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JP2023144752A - 共重合体、樹脂組成物及び樹脂成形体 - Google Patents

共重合体、樹脂組成物及び樹脂成形体 Download PDF

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JP2023144752A
JP2023144752A JP2022051881A JP2022051881A JP2023144752A JP 2023144752 A JP2023144752 A JP 2023144752A JP 2022051881 A JP2022051881 A JP 2022051881A JP 2022051881 A JP2022051881 A JP 2022051881A JP 2023144752 A JP2023144752 A JP 2023144752A
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meth
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晃 山内
Akira Yamauchi
剛 大谷
Takeshi Otani
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

【課題】(メタ)アクリル系重合体に配合したときに、弾性率が高く、透明性及び耐衝撃性に優れる樹脂組成物が得られる共重合体の提供。【解決手段】下記式(1)で表されるマクロモノマー(A)に由来する構造単位と、前記マクロモノマー(A)と共重合可能なコモノマー(B)に由来する構造単位とを含む共重合体であって、前記共重合体のMwが、200,000以上であり、前記コモノマー(B)が、芳香族アクリレート(B1)を含む、共重合体。TIFF2023144752000009.tif43170【選択図】なし

Description

本発明は、共重合体、樹脂組成物及び樹脂成形体に関する。
(メタ)アクリル系重合体は、透明性や耐候性、高い弾性率、表面硬度等に優れるので、液晶や有機EL等のディスプレイの前面板、看板用品、照明用品、家電製品、車両内装・外装材、工業資材、建築用資材、液晶や有機EL等のディスプレイに使用される光学フィルム、レンズ、導光板、集光部材等に広く用いられている。
しかし、(メタ)アクリル系重合体は衝撃に弱い脆い材料であり、用途によっては、高い弾性率と優れた透明性を保ちつつ、耐衝撃性を向上させることが要求される。
(メタ)アクリル系重合体の耐衝撃性を向上させる技術として、例えば、ポリ(メタ)アクリレート鎖を有するブロック共重合体又はグラフト共重合体(以下、「ブロック/グラフト共重合体」ともいう。)を(メタ)アクリル系重合体に配合した樹脂組成物が知られている。ブロック/グラフト共重合体は2種以上のポリマーセグメントが互いに化学結合で連結しており、ブロック/グラフト共重合体を(メタ)アクリル系重合体に配合すると、「ミクロ相分離構造」と呼ばれるナノメーターサイズの相分離構造を形成する。そのため、この樹脂組成物及び該樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体は、(メタ)アクリル系重合体とブロック/グラフト共重合体が有する特性を共に発現させることができる。
特許文献1には、重合性官能基を分子構造中に有する(メタ)アクリル系高分子であるマクロモノマーに、懸濁重合法を用いて他のアクリレートモノマー及び芳香族ビニルモノマーを共重合することによりブロック/グラフト共重合体を製造し、得られたブロック/グラフト共重合体を(メタ)アクリル系重合体に添加して耐衝撃性を改善する技術が開示されている。
特許文献2には、マクロモノマーに溶液重合法を用いてアルキルアクリレートモノマー及び芳香族アクリレートモノマーを共重合することによりブロック/グラフト共重合体を製造し、得られたブロック/グラフト共重合体を(メタ)アクリル系重合体に添加した樹脂組成物が、優れた耐熱分解性および透明性を発現することが開示されている。
国際公開第2021/193613号 特開2018-159010号公報
しかし、特許文献1に記載の方法では、マクロモノマーと共重合するコモノマーとしてスチレンのような芳香族ビニルモノマーを使用しているため、コモノマー単位からなるポリマーセグメント全体のTgが高くなり、コモノマー単位からなるポリマーセグメントの運動性が低下するため、得られる樹脂組成物及び該樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体の耐衝撃性が不十分であった。
特許文献2に記載の樹脂組成物は、ブロック/グラフト共重合体の質量平均分子量が低いため、ブロック/グラフト共重合体の機能が十分に発揮されず、この樹脂組成物及び該樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体の耐衝撃性が不十分であった。
本発明の目的は、(メタ)アクリル系重合体に配合したときに、弾性率が高く、透明性及び耐衝撃性に優れる樹脂組成物が得られる共重合体、弾性率が高く、透明性及び耐衝撃性に優れる樹脂組成物及び樹脂成形体を提供することにある。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]下記式(1)で表されるマクロモノマー(A)に由来する構造単位と、前記マクロモノマー(A)と共重合可能なコモノマー(B)に由来する構造単位とを含む共重合体であって、
前記共重合体の質量平均分子量(Mw)が、200,000以上であり、
前記コモノマー(B)が、芳香族アクリレート(B1)を含む、共重合体。
Figure 2023144752000001
ただし、R及びR~Rは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基を示し、X~Xは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、nは、2~10,000の自然数を示し、Zは、末端基を示す。
[2]前記共重合体の総質量に対する前記マクロモノマー(A)に由来する構造単位の割合が、45質量%以上99質量%以下である、[1]に記載の共重合体。
[3]前記コモノマー(B)に由来する構造単位のみからなる重合体のガラス転移温度が、-35℃以下である、[1]又は[2]に記載の共重合体。
[4]非金属連鎖移動剤に由来する基を含み、
前記共重合体の総質量に対する前記非金属連鎖移動剤に由来する基の割合が、0.01~0.5質量%である、[1]~[3]のいずれかに記載の共重合体。
[5]前記マクロモノマー(A)が、メチルメタクリレートに由来する構造単位を有し、
前記マクロモノマー(A)の総質量に対する前記メチルメタクリレートに由来する構造単位の割合が、90質量%以上である、[1]~[4]のいずれかに記載の共重合体。
[6]前記芳香族アクリレート(B1)が、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート及びフェニルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種である、[1]~[5]のいずれかに記載の共重合体。
[7]前記コモノマー(B)が、アルキルアクリレート(B2)を含む、[1]~[6]のいずれかに記載の共重合体。
[8]前記アルキルアクリレート(B2)が、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、i-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、i-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート及びi-ステアリルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種である、[7]に記載の共重合体。
[9][1]~[8]のいずれかに記載の共重合体と、(メタ)アクリル系重合体(Z)とを含む、樹脂組成物。
[10]前記(メタ)アクリル系重合体(Z)が、メチルメタクリレートに由来する構造単位を含み、
前記(メタ)アクリル系重合体(Z)の総質量に対する前記メチルメタクリレートに由来する構造単位の割合が、80質量%以上である、[9]に記載の樹脂組成物。
[11][9]又は[10]に記載の樹脂組成物を成形してなる、樹脂成形体。
本発明によれば、(メタ)アクリル系重合体に配合したときに、弾性率が高く、透明性及び耐衝撃性に優れる樹脂組成物が得られる共重合体、弾性率が高く、透明性及び耐衝撃性に優れる樹脂組成物及び樹脂成形体を提供できる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形して実施できる。
本発明において「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸又はメタクリル酸を示す。「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを示す。「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル又はメタクリルロイルを示す。
本発明において、「モノマー」は未重合の化合物を意味し、「構造単位」はモノマーが重合することによって形成された該モノマーに由来する重合体を構成する単位を意味する。「構造単位」は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって該単位の一部が別の構造に変換されたものであってもよい。
本発明において、「質量%」は全体量100質量%中に含まれる特定の成分の含有率を示す。
本発明において、特に断らない限り、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。例えば「A~B」はA以上B以下であることを意味する。
[共重合体]
本発明の共重合体(以下、「本共重合体」ともいう。)は、下記式(1)で表されるマクロモノマー(A)に由来する構造単位(以下、「マクロモノマー(A)単位」ともいう。)と、前記マクロモノマー(A)と共重合可能なコモノマー(B)に由来する構造単位(以下、「コモノマー(B)単位」ともいう。)とを含む。
Figure 2023144752000002
