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JP2024121324A - 重畳画像表示装置 - Google Patents

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JP2024121324A
JP2024121324A JP2023028363A JP2023028363A JP2024121324A JP 2024121324 A JP2024121324 A JP 2024121324A JP 2023028363 A JP2023028363 A JP 2023028363A JP 2023028363 A JP2023028363 A JP 2023028363A JP 2024121324 A JP2024121324 A JP 2024121324A
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賢二 渡邊
哲也 深谷
俊介 北澤
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Aisin Seiki Co Ltd
Aisin Corp
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Abstract

【課題】接続する道路数が閾値以上となる案内分岐点であっても、表示された案内オブジェクトによって案内分岐点の退出路が直感的に分かりやすい案内を可能にした重畳画像表示装置を提供する。【解決手段】車両の進行方向前方に案内分岐点がある場合に、案内分岐点において接続する道路数を取得し、案内分岐点において接続する道路数が閾値以上である場合には、案内分岐点における車両の進入方向と車両の退出方向とに基づいて表示対象となる案内オブジェクトを回転させる回転処理を実行し、回転処理後の案内オブジェクトを表示することで、案内分岐点における車両の退出方向を案内するように構成する。【選択図】図12

Description

本発明は、車両の走行支援を行う重畳画像表示装置に関する。
従来より、車両の乗員に対して経路案内や障害物の警告等の車両の走行支援を行う為の各種情報を提供する情報提供手段として、様々な手段が用いられている。例えば、車両に設置された液晶ディスプレイによる表示や、スピーカから出力する音声等である。そして、近年、このような情報提供手段の一つとして、乗員の周辺環境(風景、実景)に重畳する画像を表示することによって、情報の提供を行う装置がある。例えば、ヘッドアップディスプレイ、ウインドウシールドディスプレイの他、液晶ディスプレイに表示した車両周辺の撮像画像に重畳して画像を表示する方法等が該当する。
ここで、上記周辺環境に重畳する画像を表示することによって特に案内分岐点の案内を行う場合について、車両の案内分岐点における車両の退出方向を乗員に誤りなく認識させることが重要である。例えば例えば特開2020-24561号公報では、案内分岐点が重畳可能範囲に含まれる場合に、実景の案内分岐点に重畳させて車両の案内分岐点における車両の退出方向を示す矢印の画像を表示する技術について開示されている。
特開2020-24561号公報(図9)
上記特許文献1に記載の技術では、矢印の画像が指す方向によって案内分岐点における車両の退出方向を示している。例えば左向きの矢印の画像が表示されれば、案内分岐点における車両の退出方向が左方向であることを示している。しかしながら、5差路や6差路などの接続する道路数が多い分岐点では進入方向に対して退出方向のなす角度が直角ではなく鋭角や鈍角となることも多く、また、同じ方向に複数の道路が接続されている場合もある。そのような接続する道路数の多い分岐点では右方向や左方向を単純に示す矢印の表示ではユーザが直感的に退出路を把握できない問題があった。
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、接続する道路数が閾値以上となる案内分岐点であっても、表示された案内オブジェクトによって案内分岐点の退出路が直感的に分かりやすい案内を可能にした重畳画像表示装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため本発明に係る重畳画像表示装置は、車両に搭載され、前記車両の乗員へ情報を案内する案内オブジェクトを、前記車両周辺の風景に重畳して視認させる重畳画像表示装置であって、車両の進行方向前方に案内分岐点がある場合に、前記案内分岐点における車両の退出方向を案内する為の案内オブジェクトを表示するオブジェクト表示手段と、前記案内分岐点において接続する道路数を取得する道路数取得手段と、を有し、前記オブジェクト表示手段は、前記案内分岐点において接続する道路数が閾値以上である場合には、案内分岐点における車両の進入方向と車両の退出方向とに基づいて表示対象となる前記案内オブジェクトを回転させる回転処理を実行し、前記回転処理後の前記案内オブジェクトを表示する。
前記構成を有する本発明に係る重畳画像表示装置によれば、案内分岐点における車両の進入方向と車両の退出方向とに基づいて表示対象となる案内オブジェクトを回転させ、回転後の案内オブジェクトを表示するので、接続する道路数が閾値以上となる分岐点であっても、表示された案内オブジェクトによって退出路が直感的に分かりやすい案内が可能となる。更に、同じ方向に複数の道路が接続されていたとしても、複数の道路の内から退出路を明確にユーザに認識させることが可能となる。そして、車両が退出すべきでない退出路へと誤って退出してしまうことについて防止できる。
本実施形態に係る重畳画像表示装置の概略構成図である。 車両の乗員によって視認される風景と風景に重畳される虚像の一例を示した図である。 本実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。 分岐点データの一例を示した図である。 本実施形態に係る走行支援処理プログラムのフローチャートである。 第1相対退出角と第2相対退出角の算出方法について説明した図である。 鋭角鈍角案内オブジェクト表示処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。 鋭角鈍角案内オブジェクト表示処理での案内オブジェクトの配置例を示した図である。 案内オブジェクトに対して行われる第1の回転処理を説明した図である。 矢印の数を増加した後の案内オブジェクトの配置例を示した図である。 案内オブジェクトに対して行われる第2の回転処理を説明した図である。 案内オブジェクトに対して行われる第3の回転処理を説明した図である。 鋭角鈍角案内オブジェクト表示処理において車両の乗員から視認される案内オブジェクトの例を示した図である。 通常案内オブジェクト表示処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。 通常案内オブジェクト表示処理での案内オブジェクトの配置例を示した図である。 通常案内オブジェクト表示処理において車両の乗員から視認される案内オブジェクトの例を示した図である。
