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JP2695113B2 - ケイ素系コーティング層を有する無機質硬化体又は金属表面の補修方法 - Google Patents

ケイ素系コーティング層を有する無機質硬化体又は金属表面の補修方法

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Publication number
JP2695113B2
JP2695113B2 JP32204293A JP32204293A JP2695113B2 JP 2695113 B2 JP2695113 B2 JP 2695113B2 JP 32204293 A JP32204293 A JP 32204293A JP 32204293 A JP32204293 A JP 32204293A JP 2695113 B2 JP2695113 B2 JP 2695113B2
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JP
Japan
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parts
component
coating
inorganic
silicon alkoxide
Prior art date
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Expired - Lifetime
Application number
JP32204293A
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English (en)
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Inventor
昌宏 吹擧
和夫 瀬戸
則夫 佐藤
健 砂賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
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Publication date
Application filed by Matsushita Electric Works Ltd filed Critical Matsushita Electric Works Ltd
Priority to JP32204293A priority Critical patent/JP2695113B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ケイ素アルコキシド系
コーティング層を有する無機質硬化体又は金属表面の補
修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ケイ素アルコキシド系コーティン
グが施された無機質硬化体又は金属は、耐候性や耐久性
が優れていることから、建造物の外壁材等の用途に広く
用いられている。したがって、施工現場において、切断
や釘打ちが行われることがあり、また、輸送中に傷がつ
くこともある。そこで、それらの箇所に補修を施す必要
がある。
【0003】この補修方法として、本発明者らは、特開
平3−242268号公報において、常温硬化型の塗料
による補修方法を提案したが、長期の屋外暴露によりプ
ライマーに黄変などの着色がおこり、外観が変化すると
いう問題があった。また、上塗りの常温硬化型補修塗料
(例えば、フッ素系又はアクリルシリコーン系塗料等)
も徐々に外観の変化をもたらし、耐候性が優れるケイ素
アルコキシド系コーティング層とは外観的違和感を生じ
る。更に、耐候性が優れる常温硬化型無機塗料による補
修を行っても長期の密着性確保という点で問題があっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の状況において、
本発明は、長期の屋外暴露に対して黄変などの着色が改
善され、かつ、常温硬化型無機塗料上塗り補修材と長期
に渡る密着性が維持できるケイ素アルコキシド系コーテ
ィング層を有する無機質硬化体又は金属表面の補修方法
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、無機質硬化体
又は金属表面の補修必要箇所に、あらかじめ下記の成分
(a)、(b)、(c)及び(d)からなるプライマー
組成物を塗布し、次いで常温硬化型無機塗料を塗布す
る、ケイ素アルコキシド系コーティング層を有する無機
質硬化体又は金属表面の補修方法である。 (a)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキ
シ化合物 (b)1分子中に1個以上のメルカプト基及び2個以上
のアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物 (c)1分子中に1個以上のアミノ基及び2個以上のア
ルコキシ基を有する有機ケイ素化合物 (d)有機溶剤
【0006】上記補修必要箇所としては、特に制限はな
いが、例えば、無機質硬化体又は金属を輸送したり施工
したりする際などに、ケイ素アルコキシド系コーティン
グ層に傷又は塗膜の欠け等が生じた箇所や、色などを変
えようとする箇所などが含まれる。また、補修必要箇所
は、無機質硬化体又は金属が露出している部分に限られ
ず、ケイ素アルコキシド系コーティング層、無機質硬化
体又は金属の破損部や継目などに施された補修材などが
現れている部分も含まれる。補修材は、例えば、パテ、
シリコーンコーキング材、ステンレススチール、ビス
釘、カラーネイル等である。カラーネイルは、着色など
のために釘にアクリル系塗料、ウレタン系塗料などをコ
ートしたものである。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】(1)本発明で使用する成分(a)のエポ
キシ化合物(又はエポキシ樹脂)は、1分子中に2個以
上のエポキシ基を有していることが必要である。エポキ
シ基の数が2個に満たない場合は、常温硬化無機塗料な
どをケイ素アルコキシド系コーティング面などに接着さ
せる効力が発揮されないため使用できない。前記エポキ
シ化合物としては、ビスフェノールAジグリシジルエー