ただし、R及びR~Rは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基を示し、X~Xは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、nは、2~10,000の自然数を示し、Zは、末端基を示す。
本共重合体がマクロモノマー(A)単位を含むことで、本共重合体及び(メタ)アクリル系重合体(Z)を含む樹脂組成物及びこれを成形した樹脂成形体を、弾性率が高く、透明性及び耐衝撃性に優れたものにできる。また、本共重合体がコモノマー(B)単位を含むことで、樹脂組成物及び樹脂成形体の耐衝撃性をさらに優れたものにできる。
マクロモノマー(A)及びコモノマー(B)それぞれの詳細については後述する。
本共重合体に含まれるマクロモノマー(A)単位の含有割合は、本共重合体の取扱い性が良好となることから、本共重合体の総質量に対して、45質量%以上が好ましく、47質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。一方、マクロモノマー(A)単位の含有割合は、本共重合体の使用量が抑えられ、少ない添加量で改質効果が得られることから、本共重合体の総質量に対して、99質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。本共重合体の総質量に対するマクロモノマー(A)単位の含有割合は、例えば45質量%以上99質量%以下、さらには47質量%以上75質量%以下、さらには50質量%以上70質量%以下とすることができる。
本共重合体に含まれるコモノマー(B)単位の含有割合は、本共重合体による耐衝撃性の向上効果が得られやすくなることから、本共重合体の総質量に対して、1質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。一方、コモノマー(B)単位の含有割合は、本共重合体を樹脂組成物に配合した際の透明性が良好となることから、55質量%以下が好ましく、53質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。
上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。本共重合体の総質量に対するコモノマー(B)単位の含有割合は、例えば1質量%以上55質量%以下、さらには25質量%以上53質量%以下、さらには30質量%以上50質量%以下とすることができる。
本共重合体中、マクロモノマー(A)単位:コモノマー(B)単位の質量比は、45:55~99:1が好ましく、47:53~75:25がより好ましく、50:50~70:30がさらに好ましい。
本共重合体は、マクロモノマー(A)とコモノマー(B)とを含む重合性組成物(X)を重合して得ることができる。重合性組成物(X)及び本共重合体の製造方法の詳細については後述する。
本共重合体は、重合性組成物(X)を重合反応させて得られるもの全てを含む。本共重合体は、未反応のマクロモノマー(A)や、コモノマー(B)単位からなる重合体を含んでいてもよい。
本共重合体の質量平均分子量(Mw)は、得られる樹脂組成物及び樹脂成形体の耐衝撃性が良好となる観点から、200,000以上であり、300,000以上が好ましく、400,000以上がより好ましい。Mwが200,000以上であれば、(メタ)アクリル系重合体(Z)と十分に混和することができるため耐衝撃性が良好となる。
一方、本共重合体のMwの上限は特に限定されるものではないが、樹脂組成物の取扱い性が良好となる観点から、3,500,000以下が好ましく、3,000,000以下がより好ましく、2,000,000以下がさらに好ましい。
上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。本共重合体のMwは、例えば200,000以上3,500,000以下、さらには300,000以上3,000,000以下、さらには400,000以上2,000,000とすることができる。
本共重合体のMwを200,000以上に制御する方法は特に限定されない。例えば周知技術に従って、重合方法や、重合開始剤の種類や添加量、連鎖移動剤の添加量、重合温度等を調整することでMwを制御することができる。
[重合性組成物(X)]
重合性組成物(X)は、本共重合体の原料の一つであり、マクロモノマー(A)とコモノマー(B)とを含む。
重合性組成物(X)は、典型的には、重合開始剤を含む。
重合性組成物(X)は、必要に応じて、非金属連鎖移動剤を含むことができる。
重合開始剤及び非金属連鎖移動剤それぞれの詳細については後述する。
重合性組成物(X)に含まれるマクロモノマー(A)の含有割合は、本共重合体の取扱い性が良好となることから、重合性組成物(X)の総質量に対して、45質量%以上が好ましく、47質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。一方、マクロモノマー(A)の含有割合は、本共重合体の使用量が抑えられ、少ない添加量で改質効果が得られることから、重合性組成物(X)の総質量に対して、99質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。重合性組成物(X)の総質量に対するマクロモノマー(A)の含有割合は、例えば45質量%以上99質量%以下、さらには47質量%以上75質量%以下、さらには50質量%以上70質量%以下とすることができる。
重合性組成物(X)に含まれるコモノマー(B)の含有割合は、本共重合体による耐衝撃性の向上効果が得られやすくなることから、重合性組成物(X)の総質量に対して、1質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。一方、コモノマー(B)の含有割合は、本共重合体を樹脂組成物に配合した際の透明性が良好となることから、55質量%以下が好ましく、53質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。
上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。重合性組成物(X)の総質量に対するコモノマー(B)の含有割合は、例えば1質量%以上55質量%以下、さらには25質量%以上53質量%以下、さらには30質量%以上50質量%以下とすることができる。
重合性組成物(X)中、マクロモノマー(A):コモノマー(B)の質量比は、45:55~99:1が好ましく、47:53~75:25がより好ましく、50:50~70:30がさらに好ましい。
重合性組成物(X)に含まれるラジカル重合開始剤の含有割合は、この分野の当業者であれば、周知技術に従って適宜選択することができる。ラジカル重合開始剤の含有割合は、例えば、重合性組成物(X)の総質量に対して0.0001~10質量%である。
重合性組成物(X)に含まれる非金属連鎖移動剤の含有割合は、重合性組成物(X)の総質量に対して、0.01~0.5質量%が好ましく、0.01~0.25質量%がより好ましく、0.04~0.25質量%が特に好ましい。非金属連鎖移動剤の含有割合が0.01質量%以上であれば、得られる共重合体の架橋を十分に防ぐことができる。非金属連鎖移動剤の配合量が0.5質量%以下であれば、得られる共重合体の組成分布が広くなることを抑制できるので、得られた樹脂成形体の耐衝撃性を良好にできる。
重合性組成物(X)が非金属連鎖移動剤を含む場合、得られる共重合体は、非金属連鎖移動剤に由来する基を含む。
本共重合体の総質量に対する非金属連鎖移動剤に由来する基の割合は、重合性組成物(X)における非金属連鎖移動剤の含有割合を上記の好ましい範囲内とする観点から、0.01~0.5質量%が好ましく、0.01~0.25質量%がより好ましく、0.04~0.25質量%が特に好ましい。
[マクロモノマー(A)]
マクロモノマー(A)は、下記式(1)で表され、ポリ(メタ)アクリレートセグメントの片末端にラジカル重合可能な不飽和二重結合基を有する。式(1)中の点線は、(メタ)アクリレート単位が繰り返されている状態を表す。
Figure 2023144752000003
ただし、R及びR~Rは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基を示し、X~Xは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、nは、2~10,000の自然数を示し、Zは、末端基を示す。
本共重合体がマクロモノマー(A)単位を含むことにより、本発明の樹脂組成物を製造するときに、本共重合体と後述する(メタ)アクリル系重合体(Z)との相溶性が良好となる。その結果、得られる樹脂組成物及び樹脂成形体は、耐衝撃性と透明性に優れ、高い弾性率を有するものになる。マクロモノマー(A)及び(メタ)アクリル系重合体(Z)のそれぞれを構成する構造単位の種類及び前記の各構造単位の組成比を似たように設計することにより、本共重合体と(メタ)アクリル系重合体(Z)との相溶性を向上できる。
前記式(1)において、R及びR~Rのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基は、置換基を有することができる。
R及びR~Rのアルキル基としては、例えば炭素数1~20の分岐又は直鎖アルキル基が挙げられる。具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。これらの中で、入手しやすさから、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、及びオクチル基が好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、及びt-ブチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
R及びR~Rのシクロアルキル基としては、例えば炭素数3~20のシクロアルキル基が挙げられる。具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、t-ブチルシクロヘキシル基、イソボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。入手しやすさから、シクロプロピル基、シクロブチル基、及びアダマンチル基が好ましい。
R及びR~Rのアリール基としては、例えば炭素数6~18のアリール基が挙げられる。具体例としては、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基等が挙げられる。
