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JP2024533235A - オレフィン重合用炭化水素可溶性ボレート共触媒 - Google Patents

オレフィン重合用炭化水素可溶性ボレート共触媒 Download PDF

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JP2024533235A JP2024514497A JP2024514497A JP2024533235A JP 2024533235 A JP2024533235 A JP 2024533235A JP 2024514497 A JP2024514497 A JP 2024514497A JP 2024514497 A JP2024514497 A JP 2024514497A JP 2024533235 A JP2024533235 A JP 2024533235A
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Abstract

実施形態は、金属-配位子錯体プロ触媒と、ルイス塩基と、活性化剤とを含む触媒システムであって、活性化剤がアニオンとカチオンとを含み、アニオンが式(I)による構造を有する、触媒システムに関する。【化1】JPEG2024533235000029.jpg55170

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年9月10日に出願された米国特許仮出願第63/242,749号の利益を主張する。
(発明の分野)
本開示の実施形態は、一般に、ボレートアニオン性共触媒に関する。
Ziegler及びNattaによる不均一系オレフィン重合の発見以来、世界中のポリオレフィン生産は2015年に年間約1億5000万トンに達し、これは市場の需要の増加により上昇している。この成功は、共触媒技術における一連の重要な解明に部分的に基づく。発見された共触媒には、トリフェニルカルベニウム又はアンモニウムカチオンを含む、アルミノキサン、ボラン、及びボレートが含まれる。これらの共触媒は均一系シングルサイトオレフィン重合触媒を活性化し、ポリオレフィンは産業界でこれらの共触媒を使用して製造されている。
特に、ボレート系共触媒は、オレフィン重合機構の基本的な理解に著しく寄与しており、触媒の構造及びプロセスを意図的に調整することにより、ポリオレフィンの微細構造を正確に制御する能力を向上させた。これにより、機構研究への関心が高まり、ポリオレフィンの微細構造及び性能を正確に制御する新規の均一系オレフィン重合触媒システムの開発へとつながっている。
重合のための触媒活性種を生成するために、従来のオレフィン重合触媒システムの一部としての分子重合プロ触媒を活性化し、この活性化は、任意の多数の手段によって達成することができる。そのような1つの方法では、ブレンステッド酸である活性化剤又は共触媒が用いられる。分子重合プロ触媒、特に第IV族金属錯体を含むそのようなプロ触媒を活性化するために、一般的には、弱配位性アニオンを含有するブレンステッド酸塩が利用されている。一般に、ブレンステッド酸塩としては、ボレート又はアルミン酸塩が挙げられる。
ボレート共触媒とチーグラー・ナッタプロ触媒とを組み合わせる分子触媒システムのユニークな特性にもかかわらず、分子触媒システムは、ヘプタン又はメチルシクロヘキサンなどの非芳香族の無極性溶媒中に容易に溶解しない。エチレン及び他のオレフィンはしばしば非極性溶媒中で商業的に重合されるので、プロ触媒及び共触媒成分もそのような溶媒中で送達されなければならない。プロ触媒又は共触媒が不溶性である場合、それらはスラリーとして送達され得るが、これらのシステムはしばしば追加の装置を必要とし、溶液プロセスにおけるそれらの送達のための独特の複雑さを提示する。あるいは、これらの成分が溶媒中で低い溶解度を有する場合、それらは本質的に、所与のモル量を輸送及び送達するためにより多くの体積の溶媒を必要とし、輸送をより困難にする。最終的には、このような改善策は、希釈に伴ってスケールアップする汚染に関連する問題のために、触媒システムの活性も大幅に低下させる可能性がある。更に、触媒成分は様々な条件下で可溶性のままであることが好ましい。したがって、溶解度は室温で許容され得るが、より低い温度は成分の溶解度を低下させ得、極端な場合には、沈殿又は二相混合物をもたらし得る。結果として、触媒効率、反応性、及び良好な物理的特性を有するポリマーを生成する能力を維持しながら、様々な動作条件にわたって、特に無極性溶媒中に高溶解性触媒成分システムを有する継続的なニーズが存在する。
実施形態では、活性化剤錯体は、ルイス塩基及び活性化剤を含み、活性化剤は、アニオン及びカチオンを含み、アニオンは、式(I)による構造を有する。
式(I)中、Bはホウ素原子である。各R及び各Rは、-H又は-Fから選択され;各R、R、及びRは、-H、-F、(C~C10)ヒドロカルビル、(C~C10)ヘテロヒドロカルビルから選択され、R、R、R、R及びR10は、独立して、-H、-F、(C~C10)ヒドロカルビル、(C~C10)ヘテロヒドロカルビル、-OR、-SiR から選択され、ここで、Rは、-H又は(C~C10)ヒドロカルビルであり、任意選択的に、R及びRは結合して環を形成する。
活性化剤錯体において、ルイス塩基は、式(II):MN1N2N3(II)による構造を有する。
式(II)中、Mは窒素又はリンであり、RN1は(C~C30)ヒドロカルビルであり、RN2は(C~C30)ヒドロカルビルであり、RN3は(C~C30)ヒドロカルビルである。
ここで、触媒システムの特定の実施形態を説明する。本開示の触媒システムは、異なる形態で具現化されてよく、本開示に記載される特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではないことを理解されたい。むしろ、実施形態は、本開示が、徹底的かつ完全であり、主題の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。
一般的な略語を以下に列挙する。
Me:メチル、Et:エチル、Ph:フェニル、Bn:ベンジル、i-Pr:イソ-プロピル、t-Bu:tert-ブチル、t-Oct:tert-オクチル(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)、Tf:トリフルオロメタンスルホナート、THF:テトラヒドロフラン、EtO:ジエチルエーテル、CHCl:ジクロロメタン、CV:カラム体積(カラムクロマトグラフィで使用される場合)、EtOAc:酢酸エチル、C:重水素化ベンゼン又はベンゼン-d6、CDCl:重水素化クロロホルム、NaSO:硫酸ナトリウム、MgSO:硫酸マグネシウム、HCl:塩化水素、n-BuLi:ブチルリチウム、t-BuLi:tert-ブチルリチウム、MAO:メチルアルミノキサン、MMAO:修飾メチルアルミノキサン、GC:ガスクロマトグラフィ、LC:液体クロマトグラフィ、NMR:核磁気共鳴、MS:質量分析、mmol:ミリモル、mL:ミリリットル、M:モル濃度、min又はmins:分、h又はhrs:時間、d:日。
「独立して選択される」という用語は、R、R、R、R、及びRなどのR基が、同一であっても異なっていてもよいこと(例えば、R、R、R、R、及びRは全て、置換アルキルであってもよく、又はR及びRは、置換アルキルであってもよく、Rは、アリールであってもよい、など)を示すために本明細書で使用される。R基に関連する化学名は、化学名の化学構造に対応するものとして当該技術分野で認識されている化学構造を伝えることを意図している。したがって、化学名は、当業者に既知の構造的定義を補足及び例示することを意図しており、排除することを意図するものではない。
「プロ触媒」という用語は、活性化剤と組み合わせたときにオレフィン重合触媒活性を有する、遷移金属化合物を指す。「活性化剤」という用語は、プロ触媒を触媒的に活性な種に転換するようにプロ触媒と化学的に反応する化合物を指す。本明細書で使用される場合、「共触媒」及び「活性化剤」という用語は、互換的な用語である。
特定の炭素原子を含有する化学基を記載するために使用するとき、「(C~C)」の形態を有する括弧付きの表現は、化学基の非置換形態がx及びyを含めてx個の炭素原子からy個の炭素原子を有することを意味する。例えば、(C~C50)アルキルは、その非置換形態で1~50個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの実施形態及び一般構造において、ある特定の化学基は、Rなどの1つ以上の置換基によって置換され得る。括弧付きの「(C~C)」を使用して定義されるR置換化学基は、任意の基Rの同一性に従ってy個を超える炭素原子を含有することができる。例えば、「Rがフェニル(-C)である厳密に1つの基Rで置換された(C~C50)アルキル」は、7~56個の炭素原子を含有し得る。したがって、一般に、括弧付きの「(C~C)」を使用して定義される化学基が1個以上の炭素原子を含有する置換基Rによって置換されるとき、化学基の炭素原子の最小及び最大合計数は、x及びyの両方に、全ての炭素原子を含有する置換基R由来の炭素原子の合計数を加えることによって、決定される。
「置換」という用語は、対応する非置換化合物又は官能基の炭素原子に結合した少なくとも1個の水素原子(-H)が、置換基(例えば、R)によって置換されることを意味する。「-H」という用語は、別の原子に共有結合している水素又は水素ラジカルを意味する。「水素」及び「-H」は交換可能であり、明記されていない限り、同一の意味を有する。
「(C~C50)ヒドロカルビル」という用語は、1~50個の炭素原子の炭化水素ラジカルを意味し、「(C~C50)ヒドロカルビレン」という用語は、1~50個の炭素原子の炭化水素ジラジカルを意味し、各炭化水素ラジカル及び各炭化水素ジラジカルは、芳香族又は非芳香族、飽和又は不飽和、直鎖又は分枝鎖、環式(3個以上の炭素を有し、単環式及び多環式、縮合及び非縮合の多環式、並びに二環式を含む)又は非環式であり、1つ以上のRによって置換されているか、又は置換されていない。
本開示では、(C~C50)ヒドロカルビルは、非置換又は置換(C~C50)アルキル、(C~C50)シクロアルキル、(C~C20)シクロアルキル-(C~C20)アルキレン、(C~C40)アリール、又は(C~C20)アリール-(C~C20)アルキレン(ベンジル(-CH-C)など)であり得る。
「(C~C50)アルキル」という用語は、1~50個の炭素原子を含有する飽和直鎖又は分枝鎖炭化水素ラジカルを意味し、「(C~C30)アルキル」という用語は、1~30個の炭素原子の飽和直線又は分枝状炭化水素ラジカルを意味する。各(C~C50)アルキル及び(C~C30)アルキルは、非置換であり得るか、又は1つ以上のRで置換され得る。いくつかの例では、炭化水素ラジカル中の各水素原子は、例えばトリフルオロメチルなどのRで置換され得る。非置換(C~C50)アルキルの例は、非置換(C~C20)アルキル、非置換(C~C10)アルキル、非置換(C~C)アルキル、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、1-ペンチル、1-ヘキシル、1-ヘプチル、1-ノニル、及び1-デシルである。置換(C~C40)アルキルの例は、置換(C~C20)アルキル、置換(C~C10)アルキル、トリフルオロメチル、及び[C45]アルキルである。「[C45]アルキル」という用語は、置換基を含むラジカル中に最大45個の炭素原子が存在することを意味し、例えば、メチル、トリフルオロメチル、エチル、1-プロピル、1-メチルエチル、又は1,1-ジメチルエチルなどの(C~C)アルキルである、1つのRによって置換されている(C27~C40)アルキルである。
(C~C50)アルケニルという用語は、3~50個の炭素原子、少なくとも1つの二重結合を含有し、かつ非置換であるか又は1つ以上のRで置換されている、分枝又は非分枝の環状又は非環状一価炭化水素ラジカルを意味する。非置換(C~C50)アルケニルの例:n-プロペニル、イソプロペニル、n-ブテニル、イソブテニル、オクテニル、デセニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、及びシクロヘキサジエニル。置換(C~C50)アルケニルの例:(2-トリフルオロメチル)ペント-1-エニル、(3-メチル)ヘキス-1-エネイル(eneyl)、(3-メチル)ヘキサ-1,4-ジエニル、及び(Z)-1-(6-メチルヘプト-3-エン-1-イル)シクロヘキス-1-エネイル。
「(C~C50)アリール」という用語は、6~40個の炭素原子の非置換又は(1つ以上のRによって)置換された、単環式、二環式、又は三環式芳香族炭化水素ラジカルを意味し、炭素原子のうちの少なくとも6~14個は芳香環炭素原子である。単環式芳香族炭化水素ラジカルは、1つの芳香環を含み、二環式芳香族炭化水素ラジカルは、2つの環を有し、三環式芳香族炭化水素ラジカルは、3つの環を有する。二環式又は三環式の芳香族炭化水素ラジカルが存在するとき、そのラジカルの環のうちの少なくとも1つは、芳香族である。芳香族ラジカルの他の1つの環又は複数の環は、独立して、縮合又は非縮合、及び芳香族又は非芳香族であり得る。非置換(C~C50)アリールの例としては、非置換(C~C20)アリール、非置換(C~C18)アリール、2-(C~C)アルキル-フェニル、フェニル、フルオレニル、テトラヒドロフルオレニル、インダセニル、ヘキサヒドロインダセニル、インデニル、ジヒドロインデニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、及びフェナントレンが挙げられる。置換(C~C40)アリールの例としては、置換(C~C20)アリール、置換(C~C18)アリール、2,4-ビス([C20]アルキル)-フェニル、ポリフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、及びフルオレン-9-オン-1-イルが挙げられる。
「(C~C50)シクロアルキル」という用語は、非置換であるか又は1つ以上のRで置換されている、3~50個の炭素原子の飽和環状炭化水素ラジカルを意味する。他のシクロアルキル基(例えば(C~C)シクロアルキル)は、x~y個の炭素原子を有し、かつ非置換であるか、又は1つ以上のRで置換されているものであるかのいずれかとして、同様の様式で定義される。非置換(C~C40)シクロアルキルの例は、非置換(C~C20)シクロアルキル、非置換(C~C10)シクロアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、及びシクロデシルである。置換(C~C40)シクロアルキルの例は、置換(C~C20)シクロアルキル、置換(C~C10)シクロアルキル、及び1-フルオロシクロヘキシルである。
「ヘテロ原子」という用語は、水素又は炭素以外の原子を指す。1つ又は2つ以上のヘテロ原子を含有する基の例としては、O、S、S(O)、S(O)、Si(R、P(R)、N(R)、-N=C(R、-Ge(R-、-Si(R)-、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、又はインジウム(In)が挙げられ、各R及び各Rは、非置換(C~C18)ヒドロカルビル又は-Hであり、各Rは非置換(C~C18)ヒドロカルビルである。「ヘテロ炭化水素」という用語は、炭化水素の1個以上の炭素原子がヘテロ原子で置き換えられている分子又は分子骨格を指す。「(C~C50)ヘテロヒドロカルビル」という用語は、1~50個の炭素原子を有するヘテロ炭化水素ラジカルを意味し、「(C~C50)ヘテロヒドロカルビレン」という用語は、1~50個の炭素原子を有するヘテロ炭化水素ジラジカルを意味する。(C~C50)ヘテロヒドロカルビル又は(C~C50)ヘテロヒドロカルビレンのヘテロ炭化水素は、1個以上のヘテロ原子を有する。ヘテロヒドロカルビルのラジカルは、炭素原子上又はヘテロ原子上に存在し得る。ヘテロヒドロカルビレンの2つのラジカルは、単一の炭素原子上又は単一のヘテロ原子上に存在し得る。追加的に、ジラジカルの2つのラジカルのうちの一方は、炭素原子上に存在してもよく、他方のラジカルは、異なる炭素原子上に存在してもよく、2つのラジカルのうちの一方は、炭素原子上に、他方はヘテロ原子上に存在してもよく、又は2つのラジカルのうちの一方は、ヘテロ原子上に、他方のラジカルは、異なるヘテロ原子上に存在してもよい。各(C~C50)ヘテロヒドロカルビル及び(C~C50)ヘテロヒドロカルビレンは、非置換、又は(1つ以上のRによって)置換されてよく、芳香族又は非芳香族、飽和又は不飽和、直鎖又は分枝鎖、環式(単環式及び多環式、縮合及び非縮合多環式を含む)又は非環式であり得る。
(C~C50)ヘテロヒドロカルビルは、非置換又は置換であり得る。(C~C50)ヘテロヒドロカルビルの非限定的な例としては、(C~C50)ヘテロアルキル、(C~C50)ヒドロカルビル-O-、(C~C50)ヒドロカルビル-S-、(C~C50)ヒドロカルビル-S(O)-、(C~C50)ヒドロカルビル-S(O)-、(C~C50)ヒドロカルビル-Si(R-、(C~C50)ヒドロカルビル-N(R)-、(C~C50)ヒドロカルビル-P(R)-、(C~C50)ヘテロシクロアルキル、(C~C19)ヘテロシクロアルキル-(C~C20)アルキレン、(C~C20)シクロアルキル-(C~C19)ヘテロアルキレン、(C~C19)ヘテロシクロアルキル-(C~C20)ヘテロアルキレン、(C~C50)ヘテロアリール、(C~C19)ヘテロアリール-(C~C20)アルキレン、(C~C20)アリール-(C~C19)ヘテロアルキレン、又は(C~C19)ヘテロアリール-(C~C20)ヘテロアルキレンが挙げられる。
