JP2607397B2 - 多孔質ガラス状カーボン材の製造方法 - Google Patents
多孔質ガラス状カーボン材の製造方法Info
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Description
た骨格強度を備える多孔質ガラス状カーボン材を量産性
よく製造する方法に関する。
に優れた特性を示す多孔質カーボン材は、工業用のフィ
ルター、電池用電極、吸着材等の用途分野に有用されて
いる。
は、粒度を揃えたコークス粉をタールピッチのような炭
化性バインダーとともに捏合したのち粉砕、成形および
焼成炭化処理するプロセスが典型的な製造手段とされて
いるが、均質で安定な気孔構造を付与するための条件設
定が難しいうえ、材質強度が低い欠点がある。
ー成分とともに抄紙して得られる炭素繊維混合シートに
熱硬化性樹脂液を含浸させたのち焼成炭化処理する方法
(特開昭50−25808 号公報)は、炭素繊維が補強骨格を
形成し、また熱硬化性樹脂がガラス状カーボン組織に転
化するため、材料強度を効果的に向上させることができ
る。ところが、この方法においては、嵩密度、気孔径、
気孔率などの制御に難点があり、加えて高価な炭素繊維
を原料とする関係で製造原価が高騰化する問題がある。
用の有機繊維を使用し、これにパルプ、炭素質粉末など
を配合して抄紙したシートに有機高分子物質あるいは炭
素質粉末を懸濁させた有機高分子物質を含浸したのち焼
成処理する方法(特開昭61−23664号公報、同61−23666
5号公報) が提案されている。しかしながら、この方法
では、組織内に局部的に閉塞された空隙部分が多く形成
されるため、均質かつ制御された気孔構造を得ることが
困難となる。
好な気孔性状と高強度特性を兼備するガラス状炭素質の
多孔質材を得るためのプロセスとして、α−セルロース
を主成分とする熱揮散性物質を抄紙してシート化する工
程と、シートに残炭率40重量%以上の熱硬化性樹脂溶液
を含浸する工程と、含浸処理後のシート50〜150 ℃の温
度で半硬化する工程と、半硬化シートを積層して全面を
均一加熱しながらシート厚さが70〜20%になるように圧
縮する工程と、圧縮シートを非酸化性雰囲気下で800 ℃
以上の温度により焼成炭化する工程からなるポーラスカ
ーボン材の製造方法を開発し、既に特願平1−321729号
として提案した。
において、前記の先行技術には量産化を目的として連続
的な処理工程を実施しようとする際に解決しなければな
らない幾つかの新たな課題が発生した。すなわち、シー
ト化の工程に産業用ペーパーの製造ラインとされている
連続抄紙法を適用しようとすると、製造ラインの途中で
シートの破断トラブルが多発し、その都度ラインを停止
する必要がある。シート破断の原因は、抄紙直後のシー
トには多量の水が含まれており、使用バインダーも水溶
性である関係で抄紙段階で適度なシート強度を確保でき
ず、このためロール移動(特に乾燥段階)の際に僅かな
テンションの変動によって容易に組織破壊につながる現
象に基づいている。このような現象は抄紙条件を制御
し、シート密度を高めることで軽減化することも可能で
あるが、この場合には均質な気孔組織の形成化を損ねる
ため、後工程で連続的な樹脂液含浸処理を施すと含浸樹
脂の偏在が生じて良好な気孔性状を得ることができなく
なる。
問題点を解消し、連続工程によってもシートの破断現象
を起こすことなく、常に良好な気孔性状と優れた骨格強
度を備える多孔質ガラス状カーボン材を量産性よく製造
する方法を提供することにある。
めの本発明による多孔質ガラス状カーボン材の製造方法
は、α−セルロースを主成分とする有機物質60〜90重量
部、水溶性抄紙バインダー10〜40重量部および水不溶性
で且つ熱揮散性のバインダー1〜10重量部からなる原料
組成の分散水を連続抄紙してシートに成形し、該シート