R及びR~Rの複素環基としては、例えば炭素数5~18の複素環基が挙げられる。具体例としては、γ-ラクトン基、ε-カプロラクトン基、モルフォリン基等が挙げられる。複素環に含まれるヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
R又はR~Rの置換基としては、それぞれ独立して、アルキル基、アリール基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基(-COOR’)、カルバモイル基(-CONR’R’’)、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、アミド基(-NR’R’’)、ハロゲン原子、アリル基、エポキシ基、アルコキシ基(-OR’)、及び親水性もしくはイオン性を示す基からなる群から選択される基又は原子が挙げられる。なお、R’又はR’’の例としては、それぞれ独立して、Rと同様の基(ただし複素環基を除く。)が挙げられる。
R又はR~Rの置換基としてのアルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基が挙げられる。
R又はR~Rの置換基としてのカルバモイル基としては、例えば、N-メチルカルバモイル基及びN,N-ジメチルカルバモイル基が挙げられる。
R又はR~Rの置換基としてのアミド基としては、例えばジメチルアミド基が挙げられる。
R又はR~Rの置換基としてのハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
R又はR~Rの置換基としてのアルコキシ基としては、例えば炭素数1~12のアルコキシ基が挙げられる。具体例としては、メトキシ基が挙げられる。
R又はR~Rの置換基としての親水性又はイオン性を示す基としては、例えばカルボキシ基のアルカリ塩又はスルホキシル基のアルカリ塩、ポリエチレンオキシド基、ポリプロピレンオキシド基等のポリ(アルキレンオキシド)基及び四級アンモニウム塩基等のカチオン性置換基が挙げられる。
R及びR~Rは、アルキル基及びシクロアルキル基から選ばれる少なくとも1種が好ましく、アルキル基がより好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基又はi-プロピル基が好ましく、入手のしやすさの観点から、メチル基がより好ましい。
前記式(1)において、X~Xは、マクロモノマー(A)の合成し易さの観点から、X~Xの総モル数100mol%に対して、80mol%以上がメチル基であることが好ましい。
nは、マクロモノマー(A)の質量平均分子量が10,000以上100,000以下となる値をとることが好ましい。マクロモノマー(A)の重量平均分子量のより好ましい範囲は、後述のとおりである。
前記式(1)において、Zは、マクロモノマー(A)の末端基である。マクロモノマー(A)の末端基としては、例えば、公知のラジカル重合で得られるポリマーの末端基と同様に、水素原子、及びラジカル重合開始剤に由来する基が挙げられる。
マクロモノマー(A)は、メチルメタクリレートに由来する構造単位(以下、「MMA単位」ともいう。)を含むことが好ましい。
マクロモノマー(A)に含まれるMMA単位の含有割合は、マクロモノマー(A)の総質量に対して、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。MMA単位の含有割合が80質量%以上であれば、樹脂組成物及び樹脂成形体の耐衝撃性と透明性がより良好となり、弾性率がより高くなる。一方、MMA単位の含有割合の上限は特に限定されるものではなく、マクロモノマー(A)の総質量に対して、100質量%としてもよく、100質量%未満、例えば99質量%以下とすることもできる。
上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
マクロモノマー(A)がMMA単位を含む場合、マクロモノマー(A)は、MMA以外のメタクリレートに由来する構造単位(以下、「メタクリレート単位」ともいう。)、及びアクリレートに由来する構造単位(以下、「アクリレート単位」ともいう。)からなる群から選ばれる少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。
マクロモノマー(A)に含まれるアクリレート単位の含有割合は、本共重合体の耐熱分解性が良好となることから、マクロモノマー(A)の総質量に対して、0.5質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、4質量%以上がさらに好ましい。一方、アクリレート単位の含有割合は、樹脂組成物の耐熱分解性を良好に維持できることから、マクロモノマー(A)の総質量に対して、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。
上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
前記メタクリレート単位又は前記アクリレート単位を形成する単量体としては、メチルメタクリレートと共重合可能な単量体であれば特に限定されるものではなく、例えば、後述する「(メタ)アクリル系重合体(Z)のコモノマー単位を形成するコモノマー」で挙げた単量体と同様の単量体を使用できる。これらの単量体は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記の中でも、前記メタクリレート単位を構成する単量体としては、入手のし易さの点で、n-ブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、及び4-ヒドロキシブチルメタクリレートが好ましく、n-ブチルメタクリレート及び2-エチルヘキシルメタクリレートがより好ましい。前記アクリレート単位を構成する単量体としては、入手しやすさの点で、メチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ドデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、グリシジルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、及び4-ヒドロキシブチルアクリレートが好ましく、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレートがより好ましい。
本共重合体中のマクロモノマー(A)単位からなるポリマー鎖の分子量を調整することで、本共重合体と(メタ)アクリル系重合体(Z)とを混合して本発明の樹脂組成物を製造する際に、前記ポリマー鎖と(メタ)アクリル系重合体(Z)との適度な絡み合いが生じるため、本共重合体と(メタ)アクリル系重合体(Z)が形成するマトリックス相との間の界面強度が向上し、得られる樹脂組成物及び樹脂成形体の耐衝撃性と弾性率がより良好となる。
ここで、ポリメチルメタクリレートの絡み合い点間分子量Meは、およそ9,200g/molであることが知られている(Wuらの報文:POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,JUNE 1992,Vol.32,No.12 p823)。
よって、マクロモノマー(A)の質量平均分子量(Mw)は、10,000以上が好ましく、15,000以上がより好ましく、20,000以上がさらに好ましく、24,000以上が特に好ましい。マクロモノマー(A)のMwが10,000以上であれば、マクロモノマー(A)単位からなるポリマー鎖と(メタ)アクリル系重合体(Z)との絡み合いが生じ、本共重合体と(メタ)アクリル系重合体(Z)が形成するマトリックス相との間の界面強度が向上し、樹脂組成物及び樹脂成形体の耐衝撃性をより優れたものにできる。
一方、マクロモノマー(A)のMwは、マクロモノマー(A)とコモノマー(B)との共重合性が良好となり、樹脂組成物及び樹脂成形体の耐衝撃性を良好に維持できることから、1,000,000以下が好ましく、80,000以下がより好ましく、60,000以下がさらに好ましく、50,000以下が特に好ましい。
上記の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。マクロモノマー(A)のMwは、例えば、10,000以上100,000以下、さらには15,000以上80,000以下、さらには20,000以上60,000以下、さらには24,000以上50,000以下とすることができる。
なお、本発明において、マクロモノマー(A)のMwは、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を使用し、ポリメチルメタクリレート(PMMA)換算で求めた相対分子量である質量平均分子量を意味する。
マクロモノマー(A)は、二種類以上のマクロモノマーの混合物でもよい。その場合、マクロモノマー(A)のMwは、マクロモノマー(A)全体での値として算出する。
Mwが異なる複数種類のマクロモノマー(A)を併用する場合、より低いMwのマクロモノマー(A)が、シラップ粘度低減と共重合体が架橋することを防ぐ役割を担い、より高いMwのマクロモノマー(A)が、添加剤として使用した時のマトリクス樹脂との相溶性確保等の役割を担うと考えられる。
マクロモノマー(A)のポリ(メタ)アクリレートセグメントを構成する原料モノマーは、1種以上の(メタ)アクリレートからなる。原料モノマーは、メチルメタクリレートを含むことが好ましく、さらに、メチルメタクリレート以外の(メタ)アクリレートをさらに含んでいてもよい。
メチルメタクリレート以外の(メタ)アクリレートとしては、メチルメタクリレートと共重合可能な単量体であれば特に限定されるものではなく、例えば、後述する「(メタ)アクリル系重合体(Z)のコモノマー単位を形成するコモノマー」で挙げた単量体と同様の単量体を使用できる。これらの単量体は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記の中でも、入手のし易さの点で、メチルアクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましく、メチルアクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートがより好ましい。
