JP2570728Y2 - 湿式多板摩擦締結要素 - Google Patents
湿式多板摩擦締結要素Info
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- JP2570728Y2 JP2570728Y2 JP1991106267U JP10626791U JP2570728Y2 JP 2570728 Y2 JP2570728 Y2 JP 2570728Y2 JP 1991106267 U JP1991106267 U JP 1991106267U JP 10626791 U JP10626791 U JP 10626791U JP 2570728 Y2 JP2570728 Y2 JP 2570728Y2
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- piston
- plate
- fastening element
- drain passage
- hydraulic chamber
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- Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)
Description
【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、湿式多板摩擦締結要
素、特に、自動車等の自動変速機に組込んで好適な湿式
多板摩擦締結要素に関する。
素、特に、自動車等の自動変速機に組込んで好適な湿式
多板摩擦締結要素に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の湿式多板摩擦締結要素と
しては、例えば、実開昭59−110431号公報に記
載されたものが知られている。
しては、例えば、実開昭59−110431号公報に記
載されたものが知られている。
【0003】かかる湿式多板摩擦締結要素は、駆動側と
従動側との対の摩擦板が焼付くことを防止するために、
それら対の摩擦板を圧接および離間移動させるピストン
の移動範囲を規制するストッパを備えた構成となってい
る。すなわち、対の摩擦板が所定量以上に摩擦して、そ
れらの摩擦板を圧接する際のピストンの移動量が所定量
以上となったときに、そのピストンの移動をストッパー
により強制的に止めて、それらの摩擦板の焼付きを未然
に回避するようになっている。
従動側との対の摩擦板が焼付くことを防止するために、
それら対の摩擦板を圧接および離間移動させるピストン
の移動範囲を規制するストッパを備えた構成となってい
る。すなわち、対の摩擦板が所定量以上に摩擦して、そ
れらの摩擦板を圧接する際のピストンの移動量が所定量
以上となったときに、そのピストンの移動をストッパー
により強制的に止めて、それらの摩擦板の焼付きを未然
に回避するようになっている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の湿式多板摩擦締結要素は、摩擦板の焼付きを防止す
るために、ピストンの移動範囲を規制するストッパーを
新たに備えなければならず、その分、部品点数が増加
し、しかもストッパーおよびその取付け部分に、ピスト
ンを強制的に止めるための強度を確保しなければならな
いという設計上の制約があった。
来の湿式多板摩擦締結要素は、摩擦板の焼付きを防止す
るために、ピストンの移動範囲を規制するストッパーを
新たに備えなければならず、その分、部品点数が増加
し、しかもストッパーおよびその取付け部分に、ピスト
ンを強制的に止めるための強度を確保しなければならな
いという設計上の制約があった。
【0005】本考案の目的は、強度上の制約を受けない
簡易な構成によって、摩擦板の磨耗に起因する焼付けを
未然に防止することができる湿式多板摩擦締結要素を提
供することにある。
簡易な構成によって、摩擦板の磨耗に起因する焼付けを
未然に防止することができる湿式多板摩擦締結要素を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本考案の湿式多板摩擦締
結要素は、シリンダの油圧室内の導入圧力に応じて一方
向および他方向に摺動するピストンによって、相対回転
自在の第1および第2の回転体のそれぞれに取付けられ
た第1および第2の摩擦板を互いに圧接および離間移動
させる湿式多板摩擦締結要素において、前記ピストンお
