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JP2024062625A - 成形体、弾性体及び歪みセンサー - Google Patents

成形体、弾性体及び歪みセンサー Download PDF

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JP2024062625A JP2022170592A JP2022170592A JP2024062625A JP 2024062625 A JP2024062625 A JP 2024062625A JP 2022170592 A JP2022170592 A JP 2022170592A JP 2022170592 A JP2022170592 A JP 2022170592A JP 2024062625 A JP2024062625 A JP 2024062625A
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Abstract

【課題】低弾性で低永久歪み、且つ、変形に対して繰り返し再現性の高い電気抵抗を有する成形体。【解決手段】ポリウレタンエラストマーと該ポリウレタンエラストマー中の導電性フィラーとを含む成形体であって、該ポリウレタンエラストマーはマトリックスドメイン構造を有し、該導電性フィラーはマトリックス中に偏在し、該ドメインの粘弾性項を示すパラメータAと、該マトリックスの粘弾性項を示すパラメータBとの関係が、A<Bであり、該成形体の弾性率が4MPa以下であり、破断伸びが100%以上であり、かつ、引張永久歪みが10%以下であり、50%伸長させたときの体積抵抗率の変化が大きく、50%伸長させた該成形体に加えた張力を解放したときの体積抵抗率の戻り率の高い成形体。【選択図】図2

Description

本開示は、センサーなどに用いられるウレタンエラストマーを含む成形体に関するものである。歪みにより体積抵抗率が変化する抵抗変化型のセンサーなどに用いることができる成形体に関する。また、本開示は、歪みによって体積抵抗率が変化する抵抗変化型のセンサーに用いることのできる弾性体に関する。
部材の変形や部材に作用する応力を検出するセンサーの用途において、導電性を有するエラストマー材料(導電性エラストマー)の使用が提案されている。このような用途における導電性エラストマーでは、その変形範囲に応じた柔軟性(低弾性)のほか、繰り返し再現性が求められている。特許文献1は、弾性率の異なる複数のポリマーのブレンド物を用いて形成された相分離構造を有するポリマーマトリクスと、導電性粒子を複合化してなるセンサー用複合体を開示している。
特開2007-225315号公報
IEEE Transactions on SYSTEMS, MAN, AND CYBERNETICS, Vol. SMC-9, No. 1, January 1979, pp. 62-66
本発明者らの検討により、特許文献1に係るセンサー用複合体は、柔軟性を有するものの、変形からの復元性、つまり外力の負荷及び除荷によって生じる変形(永久歪み)や、変形に応じて変化する導電性に対しての繰り返し再現性において改善の余地があることが分かった。
本開示の少なくとも一つ態様は、低弾性で低永久歪み、且つ、変形に対して繰り返し再現性の高い電気抵抗を有する成形体の提供に向けたものである。また、本開示の少なくとも一つの態様は、低弾性であって、永久歪みが小さく、歪みの量に応じて体積抵抗率が安定的に変化し得る弾性体の提供に向けたものである。
また、本開示の少なくとも一つの態様は、歪みの量を長期に亘って安定的に検出することができる歪みセンサーの提供に向けたものである。
本開示の少なくとも一つの態様によれば、ポリウレタンエラストマーと該ポリウレタンエラストマー中の導電性フィラーとを含む成形体であって、
該ポリウレタンエラストマーは、マトリックスと、該マトリックス中に分散された複数個のドメインと、を有し、
該導電性フィラーは、該マトリックス中に偏在しており、
該成形体の、該ドメインと該マトリックスとが露出してなる断面の、走査型プローブ顕微鏡による粘弾性像において測定される該ドメインの粘弾性項を示すパラメータAと、該マトリックスの粘弾性項を示すパラメータBと、の関係が、A<Bであり
温度23℃における、該成形体の50%引張時の弾性率が4.00MPa以下であり、該成形体の破断伸びが100%以上であり、かつ、該成形体の50%引張後の引張永久歪みが10%以下であり、
無歪みのときの該成形体の体積抵抗率をRa(Ω・cm)とし、該成形体を50%伸長させたときの体積抵抗率をRb(Ω・cm)とし、50%伸長させた該成形体に加えた張力を解放したときの体積抵抗率をRc(Ω・cm)としたとき、
該Ra、Rb及びRcが、下記式(1)及び(2)の関係を満たす、成形体が提供される:
(1)・・・ Log10(Rb)-Log10(Ra)≧0.10
(2)・・・ (Log10(Rc)-Log10(Ra))/(Log10(Rb)-Log10(Ra))≦0.25。
また、本開示の少なくとも一つの態様によれば、ポリウレタンエラストマーと該ポリウレタンエラストマー中の導電性フィラーとを含む弾性体であって、
該ポリウレタンエラストマーは、マトリックスと、該マトリックス中に分散された複数個のドメインと、を有し、
該導電性フィラーは、該マトリックス中に偏在しており、
該弾性体の、該ドメインと該マトリックスとが露出してなる断面の、走査型プローブ顕微鏡による粘弾性像において測定される該ドメインの粘弾性項を示すパラメータAと、該マトリックスの粘弾性項を示すパラメータBと、の関係が、A<Bであり
温度23℃における、該弾性体の50%引張時の弾性率が4.00MPa以下であり、該成形体の破断伸びが100%以上であり、かつ、該弾性体の50%引張後の引張永久歪みが10%以下であり、
無歪みのときの該弾性体の体積抵抗率をRa(Ω・cm)とし、該弾性体を50%伸長させたときの体積抵抗率をRb(Ω・cm)とし、50%伸長させた該弾性体に加えた張力を解放したときの体積抵抗率をRc(Ω・cm)としたとき、
該Ra、Rb及びRcが、下記式(1)及び(2)の関係を満たす、弾性体が提供される:
(1)・・・ Log10(Rb)-Log10(Ra)≧0.10
(2)・・・ (Log10(Rc)-Log10(Ra))/(Log10(Rb)-Log10(Ra))≦0.25。
本開示の少なくとも一つの態様によれば、歪みの量に応じて体積抵抗率が変化する感歪部を有する歪みセンサーであって、該感歪部が、上記の成形体を含む歪みセンサが提供される。
本開示の少なくとも一つの態様によれば、低弾性で低永久歪み、且つ、変形に対して繰り返し再現性の高い電気抵抗を有する成形体が提供される。また、本開示の少なくとも一つの態様によれば、低弾性であって、永久歪みが小さく、歪みの量に応じて体積抵抗率が安定的に変化し得る弾性体が提供される。また、本開示の少なくとも一つの態様によれば、歪みの量を長期に亘って安定的に検出することができる歪みセンサーが提供される。
本開示の一態様に係る成形体の一例を示す概略断面図 本開示の一態様に係る成形体の製造方法を表す図 評価に用いた抵抗測定治具の概略図
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
以下、本開示の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態はあくまでも一例であり、特定的な記載がない限り、本開示はこれら実施形態に限定されるものではない。
また、本開示に係る抵抗とは特に説明がない限り電気抵抗のことを指す。
(ポリウレタンエラストマーを含む成形体)
本開示の一態様に係るポリウレタンエラストマーの成形体は以下の要件(1-1)~(1~4)を満たす。
要件(1-1):ポリウレタンエラストマーと該ポリウレタンエラストマー中の導電性フィラーとを含む成形体であって、該ポリウレタンエラストマーは、マトリックスと、該マリトックス中に分散された複数個のドメインと、を有する。そして、導電性フィラーは少なくとも該マトリックス中に存在する。
要件(1-2):該ドメインと該マトリックスとが露出してなる断面の、走査型プローブ顕微鏡による粘弾性像において測定される該ドメインの粘弾性項を示すパラメータAと、該マトリックスの粘弾性項を示すパラメータBと、の関係が、A<Bである。
要件(1-3):温度23℃における、成形体の50%引張時の弾性率が4.00MPa以下であり、成形体の破断伸びが100%以上であり、かつ、成形体の50%引張後の引張永久歪みが10%以下である。
要件(1-4):無歪みのときの成形体の体積抵抗率をRa(Ω・cm)とし、成形体を50%伸長させたときの体積抵抗率をRb(Ω・cm)とし、50%伸長させた成形体に加えた張力を解放したときの体積抵抗率をRc(Ω・cm)とする。このとき、Ra、Rb及びRcが、下記式(1)及び(2)の関係を満たす
(1)・・・ Log10(Rb)-Log10(Ra)≧0.10
(2)・・・ (Log10(Rc)-Log10(Ra))/(Log10(Rb)-Log10(Ra))≦0.25
本開示における成形体は、要件(1-1)及び(1-2)を満たすことで、低弾性で低永久歪み、且つ、変形に対して繰り返し再現性の高い電気抵抗を有するウレタンエラストマーの成形体を得ることができる。また、要件(1-3)及び要件(1-4)を満たすことで、変形に対して繰り返し再現性の高い電気抵抗の変化を示し、歪みセンサーとして用いた場合に十分な性能を得ることができる。
以下、低弾性で低永久歪み、且つ、導電性を有する成形体を得るための要件についてさらに詳しく説明する。本発明者らの検討によれば、低弾性であって、圧縮永久歪みが小さく、且つ、導電性を有する成形体を得るためには、いくつか課題が存在した。
一つ目は、弾性率を低く保ちつつ、永久歪みを小さくするための基材の検討である。低弾性と低永久歪みは、基本的にトレードオフな関係であり、両立が難しい。
二つ目は、基材に添加する導電性フィラーを添加してもなお、低弾性と低永久歪み両立させることである。基材には、導電性のため導電性フィラーを添加する必要があるが、導電性フィラーの添加は弾性率を高くし、永久歪みを大きくする。この影響を加味した上で、低弾性と低永久歪みを両立させる必要があった。
このような課題の解決に対して、本発明者らは更なる検討を重ねた。その結果、一つ目の課題に対しては、低永久歪みを達成しうる構造を有するマトリックスと、弾性率上昇の抑制に資する構造を有するドメインと、を有するマトリックス・ドメイン構造を導入したポリウレタンエラストマーを基材とすることが有効であることを見出した。
また、二つ目の課題に対しては、可能な限り少量の導電性フィラー添加による導電性発
現を可能とするため、上記したマトリックス・ドメイン構造のマトリックスに導電性フィラーを偏在させることが有効であることを見出した。
すなわち、導電性フィラーがマトリックスで優先的に導電パスを形成することにより、少量での導電性発現が可能となるため、導電性フィラー添加による弾性率と永久歪みの増大を最小限に抑えることが可能となることがわかった。
また、一定量以上の導電性フィラーがドメインに混入してしまうと、ドメインが持つ低弾性化の機能が失われてしまう傾向があることもわかった。
上記の検討から、低永久歪みを達成しうる構造をマトリックス、弾性率上昇の抑制に資する構造を有するドメインを有するポリウレタンエラストマー基材に対して、少量の導電性フィラーをマトリックスに偏在させることが、低弾性、低永久歪み及び導電性を同時に達成させるために有効であることを見出した。
さらに、本発明者等の検討により、低弾性、低永久歪み及び導電性を同時に達成しうる上記のマトリックス・ドメイン構造のマトリックスに導電性粒子を偏在させる構成が、変形に対しての導電性の変化を有し、且つ、変形に対しての繰り返し再現性の高い電気抵抗を有することが分かった。
永久歪みが大きい構成では、変形によって導電性を付与するために形成された導電パスの状態も歪みと同様に不可逆的に変化するため、形状だけでなく導電性のヒステリシスを発生させてしまう。
対して、永久歪みの低い上記した構成をとることによって、繰り返し変形に対しての導電パスの復元性を担保することができる。また、マトリックスに優先的に導電性フィラーが偏在している構成は、導電パスが限定的になりやすく、変形に対する導電性の変化に富み、且つ、弾性の高いマトリックス内の導電剤の配置が変形のための応力の負荷及び除荷前後変化しにくいと考えられる。
本開示の一態様に係る成形体は、ポリウレタンエラストマーと該ポリウレタンエラストマー中に含まれている導電性フィラーとを含有する。
