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JP2024083692A - 交流回転電機の制御装置 - Google Patents

交流回転電機の制御装置 Download PDF

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JP2024083692A
JP2024083692A JP2022197635A JP2022197635A JP2024083692A JP 2024083692 A JP2024083692 A JP 2024083692A JP 2022197635 A JP2022197635 A JP 2022197635A JP 2022197635 A JP2022197635 A JP 2022197635A JP 2024083692 A JP2024083692 A JP 2024083692A
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祐也 土本
Yuya TSUCHIMOTO
大介 佐藤
Daisuke Sato
信吾 原田
Shingo Harada
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Abstract

【課題】電流指令値を設定する設定データのデータ量を低減すると共に、誤差要因に対して、トルク及び変調率の制御精度を確保できる交流回転電機の制御装置を提供する。【解決手段】回転速度の検出値と直流電圧との比率である速度電圧比率の検出値を演算し、変調率指令値と実変調率との偏差に基づいて速度電圧比率の検出値を補正して、補正後の速度電圧比率を演算し、トルク指令値と、速度電圧比率と、電流指令値と関係が予め設定された電流指令値設定データを参照し、現在のトルク指令値と、補正後の速度電圧比率に対応する電流指令値を演算する交流回転電機の制御装置。【選択図】図4

Description

本願は、交流回転電機の制御装置に関するものである。
交流回転電機は、回転速度が高いほど誘起電圧が大きくなり、電圧指令値の実効値が大きくなるが、インバータに供給される直流電圧の制約により電圧飽和が生じる。電圧飽和が生じると、所望の電流を通電することができず、出力トルクが低下する。また、直流電圧が低いほど、電圧飽和が生じやすい。
そのため、特許文献1及び特許文献2の技術では、トルク指令値と回転速度と直流電圧に基づいて電流指令値を演算することで、電圧飽和を回避できるような電流指令値を演算し、所望のトルクを出力している。
また、特許文献2及び特許文献3の技術では、電圧指令値の実効値、及び電圧指令値の実効値から演算される変調率に基づいて、電流指令値を演算することで、パラメータ誤差、又は電圧誤差などの誤差要因に対してロバストな制御を行っている。
特許第6289545号 特許第6244379号 国際公開2008/152929号
トルク指令値と、回転速度と、直流電圧と、電流指令値との関係が予め設定されたマップデータを参照して、電流指令値を演算し、電流指令値に対して、変調率指令値と実変調率との偏差が小さくなるように、弱め磁束制御を行って電流指令値を補正する手法が考えられる。例えば、特許文献1と特許文献3を組み合わせたような手法である。しかしながら、マップデータを参照して電流指令値を演算した後に、電流指令値が調整されるので、マップデータを参照し、トルク指令値に応じて演算された電圧指令値から変化するので、トルク指令値通りのトルクを出力することができない。
これに対し、特許文献2では、マップデータの前段で、変調率に応じて直流電圧を補正しているため、トルク指令値通りのトルクを出力することができるが、マップデータは、トルク指令値と回転速度と直流電圧との3つを入力とするため、データ量が大きくなるという課題があった。
そこで、本願は、電流指令値を設定する設定データのデータ量を低減すると共に、バラツキ要因又は誤差要因に対して、トルク及び変調率の制御精度を確保できる交流回転電機の制御装置を提供することを目的とする。
本願に係る交流回転電機の制御装置は、電機子巻線を有する交流回転電機を、インバータを介して制御する交流回転電機の制御装置であって、
トルク指令値、前記交流回転電機の回転速度の検出値、及び前記インバータに供給される直流電圧に基づいて電流指令値を演算する電流指令値演算部と、
前記電流指令値に基づいて、前記電機子巻線に印加する電圧指令値を演算する電圧指令値演算部と、
前記電圧指令値に基づいて、前記インバータが有する複数のスイッチング素子をオンオフ制御するPWM制御部と、を備え、
前記直流電圧に対する前記電圧指令値の実効値の比率に応じた値を変調率と定義し、
前記電流指令値演算部は、前記回転速度の検出値と前記直流電圧との比率である速度電圧比率の検出値を演算し、前記電圧指令値及び前記直流電圧に基づいて実変調率を演算し、変調率指令値と前記実変調率との偏差に基づいて前記速度電圧比率の検出値を補正して、補正後の速度電圧比率を演算し、
前記トルク指令値と、前記速度電圧比率と、前記電流指令値と関係が予め設定された電流指令値設定データを参照し、現在の前記トルク指令値と、前記補正後の速度電圧比率に対応する前記電流指令値を演算するものである。
本願に係る交流回転電機の制御装置によれば、バラツキ要因又は誤差要因により実変調率が変調率指令値から変動した場合に、電流指令値演算部は、変調率指令値と実変調率との偏差に基づいて速度電圧比率の検出値を補正して、補正後の速度電圧比率を演算し、電流指令値設定データを参照し、現在のトルク指令値と補正後の速度電圧比率に対応する電流指令値を演算する。よって、バラツキ要因又は誤差要因により実変調率が変調率指令値から変動した場合でも、変動がない状態で設定された電流指令値設定データをそのまま用い、速度電圧比率を補正することにより、トルク指令値のトルク出力を維持しつつ、電流指令値を変化させ、実変調率を変調率指令値に近づけることができる。電流指令値設定データは、回転速度と直流電圧とが、一つの速度電圧比率にまとめられているので、データ量が低減されている。よって、このようなデータ量が低減された電流指令値設定データをそのまま用いて、トルク指令値のトルク出力を維持しつつ、変調率の変動に対応できるので、制御系全体を簡易化できる。
実施の形態1に係る交流回転電機及び制御装置の概略構成図である。 実施の形態1に係る制御装置の概略ブロック図である。 実施の形態1に係る制御装置の概略ハードウェア構成図である。 実施の形態1に係る電流指令値演算部のブロック図である。 実施の形態1に係る変調率指令値の設定と各制御の運転領域を説明する図である。 実施の形態1に係る弱め磁束制御を説明する図である。 実施の形態1に係る最大トルク/電流制御を説明する図である。 実施の形態1に係る速度電圧比率の増加補正による変調率の低下を説明する図である。 実施の形態1に係る速度電圧比率の減少補正による変調率の増加を説明する図である。 実施の形態2に係る電流指令値演算部のブロック図である。 実施の形態3に係る電流指令値演算部のブロック図である。 実施の形態4に係る変調率指令値の設定と各制御の運転領域を説明する図である。 実施の形態4に係る変調率指令値の設定と各制御の運転領域を説明する図である。
1.実施の形態1
実施の形態1に係る交流回転電機の制御装置1(以下、単に制御装置1と称す)について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る交流回転電機2及び制御装置1の概略構成図である。