テル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビ
スフェノールAジグリシジルエーテル、ソルビトールジ
グリシジルエーテル、ポリグリセロールジグリシジルエ
ーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル等の他、1分
子中に複数の不飽和結合を有する炭化水素の不飽和基を
過酢酸等を作用させてエポキシ化させたものが例示され
る。これらの中では、最後に例示したものが特に良好な
接着性を与えることから好ましく、その中でもそれを構
成する炭素数が4〜30のものが同様の理由により特に
推奨される。この成分(a)の主な働きは、プライマー
組成物が乾燥硬化して形成する被膜を強靭なものとし、
また、無機系塗料等の常温硬化型塗料のプライマー被膜
に対する接着性を与えることにある。
【0009】(2)本発明で使用する成分(b)の、1
分子中に1個以上のメルカプト基及び2個以上のアルコ
キシ基を有する有機ケイ素化合物は、ケイ素アルコキシ
ド系コーティング面などに対する接着性を得るために必
須の成分である。成分(b)がメルカプト基を有するこ
とにより接着性が優れるもので、メルカプト基を持たな
いと接着効果がない。メルカプト基は、例えば、メルカ
プトアルキル基(ここでアルキル基は、例えば炭素数1
〜6のものである)などである。また、成分(b)がア
ルコキシ基を2個以上有することにより被膜が形成され
るが、アルコキシ基を1個しか持たないか又は全く持た
ないと被膜が形成されない。このような有機ケイ素化合
物(b)としては、例えば、HS(CH2)3 Si(OC
3)2 、HS(CH2)3 Si(OC25)3 、HS(C
2)3 Si(OCH3)3 、HS(CH2)3 Si(OC2
5)3 、HS(CH2)3 Si(CH3)(OCH3)2等の
シラン又はそれらの加水分解縮合物等が挙げられる。こ
れらは、単独で用いても、又は2種以上を併用してもよ
い。成分(b)の有機ケイ素化合物のプライマー組成物
における配合量は、成分(a)100重量部に対して1
0〜500重量部である。成分(b)の配合量が10重
量部未満では接着性が十分に発揮されず、逆に500重
量部を超えるとプライマー被膜の強度が低下して接着力
が失われるため好ましくない。
【0010】成分(a)と成分(b)は、それぞれ、別
々に単独で混合してもよいが、あらかじめこれらを反応
させて、すなわち成分(a)のエポキシ基に成分(b)
のメルカプト基を付加させて用いてもよい。このように
成分(a)と成分(b)とをあらかじめ反応させておく
と、より接着効果が高くなる。
【0011】(3)成分(c)の1分子中に1個以上の
アミノ基及び2個以上のアルコキシ基を有する有機ケイ
素化合物は、成分(b)のアルコキシ基の加水分解触媒
として作用し、かつ、ケイ素アルコキシド系コーティン
グ面などに対する接着性を有し、塗装後速やかに強靭な
プライマー被膜を形成させるためのものである。
【0012】成分(c)がアミノ基を有することによ
り、成分(b)の加水分解が促進される。また成分
(c)がアルコキシ基を2個以上有することにより被膜
が形成される。このような有機ケイ素化合物(c)とし
ては、例えば、H2 N(CH2)3 Si(OCH3)3 、H
2 N(CH2)3 Si(OC25)3 、H2 N(CH2)3
Si(CH3)(OC25)2 、H2 N(CH2)2 NH
(CH2)3 Si(OCH3)3 、H2 N(CH2)2 NH
(CH2)3 Si(CH3)(OCH3)2 、H2 N(CH2)
2 NH(CH2)3 Si(OC25)3等のシラン又はそ
れらの加水分解縮合物等が挙げられる。これらは単独で
用いても、又は2種以上を併用してもよい。
【0013】(4)成分(a)、(b)及び(c)の配
合割合は、当業者において適宜決めることができるが、
通常成分(a)100重量部に対し、成分(b)10〜
500重量部及び成分(c)5〜200重量部である。
【0014】(5)成分(d)の有機溶剤は、プライマ
ー組成物の塗装作業を容易にする目的で用いられる。こ
れら有機溶剤としては、トルエン、キシレンのような芳
香族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチルのようなカルボ
ン酸エステル類;アセトン、メチルエチルケトンのよう
なケトン類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランの
ようなエーテル類等が例示される。これらの溶剤は、単
独で用いても、2種以上を併用してもよい。成分(d)
の使用割合は、かなり広い範囲でも性能が保証されるた
め適宜設定すればよく、特に限定されない。
【0015】(6)本発明の補修方法に用いるプライマ
ー組成物には、メチルシリケート、エチルシリケート、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシ
ランのようなアルコキシシラン類;酸化チタン、カーボ
ンブラック、酸化鉄のような顔料;その他の添加物を添
加することができる。
【0016】(7)上記プライマー組成物に対する上塗
り塗料は常温硬化型無機塗料であり、市販されているフ
ッ素系常温硬化型塗料、変性シリコーン系常温硬化型塗
料などが使用されるが、これらのものに限定されない。
好ましくは、耐候性が優れた常温硬化型無機塗料が良
い。
【0017】以下、常温硬化型無機塗料について説明す
る。
【0018】常温硬化型無機塗料はケイ素アルコキシ
ド、コロイドシリカ及び高分子シラノールを樹脂成分と
して含有する無機コーティング剤に顔料を分散させた無
機塗料であり、ここでケイ素アルコキシドとは一般式
(I)式で示される化合物である。
【0019】 (R1)n Si(OR2)4-n (I)
【0020】(式中、R1 は同一又は異なる置換若しく
は非置換の炭素数1〜8の1価の炭化水素基を表し、n
は1、2又は3、R2 は炭素数1〜8の1価の炭化水素
基を表す)
【0021】また、コロイドシリカとは水又は有機溶媒
に分散させた状態で使用されるコロイド状シリカであ
る。
【0022】更に、ここで使用する高分子シラノール
は、平均組成式として一般式(II)で示される化合物で
ある。
【0023】 (R3)a Si(OH)b(4-a-b)/2 (II)
【0024】(式中、R3 は同一又は異なる置換若しく
は非置換の炭素数1〜8の1価の炭化水素基を表し、a
