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JP2023114394A - 熱伝導性シリコーン樹脂シートおよびその製造方法 - Google Patents

熱伝導性シリコーン樹脂シートおよびその製造方法 Download PDF

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JP2023114394A
JP2023114394A JP2022016740A JP2022016740A JP2023114394A JP 2023114394 A JP2023114394 A JP 2023114394A JP 2022016740 A JP2022016740 A JP 2022016740A JP 2022016740 A JP2022016740 A JP 2022016740A JP 2023114394 A JP2023114394 A JP 2023114394A
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carbon atoms
thermally conductive
silicone resin
component
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JP2022016740A
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圭司 今泉
Keiji Imaizumi
晃洋 遠藤
Akihiro Endo
信広 市六
Nobuhiro Ichiroku
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】厚さ方向の熱伝導性に優れ、低比重である熱伝導性シリコーン樹脂シートとその製造方法の提供。【解決手段】(A)熱硬化性シリコーン樹脂、(B)長径及び短径のアスペクト比が5以上、比重が2.0以上3.5未満、かつ長径が30μm以上300μm以下の反磁性材料である熱伝導性無機充填材を含有する熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物の厚さ方向の熱伝導率が10W/m・K以上、比重が2.0以下の熱伝導性シリコーン樹脂シートであって、(A)成分が(A1)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン、(A2)1分子中に2個以上のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(A3)下記式(1)で表される加水分解性オルガノポリシロキサンからなる粘度調整剤、(A4)白金族金属系ヒドロシリル化反応触媒である。TIFF2023114394000028.tif30116【選択図】なし

Description

本発明は、熱伝導性シリコーン樹脂シートおよびその製造方法に関する。
コンピュータや自動車部品等の電子機器では、半導体素子や機械部品等の発熱体から生じる熱を放熱するためヒートシンクなどの放熱体が用いられている。この放熱体への熱の伝達効率を高める目的で発熱体と放熱体の間に熱伝導性シートを配置することがある。こうした熱伝導性シートとして、例えば、熱伝導材として炭素繊維を充填して配向させた熱伝導性シートが特許文献1に開示されている。炭素粉末がシートの厚さ方向に配向した熱伝導性シートが特許文献2に開示されている。特許文献3に熱伝導性フィラーが厚さ方向に配向し、柔軟性を備える熱伝導性シートが開示されている。特許文献4に接触熱抵抗が低下するため、柔軟層と熱伝導層で多層化する熱伝導性シートが開示されている。また圧力配向ではあるが、低硬度で高熱伝導性シートが開示されている。
特開2005-146057号公報 特開2014-001388号公報 特許第6671735号公報 特許第6884456号公報
近年、電子機器はますます小型化、高性能化が進み、発熱量は増加の一途をたどっており、これまでの熱伝導性シリコーン樹脂シートよりも更に熱伝導率を高めた熱伝導性シリコーン樹脂シートが望まれている。また、小型化、軽量化の要求からこれまでよりもより低比重、また被着体に対する接触熱抵抗軽減のために低硬度の熱伝導性シリコーン樹脂シートが求められている。また、従来よりも低膜厚化や層間に隙間の入らない一体型の熱伝導性シリコーン樹脂シートが求められている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、厚さ方向の熱伝導性に優れ、低比重の熱伝導性シリコーン樹脂シートとその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、
(A)熱硬化性シリコーン樹脂:100質量部
(B)長径及び短径のアスペクト比が5以上、比重が2.0以上3.5未満、かつ長径が30μm以上300μm以下の反磁性材料である熱伝導性無機充填材:30~150質量部
を含有する熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物である熱伝導性シリコーン樹脂シートであって、
前記(A)成分が、
(A1)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン:100質量部
(A2)1分子中に2個以上のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A1)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基に対する前記(A2)成分中のヒドロシリル基のモル比が0.5~2となる量
(A3)下記式(1)で表される加水分解性オルガノポリシロキサンからなる粘度調整剤:50~300質量部
Figure 2023114394000001
(式中、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基である。Xは独立に前記R又は下記式(2)で表される基であり、そのうち1つ以上は下記式(2)で示される基であり、aは1≦a≦100、bは0≦b≦100である。)
Figure 2023114394000002
(式中、Qは酸素原子又は炭素数1~4のアルキレン基であり、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基であり、Rは独立に炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシアルキル基、及び炭素数1~4のアシル基から選ばれる基であり、gは0~2の整数である。)、及び
(A4)白金族金属系ヒドロシリル化反応触媒:前記(A)成分に対して白金族金属元素質量換算で0.1~2,000ppm
であり、
前記熱伝導性シリコーン樹脂シートは厚さ方向の熱伝導率が10W/m・K以上、かつ、比重が2.0以下のものである熱伝導性シリコーン樹脂シート
を提供する。
このような熱伝導性シリコーン樹脂シートであれば、厚さ方向の熱伝導性に優れ、低比重かつ低硬度の熱伝導性シリコーン樹脂シートを提供することができる。
また、本発明は、
前記(A1)成分が、下記平均組成式(3)で表されることが好ましい。
SiO(4-m-n)/2 (3)
(式中、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基であり、Rは独立に炭素数2~6のアルケニル基である。mは、0.5~2.5の正数であり、nは、0.0001~0.7の正数である。ただし、m+nは、0.8~2.7の正数である。)
本発明では、このような(A1)成分を用いることができる。
また、本発明は、
前記(A2)成分が、下記平均組成式(4)で表されることが好ましい。
p1q1SiO(4-p1-q1)/2 (4)
(式中、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基である。p1は0.7~2.9の正数であり、q1は0.01~2.0の正数である。ただし、p1+q1は0.71~3.0の正数である。)