1-1.交流回転電機
交流回転電機2は、電機子巻線(以下、単に巻線と称す)を備えている。交流回転電機2は、ステータと、ステータの径方向内側に配置されたロータと、を備えている。ステータに複数相の巻線が設けられている。本実施の形態では、U相、V相、W相の3相の巻線Cu、Cv、Cwが設けられている。3相巻線Cu、Cv、Cwは、スター結線とされている。なお、3相巻線は、デルタ結線とされてもよい。交流回転電機2は、永久磁石式の同期回転電機とされており、ロータに永久磁石が設けられている。本実施の形態では、永久磁石は、ロータの電磁鋼板の内側に埋め込まれている。なお、永久磁石は、ロータの外周面に張り付けられてもよい。
交流回転電機2は、ロータの回転角度に応じた電気信号を出力する回転センサ16を備えている。回転センサ16は、ホール素子、エンコーダ、又はレゾルバ等とされる。回転センサ16の出力信号は、制御装置1に入力される。
1-2.インバータ等
インバータ20は、直流電源10と3相巻線との間で電力変換を行う電力変換器であり、複数のスイッチング素子を有している。インバータ20は、直流電源10の高電位側に接続される高電位側のスイッチング素子23H(上アーム)と直流電源10の低電位側に接続される低電位側のスイッチング素子23L(下アーム)とが直列接続された直列回路(レッグ)を、3相各相の巻線に対応して3セット設けている。そして、各相の直列回路における2つのスイッチング素子の接続点が、対応する相の巻線に接続されている。
具体的には、各相の直列回路において、高電位側のスイッチング素子23Hのコレクタ端子は、高電位側電線14に接続され、高電位側のスイッチング素子23Hのエミッタ端子は、低電位側のスイッチング素子23Lのコレクタ端子に接続され、低電位側のスイッチング素子23Lのエミッタ端子は、低電位側電線15に接続されている。高電位側のスイッチング素子23Hと低電位側のスイッチング素子23Lとの接続点は、対応する相の巻線に接続されている。
スイッチング素子には、ダイオード22が逆並列接続されたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、ダイオードが逆並列接続されたFET(Field Effect Transistor)、逆並列接続されたダイオードの機能を有するMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、ダイオードが逆並列接続されたバイポーラトランジスタ等が用いられる。各スイッチング素子のゲート端子は、制御装置1に接続されている。各スイッチング素子は、制御装置1から出力される制御信号によりオン又はオフされる。
平滑コンデンサ12が、高電位側電線14と低電位側電線15との間に接続される。直流電源10からインバータ20に供給される電源電圧を検出する電源電圧センサ13が備えられている。電源電圧センサ13は、高電位側電線14と低電位側電線15との間に接続されている。電源電圧センサ13の出力信号は、制御装置1に入力される。
電流センサ17は、各相の巻線に流れる電流に応じた電気信号を出力する。電流センサ17は、スイッチング素子の直列回路と巻線とをつなぐ各相の電線上に備えられている。電流センサ17の出力信号は、制御装置1に入力される。なお、電流センサ17は、各相の直列回路に備えられてもよい。
直流電源10には、充放電可能な蓄電装置(例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、電気二重層キャパシタ)が用いられる。なお、直流電源10には、直流電圧を昇圧したり降圧したりする直流電力変換器であるDC-DCコンバータが設けられてもよい。
1-3.制御装置1
制御装置1は、インバータ20を介して交流回転電機2を制御する。図2に示すように、制御装置1は、回転検出部31、直流電圧検出部32、電流検出部33、電流指令値演算部34、電圧指令値演算部35、及びPWM制御部36等を備えている。制御装置1の各機能は、制御装置1が備えた処理回路により実現される。具体的には、制御装置1は、図3に示すように、処理回路として、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置90(コンピュータ)、演算処理装置90とデータのやり取りする記憶装置91、演算処理装置90に外部の信号を入力する入力回路92、及び演算処理装置90から外部に信号を出力する出力回路93等を備えている。
演算処理装置90として、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、IC(Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、各種の論理回路、及び各種の信号処理回路等が備えられてもよい。また、演算処理装置90として、同じ種類のもの又は異なる種類のものが複数備えられ、各処理が分担して実行されてもよい。記憶装置91として、演算処理装置90からデータを読み出し及び書き込みが可能に構成されたRAM(Random Access Memory)、演算処理装置90からデータを読み出し可能に構成されたROM(Read Only Memory)等が備えられている。入力回路92は、電源電圧センサ13、回転センサ16、電流センサ17等の各種のセンサ、スイッチが接続され、これらセンサ、スイッチの出力信号を演算処理装置90に入力するA/D変換器等を備えている。出力回路93は、スイッチング素子をオンオフ駆動するゲート駆動回路等の電気負荷が接続され、これら電気負荷に演算処理装置90から制御信号を出力する駆動回路等を備えている。
そして、制御装置1が備える図2の各制御部31~36等の各機能は、演算処理装置90が、ROM等の記憶装置91に記憶されたソフトウェア(プログラム)を実行し、記憶装置91、入力回路92、及び出力回路93等の制御装置1の他のハードウェアと協働することにより実現される。なお、各制御部31~36等が用いる変調率指令値設定データ、及び電流指令値設定データ等の設定データは、ROM等の記憶装置91に記憶されている。以下、制御装置1の各機能について詳細に説明する。
1-3-1.回転検出部31
回転検出部31は、電気角でのロータの回転角度θr及び回転角速度ωr(以下、回転速度ωrとも称す)を検出する。本実施の形態では、回転検出部31は、回転センサ16の出力信号に基づいて、ロータの回転角度θr及び回転角速度ωrを検出する。回転検出部31は、U相の巻線位置を基準にした、ロータの磁極(N極)の回転角度θrを検出する。なお、回転検出部31は、電流指令値に高調波成分を重畳することによって得られる電流情報等に基づいて、回転センサを用いずに、回転角度を推定するように構成されてもよい(いわゆる、センサレス方式)。
1-3-2.直流電圧検出部32
直流電圧検出部32は、直流電源10からインバータ20に供給される直流電圧Vdcrを検出する。本実施の形態では、直流電圧検出部32は、電源電圧センサ13の出力信号に基づいて、直流電圧Vdcrを検出する。なお、直流電圧Vdcが可変でなく、直流電圧Vdcが規定値になる場合は、電源電圧センサ13が設けられず、直流電圧の検出値Vdcrの代わりに、予め設定された直流電圧の設定値が用いられてもよい。
1-3-3.電流検出部33
