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JP2659027B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物

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JP2659027B2
JP2659027B2 JP8009990A JP8009990A JP2659027B2 JP 2659027 B2 JP2659027 B2 JP 2659027B2 JP 8009990 A JP8009990 A JP 8009990A JP 8009990 A JP8009990 A JP 8009990A JP 2659027 B2 JP2659027 B2 JP 2659027B2
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KURARE KK
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Description

【発明の詳細な説明】 A.産業上の利用分野 本発明は、熱可塑性樹脂とエチレン−酢酸ビニル共重
合体ケン化物および不飽和カルボン酸またはその誘導体
変性ポリオレフィンのブレンド組成物の製膜性が著しく
改善された組成物に関する。
B.従来の技術 熱可塑性樹脂とエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化
物(以下EVOHと省略する)および不飽和カルボン酸また
はその誘導体変性ポリオレフィン(以下変性ポリオレフ
ィンと省略する)ブレンド組成物は、特徴のある物性を
備えている。例えば熱可塑性樹脂とEVOHおよび変性ポリ
オレフィンの多層共押出成形時に、熱可塑性樹脂あるい
はEVOH層に代えて、当該ブレンド組成物の層を使用した
り、あるいは、熱可塑性樹脂とEVOH層の中間に、当該ブ
レンド組成物の層を設けることにより層間接着力を向上
させることができる。また、熱可塑性樹脂とEVOHおよび
変性ポリオレフィンのブレンド組成物は熱可塑性樹脂に
比べて酸素ガスの透過を抑制することから、食品の酸素
ガスによる変質を防止することができる。このような熱
可塑性樹脂とEVOHおよび変性ポリオレフィンのブレンド
組成物の特徴は広く知られており、いわゆる押出成形法
によって利用する試みが種々検討されている。更に、熱
過可塑性樹脂とEVOHおよび変性ポリオレフィンの組合わ
せでの多層共押出成形は広く実施されており、多層成形
時において発生する不要物(熱可塑性樹脂とEVOHおよび
変性ポリオレフィンのブレンド組成物)の回収を実施し
経済性を高めることが望まれていた。
しかしながら、この組成物は一般に押出成形時の製膜
性が悪く、フィルム,シート,びんなどに成形すると、
外観が著しく損なわれたり、ブレンド組成物の内部での
剥離等によって良好な成形物は得られないのが実状であ
った。
一方、異種の高分子を混合して、性質を改良したり、
加工性を向上させる方法は数多く行なわれており、その
一成分としてビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物と
からなるブロック共重合体水添物(以下ブロック共重合
体水添物と省略する)あるいは、その不飽和ジカルボン
酸誘導体(以下変性ブロック共重合体水添物と省略す
る)を使用することは知られている。例えば特開58−74
43には、極性熱可塑性重合体にブロック共重合体水添物
をブレンドして使用する記載はあるが、該特許の実施例
から判断すると、該特許は、ブレンドによる機械特性の
改良に関するものであり、本発明の製膜性および共押出
成形性(外観不良、剥離)の改善に関する技術的思想は
まったく認められない。
C.発明が解決しようとする課題 本発明は、熱可塑性樹脂(A),EVOH(B)および変
性ポリオレフィン(C)からなる樹脂組成物の製膜性の
悪さ、および得られるフィルムなどの成形物の外観の悪
さを改善せんとするものである。
D.課題を解決するための手段 前記課題は、熱可塑性樹脂(A)とEVOH(B)および
変性ポリオレフィン(C)に、ブロック共重合体水添物
(D)を特定範囲内で含有させる事によって解決され
る。
本発明者らは、熱可塑性樹脂(A)とEVOH(B)およ
び変性ポリオレフィン(C)のブレンド組成物の製膜性
を改良し、外観美麗な押出成形物を得る方法を種々検討