「(C~C50)ヘテロアリール」という用語は、合計1~50個の炭素原子及び1~10個のヘテロ原子を有する、非置換であるか、又は(1つ以上のRによって)置換されている単環式、二環式、又は三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルを意味する。単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルとしては、1つのヘテロ芳香環を含み、二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、2つの環を有し、三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、3つの環を有する。二環式又は三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルが存在する場合、ラジカルにおける環のうちの少なくとも1つは、ヘテロ芳香族である。ヘテロ芳香族ラジカルの他の1つ又は複数の環は、独立して、縮合又は非縮合、及び芳香族又は非芳香族であり得る。他のヘテロアリール基(例えば、一般に、(C~C12)ヘテロアリールなどの(C~C)ヘテロアリール)は、x~y個の炭素原子(例えば1~12個の炭素原子など)を有し、かつ非置換であるか、又は1つ若しくは2つ以上のRで置換されているものとして、同様の様式で定義される。単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、5員環又は6員環である。5員環単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、5マイナスh個の炭素原子を有し、ここで、hは、ヘテロ原子の数であり、1、2、3、又は4個であってもよく、各ヘテロ原子は、O、S、N、又はPであってもよい。5員環ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例としては、ピロール-1-イル、ピロール-2-イル、フラン-3-イル、チオフェン-2-イル、ピラゾール-1-イル、イソオキサゾール-2-イル、イソチアゾール-5-イル、イミダゾール-2-イル、オキサゾール-4-イル、チアゾール-2-イル、1,2,4-トリアゾール-1-イル、1,3,4-オキサジアゾール-2-イル、1,3,4-チアジアゾール-2-イル、テトラゾール-1-イル、テトラゾール-2-イル、及びテトラゾール-5-イルが挙げられる。6員環単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、6マイナスh個の炭素原子を有し、hは、ヘテロ原子の数であり、1又は2個であってもよく、ヘテロ原子は、N又はPであってもよい。6員環ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例としては、ピリジン-2-イル、ピリミジン-2-イル、及びピラジン-2-イルが挙げられる。二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、縮合5,6-又は6,6-環システムであり得る。縮合5,6-環システム二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例は、インドール-1-イル、及びベンズイミダゾール-1-イルである。縮合6,6-環システム二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例は、キノリン-2-イル、及びイソキノリン-1-イルである。三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、縮合5,6,5-、5,6,6-、6,5,6-、又は6,6,6-環システムであり得る。縮合5,6,5-環システムの例は、1,7-ジヒドロピロロ[3,2-f]インドール-1-イルである。縮合5,6,6-環システムの例は、1H-ベンゾ[f]インドール-1-イルである。縮合6,5,6-環システムの例は、9H-カルバゾール-9-イルである。縮合6,6,6-環システムの例は、アクリジン-9-イルである。
「(C~C50)ヘテロアルキル」という用語は、1~50個の炭素原子及び1個以上のヘテロ原子を含有する飽和直鎖又は分枝鎖ラジカルを意味する。「(C~C50)ヘテロアルキレン」という用語は、1~50個の炭素原子及び1個又は2個以上のヘテロ原子を含有する飽和直鎖又は分枝鎖ジラジカルを意味する。ヘテロアルキル又はヘテロアルキレンのヘテロ原子には、Si(R、Ge(R、Si(R、Ge(R、P(R、P(R)、N(R、N(R)、N、O、OR、S、SR、S(O)、及びS(O)が含まれ得、ヘテロアルキル及びヘテロアルキレン基の各々は、非置換であるか、又は1つ以上のRによって置換されている。
非置換(C~C40)ヘテロシクロアルキルの例としては、非置換(C~C20)ヘテロシクロアルキル、非置換(C~C10)ヘテロシクロアルキル、アジリジン-1-イル、オキセタン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、ピロリジン-1-イル、テトラヒドロチオフェン-S,S-ジオキシド-2-イル、モルホリン-4-イル、1,4-ジオキサン-2-イル、ヘキサヒドロアゼピン-4-イル、3-オキサ-シクロオクチル、5-チオ-シクロノニル、及び2-アザ-シクロデシルが挙げられる。
「ハロゲン原子」又は「ハロゲン」という用語は、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、又はヨウ素原子(I)のラジカルを意味する。「ハライド」という用語は、ハロゲン原子のアニオン形態、フルオリド(F)、クロリド(Cl)、ブロミド(Br)、又はヨージド(I)を意味する。
「飽和」という用語は、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、及び(ヘテロ原子含有基において)炭素-窒素二重結合、炭素-リン二重結合、及び炭素-ケイ素二重結合を欠くことを意味する。飽和化学基が1つ以上の置換基Rによって置換されている場合、1つ以上の二重結合又は三重結合は、任意選択的に置換基R中に存在し得る。「不飽和」という用語は、1個以上の炭素-炭素二重結合若しくは炭素-炭素三重結合、又は(ヘテロ原子含有基において)1個以上の炭素-窒素二重結合、炭素-リン二重結合、又は炭素-ケイ素二重結合を含有し、置換基R(存在する場合)、又は芳香環若しくはヘテロ芳香環(存在する場合)中に存在し得る二重結合を含まないことを意味する。
本開示の実施形態は、活性化剤錯体を含む。活性化剤錯体は、ルイス塩基及び活性化剤を含み、活性化剤は、アニオン及びカチオンを含み、アニオンは、式(I)による構造を有する。
式(I)中、Bはホウ素原子である。各R及び各Rは、-H又は-Fから選択され;各R、R、及びRは、-H、-F、(C~C10)ヒドロカルビル、(C~C10)ヘテロヒドロカルビルから選択され、R、R、R、R及びR10は、独立して、-H、-F、(C~C10)ヒドロカルビル、(C~C10)ヘテロヒドロカルビル、-OR、-SiR から選択され、ここで、Rは、-H又は(C~C10)ヒドロカルビルであり、任意選択的に、R及びRは結合して環を形成する。
活性化剤錯体において、ルイス塩基は、式(II)による構造を有する:
N1N2N3 (II)。
式(II)中、Mは窒素又はリンであり、RN1は(C~C30)ヒドロカルビルであり、RN2は(C~C30)ヒドロカルビルであり、RN3は(C~C30)ヒドロカルビルである。
1つ以上の実施形態では、式(II)中、RN1は、線状(C~C30)アルキル、分枝状(C~C30)アルキル、(C3~30)シクロアルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、式(II)中、RN1は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、イソブチル、シクロブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、セプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルであってもよい。
いくつかの実施形態では、式(II)中、RN2及びRN3は、独立して、(C10~C30)ヒドロカルビルであってもよい。1つ以上の実施形態では、式(II)中、RN2及びRN3は、独立して、線状(C~C30)アルキル、分枝状(C~C30)アルキル、(C~C30)シクロアルキルであってもよい。種々の実施形態では、式(II)中、RN2及びRN3は、独立して、(C10~C30)アルキル、分枝状(C10~C30)アルキル、(C~C30)シクロアルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、式(II)中、RN2及びRN3は、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、イソブチル、シクロブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、セプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルであってもよい。
いくつかの実施形態では、式(I)中、R、R、R、R、及びR10のうちの3つ以上がフッ素原子である場合、各個々の環のR、R、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは-Hである。種々の実施形態では、R、R、R、R、及びR10のいずれもフッ素原子ではない場合、R、R、R、R、及びRのうちの少なくとも4つはフッ素原子である。
いくつかの実施形態では、R、R、R、R、及びRの各々は、フッ素原子である。いくつかの実施形態では、R、R、R、及びRの各々は、フッ素原子である。1つ以上の実施形態では、R、R、及びRは、フッ素原子である。種々の実施形態では、R、R、及びRは、フッ素原子である。いくつかの実施形態では、R及びRは、-CF又はフッ素原子である。1つ以上の実施形態では、R、R、及びRは、フッ素原子である。
1つ以上の実施形態では、R、R、R、R、及びR10は、フッ素原子である。いくつかの実施形態では、R、R、R、及びR10は、フッ素原子であるか、又はR、及びRがフッ素原子である。種々の実施形態では、R及びRは、-CFである。いくつかの実施形態では、R及びR10は、フッ素原子である。1つ以上の実施形態では、R、R、及びR10は、フッ素原子である。
1つ以上の実施形態では、触媒システムは、活性化剤のモル量に基づいて1.0モル当量未満のルイス塩基を含む。いくつかの実施形態では、触媒システムは、活性化剤のモル量に基づいて、0.5モル当量未満、又は0.2モル当量以下のルイス塩基を含む。
種々の実施形態では、触媒システムは、0.9:1~0.01:1、0.8:1~0.05:1、0.7:1~0.1:1、又は0.6:1~0.2:1のルイス塩基対活性化剤錯体のモル比を含む。
実施形態では、触媒システムは、式(I)のアニオン及びカチオンを含む。カチオンは、+1の形式電荷を有する任意のカチオンである。1つ以上の実施形態では、カチオンは、プロトン性である。いくつかの実施形態では、カチオンは、式(II)のプロトン化構造であってもよい。いくつかの実施形態では、カチオンは、三級カルボカチオン、アルキル置換アンモニウムイオン、アニリニウム、アルキル置換アルモセニウム(alumocenium)、又はフェロセニウムからなる群から選択される。
活性化剤のいくつかの実施形態では、対カチオンは、プロトン化トリ[(C~C40)ヒドロカルビル]アンモニウムカチオンから選択される。いくつかの実施形態では、対カチオンは、アンモニウムカチオン上に1つ又は2つの(C14~C20)アルキルを含有する、プロトン化トリアルキルアンモニウムカチオンである。1つ以上の実施形態では、対カチオンは、N(CH)HR であり、式中、Rは、(C16~C18)アルキルである。いくつかの実施形態では、対カチオンは、メチルジ(オクタデシル)アンモニウムカチオン又はメチルジ(テトラデシル)アンモニウムカチオンから選択される。メチルジ(オクタデシル)アンモニウムカチオン又はメチルジ(テトラデシル)アンモニウムカチオンは、本明細書ではまとめてアルメニウム(armeenium)カチオンと称される。アルメニウムカチオンを有するイオン性化合物は、商品名Armeen(商標)M2HTでNouryonから得られる。他の実施形態では、対カチオンは、トリチルとも称されるトリフェニルメチルカルボカチオン(Ph)である。1つ以上の実施形態では、対カチオンは、C(Cなどのトリス-置換-トリフェニルメチルカルボカチオンであり、式中、各Rが独立して、(C~C30)アルキルから選択される。他の実施形態では、対カチオンは、アニリニウム、フェロセニウム、又はアルミノセニウムから選択される。アニリニウムカチオンは、[HMeN(C)]などのプロトン化窒素カチオンである。アルミノセニウムは、R Al(THF) などのアルミニウムカチオンであり、式中、Rは、(C~C30)アルキルから選択される。
いくつかの実施形態では、触媒システムは、活性化剤のモル量に基づいて1.0モル当量未満のルイス塩基を含む。
いくつかの実施形態では、活性化剤錯体は、0.9:1~0.01:1のルイス塩基対活性化剤のモル比を含む。1つ以上の実施形態では、活性化剤錯体は、0.05:1~0.01:1のルイス塩基対活性化剤のモル比を含む。種々の実施形態では、ルイス塩基の重量パーセントは、10ppmを超える。いくつかの実施形態では、ルイス塩基の重量パーセントは、100ppm超、500ppm超、1,000ppm超、又は1,000ppm~10,000ppm超である。種々の実施形態では、ルイス塩基の重量パーセントは、より大きい。
本開示の活性化剤錯体は、プロ触媒と接触させる前に、かつ重合プロセスにおいて使用する前に、式(I)に従うアニオンを有する活性化剤にルイス塩基を添加することによって形成される。
フッ素原子の総数が少なくとも4である、先行する請求項のいずれか一項に記載の触媒システム。いくつかの実施形態では、フッ素原子の総数は4~18である。
例示的な実施形態では、触媒システムは、アニオン及びカチオンを有する活性化剤を含んでもよく、アニオンは式(I)に従い、活性化剤は以下のいずれかの構造を有する。
触媒システム成分
触媒システムは、プロ触媒を含み得る。プロ触媒は、式(I)のアニオン及び対カチオンを有する金属活性化剤に錯体を接触させるか、又は金属活性化剤と錯体を組み合わせることによって、触媒的に活性になることができる。プロ触媒は、チタン(Ti)金属-配位子錯体、ジルコニウム(Zr)金属-配位子錯体、又はハフニウム(Hf)金属-配位子錯体などの第IV族金属-配位子錯体(CASによる第IVB族、又はIUPAC命名規則による第4族)などの金属-配位子錯体から選択してよい。プロ触媒の非限定的な例としては、エチレン系ポリマーを重合させるための触媒、プロ触媒、又は触媒活性化合物が挙げられ、米国特許第8372927号、国際公開第2010022228号、国際公開第2011102989号、米国特許第6953764号、米国特許第6900321号、国際公開第2017173080号、米国特許第7650930号、米国特許第6777509号、国際公開第99/41294号、米国特許第6869904号、又は国際公開第2007136496号のうちの1つ以上に開示されており、これら文書は全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
1つ以上の実施形態では、触媒システムは、触媒がイオン性である金属-配位子錯体プロ触媒を含む。限定することを意図するものではないが、均一系触媒の例としては、メタロセン錯体、拘束型幾何金属-配位子錯体(Li,H.;Marks,T.J.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.2006,103,15295-15302、Li,H.;Li,L.;Schwartz,D.J.;Metz,M.V.;Marks,T.J.;Liable-Sands,L.;Rheingold,A.L.,J.Am.Chem.Soc.2005,127,14756-14768、McInnis,J.P.;Delferro,M.;Marks,T.J.,Acc.Chem.Res.2014,47,2545-2557、Delferro,M.;Marks,T.J.,Chem.Rev.2011,111,2450-2485.)、ピリジルアミドHf(又はZr、Ti)錯体(Arriola,D.J.;Carnahan,E.M.;Hustad,P.D.;Kuhlman,R.L.;Wenzel,T.T.,Science,2006,312,714-719.、Arriola,D.J.;Carnahan,E.M.;Cheung,Y.W.;Devore,D.D.;Graf,D.D.;Hustad,P.D.;Kuhlman,R.L.;Shan,C.L.P.;Poon,B.C.;Roof,G.R.,米国特許9243090(B2)号,2016.)、フェノキシイミン金属錯体(Makio,H.;Terao,H.;Iwashita,A.;Fujita,T.,Chem.Rev.2011,111,2363-2449.)、ビス-ビフェニルフェノキシ金属-配位子錯体(Arriola,D.J.;Bailey,B.C.;Klosin,J.;Lysenko,Z.;Roof,G.R.;Smith,A.J.国際公開第2014209927(A1)号,2014.)などを参照されたい。以下の参考文献は、金属錯体を産業及び学術分野の両方でオレフィン重合触媒として要約している:Sturzel,M.;Mihan,S.;Mulhaupt,R.,Chem.Rev.2016,116,1398-1433.、Busico,V.,Dalton Transactions 2009,8794-8802.、Klosin,J.;Fontaine,P.P.;Figueroa,R.,Acc.Chem.Res.2015,48,2004-2016。本開示の発明を実施するための形態に列挙されている全ての参考文献は、本明細書に組み込まれる。