及びbはそれぞれ0.2≦a≦2.0、0.0001≦
b≦3.0及びa+b<4の関係を満たす数である)
【0025】そして、この常温硬化型無機コーティング
剤はケイ素アルコキシド(I)を水の存在下で部分的に
加水分解させたものとコロイドシリカが混合された液と
高分子シラノール(II)とから調製され、必要に応じて
硬化触媒が添加されているものである。そして、この無
機コーティング剤に着色剤となる顔料及び分散助剤を加
えて無機塗料とする。この顔料としては、特に限定はし
ないが、酸化チタン、硫酸バリュウム、炭酸カルシウ
ム、アルミナ、酸化鉄赤、その他の複合酸化物系顔料、
有機顔料等が使用される。
【0026】なお、前記(I)式中のR1 及びR2 とし
ては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、
ヘキシル、ヘプチル、オクチルなどのアルキル基;シク
ロペンチル、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基;
2−フェニルエチル、3−フェニルプロピルなどのアラ
ルキル基;フェニル、トリルのようなアリール基;ビニ
ル、アリルのようなアルケニル基;クロロメチル、γ−
クロロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピルな
どのハロゲン置換炭化水素基;γ−メタクリロキシプロ
ピル、γ−グリシドキシプロピル、3,4−エポキシシ
クロヘキシルエチル、γ−メルカプトプロピルなどの置
換炭化水素基を例示することができる。これらの中でも
合成の容易さ、入手の容易さから炭素数1〜4のアルキ
ル基又はフェニル基が好ましい。
【0027】そして、ケイ素アルコキシド(I)におい
て、n=0のテトラアルコキシシランとしてはテトラメ
トキシシラン、テトラエトキシシランが例示でき;n=
1のオルガノトリアルコキシシランとしてはメチルトリ
メトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルト
リイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラ
ン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシ
ランが例示でき;n=2のジオルガノジアルコキシシラ
ンとしてはジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエト
キシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニル
ジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシランが
例示でき;n=3のトリオルガノアルコキシシランとし
てはトリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシ
ラン、トリメチルイソプロポキシシラン、ジメチルイソ
ブチルメトキシシランが例示できる。
【0028】そして、無機コーティング剤のケイ素アル
コキシド(I)のうち50モル%以上がn=1で表され
る3官能のケイ素アルコキシドであることが最終的に硬
度の高い塗膜を得るには好ましく、より好ましくは60
モル%以上であり、最も好ましくは70モル%以上であ
る。
【0029】無機コーティング剤の、コロイドシリカを
分散した液は固形分としてのシリカを20〜50重量%
含有しており、この含有量からシリカ配合量を決定す
る。また、水に分散させたコロイドシリカを使用する場
合、存在する水は前記のケイ素アルコキシドの加水分解
に用いることができる。このような水分散型コロイドシ
リカは通常水ガラスから作られるが、市販品があり容易
に入手することができる。水分散型コロイドシリカの水
を有機溶媒と置換して調整することにより有機溶媒にコ
ロイドシリカが分散された液が調製できるし、また、こ
のような有機溶媒分散型コロイドシリカも市販品があり
容易に入手することができる。
【0030】コロイドシリカを分散させる有機溶媒とし
ては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノ
ール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族
アルコール類;エチレングリコール、エチレングリコー
ルモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエ
チルエーテル等のエチレングリコール誘導体;ジエチレ
ングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル等のジエチレングリコールの誘導体;ジアセトンアル
コール等を挙げることができ、これらからなる群より選
ばれた1種又は2種以上のものを使用することができ
る。これらの親水性有機溶媒と併用してトルエン、キシ
レン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシムな
ども用いることができる。
【0031】そして、ケイ素アルコキシド(I)を部分
加水分解をさせるための水の使用量は(I)式中の加水
分解基であるOR2 基1モルに対して水を0.001〜
0.5モル使用することが好ましい。0.5モルを超え
ると部分加水分解物の安定性が悪くなる欠点が生じる。
ケイ素アルコキシドを部分加水分解する方法については
特に限定はなく、ケイ素アルコキシドとコロイドシリカ
分散液とを混合して必要量の水を添加すればよく、この
部分加水分解反応は常温でも進行するが、反応を促進さ
せるため60〜100℃に加温してもよい。更に部分加
水分解反応を促進させるため、塩酸、酢酸、ハロゲン化
シラン、クロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマ
ロン酸、ギ酸、プロピオン酸、グルタル酸、グリコール
酸、マレイン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、シュ
ウ酸などの有機酸又は無機酸を触媒に用いてもよい。
【0032】ケイ素アルコキシドとコロイドシリカ分散
液とを混合して必要量の水を添加したもの(混合液)が
長期的に安定した性質を有するようにするには、この混
合液のpHを2.0〜7.0、好ましくは2.5〜6.
