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JP2024049755A - 積層体 - Google Patents

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JP2024049755A JP2022156178A JP2022156178A JP2024049755A JP 2024049755 A JP2024049755 A JP 2024049755A JP 2022156178 A JP2022156178 A JP 2022156178A JP 2022156178 A JP2022156178 A JP 2022156178A JP 2024049755 A JP2024049755 A JP 2024049755A
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龍之介 塩田
Ryunosuke Shioda
信暁 高田
Nobuaki Takada
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

【課題】湿熱環境下においても水蒸気バリア性や層間密着性が低下しにくい積層体を提供する。【解決手段】本発明の一態様に係る積層体は、基材層と、無機層と、珪素酸化物からなる粒子を含有する樹脂層と、シラン変性エチレン系樹脂を含有する封止材層と、をこの順に有し、前記樹脂層と封止材層とが直接接している。上記積層体は、化合物系太陽電池モジュール又は有機系太陽電池モジュールや、フレキシブル太陽電池モジュールに好適に用いられる。【選択図】なし

Description

本発明は、積層体に関し、より詳しくは、特に太陽電池モジュール用の表面保護材及び封止材の組み合わせとして好適に使用することのできる積層体に関する。
近年、資源の有効利用や環境汚染の防止等の面から、太陽光を直接電気エネルギーに変換する太陽電池が注目され、開発が進められている。太陽電池モジュールは、一般的に、エチレン-酢酸ビニル共重合体やポリエチレン、ポリプロピレン等からなる封止材を用いて太陽電池用セルを封止し、その封止材を前面及び裏面から保護シートで保護する構成となっている。
このような太陽電池モジュールは、通常、前面保護シート、封止材、発電素子及び裏面保護シートを積層し、加熱溶融して接着一体化することで製造される。前面及び裏面の保護シートはいずれも、紫外線に対する耐久性に加えて、湿気及び水の透過による内部の導線や電極の発錆を防止するために、防湿性に優れることが極めて重要となる。
このため、従来は、表面保護シートとしてガラス板が用いられていた。しかし、ガラス板は耐光性、防湿性に優れる反面、重量が重く、また、衝撃に弱く割れ易いという欠点があるため、樹脂フィルム等での代替が検討されている。
例えば、特許文献1及び2では、透明高耐光フィルムと透明高防湿フィルムとを、接着剤で積層一体化してなる太陽電池用カバー材が提案されている。
また、特許文献3では、特定の多層構成からなる封止材と、無機層が基材フィルムに積層された防湿フィルムを含む表面保護シートとを一体として組み合わせた太陽電池用表面保護シート・封止材積層体が提案されている。
特開2000-174297号公報 特開2000-174298号公報 特開2013-214559号公報
しかしながら、従来の表面保護シートと封止材の組み合わせでは、湿熱環境下等の厳しい条件において水蒸気バリア性や層間密着性が低下してしまう場合があることがわかってきた。
そこで、本発明は、湿熱環境下においても水蒸気バリア性や層間密着性が低下しにくい積層体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を鑑み鋭意検討した結果、シラン変性エチレン系樹脂を含有する封止材を用い、かつ、防湿性を有する無機層と封止材との間に珪素酸化物からなる粒子を含有する樹脂層を設けることで、湿熱環境下においても水蒸気バリア性や層間密着性が低下しにくくなることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下に関する。
[1]基材層と、無機層と、珪素酸化物からなる粒子を含有する樹脂層と、シラン変性エチレン系樹脂を含有する封止材層と、をこの順に有し、前記樹脂層と封止材層とが直接接している、積層体。
[2]前記樹脂層が、前記珪素酸化物からなる粒子を10質量%以上含有する、上記[1]に記載の積層体。
[3]前記封止材層が、前記シラン変性エチレン系樹脂を20質量%以上含有する、上記[1]又は[2]に記載の積層体。
[4]前記基材層と前記無機層との間に、アンカーコート層を備える、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の積層体。
[5]化合物系太陽電池モジュール又は有機系太陽電池モジュールに用いられる、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の積層体。
[6]フレキシブル太陽電池モジュールに用いられる、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の積層体。
本発明の積層体は、湿熱環境下においても水蒸気バリア性や層間密着性が低下しにくいため、特に太陽電池モジュール用の表面保護材及び封止材の組み合わせとして好適に使用できる。
以下、本発明の実施形態の一例としての積層体及びその製造方法について詳細に説明するが、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
<積層体>
本発明の実施形態に係る積層体(以下、「本積層体」とも称する。)は、基材層と、無機層と、珪素酸化物からなる粒子を含有する樹脂層と、シラン変性エチレン系樹脂を含有する封止材層を少なくとも有する。
以下、本積層体を構成する各層について詳細に説明する。
1.基材層