原料モノマーは、生成物である本共重合体、本共重合体を含有する本発明の樹脂組成物、及び前記樹脂組成物を用いて成形された本発明の樹脂成形体が、耐熱分解性に優れる点から、一部にアクリレートを含むことが好ましい。
アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、i-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、i-ブチルアクリレート、及びt-ブチルアクリレートが挙げられる。これらの中で、入手しやすさの点で、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレートが好ましい。
[マクロモノマー(A)の製造方法]
マクロモノマー(A)は、公知の方法で製造できる。マクロモノマー(A)の製造方法としては、例えば、コバルト連鎖移動剤を用いて原料モノマーを重合する方法(米国特許4680352号明細書)、α-ブロモメチルスチレン等のα置換不飽和化合物を連鎖移動剤として原料モノマーを重合する方法(国際公開88/04304号)、ポリ(メタ)アクリレートセグメントの片末端に重合性基を化学的に結合させる方法(特開昭60-133007号公報、米国特許5147952号明細書)、及び熱分解による方法(特開平11-240854号公報)等が挙げられる。これらの中で、製造工程数が少なく、連鎖移動定数が高い触媒を使用する点で、コバルト連鎖移動剤を用いて原料モノマーを重合する方法が好ましい。
コバルト連鎖移動剤を用いて原料モノマーを重合する方法としては、例えば、塊状重合法、溶液重合法及び、懸濁重合法、乳化重合法等の水系分散重合法が挙げられる。これらの中で、マクロモノマー(A)の回収工程の簡略化の点から、水系分散重合法が好ましく、懸濁重合法が特に好ましい。また、重合後に、マクロモノマー(A)を回収せずにそのままコモノマー(B)及びラジカル重合開始剤を追添加して本共重合体を共重合反応によって得ることも可能である。
コバルト連鎖移動剤としては、下記式(2)に示されるコバルト連鎖移動剤が使用でき、例えば、特許第3587530号公報、特開平6-23209号公報、特開平7-35411号公報、米国特許第45269945号明細書、同第4694054号明細書、同第4834326号明細書、同第4886861号明細書、同第5324879号明細書、国際公開第95/17435号、特表平9-510499号公報等に記載されているものを使用することができる。
Figure 2023144752000004
ただし、R~Rは、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を示し、Xは、それぞれ独立して、F原子、Cl原子、Br原子、OH基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基又はアリール基を示す。
[コモノマー(B)]
コモノマー(B)は、マクロモノマー(A)と共重合するモノマーである。
本共重合体がコモノマー(B)単位を有することで、樹脂組成物及び樹脂成形体の耐衝撃性が良好となる。
コモノマー(B)は、芳香族アクリレート(B1)を含む。
コモノマー(B)は、さらに、アルキルアクリレート(B2)を含むことが好ましい。
コモノマー(B)は、必要に応じて、その他のモノマー(B3)を含んでいてもよい。
[芳香族アクリレート(B1)]
芳香族アクリレート(B1)単位からなる重合体の屈折率は、アルキルアクリレート(B2)単位からなる重合体の屈折率より高くなることから、コモノマー(B)が芳香族アクリレート(B1)を含むことで、コモノマー(B)単位を含むポリマー鎖の屈折率を調整し、本共重合体と配合する(メタ)アクリル系共重合体(Z)の屈折率に合わせることができる。
芳香族アクリレート(B1)としては、例えば、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ビフェニルアクリレート、ノニルフェニルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキリポリエチレングリコールアクリレート、クミルフェノールアクリレート、クミルフェノキシエチルアクリレート、クミルフェノキリポリエチレングリコールアクリレート、o-フェニルフェノールアクリレート、エトキシ化o-フェニルフェノールアクリレート、トリブロモフェニルアクリレート、EO変性トリブロモフェニルアクリレート等が挙げられる。これらは、1種以上を適宜選択して使用することができる。これらの中で、入手しやすさの点で、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェニルアクリレートが好ましい。
[アルキルアクリレート(B2)]
コモノマー(B)がアクリレート(B2)を含むことで、得られる樹脂組成物及び樹脂成形体の透明性と耐衝撃性が良好となり、弾性率が高くなる。
アルキルアクリレート(B2)は、アクリレートのうち、エステル基がアルキル基であるものを指す。
アルキル基としては、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、環状アルキル基等が挙げられる。これらのうちコモノマー(B)単位からなるポリマーセグメントが柔軟性に優れる点では、直鎖アルキル基や分岐アルキル基が好ましい。アルキル基の炭素数は、例えば1~20である。アルキル基は、アルコキシ基、水酸基、カルボキシ基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、ビニル基等の置換基を有していてもよい。
アルキルアクリレート(B2)は、得られる樹脂組成物及び樹脂成形体の耐衝撃性をより優れたものにできることから、アルキルアクリレート(B2)単位のみからなる重合体のガラス転移温度(Tg)が0℃未満であることが好ましい。
アルキルアクリレート(B2)としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、i-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、i-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート、n-ステアリルアクリレート、i-ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート等の無置換のアルキルアクリレート;2-メトキシエチルアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート等のアルコキシ基含有アクリレート;2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、グリセロールアクリレート等の水酸基含有アクリレート;2-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2-アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2-アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2-アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2-アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-アクリロイルオキシプロピルコハク酸、等のカルボキシ基含アクリレート;グリジシルアクリレート、グリジシルα-エチルアクリレート、3,4-エポキシブチルアクリレート等のエポキシ基含有アクリレート;ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート等のアミノ基含有アクリレート;エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリルアクリレート、N,N’-メチレンビスアクリルアミド等の多官能性のアクリレート等が挙げられる。これらは単独で使用又は2種以上を併用して使用することができる。
上記の単量体の中でも、入手しやすさの点で、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、i-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、i-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート及びi-ステアリルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
或いは又、アルキルアクリレート(B2)単位のみからなる重合体のTgが0℃未満であることから、2-エチルヘキシルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、エチルアクリレート及び2-ヒドロキシエチルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
或いは又、マクロモノマー(A)とコモノマー(B)との相溶性が良好となり、得られる樹脂組成物及び樹脂成形体の透明性や耐衝撃性を良好にでき、弾性率を高くできることから、メチルアクリレート、エチルアクリレート及びn-ブチルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
[その他のモノマー(B3)]
