではほとんど変わらない。
くすると、比較例1では蒸気膜段階の時間が長くなる
が、一方実施例1ではほとんど変わらない。
以上の如く、本発明の焼入剤を用いれば、焼入れにお
ける蒸気膜段階を短縮することができるとともに、鋼の
マルテンサイト変態開始温度での冷却速度をゆっくりす
ることができる。そのため、本発明の焼入剤を用いて各
種鋼の焼入れを行えば、焼きムラや異常組成を生ずるこ
となく、充分な硬度と均一な物性を付与することができ
る。
ける蒸気膜段階を短縮することができるとともに、鋼の
マルテンサイト変態開始温度での冷却速度をゆっくりす
ることができる。そのため、本発明の焼入剤を用いて各
種鋼の焼入れを行えば、焼きムラや異常組成を生ずるこ
となく、充分な硬度と均一な物性を付与することができ
る。
したがって、本発明の焼入剤は、鋼の焼入れを始めと
する各種金属の熱処理油として有効に利用することがで
きる。
する各種金属の熱処理油として有効に利用することがで
きる。
第1図は、焼入剤温度40℃における実施例及び比較例の
テストピースの冷却曲線を示し、第2図は、焼入剤温度
60℃における実施例及び比較例のテストピースの冷却曲
線を示す。
テストピースの冷却曲線を示し、第2図は、焼入剤温度
60℃における実施例及び比較例のテストピースの冷却曲
線を示す。
Claims (2)
- 【請求項1】水に粒径1000×10-9m以下のコロイド状シ
リカを配合したことを特徴とする焼入剤。 - 【請求項2】水に水溶性ポリマー及び粒径1000×10-9m
以下のコロイド状シリカを配合したことを特徴とする焼
入剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25736387A JP2617490B2 (ja) | 1987-10-14 | 1987-10-14 | 焼入剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25736387A JP2617490B2 (ja) | 1987-10-14 | 1987-10-14 | 焼入剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01100217A JPH01100217A (ja) | 1989-04-18 |
JP2617490B2 true JP2617490B2 (ja) | 1997-06-04 |
Family
ID=17305342
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25736387A Expired - Lifetime JP2617490B2 (ja) | 1987-10-14 | 1987-10-14 | 焼入剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2617490B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB0018389D0 (en) * | 2000-07-26 | 2000-09-13 | Boc Group Plc | Quenching method |
JP4825019B2 (ja) * | 2005-03-03 | 2011-11-30 | 住友金属工業株式会社 | 金属材の曲げ加工方法、曲げ加工装置および曲げ加工設備列、並びにそれらを用いた曲げ加工製品 |
TWI332527B (en) * | 2007-09-07 | 2010-11-01 | Ind Tech Res Inst | Polymeric quenchant, manufacture thereof, and method for quenching steel |
JP5475497B2 (ja) | 2010-02-22 | 2014-04-16 | 出光興産株式会社 | 水系熱処理液組成物 |
JP2018150621A (ja) * | 2017-03-10 | 2018-09-27 | 国立大学法人電気通信大学 | 冷却剤 |
-
1987
- 1987-10-14 JP JP25736387A patent/JP2617490B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01100217A (ja) | 1989-04-18 |
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