本積層体の基材層は、熱可塑性樹脂を主成分とするフィルムであることが好ましい。
なお、本発明における「主成分」とは、構成成分のうち60質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上(100質量%であってもよい)を占める成分をいう。
基材層の主成分となる熱可塑性樹脂は、溶融押出によって成形可能なものであれば特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体又は共重合体等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)等の芳香族ポリエステル;ポリ乳酸系重合体等の脂肪族ポリエステルに代表されるポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体部分加水分解物(EVOH)、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリイミド系樹脂及びこれらの共重合体が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。また、基材層は、上記熱可塑性樹脂からなる群から選ばれる2種以上の材料からなる層が積層された構成であってもよい。
本発明においては、フィルム物性、コスト等の点から、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、フィルム物性の点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の芳香族ポリエステルがより好ましい。
基材層は、公知の添加剤、例えば、帯電防止剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、フィラー、着色剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、酸化防止剤等を含有してもよい。
基材層は、上記原料を用いて成形してなるものであるが、未延伸であってもよいし、少なくとも一軸方向に延伸したものであってもよい。また、他のプラスチック基材と積層されていてもよい。
上記基材層の厚さは、機械強度、可撓性、透明性等の点から、5~500μmが好ましく、10~200μmがより好ましい。また、基材の幅や長さについては特に制限はなく、適宜用途に応じて選択することができる。
2.無機層
本積層体の無機層は、無機物を主成分として含有する層である。本積層体が無機層を有することで、ガス透過を抑制でき、太陽電池セルの腐食を防ぐことができる。
無機層を構成する無機物としては、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン又はこれらの酸化物、炭化物、窒化物、あるいは、これらの混合物が挙げられる。
上記の中でも、基材層との相互作用及び密着性の観点から、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化炭化珪素、酸化窒化炭化珪素、酸化アルミニウム、ダイアモンドライクカーボンが好ましい。また、高いガスバリア性が安定に維持できる観点から、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化炭化珪素、酸化窒化炭化珪素及び酸化アルミニウムが好ましい。
無機層の厚さは、0.1nm以上500nm以下が好ましく、1nm以上150nm以下がより好ましく、5nm以上70nm以下がさらに好ましい。上記範囲内であれば、十分なガスバリア性が得られ、また、無機層に亀裂や剥離を発生させることなく、透明性にも優れる。
無機層は単層からなるもの、2層以上からなるもののいずれであってもよい。また、無機層が2層以上からなる場合は、同一の無機物を主成分とする層でもよく、異なる無機物を主成分とする層でもよい。
3.樹脂層
本積層体の樹脂層は、後述する封止材層との密着性を良好にするため、珪素酸化物からなる粒子を含有する。
上記粒子としては、シリカ(SiO)、SiOxで表される珪素酸化物粒子、シリカゾル等が挙げられ、これらを単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記粒子の平均粒子径は、耐久性、耐凝集破壊性の点から、0.5nm以上2μm以下が好ましく、0.5nm以上200nm以下がより好ましく、1nm以上200nm以下がさらに好ましく、1nm以上100nm以下が特に好ましい。
なお、粒子の平均粒子径とは、BET法の窒素ガス吸着法によって測定される比表面積から計算される値である。
樹脂層は、珪素酸化物からなる粒子、バインダー樹脂及び硬化剤を含有する組成物からなることが好ましい。
バインダー樹脂としては、有機溶媒に溶解する又は水性のポリエステル、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、イソシアネート基含有樹脂、アルコキシル基含有樹脂、変性スチレン樹脂及び変性シリコーン樹脂等が挙げられ、これらを単独あるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
硬化剤は、熱架橋及び光架橋のいずれの架橋方法を選択するか、さらにはバインダー樹脂として何を使用するかによって適宜使用するのが好ましい。硬化剤としてはオキサゾリン基、カルボジイミド基、エポキシ基、イソシアネート基等を分子内に2個以上有する重合体が好適に用いられる。
架橋性樹脂を光架橋させる場合には、光重合開始剤を配合するのが好ましい。当該光重合開始剤としては、特に制限するものではなく、例えばケトン系光重合開始剤、アミン系光重合開始剤等を挙げることができる。