を残炭率40%以上の熱効果性樹脂溶液に連続的に浸漬し
たのちロール絞り処理を施し、処理後のシートを半硬化
して積層成形し、成形体を非酸性雰囲気下で800 ℃以上
の温度により焼成炭化することを構成上の特徴とする。
ースを主成分とする有機物質は抄紙時にシートのフィラ
ー成分となるもので、通常のパルプのほか、α−セルロ
ース分90%を含むレーヨンパルプを用いることができ
る。パルプ性状としては、抄紙整形性および高気孔構造
を確保する面から太さ3〜10デニール、長さ5〜10mmの
繊維形状を有するものを選択することが好ましい。
ト成形の結合材として機能する成分で、例えばアカマ
ツ、エゾマツ、トドマツ、カラマツ、モミ、シガ等の針
葉樹系パルプが好適に使用される。
前記の水溶性バインダーの機能を補強してシートがウエ
ット状態にあるときに十分な強度を付与するために添加
される第三成分で、ポリビニールアルコール(ビニロ
ン)、不溶性澱粉、ミクロフイブリル化パルプなどを用
いることができる。これらのバインダーを併用すること
によりウエット時における抄紙シートの強度が増大し、
連続抄紙操作を適用してもシートの破断現象が生じるこ
とがなくなる。
主成分とする60〜90重量部、水溶性抄紙バインダー10〜
40重量部および水不溶性で且つ熱揮散性のバインダー1
〜10重量部に設定する。有機物質に対するバインダー成
分の配合量の前記の範囲を下廻る場合には抄紙成形性が
悪くなり、他方、前記範囲を越えるバインダー成分の配
合では多孔質組織の形成が困難となる。とくに第三成分
として添加する水不溶性で熱揮散性のバインダーの配合
量は重要で、これが1重量部未満であると湿潤状態にお
ける適度なシート強度を確保することができなくなって
シートの破断が起き易くなり、また10重量部を越えると
気孔率、気孔径等が低下して目的とする気孔分布が均一
な多孔質組織を得ることが不可能となる。
一分散させ、連続抄紙装置を用いて連続的に抄紙してシ
ートに成形し、乾燥ロールに巻き取る。
残炭率40%以上の熱硬化性樹脂溶液中に連続的に浸漬す
る機構の処理装置にセットし、浸漬処理をおこなう。熱
硬化性樹脂の残炭率とは、樹脂を非酸化性雰囲気下で80
0 ℃の温度に焼成したときに残留する炭素分の重量を指
し、この残炭率が40%を下廻るときには、得られる多孔
質ガラス状カーボン材の強度を実用水準まで向上させる
ことが極めて困難となる。40重量%以上の残炭率を有す
る熱硬化性樹脂の例としては、フェノール系樹脂、フラ
ン系樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられ、いずれも焼
成炭化後にガラス状カーボンに転化する。これら熱硬化
性樹脂の溶液化に用いる有機溶媒は樹脂の種類によって
選定されるが、通常、メタノール、エタノール、アセト
ン、メチルエチルケトンのような低粘度で浸透性が高
く、容易に熱揮散する性質の有機溶媒が選定される。溶
液に樹脂濃度は、5重量%未満であると強度特性が減退
し、40重量%を越すと粘度が増大して含浸性を損ねるう
え、気孔の閉塞を生じて気孔率および気孔径の調整が困
難となる。したがって、5〜40重量%の範囲の樹脂濃
度に設定することが好適である。
の2本ロール間を通過させてロール絞り処理を施し、余
剰な樹脂溶液を除去するとともに含浸組織を均質化す
る。
持された乾燥器を通して水分等の未反応物や反応生成物
を有機溶媒成分とともに揮散除去し、同時にシートに担
持された樹脂成分を半硬化する。次に、半硬化シートを
所要枚数に積層して全面を均一に加熱しながら、シート
厚さが圧縮前に比べて70〜20%の範囲まで薄くなるよう
な条件で圧縮し積層成形する。該圧縮比率が70%を上廻
る程度の低圧縮率では実用的な強度性能が得られ難く、
20%を下廻るような高圧縮率になると組織が緻密化して
気孔率の大幅低下を招く。また、均質加熱にはヒーター