1つ以上の実施形態では、第IV族金属-配位子錯体としては、ビス(フェニルフェノキシ)第IV族金属-配位子錯体、又は拘束型幾何第IV族金属-配位子錯体が挙げられる。
いくつかの実施形態によれば、第IV族金属-配位子プロ触媒錯体は、式(X)によるビス(フェニルフェノキシ)構造を含み得る。
式(X)中、Mは、チタン、ジルコニウム、又はハフニウムから選択された金属であり、金属が、+2、+3、又は+4の形式的酸化状態にある。(X)の下付き文字nは、0、1、又は2である。下付き文字nが1のとき、Xは、単座配位子又は二座配位子であり、下付き文字nが2のとき、各Xは、単座配位子である。Lは、(C~C40)ヒドロカルビレン、(C~C40)ヘテロヒドロカルビレン、-Si(R-、-Si(ROSi(R-、-Si(RC(R-、-Si(RSi(R-、-Si(RC(RSi(R-、-C(RSi(RC(R-、-N(R)C(R-、-N(R)N(R)-、-C(RN(R)C(R-、-Ge(R-、-P(R)-、-N(R)-、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、-N=C(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R)-、及び-N(R)C(O)-からなる群から選択されるジラジカルである。各Zは、独立して、-O-、-S-、-N(R)-、又は-P(R)-から選択され、R~R、R~R-8、R~R12、及びR13~R15は、独立して、-H、(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、-Si(R、-Ge(R、-P(R、-N(R、-OR、-SR、-NO、-CN、-CF、RS(O)-、RS(O)-、-N=C(R、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、(RNC(O)-、及びハロゲンからなる群から選択される。R及びR16は、式(XI)を有するラジカル、式(XII)を有するラジカル、及び式(XIII)を有するラジカルから選択される。
式(XI)、(XII)、及び(XIII)中、R31~R35、R41~R48、及びR51~R59の各々は、独立して、-H、(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、-Si(R、-Ge(R、-P(R、-N(R、-OR、-SR、-NO、-CN、-CF、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、(RNC(O)-、又はハロゲンから選択される。
1つ以上の実施形態では、各Xは、任意の他の配位子Xから独立して、ハロゲン、非置換(C~C20)ヒドロカルビル、非置換(C~C20)ヒドロカルビルC(O)O-、又はRN-(式中、R及びRの各々は、独立して、非置換(C~C20)ヒドロカルビルである)である単座配位子であってよい。
いくつかの実施形態によれば、第IV族金属-配位子錯体は、式(XIV)によるシクロペンタジエニルプロ触媒を含み得る:
LpMXX’X’’、又はその二量体(XIV)。
式(XIV)中、Lpは、最大50個の非水素原子を含有する、Mに結合しているアニオン性の非局在化したπ結合基である。式(XIV)のいくつかの実施形態では、2つのLp基が、一緒に結合して架橋構造を形成してもよく、更に任意選択的に1つのLpが、Xに結合してもよい。
式(XIV)中、Mは、+2、+3、又は+4の形式的酸化状態にある、元素周期表の第4族金属である。Xは、Lpと一緒にMを含む金属環状物を形成する最大50個の非水素原子の任意選択の二価置換基である。X’は、最大20個の非水素原子を有する任意選択の中性配位子であり、各X’’は、独立して、最大40個の非水素原子を有する一価アニオン部分である。任意選択的に、2つのX’’基は、一緒に共有結合し、両方の結合価がMに結合している二価ジアニオン部分を形成し得るか、又は任意選択的に、2つのX’’基は、一緒に共有結合し、Mが+2酸化状態にある、Mにπ結合した中性、共役、若しくは非共役ジエンを形成し得る。他の実施形態では、1つ以上のX’’及び1つ以上のX’基は、一緒に結合し得、それによってMに共有結合し、かつルイス塩基官能基によって配位している部分を形成し得る。Lpの下付き文字iは、0、1、又は2であり、X’の下付き文字nは、0、1、2、又は3であり、Xの下付き文字mは、0又は1であり、X’’の下付き文字pは、0、1、2、又は3である。i+m+pの合計は、Mの式上の酸化状態に等しい。
他のプロ触媒、特に他の第IV族金属-配位子錯体を含有するプロ触媒は、当業者には明らかであろう。
本開示の触媒システムは、式(I)のアニオン及び対カチオンを有するイオン性金属活性化剤錯体に加えて、共触媒又は活性化剤を含み得る。そのような追加の共触媒としては、例えば、各ヒドロカルビル基に1~10個の炭素を有するトリ(ヒドロカルビル)アルミニウム化合物、オリゴマー若しくはポリマーのアルミノキサン化合物、各ヒドロカルビル若しくはヒドロカルビルオキシ基に1~20個の炭素を有するジ(ヒドロカルビル)(ヒドロカルビルオキシ)アルミニウム化合物、又は前述の化合物の混合物を挙げることができる。重合混合物から酸素、水、及びアルデヒドなどの不純物を捕捉する有益な能力のため、これらのアルミニウム化合物を用いることが有用である。
本開示に記載の活性化剤と併せて使用され得るジ(ヒドロカルビル)(ヒドロカルビルオキシ)アルミニウム化合物は、式T AlOT又はT Al(OT(式中、Tは、二級又は三級(C~C)アルキル、例えば、イソプロピル、イソブチル、又はtert-ブチルであり、Tは、アルキル置換(C~C30)アリールラジカル又はアリール置換(C~C30)アルキルラジカル、例えば、2,6-ジ(tert-ブチル)-4-メチルフェニル、2,6-ジ(tert-ブチル)-4-メチルフェニル、2,6-ジ(tert-ブチル)-4-メチルトリル、又は4-(3’,5’-ジ-tert-ブチルトリル)-2,6-ジ-tert-ブチルフェニルである)に対応する。
アルミニウム化合物の追加の例としては、[C]トリアルキルアルミニウム化合物、具体的には、アルキル基がエチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、ペンチル、ネオペンチル、又はイソペンチルであるもの、アルキル基に1~6個の炭素、及びアリール基に6~18個の炭素を含有するジアルキル(アリールオキシ)アルミニウム化合物(具体的には、(3,5-ジ(t-ブチル)-4-メチルフェノキシ)ジイソブチルアルミニウム)、メチルアルミノキサン、修飾メチルアルミノキサン、及びジイソブチルアルミノキサンが挙げられる。
本開示の実施形態による触媒システムでは、イオン性金属活性化剤錯体対第IV族金属-配位子錯体のモル比は、1:10,000~1000:1、例えば、1:5000~100:1、1:100~100:1、1:10~10:1、1:5~1:1、又は1.25:1~1:1であり得る。触媒システムは、本開示に記載の1つ以上のイオン性金属活性化剤錯体の組み合わせを含み得る。
1つ以上の実施形態では、活性化剤は、標準温度及び圧力(standard temperature and pressure、STP)(22.5±2.5℃の温度及び約1気圧の圧力)でメチルシクロヘキサン(methylcyclohexane、MCH)中に20ミリグラム/ミリリットル(milligrams per milliliter、mg/mL)を超える溶解度を有する。いくつかの実施形態では、活性化剤は、STP下でMCH中に20~100mg/mLの溶解度を有する。MCH中に少なくとも20~100mg/mLの全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、別個の実施形態として本明細書に開示される。例えば、本開示による活性化剤のいずれか1つは、MCH中に少なくとも21mg/mL、少なくとも25mg/mL、又は少なくとも30mg/mLで含まれ得る。
いくつかの実施形態では、活性化剤は、ヘキサン、シクロヘキサン、又はメチルシクロヘキサン中、25℃で少なくとも1重量パーセントの溶解度を有する。いくつかの実施形態では、活性化剤は、ヘキサン、シクロヘキサン、又はメチルシクロヘキサン中、25℃で少なくとも5重量パーセント又は少なくとも8重量パーセントの溶解度を有する。
化合物の溶解度は、少なくとも部分的には、溶媒システムのエントロピー効果によって決定される。エントロピー効果は、例えば、格子エネルギー、溶媒和、溶媒構造、又はそれらの組み合わせにおける変化を含み得る。溶媒和は、溶質(活性化剤又は共触媒など)と溶媒の分子との間の相互作用に関連する。理論に束縛されるものではないが、ルイス塩基の添加は、カチオンと弱い付加物を形成することができ、正電荷が更に可溶化されることを可能にする。この効果は、ルイス塩基成分の親油性を増加させることによって更に促進することができる。
一般に、溶質は、異なる非極性溶媒において同様の溶解度を有し得る。非極性溶媒は一般に炭化水素溶媒を含む。非極性炭化水素溶媒の非限定的なリストには、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、灯油、トルエン、キシレン、ターペンタイン、及びISOPAR-E(商標)、並びにそれらの組み合わせが含まれる。実施例のセクションでは、共触媒は、本開示に記載されるように、それらの両方が非極性溶媒であり、より具体的には炭化水素溶媒である、メチルシクロヘキサン又はISOPAR-E(商標)を含む溶媒システムにおいてポリマーを十分に処理する。したがって、本開示の共触媒は、他の溶媒システムにおいてポリマーを十分に処理し得ると考えられている。
ポリオレフィン
先行する段落に記載された触媒システムは、オレフィン、主にエチレン及びプロピレンの重合に利用され、エチレン系ポリマー又はプロピレン系ポリマーを形成する。いくつかの実施形態では、重合スキーム中のオレフィン又はα-オレフィンは一種類のみであるので、ホモポリマーが生成される。しかしながら、追加のα-オレフィンを重合手順に組み込んでもよい。追加のα-オレフィンコモノマーは、典型的には、20個以下の炭素原子を有する。例えば、α-オレフィンコモノマーは、3~10個の炭素原子、又は3~8個の炭素原子を有し得る。例示的なα-オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、及び4-メチル-1-ペンテンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、1つ以上のα-オレフィンコモノマーは、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から、又は代替として、1-ヘキセン及び1-オクテンからなる群から選択され得る。
エチレン系ポリマー、例えば、エチレンのホモポリマー及び/又は、エチレンと任意選択的にα-オレフィンなどの1つ以上のコモノマーとのインターポリマー(コポリマーを含む)は、エチレンに由来するモノマー単位を少なくとも50モルパーセント(mol%)含み得る。「少なくとも50モルパーセント」に包含される全ての個々の値及び部分範囲は、別個の実施形態として本明細書に開示され、例えば、エチレン系ポリマー、エチレンのホモポリマー、及び/又はエチレンと任意選択的にα-オレフィンなどの1つ以上のコモノマーとのインターポリマー(コポリマーを含む)は、エチレンに由来するモノマー単位を少なくとも60モルパーセント、エチレンに由来する少なくとも70モルパーセントのモノマー単位、エチレンに由来する少なくとも80モルパーセントのモノマー単位、又はエチレンに由来する50~100モルパーセントのモノマー単位、又はエチレンに由来する80~100モルパーセントのモノマー単位を含み得る。
いくつかの実施形態では、本開示に従う重合プロセスは、エチレン系ポリマーを生成する。1つ以上の実施形態では、エチレン系ポリマーは、エチレンに由来する少なくとも90モルパーセントの単位を含み得る。少なくとも90モルパーセントからの全ての個々の値及び部分範囲は本明細書に含まれ、別個の実施形態として本明細書に開示される。例えば、エチレン系ポリマーは、エチレンに由来する少なくとも93モルパーセントの単位、少なくとも96モルパーセントの単位、エチレンに由来する少なくとも97モルパーセントの単位、又は代替として、エチレンに由来する90~100モルパーセントの単位、エチレンに由来する90~99.5モルパーセントの単位、若しくはエチレンに由来する97~99.5モルパーセントの単位を含み得る。
エチレン系ポリマーのいくつかの実施形態では、追加のα-オレフィンの量は50mol%未満であり、他の実施形態は、少なくとも1モルパーセント(mol%)~25mol%を含み、更なる実施形態では、追加のα-オレフィンの量は、少なくとも5モル%~103モル%を含む。いくつかの実施形態では、追加のα-オレフィンは、1-オクテンである。
任意の従来の重合プロセスを用いてエチレン系ポリマーを生成してもよい。そのような従来の重合プロセスとしては、1つ以上の従来の反応器、例えばループ反応器、等温反応器、流動床気相反応器、撹拌槽型反応器、バッチ反応器などの並列、直列、又はそれらの任意の組み合わせを使用する、溶液重合プロセス、気相重合プロセス、スラリー相重合プロセス、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器システム、例えば、二重ループ反応器システムにおいて、溶液重合によって生成してもよく、エチレン及び任意選択的に1つ以上のα-オレフィンは、本明細書に記載の触媒システム及び任意選択的に1つ以上の共触媒の存在下で重合される。別の実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器システム、例えば、二重ループ反応器システムにおいて、溶液重合によって生成してもよく、エチレン及び任意選択的に1つ以上のα-オレフィンは、本開示における、かつ本明細書に記載の触媒システム並びに任意選択的に1つ以上の他の触媒の存在下で重合される。本明細書に記載の触媒システムは、任意選択的に1つ以上の他の触媒と組み合わせて、第1の反応器又は第2の反応器において使用することができる。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器システム、例えば、二重ループ反応器システムにおいて、溶液重合によって生成してもよく、エチレン及び任意選択的に1つ以上のα-オレフィンは、本明細書に記載の触媒システムの存在下で両方の反応器中で重合される。
別の実施形態では、エチレン系ポリマーは、単一反応器システム、例えば単一ループ反応器システムにおいて、溶液重合によって生成してもよく、エチレン及び任意選択的に1つ以上のα-オレフィンは、本開示内に記載されるように、触媒システム、及び先行する段落に記載されるように、任意選択的に1つ以上の共触媒の存在下で重合される。
エチレン系ポリマーは、1つ以上の添加剤を更に含んでもよい。そのような添加剤としては、帯電防止剤、色増強剤、染料、潤滑剤、顔料、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、加工助剤、紫外線安定剤、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。エチレン系ポリマーは、任意の量の添加剤を含み得る。エチレン系ポリマーは、エチレン系ポリマー及び1つ以上の添加剤の重量に基づいて、かかる添加剤の合計重量で約0~約10パーセント妥協し得る。エチレン系ポリマーは、充填剤を更に含み得、その充填剤としては、有機又は無機充填剤を挙げることができるが、これらに限定されない。エチレン系ポリマーは、エチレン系ポリマー及び全ての添加剤又は充填剤の合計重量に基づいて、例えば炭酸カルシウム、タルク、又はMg(OH)などの約0~約20重量パーセントの充填剤を含有し得る。エチレン系ポリマーは、1つ以上のポリマーと更にブレンドされてブレンド物を形成することができる。
いくつかの実施形態では、エチレン系ポリマーを生成するための重合プロセスは、エチレン及び少なくとも1つの追加のα-オレフィンを、本開示による触媒システムの存在下で重合することを含み得る。式(X)の金属-配位子錯体を組み込むそのような触媒システムから得られるポリマーは、ASTM D792(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に従って、例えば、0.850g/cm~0.950g/cm、0.880g/cm~0.920g/cm、0.880g/cm~0.910g/cm、又は0.880g/cm~0.900g/cmの密度を有してもよい。
別の実施形態では、本開示による触媒システムから結果として得られるポリマーは、5~15のメルトフロー比(I10/I)を有し、メルトインデックスIは、ASTM D1238(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に従って、190℃及び2.16kgの負荷で測定され、メルトインデックスI10は、ASTM D1238に従って、190℃及び10kgの負荷で測定される。他の実施形態では、メルトフロー比(I10/I)は5~10であり、また他の実施形態では、メルトフロー比は5~9である。
いくつかの実施形態では、本開示による触媒システムから得られるポリマーは、1~25の分子量分布(molecular-weight distribution、MWD)を有し、MWDは、M/Mとして定義され、Mは、重量平均分子量であり、Mは、数平均分子量である。他の実施形態では、触媒システムから得られるポリマーは、1~6のMWDを有する。別の実施形態は、1~3のMWDを有し、他の実施形態は、1.5~2.5のMWDを有する。