よび前記シリンダの一方側に、前記シリンダの油圧室内
の油圧を外部に逃がすドレン通路を形成し、前記第1ま
たは第2の摩擦板の少なくとも一方の磨耗のために前記
ピストンが一方向における所定の焼付防止位置まで移動
したときに、前記ドレン通路を開成して、前記焼付防止
位置を越えた前記ピストンの一方向の移動を防止する開
成手段を備えたことを特徴とする。
結要素は、シリンダの油圧室内の導入圧力に応じて一方
向および他方向に摺動するピストンによって、相対回転
自在の第1および第2の回転体のそれぞれに取付けられ
た第1および第2の摩擦板を互いに圧接および離間移動
させる湿式多板摩擦締結要素において、前記ピストンお
よび前記シリンダの一方側に、前記シリンダの油圧室内
の油圧を外部に逃がすドレン通路を形成し、前記第1ま
たは第2の摩擦板の少なくとも一方の磨耗のために前記
ピストンが一方向における所定の焼付防止位置まで移動
したときに、前記ドレン通路を開成して、前記焼付防止
位置を越えた前記ピストンの一方向の移動を防止する開
成手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
【作用】本考案の湿式多板摩擦締結要素は、摩擦板の磨
耗のためにピストンが一方向における所定の焼付防止位
置まで移動したときに、油圧室内の油圧を外部に逃がす
ドレン通路を開成して、焼付防止位置を越えたピストン
の一方向の移動を防止することにより、ピストンの移動
範囲を機械的に規制するストッパを用いることなく、強
度上の制約を受けない簡易な構成によって、摩擦板の磨
耗に起因する焼付けを未然に防止する。
耗のためにピストンが一方向における所定の焼付防止位
置まで移動したときに、油圧室内の油圧を外部に逃がす
ドレン通路を開成して、焼付防止位置を越えたピストン
の一方向の移動を防止することにより、ピストンの移動
範囲を機械的に規制するストッパを用いることなく、強
度上の制約を受けない簡易な構成によって、摩擦板の磨
耗に起因する焼付けを未然に防止する。
【0008】また、ピストンとシリンダとの摺動面間に
介在されているシールリング、およびピストンやシリン
ダに形成されてチェックバルブが備えられた連通路など
の既在のものを利用することにより、より簡易な構成と
して、部品点数の増加をなくす。
介在されているシールリング、およびピストンやシリン
ダに形成されてチェックバルブが備えられた連通路など
の既在のものを利用することにより、より簡易な構成と
して、部品点数の増加をなくす。
【0009】
【実施例】以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明
する。
する。
【0010】図1から図3は、本考案の第1の実施例を
説明するための図である。本実施例は、自動車の自動変
速機に組込まれる湿式多板クラッチとしての適用例であ
る。
説明するための図である。本実施例は、自動車の自動変
速機に組込まれる湿式多板クラッチとしての適用例であ
る。
【0011】図1において、1および2は、軸線0を中
心として相対回転自在の入力軸(第1の回動体)および
出力軸(第2の回動体)である。出力軸2の外周部には
環状のクラッチドラム3が固着されており、そのクラッ
チドラム3は、出力軸2の外周部に位置するサポータ4
によって支承されている。
心として相対回転自在の入力軸(第1の回動体)および
出力軸(第2の回動体)である。出力軸2の外周部には
環状のクラッチドラム3が固着されており、そのクラッ
チドラム3は、出力軸2の外周部に位置するサポータ4
によって支承されている。
【0012】クラッチドラム3の図中の右側部分は環状
のシリンダ部3Aとなっており、その内部には、環状の
ピストン5が左右方向に摺動自在に嵌装されている。ピ
ストン5には、シリンダ部3Aの内面に密接する内側お
よび外側のOリング(シールリング)6および7が嵌着
されている。シリンダ部3Aの油圧室R内には、クラッ
チドラム3およびサポータ4にそれぞれ形成されたポー
ト3Bおよび油圧通路4Aを通して油圧が供給され、そ
の油圧に応じてピストン5が図中の左右方向に摺動す
る。また、クラッチドラム3に取付けられたばね受8
と、ピストン5との間には、そのピストン5を左右へ付
勢するばね9が介在されている。
のシリンダ部3Aとなっており、その内部には、環状の
ピストン5が左右方向に摺動自在に嵌装されている。ピ
ストン5には、シリンダ部3Aの内面に密接する内側お
よび外側のOリング(シールリング)6および7が嵌着