本発明では、このような(A2)成分を用いることができる。
また、本発明は、
前記(A3)成分が、下記式(5)で表されることが好ましい。
Figure 2023114394000003
(式中、R、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基であり、Rは独立に炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシアルキル基、及び炭素数1~4のアシル基から選ばれる基であり、gは0~2の整数であり、cは5~100の整数である。)
本発明では、このような(A3)成分を用いることができる。
また、本発明は、
前記(B)成分が、炭素繊維、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、シリコンカーバイト,ボロンナイトライドから選ばれる1種以上の反磁性材料であることが好ましい。
本発明では、このような(B)成分を用いることができる。
また、本発明は、
熱伝導性シリコーン樹脂シートの製造方法であって、
(I)(A)熱硬化性シリコーン樹脂:100質量部と、
(B)長径及び短径のアスペクト比が5以上、比重が2.0以上3.5未満、かつ長径が30μm以上300μm以下の反磁性材料である熱伝導性無機充填材:30~150質量部
を混合して熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物を得る工程であって、
前記(I)工程は、前記(A)成分として、
(A1)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン:100質量部と、
(A2)1分子中に2個以上のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A1)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基に対する前記(A2)成分中のヒドロシリル基のモル比が0.5~2となる量と、
(A3)下記式(1)で表される加水分解性オルガノポリシロキサンからなる粘度調整剤:50~300質量部と、
Figure 2023114394000004
(式中、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基である。Xは独立に前記R又は下記式(2)で表される基であり、そのうち1つ以上は下記式(2)で示される基であり、aは1≦a≦100、bは0≦b≦100である。)
Figure 2023114394000005
(式中、Qは酸素原子又は炭素数1~4のアルキレン基であり、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基であり、Rは独立に炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシアルキル基、及び炭素数1~4のアシル基から選ばれる基であり、gは0~2の整数である。)、及び
(A4)前記(A)成分に対して白金族金属元素質量換算で0.1~2,000ppmの白金族金属系ヒドロシリル化反応触媒
を用い、
(II)前記熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物をシート状に成形し、該シート状に成形した組成物に磁場を印可して前記(B)成分をシートの厚さ方向に磁場配向する工程と、
(III)磁場配向された前記熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物を熱硬化して厚さ方向の熱伝導率が10W/m・K以上、かつ、比重が2.0以下の熱伝導性シリコーン樹脂シートを得る工程と、
を含む熱伝導性シリコーン樹脂シートの製造方法
を提供する。
このような熱伝導性シリコーン樹脂シートの製造方法であれば、厚さ方向の熱伝導性に優れ、低比重かつ低硬度の熱伝導性シリコーン樹脂シートを得ることができる。
また、本発明は、
前記(A1)成分は、下記平均組成式(3)
SiO(4-m-n)/2 (3)
(式中、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基であり、Rは独立に炭素数2~6のアルケニル基である。mは、0.5~2.5の正数であり、nは、0.0001~0.7の正数である。ただし、m+nは、0.8~2.7の正数である。)
で表されるものとすることが好ましい。
本発明では、このような(A1)成分を用いることができる。
また、本発明は、
前記(A2)成分は、下記平均組成式(4)
p1q1SiO(4-p1-q1)/2 (4)
(式中、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基である。p1は0.7~2.9の正数であり、q1は0.01~2.0の正数である。ただし、p1+q1は0.71~3.0の正数である。)
で表されるものとすることが好ましい。
本発明では、このような(A2)成分を用いることができる。
また、本発明は、
前記(A3)成分は、下記式(5)
Figure 2023114394000006
(式中、R、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基であり、Rは独立に炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシアルキル基、及び炭素数1~4のアシル基から選ばれる基であり、gは0~2の整数であり、cは5~100の整数である。)
で表されるものとすることが好ましい。
本発明では、このような(A3)成分を用いることができる。
また、本発明は、
前記(B)成分は、炭素繊維、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、シリコンカーバイト,ボロンナイトライドから選ばれる1種以上の反磁性材料とすることが好ましい。
本発明では、このような(B)成分を用いることができる。
以上のように、本発明によれば、厚さ方向の熱伝導性に優れ、低比重かつ低硬度の熱伝導性シリコーン樹脂シートを提供することができる。この熱伝導性シリコーン樹脂シートは、使用中に熱が発生する電気・電子部品からの除熱に好適である。
上述のように、これまでの熱伝導性シリコーン樹脂シートよりも更に熱伝導性に優れ、かつ、低比重の熱伝導性シリコーン樹脂シートの開発が求められていた。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、本発明によれば、更に熱伝導率が高く、より低比重の熱伝導性シリコーン樹脂シートを得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、
(A)熱硬化性シリコーン樹脂:100質量部
(B)長径及び短径のアスペクト比が5以上、比重が2.0以上3.5未満、かつ長径が30μm以上300μm以下の反磁性材料である熱伝導性無機充填材:30~150質量部
を含有する熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物である熱伝導性シリコーン樹脂シートであって、
前記(A)成分が、
(A1)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン:100質量部
(A2)1分子中に2個以上のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A1)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基に対する前記(A2)成分中のヒドロシリル基のモル比が0.5~2となる量
(A3)下記式(1)で表される加水分解性オルガノポリシロキサンからなる粘度調整剤:50~300質量部
Figure 2023114394000007
(式中、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基である。Xは独立に前記R又は下記式(2)で表される基であり、そのうち1つ以上は下記式(2)で示される基であり、aは1≦a≦100、bは0≦b≦100である。)