本開示に記載される触媒システムの実施形態は、形成されたポリマーの高分子量及びポリマーに組み込まれたコモノマーの量の結果として、固有のポリマー特性をもたらす。
バッチ反応器重合のための手順。原料(エチレン、1-オクテン)及びプロセス溶媒(ISOPAR E)は、モレキュラーシーブで精製し、その後、反応環境に導入する。撹拌オートクレーブ反応器に、ISOPAR E及び1-オクテンを入れた。次いで、反応器をある温度に加熱し、エチレンを入れ、所望の圧力に到達させた。任意選択的に、水素も添加した。触媒システムは、不活性雰囲気下のドライボックス中で、金属-配位子錯体及び任意選択的に1つ以上の添加剤を追加の溶媒と混合することによって調製した。次いで、触媒システムを反応器中に注入した。重合中にエチレンを供給し、必要に応じて反応器を冷却することによって、反応器の圧力及び温度を一定に保った。10分後、エチレンの供給を止め、溶液を窒素パージした樹脂製ケトルに移した。ポリマーを真空オーブン中で徹底的に乾燥させ、重合実験の間に反応器を熱いISOPAR Eで徹底的にすすいだ。
本明細書に特に指示のない限り、本開示の態様の記載において以下の分析方法を使用する。
メルトインデックス
ポリマー試料のメルトインデックスI(又はI2)及びI10(又はI10)を、それぞれ、190℃、かつ2.16kg及び10kgの荷重で、ASTM D-1238(方法B)に従って測定した。それらの値を、g/10分で報告する。
密度
密度測定用の試料を、ASTM D4703に従って調製した。試料加圧の1時間以内に、ASTM D792で、方法Bに従って測定を行った。
ゲル浸透クロマトグラフィ(Gel Permeation Chromatography、GPC)
クロマトグラフィシステムは、内部IR5赤外線検出器(IR5)を装備するPolymerChar社(Valencia,Spain)製GPC-IRの高温GPCクロマトグラフから構成された。オートサンプラオーブンコンパートメントを160℃に設定し、カラムコンパートメントを150℃に設定した。使用されたカラムは、4本のAgilent社製「Mixed A」30cm 20ミクロン線形混床式カラム及び20umのプレカラムであった。使用されたクロマトグラフィ溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼンであり、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluene、BHT)を含有していた。溶媒源を、窒素スパージした。採用した注入体積は、200マイクロリットルであり、流量は、1.0ミリリットル/分であった。
GPCカラムセットの較正を、580~8,400,000の範囲の分子量を有する21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を用いて行い、個々の分子量の間に少なくとも10倍の間隔を有する6つの「カクテル」混合物中に配置した。標準物質を、Agilent Technologies社から購入した。1,000,000以上の分子量については、50ミリリットルの溶媒中の0.025グラムで、1,000,000未満の分子量については、50ミリリットルの溶媒中の0.05グラムで、ポリスチレン標準物質を調製した。ポリスチレン標準物質を、穏やかに撹拌しながら80℃で30分間溶解させた。ポリスチレン標準物質のピーク分子量を、等式1を使用してポリエチレン分子量に変換した(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載のとおり)。:

式中、Mは、分子量であり、Aは、0.4315の値を有し、Bは、1.0に等しい。
五次多項式を使用して、それぞれのポリエチレン等価較正点に当てはめた。Aに対してわずかな調整(約0.375~0.445)を行い、カラム分解能及びバンド拡張効果を、線状ホモポリマーポリエチレン標準物質が120,000Mwで得られるように補正した。
GPCカラムセットの合計プレートカウントは、デカン(50ミリリットルのTCB中0.04gで調製され、穏やかに撹拌しながら20分間溶解した)を用いて実行した。プレートカウント(等式2)及び対称性(等式3)を、200マイクロリットル注入で以下の式に従って測定し、

式中、RVは、ミリリットル単位での保持体積であり、ピーク幅は、ミリリットル単位であり、ピーク最大値は、ピークの最大高さであり、1/2高さは、ピーク最大値の1/2の高さである。
式中、RVは保持体積(ミリリットル単位)であり、ピーク幅はミリリットル単位であり、ピーク最大値はピークの最大位置であり、1/10高さはピーク最大値の1/10の高さであり、後方ピークはピーク最大値よりも後の保持体積でのピークテールを指し、前方ピークはピーク最大値よりも早い保持体積でのピークフロントを指す。クロマトグラフィシステムのプレートカウントは、18,000超になるべきであり、対称性は、0.98~1.22となるべきである。
試料を、PolymerChar社製「Instrument Control」ソフトウェアを用いて半自動様式で調製し、2mg/mlを試料の目標重量とし、PolymerChar社製高温オートサンプラを介して、予め窒素スパージされたセプタム付きのキャップが付いたバイアルに溶媒(200ppmのBHTを含有)を添加した。試料を、「低速」振盪下で、160℃で2時間溶解した。
Mn(GPC)、Mw(GPC)、及びMz(GPC)の計算は、PolymerChar社製GPCOne(商標)ソフトウェア、各等間隔のデータ回収点(i)におけるベースラインを差し引いたIRクロマトグラム、及び等式1の点(i)についての狭い標準物質較正曲線から得られるポリエチレン等価分子量を使用して、等式4~6に従って、PolymerChar社製GPC-IRクロマトグラフの内部IR5検出器(測定チャンネル)を使用した、GPC結果に基づいた。
経時的な偏差を監視するために、PolymerChar社製GPC-IRシステムで制御されたマイクロポンプを介して、各試料に流量マーカー(デカン)を導入した。この流量マーカー(flowrate marker、FM)を用いて、試料中のそれぞれのデカンピーク(RV(FM試料))と、狭い標準物質較正(RV(FM較正済み))内のデカンピークのそれとを、RV整合させることによって、各試料のポンプ流量(流量(見かけ))を直線的に補正した。次いで、デカンマーカーピークの時間のいかなる変化も、実行の全体にわたって流量(流量(有効))における線形シフトに関連すると推測される。流量マーカーピークのRV測定の最高精度を促進するために、流量マーカー濃度クロマトグラムのピークを二次等式に当てはめる最小二乗適合ルーチンが使用される。次いで、二次等式の一次導関数を使用して、真のピーク位置を解く。流量マーカーのピークに基づいてシステムを較正した後、(狭い標準較正に対する)有効流量を、等式7のとおり計算する。流量マーカーピークの処理を、PolymerChar社製GPCOne(商標)ソフトウェアを介して行った。許容可能な流量補正は、有効流量が見かけの流量の±0.5%以内になるはずであるようなものである。

1000個の総炭素当たりの短鎖分枝(SCB/1000C)を、国際公開第2015200743(A1)号の「Molecular Weighted Comonomer Distribution Index(MWCDI)」のセクションに記載の方法に従って測定する。
一般的溶解度試験手順
溶解度試験を指定された温度で実施する。温度が指定されていない場合、試験は室温(22.5±2.5℃)で行った。選択した温度を、機器の全ての関連する部分で一定に保つ。バイアルに、30mgの共触媒(試料)及び1.0mLの溶媒を入れる。共触媒と溶媒の懸濁液を、周囲温度で30分間撹拌する。次いで、混合物を、風袋引きしたバイアルにシリンジフィルターを介して濾過し、溶液を測量する(Xgの溶液)。次に、溶媒を高真空下で完全に除去し、バイアルを再度測量する(Ygの試料)。「ρ溶媒」は、g/mL単位での溶媒の密度である。溶媒中の共触媒の溶解度は、mg/mLの単位で測定した。溶媒中の共触媒の溶解度を、以下のように計算した。
本開示の1つ以上の特徴は、以下の実施例を考慮して例示される。
実施例1は、中間体及び単離された共触媒の合成手順である。
実施例1-ホウ酸ナトリウム塩の合成のための代表的な手順-
合成A
グローブボックス中で、マグネシウム切削片を、ジエチルエーテル中に懸濁させ、ジブロモエタン2滴の添加によって活性化させた。ブロモフルオロベンゼン化合物をジエチルエーテル中33重量%溶液としてゆっくり添加した。溶液を4~6時間撹拌し、次いで固体テトラフルオロホウ酸ナトリウムの添加によりクエンチした。クエンチした溶液を24時間撹拌した。溶液をグローブボックスから取り出し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液に注ぎ入れ、30分間撹拌した。混合物をセライトで濾過した。有機溶液を単離し、水溶液をジエチルエーテルで抽出した。合わせた有機画分を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶液を濾過し、次いでロータリーエバポレータを使用して濃縮した。得られる残渣を、ジクロロメタンに再溶解し、ロータリーエバポレータを使用して濃縮した。残渣をジクロロメタンを使用して粉砕して、灰白色の固体及び淡黄色から褐色の溶液を得た。固体を、濾過により単離し、追加のジクロロメタンですすいだ。固体を真空下で乾燥させて、所望の生成物を得た。
ホウ酸ナトリウム塩の合成のための代表的な手順-
合成B
グローブボックス中で、所望のブロモフルオロベンゼン化合物をジエチルエーテルに溶解した。次いで、ジエチルエーテル中の塩化イソプロピルマグネシウム(2M)を滴加した。溶液を4~6時間撹拌し、その時点で固体テトラフルオロホウ酸ナトリウムの添加により反応をクエンチした。得られた混合物を18~24時間撹拌した。溶液をグローブボックスから取り出し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液中に注ぎ、30分間撹拌した。有機溶液を単離し、水溶液をジエチルエーテルで抽出した。合わせた有機画分を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶液を濾過し、次いでロータリーエバポレータを使用して濃縮した。得られる残渣を、ジクロロメタンに再溶解し、ロータリーエバポレータを使用して濃縮した。残渣をジクロロメタンを使用して粉砕して、白色固体及び黄色溶液を得た。固体を濾過により単離し、追加のジクロロメタンですすいだ。固体を真空下で乾燥させて、所望の材料を得た。
アルメニウムボレートを形成するためのカチオン交換のための代表的な手順
不活性雰囲気下で、Armeen HCl及びホウ酸ナトリウム塩を一緒に、乾燥脱気トルエン中に1:1モル比で添加した。懸濁液を一晩撹拌し、濾過し、真空下50℃で濃縮して、所望の生成物を得た。
表1は、化合物A、B及びCの溶解度プロファイルを表にしている。
ジ(n-オクタデシル)メチルアンモニウムカチオンのような長いヒドロカルビル鎖を含有するアンモニウム化合物は、炭化水素の溶解度を改善した。少なくとも1つのR基がHである場合、この方法は一般に、炭化水素溶液中で相分離するイオン対を生成する。更に、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを含有する比較システムでは、炭化水素の溶解度が達成される一方で、二相性挙動が低温で依然として観察され得、これは、低温環境にあるときに溶液を分配又は移送するための問題を引き起こし得る。ジ(n-オクタデシル)メチルアミンのようなルイス塩基の触媒システムへの添加は、炭化水素溶解度を増加させるか、又は単相溶液が得られ、表2に記録された条件の範囲を増加させる拡張カチオンを生じる。0.2当量のルイス塩基、(C1837NMeの触媒システムへの添加は、-35℃でさえ溶解性の均質溶液を提供した。
貯蔵及び輸送は、より低い温度を必要とする場合がある。溶解度は室温で許容され得るが、より低い温度は成分の溶解度を低下させ得、極端な場合には、二相混合物をもたらし得る。化合物の溶解度を増加させることによって、溶液が二相性になる可能性が低くなる。表2及び表3にまとめた溶解度データは、活性化剤及びルイス塩基を含む活性化剤錯体が非常に低い温度で溶解性であることを示す。
空気感受性材料の全ての操作を、高真空ライン(10-6Torr)とインターフェースされたデュアルマニホールドシュレンクライン上でオーブン乾燥したシュレンク型ガラス器具において、又は大容量の再循環器を備えるN充填MBraunグローブボックス(1ppm未満のO)において、O及び水分の厳密な除去とともに行った。アルゴン(Airgas、予備精製グレード)は、担持型MnO酸素除去カラム及び活性化Davison 4Åモレキュラーシーブカラムを通過させることによって精製した。エチレン(Airgas)は、酸素/水分トラップ(Matheson、モデルMTRP-0042-XX)を通過させることによって精製した。炭化水素溶媒(n-ペンタン、n-ヘキサン、1-ヘキセン、メチルシクロヘキサン、及びトルエン)を、Grubbsによって記載された方法に従って活性化アルミナカラムを使用して乾燥させ(Pangborn,A.B.;Giardello,M.A.;Grubbs,R.H.;Rosen,R.K.;Timmers,F.J.,Safe and Convenient Procedure for Solvent Purification.Organometallics 1996,15(5),1518-1520を参照されたい。)次いで、Na/K合金から真空移動した。ベンゼン-d6及びトルエン-d8(Cambridge Isotope Laboratories、99+原子%D)をNa/K合金上で真空貯蔵し、使用直前に真空移動した。1,2-ジフルオロベンゼン及びクロロベンゼン-d5をCaHで乾燥し、真空下で蒸留した。クロロホルム-d3及び1,1,2,2-テトラクロロエタン-d2は、受領したままの状態で使用した(Cambridge Isotope Laboratories、99+原子%D)。
装置規格
全ての溶媒及び試薬は、商業的供給源から入手し、別段の記載がない限り、受け取ったまま使用した。無水トルエン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、及びジエチルエーテルを、活性アルミナ、及び場合によってはQ-5反応物質を通過させることによって精製する。窒素充填グローブボックス中で行った実験に使用した溶媒は、活性化4Åモレキュラーシーブ上での貯蔵によって更に乾燥させる。水分に敏感な反応用のガラス器具を、使用前に一晩オーブン内で乾燥させる。NMRスペクトルを、Varian 400-MR分光計及びVNMRS-500分光計で記録する。LC-MS分析は、Waters 2424 ELS検出器、Waters 2998 PDA検出器、及びWaters 3100 ESI質量検出器と組み合わせたWaters e2695分離モジュールを使用して行う。LC-MS分離は、XBridge C18 3.5μm 2.1×50mmカラムで、5:95~100:0のアセトニトリル及び水のグラジエント(イオン化剤として0.1%のギ酸を含む)を使用して行う。HRMS分析は、エレクトロスプレーイオン化を備えたAgilent 6230 TOF質量分析計と組み合わせたZorbax Eclipse Plus C18 1.8μm 2.1×50mmカラムを備えたAgilent 1290 Infinity LCを使用して行う。H NMRデータは、次のように報告する:化学シフト(多重度(br=幅広線、s=1重線、d=2重線、t=3重線、q=4重線、p=5重線、sex=6重線、sept=7重線、及びm=多重線)、積分値、及び帰属)。H NMRデータの化学シフトは、基準として重水素化溶媒中の残留プロトンを使用して、内部テトラメチルシラン(tetramethylsilane、TMS、δスケール)から低磁場にppmで報告する。13C NMRデータは、Hデカップリングを用いて決定し、化学シフトは、基準として重水素化溶媒中の残留炭素を使用して、テトラメチルシラン(TMS、δスケール)から低磁場にppmで報告する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年9月10日に出願された米国特許仮出願第63/242,749号の利益を主張する。
(発明の分野)
本開示の実施形態は、一般に、ボレートアニオン性共触媒に関する。
Ziegler及びNattaによる不均一系オレフィン重合の発見以来、世界中のポリオレフィン生産は2015年に年間約1億5000万トンに達し、これは市場の需要の増加により上昇している。この成功は、共触媒技術における一連の重要な解明に部分的に基づく。発見された共触媒には、トリフェニルカルベニウム又はアンモニウムカチオンを含む、アルミノキサン、ボラン、及びボレートが含まれる。これらの共触媒は均一系シングルサイトオレフィン重合触媒を活性化し、ポリオレフィンは産業界でこれらの共触媒を使用して製造されている。
特に、ボレート系共触媒は、オレフィン重合機構の基本的な理解に著しく寄与しており、触媒の構造及びプロセスを意図的に調整することにより、ポリオレフィンの微細構造を正確に制御する能力を向上させた。これにより、機構研究への関心が高まり、ポリオレフィンの微細構造及び性能を正確に制御する新規の均一系オレフィン重合触媒システムの開発へとつながっている。