した結果、変性ポリオレフィン(C)と、ブロック共重
合体水添物(D)の両者が存在する場合に、極めて顕著
な製膜性の改良効果が得られる事を見出だした。変性ポ
リオレフィン(C)が存在しない時には、製膜性の改良
効果は少なく良好な成形物が得難くかつ成形物中にゲル
状の熱劣化樹脂が混入するという新たな異常が発生して
不良な成形物しか得られない事と比較すると驚くべきこ
とである。
また、本発明者らは、不飽和カルボン酸またはその誘
導体を、ブロック共重合体水添物(a)に特定範囲内で
付加反応して得た変性ブロック共重合体水添物(b)
を、上記ブレンド組成物に含有させることにより、さら
に容易に外観美麗で、層内部での剥離やゲル状熱劣化樹
脂の混入等の異常がない押出成形物が得られることを見
出だした。
すなわち、より具体的には(A)+(B)、(A)+
(B)+(C)、(A)+(B)+(D)のブレンド系
では異常の改善効果は少ないが、(A)+(B)+
(C)+(D)のブレンド系では、後述する様に特定の
組成比において予想外の改善効果を示す事がわかった。
また、該組成物中の成分(D)の組成が、(a)のみの
場合よりも(a)+(b)、の場合の改善効果が優れる
事がわかった。
さらに、該組成物にエチレンジアミンア四酢酸の金属
塩、ハイドロタルサイト系化合物、あるいは高級脂肪酸
金属塩などで代表される周期律表I族、II族およびIII
族から選ばれる少なくともひとつの元素を含む塩あるい
は酸化物の少なくとも1種(E)をブレンドすると、よ
り一層の改善効果があることがわかり、本発明を完成す
るに至った。これらの事は後述の実施例からも明らかで
ある。
本発明において、熱可塑性樹脂(A)としては、とく
に低吸水性熱可塑性樹脂、たとえばポリオレフィン、ポ
リエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネ
ート、ポリ塩化ビニルなどがあげられ、これらは1種ま
たは2種以上、同時に用いられる。これらのうちポリオ
レフィン、ポリスチレンが好適である。
ポリオレフィンとしては、高密度、中密度あるいは低
密度のポリエチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステ
ル、あるいはブテン、ヘキセン、4−メチル−1−ペン
テンなどのα−オレフィン類を共重合したポリエチレ
ン、アイオノマー樹脂、ポリプロピレンホモポリマー、
エチレンをグラフト重合したポリプロピレン、あるいは
エチレン、ブテン、ヘキセン、4−メチル−1−ペンテ
ンなどのα−オレフィン類を共重合したポリプロピレ
ン、ゴム系ポリマーをブレンドした変性ポリプロピレ
ン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンを
含んでいる。これらのうち、ポリエチレン、ポリプロピ
レン系樹脂はEVOHとの相溶性が特に不良であり、本発明
の効果がとりわけ顕著である点で重要である。
ポリスチレンとしては、下記の一般式で示される構造
単位を樹脂中に少なくとも25重量%以上含有する樹脂で
ある。
(ここでRは水素原子またはメチル基を、Zはハロゲン
原子またはメチル基を、pは0または1〜3の整数であ
る。)具体的には、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレ
ン、スチレン−アクリロニトリル共重合、スチレン−ブ
タジエン−アクリロニトリル共重合体などで例示される
スチレンおよびその誘導体の単独重合体および共重合体
が挙げられる。これらの樹脂にスチレン−共役ジエンブ
ロック共重合ゴムおよびその水添物をブレンドした物も
適用される。
ポリアミドとしては、ω−アミノカルボン酸の重縮合
反応や二塩基性酸とジアミンの重縮合反応により製造さ
れ、6−ナイロン、6−6−ナイロン、6−10−ナイロ
ン、11−ナイロン、12−ナイロン及びこれらの共重合体
等であり、特に、ε−カプロラクタムとアジピン酸ヘキ
サメチレンジアンモニウムとの共重合体ポリアミド樹脂
が好ましい。
またポリエステルとしては、飽和二塩基酸とグリコー
ル類の重合により得られるものであり、例えばエチレン
グリコールとテレフタル酸より得られるポリエチレンテ
レフタレート、フタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、
アジピン酸、アゼライン酸、グルタル酸、コハク酸、シ
ュウ酸などの飽和二塩基酸を共重合体成分としたポリエ
チレンテレフタレート共重合体、およびジオール成分と
