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JP2024151691A - 制振システム - Google Patents

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JP2024151691A JP2023065238A JP2023065238A JP2024151691A JP 2024151691 A JP2024151691 A JP 2024151691A JP 2023065238 A JP2023065238 A JP 2023065238A JP 2023065238 A JP2023065238 A JP 2023065238A JP 2024151691 A JP2024151691 A JP 2024151691A
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圭一 長屋
寛之 木村
康正 鈴井
寛 平田
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Obayashi Corp
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Obayashi Corp
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Abstract

【課題】小地震から優れた制震効果を発揮し易く、かつ、メンテナンスの負担を軽減し易い制振システムを提供する。【解決手段】架構2内に、所定方向に軸プレストレスを導入した第一線材3aと、前記所定方向と交差する交差軸方向に軸プレストレスを導入した第二線材3bを有し、第一線材3aと第二線材3bは、圧縮力を負担せず、履歴型かつ原点復帰型の制振装置4を備える制振システム1。【選択図】図1

Description

本発明は制振システムに関する。
架構内に履歴型(変位依存型)(例えば特許文献1~2参照)又は速度依存型(例えば特許文献2~3参照)の制振装置を備える制振システムが知られている。履歴型の制振装置に軸プレストレスを導入する技術も知られている(例えば特許文献1~2参照)。
特開2011-6903号公報 特開2002-194917号公報 特開2022-107290号公報
制振システムは、小地震から優れた制震効果を発揮し易く、かつ、メンテナンスの負担を軽減し易いことが望ましい。
本発明の目的は、小地震から優れた制震効果を発揮し易く、かつ、メンテナンスの負担を軽減し易い制振システムを提供することにある。
本発明の一態様は以下のとおりである。
[1]
架構内に、所定方向に軸プレストレスを導入した第一線材と、前記所定方向と交差する交差軸方向に軸プレストレスを導入した第二線材を有し、前記第一線材と前記第二線材は、圧縮力を負担せず、履歴型かつ原点復帰型の制振装置を備える制振システム。
[2]
前記制振装置は、前記第一線材の前記軸プレストレスの導入が前記第一線材の弾性領域への戻り点Fdと降伏点Fuの中間点Fmまでは、前記第一線材の初期の前記軸プレストレスと地震後の残留張力がほぼ等しく、前記第二線材の前記軸プレストレスの導入が前記第二線材の弾性領域への戻り点Fdと降伏点Fuの中間点Fmまでは、前記第二線材の初期の前記軸プレストレスと地震後の残留張力がほぼ等しい、[1]に記載の制振システム。
[3]
前記制振装置は、前記第一線材の前記軸プレストレスの導入が前記第一線材の弾性領域への戻り点Fdと降伏点Fuの中間点Fmを超えた範囲においては、地震後の前記第一線材の残留張力が前記中間点とほぼ等しく、前記第二線材の前記軸プレストレスの導入が前記第二線材の弾性領域への戻り点Fdと降伏点Fuの中間点Fmを超えた範囲においては、地震後の前記第二線材の残留張力が前記中間点Fmとほぼ等しい、[1]又は[2]に記載の制振システム。
[4]
前記制振装置は、前記第一線材の前記軸プレストレスを受ける超弾性合金による第一弾塑性ダンパーと、前記第二線材の前記軸プレストレスを受ける超弾性合金による第二弾塑性ダンパーを有する、[1]~[3]の何れか1項に記載の制振システム。
[5]
前記第一線材の前記軸プレストレスの導入は、前記第一線材の弾性領域への戻り点Fdと降伏点Fuの中間点Fm以上、降伏点Fu未満の範囲であり、前記第二線材の前記軸プレストレスの導入は、前記第二線材の弾性領域への戻り点Fdと降伏点Fuの中間点Fm以上、降伏点Fu未満の範囲である、[1]~[4]の何れか1項に記載の制振システム。
本発明によれば、小地震から優れた制震効果を発揮し易く、かつ、メンテナンスの負担を軽減し易い制振システムを提供することができる。