その他のモノマー(B3)としては、マクロモノマー(A)及び芳香族アクリレート(B1)等と共重合可能であればよく、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、i-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-ラウリルメタクリレート、n-ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート等のメタクリレート;2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート等の水酸基含有メタクリレート;2-メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-メタクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2-メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2-メタクリロイルオキシプロピルフタル酸、2-メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2-メタクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2-メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2-メタクリロイルオキシプロピルコハク酸、等のカルボキシ基含メタクリレート;グリジシルメタクリレート、3,4-エポキシブチルメタクリレート等のエポキシ基含有メタクリレート;ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有メタクリレート;エチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート、等の多官能メタクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o-エチルスチレン、p-エチルスチレン及びp-t-ブチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ジフェニルエチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等のカルボキシ基含有ビニル系単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有ビニル系単量体;(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等のアミド基を含有するビニル系単量体;(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系単量体;等が挙げられる。これらは、1種以上を適宜選択して使用することができる。
コモノマー(B)に含まれる芳香族アクリレート(B1)の含有割合は、コモノマー(B)の総質量に対して、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましい。芳香族アクリレート(B1)の含有割合が5質量%以上であれば、コモノマー(B)単位を含むポリマー鎖の屈折率を、(メタ)アクリル系共重合体(Z)の屈折率に合わせやすい。一方、芳香族アクリレート(B1)の含有割合は、コモノマー(B)の総質量に対して、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましい。
コモノマー(B)に含まれるアルキルアクリレート(B2)の含有割合は、コモノマー(B)の総質量に対して、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、65質量%以上がさらに好ましい。アルキルアクリレート(B2)の含有割合が50質量%以上であれば、得られる樹脂組成物及び樹脂成形体の耐衝撃性を良好にできる。一方、アルキルアクリレート(B2)の含有割合は、コモノマー(B)の総質量に対して、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましい。
その他のモノマー(B3)の含有割合は、コモノマー(B)の総質量に対して、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、0質量%であってもよい。
本共重合体中のコモノマー(B)単位からなる重合体の屈折率は特に限定されないが、例えば波長589nmにおける屈折率が1.44~1.54であることが好ましく、1.47~1.51がより好ましい。特に樹脂組成物の透明性の観点から、上述したマクロモノマー(A)及び後述する(メタ)アクリル系重合体(Z)との屈折率差の絶対値が0.05以下であることが好ましく、0.03以下であるとより好ましく、0.01以下であるとさらに好ましい。
本共重合体中のコモノマー(B)単位からなる重合体の屈折率は、コモノマー(B)のみを、本共重合体を製造する際と同じ条件で重合させた重合体の屈折率と同じとみなすことができる。
マクロモノマー(A)とコモノマー(B)との共重合反応機構については、山田らの報文(Prog. Polym. Sci.31 (2006) p835-877)等に詳しく記載されている。コモノマー(B)として、二重結合を有し、且つラジカル重合性を有する単量体を、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
本共重合体中のコモノマー(B)単位からなる重合体のガラス転移温度(Tg)は、得られる樹脂組成物及び樹脂成形体の耐衝撃性をより優れたものにできることから、-35℃以下が好ましく、-37℃以下がより好ましく、-40℃以下がさらに好ましい。耐衝撃性を良好とするためには、コモノマー(B)単位を含むポリマー鎖がTg以上の温度域で十分な運動性をもつ必要がある。Tgが低いほど、同じ温度環境下でのポリマー鎖の運動性が向上することが知られている。コモノマー(B)単位からなる重合体のTgが-35℃以下であれば、コモノマー(B)単位を含むポリマー鎖が十分な運動性をもつため、耐衝撃性が良好となる。
なお、本発明において、コモノマー(B)単位からなる重合体のTgは、ポリマーハンドブック(POLYMER HANDBOOK FOURTH EDITION 2003年)等の公知の文献に記載の数値を採用し、Foxの式を用いることで算出できる。或いは又、得られた樹脂成形体の動的粘弾性測定を実施し、tanδの値をTgとして採用することができる。
[重合開始剤]
重合性組成物(X)の重合反応を重合開始剤の存在下で行う場合、重合開始剤としては、典型的には、ラジカル重合開始剤が用いられる。ラジカル重合開始剤としては、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート等の公知の有機過酸化物や、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等の公知のアゾ化合物を使用することができる。
[非金属連鎖移動剤]
重合性組成物(X)の重合反応を非金属連鎖移動剤の存在下で行うことで、得られる共重合体の架橋を防ぐことができる。従来はマクロモノマー(A)の連鎖移動効果によって共重合体の架橋を防ぐ必要があり、使用するマクロモノマー(A)のモル%を高めるために低分子量のマクロモノマー(A)を使用する必要があった。そこで、非金属連鎖移動剤を添加することで、より高分子量のマクロモノマー(A)を使用することが可能となり、耐衝撃性がさらに向上することが見出された。
非金属連鎖移動剤としては、例えば、t-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン等の含硫黄連鎖移動剤、α-メチルスチレンダイマー、四塩化炭素、及びテルペノイドが挙げられる。これらの中では、入手の容易さや連鎖移動能の高さの観点から、含硫黄連鎖移動剤が好ましい。これらは、1種以上を適宜選択して使用することができる。
[共重合体の製造方法]
本共重合体は、例えば、マクロモノマー(A)とコモノマー(B)とを含む重合性組成物(X)を重合反応させる工程を含む製造方法により製造できる。
重合反応は、ラジカル重合法を用いて行うことが好ましい。ラジカル重合法としては、例えば、塊状重合法及びキャスト重合等のバルク重合法、又は、溶液重合法、並びに、懸濁重合法及び乳化重合法等の水系分散重合法が挙げられる。
生成した共重合体の回収工程を簡略化できることから、懸濁重合法及び乳化重合法等の水系分散重合法が好ましく、得られた共重合体粒子の取扱い性が良好な点から、懸濁重合法がより好ましい。
懸濁重合法では、本共重合体が平均粒子径5μm~1mm程度の球状粒子として得られる。得られる球状粒子は、取扱い性が良好であり、押出、成形等の加工作業に用いる時に、粉塵飛散の懸念が少なく、樹脂組成物に好適に用いられる。
さらに、懸濁重合方法は、得られた樹脂組成物の成形性が良好となることからも好ましい。その理由は定かではないが、乳化重合で生成する微量の異常重合物や残存する乳化剤等が異物や増粘の原因となり、その結果、乳化重合法よりも懸濁重合法の方が優れると推察される。
本共重合体の製造方法おいて、前記重合反応を、懸濁重合法を用いて行う場合について、以下に詳細に説明する。
[懸濁重合による共重合体の製造]
本共重合体の製造方法において、懸濁重合法を用いて本共重合体を製造する場合、下記i)~v)の工程を含む、マクロモノマー(A)の製造と本共重合体の製造を別に行う方法、及び、下記i)~v)の工程のうち、下記i)~ii)の代わりに下記I)~II)の工程を含む、マクロモノマー(A)の製造と本共重合体の製造を連続的に行う方法が挙げられる。
i)シラップ調製工程
懸濁重合で製造されたビーズ状のマクロモノマー(A)を、コモノマー(B)を含む溶液に溶解させたシラップを調製する。
前記シラップを調製する時は、マクロモノマー(A)とコモノマー(B)を含む混合物を、コモノマー(B)の沸点以下の温度で加熱して、マクロモノマー(A)の溶解を促進することができる。前記シラップを調製する温度は、20℃~100℃の範囲が好ましく、40℃~80℃の範囲がさらに好ましい。前記シラップを調製する温度で、使用する重合開始剤が反応しない場合には、前記シラップに重合開始剤を混合して重合性組成物(X)を得た後に、前記重合性組成物(X)を加熱することができる。
非金属連鎖移動剤を使用する場合には、シラップ調整の際に投入することが好ましい。
ii)重合開始剤溶解工程
前記i)の工程で得るシラップを調製する温度で、使用する重合開始剤が反応する場合には、前記シラップを一旦室温以下まで冷却した後に、重合開始剤を添加し、均一に溶解させる。重合開始剤を添加するときの前記シラップの温度は、重合開始剤の10時間半減期温度から15℃を減じた温度以下とすることが好ましい。
iii)水系溶液の調製工程
前記重合性組成物(X)及び水系溶液を混合した後に撹拌して、前記水系溶液中に前記重合性組成物(X)の液滴を分散させた懸濁液を調製する。
水系溶液とは、前記重合性組成物(X)を分散させるための水溶液のことであり、分散剤、電解質、その他助剤を含有することができる。分散剤及び電解質の組合せを適宜選択することにより、前記重合性組成物(X)を前記水系溶液に分散させたときに、水系溶液中に形成される前記重合性組成物(X)の液滴の分散性を制御できる。
水系溶液に使用する水は、前記重合性組成物(X)の液滴の分散性が良好となることから、脱イオン水を用いることが好ましい。