して1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレング
リコール、プロピレングリコールなどを共重合体成分と
したポリエチレンテレフタレート共重合体またはポリブ
チレンあるいはこれらのブレンド品である。
本発明において、EVOH(B)とは、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体ケン化物であり、エチレン含有量20〜60モ
ル%、好適には25〜50モル%、酢酸ビニル成分のケン化
度90%以上、好適には95%以上のものが使用できる。エ
チレン含有量20モル%未満では溶融成形性が悪く、一方
60以上ではガスバリアー性が不足する。またケン化度が
90%未満ではガスバリアー性および熱安定性が悪くな
る。また該EVOHには、本発明の目的が阻害されない範囲
で、他の単量体[たとえばポリプロピレン、ブチレン、
不飽和カルボン酸またはそのエステル{(メタ)アクリ
ル酸、(メタ)アクリル酸エステル(メチル、エチル)
など}、ビニルシラン化合物(ビニルトリメトキシシラ
ン、トリエトキシシランなど)、ビニルピロリドン(N
−ビニルピロリドンなど)]を共重合することもでき
る。このEVOHには可塑剤、熱安定化剤、紫外線吸収剤、
酸化防止剤、着色剤、フィラー、他の樹脂(部分ケン化
エチレン−酢酸ビニル共重合体など)をブレンドするこ
とも自由である。
また本発明に用いるEVOHの好適なメルトインデックス
(MI)(190℃、2160g荷重下で測定した値、ただし、融
点が190℃付近あるいは190℃を越えるものは2160g荷重
下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶
対温度の逆数を横軸、メルトインデックスを縦軸として
プロツトし、190℃に外挿した値)は0.1〜50g/10分、最
適には0.5〜20g/10分である。
本発明にいう変性ポリオレフィン(C)とは、不飽和
カルボン酸またはその誘導体変性ポリオレフィンであ
り、たとえば、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン
酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸
等の不飽和カルボン酸、そのエステルまたはその無水
物;アクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、アクリ
ル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、
メタクリル酸ブチル、グリシジルアクリレート、グリシ
ジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム等
の不飽和カルボン酸誘導体;の群より選ばれた少なくと
も1種により変性されたポリオレフィン樹脂である。こ
こでポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、エチレン−酢酸ビニルまたはアクリル酸エ
ステル共重合体などが好適なものとしてあげられる。
本発明にいうブロック共重合体水添物(D)として
は、まずビニル芳香族化合物の共役ジエン化合物からな
るブロック共重合体水添物(a)が挙げられる。(a)
は、ビニル芳香族化合物重合体ブロック(S)と不飽和
度が20%を越えない共役ジエン化合物ブロック(O)と
からなり、一般にS−O,あるいはS−O−Sの構造で表
されるが、分子構造は、直線状、分岐状、放射状または
これらの組合せなどいずれであっても良く、S−O構造
とS−O−S構造を混合して使用しても良い。成分
(D)におけるビニル芳香族化合物の含有量は10〜90重
量%、好ましくは10〜50重量%であり、ビニル芳香族化
合物として、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルト
ルエン等から1種あるいは2種以上選択して使用でき、
共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、
1,3−ペンタジエン等から1種あるいは2種以上選択し
て使用できる。
更に、成分(D)としては前述のビニル芳香族化合物
と共役ジエン化合物からなるブロック共重合体水添物
(a)100重量部に対して、不飽和カルボン酸またはそ
の誘導体を0.1〜10重量部付加反応して変性した変性ブ
ロック共重合体水添物(b)が挙げられる。不飽和カル