樹脂層用組成物には、必要に応じて、公知の各種添加剤を配合することができる。添加剤としては、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコール、シランカップリング剤、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノアセテート等のエステル類、酸化防止剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、抗菌剤、滑剤、無機充填剤、ブロッキング防止剤、接着剤等が挙げられる。
樹脂層用組成物の固形分濃度は、ハンドリングとの観点から10質量%以上80質量%以下が好ましく、20質量%以上70質量%以下が好ましい。
前記樹脂層におけるバインダー樹脂の含有量は、製膜性の観点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上80質量%以下がより好ましい。
また、前記樹脂層における粒子の含有量は、封止材層との密着性の観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。一方、製膜性の観点から、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
また、前記樹脂層の厚さは、隣接する無機層や封止材層に対する密着性を確保する観点から、30nm以上500nm以下が好ましく、50nm以上400nm以下がより好ましく、70nm以上300nm以下がさらに好ましい。
4.封止材層
本積層体の封止材層は、シラン変性エチレン系樹脂を含有する。
シラン変性エチレン系樹脂は、シラノール基等の極性基を有するため、湿熱環境下において樹脂層表面との相互作用が生じやすいので、層間密着性が低下しにくくなる。また、シラン変性エチレン系樹脂は、シラノール基等の存在により水分と接触すると架橋反応等が起こりやすい傾向にあるため、湿熱環境下で封止材層の水蒸気バリア性が維持又は漸増することにより、本積層体の水蒸気バリア性が低下しにくくなることも考えられる。
前記封止材層におけるシラン変性エチレン系樹脂の含有量は、樹脂層との密着性の観点から、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましく、50質量%以上がよりさらに好ましい。また、100質量%であってもよいが、生産コストを抑える観点から、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
シラン変性エチレン系樹脂は、例えば、エチレン系樹脂、ビニルシラン化合物及びラジカル発生剤を高温(160℃~220℃程度)で溶融混合し、グラフト重合させることにより得ることができる。
上記エチレン系樹脂は、特に限定されないが、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が挙げられる。これらは1種のみを単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、透明性や柔軟性が良好となることから密度が低いエチレン系樹脂が好適に用いられる。具体的には、密度が0.850~0.920g/cmのエチレン系樹脂が好ましく、特には、密度が0.860~0.880g/cmの直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。また、密度が低いエチレン系樹脂と密度が高いエチレン系樹脂を組み合わせて用いてもかまわない。組み合わせて用いることで、透明性や柔軟性と耐熱性のバランスが比較的容易に調整できるため好ましい。
本発明において好適に用いられる密度の低いエチレン系樹脂は、通常、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンとのランダム共重合体が挙げられる。ここでエチレンと共重合するα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-へキセン、1-へプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、3-メチル-ブテン-1,4-メチル-ペンテン-1等が例示できる。本発明においては、工業的な入手し易さや諸特性、経済性などの観点からエチレンと共重合するα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-へキセン、1-オクテンが好適に用いられる。エチレンと共重合するα-オレフィンは1種のみを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、エチレンと共重合するα-オレフィンの含有量としては、エチレン-α-オレフィンランダム共重合体中の全単量体単位に対して、通常、2モル%以上、好ましくは40モル%以下、より好ましくは3~30モル%、さらに好ましくは5~25モル%である。上記範囲内であれば、共重合成分により結晶性が低減されるため透明性が向上し、また、原料ペレットのブロッキングなどの不具合も起こり難いため好ましい。なお、エチレンと共重合するα-オレフィンの種類と含有量は、周知の方法、例えば、核磁気共鳴(NMR)測定装置、その他の機器分析装置で定性定量分析することができる。
上記エチレン-α-オレフィンランダム共重合体は、α-オレフィン以外の単量体に基づく単量体単位を含有していてもよい。該単量体としては、例えば、環状オレフィン、ビニル芳香族化合物(スチレンなど)、ポリエン化合物等が挙げられる。該単量体単位の含有量は、エチレン-α-オレフィンランダム共重合体中の全単量体単位を100モル%とした場合、20モル%以下であり、15モル%以下であることがより好ましい。また、エチレン-α-オレフィンランダム共重合体の立体構造、分岐、分岐度分布や分子量分布は、特に限定されるものではないが、例えば、長鎖分岐を有する共重合体は、一般に機械特性が良好であり、また、シートを成形する際の溶融張力(メルトテンション)が高くなりカレンダー成形性が向上するなどの利点がある。シングルサイト触媒を用いて重合された分子量分布の狭い共重合体は、低分子量成分が少なく原料ペレットのブロッキングが比較的起こり難いなどの利点がある。