分散剤としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、(メタ)アクリル酸スルホアルキルのアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、ポリスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩、スチレンスルホン酸のアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、又はこれら単量体の組合せからなる共重合体;ケン化度70~100%のポリビニルアルコール、メチルセルロース、澱粉及びヒドロキシアパタイトが挙げられる。これらは単独で使用又は2種以上を併用して使用することができる。これらの中で、懸濁重合時の分散安定性が良好な(メタ)アクリル酸スルホアルキルのアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体及び(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体が好ましい。分散剤は、例えば、前記重合性組成物(X)100質量部に対して、0.0005~0.5質量部の範囲で用いられる。
電解質としては、例えば、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マンガン等が挙げられる。電解質は、例えば、重合性組成物(X)100質量部に対して、0.01~1.0質量部の範囲で用いられる。
I)シラップ調製工程
懸濁重合で製造されたビーズ状のマクロモノマー(A)が、水系溶液に分散された状態で、コモノマー(B)を含む溶液を添加し、前記シラップを調製する。マクロモノマー(A)を、コモノマー(B)を含む溶液に溶解させる際の温度は、20℃~100℃の範囲が好ましく、40℃~90℃の範囲がより好ましく、50℃~80℃の範囲がさらに好ましい。非金属連鎖移動剤を使用する場合には、シラップ調整の際に投入することが好ましい。
II)重合開始剤溶解工程
前記I)の工程で得るシラップを調製する温度において重合開始剤が反応する場合、前記シラップを一旦室温以下まで冷却した後に、重合開始剤を添加して、均一に溶解させ、重合性組成物(X)を得る。重合開始剤を添加するときの前記シラップの温度は、重合開始剤の10時間半減期温度から15℃を減じた温度以下とすることが好ましい。
iv)重合反応工程
次いで、得られた懸濁液を撹拌しながら昇温し、重合反応を開始する。昇温前の前記重合性混合物及び前記水系溶液に減圧脱気や窒素置換を施して、溶存酸素を除去しておくことが好ましい。前記重合反応を行うときの重合温度は、本発明の共重合体(ブロック/グラフト共重合体)を高い収率で得るための重要な条件である。ここでいう重合温度とは懸濁液の温度のことを指す。重合温度は50℃~90℃が好ましく、55℃~85℃がより好ましく、60℃~80℃がさらに好ましい。重合温度が低すぎると、反応の進行が遅く重合時間が長くなってしまう懸念がある。一方、重合温度が高すぎると、反応中間体であるアダクトラジカルの開裂が優先して、本共重合体(ブロック/グラフト重合体)の収率が低下する傾向がある。
前記重合反応の後期に、重合性組成物(X)の反応率を上げると共に未反応のラジカル重合開始剤を消失させる目的で、懸濁液を昇温することができる。懸濁液を昇温する温度は80℃以上が好ましく、85℃以上がさらに好ましい。昇温時間は、ラジカル重合開始剤が消失するまでの時間を算出して決定すればよく、例えば30分から2時間程度である。
v)回収工程
前記工程の後に、前記懸濁液を室温以下まで冷却したのち、濾過などの公知の方法を用いて、生成したビーズ状の共重合体を回収する。
必要に応じて、分散剤や電解質等の不純物除去のための洗浄工程や、気泡が混入したビーズの除去工程、乾燥工程等を行うことができる。最終的に得られたビーズ状の共重合体(ブロック/グラフト共重合体)を、本共重合体とする。
或いは又、前記重合反応は、塊状重合法又はキャスト重合法等のバルク重合法を用いて行われ、前記重合性混合物を加熱して重合する工程を含むことができる。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、本共重合体と、(メタ)アクリル系重合体(Z)とを含む。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分(Q)を含有することができる。
本発明の樹脂組成物に含まれる(メタ)アクリル系重合体(Z)の含有割合は、樹脂組成物の総質量に対して、10~99質量%が好ましく、20~98質量%がより好ましく、30~90質量%がさらに好ましく、30~65質量%が特に好ましい。(メタ)アクリル系重合体(Z)の含有割合が10質量%以上であれば、樹脂組成物及び樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体が、アクリル樹脂が本来有する優れた特性(透明性や耐候性、高い弾性率、表面硬度等)を良好に維持できる。(メタ)アクリル系重合体(Z)の含有割合が99質量%以下であれば、樹脂組成物及び樹脂成形体の耐衝撃性等の特性が良好となる。
本発明の樹脂組成物に含まれる本共重合体の含有割合は、樹脂組成物の総質量に対して、1~90質量%が好ましく、2~80質量%がより好ましく、10~70質量%がさらに好ましく、35~70質量%が特に好ましい。本共重合体の含有割合が1質量%以上であれば、樹脂組成物及び樹脂成形体の耐衝撃性等の特性が良好となる。本共重合体の含有割合が90質量%以下であれば、樹脂組成物及び樹脂成形体が、アクリル樹脂が本来有する優れた特性(透明性や耐候性、高い弾性率、表面硬度等)を良好に維持できる。
本共重合体の含有割合は、樹脂成形体に必要とされる弾性率や耐衝撃性によって、適宜最適化することができる。
その他の成分(Q)の含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、特に制限されるものではない。通常は、樹脂組成物の総質量に対して、0~20質量%が好ましく、0.1~5質量%がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、射出成形、押出し成形、圧縮成形、中空成形等の公知の溶融成形に用いられる成形材料として好適である。特に、本発明の樹脂組成物は、射出成形又は押出し成形に用いられる成形材料として好適である。
[(メタ)アクリル系重合体(Z)]
(メタ)アクリル系重合体(Z)は、耐熱性、硬度、耐擦傷性、耐候性、透明性、加工性の観点から、MMA単位を含むことが好ましい。
(メタ)アクリル系重合体(Z)に含まれるMMA単位の含有割合は、(メタ)アクリル系重合体(Z)の総質量に対して、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。MMA単位の含有割合が80質量%以上であれば、(メタ)アクリル系重合体(Z)の耐熱性、硬度、耐擦傷性、耐候性、透明性、加工性を良好に維持できる。一方、MMA単位の含有割合の上限は特に限定されるものではなく、MMA単位の含有割合が100質量%、即ちMMA単位のみからなる重合体であってもよい。
(メタ)アクリル系重合体(Z)は、MMA単位の他に、種々の目的で、MMAと共重合可能な他のコモノマーに由来する構造単位(以下、「コモノマー単位」という。)を含むことができる。
例えば、(メタ)アクリル系重合体(Z)が、コモノマー単位として、アクリレート単位を含むことにより、高温条件下に曝されたときの(メタ)アクリル系重合体(Z)の解重合が抑制されるので、耐熱分解性を向上できる。
また、コモノマー単位の種類や含有割合を調整することで、(メタ)アクリル系重合体(Z)のガラス転移温度(Tg)、加工性、耐熱性、屈折率、耐候性、離型性、及び耐熱分解性等を制御できる。
(メタ)アクリル系重合体(Z)におけるコモノマー単位の含有割合は、(メタ)アクリル系重合体が有する耐熱性、硬度、耐擦傷性、耐候性、透明性、加工性等の性能を良好に維持できることから、(メタ)アクリル系重合体(Z)の総質量に対して、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。一方、コモノマー単位の含有割合の下限は特に限定されるものではなく、コモノマー単位を含有しない、即ちMMA単位のみからなる重合体であってもよい。
(メタ)アクリル系重合体(Z)のコモノマー単位を形成するコモノマーとしては、例えば、以下のa)~i)が挙げられる。
a)メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、i-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の、メチルメタクリレート以外の(メタ)アクリレート単量体。
b)2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基含有ビニル系単量体。
c)(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル等のカルボキシル基含有ビニル系単量体。
d)無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有ビニル系単量体。
e)グリジシル(メタ)アクリレート、グリジシルα-エチルアクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有ビニル系単量体。
f)ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート系のビニル系単量体。
g)(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等のアミド基を含有するビニル系単量体。
h)スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系単量体。
i)ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の多官能性のビニル系単量体。
これらのコモノマーは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中では、入手のし易さの点で、メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、メチルアクリレートがより好ましい。