電流検出部33は、3相の巻線に流れる電流Iur、Ivr、Iwrを検出する。電流検出部33は、電流センサ17の出力信号に基づいて、U相の巻線に流れる電流Iurを検出し、V相の巻線に流れる電流Ivrを検出し、W相の巻線に流れる電流Iwrを検出する。なお、電流センサ17が2相の巻線電流を検出するように構成され、残りの1相の巻線電流が、2相の巻線電流の検出値に基づいて演算されてもよい。例えば、電流センサ17が、V相及びW相の巻線電流Ivr、Iwrを検出し、U相の巻線電流Iurが、Iur=-Ivr-Iwrにより演算されてもよい。
1-3-4.電圧指令値演算部35
電圧指令値演算部35は、後述する電流指令値演算部34により演算された電流指令値に基づいて、巻線に印加する電圧指令値を演算する。
本実施の形態では、電圧指令値演算部35は、d軸及びq軸の電流指令値Ido、Iqoに基づいて、3相の電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoを演算する。
電圧指令値演算部35は、3相の電流検出値Iur、Ivr、Iwrを、磁極位置θrに基づいて3相2相変換及び回転座標変換を行って、d軸の電流検出値Idr及びq軸の電流検出値Iqrに変換する。
d軸は、ロータの磁極(N極)の回転角度の方向に定められ、q軸は、d軸よりも電気角で90°位相が進んだ方向に定められる。
電圧指令値演算部35は、d軸の電流検出値Idrがd軸の電流指令値Idoに近づくように、比例積分制御等のフィードバック制御を行って、d軸の電圧指令値Vdoを変化させ、q軸の電流検出値Iqrがq軸の電流指令値Iqoに近づくように、比例積分制御等のフィードバック制御を行って、q軸の電圧指令値Vqoを変化させる。なお、d軸電流とq軸電流の非干渉化のためのフィードフォワード制御が行われてもよい。
或いは、電圧指令値演算部35は、巻線の電流検出値を用いず、d軸及びq軸の電流指令値Ido、Iqoに基づいて、交流回転電機の電気的定数を用い、d軸及びq軸の電流指令値Ido、Iqoを変化させるフィードフォワード制御を実行してもよい。
電圧指令値演算部35は、d軸及びq軸の電圧指令値Vdo、Vqoを、磁極位置θrに基づいて、固定座標変換及び2相3相変換を行って、3相の電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoに変換する。本実施の形態では、電圧指令値演算部35は、3相の電圧指令値に対して、3次高調波重畳、min-max法(疑似3次高調波重畳)、2相変調、及び台形波変調等の線間電圧が変化しないような振幅低減変調を加えている。なお、振幅低減変調が加えられなくてもよい。
電圧指令値演算部35は、3相の電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoを、キャリア波の振幅で上下限制限する。
振幅低減変調が加えられる場合は、後述する式(1)から式(3)により演算される変調率Mが1より大きくなると、振幅低減変調後の3相の電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoの振幅が、直流電圧Vdcの半分値を超える電圧飽和(過変調)の状態になる。振幅低減変調が加えられない場合は、変調率Mが、√3/2(≒0.866)より大きくなると、3相の電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoの振幅が、直流電圧Vdcの半分値を超える電圧飽和(過変調)の状態になる。
1-3-5.PWM制御部36
PWM制御部36は、電圧指令値に基づいて、PWM(Pulse Width Modulation)制御により複数のスイッチング素子をオンオフ制御する。本実施の形態では、PWM制御部36は、3相の電圧指令値のそれぞれとキャリア波とを比較することにより、各相のスイッチング素子をオンオフするスイッチング信号を生成する。キャリア波は、キャリア周波数で0を中心に直流電圧Vdcrの半分値の振幅で振動する三角波とされている。PWM制御部36は、電圧指令値がキャリア波を上回った場合は、スイッチング信号をオンし、電圧指令値がキャリア波を下回った場合は、スイッチング信号をオフする。高電位側のスイッチング素子には、スイッチング信号がそのまま伝達され、低電位側のスイッチング素子には、スイッチング信号を反転させたスイッチング信号が伝達される。各スイッチング信号は、ゲート駆動回路を介して、インバータ20の各スイッチング素子のゲート端子に入力され、各スイッチング素子をオン又はオフさせる。
1-3-6.電流指令値演算部34
電流指令値演算部34は、トルク指令値To、回転速度の検出値ωr、及び直流電圧の検出値Vdcrに基づいて電流指令値を演算する。トルク指令値Toは、外部の制御装置から伝達されてもよいし、制御装置1の内部で演算されもよい。
本実施の形態では、図4に示すように、電流指令値演算部34は、回転速度の検出値ωrと直流電圧の検出値Vdcrとの比率である速度電圧比率の検出値Rωvrを演算する。また、電流指令値演算部34は、電圧指令値及び直流電圧の検出値Vdcrに基づいて実変調率Mrを演算し、変調率指令値Moと実変調率Mrとの偏差ΔMに基づいて速度電圧比率の検出値Rωvrを補正して、補正後の速度電圧比率Rωvcrrを演算する。そして、電流指令値演算部34は、トルク指令値Toと、速度電圧比率Rωv(本例では、=回転速度ω/直流電圧Vdc)と、電流指令値と関係が予め設定された電流指令値設定データを参照し、現在のトルク指令値To及び補正後の速度電圧比率Rωvcrrに対応する電流指令値を演算する。ここで、変調率Mは、直流電圧Vdcに対する電圧指令値の実効値の比率に応じた値である。
<実変調率Mrの演算>
上述したように、電流指令値演算部34は、電圧指令値及び直流電圧の検出値Vdcrに基づいて実変調率Mrを演算する。電圧指令値には、前回の演算周期で演算された電圧指令値が用いられる。本実施の形態では、電流指令値演算部34は、次式を用い、3相の電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoに基づいて、電圧指令値の実効値Veを演算する。
Figure 2024083692000002
或いは、電流指令値演算部34は、次式を用い、d軸及びq軸の電圧指令値Vdo、Vqoに基づいて、電圧指令値の実効値Veを演算してもよい。
Figure 2024083692000003
そして、電流指令値演算部34は、次式を用い、電圧指令値の実効値Ve及び直流電圧の検出値Vdcrに基づいて、実変調率Mrを演算する。
Figure 2024083692000004
なお、本実施の形態では、式(1)から式(3)の変調率Mの演算式の係数は、1/√3及び√6に設定されているが、各種の方式の設定値があり、方式によって、係数の設定値が異なる。よって、式(1)から式(3)と異なる係数が設定されてもよい。上述したように、本実施の形態では、振幅低減変調が加えられる場合に変調率Mが1より大きくなると、振幅低減変調後の3相の電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoの振幅が、直流電圧Vdcの半分値を超える電圧飽和(過変調)の状態になる。また、変調率Mの最大値は、電圧指令値が矩形波になる2×√3/π(≒1.10)になり、後述する1パルス制御時の値になる。
<変調率指令値Moの設定>