本発明の一実施形態の制振システムを示す斜視図である。 本発明の他の実施形態の制振システムを示す斜視図である。 本発明の他の実施形態の制振システムを示す模式図である。 本発明の他の実施形態の制振システムを示す模式図である。 本発明の他の実施形態の制振システムを示す模式図である。 第一線材の軸プレストレスを受ける第一ダンパーの荷重-変形特性図である。 (a)は第一線材の取り付け構造の一例を示す平面図であり、(b)は第一線材の取り付け構造の他の一例を示す平面図である。 (a)はプレストレスを導入しない場合の第一摩擦ダンパーと第二摩擦ダンパーのそれぞれのせん断力-変位特性図(解析結果)であり、(b)は(a)の場合の第一摩擦ダンパーと第二摩擦ダンパーを合わせた制震装置のせん断力-変位特性図(解析結果)である。 (a)はプレストレスを戻り点Fdと降伏点Fuの中間点Fm付近まで導入した場合の第一摩擦ダンパーと第二摩擦ダンパーのそれぞれのせん断力-変位特性図(解析結果)であり、(b)は(a)の場合の第一摩擦ダンパーと第二摩擦ダンパーを合わせた制震装置のせん断力-変位特性図(解析結果)である。 (a)はプレストレスを降伏点Fu付近まで導入した場合の第一摩擦ダンパーと第二摩擦ダンパーのそれぞれのせん断力-変位特性図(解析結果)であり、(b)は(a)の場合の第一摩擦ダンパーと第二摩擦ダンパーを合わせた制震装置のせん断力-変位特性図(解析結果)である。 主架構の剛性をゼロとした場合の導入したプレストレス(プレテンション)と残留軸力の関係(解析結果)を示すグラフである。 主架構の剛性を第一線材の水平剛性(片効き時)の4倍の値とした場合の導入したプレストレス(プレテンション)と残留軸力の関係(解析結果)を示すグラフである。 制震装置の除荷時の荷重の釣り合いを計算する際の前提とした検討モデルを示す説明図である。 (a)はプレストレスを戻り点Fdまで導入した場合の制震装置の除荷時の荷重の釣り合いを計算するために検討した主架構のせん断力-変位特性図を示し、(b)は(a)の計算のために検討した第二摩擦ダンパー(ブレース2)のせん断力-変位特性図を示し、(c)は(a)の計算のために検討した第一摩擦ダンパー(ブレース1)のせん断力-変位特性図を示す。 (a)はプレストレスを戻り点Fdと降伏点Fuの中間点Fmまで導入した場合の制震装置の除荷時の荷重の釣り合いを計算するために検討した主架構のせん断力-変位特性図を示し、(b)は(a)の計算のために検討した第二摩擦ダンパー(ブレース2)のせん断力-変位特性図を示し、(c)は(a)の計算のために検討した第一摩擦ダンパー(ブレース1)のせん断力-変位特性図を示す。 (a)は図15の計算の対象となる除荷の一例における主架構のせん断力と変位の変化を示し、(b)は(a)の除荷の一例における第二摩擦ダンパー(ブレース2)のせん断力と変位の変化を示し、(c)は(a)の除荷の一例における第一摩擦ダンパー(ブレース1)のせん断力と変位の変化を示す。 (a)はプレストレスを降伏点Fuまで導入した場合の制震装置の除荷時の荷重の釣り合いを計算するために検討した主架構のせん断力-変位特性図を示し、(b)は(a)の計算のために検討した第二摩擦ダンパー(ブレース2)のせん断力-変位特性図を示し、(c)は(a)の計算のために検討した第一摩擦ダンパー(ブレース1)のせん断力-変位特性図を示す。 (a)は図17の計算の対象となる除荷の一例における主架構のせん断力と変位の変化を示し、(b)は(a)の除荷の一例における第二摩擦ダンパー(ブレース2)のせん断力と変位の変化を示し、(c)は(a)の除荷の一例における第一摩擦ダンパー(ブレース1)のせん断力と変位の変化を示す。 (a)はプレストレスを降伏点Fuの100%まで導入した場合の残留軸力と応答最大層間変位の関係について計算値と解析値の比較結果を示すグラフであり、(b)は(a)の場合の残留軸力とブレース方向残留変位の関係について計算値と解析値の比較結果を示すグラフである。 (a)はプレストレスを降伏点Fuの75%まで導入した場合の残留軸力と応答最大層間変位の関係について計算値と解析値の比較結果を示すグラフであり、(b)は(a)の場合の残留軸力とブレース方向残留変位の関係について計算値と解析値の比較結果を示すグラフである。 (a)はプレストレスを降伏点Fuの60%まで導入した場合の残留軸力と応答最大層間変位の関係について計算値と解析値の比較結果を示すグラフであり、(b)は(a)の場合の残留軸力とブレース方向残留変位の関係について計算値と解析値の比較結果を示すグラフである。 (a)はプレストレスを降伏点Fuの50%まで導入した場合の残留軸力と応答最大層間変位の関係について計算値と解析値の比較結果を示すグラフであり、(b)は(a)の場合の残留軸力とブレース方向残留変位の関係について計算値と解析値の比較結果を示すグラフである。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を例示説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態において制振システム1は、架構2内に、所定方向に軸プレストレス(つまり軸プレテンション)を導入した第一線材3aと、前記所定方向と交差する交差軸方向に軸プレストレス(つまり軸プレテンション)を導入した第二線材3bを有し、第一線材3aと第二線材3bは、圧縮力を負担せず、履歴型かつ原点復帰型の制振装置4を備える。