重合のための触媒活性種を生成するために、従来のオレフィン重合触媒システムの一部としての分子重合プロ触媒を活性化し、この活性化は、任意の多数の手段によって達成することができる。そのような1つの方法では、ブレンステッド酸である活性化剤又は共触媒が用いられる。分子重合プロ触媒、特に第IV族金属錯体を含むそのようなプロ触媒を活性化するために、一般的には、弱配位性アニオンを含有するブレンステッド酸塩が利用されている。一般に、ブレンステッド酸塩としては、ボレート又はアルミン酸塩が挙げられる。
ボレート共触媒とチーグラー・ナッタプロ触媒とを組み合わせる分子触媒システムのユニークな特性にもかかわらず、分子触媒システムは、ヘプタン又はメチルシクロヘキサンなどの非芳香族の無極性溶媒中に容易に溶解しない。エチレン及び他のオレフィンはしばしば非極性溶媒中で商業的に重合されるので、プロ触媒及び共触媒成分もそのような溶媒中で送達されなければならない。プロ触媒又は共触媒が不溶性である場合、それらはスラリーとして送達され得るが、これらのシステムはしばしば追加の装置を必要とし、溶液プロセスにおけるそれらの送達のための独特の複雑さを提示する。あるいは、これらの成分が溶媒中で低い溶解度を有する場合、それらは本質的に、所与のモル量を輸送及び送達するためにより多くの体積の溶媒を必要とし、輸送をより困難にする。最終的には、このような改善策は、希釈に伴ってスケールアップする汚染に関連する問題のために、触媒システムの活性も大幅に低下させる可能性がある。更に、触媒成分は様々な条件下で可溶性のままであることが好ましい。したがって、溶解度は室温で許容され得るが、より低い温度は成分の溶解度を低下させ得、極端な場合には、沈殿又は二相混合物をもたらし得る。結果として、触媒効率、反応性、及び良好な物理的特性を有するポリマーを生成する能力を維持しながら、様々な動作条件にわたって、特に無極性溶媒中に高溶解性触媒成分システムを有する継続的なニーズが存在する。
実施形態では、活性化剤錯体は、ルイス塩基及び活性化剤を含み、活性化剤は、アニオン及びカチオンを含み、アニオンは、式(I)による構造を有する。
式(I)中、Bはホウ素原子である。各R及び各Rは、-H又は-Fから選択され;各R、R、及びRは、-H、-F、(C~C10)ヒドロカルビル、(C~C10)ヘテロヒドロカルビルから選択され、R、R、R、R及びR10は、独立して、-H、-F、(C~C10)ヒドロカルビル、(C~C10)ヘテロヒドロカルビル、-OR、-SiR から選択され、ここで、Rは、-H又は(C~C10)ヒドロカルビルであり、任意選択的に、R及びRは結合して環を形成する。
活性化剤錯体において、ルイス塩基は、式(II):MN1N2N3(II)による構造を有する。
式(II)中、Mは窒素又はリンであり、RN1は(C~C30)ヒドロカルビルであり、RN2は(C~C30)ヒドロカルビルであり、RN3は(C~C30)ヒドロカルビルである。
ここで、触媒システムの特定の実施形態を説明する。本開示の触媒システムは、異なる形態で具現化されてよく、本開示に記載される特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではないことを理解されたい。むしろ、実施形態は、本開示が、徹底的かつ完全であり、主題の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。
一般的な略語を以下に列挙する。
Me:メチル、Et:エチル、Ph:フェニル、Bn:ベンジル、i-Pr:イソ-プロピル、t-Bu:tert-ブチル、t-Oct:tert-オクチル(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)、Tf:トリフルオロメタンスルホナート、THF:テトラヒドロフラン、EtO:ジエチルエーテル、CHCl:ジクロロメタン、CV:カラム体積(カラムクロマトグラフィで使用される場合)、EtOAc:酢酸エチル、C:重水素化ベンゼン又はベンゼン-d6、CDCl:重水素化クロロホルム、NaSO:硫酸ナトリウム、MgSO:硫酸マグネシウム、HCl:塩化水素、n-BuLi:ブチルリチウム、t-BuLi:tert-ブチルリチウム、MAO:メチルアルミノキサン、MMAO:修飾メチルアルミノキサン、GC:ガスクロマトグラフィ、LC:液体クロマトグラフィ、NMR:核磁気共鳴、MS:質量分析、mmol:ミリモル、mL:ミリリットル、M:モル濃度、min又はmins:分、h又はhrs:時間、d:日。
「独立して選択される」という用語は、R、R、R、R、及びRなどのR基が、同一であっても異なっていてもよいこと(例えば、R、R、R、R、及びRは全て、置換アルキルであってもよく、又はR及びRは、置換アルキルであってもよく、Rは、アリールであってもよい、など)を示すために本明細書で使用される。R基に関連する化学名は、化学名の化学構造に対応するものとして当該技術分野で認識されている化学構造を伝えることを意図している。したがって、化学名は、当業者に既知の構造的定義を補足及び例示することを意図しており、排除することを意図するものではない。
「プロ触媒」という用語は、活性化剤と組み合わせたときにオレフィン重合触媒活性を有する、遷移金属化合物を指す。「活性化剤」という用語は、プロ触媒を触媒的に活性な種に転換するようにプロ触媒と化学的に反応する化合物を指す。本明細書で使用される場合、「共触媒」及び「活性化剤」という用語は、互換的な用語である。
特定の炭素原子を含有する化学基を記載するために使用するとき、「(C~C)」の形態を有する括弧付きの表現は、化学基の非置換形態がx及びyを含めてx個の炭素原子からy個の炭素原子を有することを意味する。例えば、(C~C50)アルキルは、その非置換形態で1~50個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの実施形態及び一般構造において、ある特定の化学基は、Rなどの1つ以上の置換基によって置換され得る。括弧付きの「(C~C)」を使用して定義されるR置換化学基は、任意の基Rの同一性に従ってy個を超える炭素原子を含有することができる。例えば、「Rがフェニル(-C)である厳密に1つの基Rで置換された(C~C50)アルキル」は、7~56個の炭素原子を含有し得る。したがって、一般に、括弧付きの「(C~C)」を使用して定義される化学基が1個以上の炭素原子を含有する置換基Rによって置換されるとき、化学基の炭素原子の最小及び最大合計数は、x及びyの両方に、全ての炭素原子を含有する置換基R由来の炭素原子の合計数を加えることによって、決定される。
「置換」という用語は、対応する非置換化合物又は官能基の炭素原子に結合した少なくとも1個の水素原子(-H)が、置換基(例えば、R)によって置換されることを意味する。「-H」という用語は、別の原子に共有結合している水素又は水素ラジカルを意味する。「水素」及び「-H」は交換可能であり、明記されていない限り、同一の意味を有する。
「(C~C50)ヒドロカルビル」という用語は、1~50個の炭素原子の炭化水素ラジカルを意味し、「(C~C50)ヒドロカルビレン」という用語は、1~50個の炭素原子の炭化水素ジラジカルを意味し、各炭化水素ラジカル及び各炭化水素ジラジカルは、芳香族又は非芳香族、飽和又は不飽和、直鎖又は分枝鎖、環式(3個以上の炭素を有し、単環式及び多環式、縮合及び非縮合の多環式、並びに二環式を含む)又は非環式であり、1つ以上のRによって置換されているか、又は置換されていない。
本開示では、(C~C50)ヒドロカルビルは、非置換又は置換の(C~C50)アルキル、(C~C50)シクロアルキル、(C~C20)シクロアルキル-(C~C20)アルキレン、(C~C40)アリール、又は(C~C20)アリール-(C~C20)アルキレン(ベンジル(-CH-C)など)であり得る。
「(C~C50)アルキル」という用語は、1~50個の炭素原子を含有する飽和直鎖又は分枝鎖炭化水素ラジカルを意味し、「(C~C30)アルキル」という用語は、1~30個の炭素原子の飽和直線又は分枝状炭化水素ラジカルを意味する。各(C~C50)アルキル及び(C~C30)アルキルは、非置換であり得るか、又は1つ以上のRで置換され得る。いくつかの例では、炭化水素ラジカル中の各水素原子は、例えばトリフルオロメチルなどのRで置換され得る。非置換(C~C50)アルキルの例は、非置換(C~C20)アルキル、非置換(C~C10)アルキル、非置換(C~C)アルキル、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、1-ペンチル、1-ヘキシル、1-ヘプチル、1-ノニル、及び1-デシルである。置換(C~C40)アルキルの例は、置換(C~C20)アルキル、置換(C~C10)アルキル、トリフルオロメチル、及び[C45]アルキルである。「[C45]アルキル」という用語は、置換基を含むラジカル中に最大45個の炭素原子が存在することを意味し、例えば、メチル、トリフルオロメチル、エチル、1-プロピル、1-メチルエチル、又は1,1-ジメチルエチルなどの(C~C)アルキルである、1つのRによって置換されている(C27~C40)アルキルである。
(C~C50)アルケニルという用語は、3~50個の炭素原子、少なくとも1つの二重結合を含有し、かつ非置換であるか又は1つ以上のRで置換されている、分枝又は非分枝の環状又は非環状一価炭化水素ラジカルを意味する。非置換(C~C50)アルケニルの例:n-プロペニル、イソプロペニル、n-ブテニル、イソブテニル、オクテニル、デセニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、及びシクロヘキサジエニル。置換(C~C50)アルケニルの例:(2-トリフルオロメチル)ペンタ-1-エニル、(3-メチル)ヘキサ-1-エネイル(eneyl)、(3-メチル)ヘキサ-1,4-ジエニル、及び(Z)-1-(6-メチルヘプタ-3-エン-1-イル)シクロヘキサ-1-エネイル。
「(C~C50)アリール」という用語は、6~40個の炭素原子の、非置換又は(1つ以上のRによって)置換された、単環式、二環式、又は三環式芳香族炭化水素ラジカルを意味し、炭素原子のうちの少なくとも6~14個は芳香環炭素原子である。単環式芳香族炭化水素ラジカルは、1つの芳香環を含み、二環式芳香族炭化水素ラジカルは、2つの環を有し、三環式芳香族炭化水素ラジカルは、3つの環を有する。二環式又は三環式の芳香族炭化水素ラジカルが存在するとき、そのラジカルの環のうちの少なくとも1つは、芳香族である。芳香族ラジカルの他の1つの環又は複数の環は、独立して、縮合又は非縮合、及び芳香族又は非芳香族であり得る。非置換(C~C50)アリールの例としては、非置換(C~C20)アリール、非置換(C~C18)アリール、2-(C~C)アルキル-フェニル、フェニル、フルオレニル、テトラヒドロフルオレニル、インダセニル、ヘキサヒドロインダセニル、インデニル、ジヒドロインデニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、及びフェナントレンが挙げられる。置換(C~C40)アリールの例としては、置換(C~C20)アリール、置換(C~C18)アリール、2,4-ビス([C20]アルキル)-フェニル、ポリフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、及びフルオレン-9-オン-1-イルが挙げられる。
「(C~C50)シクロアルキル」という用語は、非置換であるか又は1つ以上のRで置換されている、3~50個の炭素原子の飽和環状炭化水素ラジカルを意味する。他のシクロアルキル基(例えば(C~C)シクロアルキル)は、x~y個の炭素原子を有し、かつ非置換であるか、又は1つ以上のRで置換されているものであるかのいずれかとして、同様の様式で定義される。非置換(C~C40)シクロアルキルの例は、非置換(C~C20)シクロアルキル、非置換(C~C10)シクロアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、及びシクロデシルである。置換(C~C40)シクロアルキルの例は、置換(C~C20)シクロアルキル、置換(C~C10)シクロアルキル、及び1-フルオロシクロヘキシルである。
「ヘテロ原子」という用語は、水素又は炭素以外の原子を指す。1個又は2個以上のヘテロ原子を含有する基の例としては、O、S、S(O)、S(O)、Si(R、P(R)、N(R)、-N=C(R、-Ge(R-、-Si(R)-、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、又はインジウム(In)が挙げられ、各R及び各Rは、非置換(C~C18)ヒドロカルビル又は-Hであり、各Rは、非置換(C~C18)ヒドロカルビルである。「ヘテロ炭化水素」という用語は、炭化水素の1個以上の炭素原子がヘテロ原子で置き換えられている分子又は分子骨格を指す。「(C~C50)ヘテロヒドロカルビル」という用語は、1~50個の炭素原子を有するヘテロ炭化水素ラジカルを意味し、「(C~C50)ヘテロヒドロカルビレン」という用語は、1~50個の炭素原子を有するヘテロ炭化水素ジラジカルを意味する。(C~C50)ヘテロヒドロカルビル又は(C~C50)ヘテロヒドロカルビレンのヘテロ炭化水素は、1個以上のヘテロ原子を有する。ヘテロヒドロカルビルのラジカルは、炭素原子上又はヘテロ原子上に存在し得る。ヘテロヒドロカルビレンの2つのラジカルは、単一の炭素原子上又は単一のヘテロ原子上に存在し得る。追加的に、ジラジカルの2つのラジカルのうちの一方は、炭素原子上に存在してもよく、他方のラジカルは、異なる炭素原子上に存在してもよく、2つのラジカルのうちの一方は、炭素原子上に、他方はヘテロ原子上に存在してもよく、又は2つのラジカルのうちの一方は、ヘテロ原子上に、他方のラジカルは、異なるヘテロ原子上に存在してもよい。各(C~C50)ヘテロヒドロカルビル及び(C~C50)ヘテロヒドロカルビレンは、非置換又は(1つ以上のRによって)置換され得るが、芳香族又は非芳香族、飽和又は不飽和、直鎖又は分枝鎖、環式(単環式及び多環式、縮合及び非縮合多環式を含む)又は非環式であり得る。
(C~C50)ヘテロヒドロカルビルは、非置換又は置換であり得る。(C~C50)ヘテロヒドロカルビルの非限定的な例としては、(C~C50)ヘテロアルキル、(C~C50)ヒドロカルビル-O-、(C~C50)ヒドロカルビル-S-、(C~C50)ヒドロカルビル-S(O)-、(C~C50)ヒドロカルビル-S(O)-、(C~C50)ヒドロカルビル-Si(R-、(C~C50)ヒドロカルビル-N(R)-、(C~C50)ヒドロカルビル-P(R)-、(C~C50)ヘテロシクロアルキル、(C~C19)ヘテロシクロアルキル-(C~C20)アルキレン、(C~C20)シクロアルキル-(C~C19)ヘテロアルキレン、(C~C19)ヘテロシクロアルキル-(C~C20)ヘテロアルキレン、(C~C50)ヘテロアリール、(C~C19)ヘテロアリール-(C~C20)アルキレン、(C~C20)アリール-(C~C19)ヘテロアルキレン、又は(C~C19)ヘテロアリール-(C~C20)ヘテロアルキレンが挙げられる。
「(C~C50)ヘテロアリール」という用語は、合計1~50個の炭素原子及び1~10個のヘテロ原子を有する、非置換であるか、又は(1つ以上のRによって)置換されている単環式、二環式、又は三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルを意味する。単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルとしては、1つのヘテロ芳香環を含み、二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、2つの環を有し、三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、3つの環を有する。二環式又は三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルが存在する場合、ラジカルにおける環のうちの少なくとも1つは、ヘテロ芳香族である。ヘテロ芳香族ラジカルの他の1つ又は複数の環は、独立して、縮合又は非縮合、及び芳香族又は非芳香族であり得る。他のヘテロアリール基(例えば、(C~C12)ヘテロアリールなどの(C-C)ヘテロアリール全般)は、x~y個の炭素原子(1~12個の炭素原子など)を有し、かつ非置換であるか、又は1つ若しくは2つ以上のRで置換されているものとして、同様の様式で定義される。単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、5員環又は6員環である。5員環単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、5マイナスh個の炭素原子を有し、ここで、hは、ヘテロ原子の数であり、1、2、3、又は4個であってもよく、各ヘテロ原子は、O、S、N、又はPであってもよい。5員環ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例としては、ピロール-1-イル、ピロール-2-イル、フラン-3-イル、チオフェン-2-イル、ピラゾール-1-イル、イソオキサゾール-2-イル、イソチアゾール-5-イル、イミダゾール-2-イル、オキサゾール-4-イル、チアゾール-2-イル、1,2,4-トリアゾール-1-イル、1,3,4-オキサジアゾール-2-イル、1,3,4-チアジアゾール-2-イル、テトラゾール-1-イル、テトラゾール-2-イル、及びテトラゾール-5-イルが挙げられる。6員環単環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、6マイナスh個の炭素原子を有し、hは、ヘテロ原子の数であり、1又は2個であってもよく、ヘテロ原子は、N又はPであってもよい。6員環ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例としては、ピリジン-2-イル、ピリミジン-2-イル、及びピラジン-2-イルが挙げられる。二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、縮合5,6-又は6,6-環システムであり得る。縮合5,6-環システム二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例は、インドール-1-イル、及びベンズイミダゾール-1-イルである。縮合6,6-環システム二環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルの例は、キノリン-2-イル、及びイソキノリン-1-イルである。三環式ヘテロ芳香族炭化水素ラジカルは、縮合5,6,5-、5,6,6-、6,5,6-、又は6,6,6-環システムであり得る。縮合5,6,5-環システムの例は、1,7-ジヒドロピロロ[3,2-f]インドール-1-イルである。縮合5,6,6-環システムの例は、1H-ベンゾ[f]インドール-1-イルである。縮合6,5,6-環システムの例は、9H-カルバゾール-9-イルである。縮合6,6,6-環システムの例は、アクリジン-9-イルである。