以下、本発明に係る重畳画像表示装置1を具体化した実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る重畳画像表示装置1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係る重畳画像表示装置1の概略構成図である。
図1に示すように重畳画像表示装置1は、車両2に搭載されたナビゲーション装置3と、同じく車両2に搭載されるとともにナビゲーション装置3と接続されたフロントディスプレイ4とを基本的に有する。尚、フロントディスプレイ4は後述のように車両2のフロントガラス5とともにヘッドアップディスプレイとして機能し、車両2の乗員6に対して様々な情報の提供を行う情報提供手段となる。
ここで、ナビゲーション装置3は、目的地までの推奨経路を探索したり、サーバから取得したりメモリに格納された地図データに基づいて車両2の現在位置周辺の地図画像を表示したり、設定された案内経路に沿った走行案内等をフロントディスプレイ4とともに行う機能を有する。尚、上記機能の全てをナビゲーション装置3が備えている必要はなく、少なくとも案内経路に沿った走行案内を行う機能を有していれば本願発明を構成することが可能である。尚、ナビゲーション装置3の構造の詳細については後述する。
一方、フロントディスプレイ4は、車両2のダッシュボード7内部に設置され、前面に設けられた画像表示面に対して画像を表示する機能を有する液晶ディスプレイである。バックライトとしては例えばCCFL(冷陰極管)や白色LEDが用いられる。尚、フロントディスプレイ4としては、液晶ディスプレイ以外に、有機ELディスプレイや液晶プロジェクタとスクリーンの組み合わせを用いても良い。
そして、フロントディスプレイ4は車両2のフロントガラス5とともにヘッドアップディスプレイとして機能し、フロントディスプレイ4から出力される画像を、運転席の前方のフロントガラス5に反射させて車両2の乗員6に視認させるように構成されている。
ここで、本実施形態ではフロントディスプレイ4において表示され、車両2の乗員6に視認させる画像としては、車両2に関する情報や乗員6の運転の支援の為に用いられる各種情報がある。例えば乗員6に対して警告対象となる対象物(他車両、歩行者、案内標識)に対する警告、ナビゲーション装置3で設定された案内経路や案内経路に基づく案内情報(右左折方向を示す矢印等)、路面に表示する警告(追突注意、制限速度等)、車両が走行する車線の区画線、現在車速、シフト位置、エネルギ残量、広告画像、施設情報、地図画像、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、接続されたスマートフォンの画面、テレビ番組等がある。尚、以下に説明する本実施形態では、特に車両の進行方向前方にある案内分岐点における案内を行う為の情報を案内オブジェクトとしてフロントディスプレイ4に表示する。より具体的には案内分岐点における車両の退出方向を示す一又は複数の矢印とする。
また、フロントガラス5を反射して乗員6がフロントディスプレイ4に表示された映像を視認した場合に、乗員6にはフロントガラス5の位置ではなく、フロントガラス5の先の遠方の位置にフロントディスプレイ4に表示された映像が虚像10として視認されるように構成される。また、虚像10は車両前方の周辺環境(風景、実景)に重畳して表示されることとなり、例えば車両前方に位置する任意の対象物(路面、交差点、建築物、警告対象となる物等)に重畳させて表示させることも可能である。
例えば、図2は虚像10を車両前方の周辺環境(風景、実景)に重畳して表示した場合の例である。図2に示すようにフロントディスプレイ4に対して例えば矢印の画像9を表示する。その結果、フロントディスプレイ4に表示された矢印の画像9をフロントガラス5に反射して車両の乗員6が視認することによって、フロントガラス5越しの風景に重畳して矢印の画像9の虚像10が視認されることとなる。但し、虚像10はフロントガラス5越しの風景のどこにでも重畳させることができるわけではなく、虚像10を重畳して車両の乗員6に視認させることが可能な範囲は限られている。具体的には、フロントディスプレイ4の表示画面のサイズやダッシュボード7に対する設置位置によってその範囲が決められることとなり、例えば図2に示す例では破線に囲まれた範囲Rが、虚像10を重畳して車両の乗員6に視認させることが可能な範囲(重畳可能範囲)となる。
一方で、虚像10を生成する奥行き方向の位置、より具体的には乗員6から虚像10までの距離(以下、結像距離という)Lについては、フロントディスプレイ4の位置によって決定される。例えば、フロントディスプレイ4において映像の表示された位置からフロントガラス5までの光路に沿った距離(光路長)によって結像距離Lが決定される。例えば結像距離Lが1.5mとなるように光路長が設定されている。
また、本実施形態では車両周辺の風景に重畳する画像を表示する手段としてダッシュボード7内部に設置されたフロントディスプレイ4を用いているが、他の手段を用いても良い。例えば、ヘッドアップディスプレイ(HUD)装置を車載器として有しても良いし、フロントガラス5を透過液晶ディスプレイとしてフロントガラス5に直接画像を表示しても良い。更に、後述のフロントカメラ11で撮像した車両周辺の風景を車内の液晶ディスプレイに表示し、同一の液晶ディスプレイ内において表示された風景に重畳する画像を表示することも可能である。その場合においても液晶ディスプレイに表示された画像は、HUDと同様に車両周辺の風景に重畳する画像となる。
また、車両のフロントバンパの上方やルームミラーの裏側等にはフロントカメラ11が設置される。フロントカメラ11は、例えばCCD等の固体撮像素子を用いたカメラを有する撮像装置であり、光軸方向を車両の進行方向前方に向けて設置される。そして、フロントカメラ11により撮像された撮像画像に対して画像処理が行われることによって、フロントガラス越しに乗員6に視認される前方環境(即ち虚像10が重畳される環境)の状況等が検出される。尚、フロントカメラ11の代わりにミリ波レーダ等のセンサを用いても良い。
また、車両のインストルメントパネルの上面には車内カメラ12が設置される。車内カメラ12は、例えばCCD等の固体撮像素子を用いたカメラを有する撮像装置であり、光軸方向を運転席に向けて設置される。車内において一般的に乗員の顔が位置すると予想される範囲を検出範囲(車内カメラ12の撮像範囲)として設定し、運転席に座った乗員6の顔を撮像する。そして、車内カメラ12により撮像された撮像画像に対して画像処理が行われることによって、乗員6の目の位置(視線開始点)や視線方向を検出する。
次に、上記重畳画像表示装置1を構成するナビゲーション装置3の概略構成について図3を用いて説明する。図3は本実施形態に係るナビゲーション装置3を示したブロック図である。