第一線材3aと第二線材3bはそれぞれ、図1に示すように引張ブレースによって構成される。なお、第一線材3aと第二線材3bはそれぞれ、引張ブレースによる構成に限らない。
第一線材3aと第二線材3bは、図1に示すように主架構5の共通の鉛直面内の構造体に対して設けてもよいし、図2に示すように主架構5の別々の鉛直面内の構造体に対して設けてもよい。図1に示す主架構5は、2つの柱6とこれらの上端部を連ねる梁7によって構成される。
第一線材3aと第二線材3bはそれぞれ、図1に示すように主架構5の単一層に跨るように設けてもよいし、図3、図4に示すように主架構5の複数層に跨るように設けてもよい。
第一線材3aと第二線材3bはそれぞれ、図1、図2及び図3に示すように主架構5の内側に設けてもよいし、図4に示すように主架構5の外側に設けてもよい。
第一線材3aと第二線材3bはそれぞれ、図5に示すように主架構5に対してトグル機構を構成するように設けてもよい。トグル機構によれば、地震時に第一線材3aと第二線材3bに荷重を増幅して伝えることができるので、効率的にエネルギーを吸収し易くすることができる。図5に示すトグル機構は、2つの柱6とこれらの上端を連ねる1つの梁7によって構成されるラーメン構造の内側に一方の対角方向に連ねて設けられる2つのブレース8と、これらのブレース8の互いの連結部に他方の対角方向に連ねて設けられる第一線材3a又は第二線材3bによって構成される。なお、トグル機構以外の荷重増幅機構を用いてもよい。
履歴型かつ原点復帰型の制振装置4は、図1に示すように、第一線材3aの軸プレストレスを受ける第一ダンパー4aと、第二線材3bの軸プレストレスを受ける第二ダンパー4bを有する。
第一ダンパー4aは、図6に示すような荷重-変形特性を有する。すなわち、第一ダンパー4aは、引張荷重を加えると、図6に示すように降伏点Fuまでの第一弾性領域において応力と変形が線形的に増加し、降伏点Fuを超えると見かけの降伏によって応力の変化が抑制されつつ変形だけが増加し、与えた荷重を取り除くと、第二弾性領域において応力と変形が第一弾性領域と同様の勾配で線形的に減少し、当該減少がある程度に達すると、応力の変化が抑制されつつ変形だけが減少し、第一弾性領域への戻り点Fdを経由して原点(元の形状)に復帰する。第二ダンパー4bは、第一ダンパー4aと同様の荷重-変形特性を有する。
第一ダンパー4aの具体例は、超弾性合金による第一弾塑性ダンパーである。第二ダンパー4bの具体例は、超弾性合金による第二弾塑性ダンパーである。つまり、制振装置4の具体例は、第一線材3aの軸プレストレスを受ける超弾性合金による第一弾塑性ダンパーと、第二線材3bの軸プレストレスを受ける超弾性合金による第二弾塑性ダンパーを有する。超弾性合金による弾塑性ダンパーによれば、図6に示すような履歴型かつ原点復帰型の荷重-変形特性を得ることができる。すなわち、超弾性合金を用いることにより、第一ダンパー4aとしての第一弾塑性ダンパーを履歴型かつ原点復帰型のダンパーとして形成できる。また、超弾性合金を用いることにより、第二ダンパー4bとしての第二弾塑性ダンパーを履歴型かつ原点復帰型のダンパーとして形成できる。なお、通常の金属材料では弾性限界以下の変形は除荷すれば元に戻るが、変形が弾性限界を超えさらに降伏点を超えると、塑性変形分が残留して永久変形となる。これに対し、超弾性合金は降伏領域まで変形後、除荷すると変形が実質的にゼロの状態まで復帰する。超弾性合金のうち一般的に実用的な合金は例えば、Ti-Ni合金や、Cu系合金のうちの、Cu-Ni-Al合金、Cu-Zn-Al合金などである。
第一線材3aを主架構5に取り付けるための取り付け構造12は適宜設定できる。例えば、当該取り付け構造12は、図7(a)に示すように、第一線材3aに圧縮力を作用させないように第一取り付けナット12aと第二取り付けナット12bを配置する構成としてもよいし、図7(b)に示すように、第一線材3aを弾性座屈させて圧縮力を制御するように第一取り付けナット12aと第二取り付けナット12bを配置する構成としてもよい。同様に、第二線材3bを主架構5に取り付けるための取り付け構造12は適宜設定できる。
上記のような、第一線材3aと第二線材3bは、圧縮力を負担せず、履歴型かつ原点復帰型の制振装置4を備える構成によれば、制震材料の降伏耐力に対するプレストレス量を調整することにより、降伏点Fuを超えた変形の経験後(地震後)にも、プレストレス導入による制震効果を得易くできる。また、上記構成によれば、地震後にも制震装置に一定量の残留張力を保持させ易くできるため、安定した履歴ループによる安定したエネルギー吸収性能を得易くできる。したがって上記構成によれば、小地震から優れた制震効果を発揮し易く、かつ、メンテナンスの負担を軽減し易くできる。