「(C~C50)ヘテロアルキル」という用語は、1~50個の炭素原子及び1個以上のヘテロ原子を含有する飽和直鎖又は分枝鎖ラジカルを意味する。「(C~C50)ヘテロアルキレン」という用語は、1~50個の炭素原子及び1個又は2個以上のヘテロ原子を含有する飽和直鎖又は分枝鎖ジラジカルを意味する。ヘテロアルキル又はヘテロアルキレンのヘテロ原子には、Si(R、Ge(R、Si(R、Ge(R、P(R、P(R)、N(R、N(R)、N、O、OR、S、SR、S(O)、及びS(O)が含まれ得、ヘテロアルキル及びヘテロアルキレン基の各々は、非置換であるか、又は1つ以上のRによって置換されている。
非置換(C~C40)ヘテロシクロアルキルの例としては、非置換(C~C20)ヘテロシクロアルキル、非置換(C~C10)ヘテロシクロアルキル、アジリジン-1-イル、オキセタン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、ピロリジン-1-イル、テトラヒドロチオフェン-S,S-ジオキシド-2-イル、モルホリン-4-イル、1,4-ジオキサン-2-イル、ヘキサヒドロアゼピン-4-イル、3-オキサ-シクロオクチル、5-チオ-シクロノニル、及び2-アザ-シクロデシルが挙げられる。
「ハロゲン原子」又は「ハロゲン」という用語は、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、又はヨウ素原子(I)のラジカルを意味する。「ハライド」という用語は、ハロゲン原子のアニオン形態、フルオリド(F)、クロリド(Cl)、ブロミド(Br)、又はヨージド(I)を意味する。
「飽和」という用語は、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、及び(ヘテロ原子含有基において)炭素-窒素二重結合、炭素-リン二重結合、及び炭素-ケイ素二重結合を欠くことを意味する。飽和化学基が1つ以上の置換基Rによって置換されている場合、1つ以上の二重結合又は三重結合は、任意選択的に置換基R中に存在し得る。「不飽和」という用語は、1個以上の炭素-炭素二重結合若しくは炭素-炭素三重結合、又は(ヘテロ原子含有基において)1個以上の炭素-窒素二重結合、炭素-リン二重結合、又は炭素-ケイ素二重結合を含有し、置換基R(存在する場合)、又は芳香環若しくはヘテロ芳香環(存在する場合)中に存在し得る二重結合を含まないことを意味する。
本開示の実施形態は、活性化剤錯体を含む。活性化剤錯体は、ルイス塩基及び活性化剤を含み、活性化剤は、アニオン及びカチオンを含み、アニオンは、式(I)による構造を有する。
式(I)中、Bはホウ素原子である。各R及び各Rは、-H又は-Fから選択され;各R、R、及びRは、-H、-F、(C~C10)ヒドロカルビル、(C~C10)ヘテロヒドロカルビルから選択され、R、R、R、R及びR10は、独立して、-H、-F、(C~C10)ヒドロカルビル、(C~C10)ヘテロヒドロカルビル、-OR、-SiR から選択され、ここで、Rは、-H又は(C~C10)ヒドロカルビルであり、任意選択的に、R及びRは結合して環を形成する。
活性化剤錯体において、ルイス塩基は、式(II)による構造を有する:
N1N2N3 (II)。
式(II)中、Mは窒素又はリンであり、RN1は(C~C30)ヒドロカルビルであり、RN2は(C~C30)ヒドロカルビルであり、RN3は(C~C30)ヒドロカルビルである。
1つ以上の実施形態では、式(II)中、RN1は、線状(C~C30)アルキル、分枝状(C~C30)アルキル、(C3~30)シクロアルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、式(II)中、RN1は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、イソブチル、シクロブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、セプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルであってもよい。
いくつかの実施形態では、式(II)中、RN2及びRN3は、独立して、(C10~C30)ヒドロカルビルであってもよい。1つ以上の実施形態では、式(II)中、RN2及びRN3は、独立して、線状(C~C30)アルキル、分枝状(C~C30)アルキル、(C~C30)シクロアルキルであってもよい。種々の実施形態では、式(II)中、RN2及びRN3は、独立して、(C10~C30)アルキル、分枝状(C10~C30)アルキル、(C~C30)シクロアルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、式(II)中、RN2及びRN3は、独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、イソブチル、シクロブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、セプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルであってもよい。
いくつかの実施形態では、式(I)中、R、R、R、R、及びR10のうちの3つ以上がフッ素原子である場合、各個々の環のR、R、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは-Hである。種々の実施形態では、R、R、R、R、及びR10のいずれもフッ素原子ではない場合、R、R、R、R、及びRのうちの少なくとも4つはフッ素原子である。
いくつかの実施形態では、R、R、R、R、及びRの各々は、フッ素原子である。いくつかの実施形態では、R、R、R、及びRの各々は、フッ素原子である。1つ以上の実施形態では、R、R、及びRは、フッ素原子である。種々の実施形態では、R、R、及びRは、フッ素原子である。いくつかの実施形態では、R及びRは、-CF又はフッ素原子である。1つ以上の実施形態では、R、R、及びRは、フッ素原子である。
1つ以上の実施形態では、R、R、R、R、及びR10は、フッ素原子である。いくつかの実施形態では、R、R、R、及びR10は、フッ素原子であるか、又はR、及びRがフッ素原子である。種々の実施形態では、R及びRは、-CFである。いくつかの実施形態では、R及びR10は、フッ素原子である。1つ以上の実施形態では、R、R、及びR10は、フッ素原子である。
1つ以上の実施形態では、触媒システムは、活性化剤のモル量に基づいて1.0モル当量未満のルイス塩基を含む。いくつかの実施形態では、触媒システムは、活性化剤のモル量に基づいて、0.5モル当量未満、又は0.2モル当量以下のルイス塩基を含む。
種々の実施形態では、触媒システムは、0.9:1~0.01:1、0.8:1~0.05:1、0.7:1~0.1:1、又は0.6:1~0.2:1のルイス塩基対活性化剤錯体のモル比を含む。
実施形態では、触媒システムは、式(I)のアニオン及びカチオンを含む。カチオンは、+1の形式電荷を有する任意のカチオンである。1つ以上の実施形態では、カチオンは、プロトン性である。いくつかの実施形態では、カチオンは、式(II)のプロトン化構造であってもよい。いくつかの実施形態では、カチオンは、三級カルボカチオン、アルキル置換アンモニウムイオン、アニリニウム、アルキル置換アルモセニウム(alumocenium)、又はフェロセニウムからなる群から選択される。
活性化剤のいくつかの実施形態では、対カチオンは、プロトン化トリ[(C~C40)ヒドロカルビル]アンモニウムカチオンから選択される。いくつかの実施形態では、対カチオンは、アンモニウムカチオン上に1つ又は2つの(C14~C20)アルキルを含有する、プロトン化トリアルキルアンモニウムカチオンである。1つ以上の実施形態では、対カチオンは、N(CH)HR であり、式中、Rは、(C16~C18)アルキルである。いくつかの実施形態では、対カチオンは、メチルジ(オクタデシル)アンモニウムカチオン又はメチルジ(テトラデシル)アンモニウムカチオンから選択される。メチルジ(オクタデシル)アンモニウムカチオン又はメチルジ(テトラデシル)アンモニウムカチオンは、本明細書ではまとめてアルメニウム(armeenium)カチオンと称される。アルメニウムカチオンを有するイオン性化合物は、商品名Armeen(商標)M2HTでNouryonから得られる。他の実施形態では、対カチオンは、トリチルとも称されるトリフェニルメチルカルボカチオン(Ph)である。1つ以上の実施形態では、対カチオンは、C(Cなどのトリス-置換-トリフェニルメチルカルボカチオンであり、式中、各Rが独立して、(C~C30)アルキルから選択される。他の実施形態では、対カチオンは、アニリニウム、フェロセニウム、又はアルミノセニウムから選択される。アニリニウムカチオンは、[HMeN(C)]などのプロトン化窒素カチオンである。アルミノセニウムは、R Al(THF) などのアルミニウムカチオンであり、式中、Rは、(C~C30)アルキルから選択される。
いくつかの実施形態では、触媒システムは、活性化剤のモル量に基づいて1.0モル当量未満のルイス塩基を含む。
いくつかの実施形態では、活性化剤錯体は、0.9:1~0.01:1のルイス塩基対活性化剤のモル比を含む。1つ以上の実施形態では、活性化剤錯体は、0.05:1~0.01:1のルイス塩基対活性化剤のモル比を含む。種々の実施形態では、ルイス塩基の重量パーセントは、10ppmを超える。いくつかの実施形態では、ルイス塩基の重量パーセントは、100ppm超、500ppm超、1,000ppm超、又は1,000ppm~10,000ppm超である。種々の実施形態では、ルイス塩基の重量パーセントは、より大きい。
本開示の活性化剤錯体は、プロ触媒と接触させる前に、かつ重合プロセスにおいて使用する前に、式(I)に従うアニオンを有する活性化剤にルイス塩基を添加することによって形成される。
フッ素原子の総数が少なくとも4である、先行する請求項のいずれか一項に記載の触媒システム。いくつかの実施形態では、フッ素原子の総数は4~18である。
例示的な実施形態では、触媒システムは、アニオン及びカチオンを有する活性化剤を含んでもよく、アニオンは式(I)に従い、活性化剤は以下のいずれかの構造を有する。
触媒システム成分
触媒システムは、プロ触媒を含み得る。プロ触媒は、式(I)のアニオン及び対カチオンを有する金属活性化剤に錯体を接触させるか、又は金属活性化剤と錯体を組み合わせることによって、触媒的に活性になることができる。プロ触媒は、チタン(Ti)金属-配位子錯体、ジルコニウム(Zr)金属-配位子錯体、又はハフニウム(Hf)金属-配位子錯体などの第IV族金属-配位子錯体(CASによる第IVB族、又はIUPAC命名規則による第4族)などの金属-配位子錯体から選択してよい。プロ触媒の非限定的な例としては、エチレン系ポリマーを重合させるための触媒、プロ触媒、又は触媒活性化合物が挙げられ、米国特許第8372927号、国際公開第2010022228号、国際公開第2011102989号、米国特許第6953764号、米国特許第6900321号、国際公開第2017173080号、米国特許第7650930号、米国特許第6777509号、国際公開第99/41294号、米国特許第6869904号、又は国際公開第2007136496号のうちの1つ以上に開示されており、これら文書は全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
1つ以上の実施形態では、触媒システムは、触媒がイオン性である金属-配位子錯体プロ触媒を含む。限定することを意図するものではないが、均一系触媒の例としては、メタロセン錯体、拘束型幾何金属-配位子錯体(Li,H.;Marks,T.J.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.2006,103,15295-15302、Li,H.;Li,L.;Schwartz,D.J.;Metz,M.V.;Marks,T.J.;Liable-Sands,L.;Rheingold,A.L.,J.Am.Chem.Soc.2005,127,14756-14768、McInnis,J.P.;Delferro,M.;Marks,T.J.,Acc.Chem.Res.2014,47,2545-2557、Delferro,M.;Marks,T.J.,Chem.Rev.2011,111,2450-2485.)、ピリジルアミドHf(又はZr、Ti)錯体(Arriola,D.J.;Carnahan,E.M.;Hustad,P.D.;Kuhlman,R.L.;Wenzel,T.T.,Science,2006,312,714-719.、Arriola,D.J.;Carnahan,E.M.;Cheung,Y.W.;Devore,D.D.;Graf,D.D.;Hustad,P.D.;Kuhlman,R.L.;Shan,C.L.P.;Poon,B.C.;Roof,G.R.,米国特許9243090(B2)号,2016.)、フェノキシイミン金属錯体(Makio,H.;Terao,H.;Iwashita,A.;Fujita,T.,Chem.Rev.2011,111,2363-2449.)、ビス-ビフェニルフェノキシ金属-配位子錯体(Arriola,D.J.;Bailey,B.C.;Klosin,J.;Lysenko,Z.;Roof,G.R.;Smith,A.J.国際公開第2014209927(A1)号,2014.)などを参照されたい。以下の参考文献は、金属錯体を産業及び学術分野の両方でオレフィン重合触媒として要約している:Sturzel,M.;Mihan,S.;Mulhaupt,R.,Chem.Rev.2016,116,1398-1433.、Busico,V.,Dalton Transactions 2009,8794-8802.、Klosin,J.;Fontaine,P.P.;Figueroa,R.,Acc.Chem.Res.2015,48,2004-2016。本開示の発明を実施するための形態に列挙されている全ての参考文献は、本明細書に組み込まれる。
1つ以上の実施形態では、第IV族金属-配位子錯体としては、ビス(フェニルフェノキシ)第IV族金属-配位子錯体、又は拘束型幾何第IV族金属-配位子錯体が挙げられる。
いくつかの実施形態によれば、第IV族金属-配位子プロ触媒錯体は、式(X)によるビス(フェニルフェノキシ)構造を含み得る。
式(X)中、Mは、チタン、ジルコニウム、又はハフニウムから選択された金属であり、金属が、+2、+3、又は+4の形式的酸化状態にある。(X)の下付き文字nは、0、1、又は2である。下付き文字nが1のとき、Xは、単座配位子又は二座配位子であり、下付き文字nが2のとき、各Xは、単座配位子である。Lは、(C~C40)ヒドロカルビレン、(C~C40)ヘテロヒドロカルビレン、-Si(R-、-Si(ROSi(R-、-Si(RC(R-、-Si(RSi(R-、-Si(RC(RSi(R-、-C(RSi(RC(R-、-N(R)C(R-、-N(R)N(R)-、-C(RN(R)C(R-、-Ge(R-、-P(R)-、-N(R)-、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、-N=C(R)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R)-、及び-N(R)C(O)-からなる群から選択されるジラジカルである。各Zは、独立して、-O-、-S-、-N(R)-、又は-P(R)-から選択され、R~R、R~R-8、R~R12、及びR13~R15は、独立して、-H、(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、-Si(R、-Ge(R、-P(R、-N(R、-OR、-SR、-NO、-CN、-CF、RS(O)-、RS(O)-、-N=C(R、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、(RNC(O)-、及びハロゲンからなる群から選択される。R及びR16は、式(XI)を有するラジカル、式(XII)を有するラジカル、及び式(XIII)を有するラジカルから選択される。
式(XI)、(XII)、及び(XIII)中、R31~R35、R41~R48、及びR51~R59の各々は、独立して、-H、(C~C40)ヒドロカルビル、(C~C40)ヘテロヒドロカルビル、-Si(R、-Ge(R、-P(R、-N(R、-OR、-SR、-NO、-CN、-CF、RS(O)-、RS(O)-、(RC=N-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、(RNC(O)-、又はハロゲンから選択される。