5、より好ましくは3.0〜6.0にする。pHの調整に
ついては、混合液のpHが前記の範囲より酸性側であれ
ば、アンモニア、エチレンジアミン等の塩基性試薬を添
加して調整すればよく、塩基性側であれば塩酸、硝酸、
酢酸等の酸性試薬を用いて調整すればよい。
【0033】また、本発明における高分子シラノールと
は、平均組成式(II)で示される化合物であり、(II)
式中のR3 としては、(I)式中のR1 及びR2 と同じ
ものが例示されるが、好ましくは、炭素数1〜4のアル
キル基;フェニル基;ビニル基;γ−グリシドキシプロ
ピル、γ−メタクリロキシプロピル、γ−アミノプロピ
ル、3,3,3−トリフルオロプロピルなどの置換炭化
水素基であり、より好ましくはメチル基又はフェニル基
である。
【0034】また、(II)式中のa及びbについては、
aが0.2未満又はbが3.0を超えると硬化塗膜にク
ラックを生じるなどの不都合があり、aが2.0を超え
る場合又はbが0.0001未満の場合は硬化が好適に
進行しない。また、高分子シラノールの分子量は700
〜20,000であることが好ましい。なお、ここでい
う分子量はGPC測定による、標準ポリスチレン換算の
重量平均分子量である。700未満の場合は塗膜の硬化
性が遅く、かつクラックが発生しやすい。20,000
を超えると顔料を添加した塗料から得られる塗膜に光沢
がなく、かつ平滑性もよくない。
【0035】このような高分子シラノールはメチルトリ
クロロシラン、ジメチルジクロロシラン、フェニルトリ
クロロシラン、ジフェニルジクロロシラン又はこれらに
対応するアルコキシシランの1種若しくは2種以上の混
合物を大量の水で加水分解することで得ることができ
る。なお、加水分解されないアルコキシ基が微量に残っ
ている高分子シラノールを使用しても差支えない。
【0036】部分加水分解されたケイ素アルコキシドと
コロイドシリカを含む成分と高分子シラノール成分との
縮合反応を促進し、被膜を硬化させる目的で、必要に応
じて、硬化触媒を添加することができる。この硬化触媒
としてはアルキルチタン酸塩、オクチル酸錫、ジブチル
錫ジラウレート、ジオクチル錫ジマレート等のカルボン
酸の金属塩;ジブチルアミン−2−ヘキソエート、ジメ
チルアミンアセテート、エタノールアミンアセテート等
のアミン塩;テトラエチルペンタミンのようなアミン
類;N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチル
ジメトキシシラン等のアミン系シランカップリング剤;
【0037】P−トルエンスルホン酸、フタル酸、塩酸
等の酸類;アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキ
レート等のアルミニウム化合物;水酸化カリウムなどの
アルカリ触媒;テトライソプロピルチタネート、テトラ
ブチルチタネート、チタニウムテトラアセチルアセトネ
ート等のチタニウム化合物;メチルトリクロロシラン、
ジメチルジクロロシラン、トリメチルモノクロロシラン
等のハロゲン化シラン等が例示されるが、その他のもの
であっても、ケイ素アルコキシドの部分加水分解物と高
分子シラノールとの縮合反応に有効なものであれば特に
制限はない。
【0038】部分加水分解されたケイ素アルコキシドと
コロイドシリカを含む成分と高分子シラノール成分の配
合割合は、部分加水分解されたケイ素アルコキシドとコ
ロイドシリカを含む成分を成分(A)、高分子シラノー
ル成分を成分(B)と表すと、成分(A)と成分(B)
の合計(樹脂成分)100重量部に対して、成分(A)
1〜99重量部、成分(B)99〜1重量部であること
が好ましく、より好ましくは成分(A)5〜95重量
部、成分(B)95〜5重量部であり、最も好ましくは
成分(A)10〜90重量部、成分(B)90〜10重
量部である。成分(A)と成分(B)の合計100重量
部中で、成分(A)が1重量部未満であると硬化性が劣
るとともに、十分な被膜硬度が得られず、一方、99重
量部を超えると硬化性が不安定でかつ塗膜の性能が劣る
という問題が生じる。
【0039】そして、前記の硬化触媒の添加量は成分
(A)と成分(B)の合計(樹脂成分)100重量部に
対して0.0001〜10重量部であることが好まし
い。より好ましくは0.0005〜8重量部であり、最
も好ましくは0.0007〜5重量部である。0.00
01重量部未満であると硬化性が悪く、10重量部を超
えると塗膜の耐熱性、耐候性が悪くなる。
【0040】本発明の方法で使用する無機塗料は、各種
有機溶媒で希釈して使用できる。希釈用の有機溶媒とし
てはコロイドシリカの分散溶媒として示したメタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、
イソブタノール等の低級脂肪族アルコール類;エチレン
グリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、
酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレ
ングリコール誘導体;ジエチレングリコール、ジエチレ
ングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコ
ール誘導体;及びジアセトンアルコール等を挙げること
ができる、これらからなる群より選ばれた1種又は2種
以上のものを使用することができる。これらの親水性有
機溶媒と併用してトルエン、キシレン、酢酸エチル、酢
酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン、メチルエチルケトオキシムなども用いることができ
る。
【0041】常温硬化型無機塗料の保存方法は前記の成
分(A)、成分(B)という呼称に加えて、更に成分
(A)に顔料を分散したものを成分(A′)と表すと、
成分(A′)、成分(B)及び硬化触媒の3成分をそれ
ぞれ独立して保存する3包装形をとるのが一般的である
が、成分(A′)と硬化触媒を混合したものと、成分
(B)の2つに分けて2包装形としておき、使用時に両
者を混合するか、すべての成分を混合して一容器内に保
存する1包装形とすることも可能である。ただし、成分
(A′)と硬化触媒を混合したものを保存する場合は、
成分(A′)のpHを2〜7に調整した後、硬化触媒を加
えるようにすることが好ましく、更に成分(A′)中の
ケイ素アルコキシドの加水分解性基(OR2 基)1モル
に対する水の使用量は0.3モル以下が好ましい。
【0042】(8)本発明は、ケイ素アルコキシド系コ
ーティング層を有する無機質硬化体又は金属の表面の補
修必要箇所に、必要に応じて補修材を施し、まず、上記
(a)〜(d)を必須成分とするプライマー組成物を塗
布し、次いで、無機系常温乾燥型塗料などの常温硬化型
塗料を塗布することにより完成される。プライマー組成
物及び常温硬化型塗料の塗布方法は特に限定はなく、ス
プレーやハケ塗り等の方法により適宜行えばよい。塗布
厚み(又は被膜厚み)も適宜設定できる。
【0043】本発明で適用する無機質硬化体又は金属表
面のケイ素アルコキシド系コーティング層とは、例え
ば、次の一般式:
【0044】(R′)mSi(OR″)4-m
【0045】(式中、R′はメチル基又はエチル基を表
し、R″は炭素数1〜4のアルキル基、mは0、1又は
2を表す)
【0046】で示されるケイ素化合物及び/又はその部
分加水分解物を主成分とするコーティング剤により形成
される。このコーティング剤は、その他の成分としてシ
リカゾルを含んでいてもよく、また、着色剤、充填剤、
界面活性剤、増粘剤、老化防止剤等が添加されていても
よい。これらのコーティング剤には無機酸や有機酸、第
4級アンモニウム塩やアミン塩又は有機スズ化合物など
の触媒が添加され、無機質硬化体又は金属に塗布されて
加熱硬化される。
【0047】あるいは、 (A)一般式
【0048】 (R4)r SiX4-r (I)
【0049】(式中、R4 は同一又は異なる置換若しく
は非置換の炭素数1〜8の1価の炭化水素基を表し、n
は0、1、2又は3、Xは加水分解性基を表す)
【0050】で示される加水分解性オルガノシランが有
機溶媒又は水に分散されたコロイドシリカ中で、X1モ
ルに対し水0.001〜0.5モルを使用して部分加水
分解したオルガノシランのシリカ分散オリゴマー溶液と
【0051】(B)平均組成式
【0052】 (R5)c Si(OH)d(4-c-d)/2 (II)
【0053】(式中、R5 は同一又は異なる置換若しく
は非置換の炭素数1〜8の1価の炭化水素基を表し、c
及びdはそれぞれ0.2≦c≦2、0.0001≦d≦
3、c+d<4の関係を満たす数である)
【0054】で示されるシラノール基を有するポリオル
ガノシロキサン及び
【0055】(C)触媒
【0056】とからなるコーティング組成物を塗布した
ものでもよい。
【0057】これらのコーティング剤はその他の成分と
して、着色剤、充填剤、界面活性剤、増粘剤、老化防止
剤等が添加されていてもよい。
【0058】無機質硬化体は、例えば、建造物の外壁材
等に利用されるものであり、例えば、セメント、ケイ石
粉、パルプ、アスベスト、合成繊維などの原料から適宜
製造される。また、金属とは、建造物の外壁を初め、雨
とい、窓枠等に利用される金属加工物であり、SUS3
04等のステンレススチール基材を初め、鉄又はアルミ
ニウム金属で、アルカリ脱脂や溶剤脱脂により油分や汚
れ等が取り除かれたもの、あるいはクロメート等の化成
処理を施されたものでもかまわない。更には基材表面に
エンボスロール等で模様がつけられたものでもよい。
【0059】無機質硬化体又は金属の表面のケイ素アル
コキシド系コーティング層の傷、欠けなどの生じた箇所
に、上記プライマー組成物を塗布し、その後、常温硬化
型無機塗料を塗布して補修を行う。
【0060】
【作用】上記特定の成分(a)、(b)、(c)及び
(d)を含むプライマー組成物を塗布しておいてから常
温硬化型無機塗料を塗布するようにしたので、プライマ
ー自身の耐候性が向上し、同塗料のケイ素アルコキシド
系コーティング面及び上塗りの常温硬化型無機塗料に対