図3に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置3は、ナビゲーション装置3が搭載された車両2の現在位置を検出する現在位置検出部13と、各種のデータが記録されたデータ記録部14と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU15と、ユーザからの操作を受け付ける操作部16と、ユーザに対して車両周辺の地図や施設の関する施設情報を表示する液晶ディスプレイ17と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ18と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ19と、プローブセンタやVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール20と、を有する。また、ナビゲーション装置3はCAN等の車載ネットワークを介して、前述したフロントディスプレイ4、フロントカメラ11及び車内カメラ12等が接続されている。
以下に、ナビゲーション装置3が有する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部13は、GPS21、車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ22は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU15に出力する。そして、ナビゲーションECU15は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記4種類のセンサをナビゲーション装置3が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置3が備える構成としても良い。
また、データ記録部14は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB31や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部14はハードディスクの代わりにフラッシュメモリやメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクを有していても良い。また、地図情報DB31は外部のサーバに格納させ、ナビゲーション装置3が通信により取得する構成としても良い。
ここで、地図情報DB31は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ32、ノード点に関するノードデータ33、分岐点に関する分岐点データ34、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
また、リンクデータ32としては、道路ネットワークを構成する各リンクに関してリンクの属する道路の幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、ノード間のリンク形状(例えばカーブ道路ではカーブの形状)を特定する為の形状補完点データ、道路の車線数、車線毎の進行方向の通行区分、対向車線の有無(対面通行区間か否か)、中央分離帯の有無、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、高速道路と一般道(国道、県道、細街路等)を表すデータがそれぞれ記録される。
また、ノードデータ33としては、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)や各道路に曲率半径等に応じて所定の距離毎に設定されたノード点の座標(位置)、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクのリンク番号のリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ(高度)等に関するデータ等が記録される。
また、分岐点データ34としては、分岐点の交差点名称、分岐点を形成するノードを特定する該当ノード情報、分岐点に接続されるリンクを特定する接続リンク情報、分岐点に接続されるリンクに対応する方面名称、分岐点の形状を特定する情報等が記憶される。
また、上記分岐点データ34に含まれる分岐点の形状を特定する情報としては、特に交差点に対して接続される道路の本数に加えて、各道路が交差点に対してどの方向に接続されているか(接続方向)を特定する情報が含まれる。例えば図4に示すように5本の道路51~55が接続されている5差路の分岐点に関しては、一方向(例えば北方向)を基準にして道路51の角度θ1、道路52の角度θ2、道路53の角度θ3、道路54の角度θ4、道路55の角度θ5が夫々記憶されている。但し、道路の接続方向を特定する情報としては上記角度を特定する情報ではなく、例えば道路51~55の端点に位置するノードP1~P5の座標を記憶しても良い(分岐点の座標との比較によって道路の接続方向が特定可)。
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)15は、ナビゲーション装置3の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述の走行支援処理プログラム(図5)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションECU15は、処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、オブジェクト表示手段は、車両の進行方向前方に案内分岐点がある場合に、映像として案内分岐点における車両の退出方向を案内する為の案内オブジェクトを表示する。道路数取得手段は、案内分岐点において接続する道路数を取得する。
操作部16は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)を有する。そして、ナビゲーションECU15は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部16は液晶ディスプレイ17の前面に設けたタッチパネルを有していても良い。また、マイクと音声認識装置を有していても良い。
また、液晶ディスプレイ17には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの案内経路、案内経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、本実施形態では情報の表示手段としてフロントディスプレイ4を備えているので、上記地図画像等の表示をフロントディスプレイ4で行う構成とすれば液晶ディスプレイ17は省略しても良い。
また、スピーカ18は、ナビゲーションECU15からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。
また、DVDドライブ19は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB31の更新等が行われる。尚、DVDドライブ19に替えてメモリーカードを読み書きする為のカードスロットを設けても良い。