を内蔵した平面加熱盤を用い、圧縮手段には油圧プレス
または空圧プレスを用いることが工業的である。成形時
の温度は樹脂の性状によって若干の差異はあるが、概ね
80〜200 ℃の範囲で円滑に成形され、同時に樹脂が完全
硬化する。
非酸化性雰囲気中で800 ℃以上の温度により焼成し、熱
揮散性の成分を揮散させるとともに熱硬化性樹脂成分を
炭化してガラス状カーボン材に転化させる。この炭化工
程は、成形体を平滑表面を有する黒鉛板で挟み込んだ形
態でおこなうと反り等の変形を防止する効果がある。
不溶性で熱揮散性のバインダーが、抄紙段階においては
主原料相互の接着力を高めて連続抄紙工程のロールテン
ションに耐えるシート強度を付与し、焼成段階では熱分
解を起こして完全に揮散し、良好な多孔質組織を確保す
るために機能する。また、抄紙シートに熱硬化性樹脂溶
液を連続的に浸漬した後の工程として施されるロール絞
り処理は、余剰樹脂を除去してシート組織内に樹脂を均
一に担持させる機能を営む。
とする有機物質による均質な気孔と骨格の形成、熱硬化
性樹脂の炭化によるガラス状カーボン組織の形成化とい
う本来的な作用と相俟って、均一微細な通気性気孔性状
を備えながら材質強度に優れる多孔質ガラス状カーボン
材の連続生産を可能にする。
する。
のレーヨンパルプ〔大和紡績(株)製〕80重量部、水溶
性抄紙バインダーとして晒し針葉樹パルプ(NBKP)
20重量部および水不溶性で熱揮散性のバインダーとして
ビニロンバインダー〔(株)クラレ製、VPB105〕1重量
部を混合し、水中で撹拌混合して均質に分散させたのち
連続抄紙装置を用いて平均気孔径 110μm 、厚さ0.23m
m、幅1300mmの連続シートを成形した。乾燥前の湿潤シ
ートの強度は45kgf/cm2 で、連続抄紙は円滑に進行しシ
ートの破断現象は生じなかった。
し、案内ロールを介して残炭率45%のフェノール樹脂
〔住友デュレズ(株)製、スミライトレジンPR940 〕の
20重量%アセトン溶液を満たした槽に連続的に通過させ
て浸漬処理し、引き続き 0.2mmの間隙に調整された2本
ロール間を通してロール絞り処理を施した。
器を通過させて半硬化したのち1辺1300mmの正方形に裁
断し、これを14枚積層して120 ℃に調整された均熱平面
盤の上に置いた状態で上部から平面盤で圧縮率65%にな
るまで圧縮成形して樹脂を完全に硬化させた。
挟み付けて電気焼成炉に移し、周囲をコークスパッキン
グ材で被包してから1000℃の温度で焼成炭化処理をし
た。
ーボン材について各種の特性を測定したところ、嵩密度
0.49g/cc、気孔率(水銀圧入法、以下同様)67%、平均
気孔径(水銀圧入法、以下同様)55μm 、曲げ強度270k
gf/cm2と良好な気孔性状ならびに材質強度を示し、走査
型電子顕微鏡による観察で均質な多孔質組織であること
が確認された。また、本例による10回試作時の製品収率
は100 %であった。
は、全て実施例1と同一のプロセス条件により多孔質ガ
ラス状カーボン材を製造した。この場合の湿潤シートの
強度は49kgf/cm2 で、連続抄紙工程でシート破断は認め
られなかった。
気孔率65%、平均気孔径54μm 、曲げ強度250kgf/cm2と
気孔組織、材質強度ともに良好で、実施例1と同一の顕
微鏡観察結果が得られた。また、10回試作時の製品収率
は100 %であった。
は、全て実施例1と同一のプロセス条件により多孔質ガ
ラス状カーボン材を製造した。この場合の湿潤シートの
強度は53kgf/cm2 と高く、連続抄紙工程でのトラブルは
全くなかった。
気孔率68%、平均気孔径56μm 、曲げ強度260kgf/cm2と
気孔組織、材質強度ともに良好で、実施例1と同様に均
質多孔組織であることが顕微鏡観察で確認された。ま
た、10回試作時の製品収率は100 %であった。