ボン酸またはその誘導体の付加量は、1〜5重量部であ
ることが改良効果があり更に好ましい。
成分(D)として、上記(a)と(b)のブレンド物
を使用する事により、より優れた効果が得られるが、そ
の際の配合割合(重量比)は(a)/(b)=1/99〜99
/1が好ましく、更に好適には10/90〜90/10である。ま
た、(a)と(b)中に占めるそれぞれのビニル芳香族
化合物含有率が異なる組合わせのブレンド物として使用
する事も自由である。
ブロック共重合体水添物(a)に付加させる不飽和カ
ルボン酸またはその誘導体の例としては、アクリル酸,
メタアクリル酸,マレイン酸,フマル酸,クロトン酸,
イタコン酸,シトラコン酸等の不飽和カルボン酸、その
エステルまたはその無水物;アクリルアミド,メタクリ
ルアミド,アクリル酸ナトリウム,メタアクリル酸ナト
リウム等の不飽和カルボン酸誘導体があげられるが、こ
れらの中では無水マレイン酸が好適である。
本発明の樹脂組成物の配合割合は、熱可塑性樹脂
(A)100重量部に対してEVOH(B)は、10〜200重量
部、好適には10〜150重量部である。また変性ポリオレ
フィン(C)、ブロック共重合体水添物(D)は、EVOH
(B)に対しそれぞれ0.1〜3(重量比)、好適には0.5
〜2(重量比)配合される。
変性ポリオレフィン(C)がEVOH(B)に対して重量
比で0.1未満の場合や3以上の場合には、いづれもゲ
ル、ブツが若干量発生し、外観が不良になる。ブロック
共重合体水添物(D)が、EVOH(B)に対して重量比で
0.1未満であると、若干の乱れがシートに発生し、改善
効果が小さくなり、重量比3以上では、ゲル、ブツが若
干量発生し、外観が不良になる。これらは、比較例から
明らかである。
本発明において、変性ポリオレフィン(C)およびブ
ロック共重合体(D)を複合して用いることによりポリ
オレフィン(A)およびEVOH(B)の溶融成形物におけ
る成形性をかくも顕著に向上させ、層内剥離を防止する
機構は十分明らかではないが、ポリオレフィンおよびEV
OHの溶融系におけるレオロジー的効果、分散作用などが
複雑に組合わさった状態において変性ポリオレフィンお
よびブロック共重合体の相乗効果が有効に作用するもの
と推定される。
次に本発明においては、周期律表I族、II族およびII
I族から選ばれる少なくともひつとの元素を含む塩ある
いは酸化物の少なくとも1種(E)を配合することがゲ
ル発生防止の点でさらに好ましい。ここでたとえば多く
の化合物が揚げられるが、とりわけ酸化カルシウム、酸
化マグネシウム、酸化バリウム、酸化亜鉛などの酸化
物、脂肪酸の金属(I族、II族あるいはIII族)塩、エ
チレンジアミン四酢酸の金属(I族、II族あるいはIII
族)塩あるいはハイドロタルサイト類が有効である。更
にこれらの化合物でマグネシウム、カルシウム、亜鉛な
ど周期律表II族の金属元素を含む塩類が特に有効に作用
する傾向が見出されている。脂肪酸の金属(I族、II族
あるいはIII族)塩の脂肪族としては酢酸、プロピオン
酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、などの低級脂肪
族、ラウリン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸などの高
級脂肪酸が挙げられる。このうち、炭素数が8〜22の範
囲の高級脂肪酸の金属塩、とりわけ、カルシウム塩、マ
グネシウム塩、亜鉛塩が本発明の目的に特に好適であ
る。エチレンジアミン四酢酸の金属(I族、II族あるい
はIII族)塩としては二ナトリウム塩、三ナトリウム
塩、四ナトリウム塩、二カリウム塩、三カリウム塩、四
カリウム塩、二ナトリウム一マグネシウム塩、二ナトリ
ウム一カルシウム塩、二ナトリウム一鉄塩、二ナトリウ
ム一亜鉛塩、二カリウム一マグネシウム塩等が好適であ
る。また、ハイドロタルサイト化合物としては特にMxAl
y(OH)2X+3Y-2Z(A)・aH2O(MはMg、CaまたはZ
u、AはCO3またはHPO4、x、y、z、aは整数、aは0
であってもよい)で示される複塩であるハイドロタルサ
イト化合物を挙げることができ、このようなもので、特
に好適なものとしては次のようなものが例示される。
Mg6Al2(OH)16CO3・4H2O Mg8Al2(OH)20CO3・5H2O Mg5Al2(OH)14CO3・4H2O Mg10Al2(OH)22(CO3・4H2O Mg6Al2(OH)16HPO4・4H2O Ca6Al2(OH)16CO3・4H2O Zu6Al6(OH)16CH3・4H2O これらのハイドロタルサイト化合物はEVOHとポリオレ
