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JP2651481B2 - 超伝導材料の作製方法 - Google Patents

超伝導材料の作製方法

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JP2651481B2
JP2651481B2 JP62236961A JP23696187A JP2651481B2 JP 2651481 B2 JP2651481 B2 JP 2651481B2 JP 62236961 A JP62236961 A JP 62236961A JP 23696187 A JP23696187 A JP 23696187A JP 2651481 B2 JP2651481 B2 JP 2651481B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「発明の利用分野」 本発明は、単結晶の酸化物超伝導材料、特に帯状の単
結晶材料の成長をさせるに際し、同時に磁界を加えるこ
とによりその結晶を特定の方向に配向せしめ、大きな臨
界電流を得んとするものである。
「従来の技術」 近年、セラミック系の超伝導材料が注目されている。
この材料は最初IBMのチューリッヒ研究所よりBa−La−C
u−O(バラクオ)系酸化物高温超伝導体として報告さ
れ、さらにLSCO(第二銅酸−ランタン−ストロンチウ
ム)として知られてきた。さらにYBCO系のYBa2Cu3O6
の他の構造の酸化物超伝導材料が知られ、Tcoも90Kを
有せしめることができるようになった。
「従来の問題点」 しかしこの酸化物セラミックスの超伝導材料において
は、臨界電流密度が102〜103A/cmと小さく、その対策が
求められていた。そしてその構造物の中には多数のボイ
ドおよび結晶粒界を含有していた。
さらにセラミックスのため、曲げにきわめて弱く、結
晶の配向をさせ、臨界電流密度を向上させることが強く
求められていた。
かかる目的のために、本発明人による『超伝導材料の
作製方法』(昭和62年3月27日 特願昭62−75205)
『超伝導セラミックスの作製方法』(昭和62年3月23日
特願昭62−69447)がある。
本発明はかかる発明をさらに発展させたものである。
「問題を解決すべき手段」 本発明は、室温により近い高温で超伝導を呈するべく
せしめるとともに、高い臨界電流密度を得るため、溶融
・結晶成長工程をへて酸化物超伝導材料を作製するに際
して、ペロブスカイト構造を有する結晶のC軸を結晶成
長方向と概略垂直方向(±15゜以内)に磁界方向を合わ
せて加え、結晶の成長軸を一定方向に配設するものであ
る。その結果、結晶を帯状または矩形と、その結晶成長
を第1図の構造におけるc面(特に好ましくはb軸)と
し、これに垂直のc軸方向に0.1T以上好ましくは0.5〜5
Tの磁場を同時に印加して作製したものである。本発明
は超伝導材料を溶融する際、質量の重い元素特に周期表
IIIa族元素が下方向に固まってしまうことを防ぐため、
溶融液に磁界を加えて撹拌させんとするものである。特
にこの撹拌を上下方向にさせんとすると、反磁性を有す
る。この材料はその磁界の回転に応答して十分に撹拌さ
れ、均質な結晶成長を行い得る。かくして77Kでの測定
においての臨界電流密度を1×105A/cm2以上まで向上さ
せ得ることが明らかになった。
本発明に用いる代表的な超伝導材料は元素周期表IIIa
族およびIIa族の元素および銅を用いた酸化物セラミッ
クスである。
本発明の超伝導材料は、(A1-x Bx)yCuzOw x=0.1
〜1,y=2.0〜4.0好ましくは2.5〜3.5,z=1.0〜4.0好ま
しくは1.6〜3.5,w=4.0〜10.0好ましくは6〜8で示し
得るものである。
Aはイットリウム族より選ばれた元素およびその他の
ランタノイドより選ばれた元素のうちの1種類または複
数種類を用いている。イットリウム族とは、理化学辞典
(岩波書店 1963年4月1日発行)によれば、Y(イッ
トリウム),Gd(ガドリウム),Yb(イッテルビウム),E
u(ユーロビウム),Tb(テルビウム),Dy(ジスピロシ
ウム),Ho(ホルミウム),Er(エルビウム),Tm(ツリ
ウム),Lu(ルテチウム),Sc(スカンジウム)およびそ
の他のランタノイドを用いる。
またBは元素周期表IIa族より選ばれ、代表的にはBa
(バリウム),Sr(ストロンチウム),Ca(カルシウム)
より選ばれた1つまたは複数種の元素である。尚、本明
細書における元素周期表は理化学辞典(岩波書店 1963
年4月1日発行)によるものである。本発明にしめされ
る酸化物超伝導材料は、第1図にその結晶構造が示され
ているが、変形ペルブスカイト構造を有する。そして銅
(2)とその周辺の酸素(5)とによる平面と、その他
の銅(3)とその周辺に位置する酸素(6),酸素ベイ
カンシ(7)と、銅(2´)と酸素(5´)とによる他
の平面を有する。元素周期表IIIa族の元素(1)例えば
Y,元素周期表IIa族の元素(4)例えばBaとを有する。
本発明人は、超伝導を発生するメカニズムとして、層