また制振装置4は、図8、図9、図11及び図12に示すように、第一線材3aの軸プレストレスの導入が第一線材3aの弾性領域への戻り点Fdと降伏点Fuの中間点Fmまでは、第一線材3aの初期の軸プレストレスと地震後の残留張力がほぼ等しく、第二線材3bの軸プレストレスの導入が第二線材3bの弾性領域への戻り点Fdと降伏点Fuの中間点Fmまでは、第二線材3bの初期の軸プレストレスと地震後の残留張力がほぼ等しい。なお、「ほぼ等しい」とは、20%程度までの誤差を許容することを意味する。
更に制振装置4は、図10~図12に示すように、第一線材3aの軸プレストレスの導入が第一線材3aの弾性領域への戻り点Fdと降伏点Fuの中間点Fmを超えた範囲においては、地震後の第一線材3aの残留張力が中間点とほぼ等しく、第二線材3bの前記軸プレストレスの導入が第二線材3bの弾性領域への戻り点Fdと降伏点Fuの中間点Fmを超えた範囲においては、地震後の第二線材3bの残留張力が中間点Fmとほぼ等しい。
したがって、第一線材3aの軸プレストレスの導入は、第一線材3aの弾性領域への戻り点Fdと降伏点Fuの中間点Fm以上、降伏点Fu未満の範囲であり、第二線材3bの軸プレストレスの導入は、第二線材3bの弾性領域への戻り点Fdと降伏点Fuの中間点Fm以上、降伏点Fu未満の範囲であることが好ましい。
また、第一線材3aの軸プレストレスの導入は、第一線材3aの弾性領域への戻り点Fdと降伏点Fuの中間点Fm以上かつ前記中間点Fm付近であり、第二線材3bの軸プレストレスの導入は、第二線材3bの弾性領域への戻り点Fdと降伏点Fuの中間点Fm以上かつ前記中間点Fm付近であることがより好ましい。
上記構成によれば、初期のプレストレスと地震後の残留張力をほぼ等しくし易いため、メンテナンスの負担をより一層軽減し易くできる。また上記構成によれば、前記中間点Fmを超える大きなプレストレスによりエネルギー吸収を早期に開始し易くできるため、小地震から優れた制震効果をより一層発揮し易くできる。
本発明は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
したがって、前述した実施形態の制振システム1は、架構2内に、所定方向に軸プレストレスを導入した第一線材3aと、前記所定方向と交差する交差軸方向に軸プレストレスを導入した第二線材3bを有し、第一線材3aと第二線材3bは、圧縮力を負担せず、履歴型かつ原点復帰型の制振装置4を備える制振システム1である限り変更可能である。
図13に示す検討モデルを用いて、制震装置の除荷時の荷重の釣り合いを計算した。静的な荷重の釣り合いから、除荷時に最終的に復元力が釣り合う点の集合(つまり、生じ得る残留張力の範囲)を算出した。
図14(a)はプレストレスを戻り点Fdまで導入した場合の制震装置の除荷時の荷重の釣り合いを計算するために検討した主架構のせん断力-変位特性図を示し、図14(b)は図14(a)の計算のために検討した第二摩擦ダンパー(ブレース2)のせん断力-変位特性図を示し、図14(c)は図14(a)の計算のために検討した第一摩擦ダンパー(ブレース1)のせん断力-変位特性図を示す。図14(a)では、主架構の剛性(架構剛性ともいう)がある場合とない場合の両方を示すが、これ以降の図面では、架構剛性がない場合のみを示す。架構剛性がある場合は、生じ得る残留張力の範囲(残留変形、軸力減少)が小さくなる。図中の○(白丸)は地震応答が終了し、慣性力がなくなった時点を示す。図中の太線(又は黒丸)の範囲は、最終的に復元力が釣合う(Q=Qb1+Qb2+Qf=0となる)点の集合を示す。
図15(a)はプレストレスを戻り点Fdと降伏点Fuの中間点Fmまで導入した場合(Qd’≦Qd0≦(Qd+Qd’)/2の場合)の制震装置の除荷時の荷重の釣り合いを計算するために検討した主架構のせん断力-変位特性図を示し、図15(b)は図15(a)の計算のために検討した第二摩擦ダンパー(ブレース2)のせん断力-変位特性図を示し、図15(c)は図15(a)の計算のために検討した第一摩擦ダンパー(ブレース1)のせん断力-変位特性図を示す。図16(a)は図15の計算の対象となる除荷の一例(白丸から太線への移行の一例)における主架構のせん断力と変位の変化を示し、図16(b)は図16(a)の除荷の一例における第二摩擦ダンパー(ブレース2)のせん断力と変位の変化を示し、図16(c)は図16(a)の除荷の一例における第一摩擦ダンパー(ブレース1)のせん断力と変位の変化を示す。
以下の連立方程式からΔ1を求め、Qde1、Qde2を求めた。
Qde1=Qd0-Kd1Δ1
Qde1=Qd’+Kd2(2Δ1+(Qde1-Qd’)/Kd1)
Qde2=Qd0
Δ1算出の計算式を以下に示す。
Qde1=Qd0-Kd1Δ1
Qde1=Qd’+Kd2(2Δ1+(Qde1-Qd’)/Kd1)