Figure 2023114394000008
(式中、Qは酸素原子又は炭素数1~4のアルキレン基であり、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基であり、Rは独立に炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシアルキル基、及び炭素数1~4のアシル基から選ばれる基であり、gは0~2の整数である。)、及び
(A4)白金族金属系ヒドロシリル化反応触媒:前記(A)成分に対して白金族金属元素質量換算で0.1~2,000ppm
であり、
前記熱伝導性シリコーン樹脂シートは厚さ方向の熱伝導率が10W/m・K以上、かつ、比重が2.0以下のものである熱伝導性シリコーン樹脂シート
である。
また、本発明は、
熱伝導性シリコーン樹脂シートの製造方法であって、
(I)(A)熱硬化性シリコーン樹脂:100質量部と、
(B)長径及び短径のアスペクト比が5以上、比重が2.0以上3.5未満、かつ長径が30μm以上300μm以下の反磁性材料である熱伝導性無機充填材:30~150質量部
を混合して熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物を得る工程であって、
前記(I)工程は、前記(A)成分として、
(A1)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン:100質量部と、
(A2)1分子中に2個以上のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A1)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基に対する前記(A2)成分中のヒドロシリル基のモル比が0.5~2となる量と、
(A3)下記式(1)で表される加水分解性オルガノポリシロキサンからなる粘度調整剤:50~300質量部と、
Figure 2023114394000009
(式中、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基である。Xは独立に前記R又は下記式(2)で表される基であり、そのうち1つ以上は下記式(2)で示される基であり、aは1≦a≦100、bは0≦b≦100である。)
Figure 2023114394000010
(式中、Qは酸素原子又は炭素数1~4のアルキレン基であり、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基であり、Rは独立に炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシアルキル基、及び炭素数1~4のアシル基から選ばれる基であり、gは0~2の整数である。)、及び
(A4)前記(A)成分に対して白金族金属元素質量換算で0.1~2,000ppmの白金族金属系ヒドロシリル化反応触媒
を用い、
(II)前記熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物をシート状に成形し、該シート状に成形した組成物に磁場を印可して前記(B)成分をシートの厚さ方向に磁場配向する工程と、
(III)磁場配向された前記熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物を熱硬化して厚さ方向の熱伝導率が10W/m・K以上、かつ、比重が2.0以下の熱伝導性シリコーン樹脂シートを得る工程と、
を含む熱伝導性シリコーン樹脂シートの製造方法
である。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物]
本発明に用いる熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、(A)熱硬化性シリコーン樹脂100質量部と、(B)長径及び短径のアスペクト比が5以上、比重が2.0以上3.5未満、かつ長径が30μm以上300μm以下の反磁性材料である熱伝導性無機充填材30~150質量部を含有するものである。
[(A)成分]
(A)成分は、熱硬化性シリコーン樹脂であって、上記配合の(A1)~(A4)成分からなる。
[(A1)成分]
(A1)成分であるアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有し、好ましくは2~20個、より好ましくは2~10個有する。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。また、(A1)成分は、単一のシロキサン単位からなる重合体であっても、2種以上のシロキサン単位からなる共重合体であってもよい。さらに、(A1)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基の位置は特に制限されず、このアルケニル基は分子鎖末端のケイ素原子及び分子鎖非末端(分子鎖途中)のケイ素原子のどちらか一方にのみ結合していてもよいし、これら両者に結合していてもよい。
(A1)成分の分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状構造、一部分岐を有する直鎖状構造、分岐鎖状構造、環状構造、分岐を有する環状構造が挙げられるが、通常、実質的に直鎖状のオルガノポリシロキサンであることが好ましく、具体的には、分子鎖が主にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
(A1)成分の25℃における粘度は、0.1~20,000mPa・sが好ましく、10~1,000mPa・sがより好ましい。また、(A1)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、1分子中のケイ素原子数(又は重合度)が3~700個、好ましくは4~300個程度である。上記粘度が0.1mPa・s以上であると、得られる熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物中の(B)熱伝導性無機充填材が沈降せず、長期の保存性に優れる。また、上記粘度が20,000mPa・s以下であると、得られる熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物において、反磁性材料の(B)熱伝導性無機充填材が確実に磁場配向でき、得られる熱伝導性シリコーン樹脂シートが厚さ方向に高い熱伝導率を有するものとなる。なお、本発明における粘度の数値は、JIS K 7117-1:1999記載の回転粘度計によって測定した値である。
(A1)成分としては、特に、下記平均組成式(3)
SiO(4-m-n)/2 (3)
(式中、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基であり、Rは独立に炭素数2~6のアルケニル基である。mは、0.5~2.5、好ましくは1.8~2.2の正数であり、nは、0.0001~0.7、好ましくは0.002~0.5の正数である。ただし、m+nは、0.8~2.7の正数である。)
で表される、ケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンが好ましい。
上記Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの炭化水素基中の炭素原子に結合した水素原子の一部が塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子で置換された基、例えば、クロロメチル基、2-ブロモエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等が挙げられるが、これらの中でも、メチル基、フェニル基又はこれら両者の組み合わせが好ましい。