(メタ)アクリル系重合体(Z)の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されるものではなく、30,000以上1,000,000以下が好ましく、50,000以上500,000以下がより好ましく、80,000以上200,000以下がさらに好ましい。(メタ)アクリル系重合体(Z)のMwが30,000以上であれば、(メタ)アクリル系重合体が持つ耐熱性、硬度、耐擦傷性、耐候性、透明性等の性能が発揮されやすくなる。一方、(メタ)アクリル系重合体(Z)のMwが1,000,000以下であれば、溶融粘度が適正な範囲内となり、溶融混練性や加工性が良好となる。
[その他の成分(Q)]
その他の成分(Q)は、樹脂組成物に必要に応じて添加される。その他の成分(Q)としては、例えば、離型剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐衝撃性改良剤、柔軟性付与剤、耐候性改良剤、着色剤、無機顔料、有機顔料、カーボンブラック、フェライト、導電性付与剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収材、滑剤、無機充填剤、強化剤、可塑剤、逆可塑剤、中和剤、架橋剤、難燃剤、防腐剤、防虫剤、芳香剤、ラジカル補足剤、吸音材、コアシェルゴム等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、本共重合体及び(メタ)アクリル系重合体(Z)、さらに必要に応じてその他の成分(Q)を、ヘンシェルミキサー、ブレンダー等の公知の物理的混合法により混合する方法もしくは押出機等の公知の溶融混合法により混練する方法で得ることができる。
樹脂組成物をペレットの形態で得ることにより、その後、溶融成形して、樹脂成形体を得るときの作業性が良好となる。
[樹脂成形体]
本発明の樹脂成形体は、本発明の樹脂組成物を成形してなる。
本発明の樹脂成形体は、本発明の樹脂組成物のペレットを、押出し成形、射出成形、圧縮成形、中空成形等の公知の溶融成形法により成形して、得ることができる。
本発明の樹脂成形体の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、フィルム形状、シート形状、板形状、略箱型形状、及び曲面部を有する3次元形状が挙げられる。
本発明の樹脂成形体は、耐衝撃性と透明性に優れ、高い弾性率を有するので、液晶や有機EL等のディスプレイ前面板、看板用品、照明用品、家電製品、車両内装・外装材、工業資材、建築用資材、レンズ、導光板、集光部材、液晶や有機EL等のディスプレイに使用される光学フィルム等に好適に使用できる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の例によって制限されるものではない。「部」は「質量部」を意味する。
[原材料]
実施例及び比較例で使用した化合物の略号は以下の通りである。
MMA:メチルメタクリレート(三菱ケミカル社製、商品名:アクリエステル(登録商標)M)
MA:メチルアクリレート(三菱ケミカル社製)
BA:n-ブチルアクリレート(三菱ケミカル社製)
St:スチレン(富士フイルム和光純薬社製)
BzA:ベンジルアクリレート(大阪有機化学工業社製、商品名:ビスコート#160)
連鎖移動剤(2):n-オクチルメルカプタン(富士フイルム和光純薬社製)
重合開始剤(1):1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート(日油社製、商品名:パーオクタO)
重合開始剤(2):2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(富士フイルム和光純薬社製、商品名:V-59)
(メタ)アクリル系重合体(Z-1):メチルメタクリレート単位を80質量%以上含むアクリル樹脂、Mw100,000、三菱ケミカル社製、商品名:アクリペット(登録商標)VH001
[評価方法〕
実施例及び比較例における評価は以下の方法により実施した。
<マクロモノマー(A)の質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)>
マクロモノマー(A)の質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法を用いて測定した。
マクロモノマー(A)10mgをテトラヒドロフラン10mLに溶解させ、0.45μmフィルターで濾過した溶液をGPC測定用のサンプルとした。
GPC測定装置(東ソー(株)製、機種名:HLC-8320型)に、高分子測定ガードカラム(東ソー社製、商品名:TSK-GUARD COLUMN SUPER H-H)と2本の高分子測定カラム(東ソー社製、商品名:TSK-GEL SUPER HM-H)を直列に接続して使用した。
検出器には示差屈折計(RI)を用いた。分離カラム温度:40℃、移動層:テトラヒドロフラン、移動層の流量:0.6mL/分、サンプル注入量:10μLの条件で測定を行った。分子量既知のポリメチルメタクリレート数種類(Polymer Laboratories製、ピーク分子量(Mp)1,560~19,500,000)を標準ポリマーとして検量線を作成し、ポリメチルメタクリレート換算のMw及びMnを求めた。
<共重合体の質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)>
共重合体の質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法を用いて測定した。
共重合体10mgをテトラヒドロフラン10mLに溶解させ、0.45μmフィルターで濾過した溶液をGPC測定用のサンプルとした。
GPC測定装置(東ソー(株)製、機種名:HLC-8320型)に、高分子測定ガードカラム(東ソー社製、商品名:TSK-GUARD COLUMN SUPER H-H)と1本の超高分子測定カラム(東ソー社製、商品名:TSK-GEL GMHHR-H)を直列に接続して使用した。
検出器には示差屈折計(RI)を用いた。分離カラム温度:40℃、移動層:テトラヒドロフラン、移動層の流量:0.6mL/分、サンプル注入量:10μLの条件で測定を行った。分子量既知のポリメチルメタクリレート数種類(Polymer Laboratories製、ピーク分子量(Mp)1,560~19,500,000)を標準ポリマーとして検量線を作成し、ポリメチルメタクリレート換算のMw及びMnを求めた。
<共重合体のコモノマー単位からなる重合体のガラス転移温度>
共重合体のコモノマー単位からなる重合体のガラス転移温度(Tg)は、各コモノマー単位のみからなる重合体のTgからFoxの式を用いて算出した。各コモノマー単位のみからなる重合体のTgの値は、ポリマーハンドブック(POLYMER HANDBOOK FOURTH EDITION 2003年)に記載の文献値を採用した。
<シャルピー衝撃試験>
樹脂成形体の耐衝撃性の指標として、シャルピー衝撃強さ(単位:kJ/m)を測定した。シャルピー衝撃強さは、棒状の樹脂成形体を試験片(ノッチなし)とし、シャルピー衝撃試験機(東洋精機(株)製、商品名:DG-CP)を用いて、JIS K 7111に準拠して測定した。15Jのハンマーを用いて5本ずつ試験し、平均値を求めた。
以下の判断基準に従い三段階評価を行った。
AA :シャルピー衝撃強さが35kJ/m以上
A :シャルピー衝撃強さが25kJ/m以上35kJ/m未満
B :シャルピー衝撃強さが25kJ/m未満
<曲げ弾性試験>
棒状の樹脂成形体を試験片とし、テンシロン万能試験機((株)オリエンテック製、商品名:RTC-1250A)を用いて、JIS K 7171に準拠して、試験片の曲げ弾性率(単位:MPa)を求めた。室温23℃、試験速度2mm/分の条件で得られた応力ひずみ曲線から曲げ弾性率を求めた。
以下の判断基準に従い三段階評価を行った。
AA :曲げ弾性率が2.0GPa以上
A :曲げ弾性率が1.5GPa以上2.0GPa未満
B :曲げ弾性率が1.5GPa未満
<全光線透過率評価>
樹脂成形体の透明性の指標として、全光線透過率(単位:%)を測定した。全光線透過率は、板状の樹脂成形体を試験片とし、ヘーズメーター(日本電色工業社製、装置名:NDH4000)を用いて、JIS K 7361-1に準拠して測定した。
以下の判断基準に従い三段階評価を行った。
AA :全光線透過率が90%以上
A :全光線透過率が85%以上90%未満
B :全光線透過率が85%未満
[分散剤(1)の合成]
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた反応装置中に、17質量%水酸化カリウム水溶液61.6部、MMA19.1部及び脱イオン水19.3部を仕込んだ。次いで、反応装置内の液を室温にて撹拌し、発熱ピークを確認した後、4時間撹拌した。この後、反応装置中の反応液を室温まで冷却してメタクリル酸カリウム水溶液を得た。
次いで、撹拌機、冷却管及び温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水900部、42質量%メタクリル酸2-スルホエチルナトリウム水溶液(三菱ケミカル社製、商品名:アクリエステルSEM-Na)70部、上記のメタクリル酸カリウム水溶液16部及びMMA7部を入れて撹拌し、重合装置内を窒素置換しながら、重合装置内の液を50℃に昇温した。重合装置中に、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(富士フイルム和光純薬社製、商品名:V-50)0.053部を添加し、重合装置内の液を60℃に昇温した。重合開始剤投入後、15分毎にMMA1.4部を計5回(MMAの合計量7部)、分割添加した。この後、重合装置内の液を撹拌しながら60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分8質量%の分散剤(1)を得た。
[連鎖移動剤(1)の合成]
撹拌装置を備えた合成装置中に、窒素雰囲気下で、酢酸コバルト(II)四水和物(富士フイルム和光純薬社製、和光特級)2.00g(8.03mmol)及びジフェニルグリオキシム(東京化成社製、EPグレード)3.86g(16.1mmol)及び予め窒素バブリングにより脱酸素したジエチルエーテル100mLを入れ、室温で2時間撹拌した。次いで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(東京化成社製、EPグレード)20mLを加え、更に6時間撹拌した。得られたものをろ過し、固体をジエチルエーテルで洗浄し、100MPa以下で、20℃において12時間乾燥し、茶褐色固体の連鎖移動剤(1)5.02g(7.93mmol、収率99質量%)を得た。