されている。シリンダ部3Aの油圧室R内には、クラッ
チドラム3およびサポータ4にそれぞれ形成されたポー
ト3Bおよび油圧通路4Aを通して油圧が供給され、そ
の油圧に応じてピストン5が図中の左右方向に摺動す
る。また、クラッチドラム3に取付けられたばね受8
と、ピストン5との間には、そのピストン5を左右へ付
勢するばね9が介在されている。
【0013】クラッチドラム3の内側周面には、図中の
左右方向に延在しかつ周方向に所定の間隔で並ぶ複数の
スプライン溝3Cが形成されており、それらのスプライ
ン溝3Cには、複数(本実施例では4枚)のドリブンプ
レート(第2の摩擦板)11の外周縁部が左右方向移動
自在にスプライン嵌合されている。また、右側のドリブ
ンプレート11とピストン5との間には、ドリブンプレ
ート11と同様にスプライン嵌合された押板12が介在
されている。さらに、クラッチドラム3の内側面には、
ドリブンプレート11の左方向への移動を規制するスト
ッパ13が嵌着されている。
左右方向に延在しかつ周方向に所定の間隔で並ぶ複数の
スプライン溝3Cが形成されており、それらのスプライ
ン溝3Cには、複数(本実施例では4枚)のドリブンプ
レート(第2の摩擦板)11の外周縁部が左右方向移動
自在にスプライン嵌合されている。また、右側のドリブ
ンプレート11とピストン5との間には、ドリブンプレ
ート11と同様にスプライン嵌合された押板12が介在
されている。さらに、クラッチドラム3の内側面には、
ドリブンプレート11の左方向への移動を規制するスト
ッパ13が嵌着されている。
【0014】入力軸1には、他のクラッチのシリンダ1
4を介してクラッチハブ15が固着されている。そのク
ラッチハブ15の外周面には、図中の左右方向に延在し
かつ周方向に所定の間隔で並ぶ複数のスプライン溝15
Aが形成されており、それらのスプライン溝15Aに
は、複数(本実施例では3枚)のドライブプレート(第
1の摩擦板)16の内周縁部が左右方向移動自在にスプ
ライン嵌合されている。それらのドライブプレート16
の左右両面には、図2に示すように、摩擦材であるフェ
ーシング材17が接着されている。また、それらのドラ
イブプレート16および前記のドリブンプレート11
は、左右方向に沿って交互に位置するように配備されて
いる。
4を介してクラッチハブ15が固着されている。そのク
ラッチハブ15の外周面には、図中の左右方向に延在し
かつ周方向に所定の間隔で並ぶ複数のスプライン溝15
Aが形成されており、それらのスプライン溝15Aに
は、複数(本実施例では3枚)のドライブプレート(第
1の摩擦板)16の内周縁部が左右方向移動自在にスプ
ライン嵌合されている。それらのドライブプレート16
の左右両面には、図2に示すように、摩擦材であるフェ
ーシング材17が接着されている。また、それらのドラ
イブプレート16および前記のドリブンプレート11
は、左右方向に沿って交互に位置するように配備されて
いる。
【0015】さらに、シリンダ部3Aの定位置には、油
圧室Rの内外を連通するドレン通路21が形成されてい
る。そのドレン通路21の内側開口部21Aの開口位置
は、ピストン5の左端が後述する所定位置P1 (図3参
照)まで摺動したときにおける外側Oリング7との対向
位置に設定されている。
圧室Rの内外を連通するドレン通路21が形成されてい
る。そのドレン通路21の内側開口部21Aの開口位置
は、ピストン5の左端が後述する所定位置P1 (図3参
照)まで摺動したときにおける外側Oリング7との対向
位置に設定されている。
【0016】しかして、このように構成された湿式多板
クラッチは、油圧室R内に油圧を供給して、ピストン5
をばね9の付勢力に抗して左方へ摺動させることによ
り、ドリブンプレート11およびドライブプレート16
が互いに圧接して、入力軸1の回転トルク7を出力軸2
に伝達する。一方、油圧室R内を減圧することにより、
ばね9の付勢力によってピストン5が右方へ摺動され、
ドリブンプレート11およびドライブプレート16は互
いに離間して、入力軸1の回転トルクを出力軸2に伝達
しない。
クラッチは、油圧室R内に油圧を供給して、ピストン5
をばね9の付勢力に抗して左方へ摺動させることによ
り、ドリブンプレート11およびドライブプレート16
が互いに圧接して、入力軸1の回転トルク7を出力軸2
に伝達する。一方、油圧室R内を減圧することにより、
ばね9の付勢力によってピストン5が右方へ摺動され、
ドリブンプレート11およびドライブプレート16は互