また、通信モジュール20は、交通情報センタ、例えば、VICSセンタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置3においてナビゲーションECU15が実行する走行支援処理プログラムについて図4に基づき説明する。図5は本実施形態に係る走行支援処理プログラムのフローチャートである。ここで、走行支援処理プログラムは車両のACC電源(accessory power supply)がONされた後に実行され、フロントディスプレイ4に表示された画像を車両周辺の風景(実景)に重畳して視認させることによって、車両の走行支援を行うプログラムである。尚、以下の図5、図7及び図14にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置3が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
以下の説明では案内オブジェクトを用いた車両の走行支援として、ナビゲーション装置3で設定された案内経路に沿った車両の走行案内を行う例について説明する。また、表示対象となる案内オブジェクトは、車両の進行方向前方にある案内分岐点における案内を行う為の案内情報とし、特に案内分岐点の退出方向を示す矢印を案内オブジェクトとして表示する場合の処理を例に挙げて説明する。但し、重畳画像表示装置1では案内オブジェクトを用いて上記走行支援以外の案内や情報提供を行うことも可能である。また、表示対象となる案内オブジェクトは、上記矢印以外の情報とすることも可能である。例えば、案内オブジェクトとして乗員に対して警告対象となる対象物(他車両、歩行者、案内標識)に対する警告、路面に表示する警告(追突注意、制限速度等)、次の案内分岐点までの距離、現在車速、シフト位置、エネルギ残量、広告画像、施設情報、案内標識、地図画像、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、接続されたスマートフォンの画面等を表示することも可能である。
先ず、走行支援処理プログラムでは、ステップ(以下、Sと略記する)1においてCPU41は、車両の現在位置を現在位置検出部13の検出結果や地図情報に基づいて特定する。尚、車両の現在位置を特定する際には、車両の現在位置を地図情報にマッチングさせるマップマッチング処理についても行う。その後、ナビゲーション装置3で設定されている案内経路を読み出し、特定された車両の現在位置から案内経路に沿った次の案内分岐点までの距離を算出する。尚、案内分岐点とは、ナビゲーション装置3に設定されている案内経路に従ってナビゲーション装置3が走行の案内を行う際に、右左折指示等の案内を行う対象となる分岐点(交差点)である。尚、右左折はしないが特殊な形状を有する分岐点(難交差点)も案内分岐点に該当する。
次に、S2においてCPU41は、前記S1で算出された次の案内分岐点までの距離が、所定の案内開始距離未満か否かを判定する。尚、案内開始距離は車両が走行する道路の道路種別によって決定され、例えば高速道路は500m、一般道は高速道路よりも短い100mとする。但し、案内開始距離は固定値でなく変動する値としても良い。例えば車両の走行速度に応じて設定しても良い。
そして、前記S1で算出された次の案内分岐点までの距離が案内開始距離未満であると判定された場合(S2:YES)には、S3へと移行する。それに対して、前記S1で算出された次の案内分岐点までの距離が案内開始距離未満でないと判定された場合(S2:NO)には、S1へと戻る。
S3においてCPU41は、前記S2において案内開始距離未満にあると判定された案内分岐点について地図情報DB31から分岐点データ34を読み出して当該案内分岐点に接続する道路数を取得し、案内分岐点に接続する道路数が5本以上(即ち案内分岐点が5差路以上)であるか否かを判定する。但し、前記S3の判定基準となる道路数は5本に限定されることなく、例えば4本や6本以上としても良い。
そして、案内分岐点に接続する道路数が5本以上(即ち案内分岐点が5差路以上)であると判定された場合(S3:YES)には、S4へと移行する。それに対して、案内分岐点に接続する道路数が5本未満(即ち案内分岐点が4差路以下)であると判定された場合(S3:NO)には、S5へと移行する。
S4においてCPU41は、後述の鋭角鈍角案内オブジェクト表示処理(図7)を行う。鋭角鈍角案内オブジェクト表示処理は、ナビゲーション装置3で現在設定されている案内経路や車両の現在位置に基づいて、フロントディスプレイ4に対して車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内を行う為の案内オブジェクトを表示する処理である。尚、特に鋭角鈍角案内オブジェクト表示処理では、案内分岐点がユーザにとって退出路の把握が難しい5差路以上の難交差点であることから、案内オブジェクトに対して特殊な回転処理を実施して表示することを行う。
一方、S5においてCPU41は、先ず前記S2において案内開始距離未満にあると判定された案内分岐点について地図情報DB31から分岐点データ34を読み出して当該案内分岐点に接続する道路の内、特に案内経路に従ってユーザが退出する道路の接続方向、即ち案内分岐点における退出方向αを特定する。例えば図4に示す5差路の分岐点においてユーザが退出する道路が道路51である場合には、案内分岐点における退出方向αを特定する情報として(絶対)角度θ1或いはノードP1と案内分岐点の座標が取得される。更に、図6に示すようにCPU41は案内分岐点61よりも30m手前の地点におけるリンク62の進行方向β(即ち案内分岐点よりも30m手前の地点に位置すると仮定した場合の車両の進行方向)についてリンクデータ32から取得する。尚、リンク62が直線形状でない場合については前後の形状保管点から進行方向βを算出する。その後、CPU41は案内分岐点61よりも30m手前の地点に位置するリンク62の進行方向βに対する案内分岐点61の退出方向αがなす角度を第1相対退出角(β-α)として算出し、第1相対退出角が40度~140度の間にあるか否かを判定する。但し、前記S5の判定基準となる角度は40度~140度に限定されることなく、例えば第1相対退出角が鋭角或いは鈍角に該当しないとみなされる角度であればよい。例えば60度~120度としても良い。
そして、第1相対退出角が40度~140度の間にあると判定された場合、即ち第1相対退出角が鋭角や鈍角ではないと判定された場合にはS7へと移行する。それに対して、第1相対退出角が40度~140度の間にないと判定された場合、即ち第1相対退出角が鋭角や鈍角であると判定された場合にはS6へと移行する。
S6においてCPU41は、図6に示すように案内経路に従ってユーザが案内分岐点61に進入する進入リンク63の案内分岐点61との接続点における角度γ(即ち案内分岐点の進入地点に位置すると仮定した場合の車両の進行方向(進入角))についてリンクデータ32から取得する。尚、進入リンク63が直線形状でない場合については前後の形状保管点から進入角γを算出する。その後、CPU41は案内分岐点61への進入角γに対する案内分岐点61の退出方向αがなす角度を第2相対退出角(γ―α)として算出し、第2相対退出角が40度~140度の間にあるか否かを判定する。但し、前記S6の判定基準となる角度は40度~140度に限定されることなく、例えば第2相対退出角が鋭角或いは鈍角に該当しないとみなされる角度であればよい。例えば60度~120度としても良い。