1つ以上の実施形態では、各Xは、任意の他の配位子Xから独立して、ハロゲン、非置換(C~C20)ヒドロカルビル、非置換(C~C20)ヒドロカルビルC(O)O-、又はRN-(式中、R及びRの各々は、独立して、非置換(C~C20)ヒドロカルビルである)である単座配位子であってよい。
いくつかの実施形態によれば、第IV族金属-配位子錯体は、式(XIV)によるシクロペンタジエニルプロ触媒を含み得る:
LpMXX’X’’、又はその二量体(XIV)。
式(XIV)中、Lpは、最大50個の非水素原子を含有する、Mに結合しているアニオン性の非局在化したπ結合基である。式(XIV)のいくつかの実施形態では、2つのLp基が、一緒に結合して架橋構造を形成してもよく、更に任意選択的に1つのLpが、Xに結合してもよい。
式(XIV)中、Mは、+2、+3、又は+4の形式的酸化状態にある、元素周期表の第4族金属である。Xは、Lpと一緒にMを含む金属環状物を形成する最大50個の非水素原子の任意選択の二価置換基である。X’は、最大20個の非水素原子を有する任意選択の中性配位子であり、各X’’は、独立して、最大40個の非水素原子を有する一価アニオン部分である。任意選択的に、2つのX’’基は、一緒に共有結合し、両方の結合価がMに結合している二価ジアニオン部分を形成し得るか、又は任意選択的に、2つのX’’基は、一緒に共有結合し、Mが+2酸化状態にある、Mにπ結合した中性、共役、若しくは非共役ジエンを形成し得る。他の実施形態では、1つ以上のX’’及び1つ以上のX’基は、一緒に結合し得、それによってMに共有結合し、かつルイス塩基官能基によって配位している部分を形成し得る。Lpの下付き文字iは、0、1、又は2であり、X’の下付き文字nは、0、1、2、又は3であり、Xの下付き文字mは、0又は1であり、X’’の下付き文字pは、0、1、2、又は3である。i+m+pの合計は、Mの式上の酸化状態に等しい。
他のプロ触媒、特に他の第IV族金属-配位子錯体を含有するプロ触媒は、当業者には明らかであろう。
本開示の触媒システムは、式(I)のアニオン及び対カチオンを有するイオン性金属活性化剤錯体に加えて、共触媒又は活性化剤を含み得る。そのような追加の共触媒としては、例えば、各ヒドロカルビル基に1~10個の炭素を有するトリ(ヒドロカルビル)アルミニウム化合物、オリゴマー若しくはポリマーのアルミノキサン化合物、各ヒドロカルビル若しくはヒドロカルビルオキシ基に1~20個の炭素を有するジ(ヒドロカルビル)(ヒドロカルビルオキシ)アルミニウム化合物、又は前述の化合物の混合物を挙げることができる。重合混合物から酸素、水、及びアルデヒドなどの不純物を捕捉する有益な能力のため、これらのアルミニウム化合物を用いることが有用である。
本開示に記載の活性化剤と併せて使用され得るジ(ヒドロカルビル)(ヒドロカルビルオキシ)アルミニウム化合物は、式T AlOT又はT Al(OT(式中、Tは、二級又は三級(C~C)アルキル、例えば、イソプロピル、イソブチル、又はtert-ブチルであり、Tは、アルキル置換(C~C30)アリールラジカル又はアリール置換(C~C30)アルキルラジカル、例えば、2,6-ジ(tert-ブチル)-4-メチルフェニル、2,6-ジ(tert-ブチル)-4-メチルフェニル、2,6-ジ(tert-ブチル)-4-メチルトリル、又は4-(3’,5’-ジ-tert-ブチルトリル)-2,6-ジ-tert-ブチルフェニルである)に対応する。
アルミニウム化合物の追加の例としては、[C]トリアルキルアルミニウム化合物、具体的には、アルキル基がエチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、ペンチル、ネオペンチル、又はイソペンチルであるもの、アルキル基に1~6個の炭素、及びアリール基に6~18個の炭素を含有するジアルキル(アリールオキシ)アルミニウム化合物(具体的には、(3,5-ジ(t-ブチル)-4-メチルフェノキシ)ジイソブチルアルミニウム)、メチルアルミノキサン、修飾メチルアルミノキサン、及びジイソブチルアルミノキサンが挙げられる。
本開示の実施形態による触媒システムでは、イオン性金属活性化剤錯体対第IV族金属-配位子錯体のモル比は、1:10,000~1000:1、例えば、1:5000~100:1、1:100~100:1、1:10~10:1、1:5~1:1、又は1.25:1~1:1であり得る。触媒システムは、本開示に記載の1つ以上のイオン性金属活性化剤錯体の組み合わせを含み得る。
1つ以上の実施形態では、活性化剤は、標準温度及び圧力(standard temperature and pressure、STP)(22.5±2.5℃の温度及び約1気圧の圧力)でメチルシクロヘキサン(methylcyclohexane、MCH)中に20ミリグラム/ミリリットル(milligrams per milliliter、mg/mL)を超える溶解度を有する。いくつかの実施形態では、活性化剤は、STP下でMCH中に20~100mg/mLの溶解度を有する。MCH中に少なくとも20~100mg/mLの全ての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、別個の実施形態として本明細書に開示される。例えば、本開示による活性化剤のいずれか1つは、MCH中に少なくとも21mg/mL、少なくとも25mg/mL、又は少なくとも30mg/mLで含まれ得る。
いくつかの実施形態では、活性化剤は、ヘキサン、シクロヘキサン、又はメチルシクロヘキサン中、25℃で少なくとも1重量パーセントの溶解度を有する。いくつかの実施形態では、活性化剤は、ヘキサン、シクロヘキサン、又はメチルシクロヘキサン中、25℃で少なくとも5重量パーセント又は少なくとも8重量パーセントの溶解度を有する。
化合物の溶解度は、少なくとも部分的には、溶媒システムのエントロピー効果によって決定される。エントロピー効果は、例えば、格子エネルギー、溶媒和、溶媒構造、又はそれらの組み合わせにおける変化を含み得る。溶媒和は、溶質(活性化剤又は共触媒など)と溶媒の分子との間の相互作用に関連する。理論に束縛されるものではないが、ルイス塩基の添加は、カチオンと弱い付加物を形成することができ、正電荷が更に可溶化されることを可能にする。この効果は、ルイス塩基成分の親油性を増加させることによって更に促進することができる。
一般に、溶質は、異なる非極性溶媒において同様の溶解度を有し得る。非極性溶媒は一般に炭化水素溶媒を含む。非極性炭化水素溶媒の非限定的なリストには、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、灯油、トルエン、キシレン、ターペンタイン、及びISOPAR-E(商標)、並びにそれらの組み合わせが含まれる。実施例のセクションでは、共触媒は、本開示に記載されるように、それらの両方が非極性溶媒であり、より具体的には炭化水素溶媒である、メチルシクロヘキサン又はISOPAR-E(商標)を含む溶媒システムにおいてポリマーを十分に処理する。したがって、本開示の共触媒は、他の溶媒システムにおいてポリマーを十分に処理し得ると考えられている。
ポリオレフィン
先行する段落に記載された触媒システムは、オレフィン、主にエチレン及びプロピレンの重合に利用され、エチレン系ポリマー又はプロピレン系ポリマーを形成する。いくつかの実施形態では、重合スキーム中のオレフィン又はα-オレフィンは一種類のみであるので、ホモポリマーが生成される。しかしながら、追加のα-オレフィンを重合手順に組み込んでもよい。追加のα-オレフィンコモノマーは、典型的には、20個以下の炭素原子を有する。例えば、α-オレフィンコモノマーは、3~10個の炭素原子、又は3~8個の炭素原子を有し得る。例示的なα-オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、及び4-メチル-1-ペンテンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、1つ以上のα-オレフィンコモノマーは、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から、又は代替として、1-ヘキセン及び1-オクテンからなる群から選択され得る。
エチレン系ポリマー、例えば、エチレンのホモポリマー及び/又は、エチレンと任意選択的にα-オレフィンなどの1つ以上のコモノマーとのインターポリマー(コポリマーを含む)は、エチレンに由来するモノマー単位を少なくとも50モルパーセント(mol%)含み得る。「少なくとも50モルパーセント」に包含される全ての個々の値及び部分範囲は、別個の実施形態として本明細書に開示され、例えば、エチレン系ポリマー、エチレンのホモポリマー、及び/又はエチレンと任意選択的にα-オレフィンなどの1つ以上のコモノマーとのインターポリマー(コポリマーを含む)は、エチレンに由来するモノマー単位を少なくとも60モルパーセント、エチレンに由来する少なくとも70モルパーセントのモノマー単位、エチレンに由来する少なくとも80モルパーセントのモノマー単位、又はエチレンに由来する50~100モルパーセントのモノマー単位、又はエチレンに由来する80~100モルパーセントのモノマー単位を含み得る。
いくつかの実施形態では、本開示に従う重合プロセスは、エチレン系ポリマーを生成する。1つ以上の実施形態では、エチレン系ポリマーは、エチレンに由来する少なくとも90モルパーセントの単位を含み得る。少なくとも90モルパーセントからの全ての個々の値及び部分範囲は本明細書に含まれ、別個の実施形態として本明細書に開示される。例えば、エチレン系ポリマーは、エチレンに由来する少なくとも93モルパーセントの単位、少なくとも96モルパーセントの単位、エチレンに由来する少なくとも97モルパーセントの単位、又は代替として、エチレンに由来する90~100モルパーセントの単位、エチレンに由来する90~99.5モルパーセントの単位、若しくはエチレンに由来する97~99.5モルパーセントの単位を含み得る。
エチレン系ポリマーのいくつかの実施形態では、追加のα-オレフィンの量は50mol%未満であり、他の実施形態は、少なくとも1モルパーセント(mol%)~25mol%を含み、更なる実施形態では、追加のα-オレフィンの量は、少なくとも5mol%~103mol%を含む。いくつかの実施形態では、追加のα-オレフィンは、1-オクテンである。
任意の従来の重合プロセスを用いてエチレン系ポリマーを生成してもよい。そのような従来の重合プロセスとしては、1つ以上の従来の反応器、例えばループ反応器、等温反応器、流動床気相反応器、撹拌槽型反応器、バッチ反応器などの並列、直列、又はそれらの任意の組み合わせを使用する、溶液重合プロセス、気相重合プロセス、スラリー相重合プロセス、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器システム、例えば、二重ループ反応器システムにおいて、溶液重合によって生成してもよく、エチレン及び任意選択的に1つ以上のα-オレフィンは、本明細書に記載の触媒システム及び任意選択的に1つ以上の共触媒の存在下で重合される。別の実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器システム、例えば、二重ループ反応器システムにおいて、溶液重合によって生成してもよく、エチレン及び任意選択的に1つ以上のα-オレフィンは、本開示における、かつ本明細書に記載の触媒システム及び任意選択的に1つ以上の他の触媒の存在下で重合される。本明細書に記載の触媒システムは、任意選択的に1つ以上の他の触媒と組み合わせて、第1の反応器又は第2の反応器において使用することができる。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器システム、例えば、二重ループ反応器システムにおいて、溶液重合によって生成してもよく、エチレン及び任意選択的に1つ以上のα-オレフィンは、本明細書に記載の触媒システムの存在下で両方の反応器中で重合される。
別の実施形態では、エチレン系ポリマーは、単一反応器システム、例えば単一ループ反応器システムにおいて、溶液重合によって生成してもよく、エチレン及び任意選択的に1つ以上のα-オレフィンは、本開示内に記載されるように、触媒システム、及び先行する段落に記載されるように、任意選択的に1つ以上の共触媒の存在下で重合される。
エチレン系ポリマーは、1つ以上の添加剤を更に含んでもよい。そのような添加剤としては、帯電防止剤、色増強剤、染料、潤滑剤、顔料、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、加工助剤、紫外線安定剤、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。エチレン系ポリマーは、任意の量の添加剤を含み得る。エチレン系ポリマーは、エチレン系ポリマー及び1つ以上の添加剤の重量に基づいて、かかる添加剤の合計重量で約0~約10パーセント妥協し得る。エチレン系ポリマーは、充填剤を更に含み得、その充填剤としては、有機又は無機充填剤を挙げることができるが、これらに限定されない。エチレン系ポリマーは、エチレン系ポリマー及び全ての添加剤又は充填剤の合計重量に基づいて、例えば炭酸カルシウム、タルク、又はMg(OH)などの約0~約20重量パーセントの充填剤を含有し得る。エチレン系ポリマーは、1つ以上のポリマーと更にブレンドされてブレンド物を形成することができる。
いくつかの実施形態では、エチレン系ポリマーを生成するための重合プロセスは、エチレン及び少なくとも1つの追加のα-オレフィンを、本開示による触媒システムの存在下で重合することを含み得る。式(X)の金属-配位子錯体を組み込むそのような触媒システムから得られるポリマーは、ASTM D792(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に従って、例えば、0.850g/cm~0.950g/cm、0.880g/cm~0.920g/cm、0.880g/cm~0.910g/cm、又は0.880g/cm~0.900g/cmの密度を有してもよい。
別の実施形態では、本開示による触媒システムから結果として得られるポリマーは、5~15のメルトフロー比(I10/I)を有し、メルトインデックスIは、ASTM D1238(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に従って、190℃及び2.16kgの負荷で測定され、メルトインデックスI10は、ASTM D1238に従って、190℃及び10kgの負荷で測定される。他の実施形態では、メルトフロー比(I10/I)は5~10であり、また他の実施形態では、メルトフロー比は5~9である。
いくつかの実施形態では、本開示による触媒システムから得られるポリマーは、1~25の分子量分布(MWD)を有し、MWDは、M/Mとして定義され、Mは、重量平均分子量であり、Mは、数平均分子量である。他の実施形態では、触媒システムから得られるポリマーは、1~6のMWDを有する。別の実施形態は、1~3のMWDを有し、他の実施形態は、1.5~2.5のMWDを有する。
本開示に記載される触媒システムの実施形態は、形成されたポリマーの高分子量及びポリマーに組み込まれたコモノマーの量の結果として、固有のポリマー特性をもたらす。
バッチ反応器重合のための手順。原料(エチレン、1-オクテン)及びプロセス溶媒(ISOPAR E)は、モレキュラーシーブで精製し、その後、反応環境に導入する。撹拌オートクレーブ反応器に、ISOPAR E及び1-オクテンを入れた。次いで、反応器をある温度に加熱し、エチレンを入れ、所望の圧力に到達させた。任意選択的に、水素も添加した。触媒システムは、不活性雰囲気下のドライボックス中で、金属-配位子錯体及び任意選択的に1つ以上の添加剤を追加の溶媒と混合することによって調製した。次いで、触媒システムを反応器中に注入した。重合中にエチレンを供給し、必要に応じて反応器を冷却することによって、反応器の圧力及び温度を一定に保った。10分後、エチレンの供給を止め、溶液を窒素パージした樹脂製ケトルに移した。ポリマーを真空オーブン中で徹底的に乾燥させ、重合実験の間に反応器を熱いISOPAR Eで徹底的にすすいだ。
本明細書に特に指示のない限り、本開示の態様の記載において以下の分析方法を使用する。
メルトインデックス
ポリマー試料のメルトインデックスI(又はI2)及びI10(又はI10)を、それぞれ、190℃、かつ2.16kg及び10kgの荷重で、ASTM D-1238(方法B)に従って測定した。それらの値を、g/10分で報告する。
密度
密度測定用の試料を、ASTM D4703に従って調製した。試料加圧の1時間以内に、ASTM D792で、方法Bに従って測定を行った。
ゲル浸透クロマトグラフィ(Gel Permeation Chromatography、GPC)
クロマトグラフィシステムは、内部IR5赤外線検出器(IR5)を装備するPolymerChar社(Valencia,Spain)製GPC-IRの高温GPCクロマトグラフから構成された。オートサンプラオーブンコンパートメントを160℃に設定し、カラムコンパートメントを150℃に設定した。使用されたカラムは、4本のAgilent社製「Mixed A」30cm 20ミクロン線形混床式カラム及び20umのプレカラムであった。使用されたクロマトグラフィ溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼンであり、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(butylated hydroxytoluene、BHT)を含有していた。溶媒源を、窒素スパージした。採用した注入体積は、200マイクロリットルであり、流量は、1.0ミリリットル/分であった。
