JP2527534Y2 - 織機用ソレノイド装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、自動織機において横糸
供給装置からの横糸の繰り出しとその停止を制御するの
に用いるソレノイド装置に関し、特に、風綿（綿ぼこ
り）やその他の異物によりソレノイドが作動不良を起こ
したり摩耗が進むのを防止するように改良を加えた織機
用ソレノイド装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の織機用ソレノイド装置と
しては、本願出願人の出願に係る実開平３−５９６１２
号に開示されたものが公知である。この従来装置の構造
及び作動を、本考案の一実施例に係る図１並びに図２を
参照して説明する。

【０００３】ソレノイド１は、コイル２を巻装したコイ
ルボビン３の中心孔４の上端側にコア５が嵌着され、下
端側にプランジヤ６が摺動自由に嵌装されており、その
プランジヤ６の途中の外周に突当鍔７が形成されている
とともに、先端に縮径した停止ピン８が形成され、ま
た、プランジヤ６とコア５との間にプランジヤ６を下動
付勢する圧縮コイルばね９が装着されている。ソレノイ
ド取付用のボデイ１１の上面には収容孔１２が穿設され
ているとともに、その底面にボデイ１１の下面に達する
小径の挿通孔１３が連成されて、その中に軸受１４が嵌
着されており、このボデイ１１の上面にソレノイド１が
下向きに取り付けられて、プランジヤ６の先端側が軸受
１４内に摺動自由に嵌装されている。

【０００４】これにより、ソレノイド１を励磁すると、
プランジヤ６が圧縮コイルばね９の弾力に抗して、突当
鍔７が収容孔１２の上面側に設けた上部ストツパ１５に
当たるまでコア５側に吸引されることにより停止ピン８
が挿通孔１３内に後退し、一方、非励磁にすると、プラ
ンジヤ６が圧縮コイルばね９の復元弾力で下動し、突当
鍔７が収容孔１２の底面に設けた下部ストツパ１６に当
たつて移動が停止することにより、停止ピン８がボデイ
１の下面から一定寸法突出するようになつている。

【０００５】そして、横糸供給部では、図２に示すよう
に、横糸ａを巻き付けたテーパ状のボビン２１が軸線Ｘ
を水平方向に向けて固設されて、横糸ａを同図の右方か
ら引張することによりボビン２１の外周から繰り出され
るようになつているとともに、そのボビン２１の右側に
突出したアーム２２の先端に、上面を滑らかな曲面とし
かつ挿入孔２４を透設した摺接体２３が取り付けられ、
その上方に、上記したソレノイド装置が、そのボデイ１
１の下面を摺接体２３の上面との間に僅かな間隔を空け
てブラケツト２５により固定されていて、ソレノイド１
の励磁により停止ピン８がボデイ１１の挿通孔１３内に
後退すると、横糸ａが停止ピン８に引つ掛かることなく
摺接体２３とボデイ１１の間を擦り抜けつつ円錐を描く
ように繰り出され、一方、ソレノイド１の励磁の解除に
より停止ピン８がボデイ１１の下面から一定寸法進出し
て摺接体２３の挿入孔２４内に突出すると、横糸ａが停
止ピン８に引つ掛かつて停止し、その繰り返しによつ
て、横糸ａが一定長さずつ繰り出されるようになつてい
る。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】ところで、従来のソレ
ノイド装置では、ボデイ１１の挿通孔１３の停止ピン８
が出入りする部分が開放されたままの構造となつていた
ため、横糸ａが繰出時に摺接体２３やボデイ１１と擦れ
ることによつて生じた風綿やその他の異物が挿通孔１３
から内部に入り込み、プランジヤ６と軸受１４との間で
かむ等によつて作動不良を起こしたり、軸受１４やさら
にはストツパ１６のゴム等の内部の部品の摩耗が進むお
それがあり、また、ソレノイド内部で発生した摩耗粉が
逆に外部へ排出されて横糸ａを汚すおそれもあることか
ら、その改善が希求されていた。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本考案の織機用ソレノイ
ド装置は、このような事情を背景として案出されたもの
であつて、ボデイの挿通孔内の停止ピンの回りに、フエ
ルト等の軟質材からなる異物通過阻止材を装着した構成
とした。

【０００８】

【作用】停止ピンの回りに異物通過阻止材を装着したこ
とにより、風綿やその他の異物がボデイの挿通孔やさら
にはソレノイドの内部に侵入するのが阻止され、また、
ソレノイド内部に生じた摩耗粉が外部に排出されるのが
阻止される。