構造を有する酸素(5),(5´)とその中心にある銅
(2),(2´)との相互作用により、対をなす電子
(電子対)がその面(ab軸で作られる面即ちc面と平行
の面)を移動するとしている。さらにその対をなす電子
が生成される原因として、これまではBCS理論に基づき
フォノンとの相互作用とされていた。しかし、本発明人
はかかる理由として、この層構造を挟む上下の酸素ベイ
カンシ(7)同士(他方は図面の上または下側に位置す
る分子中に存在する)の相互作用またはこれらとスクリ
ュー磁性体である希土類元素(1)との相互作用による
マグノンという準粒子を仲立ちとして、スピンが反対向
きの電子を対を構成して形成することができることを仮
定している。即ち図面におけるc軸方向にマグノンのゆ
らぎがあり(ab面に垂直方向でありマグノンのゆらぎを
最もよく電子対に反映させやすい)このマグノンはスピ
ンの向きの互いに反対の電子対の一方を引き寄せんとす
ると他方と反発する。かかる力が働き、電子対がそれぞ
れの方向に動かんとすると、このマグノンは酸素ベイカ
ンシ(7)のゆらぎにより逆方向にゆらぐ。このためこ
のゆらぎにより1対の電子のそれぞれに逆向きの力が働
く。これを繰り返すことにより、マグノンがまったく表
舞台にでることなく影武者的動きをして層構造を有する
面((2),(5)で作られる面と(2´),(5´)
で作られる面)でのそれぞれの電子対のa軸−b軸に平
行方向に電子対の移動をさせ超伝導をさせるものと考え
ることができる。また酸素ベイカンシのゆらぎはフォノ
ンのゆらぎであるともとらえることができ、これまでの
BCS理論を補完する形でフォノンがマグノンを介して間
接的に電子対を構成させていると考えることができる。
この動作原理でも明らかな如く、磁界が大きな効果を
及ぼすのであるから、外部より溶融液に磁界を加える
と、その磁界に対し反磁性の応答をする。そしてこの磁
界を回転させると、溶融液の下側にたまりやすい重い質
量の原子が撹拌され、均質な材料となる。さらにこの溶
液中に酸素を添加し、酸化物とする。そして種結晶の結
晶軸に従って単結晶成長をさせ得る。第1図の結晶構造
より明らかな如く、結晶を所定の方向に配設させる。
すると第1図のC面(ab軸と平行の面)に対し、電流
がそれと垂直方向(c軸方向)に比べて2桁以上も流れ
やすい。
本発明は、この結晶成長方向と垂直方向に磁場を0.1
テスラ(T)以上好ましくは0.5〜5T加えることによ
り、その磁場によりその磁界の方向と同じ方向またはそ
れにより近く再配列すべき概略同じ方向にC軸方向を有
する単結晶を成長させることができることを見出した。
かくすることにより、前記した一般式におけるA,Bに
対し、選択の余地を与えるとともに、たとえ多結晶が一
部に混在する単結晶であっても、それぞれの結晶をすべ
てab面(C軸に垂直な面)に合わせることが可能とな
る。さらに引き上げの際、溶融液近傍で磁界を加え、こ
の加えている領域が加熱状態であることにより結晶がよ
り配列されやすくなる。特に400〜1150℃例えば600〜90
0℃とした。かくしてその理想の単結晶構造をより作り
やすくせしめた。
本発明は出発材料の酸化物または炭酸塩の微粉末を混
合し、一度加圧、酸化焼成(これを仮焼成という)をす
る。かくして出発材料の酸化物または炭酸化物より(A
1-xBx)yCuzOw型の変形ペルブスカイト構造を有する超
伝導材料を作り得る。
さらにこれを再び微粉末化し、溶融液の出発材料とし
た。かかる出発材料は1150℃の融点をもつため、それ以
上の温度の1200〜1500℃に加熱し、磁界が加わっている
溶融した超伝導材料より結晶成長をさせんとするもので
ある。そしてその成長軸をc面とし、これと垂直に前記
した如く他の磁界を加えて、より配向をさせやすくした
ものである。このc面において、空穴(第1図(7))
の位置を考慮するならば、b軸方向の結晶成長をさせや
すい。
「作用」 本発明の酸化物超伝導材料は、その出発材料として3N
程度の純度の酸化物または炭酸塩等の安価な材料を用い
得る。これをボールミル等で微粉末に粉砕し混合する
と、化学量論的に(A1-xBx)yCuzOwのx,y,z,wのそれぞ
れの値を任意に変更、制御することができる。
本発明においては、この化学量論比の一致した材料を
1200〜1500℃例えば1400℃に溶融させ、それに磁場を加
えることにより均質な酸化物超伝導材料を得ることがで
きた。そのため、この磁界を加えない場合、単結晶成長
が数mmの長さにしかできなかったものが、50cmの長さに
までも長くでき:その技術熟練により現状よりもさらに
長くまた巾広に、また肉厚、または肉薄に作製でき得る
であろう。
以下に実施例に従い、本発明を記す。
「実施例1」 この実施例として、AとしてYおよびYbを1:1でその
酸化物を混合した。BとしてBaおよびSr=1:1で用い
た。そして作製後(Y0.5Yb0.5BaSr)Cu3O6として
示される構造を有せしめ得る。出発材料は酸化イットリ
ウムおよび酸化イッテルビウム、BaとしてBaCO3、炭酸
ストロンチウムまた銅化合物としてCuOを用いた。これ