そして、第2相対退出角が40度~140度の間にあると判定された場合、即ち第2相対退出角が鋭角や鈍角ではないと判定された場合にはS7へと移行する。それに対して、第2相対退出角が鋭角や鈍角であると判定された場合にはS4へと移行する。S4でCPU41は、案内分岐点は5差路以上ではないがユーザにとって退出路の把握が難しい退出角が鋭角或いは鈍角となる難交差点であると判定し、案内オブジェクトに対して特殊な回転処理を実施して表示する後述の鋭角鈍角案内オブジェクト表示処理(図7)を行う。
一方、S7においてCPU41は、案内分岐点は5差路以上でなく、退出角が鋭角或いは鈍角でもないことから難交差点でないと判定し、後述の通常案内オブジェクト表示処理(図14)を行う。通常案内オブジェクト表示処理は、ナビゲーション装置3で現在設定されている案内経路や車両の現在位置に基づいて、フロントディスプレイ4に対して車両の進行方向前方にある案内分岐点に対する案内を行う為の案内オブジェクトを表示する処理である。尚、特に通常案内オブジェクト表示処理では、鋭角鈍角案内オブジェクト表示処理(図7)のような案内オブジェクトに対する特殊な回転処理などは行わず、従来通りの右方向を示す矢印や左方向を示す矢印を表示する。
即ち、本実施形態では案内分岐点が5差路以上である場合には、車両の進入方向や退出方向に関わらず鋭角鈍角案内オブジェクト表示処理(図7)による案内オブジェクトの表示が行われる。一方、案内分岐点が5差路未満である場合には、案内分岐点よりも30m手前の地点における車両の進入方向と案内分岐点における車両の退出方向との相対角である第1相対退出角が鋭角又は鈍角であり、且つ案内分岐点における車両の進入方向と退出方向との相対角である第2相対退出角が鋭角又は鈍角である場合には鋭角鈍角案内オブジェクト表示処理(図7)による案内オブジェクトの表示が行われ、それ以外では通常案内オブジェクト表示処理(図14)による案内オブジェクトの表示が行われる。
その後、S8においてCPU41は、現在位置検出部13の検出結果に基づいて車両の現在位置を特定するとともに車両が案内分岐点を通過したか否かが判定される。
そして、車両が案内分岐点を通過していないと判定された場合(S8:NO)には、S3へと戻り継続して鋭角鈍角案内オブジェクト表示処理或いは通常案内オブジェクト表示処理による案内オブジェクトの表示が行われる。それに対して、車両が案内分岐点を通過したと判定された場合(S8:YES)には、フロントディスプレイ4に対して制御信号を送信し、フロントディスプレイ4に表示されていた案内オブジェクトを非表示とする(S9)。尚、フロントディスプレイ4には次の案内分岐点が案内開始距離未満に接近するまで何も表示しないようにしても良いし、その間において道なりに進むことを示唆する直進矢印を表示しても良いし、車速や周辺の地図画像等の他の情報を表示するようにしても良い。
次に、前記S4において実行される鋭角鈍角案内オブジェクト表示処理のサブ処理について図7に基づき説明する。図7は鋭角鈍角案内オブジェクト表示処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
先ずS11においてCPU41は、案内オブジェクトによって案内対象とする車両の進行方向前方にある案内分岐点の座標を取得する。尚、案内分岐点の座標はナビゲーション装置3が有する地図情報から特定することとするが、フロントカメラ11で撮像した画像に対して画像認識処理を行うことにより特定しても良い。
続いて、S12においてCPU41は、車両の現在位置周辺(特に車両進行方向の前方)に対応した3次元空間(仮想空間)を生成する。尚、3次元空間には、道路以外に、建築物、道路標識などについてもモデリングしても良いし、道路のみをモデリングしても良い。或いは道路についてもモデリングしない地面のみがある単なる空白の3次元空間としても良い。また、3次元空間は予め3次元地図情報として地図情報DB31に格納しておき、前記S11では地図情報DB31から該当する自車位置周辺の3次元地図情報を読み出しても良い。また、フロントカメラ11で撮像した画像に基づいて3次元空間を生成しても良い。例えばフロントカメラ11で撮像した撮像画像に対して点群マッチングを行うことによって、道路や道路周辺にある構造物を検出し、3次元空間を生成することが可能である。
また、前記S12でCPU41は、現在位置検出部13で検出されたパラメータに基づいて、生成された3次元空間における自車両の現在位置及び方位についても特定する。尚、生成された3次元空間の補正を行う為にフロントカメラ11で撮像した撮像画像と3次元空間との比較を行う場合には、処理を容易化する為に自車両の現在位置は特に自車両に設置されたフロントカメラ11の設置位置とし、自車両の方位はフロントカメラ11の光軸方向とするのが望ましい。尚、自車両の位置は車両の乗員の位置、自車両の方位は車両の乗員の視線方向にも相当する。また、前記S12では前記S11で取得した案内分岐点の座標に基づいて、生成された3次元空間における案内分岐点の位置についても特定する。尚、図7に示す鋭角鈍角案内オブジェクト表示処理については、S8の条件を達成するまで繰り返し実行されるが、前記S12の3次元空間の生成については基本的に初回のみ行われる。但し、3次元空間内の自車両の現在位置や方位は自車両の移動に伴って適宜更新される。
次に、S13においてCPU41は、表示対象とする案内オブジェクトを生成する。尚、鋭角鈍角案内オブジェクト表示処理において最終的に表示対象となる案内オブジェクトは、案内分岐点の退出方向を示す2等辺三角形状を有する複数個(例えば5個)の矢印となる。但し、前記S13では先ず1の矢印からなる案内オブジェクト65のみを生成する。案内オブジェクト65の矢印の大きさは例えば縦2m横2mに設定する。また、案内オブジェクトは2次元ポリゴンとし、基本的に厚みは存在しないこととする。但し、厚みを持たせた3次元ポリゴンとしても良い。また、前記S13で生成される案内オブジェクト65の形状は適宜変更可能であり、車両の進路を示すことができる形状であれば矢印以外の形状であっても良い。
更に、前記S13においてCPU41は、生成された案内オブジェクト65を、前記S12で生成された3次元空間に対して配置する。尚、3次元空間に対して案内オブジェクト65を配置する位置は、図8に示すように3次元空間内の案内対象となる案内分岐点66に対応する位置であって、且つ案内分岐点における車両の進入方向(進入角)に対して垂直方向(即ち進入方向に対して正面を向く)で、更に、鉛直上方に矢印の先端が向くように配置(初期配置)される。従って、S13の時点では案内分岐点での退出方向に関わらず車両から見て上向きの矢印となる。また、配置する高さは路面から所定距離(例えば1m)だけ上方の位置(車両の乗員の目線の位置)とする。また、案内オブジェクト65が配置される位置は車両の現在位置に関わらず案内分岐点66に対して位置が固定される。即ち、車両からは案内分岐点に近づくにつれて徐々に案内オブジェクト65が近づくように視認される(視認されるサイズが大きくなる)こととなる。
次に、S14においてCPU41は、前記S13で生成されて3次元空間に配置された案内オブジェクト65を、案内分岐点における車両の進入方向及び退出方向に応じて回転させる。尚、回転角度は例えば以下の式(1)により算出される。