いに離間して、入力軸1の回転トルクを出力軸2に伝達
しない。
【0017】ところで、このようなドリブンプレート1
1とドライブプレート16との互いの接離動作の繰り返
しによって、ドライブプレート16のフェージング材1
5はしだいに摩耗することになり、その摩耗分だけピス
トン5の左方へのストローク量が大きくなる。そして、
フェージング材15の摩耗が進行して、ピストン5が図
3に示すような位置P1 まで摺動したときには、ピスト
ン5に嵌着されている外側Oリング7がドレン通路21
の内側開口部21Aと対向し、油圧室R内の油圧は、図
3中の矢印Aで示すようにドレン通路3Aを通って外部
に逃げると共に、同図中の矢印Bで示すように、外側O
リング7の外側に回り込んで押板12の方向に逃げる。
したがって、ピストン5は位置P1 を越えて左方へ摺動
せず、ピストン5の左方への摺動量が規制されて、ドリ
ブンプレート11とドライブプレート16との焼付が防
止されることになる。
1とドライブプレート16との互いの接離動作の繰り返
しによって、ドライブプレート16のフェージング材1
5はしだいに摩耗することになり、その摩耗分だけピス
トン5の左方へのストローク量が大きくなる。そして、
フェージング材15の摩耗が進行して、ピストン5が図
3に示すような位置P1 まで摺動したときには、ピスト
ン5に嵌着されている外側Oリング7がドレン通路21
の内側開口部21Aと対向し、油圧室R内の油圧は、図
3中の矢印Aで示すようにドレン通路3Aを通って外部
に逃げると共に、同図中の矢印Bで示すように、外側O
リング7の外側に回り込んで押板12の方向に逃げる。
したがって、ピストン5は位置P1 を越えて左方へ摺動
せず、ピストン5の左方への摺動量が規制されて、ドリ
ブンプレート11とドライブプレート16との焼付が防
止されることになる。
【0018】このように、位置P1が焼付防止位置とし
て設定されて、その焼付防止位置を越えたピストン5の
右方の移動が防止され、この結果、ピストン5の移動範
囲を機械的に規制するストッパを用いることなく、強度
上の制約を受けない簡易な構成によって、摩擦板の磨耗
に起因する焼付けが未然に防止されることになる。図4
は、本考案の第2の実施例を説明するための図である。
て設定されて、その焼付防止位置を越えたピストン5の
右方の移動が防止され、この結果、ピストン5の移動範
囲を機械的に規制するストッパを用いることなく、強度
上の制約を受けない簡易な構成によって、摩擦板の磨耗
に起因する焼付けが未然に防止されることになる。図4
は、本考案の第2の実施例を説明するための図である。
【0019】本実施例では、前述した第1の実施例にお
ける外側Oリング7をクラッチドラム3のシリンダ部3
Aの内周部に嵌着し、さらに、ピストン5の外周部に、
図中の左右方向に延在する溝状のドレン通路31を設け
た構成となっている。ドレン通路31の右方端は、ピス
トン5の上面(図中の右側面)に開口し、また、その左
方端の位置は、図に示すようにピストン5が所定位置P
1 まで摺動したときにおける外側Oリング7との対向位
置に設定されている。
ける外側Oリング7をクラッチドラム3のシリンダ部3
Aの内周部に嵌着し、さらに、ピストン5の外周部に、
図中の左右方向に延在する溝状のドレン通路31を設け
た構成となっている。ドレン通路31の右方端は、ピス
トン5の上面(図中の右側面)に開口し、また、その左
方端の位置は、図に示すようにピストン5が所定位置P
1 まで摺動したときにおける外側Oリング7との対向位
置に設定されている。
【0020】したがって、本実施例の場合は、フェージ
ング材15の摩耗が進行して、ピストン5が位置P1 ま
で摺動したときに、油圧室R内の油圧が図中の矢印Cで
示すようにドレン通路31を通って外部に逃げる。した
がって、ピストン5は位置P1 を越えて左方へ摺動せ
ず、ドリブンプレート11とドライブプレート16との
焼付が防止されることになる。
ング材15の摩耗が進行して、ピストン5が位置P1 ま
で摺動したときに、油圧室R内の油圧が図中の矢印Cで
示すようにドレン通路31を通って外部に逃げる。した
がって、ピストン5は位置P1 を越えて左方へ摺動せ
ず、ドリブンプレート11とドライブプレート16との
焼付が防止されることになる。
【0021】図5は、本考案の第3の実施例を説明する
ための図である。
ための図である。
【0022】本実施例では、前述した第1の実施例にお
けるピストン5として、ドリフトオンボール41を備え