以下、好ましい実施の形態を挙げて、ポリウレタンエラストマー、導電性フィラー、成形体について詳細に説明する。
<ポリウレタンエラストマー>
成形体を形成するポリウレタンエラストマーについて説明する。図1は、成形体33の一例を示す概略断面図である。前述したとおり、ポリウレタンエラストマーは、マトリックス31と、マトリックス中に分散された複数個のドメイン32と、を有するマトリックス・ドメイン構造を有する。導電性フィラー35はマトリックス31中に偏在している。
そして、マトリックス31が低永久歪みといった機械特性を示す構造を有し、ドメイン32が弾性率の上昇の抑制に資する構造を有する。ポリウレタンエラストマーが、マトリックス・ドメイン構造を形成していれば、成形体の外表面の少なくとも一部がマトリックスで構成されていてもよい。例えば、成形体の外表面のすべてがマトリックスで構成されていてもよい。
このようなポリウレタンエラストマーのマトリックス31は、粘弾性項を示すパラメータBを満足するものであれば特に制限されない。例えば、ポリカーボネート構造、ポリエステル構造を有するものが挙げられる。
マトリックスは、第1の構造として式(1)で表されるポリカーボネート構造を有することが好ましい。さらには、式(1)で表される第1の構造におけるRで表される炭素数3~9のアルキレン基は、分岐構造を有することがより好ましい。
Figure 2024062625000002
(式(1)中、Rは、炭素数3~9のアルキレン基を示す。)
一般的に、ポリカーボネート構造を有するポリオール(ポリカーボネートポリオール)とポリイソシアネートとの反応により得られるポリウレタンは、カーボネート基間での強い分子間力に起因した高い弾性を示す。そのため、マトリックス31の構成成分として好ましい。
が炭素数3~9のアルキレン基であることにより、後述する式(2)で表される構造のポリエーテルを含むドメインとの非相溶性が担保され、マトリックスとドメインとをより明確に相分離させることができる。これにより、本開示に係るポリウレタンエラストマーの柔らかさと低永久歪みという2つの機能をより確実に発揮させ得る。
マトリックスは、好ましくは式(1)で表されるポリカーボネート構造を少なくとも1つ有し、より好ましくは複数個有する。マトリックスが、式(1)で示されるポリカーボネート構造を複数個有する場合において、該ポリカーボネート構造は、繰り返し構造単位であることができる。
また、Rが炭素数3~9の分岐構造を有するアルキレン基であることにより、カーボネート基間での分子間力を適度に抑え、マトリックスが過度な高弾性になることを抑制できる。
としては、例えば、-(CH-(m=3~9(好ましくは3~6))、-CHC(CHCH-、-CHCH(CH)CH-、-(CHCH(CH)(CH-等が挙げられる。ポリウレタンエラストマー中、Rは全て同一であっても、異なるRの組合せであってもよい。
ポリカーボネート構造の数平均分子量を含め後述のポリオールなどの数平均分子量は、いずれも水酸基価(mgKOH/g)と価数を用いて下記の数式によって算出することができる。例えば、水酸基価56.1mgKOH/g、価数2のポリエーテルポリオールの数平均分子量は2000と算出することができる。
数平均分子量=56.1×1000×価数÷水酸基価
マトリックスの弾性率は、例えばポリイソシアネートの3量体化合物や多量体化合物を使って架橋密度を上げる方法等により調整することが可能である。通常、弾性率を上げると成形体のマイクロゴム硬度も上がるが、本開示ではマトリックス中に低弾性なドメインが複数個分散しているので、過度な高弾性化を抑えることができる。
成形体において、ドメインの弾性率は、マトリックスの弾性率よりも低く設計されている。ドメインの構造は、上記弾性率の関係を満たし、マトリックスと相分離したドメインを形成しうるものであれば特に制限されない。ドメインが、第1の構造とは異なる第2の構造を含むことが好ましい。第2の構造は下記式(2)で表されるポリエーテル構造を含むことが好ましい。
Figure 2024062625000003
(式(2)中、Rは、炭素数3~6のアルキレン基を示す。)
一般的にポリエーテルは、エーテル基間での弱い分子間力に起因して、低い弾性率を示すので、ドメインの成分として好ましい。
好ましくは、Rは、炭素数3~5のアルキレン基であり、より好ましくは、Rは、炭素数3~5の分岐構造を有するアルキレン基である。炭素数3~5のアルキレン基を含有することにより、式(1)で表されるポリカーボネート構造を有するウレタンエラストマーとの非相溶性が担保され、マトリックスとドメインがより明瞭に相分離する。
ドメインは、好ましくは式(2)で表されるポリエーテル構造を少なくとも一つ有し、より好ましくは複数個有する。ドメインが、式(2)で示されるポリエーテル構造を複数個有する場合において、該ポリエーテル構造は、繰り返し構造単位であることができる。
としては、例えば、-(CH-(m=3~6(好ましくは3~5))、-CHCH(CH)-、-CHC(CHCH-、-CHCH(CH)CH-、-(CHCH(CH)CH-等が挙げられる。ポリウレタンエラストマー中、Rは全て同一であっても、異なるRの組合せであってもよい。
式(2)で表されるポリエーテル構造の数平均分子量(Mn)は、ポリウレタンエラストマーにおける繰り返し単位として1000以上50000以下であることが好ましい。該数平均分子量は、原料のポリエーテルポリオールに基づくものである。より好ましくは、1200以上30000以下である。
数平均分子量が1000以上である場合、式(1)で表されるポリカーボネート構造単位を含むウレタンエラストマーとの非相溶性が担保されやすく、マトリックスとドメインの相分離がより明瞭化する。また、数平均分子量が50000以下の場合、ドメインを形成しやすくなり、相分離形態がより安定化する。
ドメインの断面積の合計の割合は、例えば、マトリックスの式(1)のポリカーボネート構造とドメインの式(2)のポリエーテル構造の配合比率で調節することができる。式(2)のポリエーテル構造単位の配合比率を増やすとドメインの断面積の合計の割合が増える。ただし、式(2)のポリエーテル構造の配合比率を増やしすぎると、マトリックスとドメインの逆転が起きて式(2)のポリエーテル構造がマトリックスの主成分になることがある。また、ドメインの断面積は、例えば、式(2)のポリエーテル構造の数平均分子量を大きくすると大きくすることができる。
マトリックス、及びドメインに含まれる成分の化学構造については、例えば、顕微赤外分光分析装置等の分光分析装置、あるいは質量分析装置等を用いて分析することができる。
ポリウレタンエラストマーにおいて、先述した通り、第2の構造を含むポリウレタンを含むドメインの弾性率は、マトリックスの弾性率よりも低く設計されている。具体的には、ドメインとマトリックスとが露出してなる断面の、走査型プローブ顕微鏡による粘弾性像において測定される、ドメインの粘弾性項を示すパラメータをパラメータAとし、マトリックスの粘弾性項を示すパラメータをパラメータBとする。このとき、パラメータA及びBがA<Bを満たす。
ポリウレタンエラストマーにおけるマトリックス、及び、ドメインの相対的な弾性率の差は、薄片化した該ポリウレタンエラストマーを、走査型プローブ顕微鏡(SPM/AFM)で観察することにより測定することができる。走査型プローブ顕微鏡としては、日立ハイテクサイエンス社製の「S-Image」(商品名)を使用することができる。
また、薄片化のための装置としては、例えば鋭利なカミソリや、ミクロトーム、収束イ
オンビーム法(FIB)等が挙げられる。上記した装置の中でも、超薄の切片の調製が可能なウルトラミクロトームは特に好適に用いることができる。切片は計3枚作製し、任意の50μm四方の観察領域を選択し、合計3カ所の観察領域で粘弾性像の観察を行う。
SPMによる粘弾性像の測定モードは、マイクロ粘弾性ダイナミックフォースモード(Viscoelastic Dynamic Force Mode(VE-DFM)とする。また、カンチレバーとしては、DFM用のシリコン製マイクロカンチレバー(「SI-DF3」(商品名)、日立ハイテクサイエンス社製、ばね定数=1.9N/m)を用いる。さらに、走査周波数は0.5Hzとする。
なお、VE-DFM(マイクロ粘弾性DFM)とは、カンチレバーを共振させた状態で当該カンチレバーの振動振幅が一定となるように探針と測定試料の距離を制御しながら表面形状像を得ると同時に、粘弾性分布を測定するモードである。VE-DFMでは試料をZ方向に微小振動させて周期的な力を加えた際のカンチレバーのたわみ振幅から粘弾性分布を画像化する。試料が硬ければ、試料変形が少ない分、カンチレバー振幅が大きくなり、試料が軟らかければ、試料変形振動が誘起され、カンチレバー振幅は小さくなる。
得られた振幅を変位としてmVに変換したものが粘弾性項を示すパラメータとなる。従って、パラメータA及びパラメータBは、一つの観察試料に存在しているドメインの硬さ及びマトリックスの硬さの関係を示す指標となる。なお、VF-DFMにおいては、カンチレバーの振幅の大きさは電圧で出力されるため、パラメータAとパラメータBの単位はmVとなる。また、その値が大きい方が弾性は高いことになる。
粘弾性像を取得した後、各観察領域で粘弾性項を示すパラメータをマトリックスとドメインで各10点求め、その算術平均値をドメインの粘弾性項を示すパラメータAとマトリックスの粘弾性項を示すパラメータBとする。測定手順は後述する。
パラメータAのパラメータBに対する比の値(A/B)は、0.65以下であることが好ましい。より好ましくは0.05~0.40、さらに好ましくは0.05~0.30、さらにより好ましくは0.05~0.20である。A/Bが小さいほどマトリックスとドメインの粘弾性の差が大きくなるため、硬度と変形の回復の両立が達成しやすくなる。
パラメータA及びBは、例えば、ドメイン及びマトリックスの弾性率によって調整することができる。マトリックスの弾性率は、例えば、マトリックス形成用の原料として、ポリイソシアネートの3量体化合物や多量体化合物を用いてマトリックスの架橋密度を上げることで高めることができる。ドメインの弾性率については、例えばドメイン形成用の原料としてのポリエーテルポリオールの分子量を大きくすることでドメインの架橋密度が下がり、弾性率は低くなる。
成形体の断面において観察されるポリウレタンエラストマーのドメイン32の断面積・個数について述べる。
成形体の断面の3カ所に50μm四方の観察領域を置いて観察したとき、観察領域の全3カ所が下記要件(2-1)及び要件(2-2)を満たすことが好ましい。
要件(2-1):観察領域におけるドメインの断面積の合計の割合、15~45%である。
要件(2-2):観察領域に存在するドメインの各々の断面積を算出したとき、断面積が観察領域の面積の0.1~13.0%であるドメインの個数の割合が、全ドメインの70個数%以上である。
上記要件(2-1)に関して、ドメインの断面積の総和の、観察領域の面積に占める割合を15%以上にすることで、成形体の弾性率を低く抑えることができる。また、該割合を45%以下にすることで、成形体の永久歪みをより低くすることができる。該割合は、より好ましくは20~40%であり、さらに好ましくは25~35%である。
要件(2-2)に関して、観察領域の面積の0.1~13.0%の断面積を有するドメインの個数を、観察領域内のドメインの総個数の70%以上とすることで、成形体が圧接されたときに十分に変形できる大きさのドメインの数が確保される。そのため、成形体の弾性率を低くすることができる。また、成形体に負荷が加わったときに過度に変形するような大きなドメインの数が少ないため、成形体のマイクロゴム硬度が低くなり過ぎることを抑制できる。測定については、後述する。
該ドメインの個数割合は、より好ましくは80~95%であり、さらに好ましくは85~92%である。
観察領域の面積に対して0.1~13.0面積%の断面積を有するドメインの個数の割合は、ドメインの断面積の大きさによって調整することができる。ドメインの断面積の大きさを上記要件の範囲の中央に寄せるほど、上記要件のドメインの個数の割合は増える。ドメインの断面積の大きさは、上述したように、式(2)で表されるポリエーテル構造を形成するポリエーテルポリオールの数平均分子量によって調整することができ、ポリエーテルポリオールの数平均分子量を大きくすると大きくなる。また他にも、後述する第1のウレタンプレポリマーを得る工程におけるイソシアネートインデックスを大きくしたり、材料を混合する際のせん断力を大きくしたりすると、ドメインの断面積は小さくなる。