上記エチレン-α-オレフィンランダム共重合体のメルトフローレート(MFR)は、特に制限されるものではないが、通常、MFR(JIS K7210、温度:190℃、荷重:21.18N)が、0.1~100g/10min程度であるもの、成形性や諸特性から0.3~10g/10minであるものが好適に用いられる。
上記エチレン-α-オレフィンランダム共重合体の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法が採用できる。例えば、チーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン系触媒やポストメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法等が挙げられる。本発明においては、好適に用いられる密度の低いエチレン-α-オレフィンランダム共重合体が比較的軟質の樹脂である為、重合後の造粒(ペレタイズ)のし易さや原料ペレット同士のブロッキング防止などの観点から低分子量成分が少なく分子量分布の狭い原料が重合できるシングルサイト触媒を用いた重合方法が好適に用いられる。
ビニルシラン化合物としては、上記エチレン系樹脂とグラフト重合するものであれば特に限定されるものではないが、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、および、ビニルトリカルボキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1種類のものを用いることができる。本発明においては、反応性、接着性や色調などの観点からビニルトリメトキシシランが好適に用いられる。
また、該ビニルシラン化合物の添加量は、特に限定されるものではないが、用いるエチレン系樹脂100質量部に対し、通常、0.01~10.0質量部程度であり、0.3~8.0質量部添加することがより好ましく、1.0~5.0質量部添加することがさらに好ましい。
ラジカル発生剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類;ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-パーオキシ)ヘキシン-3等のジアルキルパーオキサイド類;ビス-3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、o-メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシオクトエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ-t-ブチルパーオキシフタレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン-3等のパーオキシエステル類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類等の有機過酸化物、または、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。
また、上記ラジカル発生剤の添加量は、特に限定されるものではないが、用いるエチレン系樹脂100質量部に対し、0.01~5.0質量部が好ましく、0.02~1.0質量部がより好ましく、0.03~0.5質量部がさらに好ましい。さらに、上記ラジカル発生剤の残存量は、封止材層中に0.001質量%以下が好ましい。また、ゲル分率が30%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましく、実質的に含有していないことが特に好ましい。
封止材層には、シラノール間の縮合反応を促進するシラノール縮合触媒を実質的に含有していないことが好ましい。該シラノール縮合触媒の具体例としては、例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウテート、ジブチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジラウテートなどが挙げられる。ここで、実質的に含有していないとは、樹脂100質量部に対して、0.05質量部以下、好ましくは0.03質量部以下、特に実質的に含有していないことが好ましい。
ここで、シラノール縮合触媒を実質的に含有していないことが好ましい理由は、本発明においては、シラノール架橋反応を積極的に進行させず、用いるエチレン系樹脂にグラフトされたシラノール基などの極性基と樹脂層との水素結合や共有結合などの相互作用により接着性を発現させることを目的としている為である。
本発明に用いるシラン変性エチレン系樹脂は、前述の通り、通常は上記エチレン系樹脂をビニルシラン化合物及びラジカル発生剤を高温(160℃~220℃程度)で溶融混合し、グラフト重合させて得られるものである。よって、本発明に用いるシラン変性エチレン系樹脂の密度、及びMFRの好適な範囲については、上記エチレン系樹脂の密度、及びMFRの好適な範囲と同様となる。
本発明に用いるシラン変性エチレン系樹脂の具体例としては、三菱ケミカル(株)製の商品名「リンクロン(LINKLON)」を例示することができる。
5.その他の層
本積層体は、上記基材層、無機層、樹脂層及び封止材層以外の層を有していてもよい。ただし、湿熱環境下でも水蒸気バリア性が低下しにくく、層間剥離も起こりにくくする観点から、樹脂層と封止材層とは直接接している、すなわち、樹脂層と封止材層との間には別の層を有さないことが好ましい。