フィンの相溶性を改良するばかりでなく、得られる成形
物の色相を改善する。
添加剤(E)の樹脂組成物中の添加量{(A)+
(B)+(C)+(D)}の合計量に対する配合割合と
しては、0.001〜10重量%、とりわけ0.01〜5重量%が
好適である。10重量%をこえると相溶性以外の諸物性が
損なわれ好ましくない場合が多い。また添加剤(E)
は、一種または複数種が用いられる。
(E)をブレンドする方法としては、直接ドライブレ
ンドで使用した場合、分散性不十分な場合、良好な結果
が得られない場合があるので、樹脂(A)、(B)、
(C)、(D)いずれかに所定量あらかじめブレンドし
て使用する事が好ましく、特に(A)にブレンドして使
用する事がより好適である。
本発明の組成物を得る方法としては、熱可塑性樹脂
(A)、EVOH(B)、変性ポリオレフィン(C)を含む
組成物にブロック共重合体水添物(D)をブレンドする
方法、あらかじめ、(A)、(B)あるいは(C)の1
種あるいはそれ以上に(D)をブレンドして使用する方
法、さらには、(A)、(B)、(C)を含む組成物に
(A)、(B)あるいは(C)の1種あるいはそれ以上
に(D)をブレンドしたものをブレンドする方法などが
ある。中でも(D)あるいは(D)+(A)のブレンド
物あるいは(D)+(C)のブレンド物を(A)、
(B)、(C)の組成物にブレンドする方法が有効であ
る。
ブレンド方法に関しては特に限定されるものではな
く、ドライブレンド法、あるいは一軸、二軸押出機によ
るプリペレット化法などがあげられるが、中でも、混練
部を持った一軸押出機によるプリペレット化法が有効で
ある。
またブレンドに際しては、原料、特にEVOHをふくむ組
成物の吸湿はさけるべきであり、吸湿した場合、80〜14
0℃で6〜24時間、乾燥して、EVOH中の水分率が1重量
%以下、好適には0.5重量%以下としてから使用するこ
とが好ましい。
また本発明の樹脂組成物には、たとえば熱可塑性樹
脂、たとえばポリオレフィンに慣用の他の添加剤を配合
することもできる。このような添加剤の例としては、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、
着色剤、充填剤、あるいは他の高分子化合物を挙げるこ
とができ、これらを本発明の作用効果が阻害されない範
囲内でブレンドすることができる。添加剤の具体的な例
としては次の様なものが挙げられる。
酸化防止剤:2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,6
−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4′−チオビス
−(6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−
ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オク
タデジル−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート等。
紫外線吸収剤:エチレン−2−シアノ−3,3−ジフェニ
ルアクリレート、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチ
ルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロ
キシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)5−
クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−メト
キシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メト
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシ
ベンゾフェノン等。
可塑剤:フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチレン、フタ
ル酸ジオクチル、ワックス、流動パラフィン、リン酸エ
ステル等。
帯電防止剤:ペンタエリスリットモノステアレート、ソ
ルビタンモノパルミテート、硫酸化オレイン類、ポリエ
チレンオキシド、カーボワックス等。
滑剤:エチレンビスステアロアミド、ブチルステアレー