がメチル基、フェニル基又はこれら両者の組み合わせである(A1)成分は、合成が容易であり、化学的安定性が良好である。また、(A1)成分として特に耐溶剤性が良好なオルガノポリシロキサンを用いる場合には、Rは、メチル基、フェニル基又はこれら両者の組み合わせと3,3,3-トリフルオロプロピル基との組み合わせであることがより好ましい。
上記Rの具体例としては、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。これらの中でもビニル基が好ましい。Rがビニル基である(A1)成分は、合成が容易であり、化学的安定性が良好である。
(A1)成分の具体例としては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらのオルガノポリシロキサンは、1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよく、また重合度の異なる1種又は2種以上を併用してもよい。
[(A2)成分]
(A2)成分は、1分子中に2個以上のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。(A2)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物における硬化剤であり、好ましくは1分子中に3個以上、より好ましくは4~300個、さらに好ましくは5~200個のヒドロシリル基を有するものである。
(A2)成分の分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状、分岐状、環状、又は三次元網状構造の樹脂状物のいずれのものであってもよいが、下記平均組成式(4)で示されるものを用いることが好ましい。
p1q1SiO(4-p1-q1)/2 (4)
(式中、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基である。p1は0.7~2.9、好ましくは0.8~1.2の正数であり、q1は0.01~2.0、好ましくは0.01~1.01の正数である。ただし、p1+q1は0.71~3.0の正数である。)
式(4)中のRとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等の、脂肪族不飽和結合を除く、通常、炭素数1~10、好ましくは1~8程度の非置換又はハロゲン置換の1価炭化水素基等が挙げられるが、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、3,3,3-トリフロロプロピル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
(A2)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、具体的には、例えば、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)メチルシラン、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)フェニルシラン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、H(CHSiO1/2単位とSiO単位との共重合体、H(CHSiO1/2単位と(CHSiO1/2単位とSiO単位との共重合体や、これらのオルガノハイドロジェンポリシロキサンの2種以上の混合物等が挙げられる。
(A2)成分の25℃における粘度は特に限定されないが、0.5~1,000,000mPa・sが好ましく、1~100,000mPa・sがより好ましい。また、(A2)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの1分子中のケイ素原子数(又は重合度)は3~500個が好ましく、より好ましくは4~300個である。
(A2)成分の配合量は、(A1)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基に対する(A2)成分中のヒドロシリル基のモル比が0.5~2となる量である。(A2)成分量が、上記下限値未満であると硬化しない恐れがあり、または硬化物の強度が不十分で成形体としての形状を保持出来ず取り扱えない場合がある。また上記上限値を超えると硬化物の柔軟性がなくなり、熱抵抗が著しく上昇してしまうため好ましくない。上記モル比は、0.7~1.8となる量がより好ましく、0.8~1.7となる量がさらに好ましい。
[(A3)成分]
本発明における熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、熱硬化前の粘度を低下させるため、さらに(A3)成分として加水分解性オルガノポリシロキサンからなる粘度調整剤を含有し、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。(A3)成分は、下記の(B)熱伝導性無機充填材を熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物に高充填しても、組成物の流動性を保ち、この組成物に良好な取り扱い性を付与する。(A3)成分は、下記一般式(1)で表される加水分解性オルガノポリシロキサンであり、特に、3官能(下記式(2)においてg=0)の加水分解性オルガノポリシロキサンを含有することが好ましい。
Figure 2023114394000011
(式中、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基である。Xは独立に前記R又は下記式(2)で表される基であり、そのうち1つ以上は下記式(2)で示される基であり、aは1≦a≦100、bは0≦b≦100である。)
Figure 2023114394000012
(式中、Qは酸素原子又は炭素数1~4のアルキレン基であり、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基であり、Rは独立に炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシアルキル基、及び炭素数1~4のアシル基から選ばれる基であり、gは0~2の整数である。)
(A3)成分としては、下記一般式(5)で表されるオルガノポリシロキサンが好ましく、特に25℃における粘度が0.005~100mPa・sのオルガノポリシロキサンが好ましい。
Figure 2023114394000013
(式中、R、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基であり、Rは独立に炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシアルキル基、及び炭素数1~4のアシル基から選ばれる基であり、gは0~2の整数であり、cは5~100の整数である。)
上記式(1)及び(5)中、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基であり、その例としては、直鎖状アルキル基、分岐鎖状アルキル基、環状アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。
直鎖状アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基が挙げられる。分岐鎖状アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、2-エチルヘキシル基が挙げられる。環状アルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基が挙げられる。アラルキル基としては、例えば、2-フェニルエチル基、2-メチル-2-フェニルエチル基が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、例えば、3,3,3-トリフルオロプロピル基、2-(ノナフルオロブチル)エチル基、2-(ヘプタデカフルオロオクチル)エチル基が挙げられる。Rとしては、メチル基、フェニル基が好ましい。
は炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基であり、Rの具体例としては、上記Rについて例示したものが挙げられる。
上記Rは独立に炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシアルキル基、及び炭素数1~4のアシル基から選ばれる基である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。アルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシエチル基、メトキシプロピル基等が挙げられる。アシル基としては、アセチル基等が挙げられる。Rはアルキル基であることが好ましく、特にはメチル基、エチル基であることが好ましい。
aは1≦a≦100、bは0≦b≦100であり、好ましくはa+bが10~50である。cは5~100の整数であり、好ましくは10~50の整数である。gは0~2の整数であり、好ましくは0である。なお、分子中にOR基は1~6個であることが好ましく、特に3又は6個有することがより好ましい。
(A3)成分の好適な具体例としては、下記のものを挙げることができる。
Figure 2023114394000014
前記(A3)成分の配合量は、(A1)成分100質量部に対して、50~300質量部であり、60~250質量部がより好ましい。50質量部よりも少ないと熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物が増粘して吐出不可となるおそれがあり、一方、300質量部より多いと粘度が低下しすぎて(A3)成分がブリードするおそれや、(B)成分以外の熱伝導性フィラーを配合した場合、沈降する恐れがある。
[(A4)成分]
本発明の熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物は、上記反応を促進するための付加反応触媒である(A4)白金族金属系ヒドロシリル化反応触媒を含有する。(A4)成分としては、ヒドロシリル化反応に用いられる触媒として周知の触媒が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、塩化白金酸又は塩化白金酸塩等の白金錯体を、アルケニル基等のビニル基を有するオルガノポリシロキサンで希釈したヒドロシリル化触媒が好ましい。これは、白金錯体と、ビニル基を有するオルガノポリシロキサンとを混合することで得られる。白金錯体中にトルエン等の溶媒が含まれる場合は、混合後に溶媒を取り除くとよい。
白金族金属系ヒドロシリル化反応触媒は、(A)成分に対する白金族金属元素質量換算で0.1~2,000ppmであり、好ましくは、0.5~1,000ppmである。白金族金属系ヒドロシリル化反応触媒の添加量が0.5ppm未満であれば硬化性の低下を起こし、1,000ppmを超えるとコストが高くなり不経済となる。
[(B)成分]
(B)成分の熱伝導性無機充填材は、熱伝導性シリコーン樹脂シートの熱伝導率を向上させるための成分である。(B)成分は、反磁性材料から選ばれる長径、短径のアスペクト比が5以上で長径が30μm以上300μm以下、比重が2.0以上3.5未満の反磁性の熱伝導性無機充填材であり、このような熱伝導性無機充填材を使用することで、磁場印加により熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物中の(B)成分が配向しやすくなり、製造される熱伝導性シリコーン樹脂シートの厚さ方向の熱伝導率を向上させることができる。
中でも、炭素繊維、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、シリコンカーバイト,ボロンナイトライドより選択される1種以上の反磁性材料を用いることが好ましい。
(B)成分の配合量としては、前記(A)熱硬化性シリコーン樹脂100質量部に対して30~150質量部であり、好ましくは35~145質量部である。(B)成分が30質量部未満であると、熱伝導性が悪くなり、150質量部より多いと熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物の粘度が著しく高くなり、磁場配向が困難になるおそれがある。
[その他成分]
熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物には、上記以外の任意の成分を配合することができる。
本発明においては、上記(B)成分以外の熱伝導性無機充填材を配合してもよい。例としては、酸化アルミニウム粉末、酸化亜鉛粉末、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素粉末、アルミニウム、銀、ニッケル、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、金属珪素等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができ、これらの熱伝導性無機充填材を配合する場合、熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物中の上記充填材の含有量は、(A1)成分100質量部に対して40質量部以下とすることが好ましい。
その他の充填材として、ウォラストナイト、タルク、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン等のクレー;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、バライト、マラカイト等の炭酸銅;ザラカイト等の炭酸ニッケル;ウィザライト等の炭酸バリウム;ストロンチアナイト等の炭酸ストロンチウム;フォーステライト、シリマナイト、ムライト、パイロフィライト、カオリナイト、バーミキュライト等のケイ酸塩;ケイ藻土等の非補強性の充填材;これらの充填材の表面を有機ケイ素化合物で処理したもの等が挙げられる。これらの充填材は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。これらの充填材を配合する場合、熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物中の上記充填材の含有量は、(A1)成分100質量部に対して5質量部以下が好ましい。
また、熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物の接着性を向上させるために、接着付与剤を配合してもよい。接着付与剤として、具体的には、メチルビニルジメトキシシラン、エチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、エチルビニルジエトキシシラン等のアルキルアルケニルジアルコキシシラン;メチルビニルジオキシムシラン、エチルビニルジオキシムシラン等のアルキルアルケニルジオキシムシラン;メチルビニルジアセトキシシラン、エチルビニルジアセトキシシラン等のアルキルアルケニルジアセトキシシラン;メチルビニルジヒドロキシシラン、エチルビニルジヒドロキシシラン等のアルケニルアルキルジヒドロキシシラン;メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン等のオルガノトリアルコキシシラン;トリアリルイソシアヌレート、ジアリル(3-トリメトキシシリル)イソシアヌレート、トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス(3-トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス(3-トリプロポキシシリルプロピル)イソシアヌレート等のイソシアヌレート化合物;テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネート、チタンエチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート等のチタン化合物;エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)等のアルミニウム化合物;ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムビスアセチルアセトネート、ジルコニウムエチルアセトアセテート等のジルコニウム化合物が挙げられる。接着付与剤は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