回転角度=atan(Y方向オフセット値/X方向オフセット値)×180/円周率・・・・(1)
尚、X方向とは案内分岐点の車両の進入方向に対して垂直且つ水平方向に設定された軸方向である。Y方向とは鉛直方向に設定された軸方向である。そして、X方向のオフセット値は、前記S13で生成された案内オブジェクト65である1個の矢印のX方向のサイズ(図8のx)である。Y方向のオフセット値は、前記S13で生成された案内オブジェクト65である1個の矢印のY方向のサイズ(図8のy)を用いて以下の式(2)により算出される。
Y方向のオフセット値=y×(90°-(退出方向の角度-進入方向の角度))/90°・・・・(2)
また、回転方向については案内分岐点における車両の進入方向と平行に設定された第1の回転軸を中心にROLL方向に回転される。その結果、図9に示すように車両の進入方向から見た案内オブジェクト65の矢印の指す向きが変化する。
続いて、S15においてCPU41は、前記S14でROLL方向に回転された案内オブジェクト65を、案内分岐点における車両の右左折方向に応じて更に第1の回転軸を中心にROLL方向に回転させる。尚、回転角度は右折であれば時計回りに90度(図8に示すROLL方向を正とすれば+90度)、左折であれば反時計回りに90度(図8に示すROLL方向を正とすれば-90度)とする。その結果、図9に示すように車両の進入方向から見た案内オブジェクト65の矢印の指す向きが更に変化する。
その後、S16においてCPU41は、前記S14及びS15でROLL方向に回転された案内オブジェクト65について、矢印の数を増加するようにする。具体的には5個の矢印となるように追加で4個の矢印を生成し、同じく前記S12で生成された3次元空間に対して配置する。尚、増加する矢印はいずれも元の矢印と同じ形状且つ同じ向きとし、3次元空間に対して配置する位置は、図10に示すように矢印の指す向きに所定間隔で一直線上に並べて配置する。
次に、S17においてCPU41は、3次元空間上に配置されている案内オブジェクト65の鉛直方向の位置(高さ)を、案内分岐点における車両の進入方向及び退出方向に応じて変位させる。変位させる量は例えば以下の式(3)、(4)により算出される。
変位量=y×オフセット係数・・・・(3)
オフセット係数=(90°-(退出方向の角度-進入方向の角度))/90°・・・・(4)
その結果、車両の進入方向から見た案内オブジェクト65の高さ方向の位置が変化する。
その後、S18においてCPU41は、前記S17で鉛直方向の位置を調整した複数個の矢印からなる案内オブジェクト65の全体を、案内分岐点における車両の旋回角度(案内分岐点における進入方向の角度と退出方向の角度の差分の絶対値)に応じて回転させる。尚、回転方向については案内分岐点における車両の進入方向に対して垂直且つ水平方向に設定された第2の回転軸を中心にPITCH方向に回転される。尚、回転角度は案内分岐点における車両の旋回角度が小さいほど大きい角度、即ちより奥側に矢印を大きく倒すようにし、例えば80度を上限とする。尚、仮に初期状態からPITCH方向に90度回転されると矢印は水平となる。その結果、旋回角度が小さい、即ち直進に近い奥側方向に退出する場合には矢印が倒れて遠くにあるように視認され、一方、旋回角度が大きい、即ちUターンに近い手前側に退出する場合には矢印が直立して近くにあるように視認されるので、直感的に退出路のある方向が把握しやすくなる。但し、逆に回転角度は案内分岐点における車両の旋回角度が大きいほど大きい角度としても良い。その結果、図11に示すように車両の進入方向から見た案内オブジェクト65の矢印の傾きが変化する。
続いて、S19においてCPU41は、前記S18でPITCH方向に回転された案内オブジェクト65の全体を、案内分岐点における車両の退出方向を指し示すように回転させる。尚、回転方向については鉛直方向(路面に対して垂直方向)に設定された第3の回転軸を中心にYOW方向に回転される。尚、回転角度は案内分岐点における車両の退出方向によって異なり、図12に示すように矢印が指し示す方向が案内分岐点における車両の退出方向と一致するまで回転させる。その結果、車両の進入方向から見た案内オブジェクト65の矢印の指す方向が変化する。
次に、S20においてCPU41は、前記S13~S19において案内オブジェクト65が配置された3次元空間において、現在の車両(乗員)の視点から車両の進行方向に視認した場合に視認される案内オブジェクト65の大きさ及び形状を、フロントディスプレイ4により表示対象とする案内オブジェクト65の大きさ及び形状として記憶する。特に車両の視点は車両の中心位置やフロントカメラ11の位置としても良いが、車両の乗員の目の位置とするのが望ましい。尚、乗員の目の位置については車内カメラ12によって検出することが可能である。ここで、前記S20で記憶される案内オブジェクト65の大きさ及び形状は、3次元空間に配置された案内オブジェクト65を現在の車両の乗員の視点から視認した際に視認できる案内オブジェクト65の大きさ及び形状である。
その後、S21においてCPU41は、フロントディスプレイ4において各案内オブジェクトを表示する位置(範囲)を決定する。具体的には以下の処理を行う。
先ず、CPU41は、車両の乗員の目の位置を車内カメラ12で撮像した撮像画像に基づいて検出する。次に、フロントディスプレイ4によって画像を投影する対象となるフロントガラス5の位置を取得する。尚、車両の乗員の目の位置やフロントガラス5の位置は3次元の位置座標で特定される。続いて、CPU41は、前記S13~S19で3次元空間に配置された案内オブジェクト65、即ちフロントディスプレイ4に表示対象となる案内オブジェクト65について風景に対して重畳する位置を取得する。鋭角鈍角案内オブジェクト表示処理では、前述したように案内分岐点の上方とする。
続いて、CPU41は、上記特定された車両の乗員の目の位置とフロントガラス5の位置と案内オブジェクトを重畳する位置とに基づいて、フロントガラス5における各案内オブジェクトの投影範囲を決定する。更に、決定された投影範囲からフロントディスプレイ4における案内オブジェクトの表示範囲についても決定する。尚、案内オブジェクトの表示範囲は、前記S20で記憶される大きさ及び形状を有する案内オブジェクトが、車両の乗員から予め決められた風景内の位置(案内分岐点の路面上方)に重畳して視認される範囲となる。
但し、前述したように案内オブジェクト65を風景に重畳して車両の乗員6に視認させることが可能な範囲(重畳可能範囲)は予め決められており(図2の範囲R)、前記S21では重畳可能範囲Rについて考慮してフロントディスプレイ4において案内オブジェクト65を表示する位置(範囲)を決定する。例えば前述したように案内オブジェクト65は案内分岐点の位置に重畳させるが、重畳可能範囲Rに案内分岐点が含まれる場合には原則通り案内分岐点に重畳する位置に案内オブジェクト65を表示する。一方で、重畳可能範囲Rに案内分岐点が含まれない場合には、重畳可能範囲R内であって案内分岐点に最も近い位置に重畳するように案内オブジェクト65を表示する。