例えば、上記基材層と無機層との密着性を高め、水蒸気バリア性をより高めるために、基材層と無機層との間にアンカーコート層を備えてもよい。アンカーコート層の材料は、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂又は硬化性樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、フッ素系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルシリコン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。
硬化性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂及びシリコーン系樹脂等が挙げられる。
なかでも、水蒸気バリア性の観点からは熱可塑性樹脂としてのアクリル系樹脂又はポリエステル系樹脂が好ましい。
また、アンカーコート層は、シランカップリング剤、増感剤、架橋剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、界面活性剤、充填剤、離型剤及び上記以外の熱可塑性樹脂を添加してもよい。これらの添加物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
基材層上に設けるアンカーコート層の厚さは、0.1nm以上5000nm以下が好ましく、1nm以上2000nm以下がより好ましく、1nm以上1000nm以下がさらに好ましい。アンカーコート層の厚さが上記範囲内であれば、滑り性が良好であり、アンカーコート層自体の内部応力による基材からの剥離もほとんどなく、また、均一な厚さを保つことができ、更に層間の密着性においても優れている。
また、基材へのアンカーコート剤の塗布性、接着性を改良するため、アンカーコート剤
の塗布前に基材に通常の化学処理、放電処理等の表面処理を施してもよい。
また、例えば、封止材層の一方の面に2層以上無機層を設ける場合、具体的には、第1基材層/第1無機層/第1樹脂層/第2基材層/第2無機層/第2樹脂層/封止材層のように積層する場合は、第1樹脂層と第2基材層との間に接着層を備えてもよいし、上述した封止材層を接着層として備えてもよい。
接着層の好適な材料は、上記アンカーコート層と同様である。
さらに、本積層体は、耐加水分解性や耐候性を付与するために、耐候層が積層されてもよい。
耐候層の材料は、耐候性を有するものであれば限定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂フィルム、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の樹脂に紫外線吸収剤を練り込んだ樹脂組成物を成膜したものが好ましく用いられる。
長期耐久性の観点からは、上記樹脂として、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)がより好ましく用いられる。
耐候層としては、真空ラミネーション時や高温高湿時の温度・湿度変化においてもその特性変化が小さいことが好ましいことから、例えば、ポリエチレンナフタレートなどの低収縮性耐候基材の使用や、収縮率が大きいポリエチレンテレフタレートフィルムやフッ素系フィルムであっても、事前の熱処理による低収縮化等が行われたフィルムの使用が好ましい。
長期耐候性とフィルム収縮率の両方を考慮すると、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の樹脂に紫外線吸収剤を塗布及び練り込んだ樹脂組成物を成膜したものが好ましく用いられる。
また、本積層体の太陽電池用モジュールへの使用を考慮すると、可撓性に富み、耐熱性、防湿性、紫外線耐久性に優れることが望ましく、フッ素系フィルムや前記の紫外線吸収剤を塗布及び練り込んだ耐加水分解性ポリエステルフィルムが好ましく用いられる。
前記耐候層の厚さは、フィルムの取り扱いやすさとコストの点から、20μm以上200μm以下が好ましく、20μm以上100μm以下がより好ましく、20μm以上50μm以下がさらに好ましい。
<積層構成>
本積層体は、基材層、無機層、樹脂層及び封止材層をこの順に有していればよく、例えば、下記のような層構成が挙げられる。なお、各構成において、基材層、無機層、樹脂層等が複数存在する場合は、各層の主成分は同じであっても異なっていてもよい。
・基材層/無機層/樹脂層/封止材層
・基材層/アンカーコート層/無機層/樹脂層/封止材層
・第1基材層/第1無機層/第1樹脂層/接着層(封止材層でもよい)/第2基材層/第2無機層/第2樹脂層/封止材層
・第1樹脂層/第1無機層/基材層/第2無機層/第2樹脂層/封止材層
・第1基材層/第1アンカーコート層/第1無機層/第1樹脂層/接着層(封止材層でもよい)/第2基材層/第2アンカーコート層/第2無機層/第2樹脂層/封止材層
・第1樹脂層/第1無機層/第1アンカーコート層/基材層/第2アンカーコート層/第2無機層/第2樹脂層/封止材層
・耐候層/基材層/無機層/樹脂層/封止材層
・耐候層/基材層/アンカーコート層/無機層/樹脂層/封止材層
・耐候層/第1基材層/第1無機層/第1樹脂層/接着層(封止材層でもよい)/第2基材層/第2無機層/第2樹脂層/封止材層
・耐候層/第1樹脂層/第1無機層/基材層/第2無機層/第2樹脂層/封止材層
・耐候層/第1基材層/第1アンカーコート層/第1無機層/第1樹脂層/接着層(封止材層でもよい)/第2基材層/第2アンカーコート層/第2無機層/第2樹脂層/封止材層
・耐候層/第1樹脂層/第1無機層/第1アンカーコート層/基材層/第2アンカーコート層/第2無機層/第2樹脂層/封止材層
<水蒸気透過率>
本積層体の水蒸気透過率は、0g/m/dayを下限として、0.01g/m/day未満が好ましく、0.008g/m/day未満がより好ましく、0.005g/m/day未満がさらに好ましく、0.003g/m/day未満がよりさらに好ましい。
また、本積層体を85℃、85%RHの条件下で500時間保管した後の水蒸気透過率は、0g/m/dayを下限として、0.05g/m/day未満が好ましく、0.03g/m/day未満がより好ましく、0.02g/m/day未満がさらに好ましい。