する接着性が良好になる。同塗料は、常温硬化型である
ので、塗膜形成のために焼付け処理を必要としない。
【0061】成分(a)の主な働きは、プライマー組成
物が乾燥硬化して形成される被膜を強靭なものとし、ま
た、無機系塗料などの塗料のプライマー被膜に対する接
着性を与えることにある。成分(b)は、ケイ素アルコ
キシド系コーティング面に対する接着性を得るために必
須の成分である。成分(c)は、成分(b)のアルコキ
シ基の加水分解触媒として作用し、かつ、ケイ素アルコ
キシド系コーティング面と接着性を有し、塗装後速やか
に強靭なプライマー被膜を形成させるためのものであ
り、上塗りの常温硬化型無機塗料との硬化バランスを維
持し、それによって密着性能を向上させる。成分(d)
は、プライマー組成物の塗布作業を容易にするためのも
のである。
【0062】
【実施例】以下に、本発明を実施例及び比較例によって
具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れない。なお、「部」及び「%」はそれぞれ「重量部」
及び「重量%」を表す。
【0063】(ケイ素アルコキシド系コーティング液の
調製) 参考例1:無機質硬化体又は金属表面用クリアーコーテ
ィング液(C−1)の調製 メチルトリメトキシシラン100部、テトラエトキシシ
ラン20部、IPAシリカゾル(触媒化成工業社製オス
カル1432、SiO2 含量30%)105部、ジメチ
ルジメトキシシラン5部及びIPA 100部を混合し
た。この混合溶液に、触媒量の1N 塩酸1部と水4.5
部を加え、A液とした。なお、配合は、25℃雰囲気に
て500rpm で30分撹拌した。
【0064】調製されたA液を25℃で1週間以上密栓
状態で保存し、使用時に、A液100部に対して水42
部とIPA42部を加えて25℃にて500rpm で10
分間撹拌し、コーティング液(C−1)とした。
【0065】参考例2:無機質硬化体又は金属表面用着
色コーティング液(C−2)の調製 メチルトリメトキシシラン100部、テトラエトキシシ
ラン10部、IPAシリカゾル(触媒化成工業社製オス
カル1432、SiO2 含量30%)110部、ジメチ
ルジメトキシシラン20部及びIPA 100部を混合
した。この混合溶液に、(C−1)と同様にして触媒量
の1N 塩酸0.85部と水5部を加え、A′液を調製し
た。調製されたA′液を上記A液と同様に保存し、使用
時には、A′液100部に対して水43部とIPA43
部を加えて、A″液を得た。
【0066】この、A″液100部に、市販の酸化チタ
ン7.5部、微粉末シリカ(日本アエロジル社製アエロ
ジルR972)0.3部及びトルエン−IPA混合液に
より希釈された10%エチルセルロース2.5部を添加
した。これをディスパー(分散機)を用いて、容器内に
ガラスビーズを添加して2,000rpm で15分間分散
し、得られたA''' 液を25℃で3日間密栓して保存し
た。使用時に、A'''液100部に対して水27部、I
PA27部及び触媒量の1N 塩酸0.2部を加え、以下
参考例1と同様にしてコーティング液(C−2)を得
た。
【0067】参考例3:無機質硬化体又は金属表面用着
色コーティング液(C−3)及び常温硬化型無機塗料の
調製 (A)成分の調製:撹拌機、加温ジャケット、コンデン
サー及び温度計を取り付けたフラスコ中にイソプロピル
アルコル分散コロイドシリカゾルIPA−ST(粒子径
10〜20mμ、固形分30%、水分0.5%、日産化
学工業社製)100部、メチルトリメトキシシラン68
部、ジメチルジメトキシシラン18部、水2.7部、無
水酢酸0.1部を投入して撹拌しながら80℃の温度で
約3時間かけて部分加水分解反応を行い冷却して(A)
成分を得た。このものは、室温で48時間放置したとき
の固形分が36%であった。ここで得た(A)成分を
(A−1)と称する。
【0068】同様に下記条件で調製した(A)成分を
(A−2)とする。 ・加水分解性基1モルに対する水のモル数……………… 0.1 ・(A)成分のシリカ分含有量……………………………40.2% ・n=1の加水分解性基含有オルガノシランのモル%…77モル%
【0069】(B)成分の調製:メチルトリイソプロポ
キシシラン220部(1モル)とトルエン150部との
混合液を計り取り、撹拌機、加温ジャケット、コンデン
サー、滴下漏斗及び温度計を取付けたフラスコに1%塩
酸水溶液108部を上記混合物に20分で滴下してメチ
ルトリイソプロポキシシランを加水分解した。滴下40
分後に撹拌を止め、2層に分離した少量の塩酸を含んだ
下層の水−イソプロピルアルコールの混合液を分液し、
次に残ったトルエンの樹脂溶液中の塩酸を水洗、除去
し、更にトルエンを減圧除去した後、イソプロピルアル
コールで希釈し平均分子量約2,000のシラノール基
を有するポリオルガノシロキサンのイソプロピルアルコ
ール40%溶液を得た。これを(B−1)とする。
【0070】(A−1)が100部に対して、顔料とし
て酸化チタン50部、分散剤7部、増粘剤0.2部、煙