続いて、S22においてCPU41は、フロントディスプレイ4に対して制御信号を送信し、フロントディスプレイ4に対して前記S20で記憶された形状の案内オブジェクトの画像を、前記S21で決定された表示範囲に表示する。その結果、車両の乗員に風景に重畳された案内オブジェクト(正確には案内オブジェクトの虚像)を視認させることが可能となる。具体的には、図13に示すように案内オブジェクト65の虚像は風景内の案内分岐点の位置(或いは案内分岐点にできる限り近い位置)に重畳して視認され、また、車両が案内分岐点に近づくにつれて(風景内の案内分岐点の位置が変化するにつれて)、案内オブジェクト65の虚像の表示位置も変化し、サイズは段階的に拡大することとなる。尚、車両が案内分岐点を通過するまで繰り返しS11~S22の処理が行われ、最終的には車両が案内分岐点を通過するのに伴い案内オブジェクト65の虚像は車両の後方へと移動し、非表示となる(S9)。
上記鋭角鈍角案内オブジェクト表示処理によって表示される案内オブジェクト65は、案内分岐点の車両の退出方向を指し示すとともに車両の進入方向に対する退出方向の相対角によって3次元空間上の3軸方向(ROLL、PITCH、YOW)で回転処理が行われる。それによって、回転処理後の案内オブジェクト65を視認したユーザは、案内分岐点における車両の進路(より具体的には案内分岐点において退出する道路)を直感的に把握可能となる。例えば、案内オブジェクト65の傾斜や矢印が指し示す方向によって退出すべき道路が奥側にあるのか手前側にあるのかを視覚的に把握可能となる。従って、近い角度で複数の道路が接続された案内分岐点であっても複数の道路の内から退出すべき道路を明確に乗員に認識させることが可能となる。
次に、前記S7において実行される通常案内オブジェクト表示処理のサブ処理について図14に基づき説明する。図14は通常案内オブジェクト表示処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
ここで、S31及びS32については、前述した鋭角鈍角案内オブジェクト表示処理(図7)のS11及びS12と同様の処理であるので説明は省略する。
次に、S33においてCPU41は、表示対象とする案内オブジェクトを生成する。尚、第2案内オブジェクト表示処理において表示対象となる案内オブジェクト65は、図15に示すように案内分岐点66の退出方向を示す2等辺三角形状を有する複数個(例えば5個)の矢印とする。案内オブジェクト65の1個当たりの矢印の大きさは例えばいずれも縦2m横2mに設定する。また、案内オブジェクトは2次元ポリゴンとし、基本的に厚みは存在しないこととする。但し、厚みを持たせた3次元ポリゴンとしても良い。また、前記S33で生成される案内オブジェクト65の形状は適宜変更可能であり、車両の進路を示すことができる形状であれば矢印以外の形状であっても良い。
更に、前記S33においてCPU41は、生成された案内オブジェクト65を、前記S32で生成された3次元空間に対して配置する。尚、3次元空間に対して案内オブジェクト65を配置する位置は、図15に示すように案内分岐点66の中央よりもやや奥側に車両の退出方向(図15に示す例では右方向)へと5個の矢印を所定間隔で並べて配置する。更に、案内分岐点66における車両の退出方向に矢印の先端が向くように配置される。従って、案内分岐点で右折する場合には車両から見て右向きの矢印となり、案内分岐点で左折する場合には車両から見て左向きの矢印となる。また、配置する高さは路面から所定距離(例えば1m)だけ上方の位置(車両の乗員の目線の位置)とする。また、案内オブジェクト65が配置される位置は車両の現在位置に関わらず案内分岐点66に対して位置が固定される。即ち、車両からは案内分岐点66に近づくにつれて徐々に案内オブジェクト65が近づくように視認されることとなる。その後、S34へと移行する。
以降のS34~S36については、前述した鋭角鈍角案内オブジェクト表示処理(図7)のS20~S22と同様の処理であるので説明は省略する。
そして、前記S34~S36の処理を行った結果、車両の乗員に風景に重畳された案内オブジェクト(正確には案内オブジェクトの虚像)を視認させることが可能となる。具体的には、図16に示すように案内オブジェクト65の虚像は風景内の案内分岐点の位置(或いは案内分岐点にできる限り近い位置)に重畳して視認され、また、車両が案内分岐点に近づくにつれて(風景内の案内分岐点の位置が変化するにつれて)、案内オブジェクト65の虚像の表示位置も変化し、サイズは段階的に拡大することとなる。尚、車両が案内分岐点を通過するまで繰り返しS31~S36の処理が行われ、最終的には車両が案内分岐点を通過するのに伴い案内オブジェクト65の虚像は車両の後方へと移動し、非表示となる(S9)。
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る重畳画像表示装置1及び重畳画像表示装置1で実行されるコンピュータプログラムによれば、車両の進行方向前方に案内分岐点がある場合に、案内分岐点において接続する道路数を取得し(S3)、案内分岐点において接続する道路数が閾値以上である場合には、案内分岐点における車両の進入方向と車両の退出方向とに基づいて表示対象となる案内オブジェクトを回転させる回転処理を実行し(S14~S19)、回転処理後の案内オブジェクトを表示することで、案内分岐点における車両の退出方向を案内する(S22、S32)ので、接続する道路数が閾値以上となる分岐点であっても、表示された案内オブジェクトによって退出路が直感的に分かりやすい案内が可能となる。更に、同じ方向に複数の道路が接続されていたとしても、複数の道路の内から退出路を明確にユーザに認識させることが可能となる。そして、車両が退出すべきでない退出路へと誤って退出してしまうことについて防止できる。
また、案内オブジェクトを回転させる回転処理として、案内分岐点における車両の進入方向と平行に設定された第1の回転軸を中心に表示対象となる案内オブジェクトを回転させる第1の回転処理(S14、S15)と、案内分岐点における車両の進入方向に対して垂直且つ水平方向に設定された第2の回転軸を中心に表示対象となる案内オブジェクトを回転させる第2の回転処理(S18)と、路面に対して垂直方向に設定された第3の回転軸を中心に表示対象となる案内オブジェクトを回転させる第3の回転処理(S19)と、の少なくとも一以上を実行し、各回転処理における回転量は案内分岐点における車両の進入方向と車両の退出方向とに基づいて決定されるので、3つの各回転軸で回転処理された案内オブジェクトを表示することで、退出路の方向に対応した表示態様で案内オブジェクトを表示することが可能となり、直感的に分かりやすい案内が可能となる。
また、3次元空間上で車両の進入方向に対して垂直方向となる向きに案内オブジェクトを配置し、3次元空間上に配置された案内オブジェクトに対して第1の回転処理(S14、S15)、第2の回転処理(S18)、第3の回転処理(S19)を順に実行し、回転処理後に案内分岐点における車両の進入方向から視認できる案内オブジェクトの形状で案内オブジェクトを表示する(S22)ので、3次元空間において3つの各回転軸で回転処理された案内オブジェクトを車両の位置から視認できる形状で表示することで、退出路の方向に対応した表示態様で案内オブジェクトを表示することが可能となり、直感的に分かりやすい案内が可能となる。