【０００９】異物通過阻止材自体はフエルト等の軟質材
で形成されているので、停止ピンの作動を何ら妨げな
い。

【００１０】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図１及び図２に基
づいて説明する。本実施例のソレノイド装置Ａは、既述
した従来装置において、停止ピン８の出入口であるボデ
イ１１の挿通孔１３の下端部のその停止ピン８の回り
に、フエルトからなるリング形の異物通過阻止材３１が
緊密に詰められ、その下面に停止ピン８に遊嵌する中心
孔３３を透設したフエルトストツパ３２が嵌着されて落
下不能に装着されている。

【００１１】本実施例はこのような構造になり、横糸ａ
が繰出時に摺接体２３やボデイ１１と擦れることによつ
て生じた風綿やその他の異物がボデイ１１の挿通孔１３
や収容孔１２内に侵入するのが、異物通過阻止材３１で
阻止され、また、ソレノイド内部に生じた摩耗粉が外部
に排出されるのも阻止される。しかも、その異物通過阻
止材３１は軟らかいフエルトで形成されており、フエル
トストツパ３２の中心孔３３も停止ピン８に遊嵌してい
るので、停止ピン８の作動が妨げられることはない。

【００１２】すなわち、本実施例によれば、風綿やその
他の異物がプランジヤ６と軸受１４との間にかんで作動
不良を起こしたり、プランジヤ６の突当鍔７と下部スト
ツパ１６との間に入つて停止ピン８の突出長さが変わる
のが防止され、横糸繰り出しの停止制御動作の不良等を
確実に防止することができる。また、軸受１４やストツ
パ１６のゴムの摩耗も極力抑えられる。

【００１３】その異物通過阻止材３１により、ソレノイ
ド内部で生じた摩耗粉が外部に排出されるのも阻止さ
れ、摩耗粉で横糸ａが汚されることもない。

【００１４】また、従来の停止ピン８の出入口が開放し
ていたものでは、停止ピン８が横糸ａの繰り出しを開始
するために挿通孔１３内に後退した場合に、横糸ａを一
緒に引き込むことがあつたが、本実施例では挿通孔１３
の下端がフエルトストツパ３２で塞がれているから、そ
のような横糸ａの引き込みが無くなつて横糸ａが停止ピ
ン８からスムーズに外れ、繰出しの再開を良好に行うこ
とが可能となる。

【００１５】なお、上記実施例では、異物通過阻止材３
１をフエルトで形成したが、停止ピン８の一定の作動を
妨げない程度の軟らかいものであれば、他の材料で形成
しても良い。

【００１６】

【考案の効果】以上説明したように、本考案によれば、
異物通過阻止材により風綿やその他の異物がボデイの挿
通孔やソレノイドの内部に侵入するのを阻止することが
できるから、異物がプランジヤと軸受との間にかんで作
動不良を起こしたり、プランジヤとストツパとの間に入
つて停止ピンの突出長さが変わるのを確実に防止するこ
とができる。また、軸受やストツパの摩耗も極力抑える
ことができて、耐久性の向上を図ることができる。

【００１７】逆に、ソレノイド内部で生じた摩耗粉が外
部に排出されるのも阻止されるから、摩耗粉により横糸
が汚れるのを確実に防止することができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の断面図である。

【図２】（Ａ）は本考案のソレノイド装置を適用した横
糸供給部分の一部切欠正面図、（Ｂ）はその一部切欠平
面図である。

【符号の説明】

Ａ：ソレノイド装置 ａ：横糸 １：ソレノイド ５：
コア ６：プランジヤ ７：突当鍔 ８：停止ピン ９：圧縮コイルばね １
１：ボデイ １２：収容孔 １３：挿通孔 １６：下部
ストツパ ３１：異物通過阻止材 ３２：フエルトスト
ツパ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 プランジヤの先端に横糸供給装置から繰
   り出される横糸を掛止可能な停止ピンを設けて該プラン
   ジヤを常には付勢ばねによりコアから離間する方向に移
   動付勢してなるソレノイドを、該プランジヤを軸受を介
   して摺動自由に挿通する挿通孔を透設したボデイの上面
   に取り付け、前記ソレノイドの励磁時には、前記プラン
   ジヤが前記付勢ばねに抗して前記コア側に吸引されるこ
   とにより前記停止ピンが前記挿通孔内に後退して横糸の
   繰り出しを許容し、非励磁時には、前記プランジヤが前
   記付勢ばねで前記コアから離間して前記挿通孔内に設け
   たストツパに突き当たることにより前記停止ピンが前記
   挿通孔から一定寸法突出し、横糸に掛止してその繰り出
   しを停止するようにした織機用ソレノイド装置におい
   て、 前記ボデイの前記挿通孔内の前記停止ピンの回りに、フ
   エルト等の軟質材からなる異物通過阻止材を装着したこ
   とを特徴とする織機用ソレノイド装置。