マトリックスのドメインに対する面積比率(マトリックス/ドメイン)は、55/45~85/15であることが好ましい。より好ましくは、60/40~80/20であり、さらに好ましくは65/45~75/25である。ドメインの面積比率が45%以下である場合、相分離形態が安定化し、より安定的にマトリックス及びドメインが形成されやすくなる。また、ドメインの面積比率が15%以上である場合、低弾性と導電性をより両立しやすくなる。
上記面積比率は、使用するドメインの材料及びマトリックスの材料の量により制御しうる。
なお、マトリックス/ドメインの面積比率は、走査型電子顕微鏡を用いて得られたウレタンエラストマーの断面像から算出する。具体的には後述する。
また、マトリックス及びドメインに含まれる成分の化学構造については、例えば、AFM赤外分光分析装置や顕微赤外分光分析装置、顕微ラマン分光分析装置などの分光分析装置、あるいは質量分析装置などを用いて分析することができる。
さらに、成形体の断面の3カ所に50μm四方の観察領域を置いて観察したとき、円形度が0.60~0.95であるドメインの個数の、ドメインの総個数に占める割合が、70個数%以上であることが好ましい。より好ましくは80~99個数%であり、さらに好ましくは85~95個数%である。
円形度が上記の範囲内にあるのドメインは、ドメインが変形から回復する際に、ドメインの形状が回復していく方向の異方性が生じにくい。そして、円形度が上記の範囲内にあるのドメインの数(割合)が多いことにより、変形からの回復もより異方性が生じにくい。言い換えれば、変形からの回復がより等方的な成形体とすることができる。その結果、変形からの回復後に、変形回復の異方性に起因するシワ、歪み等が生じにくい。
上記個数割合は、例えば、金型に材料を注入する速度によって調整することができる。
注入速度を遅くすると、材料に加わるせん断力も小さくなり、高い円形度を維持したまま加熱硬化させることができる。
<導電性フィラー>
導電性フィラーは、導電性付与を目的として添加される。導電性フィラーは、例えば導電性粒子である。しかし、一般的に、エラストマー材料への導電性フィラーの添加は、顕著な高弾性率化、及び永久歪みの増大を引き起こす。一方、本開示に係る成形体においては、導電性フィラーはマトリックス中に偏在して導電パスを形成しており、かつ、ドメイン中への導電性フィラーの混入が極力抑えられている。
これにより、本開示に係る成形体においては、通常のマトリックス・ドメイン構造を有さない均一な材料と比較して少量の導電性フィラーで導電性を付与することが可能となる。そのため、該導電性フィラー添加に伴う導電性付与と同時に、低永久歪み、低弾性を実現することが可能となる。
導電性フィラーとしては、導電性を示すのであれば特に制限なく使用することができる。例えば、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、カーボンナノウォール等の固体炭素材料;銀、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄等の金属粉;導電性酸化錫、導電性酸化チタン等の導電性金属酸化物;過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウム等の無機イオン物質、等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、少量の添加で導電性を付与できるという観点から、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、カーボンナノウォール等の固体炭素材料が好ましい。より好ましくは、粒子径やストラクチャー等を適宜選択することで、所望の抵抗領域に調整しやすいことから、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、PAN(ポリアクリロニトリル)系カーボン、ピッチ系カーボンのような導電性カーボンブラックが好ましい。導電性フィラーはカーボンブラックであることが好ましい。
導電性カーボンブラックとしては、デンカ社製のデンカブラック、ライオン社製のケッチェンブラックシリーズ、オリオン・エンジニアドカーボンズ社製のNIPex160IQ等が好ましい。ケッチェンブラックシリーズとしては、ケッチェンブラックEC600JD、ケッチェンブラックEC300J、カーボンECP、カーボンECP600JDが挙げられる。
なお、導電性フィラーによる導電性発現機構は、パーコレーション理論により説明されており、導電性フィラーの充填率が少ない場合には電気伝導度は変化しないが、ある臨界充填率を超えたところで導電性フィラーが一定の間隔以下に配列した導電パスを形成し急激な電気伝導度の上昇(体積抵抗率の下降)が生じ、その後一定値に達する傾向がある。
また、成形体には、電気抵抗を調整するために導電性フィラーに加えて、イオン導電剤を用いることもできる。イオン導電剤としては、特に制限されず、公知のイオン導電剤を用いることができる。
本開示に係る成形体において、導電性フィラーはマトリックス中に偏在する。具体的に、ドメインとマトリックスとが露出してなる断面において観察される、50μm×50μmの観察領域当たりの導電性フィラーの全面積を含有量Cとする。また、50μm×50μmの観察領域におけるマトリックスに含まれる導電性フィラーの全面積を含有量Dとする。含有量Dの含有量Cに対する比の値D/Cが、D/C≧0.90である。
D/C≧0.90を満たす場合、該導電性フィラーのドメインへの混入による低弾性化の機能阻害の影響が小さくなり、低弾性と変形に対して繰り返し再現性の高い電気抵抗の
両立が可能となる。上限は特に制限されないが、好ましくはD/C≦1.00である。
D/Cは、例えば導電性フィラーと使用するマトリックスの材料との分散性を高めることにより、D/Cを大きくすることができる。また、例えば、D/Cは、導電性フィラーと使用するドメインの材料との分散性を高めることにより小さくすることができる。具体的には、導電性フィラー表面の親水性官能基量を減らすことによって、D/Cを大きくすることができる。例えば、カーボンブラックのカルボキシ基を減らすなどしてマトリックスの疎水性に近づけることで、D/Cを大きくしやすい。また、導電性フィラー表面の親水性官能基量を増やすことによって、D/Cを小さくすることができる。
導電性フィラーの含有量C及びDの測定方法は後述する。
成形体における導電性フィラーの含有率は、成形体の質量を基準として、0.02~5.0質量%であることが好ましい。導電性フィラーの含有率が0.02質量%以上である場合に、成形体にセンサーとしてより好適な導電性を付与することが容易となる。また、導電性フィラーの含有率が5.0質量%以下である場合に、導電性を保持しつつセンサーとしてより好適な低弾性、低永久歪みの両立が容易となる。
導電性フィラーの含有率は、より好ましくは0.05~4.5質量%であり、さらに好ましくは0.1~3.0質量%であり、さらにより好ましくは1.0~3.0質量%である。
具体的に、比表面積が500m/g未満のカーボンブラック(例えば、デンカ社製のデンカブラック)の場合、その含有率は、好ましくは1.0~4.5質量%であり、より好ましくは1.5~4.0質量%である。比表面積が500m/g以上のカーボンブラック(例えば、ライオン社製のケッチェンブラックシリーズ)の場合、その含有率は、好ましくは0.2~4.0質量%であり、より好ましくは0.5~3.5質量%である。また、比表面積が500m/g以上のチューブ形状のカーボンファイバー(カーボンナノチューブ)、または針状のカーボンファイバー(カーボンナノファイバー)(例えば、オクサイアル社製の単層カーボンナノチューブ(TUBALL(登録商標)))の場合、その含有率は、好ましくは0.05~3.0質量%であり、より好ましくは0.1~2.5質量%である。
導電性フィラーが固体炭素材料の場合、その含有率は、示差熱熱重量測定装置(TG-DTA)を用いて算出することができる。
具体的には、以下の手順で測定する。
TG-DTAを用い、所定の容器に入れたサンプルを窒素雰囲気下で10℃/分の昇温速度で600℃まで昇温して10分間保持した後、10℃/分の冷却速度で400℃まで冷却し、測定開始時からの重量減少分W1(%)を測定する。次いで、空気雰囲気下で再び10℃/分の昇温速度で800℃まで昇温し、測定開始時からの重量減少分W2(%)を測定する。導電性フィラー(固体炭素材料)の含有率はW2とW1の差分(W2-W1(%))として算出することができる。
<成形体>
本開示に係る成形体は以下の抵抗範囲を示す。無歪みのときの成形体の体積抵抗率をRa(Ω・cm)とし、成形体を50%伸長させたときの体積抵抗率をRb(Ω・cm)とし、50%伸長させた時に加えた張力を解放したときの体積抵抗率をRc(Ω・cm)とする。このとき、Ra、Rb及びRcが、下記式(1)及び(2)の関係を満たす。
(1)・・・ Log10(Rb)-Log10(Ra)≧0.10
(2)・・・ (Log10(Rc)-Log10(Ra))/(Log10(Rb)-Log10(Ra))≦0.25
式(1)の左辺は変形時(負荷時)の抵抗変化を表しており、この値が大きければセンサーとしての感度が増す。Log10(Rb)-Log10(Ra)が0.10未満の場合は変形に対する導電性の感度が低いため、センサーとして適さない。また、好ましくは、1.00以上である。Log10(Rb)-Log10(Ra)は大きいほど好ましく、上限は特に制限されないが、好ましくは3.00以下であり、より好ましくは2.00以下である。
Log10(Rb)-Log10(Ra)は、導電性フィラーの量や導電性フィラーの存在状態により変化させることができる。導電性フィラーをマトリックスに偏在させること(D/C比率を上げること)により大きくすることができる。また、特に導電性フィラーの量が比較的少なく、Raが大きい場合には、導電性フィラーの量を増やすことで大きくすることができる。
式(2)は変形時(負荷時)の抵抗変動と除荷時の抵抗変動の比率、つまり、変形時の抵抗変動に対する抵抗の戻り率を表している。式(2)の左辺の値が0.25を超える場合は、変形時の抵抗変動に対して、抵抗の再現性が低くセンサーとして適さない。式(2)の左辺の値は、好ましくは0.10以下であり、より好ましくは0.05以下であり、この範囲であるとよりセンサーとして好適である。式(2)の左辺の値は小さいほど好ましいため、下限は特に制限されず、好ましくは0.00以上である。
式(2)の左辺の値は、導電性フィラーを含有するポリマーの圧縮永久歪みを低減させることにより小さくすることができる。
また、Raが、下記式(3)を満たすことが好ましい。このことは、成形体の体積抵抗率が1.00×10Ω・cm以下であることを示す。これにより、精度の高い体積抵抗率の測定が容易となるためセンサーとして好適である。
Log10(Ra)は、より好ましくは8.20以下であり、さらに好ましくは7.20以下である。下限は特に制限されないが、好ましくは2.00以上、3.00以上、5.00以上である。
(3)・・・ Log10(Ra)≦9.00
式(3)の左辺Log10(Ra)の値は、導電性フィラーの量や導電性フィラーの存在状態により制御することができる。
また、成形体において、Ra及びRcが、下記式(4)を満たすことが好ましい。
(4)・・・ Log10(Rc)-Log10(Ra)≦0.05
式(4)は負荷と除荷を行った際の抵抗の戻り率を表す。式(4)の左辺の値が0.05以下であることにより、抵抗の再現性が良いためセンサーとしてより好適である。式(4)の左辺の値は、より好ましくは0.04以下である。式(4)の左辺の値は小さいほど好ましいため、下限は特に制限されないが、好ましくは0.00以上である。
式(4)の左辺の値は、導電性フィラーを含有するマトリックス及びドメインの圧縮永久歪みを低減させることにより小さくすることができる。また、導電性フィラーを高弾性なマトリックスに積極的に配置させることにより小さくすることができる。
なお、体積抵抗率Ra、Rb及びRcは、KEITHLEY6517を用いて測定することができる。具体的な手段は後述する。
また、成形体を50%伸長させた時の体積抵抗率は、たとえば、体積抵抗率を2つの電極間で測定する場合は、その電極間長さを1.5倍に引張した状態で体積抵抗率を測定すればよい。
温度23℃における、成形体の50%引張時の弾性率は、4.00MPa以下である。弾性率が、4.00MPa以下であることによって、引張などの外力に対して柔軟に変形することができる。