電流指令値演算部34は、変調率指令値Moを設定する。本実施の形態では、電流指令値演算部34は、トルク指令値Toと、速度電圧比率Rωvと、変調率指令値Moと関係が予め設定された変調率指令値設定データを参照し、現在のトルク指令値Toと、現在の速度電圧比率の検出値Rωvrに対応する変調率指令値Moを演算する。変調率指令値設定データは、後述する電流指令値設定データに対応するように設定されている。例えば、変調率指令値設定データとして、マップデータが用いられる。例えば、図5に示すように、変調率指令値設定データにおいて、後述する弱め磁束制御の運転領域では、1.0<Mo<1.10に設定され、後述する基本制御(最大トルク/電流制御)の運転領域では、0≦Mo≦1.0に設定される。なお、後述するように、基本制御の運転領域では、基本的に、変調率のフィードバック制御により変化される補正後の速度電圧比率Rωvcrrの変化に応じて、電流指令値が変化されない。そのため、基本制御の運転領域の変調率指令値Moは厳密に設定されなくてもよい(例えば、Mo=1.0に設定されてもよい)。また、弱め磁束制御の運転領域において、変調率指令値Moが固定値に設定される場合は、マップデータを用いずに、電流指令値演算部34は、変調率指令値Moを、弱め磁束制御の運転領域の変調率指令値に対応する、予め設定された固定値(例えば、1.05)に設定してもよい。
電流指令値演算部34は、回転速度の検出値ωr、トルク指令値To、交流回転電機のトルク検出値又は推定値、電流指令値、電流検出値、及び実変調率Mrの少なくとも1つに基づいて、変調率指令値Moを変化させてもよい。また、変調率指令値Moに対してローパスフィルタ処理を実施した値を用いてもよい。この場合、変調率指令値Moを変化させたときの応答を滑らかにすることができる。
<速度電圧比率の検出値Rωvrの補正>
上述したように、電流指令値演算部34は、回転速度の検出値ωrと直流電圧の検出値Vdcrとの比率である速度電圧比率の検出値Rωvrを演算する。本実施の形態では、次式に示すように、電流指令値演算部34は、回転速度の検出値ωrを直流電圧の検出値Vdcrで除算して、速度電圧比率の検出値Rωvrを演算する。回転速度ωが分子になるので、回転速度ωの増減に対して、速度電圧比率Rωvの分解能が変化しないようでき、後述する電流指令値設定データのデータ設定が行い易くなる。
Figure 2024083692000005
なお、電流指令値演算部34は、直流電圧の検出値Vdcrを回転速度の検出値ωrで除算して、速度電圧比率の検出値Rωvrを演算してもよい。
上述したように、電流指令値演算部34は、変調率指令値Moと実変調率Mrとの偏差ΔMに基づいて速度電圧比率の検出値Rωvrを補正して、補正後の速度電圧比率Rωvcrrを演算する。
電流指令値演算部34は、実変調率Mrが変調率指令値Moよりも小さい場合は、補正後の速度電圧比率Rωvcrrが減少するように、速度電圧比率の検出値Rωvrに対する補正値Krを変化させ、実変調率Mrが変調率指令値Moよりも大きい場合は、補正後の速度電圧比率Rωvcrrが増加するように、補正値Krを変化させる。
本実施の形態では、電流指令値演算部34は、変調率指令値Moと実変調率Mrとの偏差ΔMに基づく、フィードバック制御により、速度電圧比率の検出値Rωvrに対する補正値Krを演算する。本実施の形態では、フィードバック制御には積分器が含まれるが、比例器及び微分器の一方又は双方が含まれてもよい。或いは、各種のフィードバック制御が用いられてもよい。
電流指令値演算部34は、次式を用いて、補正値Krを演算する。ここで、C(s)は、フィードバック制御器を表し、sは、ラプラス演算子を表す。フィードバック制御器には、積分制御器、積分比例制御器、積分比例微分制御器などの各種のフィードバック制御器が用いられる。
Figure 2024083692000006
そして、電流指令値演算部34は、次式に示すように、速度電圧比率の検出値Rωvrに補正値Krを乗算して、補正後の速度電圧比率Rωvcrrを演算する。なお、電流指令値演算部34は、速度電圧比率の検出値Rωvrに補正値Krを加算して、補正後の速度電圧比率Rωvcrrを演算してもよい。
Figure 2024083692000007
<電流指令値設定データの参照>
上述したように、電流指令値演算部34は、トルク指令値Toと、速度電圧比率Rωvと、電流指令値との関係が予め設定された電流指令値設定データを参照し、現在のトルク指令値To及び補正後の速度電圧比率Rωvcrrに対応する電流指令値を演算する。
<弱め磁束制御の運転領域の電流指令値設定データ>
本実施の形態では、電流指令値設定データには、基本制御を実行すると仮定した場合に、巻線に流れる電流及び回転速度ωに応じて巻線に生じる誘起電圧である基本制御時の誘起電圧が、直流電圧Vdcを超える運転領域では、トルク指令値Toと、速度電圧比率Rωvと、トルク指令値To及び速度電圧比率Rωvの条件で誘起電圧を直流電圧Vdcに一致させつつ、トルク指令値Toのトルクを交流回転電機に出力させる電流指令値と、の関係が予めされている。本実施の形態では、基本制御は、いわゆる最大トルク/電流制御とされている。
この運転領域における電流指令値は、いわゆる弱め磁束制御により設定される電流指令値である。図6に示すように、弱め磁束制御では、d軸及びq軸の回転座標系上で、式(7)に示す電圧制限楕円(定誘起電圧楕円)と、式(8)に示すトルク指令値Toの定トルク曲線との交点のd軸電流Id及びq軸電流Iqに、d軸及びq軸の電流指令値Ido、Iqoが設定される。弱め磁束制御では、基本制御よりもd軸電流Idが減少され、永久磁石による鎖交磁束が弱められる。
Figure 2024083692000008
Figure 2024083692000009
ここで、Ldは、d軸インダクタンスであり、Lqは、q軸インダクタンスであり、Ψaは、永久磁石による鎖交磁束であり、Pnは、極対数であり、これらは、交流回転電機の諸元により予め定まる電気的定数である。また、Mwkは、弱め磁束制御において対応する運転条件で設定される変調率であり、通常、変調率指令値Moに一致する。
式(7)と式(8)の交点のd軸電流Id及びq軸電流Iqを求めるために必要な情報は、直流電圧Vdc、回転速度ω、トルク指令値Toである。式(7)の電圧制限楕円のVdc/ωは、1/速度電圧比率Rωvに対応している。よって、トルク指令値To及び速度電圧比率Rωvに基づいて、弱め磁束制御によるd軸及びq軸の電流指令値Ido、Iqoを設定することができる。
弱め磁束制御の運転領域の電流指令値設定データには、トルク指令値To及び速度電圧比率Rωvの各動作点において弱め磁束制御により設定されるd軸の電流指令値Ido及びq軸の電流指令値Iqoが、予め設定されている。
図5に、最大トルク/電流制御の運転領域と、弱め磁束制御の運転領域を示す。高回転速度及び高トルクの領域で、弱め磁束制御が行われる。
<基本制御(最大トルク/電流制御)の運転領域の電流指令値設定データ>
本実施の形態では、電流指令値設定データには、基本制御時の誘起電圧が、直流電圧Vdcを超えない運転領域では、トルク指令値Toと、速度電圧比率Rωvと、トルク指令値To及び速度電圧比率Rωvの条件でトルク指令値Toのトルクを交流回転電機に出力させる基本制御による電流指令値と、の関係が予めされている。本実施の形態では、基本制御は、いわゆる最大トルク/電流制御とされている。
最大トルク/電流制御では、トルク指令値Toのトルクを出力させる電流が最小になるd軸及びq軸の電流指令値Ido、Iqoが設定される。式(8)の定トルク曲線と定電流円との接点に電流指令値が設定される。図7に示すように、d軸及びq軸の回転座標系上で、トルク指令値Toが増加するに従って、最大トルク/電流曲線上を、d軸の電流指令値Idoを減少させ、q軸の電流指令値Iqoを増加させる。最大トルク/電流曲線は、同一電流に対して出力トルクが最大になるd軸及びq軸の電流の軌跡である。