霧質シリカ2部を加え、サンドミルを用いて1,000
rpmで20分間処理した。得られた混合液100部に対
してN−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルジメチ
ルメトキシシラン0.31部、ジブチル錫ジラウレート
0.62部を硬化触媒として加えて顔料入りの液(A′
−1)を調製した。更に(A′−1):(B−1)=1
60:100で混合して常温硬化型無機塗料(C−3)
を得た。
【0071】(プライマーの調製) 参考例4:プライマー(P−1)の調製 炭素数6〜8の不飽和結合(複数)を有する炭化水素混
合物を過酢酸にてエポキシ化したエポキシ化合物100
部に、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン20
0部を加え、窒素雰囲気下80℃で8時間加熱撹拌し
た。次いで室温まで冷却した後、γ−アミノプロピルト
リエトキシシラン50部及びトルエン500部を加え、
撹拌してプライマー(P−1)を得た。
【0072】参考例5:プライマー(P−2)の調製 分子量が約400のビスフェノールAジグリシジルエー
テル100部に、γ−メルカプトプロピルトリエトキシ
シラン300部、N−(β−アミノエチル)−γ−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン100部、キシレン10
0部及びテトラメトキシシラン100部を加えて撹拌
し、プライマー(P−2)を得た。
【0073】参考例6:プライマー(P−3)の調製 プライマー(P−1)を調製する際に用いたものと同じ
エポキシ化合物100部に、γ−メルカプトプロピルト
リエトキシシラン100部を加え、窒素雰囲気で80℃
で8時間加熱撹拌した。次いで、室温まで冷却した後、
N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチル
ジメトキシシラン75部、ノルマルヘキサン700部及
びメチルトリメトキシシラン100部を加え、撹拌して
プライマー(P−3)を得た。
【0074】参考例(比較)7:プライマーP′ 比較として、特開平3−242268号公報に基づき、
以下のとおりプライマーを調製した。
【0075】炭素数6〜8の不飽和結合を有する炭化水
素混合体を過酢酸にてエポキシ化したエポキシ化合物1
00部に、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン
100部を加え、チッソ雰囲気下80℃で8時間加熱撹
拌した。次いで室温まで冷却した後、チタン酸テトラエ
チル75部、ノルマルヘキサン700部及びメチルトリ
メトキシシラン100部を加え、撹拌してプライマー
P′を得た。
【0076】(無機質硬化体の調製) 参考例8 セメント、ケイ石粉、パルプ、アスベスト及びプロピレ
ン繊維からなる原料に、水及び増粘剤を加えて混合し、
押出成形した後、オートクレーブ養生して無機質硬化体
を得た。
【0077】(金属品の調製) 参考例9 SUS304基材にエンボスロールでスタッコ調の模様
をつけた金属板をアルカリ脱脂、洗浄及び乾燥した。
【0078】実施例1〜3 参考例8で得た無機質硬化体に、ウレタン変性アルコキ
シド系シリコーンプライマー(東芝シリコーン社製、X
C99−8024)を固形分で約20g/m2塗布し、セッ
ティングを約5分間とった後、60℃雰囲気で約30分
間加熱硬化させた。次いで、コーティング液(C−2)
を固形分で約20g/m2塗布し、セッティングを約5分間
とった後、150℃雰囲気で約20分間加熱硬化させ
た。
【0079】最後に、コーティング液(C−1)を固形
分で約10g/m2塗布し、セッティングを約5分間とった
後、150℃雰囲気で約30分間加熱硬化させてケイ素
アルコキシドコーティング層を有する無機質硬化体を得
た。
【0080】この無機質硬化体にカラーネイル(松下電
工社製、RM891A)、パテ(大日本塗料社製、ゆう
元パテ)、シリコーンコーキング(東芝シリコーン社
製、XE75−A0858)を施し、更に一部を傷つけ
セメント下地を露出させたサンプルに、表1に示すよう
にプライマー(P−1)〜(P−3)を塗料刷毛を用い
て補修必要箇所に塗布し、常温で30分間乾燥させた。
次いでコーティング液(C−3)を塗料刷毛を用いて塗
布し、常温で7日間乾燥させ試験体を得た。
【0081】得られた試験体を用いて、密着性及び耐候
性の試験を行った。密着性は60℃の温水中に20日間
浸漬した後、基盤目試験方法によりセロハン粘着テープ
密着試験を行い、剥離箇所の数を観察した。密着性に異
常ないものは○印で表示した。
【0082】耐候性試験はサンシャインウエザーメータ
ーを用い、1,000時間後塗膜の性状を観察した。こ
れらの結果を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】実施例4〜6 実施例1〜3において、コーティング液(C−1)を塗
布せず、コーティング液(C−2)塗布のまでで留めた