GPCカラムセットの較正を、580~8,400,000の範囲の分子量を有する21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を用いて行い、個々の分子量の間に少なくとも10倍の間隔を有する6つの「カクテル」混合物中に配置した。標準物質を、Agilent Technologies社から購入した。1,000,000以上の分子量については、50ミリリットルの溶媒中の0.025グラムで、1,000,000未満の分子量については、50ミリリットルの溶媒中の0.05グラムで、ポリスチレン標準物質を調製した。ポリスチレン標準物質を、穏やかに撹拌しながら80℃で30分間溶解させた。ポリスチレン標準物質のピーク分子量を、等式1を使用してポリエチレン分子量に変換した(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載のとおり):

式中、Mは、分子量であり、Aは、0.4315の値を有し、Bは、1.0に等しい。
五次多項式を使用して、それぞれのポリエチレン等価較正点に当てはめた。Aに対してわずかな調整(約0.375~0.445)を行い、カラム分解能及びバンド拡張効果を、線状ホモポリマーポリエチレン標準物質が120,000Mwで得られるように補正した。
GPCカラムセットの合計プレートカウントは、デカン(50ミリリットルのTCB中0.04gで調製され、穏やかに撹拌しながら20分間溶解した)を用いて実行した。プレートカウント(等式2)及び対称性(等式3)を、200マイクロリットル注入で以下の式に従って測定し、

式中、RVは、ミリリットル単位での保持体積であり、ピーク幅は、ミリリットル単位であり、ピーク最大値は、ピークの最大高さであり、1/2高さは、ピーク最大値の1/2の高さである。
式中、RVは保持体積(ミリリットル単位)であり、ピーク幅はミリリットル単位であり、ピーク最大値はピークの最大位置であり、1/10高さはピーク最大値の1/10の高さであり、後方ピークはピーク最大値よりも後の保持体積でのピークテールを指し、前方ピークはピーク最大値よりも早い保持体積でのピークフロントを指す。クロマトグラフィシステムのプレートカウントは、18,000超になるべきであり、対称性は、0.98~1.22となるべきである。
試料を、PolymerChar社製「Instrument Control」ソフトウェアを用いて半自動様式で調製し、2mg/mlを試料の目標重量とし、PolymerChar社製高温オートサンプラを介して、予め窒素スパージされたセプタム付きのキャップが付いたバイアルに溶媒(200ppmのBHTを含有)を添加した。試料を、「低速」振盪下で、160℃で2時間溶解した。
Mn(GPC)、Mw(GPC)、及びMz(GPC)の計算は、PolymerChar社製GPCOne(商標)ソフトウェア、各等間隔のデータ回収点(i)におけるベースラインを差し引いたIRクロマトグラム、及び等式1の点(i)についての狭い標準物質較正曲線から得られるポリエチレン等価分子量を使用して、等式4~6に従って、PolymerChar社製GPC-IRクロマトグラフの内部IR5検出器(測定チャンネル)を使用した、GPC結果に基づいた。
経時的な偏差を監視するために、PolymerChar社製GPC-IRシステムで制御されたマイクロポンプを介して、各試料に流量マーカー(デカン)を導入した。この流量マーカー(flowrate marker、FM)を用いて、試料中のそれぞれのデカンピーク(RV(FM試料))と、狭い標準物質較正(RV(FM較正済み))内のデカンピークのそれとを、RV整合させることによって、各試料のポンプ流量(流量(見かけ))を直線的に補正した。次いで、デカンマーカーピークの時間のいかなる変化も、実行の全体にわたって流量(流量(有効))における線形シフトに関連すると推測される。流量マーカーピークのRV測定の最高精度を促進するために、流量マーカー濃度クロマトグラムのピークを二次等式に当てはめる最小二乗適合ルーチンが使用される。次いで、二次等式の一次導関数を使用して、真のピーク位置を解く。流量マーカーのピークに基づいてシステムを較正した後、(狭い標準較正に対する)有効流量を、等式7のとおり計算する。流量マーカーピークの処理を、PolymerChar社製GPCOne(商標)ソフトウェアを介して行った。許容可能な流量補正は、有効流量が見かけの流量の±0.5%以内になるはずであるようなものである。

1000個の総炭素当たりの短鎖分枝(SCB/1000C)を、国際公開第2015200743(A1)号の「Molecular Weighted Comonomer Distribution Index(MWCDI)」のセクションに記載の方法に従って測定する。
一般的溶解度試験手順
溶解度試験を指定された温度で実施する。温度が指定されていない場合、試験は室温(22.5±2.5℃)で行った。選択した温度を、機器の全ての関連する部分で一定に保つ。バイアルに、30mgの共触媒(試料)及び1.0mLの溶媒を入れる。共触媒と溶媒の懸濁液を、周囲温度で30分間撹拌する。次いで、混合物を、風袋引きしたバイアルにシリンジフィルターを介して濾過し、溶液を測量する(Xgの溶液)。次に、溶媒を高真空下で完全に除去し、バイアルを再度測量する(Ygの試料)。「ρ溶媒」は、g/mL単位での溶媒の密度である。溶媒中の共触媒の溶解度は、mg/mLの単位で測定した。溶媒中の共触媒の溶解度を、以下のように計算した。
本開示の1つ以上の特徴は、以下の実施例を考慮して例示される。
実施例1は、中間体及び単離された共触媒の合成手順である。
実施例1-ホウ酸ナトリウム塩の合成のための代表的な手順-
合成A
グローブボックス中で、マグネシウム切削片を、ジエチルエーテル中に懸濁させ、ジブロモエタン2滴の添加によって活性化させた。ブロモフルオロベンゼン化合物をジエチルエーテル中33重量%溶液としてゆっくり添加した。溶液を4~6時間撹拌し、次いで固体テトラフルオロホウ酸ナトリウムの添加によりクエンチした。クエンチした溶液を24時間撹拌した。溶液をグローブボックスから取り出し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液に注ぎ入れ、30分間撹拌した。混合物をセライトで濾過した。有機溶液を単離し、水溶液をジエチルエーテルで抽出した。合わせた有機画分を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶液を濾過し、次いでロータリーエバポレータを使用して濃縮した。得られる残渣を、ジクロロメタンに再溶解し、ロータリーエバポレータを使用して濃縮した。残渣をジクロロメタンを使用して粉砕して、灰白色の固体及び淡黄色から褐色の溶液を得た。固体を、濾過により単離し、追加のジクロロメタンですすいだ。固体を真空下で乾燥させて、所望の生成物を得た。
ホウ酸ナトリウム塩の合成のための代表的な手順-
合成B
グローブボックス中で、所望のブロモフルオロベンゼン化合物をジエチルエーテルに溶解した。次いで、ジエチルエーテル中の塩化イソプロピルマグネシウム(2M)を滴加した。溶液を4~6時間撹拌し、その時点で固体テトラフルオロホウ酸ナトリウムの添加により反応をクエンチした。得られた混合物を18~24時間撹拌した。溶液をグローブボックスから取り出し、重炭酸ナトリウムの飽和溶液中に注ぎ、30分間撹拌した。有機溶液を単離し、水溶液をジエチルエーテルで抽出した。合わせた有機画分を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶液を濾過し、次いでロータリーエバポレータを使用して濃縮した。得られる残渣を、ジクロロメタンに再溶解し、ロータリーエバポレータを使用して濃縮した。残渣をジクロロメタンを使用して粉砕して、白色固体及び黄色溶液を得た。固体を濾過により単離し、追加のジクロロメタンですすいだ。固体を真空下で乾燥させて、所望の材料を得た。
アルメニウムボレートを形成するためのカチオン交換のための代表的な手順
不活性雰囲気下で、Armeen HCl及びホウ酸ナトリウム塩を一緒に、乾燥脱気トルエン中に1:1モル比で添加した。懸濁液を一晩撹拌し、濾過し、真空下50℃で濃縮して、所望の生成物を得た。
表1は、化合物A、B及びCの溶解度プロファイルを表にしている。
ジ(n-オクタデシル)メチルアンモニウムカチオンのような長いヒドロカルビル鎖を含有するアンモニウム化合物は、炭化水素の溶解度を改善した。少なくとも1つのR基がHである場合、この方法は一般に、炭化水素溶液中で相分離するイオン対を生成する。更に、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを含有する比較システムでは、炭化水素の溶解度が達成される一方で、二相性挙動が低温で依然として観察され得、これは、低温環境にあるときに溶液を分配又は移送するための問題を引き起こし得る。ジ(n-オクタデシル)メチルアミンのようなルイス塩基の触媒システムへの添加は、炭化水素溶解度を増加させるか、又は単相溶液が得られ、表2に記録された条件の範囲を増加させる拡張カチオンを生じる。0.2当量のルイス塩基、(C1837NMeの触媒システムへの添加は、-35℃でさえ溶解性の均質溶液を提供した。
貯蔵及び輸送は、より低い温度を必要とする場合がある。溶解度は室温で許容され得るが、より低い温度は成分の溶解度を低下させ得、極端な場合には、二相混合物をもたらし得る。化合物の溶解度を増加させることによって、溶液が二相性になる可能性が低くなる。表2及び表3にまとめた溶解度データは、活性化剤及びルイス塩基を含む活性化剤錯体が非常に低い温度で溶解性であることを示す。
空気感受性材料の全ての操作を、高真空ライン(10-6Torr)とインターフェースされたデュアルマニホールドシュレンクライン上でオーブン乾燥したシュレンク型ガラス器具において、又は大容量の再循環器を備えるN充填MBraunグローブボックス(1ppm未満のO)において、O及び水分の厳密な除去とともに行った。アルゴン(Airgas、予備精製グレード)は、担持型MnO酸素除去カラム及び活性化Davison 4Åモレキュラーシーブカラムを通過させることによって精製した。エチレン(Airgas)は、酸素/水分トラップ(Matheson、モデルMTRP-0042-XX)を通過させることによって精製した。炭化水素溶媒(n-ペンタン、n-ヘキサン、1-ヘキセン、メチルシクロヘキサン、及びトルエン)を、Grubbsによって記載された方法に従って活性化アルミナカラムを使用して乾燥させ(Pangborn,A.B.;Giardello,M.A.;Grubbs,R.H.;Rosen,R.K.;Timmers,F.J.,Safe and Convenient Procedure for Solvent Purification.Organometallics 1996,15(5),1518-1520を参照されたい。)次いで、Na/K合金から真空移動した。ベンゼン-d6及びトルエン-d8(Cambridge Isotope Laboratories、99+原子%D)をNa/K合金上で真空保存し、使用直前に真空移動した。1,2-ジフルオロベンゼン及びクロロベンゼン-d5をCaHで乾燥し、真空下で蒸留した。クロロホルム-d3及び1,1,2,2-テトラクロロエタン-d2は、受領したままの状態で使用した(Cambridge Isotope Laboratories、99+原子%D)。
装置規格
全ての溶媒及び試薬は、商業的供給源から入手し、別段の記載がない限り、受け取ったまま使用した。無水トルエン、ヘキサン、テトラヒドロフラン、及びジエチルエーテルを、活性アルミナ、及び場合によってはQ-5反応物質を通過させることによって精製する。窒素充填グローブボックス中で行った実験に使用した溶媒は、活性化4Åモレキュラーシーブ上での貯蔵によって更に乾燥させる。水分に敏感な反応用のガラス器具を、使用前に一晩オーブン内で乾燥させる。NMRスペクトルを、Varian 400-MR分光計及びVNMRS-500分光計で記録する。LC-MS分析は、Waters 2424 ELS検出器、Waters 2998 PDA検出器、及びWaters 3100 ESI質量検出器と組み合わせたWaters e2695分離モジュールを使用して行う。LC-MS分離は、XBridge C18 3.5μm 2.1×50mmカラムで、5:95~100:0のアセトニトリル及び水のグラジエント(イオン化剤として0.1%のギ酸を含む)を使用して行う。HRMS分析は、エレクトロスプレーイオン化を備えたAgilent 6230 TOF質量分析計と組み合わせたZorbax Eclipse Plus C18 1.8μm 2.1×50mmカラムを備えたAgilent 1290 Infinity LCを使用して行う。H NMRデータは、次のように報告する:化学シフト(多重度(br=幅広線、s=1重線、d=2重線、t=3重線、q=4重線、p=5重線、sex=6重線、sept=7重線、及びm=多重線)、積分値、及び帰属)。H NMRデータの化学シフトは、基準として重水素化溶媒中の残留プロトンを使用して、内部テトラメチルシラン(tetramethylsilane、TMS、δスケール)から低磁場にppmで報告する。13C NMRデータは、Hデカップリングを用いて決定し、化学シフトは、基準として重水素化溶媒中の残留炭素を使用して、テトラメチルシラン(TMS、δスケール)から低磁場にppmで報告する。

Claims (19)

  1. ルイス塩基と活性化剤とを含む活性化剤錯体であって、前記活性化剤が、アニオンとカチオンとを含み、前記アニオンが、式(I)による構造を有し、

    式中、
    Bが、ホウ素原子であり、
    各R及び各Rが、-H又は-Fから選択され、
    各R、R、及びRが、-H、-F、(C~C10)ヒドロカルビル、(C~C10)ヘテロヒドロカルビルから選択され、任意選択的に、R及びRが結合して環を形成し、但し、R、R、R、R、及びRのうちの少なくとも1つが、フッ素原子であることを条件とし、
    、R、R、R及びR10が、独立して、-H、-F、(C~C10)ヒドロカルビル、(C~C10)ヘテロヒドロカルビル、-OR、-SiR から選択され、ここで、Rが、-H又は(C~C10)ヒドロカルビルであり、任意選択的に、R及びRが結合して環を形成し、
    前記ルイス塩基が、式(II)による構造を有し、
    N1N2N3(II)
    式中、
    が、窒素又はリンであり、
    N1が、(C~C30)ヒドロカルビルであり、RN2が、(C~C30)ヒドロカルビルであり、RN3が、(C~C30)ヒドロカルビルである、活性化剤錯体。
  2. 、R、R、R、及びR10のうちの3つ以上がフッ素原子である場合、各個々の環のR、R、R、R、及びRのうちの少なくとも1つが-Hである、請求項1に記載の活性化剤錯体。
  3. 、R、R、R、及びR10のいずれもフッ素原子ではない場合、R、R、R、R、及びRのうちの少なくとも4つがフッ素原子である、請求項1又は2に記載の活性化剤錯体。
  4. 触媒システムが、前記活性化剤のモル量に基づいて1.0モル当量未満の前記ルイス塩基を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の活性化剤錯体。
  5. 触媒システムが、0.9:1~0.01:1の前記ルイス塩基対前記活性化剤のモル比を含む、請求項1又は2に記載の活性化剤錯体。
  6. 触媒システムが、0.05:1~0.01:1の前記ルイス塩基対前記活性化剤のモル比を含む、請求項1又は2に記載の活性化剤錯体。
  7. 活性化剤混合物が、前記ルイス塩基の重量パーセントが10ppmを超える炭化水素溶媒中に溶解されている、請求項1又は2に記載の活性化剤錯体。
  8. 活性化剤混合物が、前記ルイス塩基の重量パーセントが100ppmを超える炭化水素溶媒中に溶解されている、請求項1又は2に記載の活性化剤錯体。
  9. 活性化剤混合物が、前記ルイス塩基の重量パーセントが1000ppmを超える炭化水素溶媒中に溶解されている、請求項1又は2に記載の活性化剤錯体。
  10. 前記カチオンが、式(II)のプロトン化構造を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の活性化剤錯体。
  11. 前記活性化剤が、ヘキサン、シクロヘキサン、又はメチルシクロヘキサン中、25℃で少なくとも1重量パーセントの溶解度を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の活性化剤錯体。
  12. 前記活性化剤が、ヘキサン、シクロヘキサン、又はメチルシクロヘキサン中、25℃で少なくとも5重量パーセントの溶解度を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の活性化剤錯体。
  13. 前記活性化剤が、ヘキサン、シクロヘキサン、又はメチルシクロヘキサン中、25℃で少なくとも8重量パーセントの溶解度を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の活性化剤錯体。
  14. フッ素原子の総数が少なくとも4である、請求項1~13のいずれか一項に記載の活性化剤錯体。
  15. 前記フッ素原子の総数が4~18である、請求項1~14のいずれか一項に記載の活性化剤錯体。
  16. プロ触媒と、請求項1~14のいずれか一項に記載の活性化剤錯体と、を含む、触媒システム。
  17. 金属-配位子錯体プロ触媒と、ルイス塩基と、活性化剤と、を含む触媒システムであって、前記活性化剤が、以下から選択される、触媒システム:






  18. 前記プロ触媒が、金属-配位子錯体である、請求項15又は16に記載のプロセス。
  19. 前記プロ触媒が、ビス(フェニルフェノキシ)金属-配位子錯体である、請求項15又は16に記載のプロセス。
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