弱め磁束制御と最大トルク/電流制御との境界線は、速度電圧比率Rωv及びトルク指令値Toに応じて定まるので、速度電圧比率Rωv及びトルク指令値Toにより最大トルク/電流制御の運転領域であるか、弱め磁束制御の運転領域であるかを判定できる。よって、トルク指令値To及び速度電圧比率Rωvに基づいて、最大トルク/電流制御によるd軸及びq軸の電流指令値Ido、Iqoを設定することができる。なお、速度電圧比率Rωvにより判定された最大トルク/電流制御の運転領域では、基本的に、トルク指令値Toに応じてd軸及びq軸の電流指令値Ido、Iqoが設定されるので、速度電圧比率Rωvの補正により、基本的に、d軸及びq軸の電流指令値Ido、Iqoは変化しない。
最大トルク/電流制御の運転領域の電流指令値設定データには、トルク指令値To及び速度電圧比率Rωvの各動作点において最大トルク/電流制御により設定されるd軸の電流指令値Ido及びq軸の電流指令値Iqoが、予め設定されている。
なお、基本制御として、d軸の電流指令値Idoを0に設定する、いわゆるId=0制御などの他の制御が用いられてもよい。
電流指令値設定データは、d軸電流指令値設定データとq軸電流指令値設定データとにより構成されている。d軸電流指令値設定データには、トルク指令値Toと、速度電圧比率Rωvと、d軸の電流指令値Idoと、の関係が予めされている。q軸電流指令値設定データには、トルク指令値Toと、速度電圧比率Rωvと、q軸の電流指令値Iqoと、の関係が予めされている。例えば、各設定データとして、マップデータが用いられる。
<変調率の偏差による速度電圧比率Rωvの補正の効果>
弱め磁束制御の運転領域の電流指令値設定データは、基本的に、実変調率Mrが変調率指令値Moに一致するように設定されている。しかし、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq、永久磁石による鎖交磁束Ψa、巻線抵抗等の電気的定数が、経年変化、生産バラツキ、温度変化等のバラツキ要因により電流指令値設定データの設定時の電気的定数から変動すると、実変調率Mrが変調率指令値Moから変動する。また、電流指令値設定データの設定誤差により、実変調率Mrが変調率指令値Moから変動する。
バラツキ要因又は誤差要因により実変調率Mrが変調率指令値Moから変動した場合に、電流指令値演算部34は、変調率指令値Moと実変調率Mrとの偏差ΔMに基づいて速度電圧比率の検出値Rωvrを補正して、補正後の速度電圧比率Rωvcrrを演算し、電流指令値設定データを参照し、現在のトルク指令値Toと補正後の速度電圧比率Rωvcrrに対応する電流指令値を演算する。よって、バラツキ要因又は誤差要因により実変調率Mrが変調率指令値Moから変動した場合でも、変動がない状態で設定された電流指令値設定データをそのまま用い、速度電圧比率Rωvを補正することにより、トルク指令値Toのトルク出力を維持しつつ、電流指令値を変化させ、実変調率Mrを変調率指令値Moに近づけることができる。電流指令値設定データは、回転速度ωと直流電圧Vdcとが、一つの速度電圧比率Rωvにまとめられているので、データ量が低減されている。よって、このようにデータ量が低減された電流指令値設定データをそのまま用いて、変調率の変動に対応できるので、制御系全体を簡易化できる。
弱め磁束制御の運転領域における制御挙動を図8及び図9に示す。バラツキ要因又は誤差要因により、実変調率Mrが変調率指令値Moよりも大きくなった場合は、補正値Krが増加され、補正後の速度電圧比率Rωvcrrが増加される。図8に示すように、補正後の速度電圧比率Rωvcrrが増加されると、式(7)の左辺が減少し、電圧制限楕円が縮小する。電圧制限楕円が縮小すると、d軸電流Idが減少され、弱め磁束が強められるため、電圧指令値の実効値が低下し、実変調率Mrが低下し、実変調率Mrが変調率指令値Moに近づけられる。
バラツキ要因又は誤差要因により、実変調率Mrが変調率指令値Moよりも小さくなった場合は、補正値Krが減少され、補正後の速度電圧比率Rωvcrrが減少される。図9に示すように、補正後の速度電圧比率Rωvcrrが減少されると、式(7)の左辺が増加し、電圧制限楕円が拡大する。電圧制限楕円が拡大すると、d軸電流Idが増加され、弱め磁束が弱められるため、電圧指令値の実効値が増加し、実変調率Mrが増加し、実変調率Mrが変調率指令値Moに近づけられる。
このように、バラツキ要因又は誤差要因により、実変調率Mrが変調率指令値Moから変動した場合でも、変調率指令値Moと実変調率Mrとの偏差ΔMに基づいて、速度電圧比率の検出値Rωvrを補正することにより、変調率の変動がない状態で設定された電流指令値設定データをそのまま用いて、弱め磁束を増減し、実変調率Mrを変調率指令値Moに近づけることができる。
<補正の停止>
変調率指令値Moが、電圧飽和(過変調)の状態になり始める値(本例では、1.0)よりも小さく、電圧飽和(過変調)の状態にならない場合は、電圧指令値通りに巻線に印加できるので、実変調率Mrを変調率指令値Moに近づける必要性が低く、速度電圧比率Rωvを補正する必要性が低い。また、電圧飽和(過変調)の状態にならない場合は、最大トルク/電流制御が行われ、基本的に、トルク指令値Toに応じて電流指令値が変化され、速度電圧比率Rωvの変化に応じて電流指令値が変化されないので、速度電圧比率Rωvを補正する必要性が低い。
電流指令値演算部34は、回転速度の検出値ωrに対する条件、又は変調率指令値Mo又は実変調率Mrに対する条件が満たされた場合に、フィードバック制御に含まれる積分器の動作を停止又は積分値を初期化する。
回転速度の検出値ωrに対する条件として、電流指令値演算部34は、回転速度の検出値ωrが基底回転速度よりも低い場合に、積分器の動作を停止又は積分値を初期化する。基底回転速度は、電圧飽和(過変調)の状態になり始める回転速度である。変調率指令値Mo又は実変調率Mrに対する条件として、電流指令値演算部34は、変調率指令値Mo又は実変調率Mrが、電圧飽和(過変調)の状態になり始める値(本例では、1.0)よりも小さい場合に、積分器の動作を停止又は積分値を初期化する。
この構成によれば、電圧飽和(過変調)の状態にならない場合に、積分器の動作を停止又は積分値を初期化して、不必要な速度電圧比率Rωvの補正を行わないようにできる。また、電圧飽和(過変調)の状態にならない場合に、積分値がワインドアップすることを防止でき、電圧飽和(過変調)の状態になった場合の積分器の動作再開を円滑化させることができる。
また、電流指令値演算部34は、回転速度の検出値ωrに対する条件、又は変調率指令値Mo又は実変調率Mrに対する条件が満たされた場合に、速度電圧比率の検出値Rωvrに対する補正量を0に設定し、速度電圧比率の検出値Rωvrを、補正後の速度電圧比率Rωvrcrrとして演算する。本実施の形態では、補正値Krが1に設定される。
この構成によれば、電圧飽和(過変調)の状態にならない場合に、補正量を0に設定して、不必要な速度電圧比率Rωvの補正を行わないようにできる。
2.実施の形態2
実施の形態2に係る交流回転電機2及び制御装置1について説明する。上記の実施の形態1と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る交流回転電機2及び制御装置1の基本的な構成は実施の形態1と同様であるが、速度電圧比率として、規格化速度電圧比率が用いられる点が実施の形態1と異なる。