上記接着付与剤を配合する場合、熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物中の接着付与剤の含有量は特に限定されないが、(A1)成分100質量部に対して0.01~10質量部が好ましい。
[熱伝導性シリコーン樹脂シートの製造方法]
上述の本発明の熱伝導性シリコーン樹脂シートの製造方法として、下記(I)~(III)の工程を含むものが挙げられる。
(I)(A)成分100質量部と、(B)成分30~150質量部を混合して熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物を得る工程であり、(A)成分は、下記配合量の(A1)~(A4)成分からなる。
(A1)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン:100質量部
(A2)1分子中に2個以上のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A1)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基に対する前記(A2)成分中のヒドロシリル基のモル比が0.5~2となる量
(A3)下記式(1)で表される加水分解性オルガノポリシロキサンからなる粘度調整剤:50~300質量部
Figure 2023114394000015
(式中、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基である。Xは独立に前記R又は下記式(2)で表される基であり、そのうち1つ以上は下記式(2)で示される基であり、aは1≦a≦100、bは0≦b≦100である。)
Figure 2023114394000016
(式中、Qは酸素原子又は炭素数1~4のアルキレン基であり、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基であり、Rは独立に炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシアルキル基、及び炭素数1~4のアシル基から選ばれる基であり、gは0~2の整数である。)、及び
(A4)前記(A)成分に対して白金族金属元素質量換算で0.1~2,000ppmの白金族金属系ヒドロシリル化反応触媒。
(II)前記熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物をシート状に成形し、該シート状に成形した組成物に磁場を印可して前記(B)成分をシートの厚さ方向に磁場配向する工程。
(III)磁場配向された前記熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物を熱硬化して厚さ方向の熱伝導率が10W/m・K以上、かつ、比重が2.0以下の熱伝導性シリコーン樹脂シートを得る工程。
上記(I)の工程において、例えば、上記(A1)、(A3)及び(B)成分を混合し、トリミックス、ツウィンミックス、プラネタリーミキサー(何れも井上製作所(株)製混合機の登録商標)、ウルトラミキサー(みずほ工業(株)製混合機の登録商標)、ハイビスディスパーミックス(特殊機化工業(株)製混合機の登録商標)等の混合機を用いて混合する。(A1)、(A3)及び(B)成分を混合する温度・時間は特に限定されないが、室温から150℃・30分から3時間が好ましく、熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物の物性安定の観点から100℃から150℃・1時間から2時間で混練りすることがより好ましい。上記混合により得られる混合物に(A4)白金族金属系ヒドロシリル化反応触媒と(A2)成分を配合し、室温~40℃で10分~1時間混合して熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物を製造してもよい。
上記(II)の工程において(B)成分をシートの厚さ方向に磁場配向する工程として、磁場強度:8T~12T、磁場の継続時間:5分以上で1時間未満、磁場印加時の温度:60℃~90℃を印可して(B)成分をシートの厚さ方向に磁場配向することができる。磁場強度を8T以上とすることで、より確実に(B)成分をシートの厚さ方向に配向させることができ、12T以下とすれば経済的である。磁場の継続時間を5分以上とすれば、より確実に(B)成分をシートの厚さ方向に配向させることができ、1時間未満とすれば経済的である。磁場印加時の温度が60℃以上であれば、組成物の粘度が下がって流動性が上がるので、(B)成分がより配向しやすくなる。90℃以下であれば、組成物が急激に硬化して流動性を失い、(B)成分が配向できなくなるおそれがない。
上記(III)の工程において、磁場配向した熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物を90℃から150℃、1時間~2時間で熱硬化して本発明の熱伝導性シリコーン樹脂シートを得ることができる。
[熱伝導性シリコーン樹脂シート]
本発明の熱伝導性シリコーン樹脂シートの厚さ方向の熱伝導率は10W/m・K以上であり、20W/m・K以上が好ましく、30W/m・K以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、50W/m・K以下とすることができる。厚さ方向の熱伝導率が10W/m・K以上であれば、放熱用として好適である。なお、本発明において、熱伝導率はNETZSCH社製のキセノンフラッシュアナライザーの方法で測定されたものである。
また、本発明の熱伝導性シリコーン樹脂シートの比重は2.0以下であり、好ましくは1.6以下、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.4以下である。本発明の熱伝導性シリコーン樹脂シートはこのように低比重であることから、電子機器の小型化、軽量化の観点から有用である。なお本発明において、シートの比重は、JIS K6268:1998に記載のA法(水中置換法)により測定することができる。
上記の通り、本発明の熱伝導性シリコーン樹脂シートは、低比重でありながらシートの厚み方向に高い熱伝導率を有する。これは、(B)成分の高アスペクト比の熱伝導性無機充填材を磁場によってシートの厚み方向に配向させることにより、磁場配向させない場合に比べて少量の(B)成分を効果的にシートの厚み方向の熱伝導に寄与させることができるためである。
本発明の熱伝導性シリコーン樹脂シートにおいては、磁場配向時に磁場発生源に近かった面の硬さを裏面硬度と言うものとする。裏面硬度が低いと被着体に対して良好な接触をし、使用中に熱が発生する電気・電子部品からの除熱に優れていることから、裏面硬度は低いことが好ましい。前記裏面硬度は硬さ50~85が好ましく、60~80がより好ましい。なお、熱伝導性シリコーン樹脂シートの硬さは、JIS K7312:1996記載の方法で、アスカ―C硬度計を用いて測定した値である。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例及び比較例で使用した各成分について下記に説明する。なお、実施例及び比較例で調製した組成物における各成分の配合量(質量部)は、表1,2の通りである。
(A1)成分
(A1-1)粘度600mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基含量:0.015mol/100g、式(3)のm=2.000、n=0.011に相当)