(Kd2/Kd1+1)Qde1=Qd’+Kd2/Kd1Qd’-Kd21

(Kd2/Kd1+1)(Qd0-Kd1Δ1)=(Kd2/Kd1+1)Qd’-Kd21

(Kd2/Kd1+1)Qd0-(Kd2+Kd11
=(Kd2/Kd1+1)Qd’-Kd21

(Kd2/Kd1+1)(Qd0-Qd’)=(Kd1-Kd21

Δ1=(Qd0-Qd’)(Kd2/Kd1+1)/(Kd1-Kd2)
したがって、方程式の解は次のとおりとなる。
Qde1=((2Kd2)Qd0+(Kd2+Kd1)Qd’)/(Kd1-Kd2)
Qde2=Qd0
図17(a)はプレストレスを降伏点Fuまで導入した場合((Qd+Qd’)/2<Qd0≦Qdの場合)の制震装置の除荷時の荷重の釣り合いを計算するために検討した主架構のせん断力-変位特性図を示し、図17(b)は図17(a)の計算のために検討した第二摩擦ダンパー(ブレース2)のせん断力-変位特性図を示し、図17(c)は図17(a)の計算のために検討した第一摩擦ダンパー(ブレース1)のせん断力-変位特性図を示す。図18(a)は図17の計算の対象となる除荷の一例(白丸から太線への移行の一例)における主架構のせん断力と変位の変化を示し、図18(b)は図18(a)の除荷の一例における第二摩擦ダンパー(ブレース2)のせん断力と変位の変化を示し、図18(c)は図18(a)の除荷の一例における第一摩擦ダンパー(ブレース1)のせん断力と変位の変化を示す。
以下の連立方程式からΔ1、Δ2、Qde1、Qde2を求めた。
Qde1=Qd0-Kd1Δ1
Qde1=Qd’+Kd2(2Δ1+(Qde1-Qd’)/Kd1)
Qde2=(Qd+Qd’)/2
Δ2=(Qd-Qde2)/Kd1