以外は、実施例1〜3と同様に実施した。結果を表1に
示す。
【0085】実施例7〜9 実施例4〜6において、コーティング液(C−2)の代
わりに、コーティング液(C−3)を固形分で約20g/
m2塗布し、セッティングを約5分間とった後、60℃雰
囲気で約20分間焼き付けて試験体を作成した以外は、
実施例4〜6と同様に実施した。結果を表1に示す。
【0086】実施例10〜12 参考例9で調整した金属品に、エポキシ系「E1焼き付
けプライマー」(イサム塗料社製)を固形分で約35g/
m2塗布し、セッティングを約5分間とった後、80℃雰
囲気で約20分間加熱硬化させた。次いで、コーティン
グ液(C−2)を固形分で約20g/m2塗布し、セッティ
ングを約5分間とった後、150℃雰囲気で20分間加
熱硬化させた。
【0087】最後に、コーティング液(C−1)を固形
分で約10g/m2塗布し、セッティングを約5分間とった
後、150℃雰囲気で約30分間加熱硬化させてケイ素
アルコキシドコーティング層を有するステンレススチー
ル金属体を得た。
【0088】この試験体のケイ素アルコキシドコーティ
ング層に傷をつけてSUS金属下地を露出させた後、表
1に示す組成のプライマー(P−1)〜(P−3)を塗
料刷毛を用いて補修必要箇所に塗布し、常温で30分間
乾燥させた。次いで表1に示すコーティング液(C−
3)を塗料刷毛を用いて塗布し、常温で7日間乾燥させ
試験体を得た。結果を表1に示す。
【0089】比較例1 実施例1〜3と同様にして試験体を作成した。ただし、
プライマー(P−1)〜(P−3)を用いる代わりに、
プライマーP′を用いた。結果を表1に示す。
【0090】比較例2 実施例1と同様にして試験体を作成した。ただし、コー
ティング液(C−3)の代わりに、フッ素系塗料(東亜
ペイント社製「ニューガーメット」)を使用した。結果
を表1に示す。
【0091】比較例3及び4 実施例1〜3と同様にして、ケイ素アルコキシドコーテ
ィング層を有する無機質硬化体を作成した後、表1に示
したプライマー(P−1)及びP′を塗料刷毛を用いて
ケイ素アルコキシドコーティング層に塗布し、常温で7
日間乾燥させ試験体を得た。結果を表1に示す。
【0092】比較例5 本発明のプライマーを使用しなかった以外は、実施例1
〜3と同様に実施した。結果を表1に示す。
【0093】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のプライマ
ーを用いれば、アルコキシド系シリコーン処理面、ステ
ンレススチール、セメント、パテ、カラーネイル等に対
して、耐候性が優れた常温硬化型無機塗料が強固に密着
し、かつプライマー部が露出しても、色変化の少ない補
修ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 41/68 C04B 41/68 41/71 41/71 C08G 59/40 C08G 59/40 C09D 163/00 C09D 163/00 (72)発明者 佐藤 則夫 東京都港区六本木6丁目2番31号 東芝 シリコーン株式会社内 (72)発明者 砂賀 健 東京都港区六本木6丁目2番31号 東芝 シリコーン株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−211278(JP,A) 特開 昭59−176359(JP,A) 特開 平3−121171(JP,A) 特開 昭48−90365(JP,A) 特開 平4−295077(JP,A) 特開 平5−277435(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機質硬化体又は金属表面の補修必要箇
    所に、あらかじめ下記の成分(a)、(b)、(c)及
    び(d)からなるプライマー組成物を塗布し、次いで常
    温硬化型無機塗料を塗布する、ケイ素アルコキシド系コ
    ーティング層を有する無機質硬化体又は金属表面の補修
    方法。 (a)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキ
    シ化合物 (b)1分子中に1個以上のメルカプト基及び2個以上
    のアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物 (c)1分子中に1個以上のアミノ基及び2個以上のア
    ルコキシ基を有する有機ケイ素化合物 (d)有機溶剤
  2. 【請求項2】 補修必要箇所に、補修材を施してからプ
    ライマー組成物を塗布する請求項1記載の補修方法。
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DE102012202389A1 (de) * 2012-02-16 2013-08-22 Wacker Chemie Ag Hydrophobiermittel für Beschichtungen
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