50%引張時の弾性率は、好ましくは0.10~1.00MPaであり、より好ましくは0.30~0.80MPaであり、さらに好ましくは0.40~0.60MPaである。弾性率は、万能引張試験機(オリエンテック社製,製品名:テンシロンRTF-1250)にて、引張試験を行うことにより測定することができる。具体的な手段は後述する。
50%引張時の弾性率の値は、ドメインポリマーの弾性率やマトリックスポリマーの弾性率、それらの比率により制御することができる。
温度23℃における、成形体の破断伸びは100%以上である。上記範囲であると、大きな引張り変形や大きな曲げ変形に対して成形体として十分な強度が得られる。成形体の破断伸びは、ドメインポリマーやマトリックスポリマーの弾性率やドメインとマトリックスの体積比率により制御することができる。例えば、ドメインやマトリックスの弾性率が低いほど、破断伸びは大きくなりやすい。
温度23℃における、成形体の50%引張後の引張永久歪みは10%以下である。上記範囲であると、引張り変形や曲げ変形に対する十分な繰り返し変形特性が得られる。成形体の永久歪みは、マトリックスの弾性率によって調整することができる。例えば、ポリイソシアネートの3量体化合物や多量体化合物を使って架橋密度を上げると、マトリックスの弾性率は高くなる。後述のように、マトリックスとドメインとが化学的に結合していると、当該手段によりマトリックスの弾性率を高くしやすく、引張永久歪みを上記範囲にしやすくなる。
成形体において、好ましくは、第1の構造で構成されるセグメントであるマトリックスと、第2の構造で構成されるセグメントであるドメインとが相分離している。そして、2つのセグメントがお互いほとんど相溶することなく存在している。このような明瞭な相分離により、マトリックスへの第2の構造で構成されるセグメントの混入が抑えられている。このことにより、成形体においては、マトリックスによって、低永久歪みがより達成されやすくなる。
また、成形体の温度23℃におけるマイクロゴム硬度が、20~50度であることが好ましく、25~35度であることがより好ましい。そして、ドメインとマトリックスとが露出してなる断面の、マトリックスにビッカース圧子を当接させ、ビッカース圧子を荷重速度10mN/30秒で押し込み、荷重10mNで60秒間維持した後、除荷する。除荷5秒後の歪みが1.0μm以下であることが好ましい。これらを満足することにより、局所的な変形に対しても、柔軟性を有しつつ、早い回復速度を示す成形体となる。
本開示に係る成形体においては、ドメインとマトリックスとの境界部分において、ドメインとマトリックスとがウレタン結合によって化学的に結合していることが好ましい。そのため、ウレタンエラストマーに加えられた荷重が除去されたときのドメインの変形からの回復がマトリックスの変形からの回復に連動すると考えられる。このことにより、本開示に係る成形体は、変形からの回復性が極めて高くなり、除荷5秒後の歪みを上記範囲としやすくなると考えられる。
マイクロゴム硬度は、例えば、マトリックスの弾性率、マトリックスに含有させる導電性フィラーの量、マトリックスとドメインとの割合等によって調整することができる。具体的には、例えば、マトリックスの弾性率を高めること、マトリックスに含まれる導電性フィラーの割合を高めること、及び、マトリックスに対するドメインの占める割合(体積)を小さくすること、は、マイクロゴム硬度を高める方向に作用する。
また、該除荷5秒後の歪みは、マトリックスの弾性率によって調整することができる。例えば、ポリイソシアネートの3量体化合物や多量体化合物を使って架橋密度を上げると、マトリックスの弾性率は高くなる。マトリックスとドメインとが化学的に結合している
と、当該手段によりマトリックスの弾性率を高くしやすく、除荷5秒後の歪みを上記範囲にしやすくなる。
本開示に係る成形体は、特に制限されないが、例えば、下記工程(i)~工程(iii)を有する方法によって合成することができる。
工程(i):少なくとも1個(好ましくは少なくとも2個)のイソシアネート基を有する第1のウレタンプレポリマーと、少なくとも2個の水酸基を有する第1のポリカーボネートポリオールとを反応させて少なくとも2個の水酸基を有する第2のウレタンプレポリマーを得る工程、
工程(ii):第2のウレタンプレポリマー、導電性フィラー及び第2のポリカーボネートポリオール(第1のポリカーボネートポリオールのうちの余剰の未反応物でもよい)を混合して、該第2のウレタンプレポリマーの少なくとも一部を含む液滴が、導電性フィラーを含む第2のポリカーボネートポリオール中に分散した分散体を得る工程、及び
工程(iii):該分散体及び少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートを含む成形体形成用混合物を調製し、次いで、該成形体形成用混合物中の該第2のウレタンプレポリマー、該第2のポリカーボネートポリオール、及び、ポリイソシアネートを反応させてポリウレタンエラストマーの成形体を形成する工程。
上記した、本開示の一態様に係る成形体の製造方法の一形態について、図2(導電性フィラー図示なし)を用いて説明する。なお、本開示に係る成形体の製造方法はこの形態に限定されるものではない。
工程(i)では、少なくとも1個(好ましくは少なくとも2個)のイソシアネート基を有する第1のウレタンプレポリマー51と、少なくとも2個の水酸基を有する第1のポリカーボネートポリオール52とを混合する。次に硬化触媒の存在下で得られた混合物中のイソシアネート基と水酸基とを反応させ、ウレタン結合を介して両者を連結することによって、少なくとも2個の水酸基を有する第2のウレタンプレポリマー53を得る。
なお、図2においては、第1のウレタンプレポリマー51の例として、2個のイソシアネート基を有するポリエーテルを記載している。第1のウレタンプレポリマー51としては、例えば、第2の構造を含むものが挙げられ、ポリエーテルジオールなどのポリオールとポリイソシアネートの反応物が好ましい。
工程(ii)では、第2のウレタンプレポリマーの少なくとも一部を含む液滴が、導電性フィラーを含む第2のポリカーボネートポリオール中に分散した分散体を得る。なお、ここでは、第2のウレタンプレポリマーを、本工程で新たに添加する第2のポリカーボネートポリオールと混合することができる。また、工程(i)における第1のポリカーボネートポリオールのうちの余剰の未反応物を第2のポリカーボネートポリオールとしても用いることもできる。
第2のウレタンプレポリマー53に含まれる第1のウレタンプレポリマー51は、第2のポリカーボネートポリオール55とは相溶せず、液滴54を形成する。
一方、第2のウレタンプレポリマー53に含まれる第1のポリカーボネートポリオール52は、第2のポリカーボネートポリオール55と相溶する。そのため、第1のポリカーボネートポリオール52を介して、第2のポリカーボネートポリオール55中において、第2のウレタンプレポリマー53の一部を構成する第1のウレタンプレポリマー51を含む液滴54は、均一かつ安定に分散される。その結果、第1のウレタンプレポリマー51(第2の構造)を含む液滴54が第2のポリカーボネートポリオール55中に分散した分散体が得られる。
導電性フィラーをマトリックスに分散させるためには、工程(ii)の前に導電性フィ
ラーを第2のポリカーボネートポリオール55中に予め分散させてもよい。工程(ii)において、導電性フィラーを第2のポリカーボネートポリオール55に分散させることが好ましい。工程(i)で形成された第2のウレタンプレポリマーにおいては、後にドメインになり得る液滴54のウレタン結合により界面が形成されており、液滴54内に導電性フィラーが入り込みにくい。
あるいは、工程(ii)と(iii)の間に導電性フィラーを添加してもよく、導電性フィラーは良好にマトリックスに分散される。マトリックスとドメインの界面は化学結合(ウレタン結合)を介して強固に形成されているため、たとえ工程(ii)の後に導電性フィラーを添加して撹拌しても、多量の導電性フィラーがドメインの中に入ることはない。
なお、説明のため、工程(i)と工程(ii)を分割して記載しているが、これらの工程は連続した一連の工程であってもよい。
工程(ii)において、液滴54を分散させる第2のポリカーボネートポリオール55は、工程(i)で用いた第1のポリカーボネートポリオールのうち、第1のウレタンプレポリマーとの未反応物であることができる。すなわち、工程(i)において、第1のウレタンプレポリマーに対して第1のポリカーボネートポリオールを過剰量用いることで、工程(ii)で説明した、第2のウレタンプレポリマー53が余剰の第1のポリカーボネートポリオール(すなわち、第2のポリカーボネートポリオール55)に分散してなる分散体を得ることができる。
なお、第1のポリカーボネートポリオールを過剰量用いた場合であっても、第2のウレタンプレポリマーの分散媒としてのポリカーボネートポリオール(第2のポリカーボネートポリオール)を追加で加えることもできる。この場合において、追加するポリカーボネートポリオールは、工程(i)で用いた第1のポリカーボネートポリオールと同一の化学組成のものであっても異なっていてもよい。
一方、工程(i)において、第1のポリカーボネートポリオールと、第1のウレタンプレポリマーと、を当量で反応させ、第1のポリカーボネートポリオールを全て消費した場合には、工程(ii)においては、新たなポリカーボネートポリオールを第2のポリカーボネートポリオールとして用いて、分散体を調製する。この場合においても、第2のポリカーボネートポリオールとして用いるポリカーボネートポリオールは、第1のポリカーボネートポリオールと同一の化学組成のものであっても異なっていてもよい。
最後に工程(iii)では、工程(ii)で調製した分散体、及び少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート56を含む成形体形成用混合物を調製する。次いで、成形体形成用混合部中の該第2のウレタンプレポリマー53の末端水酸基、該第2のポリカーボネートポリオール55の水酸基、及び該ポリイソシアネート56のイソシアネート基を反応させる。
こうして、ウレタン結合を介したネットワーク構造を形成させ、成形体形成用混合物を硬化させて、本開示に係る成形体を得る。こうして得られた成形体33は、第1のウレタンプレポリマー51に由来する構造、すなわち、第2の構造を含むドメイン32が、第1のポリカーボネートポリオール52、及び第2のポリカーボネートポリオール55に由来するポリカーボネート構造、すなわち、第1の構造を有するウレタンエラストマーを含むマトリックス31中に分散してなる、マトリックス・ドメイン構造を有する。
さらに、成形体33は導電性フィラーを含有し、該導電性フィラーはマトリックス31中に偏在している。また、ドメイン32は、主として第2の構造で構成され、ドメイン内部は架橋構造を実質的に有さないようにすることができる。言い換えれば、ドメイン32は、ほぼ液体の状態でマトリックス中に存在させ得る。このことにより、本開示に係る成
形体33においては、ドメインが低い弾性率を有することができる。
さらに、ドメインは、単に液体部分がマトリックス中に閉じ込められているのではなくて、ドメインとマトリックスとの境界部分において、ドメインとマトリックスとがウレタン結合で化学結合している。そのため、該成形体33に加えられた荷重が除去されたときのドメインの変形からの回復をマトリックスの変形からの回復に連動させることができる。
すなわち、略液状のドメインは、例えば内部に架橋構造を実質的に有さない。そのため、成形体33に対して荷重が付加されて変形したドメインは、自律的には変形から回復することが困難である。しかしながら、本開示に係る成形体においては、ドメインがマトリックスとの境界部分においてマトリックスと化学結合(ウレタン結合)していることにより、マトリックスの変形回復とともにドメインも変形から回復し得る。このことにより、成形体33に荷重の負荷と除荷とが繰り返された場合であっても安定した変形(変形量)と、当該変形からの安定的な回復とが達成される。
なお、上記工程(i)~(ii)は、本来は相溶性が低く、安定かつ均一に分散させることが困難な第2の構造を有するポリオールを第1の構造を有するポリオールに安定して分散させる工程である。すなわち、第1のウレタンプレポリマー51を、第1のポリカーボネートポリオール52と反応させて第2のウレタンプレポリマー53とする。
そのことにより、第1のウレタンプレポリマー51に由来するポリオールのセグメントを、第2のポリカーボネートポリオール中に安定かつ均一に分散してなる分散体を得ることができる。これにより、円形度が高く、かつサイズがマイクロメートルオーダーと小さくて比較的均一なサイズ分布のドメイン32が、マトリックス31中に分散してなる成形体33を作製することが容易となる。