本実施の形態では、図10に示すように、電流指令値演算部34は、速度電圧比率Rωvとして、速度電圧比率Rωvを、変調率指令値Mo、直流電圧の基準値Vdcbs、及び変調率の基準値Mbsのいずれか一つ以上により規格化した規格化速度電圧比率Rωvnrmを用いる。すなわち、速度電圧比率の代わりに規格化速度電圧比率Rωvnrmが用いられる。本実施の形態では、電流指令値演算部34は、次式に示すように、速度電圧比率Rωvを、変調率指令値Moで除算し、変調率の基準値Mbs及び直流電圧の基準値Vdcbsを乗算した値を、規格化速度電圧比率Rωvnrmとして演算する。このとき、Mbs及びVdcbsは、ゲインとしての役割であり、参照される電流指令値は、ω、Vdc、Moの値に応じて算出されることになる。変調率の基準値Mbs及び直流電圧の基準値Vdcbsは、全動作領域で最も頻度の高い値に予め設定されてもよいし、全動作領域で取る値の範囲の中間の値に予め設定されてもよい。なお、変調率指令値Moが固定値の場合は、Mbs=Moとして、(Mbs/Mo)は乗算されなくてもよい。
Figure 2024083692000010
なお、速度電圧比率の検出値Rωvrが、直流電圧の検出値Vdcrを回転速度の検出値ωrで除算して演算される場合は、式(9)の右辺の分子と分母が逆になる。
電流指令値設定データは、トルク指令値Toと、規格化速度電圧比率Rωvnrmと、電流指令値と関係が予め設定されたデータとされている。規格化速度電圧比率Rωvnrmの設定に用いられる変調率指令値Moは、トルク指令値To及び速度電圧比率Rωvの条件で設定される変調率指令値Moである。電流指令値設定データは、速度電圧比率Rωvの代わりに規格化速度電圧比率Rωvnrmが用いられる点以外は、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
電流指令値設定データに、規格化速度電圧比率Rωvnrmを用いることで、変調率指令値Moが大きく変化する場合でも、データを設定し易くなる。また、直流電圧の基準値Vdcbsによって規格化されていることで、DC-DCコンバータなどにより直流電圧Vdcが大きく変化する場合にも、データを設定し易くなる。また、変調率の基準値Mbsによって規格化されていることで、変調率Mが大きく変化する場合にも、データを設定し易くなる。
電流指令値演算部34は、回転速度の検出値ωrと直流電圧の検出値Vdcrとの比率(速度電圧比率の検出値Rωvr)を、変調率指令値Mo、予め設定された直流電圧の基準値Vdcbs、及び予め設定された変調率の基準値Mbsのいずれか一つ以上により規格化して、規格化速度電圧比率の検出値Rωvnrmrを演算する。本実施の形態では、次式に示すように、電流指令値演算部34は、速度電圧比率の検出値Rωvr(=ωr/Vdcr)を変調率指令値Moで除算し、変調率の基準値Mbs及び直流電圧の基準値Vdcbsを乗算した値を、規格化速度電圧比率の検出値Rωvnrmrとして演算する。なお、変調率指令値Moが固定値の場合は、Mbs=Moとして、(Mbs/Mo)は乗算されなくてもよい。
Figure 2024083692000011
この構成によれば、変調率指令値Moの変化により、規格化速度電圧比率の検出値Rωvnrmrをフィードフォワード的に変化させることができ、変調率指令値Moの変化時の応答を速めることができる。
電流指令値演算部34は、変調率指令値Moと実変調率Mrとの偏差ΔMに基づく、フィードバック制御により、規格化速度電圧比率の検出値Rωvnrmrに対する補正値Krを演算する。フィードバック制御には積分器が含まれるが、比例器及び微分器の一方又は双方が含まれてもよい。或いは、各種のフィードバック制御が用いられてもよい。
本実施の形態では、電流指令値演算部34は、次式を用いて、補正値Krを演算する。ここで、C(s)は、フィードバック制御器を表し、sは、ラプラス演算子を表す。フィードバック制御器には、積分制御器、積分比例制御器、積分比例微分制御器などの各種のフィードバック制御器が用いられる。式(11)の第1式の代わりに、式(5)の第1式が用いられてもよいし、Kr=1/(1+Cr)が用いられてもよい。
Figure 2024083692000012
そして、電流指令値演算部34は、次式に示すように、規格化速度電圧比率の検出値Rωvnrmrに補正値Krを乗算して、補正後の規格化速度電圧比率の検出値Rωvnrmcrrを演算する。なお、電流指令値演算部34は、規格化速度電圧比率の検出値Rωvnrmrに補正値Krを加算して、補正後の規格化速度電圧比率の検出値Rωvnrmcrrを演算してもよい。
Figure 2024083692000013
そして、電流指令値演算部34は、トルク指令値Toと、規格化速度電圧比率Rωvnrmと、電流指令値と関係が予め設定された電流指令値設定データを参照し、現在のトルク指令値To及び補正後の規格化速度電圧比率の検出値Rωvnrmcrrに対応する電流指令値を演算する。なお、式(12)において、式(10)の(1/Mo)と式(11)の第1式のMoは、乗算すると1になるため、これをあらかじめ考慮して簡略化した構成としてもよい。すなわち、式(9)、(10)における(1/Mo)と、式(11)の第1式におけるMoが乗算されなくてもよい。
3.実施の形態3
実施の形態3に係る交流回転電機2及び制御装置1について説明する。上記の実施の形態1又は2と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る交流回転電機2及び制御装置1の基本的な構成は実施の形態1又は2と同様であるが、電流指令値演算部34がトルク指令値Toを補正する点が実施の形態1又は2と異なる。
本実施の形態では、図11に示すように、電流指令値演算部34は、検出又は推定した交流回転電機のトルクに基づいて、トルク指令値Toを補正し、補正後のトルク指令値Tocrrに基づいて、電流指令値を演算する。
電流指令値演算部34は、式(8)と同様の次式を用いて、d軸及びq軸の電流検出値Idr、Iqrに基づいて、トルクの推定値Testを演算する。なお、トルクの推定値の演算方法は特に限定するものでなく、例えば、電力/回転角速度によりトルクの推定値を演算するなど別の方法で演算してもよい。
Figure 2024083692000014
或いは、ロータの回転軸から出力されるトルクを検出するトルクセンサが備えられる場合は、トルクの推定値Testの代わりに、電流指令値演算部34は、トルクセンサの出力信号に基づいて、トルクの検出値Trを演算してもよい。
そして、次式に示すように、電流指令値演算部34は、トルク指令値Toとトルクの推定値Testとの偏差ΔTに基づいて、トルク補正値Taを演算し、トルク補正値Taによりトルク指令値Toを補正して、補正後のトルク指令値Tocrrを演算する。電流指令値演算部34は、偏差ΔTに対して積分制御、比例積分制御、比例積分微分制御等のフィードバック制御を行って、トルク補正値Taを演算し、トルク補正値Taをトルク指令値Toに加算して、補正後のトルク指令値Tocrrを演算する。
Figure 2024083692000015
そして、電流指令値演算部34は、トルク指令値Toと、速度電圧比率Rωvと、電流指令値と関係が予め設定された電流指令値設定データを参照し、現在のトルク指令値Toを補正した補正後のトルク指令値Tocrr、及び補正後の速度電圧比率Rωvcrrに対応する電流指令値を演算する。補正後のトルク指令値Tocrrが用いられる点以外は、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