らを公知の方法で混合し仮焼成したものを微粉末化し
た。そして第2図に示す如く、これらの材料を(34)よ
り供給し1400℃に加熱してこれらを溶融させた。この溶
融状態において、IIIa族の元素がルツボの下側に集まり
やすいため、この磁界(30)をそれぞれ1Tを加えつつ回
転(1回/秒)させ、溶融液が十分混合するようにし
た。
第2図(A)はそれらの上方より示している。第2図
(B)は(A)におけるA−A´の縦断面図を示す。第
2図(A)に示す如く、この装置は4つの磁石(25),
(26),(27),(28)を有し、白金製ルツボ(22)と
その中に溶融した超伝導材料(24)を有する。第3図
(B)において、白金製ルツボ(22)の周囲には磁石
(25−1),(25−2)即ち(25),(27−1),(27
−2)即ち(27)を有し、これらの磁石計8ケによって
溶融した超伝導材料は(30−1),(30−2),(30−
3),(30−4)の如くに磁気回転し撹拌させる。また
加熱された酸素および不足を補うため微粉末化して酸化
物超伝導材料を(34)より酸素とともに溶融液に添加し
た。これも撹拌および十分な酸化を促すのに有効であっ
た。これらは下側よりヒータ(29)で加熱させる。同時
に白金製ルツボを磁界の回転方向と逆向きに回転させつ
つこれらを1250℃まで徐冷し、(23´)の方向に単結晶
の超伝導材料(23)を帯状に引き上げる。その時ここに
他の一対の磁石(31),(31´)により、0.1〜1T例え
ば0.3Tを直流または交流で図面の左右方向に加えつつ10
mm/時間で単結晶を引き上げつつ徐冷(10℃/時間程
度)した。すると第1図に示したc軸は(32)方向にc
面は(33)方向に作られる。さらにこのc面におけるa
軸、b軸またはab軸を(23)の上方(図示せず)の種結
晶の結晶方法を選らぶことにより決定できる。かくして
単結晶(23)の帯を作ることができた。
さらに必要に応じてこれらの外側に銀を外装させ、超
伝導線ともし得る。結晶の成長はc面方向に成長させる
ことにより、より単結晶が作りやすく、また実使用にお
いてもこの方向に大電流を流しやすい。またこの単結晶
材料にマイクロエレクトロニクスの加工を施し、超伝導
素子、超伝導コイル、SQUIDを作ることが可能となっ
た。
Tcオンセットとして99K、Tcoとして98Kおよび臨界電
流密度として2.8×106A/cm2(77Kで測定)を得ることが
できた。また出来上がった帯状の線は単結晶となり、厚
さ1mm、巾1cm長さ50cm以上を得た。
「実施例2」 第2図において、この図面を右横にわかす構成とし
た。そして溶融した超伝導材料は約1/2の量となり、そ
の上表面を右横方向(23´)に成立させた。成長はb軸
方向とし、c軸方向の配向を磁石(31),(31´)に1T
を加えつつ配向させた。
溶融液は(30−1),(30−4)による磁界撹拌が均
一な単結晶の帯を作るのに有効であった。Tcoとして97
K、臨界電流密度として2×106A/cm2(77Kで測定)を得
た。
第2図は、上方向に成長させた。しかしこの単結晶の
帯を下方向に成長させてもよい。
またこの単結晶の厚さを厚くしたり、巾広に成長させ
ることは成長速度および引き上げる際の表面温度を制御
することにより実施することができる。
「効果」 本発明により、これまでまったく不可能とされていた
液体窒素温度以上の温度で動作する酸化物超伝導単結晶
材料の結晶成長が可能となり、またその臨界電流密度を
106A/cm2以上とすることができた。
本発明方法により、単結晶の酸化物超伝導材料を多量
に安価に作ることが初めて可能となった。そのため超伝
導コイル、SQIUD,ジョゼフソン素子等への応用も可能と
なり、マイクロエレクトロニクスへの大きな進歩となる
であろう。本発明に示す如く、加熱溶液中に磁界をまた
溶融により引き上げの際に磁界を加えて元素配列をより
統一化することにより、最終完成化合物中に含まれやす
いツィン(双晶)の減少および大型単結晶の成長をさせ
ることができ、ひいてはTcオンセット、Tcoをより高温
化できるものと推定される。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に用いられる酸化物超伝導材料の結晶構
造の1例を示す。 第2図は溶融状態を利用した本発明に用いられた酸化物
超伝導材料の作製装置を示す。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化物超伝導材料を溶融させ、前記材料よ
    り単結晶酸化物超伝導材料を形成するに際し、 前記溶融した材料に対し、C軸を有すべき方向と概略同
    じ方向に磁場を加えることを特徴とする超伝導材料の作
    製方法。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項において、400℃以
    上の温度で加熱中の超伝導材料に対し、0.1T以上の磁界
    を印加せしめつつ加圧成長させたことを特徴とする超伝
    導材料の作製方法。
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