なお、相溶性が低い材料同士を混合する他の方法として、例えば、高いせん断力で混合、分散させる方法がある。しかしながら、この方法では、該第2の構造を有するポリオールに高いせん断力が加わる結果、ドメインの形状がいびつになって円形度が低下し、また、ドメイン同士のサイズも不均一となり得る。また、分散状態も不安定であり、比較的短時間でドメイン同士の凝集が進む。
また、該第2の構造を有するポリオールと該第1の構造を有するポリオールとの非相溶性が担保されず、得られるポリウレタンエラストマーのマトリックスとドメインとの相分離が不明瞭化する。そのため、本開示に係る、柔軟かつ変形回復性に優れる弾性体を与えるような成形体を得ることは困難である。
使用する第2の構造を有するポリオール及び第1の構造を有するポリオールの量は、特に制限されず、液滴54を第2のポリカーボネートポリオール55に分散させ、明瞭なドメインを形成可能な量であればよい。例えば、第2の構造を有するポリオール:第1の構造を有するポリオールが、質量基準で、好ましくは10:90~50:50であり、より好ましくは20:80~40:60である。
第1のウレタンプレポリマーは、少なくとも1個のイソシアネート基を有し、かつ、該第2の構造を有する。好ましくは、少なくとも1個のイソシアネート基を有し、かつ、式(2)で表される構造を有するポリエーテル構造を有する。第1のウレタンプレポリマーは、例えば、以下の工程により得ることができる。
少なくとも2つの水酸基を有し、かつ、式(2)で表される構造を有するポリエーテルポリオールと、少なくとも2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネートを反応させる。
該ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリテトラ
メチレングリコール、テトラヒドロフランとネオペンチルグリコールとの共重合体、テトラヒドロフランと3-メチルテトラヒドロフランとの共重合体等のアルキレン構造含有ポリエーテル系ポリオールや、これらポリアルキレングリコールのランダム又はブロック共重合体などが挙げられる。これらは、単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。
該ポリエーテルポリオールの中でも、後述する第2のポリカーボネートポリオールとの低い相溶性、及び低弾性を実現できるという観点から、非晶性のポリエーテルポリオールが好ましい。より好ましくは、ポリエーテルポリオールの中でも、ポリプロピレングリコール、テトラヒドロフランとネオペンチルグリコールとの共重合体、テトラヒドロフランと3-メチルテトラヒドロフランとの共重合体から選ばれる少なくとも一つを含有することである。さらに好ましくは、少なくともポリプロピレングリコールを含有することである。
第2の構造を有するポリオールの数平均分子量は、1000以上50000以下であることが好ましい。より好ましくは、1200以上30000以下である。数平均分子量が1000以上である場合、ポリカーボネートポリオールとの低い相溶性が担保され、得られるウレタンエラストマーのマトリックスとドメインとの相分離がより明瞭化する。また、数平均分子量が50000以下の場合、該ポリエーテルポリオールに由来するポリウレタンセグメントがドメインを形成しやすくなる傾向があり、相分離形態がより安定化する。
第2の構造を有するポリオールと反応させるポリイソシアネートとしては、例えば、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、或いはこれらポリイソシアネートの3量体化合物(イソシアヌレート)又は多量体化合物、アロファネート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、水分散型ポリイソシアネート等が挙げられる。これらポリイソシアネートは単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。
上記に例示したポリイソシアネートの中でも、第2の構造を有するポリオールとの相溶性の高さ、及び粘度等の物性調整の容易さから、2つのイソシアネート基を有する二官能イソシアネート(ジイソシアネート)が好ましい。より好ましくは、上記ポリイソシアネートの中でも、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートから選ばれる少なくとも一つを含有することである。キシリレンジイソシアネートがさらに好ましい。
第2の構造を有するポリオールと、ポリイソシアネートを反応させて第1のウレタンプレポリマーを得る工程において、イソシアネートインデックスが0.05~8.0であることが好ましい。より好ましくは、0.1~5.0である。イソシアネートインデックスが該範囲にあることによって、ネットワーク構造化されずに残存する第1のウレタンプレポリマー由来の成分を低減し、ポリウレタンエラストマーからの液状物質の滲み出しを抑制することができる。
なお、イソシアネートインデックスとは、イソシアネート化合物中のイソシアネート基のモル数のポリオール化合物中の水酸基のモル数に対する比([NCO]/[OH])を示すものである。
第2の構造を有するポリオールと、ポリイソネートとの反応で得られる第1のウレタンプレポリマーは、水酸基とイソシアネート基との反応によるウレタン結合を介して連結さ
れた構造を有している。その数平均分子量は1000以上100000以下であることが好ましい。より好ましくは、1200以上50000以下である。
第1のポリカーボネートポリオールは、少なくとも2個の水酸基を有し、かつ、式(1)で表される構造を有するポリカーボネートポリオールである。好ましくは式(1)で表される構造を有するポリカーボネートジオールである。第1のポリカーボネートポリオールとしては、例えば、多価アルコールとホスゲンとの反応物、環状炭酸エステル(アルキレンカーボネートなど)の開環重合物などが挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-テトラメチレンジオール、1,3-テトラメチレンジオール、2-メチル-1,3-トリメチレンジオール、1,5-ペンタメチレンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサメチレンジオール、3-メチル-1,5-ペンタメチレンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタメチレンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジオール類(1,4-シクロヘキサンジオールなど)、糖アルコール類(キシリトールやソルビトールなど)などが挙げられる。
アルキレンカーボネートとしては、例えば、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ヘキサメチレンカーボネートなどが挙げられる。
第1のポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、500以上10000以下であることが好ましい。より好ましくは、700以上8000以下である。数平均分子量が500以上である場合、式(2)で表されるポリエーテル構造を含むポリウレタンセグメントとの低い相溶性が担保され、マトリックスとドメインとの相分離をより明確にすることができる。また、数平均分子量が10000以下である場合、原料となるポリカーボネートポリオールの粘度上昇によって、取り扱いが困難になることを防げるため好ましい。
第1のポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、該ポリエーテルポリオールの数平均分子量と同様、水酸基価(mgKOH/g)と価数を用いて算出することができる。
工程(iii)で使用する少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート56としては、第1のウレタンプレポリマーの原料として上記に例示したポリイソシアネートと同様のものを用いることができる。これらポリイソシアネートは単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。
工程(iii)で使用するポリイソシアネートとしては、上記に例示したポリイソシアネートの中でも、マトリックスの弾性率を上げられる観点から、ポリイソシアネートの3量体化合物(イソシアヌレート)又は多量体化合物、アロファネート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート等、少なくとも3個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートを含むことが好ましい。
より好ましくは、ペンタメチレンジイソシアネートの3量体化合物(イソシアヌレート)、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体化合物(イソシアヌレート)、ジフェニルメタンジイソシアネートの多量体化合物、ポリメリックMDIからなる群から選択される少なくとも一を用いることができる。ウレタンエラストマーの硬化触媒は、ゴム化(樹脂化)や泡化を促進するためのウレタン化触媒(反応促進触媒)と、イソシアヌレート化触媒(イソシアネート3量化触媒)とに大別される。本開示では、これらの一つを単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。
上記の中でもポリメリックMDIが好ましい。ここで、ポリメリックMDIはモノメリ
ックMDIと高分子量のポリイソシアネートの混合物であり、以下の式(A)で示される。式(A)におけるnは、0以上4以下であることが好ましい。
ポリメリックMDIは、市販のものを用いてもよく、ミリオネートMR200(商品名)など、ミリオネートMRシリーズ(東ソー社製)が挙げられる。
Figure 2024062625000004
少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート56としては、ポリメリックMDIなどの少なくとも3個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート及び2つのイソシアネート基を有する二官能イソシアネートを併用することが好ましい。上記併用により、架橋密度を制御することができるため、低弾性と低永久歪みの両立を実現する観点から好ましい。
少なくとも3個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート及び2つのイソシアネート基を有する二官能イソシアネートの量は、特に制限されない。工程(iii)における上記分散体に混合するときの量として、二官能イソシアネート:少なくとも3個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートが、好ましくは3:1~1:10であり、より好ましくは1:1~1:6である。工程(iii)における上記分散体100質量部に対するポリイソシアネートの量も特に制限されず、例えば、1~10質量部、3~8質量部が挙げられる。
ウレタン化触媒としては、例えば、ジブチルチンジラウレート、スタナスオクトエートなどのスズ系のウレタン化触媒や、トリエチレンジアミン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジエチルイミダゾール、テトラメチルプロパンジアミン、N,N,N’-トリメチルアミノエチルエタノールアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-メタノールなどのアミン系のウレタン化触媒などが挙げられる。これらの一つを単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。これらのウレタン化触媒の中でも、ウレタン反応を特に促進する点で、トリエチレンジアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-メタノールが好ましい。