本積層体の水蒸気透過率が上記範囲内であると、太陽電池セルの腐食を防ぐことができるため、太陽電池モジュール用の表面保護材及び封止材の組み合わせとして好適に使用できる。
なお、本発明における水蒸気透過率は、差圧法(ISO 15106-5:2015)により温度40℃、相対湿度90%の条件下において測定した値である。
<剥離強度>
本積層体の樹脂層と封止材層の間の剥離強度は、500gf/10mm以上が好ましく、1000gf/10mm以上がより好ましく、1500gf/10mm以上がさらに好ましく、2000gf/10mm以上がよりさらに好ましい。
また、本積層体を85℃、85%RHの条件下で500時間保管した後の樹脂層と封止材層の間の剥離強度は、300gf/10mm以上が好ましく、400gf/10mm以上がより好ましく、500gf/10mm以上がさらに好ましく、600gf/10mm以上がよりさらに好ましく、700gf/10mm以上がいっそう好ましい。
本積層体の樹脂層と封止材層の間の剥離強度が上記範囲内であると、工程内で層間剥離が生じにくくなるほか、層間剥離に起因する水蒸気バリア性の低下が起こりにくくなり、太陽電池セルの腐食を防ぐことができるため、太陽電池モジュール用の表面保護材及び封止材の組み合わせとして好適に使用できる。
なお、本発明における剥離強度は、本積層体を10mm×150mmの短冊状に切り出し、封止材層とそれに隣接する樹脂層との間を10mm剥離した試験片を用い、180°剥離(T字剥離法)により、300mm/minの速度で引っ張ったときの安定領域における引張応力(gf)の平均値である。
<積層体の製造方法>
本積層体は、例えば、基材層、無機層及び樹脂層を備える積層フィルムを作製した後、封止材と貼り合わせることで製造できる。
基材層は、従来公知の方法により製造することができ、例えば、原料樹脂を押出機により溶融し、環状ダイやTダイにより押出して、急冷することにより製造することができる。また、多層ダイを用いることにより、1種の樹脂からなる単層フィルム、1種の樹脂からなる多層フィルム、多種の樹脂からなる多層フィルム等を製造することができる。
この未延伸フィルムを一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸等の公知の方法により、フィルムの流れ(縦軸)方向又はフィルムの流れ方向とそれに直角な(横軸)方向に延伸することにより、少なくとも一軸方向に延伸したフィルムを製造することができる。
次いで、基材層の上に、無機層を形成する。
基材層上に無機層を形成する方法としては、蒸着法、コーティング法等の方法がいずれも使用できるが、ガスバリア性の高い均一な無機薄膜を得る観点から、蒸着法が好ましい。蒸着法として具体的には、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等のPVD(物理的気相蒸着)、又は、プラズマを利用したプラズマCVD、加熱触媒体を用いて材料ガスを接触熱分解する触媒化学気相成長法(Cat-CVD)等のCVD(化学的気相蒸着)等の方法が挙げられる。
なお、本積層体がアンカーコート層を備える場合は、基材層の上に、アンカーコート層用組成物を塗布した後に無機層を形成し、プレス、ニップロール、熱ラミネート等の方法で処理して形成させることができる。アンカーコート層2が硬化性樹脂からなる場合は、アンカーコート層の形成の際に、硬化工程を含んでもよい。
次いで、無機層の上に樹脂層を形成し、積層フィルムを得る。
樹脂層は、例えば、以下に示す方法により形成できる。
まず、溶媒下でバインダー樹脂及び硬化剤を混合し、続いて、珪素酸化物からなる粒子及び任意で他の成分(添加剤)を添加することで塗工液(樹脂層用組成物)が調製される。その後、この塗工液をバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法等により適当な膜厚で無機層上に塗布し、50~150℃で1~60分程度乾燥することにより、樹脂層を形成することができる。
次いで、積層フィルムの樹脂層側の面を封止材と貼り合わせる。湿熱環境下で水蒸気バリア性や層間密着性を低下しにくくする観点から、樹脂層と封止材とは接着剤等を介さずに積層することが好ましい。
積層フィルムと封止材を貼り合わせる方法としては、例えば、常法に従って、真空ラミネーターで加熱減圧及び加圧圧着する方法等が挙げられる。また、積層フィルム及び封止材をオーブン等で加熱し、接着する方法でもよい。
<太陽電池モジュール>
本積層体は、湿熱環境下でも水蒸気バリア性及び層間密着性が低下しにくいことから、太陽電池モジュール用の表面保護材及び封止材の組み合わせとして好適に使用することができる。
このような太陽電池モジュールとしては、種々のタイプのものを例示することができる。
例えば、太陽電池モジュールに組み込まれる太陽電池素子や光吸収層の種類から、単結晶シリコン型、多結晶シリコン型、アモルファスシリコン型等のシリコン系太陽電池モジュール;ガリウム-砒素、銅-インジウム-セレン(CIS系)、銅-インジウム-ガリウム-セレン(CIGS系)、カドミウム-テルル等の化合物系太陽電池モジュール;ペロブスカイト型、色素増感型、有機薄膜型等の有機系太陽電池モジュール等が挙げられる。
上記の中でも、薄膜化できる点から、化合物系太陽電池モジュール又は有機系太陽電池モジュールにおいて、本積層体を好適に用いることができる。
また、太陽電池モジュールの表面保護シートをガラスから本積層体に代替することにより、太陽電池モジュールにフレキシブル性を付与できる。よって、フレキシブル太陽電池モジュールにおいても、本積層体を好適に用いることができる。
本積層体を用いた太陽電池モジュールは、例えば、太陽電池素子の上部を本積層体で固定し、太陽電池素子の下部を封止材及び下部保護材(バックシート)で固定することにより作製することができる。また、太陽電池素子の上部を透明基材(フロントシート)及び封止材で固定し、太陽電池素子の下部を本積層体で固定することもでき、さらには太陽電池素子の上部及び下部とも本積層体を用いて太陽電池モジュールを作製することもできる。