たものが組付けられている。このドリフトオンボール4
1は、油圧室Rの内外を連通するようにピストン5に形
成された連通路42中に備えられていて、油圧室R内か
ら外部への圧油の流れを阻止し、かつ外部から油圧室R
内の圧油の流入を許容するチェックバルブを構成してい
る。したがって、このようなドリフトオンボール41が
備えられたピストン5は、そのピストン5が図中の右方
へ摺動する際に連通路42が開くため、応答性良く右方
へ摺動復帰することになる。なお、自動車の自動変速機
に組込まれる湿式多板クラッチ用のピストンには、通
常、ドリフトオンボール41が備えられている。さら
に、本実施例では、ばね受8にドレンバー43の基端が
固定されている。このドレンバー43の先端は連通路4
2内に位置しており、ピストン5が図中の左方へ所定量
摺動したときに、ドリフトオンボール41に当接して、
連通孔42を強制的に開くようになっている。
けるピストン5として、ドリフトオンボール41を備え
たものが組付けられている。このドリフトオンボール4
1は、油圧室Rの内外を連通するようにピストン5に形
成された連通路42中に備えられていて、油圧室R内か
ら外部への圧油の流れを阻止し、かつ外部から油圧室R
内の圧油の流入を許容するチェックバルブを構成してい
る。したがって、このようなドリフトオンボール41が
備えられたピストン5は、そのピストン5が図中の右方
へ摺動する際に連通路42が開くため、応答性良く右方
へ摺動復帰することになる。なお、自動車の自動変速機
に組込まれる湿式多板クラッチ用のピストンには、通
常、ドリフトオンボール41が備えられている。さら
に、本実施例では、ばね受8にドレンバー43の基端が
固定されている。このドレンバー43の先端は連通路4
2内に位置しており、ピストン5が図中の左方へ所定量
摺動したときに、ドリフトオンボール41に当接して、
連通孔42を強制的に開くようになっている。
【0023】したがって、本実施例の場合は、フェージ
ング材15の摩耗が進行して、ピストン5が左方へ所定
量摺動したときに、ドレンバー43の先端がドリフトオ
ンボール41に当接して連通路42を開き、その連通路
42を通して油圧室R内の油圧が外部に逃げる。したが
って、ピストン5は左方へ所定量以上摺動せず、ドリブ
ンプレート11とドライブプレート16との焼付けが防
止されることになる。
ング材15の摩耗が進行して、ピストン5が左方へ所定
量摺動したときに、ドレンバー43の先端がドリフトオ
ンボール41に当接して連通路42を開き、その連通路
42を通して油圧室R内の油圧が外部に逃げる。したが
って、ピストン5は左方へ所定量以上摺動せず、ドリブ
ンプレート11とドライブプレート16との焼付けが防
止されることになる。
【0024】
【考案の効果】以上説明したように、本考案の湿式多板
摩擦締結要素は、摩擦板の磨耗のためにピストンが一方
向における所定の焼付防止位置まで移動したときに、油
圧室内の油圧を外部に逃がすドレン通路を開成して、焼
付防止位置を越えたピストンの一方向の移動を防止する
ことにより、ピストンの移動範囲を機械的に規制するス
トッパを用いることなく、強度上の制約を受けない簡易
な構成によって、摩擦板の磨耗に起因する焼付けを未然
に防止することができる。
摩擦締結要素は、摩擦板の磨耗のためにピストンが一方
向における所定の焼付防止位置まで移動したときに、油
圧室内の油圧を外部に逃がすドレン通路を開成して、焼
付防止位置を越えたピストンの一方向の移動を防止する
ことにより、ピストンの移動範囲を機械的に規制するス
トッパを用いることなく、強度上の制約を受けない簡易
な構成によって、摩擦板の磨耗に起因する焼付けを未然
に防止することができる。
【0025】また、ピストンとシリンダとの摺動面間に
介在されているシールリング、およびピストンやシリン
ダに形成されてチェックバルブが備えられた連通路など
の既在のものを利用することにより、より簡易に構成し
て、部品点数の増加をなくすことも可能である。
介在されているシールリング、およびピストンやシリン
ダに形成されてチェックバルブが備えられた連通路など
の既在のものを利用することにより、より簡易に構成し
て、部品点数の増加をなくすことも可能である。
【図1】本考案の第1の実施例を示す縦断面図である。
【図2】図1のII円部の拡大図である。
【図3】図1に示すピストンが左方へ摺動したときの要
部の拡大断面図である。
部の拡大断面図である。
【図4】本考案の第2の実施例を示す要部の拡大断面図