また、案内分岐点において接続する道路数が閾値未満である場合には、車両の進行方向と案内分岐点における車両の退出方向とのなす角度が鋭角鈍角の角度条件を満たす場合に、表示対象となる案内オブジェクトに対して回転処理(S14~S19)を実行し、回転処理後の案内オブジェクトを表示する(S22)ので、接続する道路数が閾値未満であっても退出角が鋭角や鈍角となる通過が困難なことが予想される分岐点について、表示された案内オブジェクトによって退出路が直感的に分かりやすい案内が可能となる。
また、案内分岐点よりも所定距離手前の地点における車両の進行方向と案内分岐点における車両の退出方向とのなす角度である第1相対退出角を算出する(S3)とともに、案内分岐点への進入地点における車両の進行方向と案内分岐点における車両の退出方向とのなす角度である第2相対退出角を算出し(S6)、案内分岐点において接続する道路数が閾値未満である場合には、第1相対退出角と第2相対退出角の両方が鋭角鈍角の角度条件を満たす場合に、表示対象となる案内オブジェクトに対して回転処理(S14~S19)を実行し、回転処理後の案内オブジェクトを表示する(S22)ので、接続する道路数が閾値未満であっても案内分岐点への進入時やそれより前の車両の進行方向に対して退出角が鋭角や鈍角となる通過が困難なことが予想される分岐点について、表示された案内オブジェクトによって退出路が直感的に分かりやすい案内が可能となる。
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば車両周辺の風景に重畳する画像を表示する手段として、本実施形態ではヘッドアップディスプレイシステムを用いているが、フロントガラス5を透過液晶ディスプレイとしてフロントガラス5に直接画像を表示しても良い。更に、後述のフロントカメラ11で撮像した車両周辺の風景を車内の液晶ディスプレイに表示し、同一の液晶ディスプレイ内において表示された風景に重畳する画像を表示することも可能である。その場合においても液晶ディスプレイに表示された画像は、HUDと同様に車両周辺の風景に重畳する画像となる。
また、本実施形態では、フロントディスプレイ4によって車両2のフロントガラス5の前方に虚像を生成する構成としているが、フロントガラス5以外のウィンドウの前方に虚像を生成する構成としても良い。また、フロントディスプレイ4により映像を反射させる対象はフロントガラス5自身ではなくフロントガラス5の周辺に設置されたバイザー(コンバイナー)であっても良い。
また、本実施形態では案内オブジェクトを回転させる回転処理として、案内分岐点における車両の進入方向と平行に設定された第1の回転軸を中心に表示対象となる案内オブジェクトを回転させる第1の回転処理(S14、S15)と、案内分岐点における車両の進入方向に対して垂直且つ水平方向に設定された第2の回転軸を中心に表示対象となる案内オブジェクトを回転させる第2の回転処理(S18)と、路面に対して垂直方向に設定された第3の回転軸を中心に表示対象となる案内オブジェクトを回転させる第3の回転処理(S19)とをそれぞれ実施しているが、上記回転処理の一部のみを行うようにしても良い。
また、本実施形態では、第1相対退出角と第2相対退出角の両方が鋭角鈍角の角度条件を満たす場合(S5:NO且つS6:NO)に、表示対象となる案内オブジェクトに対して回転処理(S14~S19)を実行しているが、第1相対退出角と第2相対退出角の一方が鋭角鈍角の角度条件を満たす場合(S5:NO又はS6:NO)に、表示対象となる案内オブジェクトに対して回転処理(S14~S19)を実行するようにしても良い。
また、本実施形態では、案内オブジェクトを用いて案内分岐点の案内を行っているが、案内オブジェクトにより案内対象とする地点は案内分岐点に限られることなく、例えば車線減少地点や合流区間等の車両の乗員に注意を促す他の地点としても良い。また、案内対象地点の種類によって表示する案内オブジェクトの内容を変更するのが望ましい。
また、本実施形態では、走行支援処理プログラム(図5)の処理をナビゲーション装置3のナビゲーションECU15が実行する構成としているが、実行主体は適宜変更することが可能である。例えば、フロントディスプレイ4の制御部、車両制御ECU、その他の車載器が実行する構成としても良い。
1…重畳画像表示装置、2…車両、3…ナビゲーション装置、4…フロントディスプレイ、5…フロントガラス、6…乗員、15…ナビゲーションECU、41…CPU、42…RAM、43…ROM、65…案内オブジェクト、66…案内分岐点

Claims (4)

  1. 車両に搭載され、前記車両の乗員へ情報を案内する案内オブジェクトを、前記車両周辺の風景に重畳して視認させる重畳画像表示装置であって、
    車両の進行方向前方に案内分岐点がある場合に、前記案内分岐点における車両の退出方向を案内する為の案内オブジェクトを表示するオブジェクト表示手段と、
    前記案内分岐点において接続する道路数を取得する道路数取得手段と、を有し、
    前記オブジェクト表示手段は、
    前記案内分岐点において接続する道路数が閾値以上である場合には、案内分岐点における車両の進入方向と車両の退出方向とに基づいて表示対象となる前記案内オブジェクトを回転させる回転処理を実行し、前記回転処理後の前記案内オブジェクトを表示する重畳画像表示装置。
  2. 前記オブジェクト表示手段は、前記回転処理として、
    前記案内分岐点における車両の進入方向と平行に設定された第1の回転軸を中心に表示対象となる前記案内オブジェクトを回転させる第1の回転処理と、
    前記案内分岐点における車両の進入方向に対して垂直且つ水平方向に設定された第2の回転軸を中心に表示対象となる前記案内オブジェクトを回転させる第2の回転処理と、
    路面に対して垂直方向に設定された第3の回転軸を中心に表示対象となる前記案内オブジェクトを回転させる第3の回転処理と、の少なくとも一以上を実行し、
    各回転処理における回転量は案内分岐点における車両の進入方向と車両の退出方向とに基づいて決定される請求項1に記載の重畳画像表示装置。
  3. 前記オブジェクト表示手段は、
    3次元空間上で前記車両の進入方向に対して垂直方向となる向きに前記案内オブジェクトを配置し、
    3次元空間上に配置された前記案内オブジェクトに対して前記第1の回転処理、前記第2の回転処理、前記第3の回転処理を順に実行し、
    前記回転処理後に前記案内分岐点における車両の進入方向から視認できる前記案内オブジェクトの形状で前記案内オブジェクトを表示する請求項2に記載の重畳画像表示装置。
  4. 前記オブジェクト表示手段は、
    前記案内分岐点において接続する道路数が閾値未満である場合には、車両の進行方向と案内分岐点における車両の退出方向とのなす角度が所定の角度条件を満たす場合に、表示対象となる前記案内オブジェクトに対して前記回転処理を実行し、前記回転処理後の前記案内オブジェクトを表示する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の重畳画像表示装置。
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