イソシアヌレート化触媒としては、例えば、LiO,(BuSn)Oなどの金属酸化物や、NaBHなどのハイドライド化合物や、NaOCH、KO-(t-Bu)、ホウ酸塩などのアルコキシド化合物や、N(C、N(CHCH、1,4-エチレンピペラジン(DABCO)などのアミン化合物や、HCOONa、NaCO、PhCOONa/DMF、CHCOOK、(CHCOO)Ca、アルカリ石鹸、ナフテン酸塩などのアルカリ性カルボキシレート塩化合物や、アルカリ性ギ酸塩化合物や、((R)-NR’OH)―OCOR”などの4級アンモニウム塩化合物などが挙げられる。
また、イソシアヌレート化触媒として用いられる組み合わせ触媒(共触媒)として、例えばアミン/エポキシド、アミン/カルボン酸、アミン/アルキレンイミドなどが挙げられる。これらイソシアヌレート化触媒及び組合せ触媒は、単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。
ウレタン合成用触媒として、単独でウレタン化触媒として作用し、かつイソシアヌレート化触媒の作用も示すN,N,N’-トリメチルアミノエチルエタノールアミン(以下、ETAという)を用いてもよい。
ポリウレタンエラストマーの製造方法においては、必要に応じて鎖延長剤(多官能の低分子量ポリオール)を用いてもよい。鎖延長剤としては、例えば、数平均分子量1000以下のグリコールが挙げられる。
グリコールとしては、例えばエチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、プロピレングリコール(PG)、ジプロピレングリコール(DPG)、1,4-ブタンジオール(1,4-BD)、1,6-ヘキサンジオール(1,6-HD)、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール(テレフタリルアルコール)、トリエチレングリコールなどが挙げられる。
また、グリコール以外の鎖延長剤としては、例えば3価以上の多価アルコールが挙げられる。3価以上の多価アルコールとしては、例えばトリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。これらを単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。
また、必要に応じて導電剤、顔料、可塑剤、防水剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤などの添加剤を併せて用いることもできる。
成形体は、センサー用のウレタンエラストマーの成形体として用いることができる。例えば、歪みにより体積抵抗が変化する抵抗変化型のセンサーなどに成形体を用いることができる。
具体的には、本開示の一態様によれば、歪みの量に応じて体積抵抗率が変化する感歪部を有し、該感歪部が、本開示の一態様に係る成形体を含む歪みセンサーが提供される。このような歪みセンサーは、感歪部が柔軟であるためにわずかな歪みに対しても高い感度を有し得る。また、該感歪部は、繰り返しの歪みの負荷と除荷によっても永久歪みが生じにくいため、繰り返しの使用によっても歪みの検知を正確に行い得る。
以下に実施例を挙げて本開示の一形態をさらに具体的に説明する。しかし、本開示は下記実施例に制限されるものではない。
<実施例1>
(成形体形成用混合物の作製)
ポリプロピレングリコール(商品名:PREMINOL S 4013F、AGC株式会社製)20.1質量部、ポリプロピレングリコール(商品名:ユニオール D-4000、日油株式会社製)19.2質量部、キシリレンジイソシアネート(XDI)(東京化成工業株式会社製)2.6質量部に硬化触媒として1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-メタノール(商品名:RZETA、東ソー株式会社製)500ppmを加え、100℃に調整した密閉型ミキサーで4時間撹拌することで2個のイソシアネート基を有するポリエーテル(第1のウレタンプレポリマー)を合成した。
なお、以下の実施例及び比較例も含めて、硬化触媒の量は成形体に使用する全材料の質量を基準とした質量ppmである。
これにポリカーボネートジオール(商品名:デュラノール G3452、旭化成株式会社製)50.4質量部を混合した。その後、100℃に調節した密閉型ミキサーでさらに2時間撹拌することで2個の水酸基を有するウレタン反応性乳化剤(第2のウレタンプレポリマー)の合成、及びウレタン反応性乳化剤を含む液滴がポリカーボネートジオール中に分散した分散体を得た。(工程(i))
この分散体にカーボンブラック(商品名:デンカブラック粉状品、デンカ株式会社製)1.5質量部を加えて自公転式真空脱泡ミキサーで公転速度1600rpmの条件で3分間撹拌し、カーボンブラックが分散した分散体を得た。(工程(ii))
次に、カーボンブラックが分散した分散体にキシリレンジイソシアネート(東京化成工業社製、以降、「XDI」と記載する場合がある)1.1質量部、ポリイソシアネート(商品名:ミリオネート MR-200、東ソー株式会社製、以降、「MR-200」と記載する場合がある)5.3質量部を加えて自公転式真空脱泡ミキサーで公転速度1600rpmの条件で2分間撹拌し、成形体形成用混合物を得た。
(成形体の作製)
成形体形成用混合物を130℃に予熱した2mm厚シート作製用の金型に10秒かけて流し込み、130℃で2時間保持することで硬化させた。(工程(iii))次いで、硬化物を脱型し、80℃で2日間エージングして成形体を得た。さらに、得られた成形体について以下の評価を行った。
<評価>
実施例及び比較例における評価方法は下記のとおりである。
(評価1:マトリックス(表5~7中、「M」と記載する場合がある)とドメイン(表5~7中、「D」と記載する場合がある)の確認と分析)
凍結切削システム(商品名:EM FC6、ライカマイクロシステムズ社製)及びウルトラミクロトーム(商品名:EM UC6、ライカマイクロシステムズ社製)を用いて成形体から超薄の切片(500μm×500μm×5μm)を作製した。切片を作製する場所は、成形体の中央とそこから十分に離れた2か所の計3か所とした。
作製した切片に対して、赤外顕微鏡・イメージングシステム(商品名:Spectrum400(分析装置)及びSpotlight400(走査装置)、PerkinElmer社製)を用いてマッピング測定を行ってマッピング画像を作成した。測定は、ATRイメージングアクセサリを用い、ピクセルサイズ:1.56μm、分解能:16cm-1、視野:300μm×300μm、及びスキャン速度:1.0cm/sの条件にてマッピング測定を行った。上記マッピング画像は、ピクセル毎の赤外吸収スペクトルの積分値の大小を画像化したものである。
得られたマッピング画像から、連続相としてマッピングされるマトリックス及び非連続相としてマッピングされるドメインの存在を確認した。さらに、マッピング画像のマトリックスの赤外吸収スペクトルから、マトリックスが第1の構造(例えばポリカーボネートジオールに対応する構造)を含むことを確認した。また、マッピング画像のドメインの赤外吸収スペクトルから、ドメインが第2の構造(例えばポリプロピレングリコールに対応する構造)を含んでいることを確認した。すなわち、マトリックスが、式(1)で表されるカーボネート構造を含むこと、ドメインが、式(2)で表されるエーテル構造を含んでいることを確認した。
(評価2:粘弾性項を示すパラメータの測定)
評価1と同様にして、超薄の切片を作製した。
切片は計3枚作製し、任意の50μm四方の観察領域を選択し、合計3カ所の観察領域で粘弾性像の観察を行った。合計3カ所の観察領域で走査型プローブ顕微鏡(商品名:S-Image、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を使って粘弾性像の測定を行った。粘弾性像の測定モードはVE-DFMとした。また、カンチレバーは、「SI-DF3」(商品名、株式会社日立ハイテクサイエンス社製、ばね定数=1.9N/m)を用いた。さらに、走査周波数は0.5Hzとした。
得られた粘弾性像から、各観察領域で粘弾性項を示すパラメータをマトリックスとドメインで各10点算出し、その算術平均値からドメインの粘弾性項を示すパラメータA(m
V)とマトリックスの粘弾性項を示すパラメータB(mV)を求めた。また、評価は粘弾性項の大小関係で行った。
なお、断面においてドメインが露出していること、及び、マトリックスが露出していることは、SPMの粘弾性像によって確認した。
(評価3:導電性フィラーの存在位置(カーボンブラック(CB)の位置))
凍結切削システム(商品名:EM FC6、ライカマイクロシステムズ社製)及びウルトラミクロトーム(商品名:EM UC6、ライカマイクロシステムズ社製)を用いて、成形体から切片(500μm×500μm×100nm)を作製した。
各切片の任意の位置に、一辺が50μmの正方形の観察領域を置いた。そして、合計3つの観察領域で透過電子顕微鏡(TEM)と電子エネルギー損失分光法(EELS)を組み合わせた高分解能電子エネルギー損失分光電子顕微鏡(商品名:H-7100FA、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて、加速電圧100kV、観察倍率3,000倍、ビーム径2nmの条件にて、当該観察領域のTEM画像及び酸素原子のマッピング画像(以降、単に「マッピング画像」ともいう)を得た。
TEM画像からは、当該観察領域にマトリックス及びドメインが存在していることが確認できた。また、マッピング画像においては、酸素原子を含まない領域、すなわち、カーボンブラック(導電性フィラー)の部分を、ウレタンエラストマーの領域と判別可能であった。そして、TEM画像及びマッピング画像から、マトリックスに存在するカーボンブラックとドメインに存在するカーボンブラックとを特定した。
次いで、マッピング画像を、画像処理ソフトウェア((商品名:ImageProPlus、MediaCybernetics社製)を用いて、カーボンブラックの部分とウレタンエラストマーの部分とを2値化した解析用の2値化画像を得た。2値化のための閾値は、マッピング画像の輝度分布から、非特許文献1に記載されている大津のアルゴリズムに基づいて決定した。
次に、得られた2値化画像から、上記画像処理ソフトウェアのカウント機能を用いて、当該観察領域内に存在するカーボンブラック(導電性フィラー)の全面積を含有量Cとする。また、マトリックスに存在するカーボンブラック(導電性フィラー)の全面積を含有量Dとする。そして、含有量Dの含有量Cに対する比の値D/Cを算出する。
実施例の評価においては、導電性フィラーの全面積(含有量C)に対してマトリックスに存在する導電性フィラーの全面積(含有量D)の比の値D/Cが0.90以上の場合をAとし、0.90未満の場合をBとした。評価結果は、評価3 CBの位置として記載する。
(評価4:弾性率の測定)
成形体に対して万能引張試験機(オリエンテック社製,製品名:テンシロンRTF-1250)を用い、温度23℃で JIS K 6251 に従い引張応力を測定した。50%伸び時の引張応力を弾性率(MPa)とした。具体的には以下の通りである。
ダンベル形状2号を使用し、引張速度は500mm/minとした。また、試験3回の平均値を評価した。
(評価5:破断伸び)
成形体に対して万能引張試験機(オリエンテック社製,製品名:テンシロンRTF-1250)を用い、温度23℃で JIS K 6251に従い引張強度を測定した。具体的には以下の通りである。
ダンベル形状2号を使用し、引張速度は500mm/minとした。また、試験3回の平均値を評価した。
評価結果は、評価5 破断伸びとして記載する。
(評価6:50%引張後の引張永久歪み)
万能引張試験機(オリエンテック社製,製品名:テンシロンRTF-1250)を用いて温度23℃で測定した。成形体に対して、50%伸びを与え30秒保持したのち応力を開放し10秒後の伸び量を永久歪みとした。具体的には以下の通りである。
ダンベル形状2号を使用し、引張速度は500mm/minとした。また、試験3回の平均値を評価した。
評価結果は、評価6 永久歪みとして記載する。
(評価7:(Log10(Rb)-Log10(Ra))
評価7~評価10に係る抵抗Ra、Rb、Rcの計測手法について説明する。成形体から幅5mm長さ40mm厚さ2mmの長方形(直方体)サンプル34を抜き出し、図3に示す治具に設置した。電源43にはKEITHLEY6517を用いて電圧50V印可し10秒後の抵抗を測定し体積抵抗率に換算した。
Raは初期(無負荷時)の抵抗値を体積抵抗率に換算した値とした。また、Rbは50%引張後30秒後に電圧50V印可し10秒後の体積抵抗率とした。50%の引張は片側の電極41を移動させ電極間距離を1.5倍の1.5cmにして行った。Rcには50%引張を30秒間保持しその引張応力を除荷した後に電圧を50V印可し、10秒後の体積抵抗率を用いた。