(A1-2)粘度30,000mPa・sの分子鎖平均両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルポリシロキサン(ビニル基含量:0.0036mol/100g、式(3)のm=2.000、n=0.003に相当)
(A2)成分
(A2-1)下記式で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
Figure 2023114394000017
(ヒドロシリル基含量:0.00128mol/g、式(4)のp1=1.969、q1=0.098に相当)
(A2-2)下記式で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
Figure 2023114394000018
(ヒドロシリル基含量:0.0107mol/g、式(4)のp1=1.320、q1=0.700に相当)
なお、各シロキサン単位の結合順序は、上記に制限されるものではない。
(A3)粘度調整剤
Figure 2023114394000019
(A4)成分
白金族金属系ヒドロシリル化反応触媒を下記の通り調製して使用した。
[調製例:付加反応触媒の調製]
塩化白金酸HPtCl・6HO(37.6質量%白金)8.0gを還流コンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付けた100mLの反応フラスコに入れ、次いでエタノールを40.0g及びジビニルテトラメチルジシロキサンを16.0g加えた。70℃で50時間加熱反応させた後、反応混合物を室温(25℃)にて撹拌しながら炭酸水素ナトリウム16gを徐々に加えて2時間中和した。反応混合物を吸引濾過し、濾液を減圧留去し、エタノール及び過剰のジビニルテトラメチルジシロキサンを実質的に取り除いた後、トルエンで希釈し、全量を600gとした(白金0.5質量%含有)。
上述した白金-ビニルシロキサン錯体トルエン溶液に290gの粘度600mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンを加えて撹拌し、トルエンを60℃/27hPaで減圧留去し、実質的にトルエンを取り除いたものをヒドロシリル化反応触媒(白金1.0質量%含有)とし、(A4)成分として配合した。
(B)熱伝導性無機充填材(反磁性)
B-1:XN-100-05M(平均直径1μm、平均長50μm、比重2.2):日本グラファイトファイバー株式会社製
B-2:XN-100-15M(平均直径1μm、平均長150μm、比重2.2):日本グラファイトファイバー株式会社製
B-3:XN-100-25M(平均直径1μm、平均長250μm、比重2.2):日本グラファイトファイバー株式会社製
B-4:球状酸化アルミニウム(平均粒径10μm):アドマテクス社製
下記方法で、表1,2に示す実施例1~10及び比較例1~10に使用する熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物を作製した。
[熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物の作製]
表1,2の配合量で(A1)成分、(A3)成分及び(B)成分を室温(25℃)で配合し、プラネタリーミキサーを用いて10~30分混合した。得られた混合物を150℃に加熱し、減圧下で120分撹拌混合した。その後、加熱を停止して室温送風条件下で50℃以下まで冷却した。冷却後に表1,2の配合量で(A2)成分、(A4)白金金属系ヒドロシリル化反応触媒を添加して、室温(25℃)にて撹拌混合し、熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物を得た。
[熱伝導性シリコーン樹脂シートの作製]
上記組成物をシート状に成形し、表1,2の条件で磁場を印加して熱硬化させ、熱伝導性シリコーン樹脂シートを作製した。
上記により得られた熱伝導性シリコーン樹脂シートの特性は次に示す方法にて測定した。各測定結果は表1,2に示した通りである。
[熱伝導性シリコーン樹脂シートの厚さ方向の熱伝導率測定]
NETZSCH社製のキセノンフラッシュアナライザー:LFA447を用いて、25℃において測定した。
[比重測定]
比重測定はJIS K6268:1998記載のA法(水中置換法)により25℃において実施した。
[裏面硬度測定]
熱伝導性シリコーン樹脂シートの作製工程において、底付の円筒型容器に熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物を充填し、底面を裏面、解放面を表面として、得られた熱伝導性シリコーン樹脂シートの裏面の硬さをJIS K7312:1996記載の方法で、25℃でアスカーC硬度計を用いて測定した。
Figure 2023114394000020
Figure 2023114394000021
表1の結果より、実施例1~10の本発明の熱伝導性シリコーン樹脂シートは、シートの厚さ方向の熱伝導率に優れるだけでなく、裏面硬度が低いことから被着体に対して良好な接触をすることから、使用中に熱が発生する電気・電子部品からの除熱に優れていることを実証するものである。さらに低比重であることから、小型化、軽量化の観点からも有用である。
一方、表2の結果より、比較例1、4、5では、磁場印加工程を適切な条件で行わなかったために、(B)成分を十分に配向することができず、シートの厚さ方向の熱伝導率が低かった。比較例2では、(B)成分の配合量が少なすぎたためにシートの厚さ方向の熱伝導率が低かった。比較例3では、組成物に配合する(B)成分の配合量が多すぎたために粘度が高くなりすぎ、(B)成分が十分に配向することができなかったことからシートの厚さ方向の熱伝導率が低かった。さらに、比較例6~10は(B)成分に加えてB-4成分を大量に配合したことから、シートの厚さ方向に高い熱伝導率が得られたが、比重が高くなってしまった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以上の結果より、本発明の熱伝導性シリコーン樹脂シートは、熱伝導性に優れ、かつ、低比重であるため、電子機器・部品の除熱に好適であることが示された。

Claims (10)

  1. (A)熱硬化性シリコーン樹脂:100質量部
    (B)長径及び短径のアスペクト比が5以上、比重が2.0以上3.5未満、かつ長径が30μm以上300μm以下の反磁性材料である熱伝導性無機充填材:30~150質量部
    を含有する熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物である熱伝導性シリコーン樹脂シートであって、
    前記(A)成分が、
    (A1)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン:100質量部
    (A2)1分子中に2個以上のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A1)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基に対する前記(A2)成分中のヒドロシリル基のモル比が0.5~2となる量
    (A3)下記式(1)で表される加水分解性オルガノポリシロキサンからなる粘度調整剤:50~300質量部
    Figure 2023114394000022
    (式中、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基である。Xは独立に前記R又は下記式(2)で表される基であり、そのうち1つ以上は下記式(2)で示される基であり、aは1≦a≦100、bは0≦b≦100である。)
    Figure 2023114394000023
    (式中、Qは酸素原子又は炭素数1~4のアルキレン基であり、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基であり、Rは独立に炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシアルキル基、及び炭素数1~4のアシル基から選ばれる基であり、gは0~2の整数である。)、及び