ト等。
着色剤:カーボンブラック、フタロシアニン、キナクリ
ドン、インドリン、アゾ系顔料、酸化チタン、ベンガラ
等。
充填剤:グラスファイバー、アスベスト、マイカ、バラ
ストナイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、
炭酸カルシウム等。
また、他の多くの高分子化合物も本発明の作用効果が
阻害されない程度にブレンドすることもできる。
本発明の樹脂組成物は、フィルム成形に限らず周知の
溶融押出成形機、圧縮成形機、トランスファ成形機、射
出成形機、吹込成形機、熱成形機、回転成形機、ディッ
プ成形機などを使用して、シート、チューブ、ボトル、
カップなどの任意の成形物に成型してもフィルムと同様
の効果が得られる。
本発明の樹脂組成物は多層構造体の1層として使用す
るときは2層以上の任意の層構成をとり得る。その層構
成の適当な例としては、本発明の樹脂組成物をF、熱可
塑性樹脂をA、EVOHをB、接着剤をADで表わすと次の如
き層構成となる。なおここでADとしては本発明で使用す
る変性ポリオレフィン(C)を使用することが好まし
い。
2層 A/F 3層 A/F/B、F/B/F、F/AD/B 4層 F/B/AD/A、A/F/AD/B 5層 F/AD/B/AD/F、A/F/B/AD/A、A/F/B/F/A 6層 A/F/AD/B/AD/A 7層 A/F/AD/B/AD/F/A またこのような多層構造体において、本発明の樹脂組
成物は、多層構造体のスクラップで代用することもでき
る。
多層成形方法としては、一般的にいって樹脂層の種類
に対応する数の押出機を使用し、この押出機を使用し、
この押出機内で溶融された樹脂の流れを重ね合せた層状
態で同時押出成形するいわゆる共押出成形により実施す
る方法が最良である。本発明の樹脂組成物が共押出成形
性に優れていることは、後述する実施例からも明らかで
ある。別の方法として、エキストラージョンコーティン
グ、ドライラミネーションなどの多層成形法も採用され
うる。
上記の層構成の多層構造体は、ガスバリアー性に優れ
たEVOHを含有しているので、特にガスバリアー性の要求
される食品包装材、医療品(医薬品、医療機具など)包
装材として有用である。特にEVOH(B)層と樹脂組成物
(F)層の少なくとも2層からなる多層構造体はガスバ
リアー性の点で優れているので好ましい。
また本発明においては、(F)層が延伸成型された場
合、例えばシートでのSPPF成型(真空圧空固相成形)、
ストレッチブロー成形などの場合において、(D)及び
(C)がブレンドされている為に成形物の透明性が、
(D)あるいは/および(C)がブレンドされていない
系と比較して大巾に改善される場合がある。
以下実施例にてさらに詳細な説明を行うが、これによ
り本発明はなんら限定を受けるものではない。なお部は
重量部を意味している。
E.実施例 実施例1 4種7層共押出設備において、(A)PP(ポリプロピ
レン)、(B)EVOH(1)(エチレン含有量32モル%、
ケン化度99.6%)、(C)Ad(1)変性ポリオレフィン
(無水マレイン酸変性PP)及び、(F)ブレンド組成物
[前記(A)PP65部、(B)EVOH(1)20部、(C)変
性ポリオレフィン10部、及び(D)ブロック共重合体
(スチレン−ブタジエンブロック共重合体水添物)5部
を、あらかじめ混練部を有する一軸押出機で230℃にて
プリペレット化した組成物]を、それぞれ4台の一軸押
出機ホッパーに投入し、(A)/(F)/(C)/
(B)/(C)/(F)/(A)構成のシートを240℃
にて成形した。この時の各層の厚みは、(A)=150
μ、(B)=300μ、(C)=20μ、(B)=60μ、合
計1000μであり、ブツ,ゲル,およびみだれは観察され
ず外観評価結果は良好であった。このシートを折り曲げ
たり、はさみで切ったり、たたきつけたりしても、
(F)層のデラミによる白化、層内剥離は観察されず層
内デラミ評価結果は良かった。該シートの(F)層と
(C)層の接着強度を90゜剥離、引張速度100mm/min.の
条件で20℃にて測定した。該シートを150℃に加熱し、
真空圧空成形(SPPF固相延伸成形)した所、透明性良好
な成形品が得られ、SPPF成形品の透明性は良好な評価結
果が得られた。
実施例2〜9および比較例1〜7 表1に示す原料を使用し、(F)ブレンド組成物を作
製した他は、実施例1と同様の条件で、多層シートを
得、実施例1と同様の条件で接着強度を、測定した。さ
らに該シートの真空圧空成形も実施例1と同様な条件で