具体的な例としては、太陽光受光側から順に、本積層体(この場合は、太陽電池素子側に封止材層が配置される)、太陽電池素子、封止材、下部保護材(バックシート)が積層され、さらに、バックシートの下面にジャンクションボックス(太陽電池素子から発電した電気を外部へ取り出すための配線を接続する端子ボックス)が接着されてなる構成を挙げることができる。太陽電池素子は、発電電流を外部へ電導するために配線により連結されている。配線は、封止材層及びバックシートに設けられた貫通孔を通じて外部へ取り出され、ジャンクションボックスに接続されている。
下部保護材としては、金属、無機材料や各種熱可塑性樹脂フィルム等の単層又は多層のシートであり、例えば、錫、アルミニウム、ステンレス等の金属、ガラス等の無機材料、ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂からなる単層又は多層の保護材を挙げることができる。
別の具体的な例としては、太陽光受光側から順に、上部保護材、封止材、太陽電池素子、本積層体(この場合は、太陽電池素子の裏側に封止材層が配置される)が積層され、さらに、本積層体の下面にジャンクションボックス(太陽電池素子から発電した電気を外部へ取り出すための配線を接続する端子ボックス)が接着されてなる構成を挙げることができる。
上部保護材としては、無機材料や各種熱可塑性樹脂フィルム等の単層もしくは多層のシートであり、例えば、ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂からなる単層もしくは多層の保護材を挙げることができる。
また、さらに別の具体的な例としては、太陽光受光側から順に、本積層体(この場合は、太陽電池素子側に封止材層が配置される)、太陽電池素子、本積層体(この場合は、太陽電池素子の裏側に封止材層が配置される)が積層され、さらに、本積層体の下面にジャンクションボックス(太陽電池素子から発電した電気を外部へ取り出すための配線を接続する端子ボックス)が接着されてなる構成を挙げることができる。
太陽電池モジュールの製造方法としては、公知の製造方法が適用でき、特に限定されるものではないが、一般的には、本積層体、太陽電池素子、上部保護材又は下部保護材、封止材を積層する工程と、それらを真空吸引し加熱圧着する工程を有する。また、バッチ式の製造設備やロール・ツー・ロール式の製造設備等も適用することができる。
本積層体を用いて作製された太陽電池モジュールは、適用される太陽電池のタイプとモジュール形状により、モバイル機器に代表される小型太陽電池、屋根や屋上に設置される大型太陽電池等屋内、屋外に関わらず各種用途に適用することができる。
また、本積層体は上記太陽電池の他、液晶表示素子、電磁波シールド、タッチパネル、有機デバイス、カラーフィルター及び真空断熱材等の工業部材としての用途にも展開できる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の積層体について、更に詳しく説明するが、本発明は何ら制限を受けるものではない。
<測定方法>
(1)水蒸気透過率
実施例及び比較例の積層体を、Technolox社製の水蒸気透過率測定装置「DELTAPERM」を用いて、差圧法(ISO 15106-5:2015)により温度40℃、相対湿度90%の条件下における水蒸気透過率を測定した。
また、実施例及び比較例の積層体を85℃、85%RHの条件下で500時間保管し、再度水蒸気透過率を測定した。なお、比較例2及び3は、水蒸気透過率が高すぎて差圧法では測定できなかったため、表1では「測定不可」と表記した。
(2)剥離強度
剥離強度は、株式会社オリエンテック製の引張圧縮試験機「STA-1150」を用いて測定した。
まず、実施例及び比較例の積層体を10mm×150mmの短冊状に切り出し、封止材層とそれに隣接する積層フィルムとの間を10mm剥離した試験片を作製した。剥離した部分をそれぞれ測定機の掴み具で保持し、180°剥離(T字剥離法)により、300mm/minの速度で引っ張り、安定領域における引張応力(gf)の平均値を剥離強度とした。
<材料>
(アンカーコート層用塗布液A-1の調製)
イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業(株)製「コロネートL」)と飽和ポリエステル((株)東洋紡績製「バイロン300」数平均分子量23,000)とを1:1質量比で配合し、アンカーコート層用塗布液A-1を調製した。
(樹脂層用塗布液B-1の調製)
下記(a)、(b)、(c)及び(d)を配合比率が10:30:30:30(質量比)になるように混合し、樹脂層用塗布液B-1を調製した。
(a)ポリビニルアルコール(PVA、日本合成化学工業(株)製「ゴーセノールNM-14」、ケン化度99%モル以上、重合度1400)をイオン交換水に攪拌しながら入れ、95℃で60分間溶解し、固形分濃度10%のPVA水性液(a)を調製した。
(b)エチレンメタクリル酸共重合体(EMAA)(メタクリル酸20重量%、MFR:300g/10分)、アンモニア及びイオン交換水を95℃で2時間攪拌混合し、中和度60%、固形分20%の水性液(b)を調製した。
(c)特開平6-16414号公報の記載に準じ、ナトリウム水ガラスJIS3号を硝酸ナトリウム水溶液に溶解し、珪酸ナトリウム水溶液を作製した。その後、この珪酸ナトリウム水溶液を水素型カチオン交換樹脂カラム、水酸基型アニオン交換樹脂カラム、再度水素型カチオン交換樹脂カラムと順に通した後、水酸化ナトリウム水溶液を添加し、珪酸水溶液を得た。次いで該珪酸水溶液の20%量を減圧蒸留し蒸発水を除去すると共に、残りの珪酸水溶液を連続的に徐々に供給することにより、減圧蒸留を連続的に行い、コロイダルシリカゾルを作製した。該コロイダルシリカゾルを水素型カチオン交換樹脂カラム、水酸基型アニオン交換樹脂カラム、再度水素型カチオン交換樹脂カラムと順に通し、その直後に特級アンモニア水を添加して、pH9、平均粒子径4nm、シリカ濃度が500ppmの水性シリカゾル(c)を調製した。