この構成によれば、トルク誤差がない状態で設定された電流指令値設定データをそのまま用いて、電流指令値設定データを参照し、補正後のトルク指令値Tocrrに対応する電流指令値を演算することで、誤差要因によりトルク誤差が生じた場合でも、トルクの推定値Testをトルク指令値Toに近づけることができ、交流回転電機から所望のトルクを得ることができる。
4.実施の形態4
実施の形態3に係る交流回転電機2及び制御装置1について説明する。上記の実施の形態1、2、又は3と同様の構成部分は説明を省略する。本実施の形態に係る交流回転電機2及び制御装置1の基本的な構成は実施の形態1、2、又は3と同様であるが、電圧飽和(過変調)の状態で、1パルス制御が実行される点が実施の形態1、2、又は3と異なる。
実施の形態1と同様に、電流指令値演算部34は、トルク指令値Toと速度電圧比率Rωvと、変調率指令値Moと関係が予め設定された変調率指令値設定データを参照し、現在のトルク指令値Toと、現在の速度電圧比率の検出値Rωvrに対応する変調率指令値Moを演算する。例えば、変調率指令値設定データとして、マップデータが用いられる。本実施の形態では、図12又は図13に示すように、変調率指令値設定データにおいて、弱め磁束制御の運転領域において、変調率指令値Moを、1パルス制御に対応する2×√3/π(≒1.10)を含むように設定する。図12に示すように、弱め磁束制御の運転領域において、変調率指令値Moを、1.10に設定してもよいし、図13に示すように、弱め磁束制御の運転領域において、比較的低トルク低速度の領域で、変調率指令値Moを1.0<Mo<1.10に設定し、比較的高トルク高速度の領域で、変調率指令値Moを1.10に設定してもよい。
電圧指令値演算部35は、実変調率Mrが、1パルス制御に対応する変調率の判定範囲になった場合に、交流周期中に各スイッチング素子を1回オンオフする1パルス制御を実行する。判定範囲は、1.10を含む範囲、例えば、1.09から1.11に設定される。実施の形態1で説明した、1パルス制御でない制御を、通常制御と称する。
電圧指令値演算部35は、1パルス制御を実行する場合は、次式を用い、d軸及びq軸の電圧指令値Vdo、Vqoに基づいて、q軸に対する電圧ベクトルの位相θvを演算し、位相θv及び磁極位置θrに基づいて、位相が調整された1パルス矩形波の3相の電圧指令値Vuo、Vvo、Vwoを演算する。1パルス矩形波の振幅は、キャリア波の振幅と同じにされる。
Figure 2024083692000016
また、図12又は図13に示すように、変調率指令値Moが、1パルス制御に対応する設定値である1パルス設定値(本例では、1.10)よりも小さいに値に設定されており、1パルス制御が実行されておらず、通常制御が実行されている状態で、変調率指令値Moが1パルス設定値になった後、電圧指令値演算部35は、実変調率Mrが、1パルス設定値を含む判定範囲内になった場合に、通常制御を終了し、1パルス制御を実行する。
1パルス制御が実行されると、実変調率Mrが1パルス設定値(1.10)になるが、実変調率Mrが1パルス設定値に近づいた状態で、通常制御から1パルス制御に切り替えられるので、実変調率Mrが急変することを防止できる。
<その他の実施の形態>
上記の実施の形態では、3相の巻線が設けられる場合を例として説明した。しかし、巻線の相数は、複数相であれば、2相、4相等の任意の数に設定されてもよい。
上記の実施の形態では、1組の3相の巻線及びインバータが設けられる場合を例として説明した。しかし、2組以上の3相巻線及びインバータが設けられ、各組の3相巻線及びインバータに対して、各実施の形態と同様の制御が行われてもよい。
<本願の諸態様のまとめ>
以下、本願の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
電機子巻線を有する交流回転電機を、インバータを介して制御する交流回転電機の制御装置であって、
トルク指令値、前記交流回転電機の回転速度の検出値、及び前記インバータに供給される直流電圧に基づいて電流指令値を演算する電流指令値演算部と、
前記電流指令値に基づいて、前記電機子巻線に印加する電圧指令値を演算する電圧指令値演算部と、
前記電圧指令値に基づいて、前記インバータが有する複数のスイッチング素子をオンオフ制御するPWM制御部と、を備え、
前記直流電圧に対する前記電圧指令値の実効値の比率に応じた値を変調率と定義し、
前記電流指令値演算部は、前記回転速度の検出値と前記直流電圧との比率である速度電圧比率の検出値を演算し、前記電圧指令値及び前記直流電圧に基づいて実変調率を演算し、変調率指令値と前記実変調率との偏差に基づいて前記速度電圧比率の検出値を補正して、補正後の速度電圧比率を演算し、
前記トルク指令値と、前記速度電圧比率と、前記電流指令値と関係が予め設定された電流指令値設定データを参照し、現在の前記トルク指令値と、前記補正後の速度電圧比率に対応する前記電流指令値を演算する交流回転電機の制御装置。
(付記2)
前記電流指令値設定データには、
基本制御を実行すると仮定した場合に、前記電機子巻線に流れる電流及び前記回転速度に応じて前記電機子巻線に生じる誘起電圧である基本制御時の誘起電圧が、前記直流電圧を超える運転領域では、前記トルク指令値と、前記速度電圧比率と、前記トルク指令値及び前記速度電圧比率の条件で前記誘起電圧を前記直流電圧に一致させつつ、前記トルク指令値のトルクを前記交流回転電機に出力させる前記電流指令値と、の関係が予めされており、
前記基本制御時の誘起電圧が、前記直流電圧を超えない運転領域では、前記トルク指令値と、前記速度電圧比率と、前記トルク指令値及び前記速度電圧比率の条件で前記トルク指令値のトルクを前記交流回転電機に出力させる前記基本制御による前記電流指令値と、の関係が予めされている付記1に記載の交流回転電機の制御装置。
(付記3)
前記基本制御は、前記トルク指令値のトルクを出力させる電流が最小になる前記電流指令値を設定する最大トルク/電流制御、又はd軸電流を0に設定しつつ、前記トルク指令値のトルクを出力させる前記電流指令値を設定するId=0制御である付記2に記載の交流回転電機の制御装置。
(付記4)
前記速度電圧比率は、前記回転速度を前記直流電圧で除算した比率であり、
前記電流指令値演算部は、前記実変調率が前記変調率指令値よりも小さい場合は、前記補正後の速度電圧比率が減少するように、前記速度電圧比率の検出値に対する補正値を変化させ、
前記実変調率が前記変調率指令値よりも大きい場合は、前記補正後の速度電圧比率が増加するように、前記補正値を変化させる付記1から3のいずれか一項に記載の交流回転電機の制御装置。
(付記5)
前記電流指令値演算部は、前記変調率指令値と前記実変調率との前記偏差に基づく、フィードバック制御により、前記速度電圧比率の検出値に対する補正値を演算する付記1から4のいずれか一項に記載の交流回転電機の制御装置。
(付記6)
前記電流指令値演算部は、前記回転速度の検出値に対する条件、又は前記変調率指令値又は前記実変調率に対する条件が満たされた場合に、前記フィードバック制御に含まれる積分器の動作を停止又は積分値を初期化する付記5に記載の交流回転電機の制御装置。
(付記7)
前記電流指令値演算部は、前記回転速度の検出値に対する条件、又は前記変調率指令値又は前記実変調率に対する条件が満たされた場合に、前記速度電圧比率の検出値に対する補正量を0に設定し、前記速度電圧比率の検出値を、前記補正後の速度電圧比率として演算する付記1から6のいずれか一項に記載の交流回転電機の制御装置。