    (A4)白金族金属系ヒドロシリル化反応触媒:前記(A)成分に対して白金族金属元素質量換算で0.1~2,000ppm
    であり、
    前記熱伝導性シリコーン樹脂シートは厚さ方向の熱伝導率が10W/m・K以上、かつ、比重が2.0以下のものであることを特徴とする熱伝導性シリコーン樹脂シート。
  2. 前記(A1)成分が、下記平均組成式(3)で表されることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性シリコーン樹脂シート。
    SiO(4-m-n)/2 (3)
    (式中、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基であり、Rは独立に炭素数2~6のアルケニル基である。mは、0.5~2.5、nは、0.0001~0.7の正数である。ただし、m+nは、0.8~2.7の正数である。)
  3. 前記(A2)成分が、下記平均組成式(4)で表されることを特徴とする請求項1または2に記載の熱伝導性シリコーン樹脂シート。
    p1q1SiO(4-p1-q1)/2 (4)
    (式中、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基である。p1は0.7~2.9の正数であり、q1は0.01~2.0の正数である。ただし、p1+q1は0.71~3.0の正数である。)
  4. 前記(A3)成分が、下記式(5)で表されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の熱伝導性シリコーン樹脂シート。
    Figure 2023114394000024
    (式中、R、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基であり、Rは独立に炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシアルキル基、及び炭素数1~4のアシル基から選ばれる基であり、gは0~2の整数であり、cは5~100の整数である。)
  5. 前記(B)成分が、炭素繊維、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、シリコンカーバイト,ボロンナイトライドから選ばれる1種以上の反磁性材料であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の熱伝導性シリコーン樹脂シート。
  6. 熱伝導性シリコーン樹脂シートの製造方法であって、
    (I)(A)熱硬化性シリコーン樹脂:100質量部と、
    (B)長径及び短径のアスペクト比が5以上、比重が2.0以上3.5未満、かつ長径が30μm以上300μm以下の反磁性材料である熱伝導性無機充填材:30~150質量部
    を混合して熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物を得る工程であって、
    前記(I)工程は、前記(A)成分として、
    (A1)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン:100質量部と、
    (A2)1分子中に2個以上のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:前記(A1)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基に対する前記(A2)成分中のヒドロシリル基のモル比が0.5~2となる量と、
    (A3)下記式(1)で表される加水分解性オルガノポリシロキサンからなる粘度調整剤:50~300質量部と、
    Figure 2023114394000025
    (式中、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基である。Xは独立に前記R又は下記式(2)で表される基であり、そのうち1つ以上は下記式(2)で示される基であり、aは1≦a≦100、bは0≦b≦100である。)
    Figure 2023114394000026
    (式中、Qは酸素原子又は炭素数1~4のアルキレン基であり、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基であり、Rは独立に炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシアルキル基、及び炭素数1~4のアシル基から選ばれる基であり、gは0~2の整数である。)、及び
    (A4)前記(A)成分に対して白金族金属元素質量換算で0.1~2,000ppmの白金族金属系ヒドロシリル化反応触媒
    を用い、
    (II)前記熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物をシート状に成形し、該シート状に成形した組成物に磁場を印可して前記(B)成分をシートの厚さ方向に磁場配向する工程と、
    (III)磁場配向された前記熱伝導性熱硬化性シリコーン樹脂組成物を熱硬化して厚さ方向の熱伝導率が10W/m・K以上、かつ、比重が2.0以下の熱伝導性シリコーン樹脂シートを得る工程と、
    を含むことを特徴とする熱伝導性シリコーン樹脂シートの製造方法。
  7. 前記(A1)成分は、下記平均組成式(3)
    SiO(4-m-n)/2 (3)
    (式中、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基であり、Rは独立に炭素数2~6のアルケニル基である。mは、0.5~2.5、nは、0.0001~0.7の正数である。ただし、m+nは、0.8~2.7の正数である。)
    で表されるものとすることを特徴とする請求項6に記載の熱伝導性シリコーン樹脂シートの製造方法。
  8. 前記(A2)成分は、下記平均組成式(4)
    p1q1SiO(4-p1-q1)/2 (4)
    (式中、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基である。p1は0.7~2.9の正数であり、q1は0.01~2.0の正数である。ただし、p1+q1は0.71~3.0の正数である。)
    で表されるものとすることを特徴とする請求項6または7に記載の熱伝導性シリコーン樹脂シートの製造方法。
  9. 前記(A3)成分は、下記式(5)
    Figure 2023114394000027
    (式中、R、Rは独立に炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアラルキル基から選ばれる基であり、Rは独立に炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシアルキル基、及び炭素数1~4のアシル基から選ばれる基であり、gは0~2の整数であり、cは5~100の整数である。)
    で表されるものとすることを特徴とする請求項6~8のいずれか1項に記載の熱伝導性シリコーン樹脂シートの製造方法。
  10. 前記(B)成分は、炭素繊維、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、シリコンカーバイト,ボロンナイトライドから選ばれる1種以上の反磁性材料とすることを特徴とする請求項6~9のいずれか1項に記載の熱伝導性シリコーン樹脂シートの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024190661A1 (ja) * 2023-03-14 2024-09-19 信越化学工業株式会社 熱伝導性シリコーン組成物

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