である。
である。
【図5】本考案の第3の実施例を示す要部の拡大断面図
である。
である。
1 入力軸(第1の回動体) 2 出力軸(第2の回動体) 3 クラッチドラム 3A シリンダ部 5 ピストン 6,7 Oリング(シールリング) 11 ドリブンプレート 21,31 ドレン通路 41 ドリフトオンボール 43 ドレンバー R 油圧室
Claims (3)
- 【請求項1】 シリンダの油圧室内の導入圧力に応じて
一方向および他方向に摺動するピストンによって、相対
回転自在の第1および第2の回転体のそれぞれに取付け
られた第1および第2の摩擦板を互いに圧接および離間
移動させる湿式多板摩擦締結要素において、 前記ピストンおよび前記シリンダの一方側に、前記シリ
ンダの油圧室内の油圧を外部に逃がすドレン通路を形成
し、前記第1または第2の摩擦板の少なくとも一方の磨耗の
ために前記ピストンが一方向における所定の焼付防止位
置まで移動したときに、前記ドレン通路を開成して、前
記焼付防止位置を越えた前記ピストンの一方向の移動を
防止する 開成手段を備えたことを特徴とする湿式多板摩
擦締結要素。 - 【請求項2】 前記ピストンと前記シリンダとの摺動面
部の一方側にシールリングが嵌着され、 前記ドレン通路は前記摺動面部の他方側に形成され、か
つ該ドレン通路の開口部は、前記ピストンが一方向に所
定以上摺動したときに前記シールリングと対向するもの
であることを特徴とする請求項1に記載の湿式多板摩擦
締結要素。 - 【請求項3】 前記ドレン通路は、前記油圧室の内外を
連通しかつ前記油圧室の外部から内部への圧油の流入を
許容するチェックバルブを備えた連通路であり、 前記開成手段は、前記ピストンが一方向に所定以上摺動
したときに前記チェックバルブを開動させるものである
ことを特徴とする請求項1に記載の湿式多板摩擦締結要
素。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1991106267U JP2570728Y2 (ja) | 1991-12-24 | 1991-12-24 | 湿式多板摩擦締結要素 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1991106267U JP2570728Y2 (ja) | 1991-12-24 | 1991-12-24 | 湿式多板摩擦締結要素 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0552370U JPH0552370U (ja) | 1993-07-13 |
JP2570728Y2 true JP2570728Y2 (ja) | 1998-05-13 |
Family
ID=14429315
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1991106267U Expired - Lifetime JP2570728Y2 (ja) | 1991-12-24 | 1991-12-24 | 湿式多板摩擦締結要素 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2570728Y2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006207665A (ja) * | 2005-01-26 | 2006-08-10 | Nsk Warner Kk | 多板クラッチ装置 |
JP4821174B2 (ja) * | 2005-05-26 | 2011-11-24 | マツダ株式会社 | 変速機のクラッチ構造 |
JP7129301B2 (ja) * | 2018-10-01 | 2022-09-01 | 株式会社Subaru | 摩擦係合装置 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0284022U (ja) * | 1988-12-19 | 1990-06-29 |
-
1991
- 1991-12-24 JP JP1991106267U patent/JP2570728Y2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0552370U (ja) | 1993-07-13 |
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