(付記8)
前記電流指令値演算部は、前記速度電圧比率として、前記速度電圧比率を、前記変調率指令値、前記直流電圧の基準値、及び前記変調率の基準値のいずれか一つ以上により規格化した規格化速度電圧比率を用いる付記1から7のいずれか一項に記載の交流回転電機の制御装置。
(付記9)
前記電流指令値演算部は、検出又は推定した前記交流回転電機のトルクに基づいて、前記トルク指令値を補正し、補正後のトルク指令値に基づいて、前記電流指令値を演算する付記1から8のいずれか一項に記載の交流回転電機の制御装置。
(付記10)
前記電流指令値演算部は、前記回転速度の検出値、前記トルク指令値、前記交流回転電機のトルク検出値又は推定値、前記電流指令値、電流検出値、及び前記実変調率の少なくとも1つに基づいて、前記変調率指令値を変化させる付記1から9のいずれか一項に記載の交流回転電機の制御装置。
(付記11)
前記電圧指令値演算部は、前記実変調率が1パルス制御に対応する判定範囲内になった場合に、交流周期中に各スイッチング素子を1回オンオフする前記1パルス制御を実行する付記1から10のいずれか一項に記載の交流回転電機の制御装置。
(付記12)
前記電圧指令値演算部は、前記変調率指令値が、1パルス制御に対応する設定値である1パルス設定値になった後、前記実変調率が、前記1パルス設定値を含む判定範囲内になった場合に、交流周期中に各スイッチング素子を1回オンオフする前記1パルス制御を実行する付記1から10のいずれか一項に記載の交流回転電機の制御装置。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1:交流回転電機の制御装置、2:交流回転電機、20:インバータ、34:電流指令値演算部、35:電圧指令値演算部、36:PWM制御部、Kr:補正値、Mo:変調率指令値、Mr:実変調率、Rωv:速度電圧比率、Rωvr:速度電圧比率の検出値、Rωvcrr:補正後の速度電圧比率、Rωvnrm:規格化速度電圧比率、Rωvrcrr:速度電圧比率、To:トルク指令値、Tocrr:補正後のトルク指令値、Vdc:直流電圧、Ve:電圧指令値の実効値、ω:回転速度、ωr:回転速度の検出値

Claims (12)

  1. 電機子巻線を有する交流回転電機を、インバータを介して制御する交流回転電機の制御装置であって、
    トルク指令値、前記交流回転電機の回転速度の検出値、及び前記インバータに供給される直流電圧に基づいて電流指令値を演算する電流指令値演算部と、
    前記電流指令値に基づいて、前記電機子巻線に印加する電圧指令値を演算する電圧指令値演算部と、
    前記電圧指令値に基づいて、前記インバータが有する複数のスイッチング素子をオンオフ制御するPWM制御部と、を備え、
    前記直流電圧に対する前記電圧指令値の実効値の比率に応じた値を変調率と定義し、
    前記電流指令値演算部は、前記回転速度の検出値と前記直流電圧との比率である速度電圧比率の検出値を演算し、前記電圧指令値及び前記直流電圧に基づいて実変調率を演算し、変調率指令値と前記実変調率との偏差に基づいて前記速度電圧比率の検出値を補正して、補正後の速度電圧比率を演算し、
    前記トルク指令値と、前記速度電圧比率と、前記電流指令値と関係が予め設定された電流指令値設定データを参照し、現在の前記トルク指令値と、前記補正後の速度電圧比率に対応する前記電流指令値を演算する交流回転電機の制御装置。
  2. 前記電流指令値設定データには、
    基本制御を実行すると仮定した場合に、前記電機子巻線に流れる電流及び前記回転速度に応じて前記電機子巻線に生じる誘起電圧である基本制御時の誘起電圧が、前記直流電圧を超える運転領域では、前記トルク指令値と、前記速度電圧比率と、前記トルク指令値及び前記速度電圧比率の条件で前記誘起電圧を前記直流電圧に一致させつつ、前記トルク指令値のトルクを前記交流回転電機に出力させる前記電流指令値と、の関係が予めされており、
    前記基本制御時の誘起電圧が、前記直流電圧を超えない運転領域では、前記トルク指令値と、前記速度電圧比率と、前記トルク指令値及び前記速度電圧比率の条件で前記トルク指令値のトルクを前記交流回転電機に出力させる前記基本制御による前記電流指令値と、の関係が予めされている請求項1に記載の交流回転電機の制御装置。
  3. 前記基本制御は、前記トルク指令値のトルクを出力させる電流が最小になる前記電流指令値を設定する最大トルク/電流制御、又はd軸電流を0に設定しつつ、前記トルク指令値のトルクを出力させる前記電流指令値を設定するId=0制御である請求項2に記載の交流回転電機の制御装置。
  4. 前記速度電圧比率は、前記回転速度を前記直流電圧で除算した比率であり、
    前記電流指令値演算部は、前記実変調率が前記変調率指令値よりも小さい場合は、前記補正後の速度電圧比率が減少するように、前記速度電圧比率の検出値に対する補正値を変化させ、
    前記実変調率が前記変調率指令値よりも大きい場合は、前記補正後の速度電圧比率が増加するように、前記補正値を変化させる請求項1に記載の交流回転電機の制御装置。
  5. 前記電流指令値演算部は、前記変調率指令値と前記実変調率との前記偏差に基づく、フィードバック制御により、前記速度電圧比率の検出値に対する補正値を演算する請求項1に記載の交流回転電機の制御装置。
  6. 前記電流指令値演算部は、前記回転速度の検出値に対する条件、又は前記変調率指令値又は前記実変調率に対する条件が満たされた場合に、前記フィードバック制御に含まれる積分器の動作を停止又は積分値を初期化する請求項5に記載の交流回転電機の制御装置。
  7. 前記電流指令値演算部は、前記回転速度の検出値に対する条件、又は前記変調率指令値又は前記実変調率に対する条件が満たされた場合に、前記速度電圧比率の検出値に対する補正量を0に設定し、前記速度電圧比率の検出値を、前記補正後の速度電圧比率として演算する請求項1に記載の交流回転電機の制御装置。
  8. 前記電流指令値演算部は、前記速度電圧比率として、前記速度電圧比率を、前記変調率指令値、前記直流電圧の基準値、及び前記変調率の基準値のいずれか一つ以上により規格化した規格化速度電圧比率を用いる請求項1に記載の交流回転電機の制御装置。
  9. 前記電流指令値演算部は、検出又は推定した前記交流回転電機のトルクに基づいて、前記トルク指令値を補正し、補正後のトルク指令値に基づいて、前記電流指令値を演算する請求項1に記載の交流回転電機の制御装置。
  10. 前記電流指令値演算部は、前記回転速度の検出値、前記トルク指令値、前記交流回転電機のトルク検出値又は推定値、前記電流指令値、電流検出値、及び前記実変調率の少なくとも1つに基づいて、前記変調率指令値を変化させる請求項1に記載の交流回転電機の制御装置。
  11. 前記電圧指令値演算部は、前記実変調率が1パルス制御に対応する判定範囲内になった場合に、交流周期中に各スイッチング素子を1回オンオフする前記1パルス制御を実行する請求項1に記載の交流回転電機の制御装置。
  12. 前記電圧指令値演算部は、前記変調率指令値が、1パルス制御に対応する設定値である1パルス設定値になった後、前記実変調率が、前記1パルス設定値を含む判定範囲内になった場合に、交流周期中に各スイッチング素子を1回オンオフする前記1パルス制御を実行する請求項1に記載の交流回転電機の制御装置。
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