バインダーを配合せずに実施例1と同一プロセスで連続
抄紙をおこなったところ、シートの破断が多発して製造
不能となった。この場合における湿潤シートの強度を測
定したところ、21kgf/cm2 と低いものであった。
は、実施例1と同一条件で連続抄紙をおこなったとこ
ろ、シートの破断が生じて製造が困難となった。この場
合における湿潤シートの強度を測定したところ、27kgf/
cm2 であった。
り処理を適用しないほかは全て実施例1と同一のプロセ
スと条件により多孔質ガラス状カーボン材を製造した。
この場合の湿潤シートの強度は57kgf/cm2 と高いもの
で、連続抄紙生工程は円滑に進行した。
度0.51g/cc、気孔率55%、平均気孔径45μm 、曲げ強度
230kgf/cm2と実施例に比べて気孔率および材質強度が低
下し、走査型電子顕微鏡による組織観察では気孔の目詰
まりが多く発生していて組織が不均質であることが確認
された。
り処理を適用しないほかは全て実施例1と同一のプロセ
スと条件を用いて多孔質ガラス状カーボン材を製造し
た。この場合の湿潤シートの強度は46kgf/cm2 で、連続
抄紙工程にトラブルはなかった。
67%、平均気孔径53μm 、曲げ強度270kgf/cm2と特性的
には実施例と同等の測定結果を示したが、走査型電子顕
微鏡による組織観察では気孔の目詰まりが多く、局部的
に気孔率が40%程度を示すところがあって明らかな組織
の不均質性が認められた。
孔性状と優れた材質強度を兼備する高品質の多孔質ガラ
ス状カーボン材を連続的な抄紙および浸漬工程を介して
トラブルなく製造することができる。
減化が図れるため、耐熱耐食性のほかに低コスト化が要
求される燃料電池、二次電池用の部材を製造するために
極めて有効となる。
Claims (1)
- 【請求項1】α−セルロースを主成分とする有機物質60
〜90重量部、水溶性抄紙バインダー10〜40重量部および
水不溶性で且つ熱揮散性のバインダー1〜10重量部から
なる原料組成の分散水を連続抄紙してシートに成形し、
該シートを残炭率40%以上の熱硬化性樹脂溶液に連続的
に浸漬したのちロール絞り処理を施し、処理後のシート
を半硬化して積層成形し、成形体を非酸化性雰囲気下で
800℃以上の温度により焼成炭化することを特徴とする
多孔質ガラス状カーボン材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2405365A JP2607397B2 (ja) | 1990-12-06 | 1990-12-06 | 多孔質ガラス状カーボン材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JPH04209773A JPH04209773A (ja) | 1992-07-31 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2405365A Expired - Fee Related JP2607397B2 (ja) | 1990-12-06 | 1990-12-06 | 多孔質ガラス状カーボン材の製造方法 |
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JPS6270215A (ja) * | 1985-09-21 | 1987-03-31 | Showa Denko Kk | 炭素成型体の製造方法 |
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1990
- 1990-12-06 JP JP2405365A patent/JP2607397B2/ja not_active Expired - Fee Related
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