なお、体積抵抗率の換算には電極間長さと成形体中央の断面積を実測し使用した。測定は23℃で実施した。サンプル10点の算術平均値を採用した。
Log10(Rb)-Log10(Ra)で計算された値を評価7とした。
(評価8:(Log10(Rc)-Log10(Ra))/ (Log10(Rb)-Log10(Ra))
評価7に従い、(Log10(Rc)-Log10(Ra))/ (Log10(Rb)-Log10(Ra))で計算された値を評価8とした。
(評価9:Log10(Ra))
評価7に従い、Log10(Ra)の値を評価9とした。
(評価10:Log10(Rc)-Log10(Ra))
評価7に従い、Log10(Rc)-Log10(Ra)の値を評価10とした。
(評価11:マイクロゴム硬度)
マイクロゴム硬度計(商品名:MD-1capa、高分子計器株式会社製)を使って、成形体のマイクロゴム硬度を測定した。測定にあたり、成形体を温度23℃の環境に24時間以上放置し、同環境下に置かれた測定装置を用いて測定を行った。また、押針は、タイプA(押針形状:高さ0.50mm、直径0.16mm、円柱形、加圧脚寸法:外径4mm、内径1.5m)を用い、測定モードはピークホールドモードとした。
マイクロゴム硬度を測定する場所は、成形体の中央とそこから十分に離れた2か所の計3か所とした。温度23℃でマイクロゴム硬度を各測定場所で測定した時の平均値を算出した。
(評価12:ナノインデンター)
成形体の変形回復性は、温度23℃におけるナノインデンター(商品名:HM2000、株式会社フィッシャー・インストルメンツ製)を用いた押し込み試験で評価した。測定にあたり、成形体を温度23℃の環境に24時間以上放置し、同環境下に置かれた測定装置を用いて測定を行った。
測定する場所は、成形体の中央とそこから十分に離れた2か所の計3か所とした。押し込み試験では、成形体のマトリックスに対し、ビッカース圧子(四角錘型、対面角136°)を荷重速度10mN/30秒で押し込み、荷重10mNで60秒間維持する。その後、除荷速度10mN/1秒にて荷重を取り除き(除荷)、除荷5秒後の成形体歪みを測定し、各測定場所で測定した算術平均値を算出した。
なお、圧子がマトリックスを押し込んでいるかどうかは、装置付属のビデオマイクロ画像により確認した。
なお、実施例の評価では1.0μm以下の場合をA、1.0μmを超える場合をBとした。
(評価13:ドメインの断面積の割合)
評価2で得られた3つの粘弾性像それぞれについて、画像処理ソフトウェア(商品名:ImageProPlus、MediaCybernetics社製)を用いて256階調のグレースケール画像に変換し、次いで2値化して解析用の2値化画像を得た。2値化のための閾値は、モノクロ画像の輝度分布から、非特許文献1に記載されている大津のアルゴリズムに基づいて決定した。
さらに得られた2値化画像から、上記画像処理ソフトウェアのカウント機能を用いて、ドメインの断面積、及びドメインの個数を算出した。ただし、カウント機能によってドメインと判定されたもののうち、50μm四方の観察領域に対して断面積が0.05面積%未満のドメインは、ノイズと見做してデータから削除した。そして、各観察領域におけるドメインの断面積の合計の観察領域の面積に対する割合(面積%)を算出した。
(評価14:ドメイン個数)
評価13と同様にして、ノイズを除去した2値化画像を得た。
そして、各観察領域内におけるドメインのうち、断面積が観察領域の面積の0.1~13.0面積%であるドメインの個数を求め、観察領域の面積に対して0.1~13.0面積%の断面積を有するドメインの個数の割合(面積%)を求めた。
(評価15:円形度)
評価13で得た2値化画像から、上記画像処理ソフトウェアのカウント機能を用いてドメインの円形度を算出した。ただし、評価13と同様にして、ノイズ由来のドメインをデータから削除した。そして、各観察領域内のドメインのうち、円形度が0.60以上0.95以下であるドメインの個数をカウントし、各観察領域内のドメインの総個数に対する割合(%)を算出した。
<実施例2~11、13>
表4に示す材料を、表4に示す配合量にて用いた以外は、実施例1と同様にして成形体形成用混合物を調製した。当該成形体形成用混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして各実施例に係る成形体を作製した。得られた形成体を実施例1と同様にして評価した。
なお、表4中の材料種の詳細を表1、表2及び表3に示した。以下の実施例についても同様である。
<実施例12>
表4に示す材料を、表4に示す配合量にて用いた以外は、実施例1と同様にして成形体形成用混合物を調製した。その後、130℃に予熱した熱板上に成形体形成用混合物を配置し、厚さ2mmになるようにアプリケーターですばやく引き延ばし、130℃で2時間保持することで硬化させた。次いで、硬化物に対し、80℃で2日間エージングして成形体を得た。さらに、得られた形成体を実施例1と同様にして評価した。
Figure 2024062625000005
なお、上記A5の、テトラヒドロフラン-ネオペンチルグリコール共重合体は、構造式:HO-(CHCHCHCHO)-(CHC(CHCHO)-で表されるポリエーテルグリコールである。
Figure 2024062625000006
表中、炭素数に関し、例えば、6(直鎖)+6(分岐)の記載は、Rが直鎖の炭素数6の構造と、分岐の炭素数6の構造を含んでいることを示す。
なお、上記B2に係るクラレポリオールC-2090(クラレ株式会社製ポリカーボネートポリオール;数平均分子量1993;水酸基価56.3mgKOH/g;1,6-ヘキサンジオール由来の構造と3-メチル-1,5-ペンタンジオール由来の構造とを有するポリカーボネートポリオールである。
Figure 2024062625000007
Figure 2024062625000008
XDIの質量部数に関し、1stは第1のウレタンプレポリマーの作製で用いた量であり、2ndはカーボンブラックが分散した分散体への添加量である。
<比較例1>
(成形体形成用混合物の作製)
ポリプロピレングリコール(商品名:PREMINOL S 4013F、AGC株式会社製)24.9質量部、ポリプロピレングリコール(商品名:ユニオール D-4000、日油株式会社製)24.0質量部、キシリレンジイソシアネート(XDI)(東京化成工業株式会社製)3.1質量部に硬化触媒(商品名:RZETA、東ソー株式会社製)500ppmを加え、100℃に調整した密閉型ミキサーで4時間撹拌することで2個のイソシアネート基を有するポリエーテルを合成した。
これにポリカーボネートジオール(商品名:デュラノール G3452、旭化成株式会社製)41.5質量部を混合した。その後、100℃に調節した密閉型ミキサーでさらに2時間撹拌することで2個の水酸基を有するウレタン反応性乳化剤の合成、及びウレタン反応性乳化剤を含む液滴がポリカーボネートジオール中に分散した分散体を得た。
この分散体にカーボンブラック(商品名:デンカブラック粉状品、デンカ株式会社製)1.8質量部を加えて自公転式真空脱泡ミキサーで公転速度1600rpmの条件で3分間撹拌し、カーボンブラックが分散した分散体を得た。
次に、カーボンブラックが分散した分散体にキシリレンジイソシアネート(XDI)(東京化成工業株式会社製)0.3質量部、ポリイソシアネート(商品名:ミリオネート MR-200、東ソー株式会社製)4.9質量部を加えて自公転式真空脱泡ミキサーで公転速度1600rpmの条件で2分間撹拌し、成形体形成用混合物を得た。
こうして得られた成形体形成用混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして本比較例に係る成形体を得た。得られた成形体について実施例1と同様にして評価した。
評価1の結果に関し、マトリックスとドメインは明瞭に相分離していた。また、マトリックスにはポリエーテルから構成されるウレタンエラストマーを含み、ドメインにはポリカーボネートから構成されるウレタンエラストマーが含まれていることを確認した。すなわち、実施例1に係るポリウレタンエラストマーとはドメインとマトリックスの関係が逆となった。これは、成形体の作製に使用するポリカーボネートジオールの量が、ポリエーテルジオールの量に比べて相対的に少なくなり、安定的に存在し得る相構造が変化したためと考えられる。
<比較例2>
(成形体形成用混合物の作製)
ポリプロピレングリコール(商品名:ユニオール D-2000、日油株式会社製)7.0質量部、ポリカーボネートジオール(デュラノール T6002、旭化成株式会社製)79.1質量部に硬化触媒(商品名:RZETA、東ソー株式会社製)500ppmを加え、100℃に調整した密閉型ミキサーで2時間撹拌した。
さらにカーボンブラック(商品名:NIPex160IQ、株式会社オリオン・エンジニアドカーボンズ製)3.0質量部を加えて自公転式真空脱泡ミキサーで公転速度1600rpmの条件で3分間撹拌した。
これにキシリレンジイソシアネート(XDI)(東京化成工業株式会社製)4.9質量部、ポリイソシアネート(商品名:ミリオネート MR-200、東ソー株式会社製)7.9質量部を加えた。得られた混合物を、自公転式真空脱泡ミキサーで公転速度1600rpmの条件で2分間撹拌し、成形体形成用混合物を得た。
当該成形体形成用混合物を用いた以外は実施例1と同様にして成形体を形成、本比較例に係る成形体を作製した。得られた成形体を実施例1と同様にして評価した。特に評価1の結果に関し、マトリックスとドメインの明瞭な相分離が見られなかった。
<比較例3>
(成形体形成用混合物の作製)
ポリカーボネートジオール(商品名:クラレポリオール C-2090、株式会社クラレ製)46.6質量部と樹脂粒子(商品名:テクポリマー MBX-5、積水化成品工業株式会社製)44.8質量部に硬化触媒(商品名:RZETA、東ソー株式会社製)500ppmを加え、100℃に調整した密閉型真空ミキサーで4時間撹拌した。
さらにカーボンブラック(商品名:デンカブラック、デンカ株式会社製)1.7質量部を加えて自公転式真空脱泡ミキサーで公転速度1600rpmの条件で3分間撹拌した。
これにキシリレンジイソシアネート(XDI)(東京化成工業株式会社製)2.8質量部、ポリイソシアネート(商品名:ミリオネート MR-200、東ソー株式会社製)4.5質量部を加えた。得られた混合物を自公転式真空脱泡ミキサーで公転速度1600rpmの条件で2分間撹拌し、成形体形成用混合物を得た。
当該成形体形成用混合物を用いた以外は実施例1と同様にして成形体を形成して、本比較例に係る成形体を作製した。得られた成形体を実施例1と同様にして評価した。なお、本比較例に係る成形体の評価においては、樹脂粒子をドメイントみなして評価した。
<比較例4>
(成形体形成用混合物の作製)
ポリプロピレングリコール(商品名:PREMINOL S 4013F、AGC株式会社製)20.1質量部、ポリプロピレングリコール(商品名:ユニオール D-4000、日油株式会社製)19.2質量部、キシリレンジイソシアネート(XDI)(東京化成工業株式会社製)2.6質量部、カーボンブラック(商品名:デンカブラック粉状品、デンカ株式会社製)1.5質量部に硬化触媒として1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン-2-メタノール(商品名:RZETA、東ソー株式会社製)500ppmを加え、100℃に調整した密閉型ミキサーで4時間撹拌することで2個のイソシアネート基を有するポリエーテルを合成した。
これにポリカーボネートジオール(商品名:デュラノール G3452、旭化成株式会社製)50.4質量部を混合した。その後、100℃に調節した密閉型ミキサーでさらに2時間撹拌することで2個の水酸基を有するウレタン反応性乳化剤(第2のウレタンプレポリマー)の合成、及びウレタン反応性乳化剤を含む液滴がポリカーボネートジオール中に分散した分散体を得た。
この分散体にキシリレンジイソシアネート(東京化成工業社製、以降、「XDI」と記載する場合がある)1.1質量部、ポリイソシアネート(商品名:ミリオネート MR-200、東ソー株式会社製、以降、「MR-200」と記載する場合がある)5.0質量部を加えて自公転式真空脱泡ミキサーで公転速度1600rpmの条件で2分間撹拌し、成形体形成用混合物を得た。
当該成形体形成用混合物を用いた以外は実施例1と同様にして成形体を形成、本比較例に係る成形体を作製した。得られた成形体を実施例1と同様にして評価した。
以下、評価結果を表5~7に示す。