Δ1=(Qd0-Qd’)(Kd2/Kd1+1)/(Kd1-Kd2)
したがって、方程式の解は次のとおりとなる。
Qde1=((2Kd2)Qd0+(Kd2+Kd1)Qd’)/(Kd1-Kd2)
Qde2=(Qd+Qd’)/2
図19(a)はプレストレスを降伏点Fuの100%まで導入した場合の残留軸力と応答最大層間変位の関係について計算値と解析値の比較結果を示すグラフであり、図19(b)は図19(a)の場合の残留軸力とブレース方向残留変位の関係について計算値と解析値の比較結果を示すグラフである。同様に、図20は75%の場合、図21(a)は60%の場合、図22は50%の場合をそれぞれ示す。
計算と解析において、Qd、Qd’、Kd1、Kd2の値は次のとおりとした。
Qd=165(kN)×cosθ
Qd’=33(kN)×cosθ
Kd1=34.2(kN/mm)×cosθ
Kd2=1.6(kN/mm)×cosθ
図19~図22に示すように、計算値と解析値はほぼ一致した。
1 制振システム
2 架構
3a 第一線材
3b 第二線材
4 制振装置
4a 第一ダンパー
4b 第二ダンパー
5 主架構
6 柱
7 梁
8 ブレース
12 取り付け構造
12a 第一取り付けナット
12b 第二取り付けナット

Claims (5)

  1. 架構内に、所定方向に軸プレストレスを導入した第一線材と、前記所定方向と交差する交差軸方向に軸プレストレスを導入した第二線材を有し、前記第一線材と前記第二線材は、圧縮力を負担せず、履歴型かつ原点復帰型の制振装置を備える制振システム。
  2. 前記制振装置は、前記第一線材の前記軸プレストレスの導入が前記第一線材の弾性領域への戻り点Fdと降伏点Fuの中間点Fmまでは、前記第一線材の初期の前記軸プレストレスと地震後の残留張力がほぼ等しく、前記第二線材の前記軸プレストレスの導入が前記第二線材の弾性領域への戻り点Fdと降伏点Fuの中間点Fmまでは、前記第二線材の初期の前記軸プレストレスと地震後の残留張力がほぼ等しい、請求項1に記載の制振システム。
  3. 前記制振装置は、前記第一線材の前記軸プレストレスの導入が前記第一線材の弾性領域への戻り点Fdと降伏点Fuの中間点Fmを超えた範囲においては、地震後の前記第一線材の残留張力が前記中間点とほぼ等しく、前記第二線材の前記軸プレストレスの導入が前記第二線材の弾性領域への戻り点Fdと降伏点Fuの中間点Fmを超えた範囲においては、地震後の前記第二線材の残留張力が前記中間点Fmとほぼ等しい、請求項1に記載の制振システム。
  4. 前記制振装置は、前記第一線材の前記軸プレストレスを受ける超弾性合金による第一弾塑性ダンパーと、前記第二線材の前記軸プレストレスを受ける超弾性合金による第二弾塑性ダンパーを有する、請求項1に記載の制振システム。
  5. 前記第一線材の前記軸プレストレスの導入は、前記第一線材の弾性領域への戻り点Fdと降伏点Fuの中間点Fm以上、降伏点Fu未満の範囲であり、前記第二線材の前記軸プレストレスの導入は、前記第二線材の弾性領域への戻り点Fdと降伏点Fuの中間点Fm以上、降伏点Fu未満の範囲である、請求項1~4の何れか1項に記載の制振システム。
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