行なった。評価結果(シート外観みだれ,シート外観ブ
ツ,ゲル、層内デラミ,接着強度,SPPF成形品の透明
性)は個人差を無くす為に全て同一の人物で実施した。
実施例10 表1に示す原料を使用し、270℃で(F)ブレンド組
成物を作成した事および4種7層多層シートを270℃で
成形した他は、実施例1と全て同様の条件で実施した。
シート外観{みだれ(波模様)}: 秀=成形物の膜面みだれなし 優=成形物の膜面みだれほとんどなし 良=成形物の膜面みだれ多少みられるが実用上問題なし 不良=成形物の膜面みだれ大きく、実用上使用困難 シート外観(ゲル・ブツ): 優=成形物の膜面にゲル・ブツほとんどみとめられず。
良=成形物の膜面にゲル・ブツ多少あるも実用上問題な
し 不良=成形物の膜面に多くのゲル・ブツまたは大きなゲ
ル・ブツが認められる 透明性(目視評価): 優=くもり,部分的な白化部無し 良=くもり僅か実用上問題無し 不良=くもり,部分的な白化があり実用上使用困難 PP :ポリプロピレン HDPE:高密度ポリエチレン HIPS:耐衝撃性ポリスチレン PET :ポリエチレンテレフタレート EVOH(1):エチレン含有量32モル%、ケン化度99.6%
のEVOH EVOH(2):エチレン含有量44モル%、ケン化度99.4%
のEVOH Ad(1):無水マレイン酸変性ポリプロピレン Ad(2):無水マレイン酸変性ポリエチレン Ad(3):無水マレイン酸変性エチレン−酢酸ビニル共
重合体 Ad(4):無水マレイン酸変性エチレン−アクリル酸エ
チルエステル共重合体 SOS(1):スチレン−ブタジエンブロック共重合体水
添物(a)(スチレン含有量41重量%、水添率96%) SOS(2):SOS(1)100重量部に無水マレイン酸3重量
部を付加反応したもの(b) SOS(3):SOS(1)(a)とスチレン−イソプレンブ
ロック共重合体水添物(スチレン含有量14重量%、水添
率96%)100重量部に無水マレイン酸3重量部を付加反
応したもの(b)の50/50重量比(a/b)混合物 なおSOSは、スチレン−ブタジエン−スチレンのS−
O−Sブロック共重合体であることを示している。
F.発明の効果 本発明によれば、EVOHを含む熱可塑性樹脂ブレンド物
の製膜性および共押出成形性が顕著に改善され、外観美
麗で、また耐層間剥離性が優れた成形物、とくに多層構
造体を提供することができる。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂(A)、エチレン−酢酸ビニ
    ル共重合体ケン化物(B)、不飽和カルボン酸またはそ
    の誘導体変性ポリオレフィン(C)およびビニル芳香族
    化合物と共役ジエン化合物からなるブロック共重合体水
    添物(D)からなり、熱可塑性樹脂(A)100重量部に
    対するエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(B)が
    10〜200重量部であり、かつ成分(B)に対する成分
    (C)および成分(D)のそれぞれの重量比率が0.1〜
    3である樹脂組成物。
  2. 【請求項2】成分(D)が、不飽和カルボン酸またはそ
    の誘導体を、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物か
    らなるブロック共重合体水添物100部あたり0.1〜10重量
    部、付加反応して成る変性ブロック共重合体水添物
    (b)である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】成分(D)が、ビニル芳香族化合物と共役
    ジエン化合物からなるブロック共重合体水添物(a)お
    よび、不飽和ジカルボン酸またはその誘導体を、ブロッ
    ク共重合体水添物(a)100部あたり0.1〜10重量部付加
    反応して成る変性ブロック共重合体水添物(b)からな
    り、成分(a)と成分(b)の割合が(a)/(b)=
    1/99〜99/1(重量比)の範囲である請求項1記載の樹脂
    組成物。
  4. 【請求項4】周期律表I族、II族およびIII族から選ば
    れる少なくともひとつの元素を含む塩あるいは酸化物の
    少なくとも1種(E)を含む請求項1〜3のいずれかひ
    とつの項に記載の樹脂組成物。
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