Figure 2024062625000009
各表中、ABの関係は、粘弾性項を示すパラメータAとBの関係を示す。弾性率は、50%引張時の弾性率(MPa)を示す。評価7~10は、式(1)~(4)の左辺の値を記載する。マイクロゴム硬度の単位は「度」である。評価12ナノインデンターは、「マトリックスに対するナノインデンターを用いた押し込み試験における除荷5秒後の歪み(μm)」を示す。
評価13ドメイン断面積は、「50μm四方の観察領域におけるドメインの断面積の合計の割合」を示す。評価14ドメイン個数は、「面積が観察領域の面積の0.1~13.0%であるドメインの個数の割合」である。評価15円形度は、「円形度が0.60~0.95であるドメインの個数の、ドメインの総個数に占める割合」である。
Figure 2024062625000010
Figure 2024062625000011
実施例1~13に係る成形体は、弾性率が低く、破断伸びが大きく、さらには永久歪み
が小さいため、センサーとして優れた機械特性を示した。また、ウレタンエラストマーを含むマトリックスにドメインが複数個分散されていた。
マトリックスの粘弾性項を示すパラメータBがドメインの粘弾性項を示すパラメータAより大きく、マトリックスに優先的に導電剤が配置されていた(すなわち、D/C≧0.90を満たし、導電性フィラーがマトリックスに偏在していた)。結果として、変形によって抵抗が変化し、また繰り返し再現性の高い機械特性と電気特性を示す成形体となり、センサーとして好適であった。
また、実施例1~5、7~10、12、13は、さらにLog10(Ra)≦9.00を達成しており、センサーとして感度が高く、より好適であった。
また、実施例2~5、11はLog10(Rc)-Log10(Ra)≦0.05を達成しており、非常に良い抵抗の再現性を示した。
また、実施例3と実施例5は変形による抵抗の変動幅が大きく(評価7)、除荷時の抵抗の再現性が高い値(評価8)となっており、センサーとしてより良好な特性を示した。
一方、比較例1及び比較例3に係る成形体は、マトリックスの粘弾性項を示すパラメータBよりドメインの粘弾性項を示すパラメータAの方が大きくなっていた。その結果、永久ひずみが大きくなり、また、除荷時の抵抗の戻り率も低下していた。
比較例2に係る成形体は、ポリエーテルとウレタン反応性乳化剤を経ずに機械的に相分離させてマトリックス・ドメイン構造を形成した。そのために相分離が不明瞭であり、結果として除荷時の抵抗の戻り率が低下した。
比較例4に係る成形体は、実施例1に比べ、導電性フィラーがマトリックス中に偏在していなかった。そのため、好適な電気特性が得られなかった。
本開示は、以下の構成に関する。
(構成1)
ポリウレタンエラストマーと該ポリウレタンエラストマー中の導電性フィラーとを含む成形体であって、
該ポリウレタンエラストマーは、マトリックスと、該マトリックス中に分散された複数個のドメインと、を有し、
該導電性フィラーは、該マトリックス中に偏在しており、
該成形体の、該ドメインと該マトリックスとが露出してなる断面の、走査型プローブ顕微鏡による粘弾性像において測定される該ドメインの粘弾性項を示すパラメータAと、該マトリックスの粘弾性項を示すパラメータBと、の関係が、A<Bであり
温度23℃における、該成形体の50%引張時の弾性率が4.00MPa以下であり、該成形体の破断伸びが100%以上であり、かつ、該成形体の50%引張後の引張永久歪みが10%以下であり、
無歪みのときの該成形体の体積抵抗率をRa(Ω・cm)とし、該成形体を50%伸長させたときの体積抵抗率をRb(Ω・cm)とし、50%伸長させた該成形体に加えた張力を解放したときの体積抵抗率をRc(Ω・cm)としたとき、
該Ra、Rb及びRcが、下記式(1)及び(2)の関係を満たす、ことを特徴とする成形体:
(1)・・・ Log10(Rb)-Log10(Ra)≧0.10
(2)・・・ (Log10(Rc)-Log10(Ra))/(Log10(Rb)-Log10(Ra))≦0.25。
(構成2)
前記Raが、下記式(3)を満たす、構成1に記載の成形体:
(3)・・・ Log10(Ra)≦9.00。
(構成3)
前記Ra及び前記Rcが、下記式(4)を満たす、構成1又は2に記載の成形体:
(4)・・・ Log10(Rc)-Log10(Ra)≦0.05。
(構成4)
前記成形体の、温度23℃におけるマイクロゴム硬度が20~50度であり、
前記断面の、前記マトリックスにビッカース圧子を当接させ、該ビッカース圧子を荷重速度10mN/30秒で押し込み、荷重10mNで60秒間維持した後、除荷したとき、除荷5秒後の歪みが1.0μm以下である、構成1~3のいずれかに記載の成形体。
(構成5)
前記成形体の断面の3カ所に50μm四方の観察領域を置いて観察したとき、該観察領域の全3カ所が下記要件(2-1)及び要件(2-2)を満たす、構成1~4のいずれかに記載の成形体:
要件(2-1)該観察領域における前記ドメインの断面積の合計の割合が、15~45%である;
要件(2-2)断面積が該観察領域の面積の0.1~13.0%である該ドメインの個数の割合が、70個数%以上である。
(構成6)
前記成形体の断面の3カ所に50μm四方の観察領域を置いて観察したとき、
円形度が0.60~0.95である前記ドメインの個数の、前記ドメインの総個数に占める割合が、70個数%以上である構成1~5のいずれかに記載の成形体。
(構成7)
前記マトリックスが、第1の構造として下記式(1)で表されるポリカーボネート構造を有し、
前記ドメインが、第2の構造として下記式(2)で表されるポリエーテル構造を含む構成1~6のいずれかに記載の成形体。
Figure 2024062625000012
(式(1)中、Rは、炭素数3~9のアルキレン基を示し、式(2)中、Rは、炭素数3~6のアルキレン基を示す。)
(構成8)
前記パラメータAの前記パラメータBに対する比の値(A/B)が、0.65以下である構成1~7のいずれかに記載の成形体。
(構成9)
ポリウレタンエラストマーと該ポリウレタンエラストマー中の導電性フィラーとを含む弾性体であって、
該ポリウレタンエラストマーは、マトリックスと、該マトリックス中に分散された複数個のドメインと、を有し、
該導電性フィラーは、該マトリックス中に偏在しており、
該弾性体の、該ドメインと該マトリックスとが露出してなる断面の、走査型プローブ顕微鏡による粘弾性像において測定される該ドメインの粘弾性項を示すパラメータAと、該マトリックスの粘弾性項を示すパラメータBと、の関係が、A<Bであり
温度23℃における、該弾性体の50%引張時の弾性率が4.00MPa以下であり、該弾性体の破断伸びが100%以上であり、かつ、該弾性体の50%引張後の引張永久歪みが10%以下であり、
無歪みのときの該弾性体の体積抵抗率をRa(Ω・cm)とし、該弾性体を50%伸長
させたときの体積抵抗率をRb(Ω・cm)とし、50%伸長させた該弾性体に加えた張力を解放したときの体積抵抗率をRc(Ω・cm)としたとき、
該Ra、Rb及びRcが、下記式(1)及び(2)の関係を満たす、ことを特徴とする弾性体:
(1)・・・ Log10(Rb)-Log10(Ra)≧0.10
(2)・・・ (Log10(Rc)-Log10(Ra))/(Log10(Rb)-Log10(Ra))≦0.25。
(構成10)
歪みの量に応じて体積抵抗率が変化する感歪部を有する歪みセンサであって、該感歪部が、構成1~8のいずれかに記載の成形体を含むことを特徴とする歪みセンサ。
31マトリックス、32ドメイン、33成形体、35導電性フィラー

Claims (10)

  1. ポリウレタンエラストマーと該ポリウレタンエラストマー中の導電性フィラーとを含む成形体であって、
    該ポリウレタンエラストマーは、マトリックスと、該マトリックス中に分散された複数個のドメインと、を有し、
    該導電性フィラーは、該マトリックス中に偏在しており、
    該成形体の、該ドメインと該マトリックスとが露出してなる断面の、走査型プローブ顕微鏡による粘弾性像において測定される該ドメインの粘弾性項を示すパラメータAと、該マトリックスの粘弾性項を示すパラメータBと、の関係が、A<Bであり
    温度23℃における、該成形体の50%引張時の弾性率が4.00MPa以下であり、該成形体の破断伸びが100%以上であり、かつ、該成形体の50%引張後の引張永久歪みが10%以下であり、
    無歪みのときの該成形体の体積抵抗率をRa(Ω・cm)とし、該成形体を50%伸長させたときの体積抵抗率をRb(Ω・cm)とし、50%伸長させた該成形体に加えた張力を解放したときの体積抵抗率をRc(Ω・cm)としたとき、
    該Ra、Rb及びRcが、下記式(1)及び(2)の関係を満たす、ことを特徴とする成形体:
    (1)・・・ Log10(Rb)-Log10(Ra)≧0.10
    (2)・・・ (Log10(Rc)-Log10(Ra))/(Log10(Rb)-Log10(Ra))≦0.25。
  2. 前記Raが、下記式(3)を満たす、請求項1に記載の成形体:
    (3)・・・ Log10(Ra)≦9.00。
  3. 前記Ra及び前記Rcが、下記式(4)を満たす、請求項1に記載の成形体:
    (4)・・・ Log10(Rc)-Log10(Ra)≦0.05。
  4. 前記成形体の、温度23℃におけるマイクロゴム硬度が20~50度であり、
    前記断面の、前記マトリックスにビッカース圧子を当接させ、該ビッカース圧子を荷重速度10mN/30秒で押し込み、荷重10mNで60秒間維持した後、除荷したとき、除荷5秒後の歪みが1.0μm以下である、請求項1に記載の成形体。
  5. 前記成形体の断面の3カ所に50μm四方の観察領域を置いて観察したとき、該観察領域の全3カ所が下記要件(2-1)及び要件(2-2)を満たす、請求項1に記載の成形体:
    要件(2-1)該観察領域における前記ドメインの断面積の合計の割合が、15~45%である;
    要件(2-2)断面積が該観察領域の面積の0.1~13.0%である該ドメインの個数の割合が、70個数%以上である。
  6. 前記成形体の断面の3カ所に50μm四方の観察領域を置いて観察したとき、
    円形度が0.60~0.95である前記ドメインの個数の、前記ドメインの総個数に占める割合が、70個数%以上である請求項1に記載の成形体。
  7. 前記マトリックスが、第1の構造として下記式(1)で表されるポリカーボネート構造を有し、
    前記ドメインが、第2の構造として下記式(2)で表されるポリエーテル構造を含む請求項1に記載の成形体。
    Figure 2024062625000013
    (式(1)中、Rは、炭素数3~9のアルキレン基を示し、式(2)中、Rは、炭素数3~6のアルキレン基を示す。)
  8. 前記パラメータAの前記パラメータBに対する比の値(A/B)が、0.65以下である請求項1に記載の成形体。
  9. ポリウレタンエラストマーと該ポリウレタンエラストマー中の導電性フィラーとを含む弾性体であって、
    該ポリウレタンエラストマーは、マトリックスと、該マトリックス中に分散された複数個のドメインと、を有し、
    該導電性フィラーは、該マトリックス中に偏在しており、
    該弾性体の、該ドメインと該マトリックスとが露出してなる断面の、走査型プローブ顕微鏡による粘弾性像において測定される該ドメインの粘弾性項を示すパラメータAと、該マトリックスの粘弾性項を示すパラメータBと、の関係が、A<Bであり
    温度23℃における、該弾性体の50%引張時の弾性率が4.00MPa以下であり、該弾性体の破断伸びが100%以上であり、かつ、該弾性体の50%引張後の引張永久歪みが10%以下であり、
    無歪みのときの該弾性体の体積抵抗率をRa(Ω・cm)とし、該弾性体を50%伸長させたときの体積抵抗率をRb(Ω・cm)とし、50%伸長させた該弾性体に加えた張力を解放したときの体積抵抗率をRc(Ω・cm)としたとき、
    該Ra、Rb及びRcが、下記式(1)及び(2)の関係を満たす、ことを特徴とする弾性体:
    (1)・・・ Log10(Rb)-Log10(Ra)≧0.10
    (2)・・・ (Log10(Rc)-Log10(Ra))/(Log10(Rb)-Log10(Ra))≦0.25。
  10. 歪みの量に応じて体積抵抗率が変化する感歪部を有する歪みセンサであって、該感歪部が、請求項1~8のいずれか一項に記載の成形体を含むことを特徴とする歪みセンサ。
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