(d)攪拌機、還流冷却機、窒素導入管、温度計及び滴下ロートを備えたフラスコに、脱イオン水179質量部及び重合開始剤である2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩1質量部を仕込み、ゆるやかに窒素ガスを流しながら60℃に加熱し、そこへ予め調製したアクリル酸エチル2質量部、メタクリル酸メチル2質量部及び2-イソプロペニル-2-オキサゾリン16質量部からなる単量体混合物を滴下ロートより1時間で滴下した。その後、窒素気流下、60℃で10時間反応を行い、反応後、冷却して、固形分濃度10重量%の2-オキサゾリン基含有樹脂水性液(d)を調製した。
(接着剤層用塗布液C-1の調製)
ウレタン系樹脂(大日精化工業社製「セイカボンド DUX-210-5」)100質量部に対して硬化剤(大日精化工業社製「セイカボンド C-99」)3.5質量部及び溶剤(酢酸エチル)108質量部を添加し、接着剤層用塗布液C-1を調製した。
<積層体の作製>
[実施例1]
基材層として、厚さ23μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、その表面に、乾燥後の目付が0.025g/mとなるようにアンカーコート層用塗布液A-1を塗布、乾燥し、アンカーコート層を形成した。
次いで、真空蒸着装置を使用して、SiO(純度99.9%以上)を加熱方式で蒸発させ、酸素を導入し、酸素分圧を3.5×10-3Paとし、5×10-3Paの真空下にてアンカーコート層上に厚さ50nmのSiOxからなる無機層を形成した。
さらに、無機層の表面に、乾燥後の目付が0.3g/mとなるように樹脂層用塗布液B-1をバーコート方式で塗布し、80℃の熱風で60秒間乾燥させて、樹脂層を形成して、基材層/アンカーコート層/無機層/樹脂層の積層構成を有する積層フィルムを得た。
また、シラン変性エチレン系樹脂(三菱ケミカル社製「リンクロンSH9000N」)を、Tダイを備えた押出機を用いて設定温度200℃で溶融混練し、20℃のキャストロールで急冷製膜することにより、厚さ300μmの封止材用フィルムD-1を作製した。
積層フィルム2枚と封止材用フィルムD-1とを、2つの樹脂層がそれぞれ封止材用フィルムの両表面と接触するように積層して、150℃のオーブンで3分間加熱することで、実施例1の積層体を得た。
[実施例2]
シラン変性エチレン系樹脂(三菱ケミカル社製「リンクロンX7048A」)を、Tダイを備えた押出機を用いて設定温度200℃で溶融混練し、20℃のキャストロールで急冷製膜することにより、厚さ300μmの封止材用フィルムD-2を作製したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の積層体を得た。
[比較例1]
封止材用フィルムD’-1としてエチレン・アクリル酸エチル共重合体とポリアミドからなるポリオレフィン系封止材を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の積層体を得た。
[比較例2]
実施例1と同様に積層フィルムを作製した後、樹脂層の表面に、乾燥後の目付が6g/mとなるように接着剤層用塗布液C-1を塗布し、封止材用フィルムD-1を積層した後、150℃のオーブンで3分間加熱処理を施した。すなわち、比較例2の積層体は、実施例1の樹脂層と封止材用フィルムD-1との間に、接着剤層が設けられた構成となっている。
[比較例3]
実施例1と同様に積層フィルムを作製した後、樹脂層の表面に、乾燥後の目付が6g/mとなるように接着剤層用塗布液C-1を塗布し、封止材用フィルムD-2を積層した後、150℃のオーブンで3分間加熱処理を施した。すなわち、比較例3の積層体は、実施例2の樹脂層と封止材用フィルムD-2との間に、接着剤層が設けられた構成となっている。
表1に記載のとおり、実施例1及び2では、珪素酸化物からなる粒子を含有する樹脂層と、シラン変性エチレン系樹脂を含有する封止材層とが直接接していることで、湿熱環境下でも水蒸気バリア性及び層間密着性の低下が抑えられた。
一方、比較例1は、封止材層がシラン変性エチレン系樹脂を含有しないため、樹脂層との密着性が悪く、水蒸気バリア性にも劣っていた。シラノール基等の極性基を有しないために湿熱環境下で封止材層の架橋が生じなかったことも、水蒸気バリア性及び層間密着性に劣っていた一要因であると考えられる。
また、比較例2及び3では、珪素酸化物からなる粒子を含有する樹脂層と、シラン変性エチレン系樹脂を含有する封止材層との間に接着剤層を有するため、湿熱環境下で接着剤層と封止材層との密着性が低下し、水蒸気バリア性及び層間密着性が低下した。

Claims (6)

  1. 基材層と、無機層と、珪素酸化物からなる粒子を含有する樹脂層と、シラン変性エチレン系樹脂を含有する封止材層と、をこの順に有し、前記樹脂層と封止材層とが直接接している、積層体。
  2. 前記樹脂層が、前記珪素酸化物からなる粒子を10質量%以上含有する、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記封止材層が、前記シラン変性エチレン系樹脂を20質量%以上含有する、請求項1に記載の積層体。
  4. 前記基材層と前記無機層との間に、アンカーコート層を備える、請求項1に記載の積層体。
  5. 化合物系太陽電池モジュール又は有機系太陽電池モジュールに用いられる、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. フレキシブル太陽電池モジュールに用いられる、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体。
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