[製造例1:マクロモノマー(A-1)の合成]
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水145部、硫酸ナトリウム(NaSO)0.1部及び分散剤(1)(固形分8質量%)0.26部を入れて撹拌して、均一な水溶液とした。次に、MMA95部、MA5.0部、連鎖移動剤(1)0.0023部及び重合開始剤(1)0.25部を加え、水性分散液とした。次いで、重合装置内を十分に窒素置換し、水性分散液を80℃に昇温してから3時間保持した後に90℃に昇温して2時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、マクロモノマーの水性懸濁液を得た。この水性懸濁液を濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、40℃で16時間乾燥して、マクロモノマー(A-1)を得た。得られたマクロモノマーの分子量(Mn、Mn)を表1に示した。
[製造例2:マクロモノマー(A-2)の合成]
仕込組成を表1に記載のように変更した以外は製造例1と同様の方法で、マクロモノマー(A-2)を得た。得られたマクロモノマーの分子量(Mn、Mn)を表1に示した。
[製造例3:マクロモノマー(A-3)の合成]
仕込組成を表1に記載のように変更した以外は製造例1と同様の方法で、マクロモノマー(A-3)を得た。得られたマクロモノマーの分子量(Mn、Mn)を表1に示した。
[製造例4:共重合体(1)の合成]
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた重合装置中に、製造例1で得たマクロモノマー(A-1)50部、脱イオン水145部、分散剤(1)0.26部、硫酸ナトリウム0.3部を加えて撹拌し、水性懸濁液を得た。次に、重合装置内を70℃に昇温してからBA38.5部及びBzA11.5部及び連鎖移動剤(2)0.07部をゆっくり加えた。その後、撹拌しながら1時間70℃で保持してマクロモノマー(A-1)をBA及びBzAに溶解させ、分散液を得た。次いで、重合装置内を40℃まで冷却した後、重合開始剤(2)0.3部を加えて30分撹拌し、溶解させた。次いで、重合装置内を十分に窒素置換し、水性分散液を72℃に昇温してから5時間保持した後に90℃に昇温して1時間保持した。40℃以下に冷却した後、濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄した。その後、濾過物を熱風循環式の乾燥機にて40℃で12時間乾燥させ、ビーズ状の共重合体(1)を得た。仕込組成と、得られたビーズ状の共重合体のMwを表2に示す。
BzA単位のみからなる重合体のTgは6℃、BA単位のみからなる重合体のTgは-54℃である(POLYMER HANDBOOK FOURTH EDITION 2003年)。共重合体(1)のコモノマー(B)単位からなる重合体のTgは、Foxの式を用いて計算すると-42.8℃であった。
[製造例5~7:共重合体(2)~(4)の合成]
仕込組成を表2に記載のように変更した以外は実施例1と同様の方法で、ビーズ状の共重合体(2)~(4)を得た。仕込組成と、得られたビーズ状の共重合体のMw、及びコモノマー(B)単位からなる重合体のTgを表2に示す。
[製造例8:共重合体(5)の合成]
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた重合装置中に、製造例1で得たマクロモノマー(A-1)60部、脱イオン水150部、分散剤(1)0.26部、硫酸ナトリウム0.3部を加えて撹拌し、水性懸濁液を得た。次に、重合装置内を70℃に昇温してからBA33.2部とSt6.8部をゆっくり加えた。その後、撹拌しながら1時間70℃で保持してマクロモノマー(A-1)をBAおよびStに溶解させ、分散液を得た。次いで、重合装置内を40℃まで冷却した後、重合開始剤(2)0.5部を加えて30分撹拌し、溶解させた。次いで、重合装置内を十分に窒素置換し、水性分散液を82℃に昇温してから4時間保持した後に90℃に昇温して1時間保持した。40℃以下に冷却した後、濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄した。その後、濾過物を熱風循環式の乾燥機にて40℃で12時間乾燥させ、ビーズ状の共重合体(5)を得た。仕込組成と、得られたビーズ状の共重合体のMw、及びコモノマー(B)単位からなる重合体のTgを表2に示す。
[製造例9:共重合体(6)の合成]
本例では、溶液重合法により共重合体(6)を製造した。
攪拌機、冷却管及び温度計を備えたセパラブルフラスコ内に、トルエン100部、製造例2で得たマクロモノマー(A-2)50部を入れて50℃で1時間撹拌して均一な溶液とした。一度室温まで冷却後、BA35部、BzA15部、重合開始剤(2)0.3部を加えて撹拌して均一な溶液を得た。その後、撹拌しながら30分間窒素バブリングを実施してセパラブルフラスコ内の雰囲気を窒素置換した。次いで69℃まで昇温して重合を開始し、5時間保持した後に、室温まで冷却して共重合体(6)を含むポリマー溶液を得た。次いで、溶液重合で得られた共重合体(6)の再沈殿を実施した。まず、重合反応溶液100部にトルエン200部を加えて希釈液300部を得た。次いで前記希釈液を、3000部のメタノール中に投じて沈殿物を生じさせ、その沈殿物を濾過して固体の回収物を得た。この回収物を減圧乾燥して共重合体(6)を得た。仕込組成と、得られたビーズ状の共重合体のMw、及びコモノマー(B)単位からなる重合体のTgを表2に示す。
[実施例1]
(メタ)アクリル系重合体(Z-1)60部及び共重合体(1)40部を、二軸押出機(TEM-26SX、東芝機械社製)を用い、シリンダー温度200~240℃、ダイ温度240℃の条件下で溶融混練してペレット状の樹脂組成物を得た。
次いで、得られた樹脂組成物を、射出成形機(SE100EV-A、住友重機械工業社製)を用い、シリンダー温度250℃、金型温度80℃、成形時間20秒の条件で射出成形し、板状の樹脂成形体(幅50mm、長さ100mm、厚さ3mm)、及び棒状の樹脂成形体(幅10mm、長さ80mm、厚さ4mm)を得た。得られた樹脂成形体の評価結果を表3に示した。
[実施例2~5、比較例1~2]
(メタ)アクリル系重合体(Z-1)と配合する共重合体の種類及びそれらの配合割合を表3に記載のように変更した以外は実施例1と同様の方法で、板状の樹脂成形体及び棒状の樹脂成形体を得た。得られた樹脂成形体の評価結果を表3に示した。
[参考例1]
共重合体を配合せず、(メタ)アクリル系重合体(Z-1)のみを用いた以外は実施例1と同様の方法で、板状の樹脂成形体及び棒状の樹脂成形体を得た。得られた樹脂成形体の評価結果を表3に示した。
Figure 2023144752000005
Figure 2023144752000006
Figure 2023144752000007
実施例1~5で得られた樹脂成形体は、良好な透明性と高い弾性率を有し、耐衝撃性に優れていた。
比較例1で得られた樹脂成形体は、共重合体のコモノマー(B)が芳香族アクリレート(B1)を含まないため、耐衝撃性が不十分であった。
比較例2で得られた樹脂成形体は、共重合体の質量平均分子量が200,000未満であるため、耐衝撃性が不十分であった。
参考例1で得られた樹脂成形体は、共重合体を含まないため、実施例1~6と比較して、耐衝撃性が不十分であった。
実施例1~5に示されるように、本発明の樹脂組成物は、全光線透過率が90%以上、35kJ/m以上のシャルピー衝撃試験(ノッチ無し)を有し、2000MPa以上の曲げ弾性率を有する樹脂成形体とすることができる。一般には、樹脂成形体の耐衝撃性は、弾性率の向上に伴い低下する傾向にあり、所謂トレードオフの関係にある。すなわち、本発明の樹脂成形体は、相反する特性である耐衝撃性と弾性率とを両立させているという顕著な特性を有した樹脂成形体である。

Claims (11)

  1. 下記式(1)で表されるマクロモノマー(A)に由来する構造単位と、前記マクロモノマー(A)と共重合可能なコモノマー(B)に由来する構造単位とを含む共重合体であって、
    前記共重合体の質量平均分子量(Mw)が、200,000以上であり、
    前記コモノマー(B)が、芳香族アクリレート(B1)を含む、共重合体。
    Figure 2023144752000008
    ただし、R及びR~Rは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は複素環基を示し、X~Xは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、nは、2~10,000の自然数を示し、Zは、末端基を示す。
  2. 前記共重合体の総質量に対する前記マクロモノマー(A)に由来する構造単位の割合が、45質量%以上99質量%以下である、請求項1に記載の共重合体。
  3. 前記コモノマー(B)に由来する構造単位のみからなる重合体のガラス転移温度が、-35℃以下である、請求項1又は2に記載の共重合体。
  4. 非金属連鎖移動剤に由来する基を含み、
    前記共重合体の総質量に対する前記非金属連鎖移動剤に由来する基の割合が、0.01~0.5質量%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の共重合体。
  5. 前記マクロモノマー(A)が、メチルメタクリレートに由来する構造単位を有し、
    前記マクロモノマー(A)の総質量に対する前記メチルメタクリレートに由来する構造単位の割合が、90質量%以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の共重合体。
  6. 前記芳香族アクリレート(B1)が、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート及びフェニルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~5のいずれか1項に記載の共重合体。
  7. 前記コモノマー(B)が、アルキルアクリレート(B2)を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の共重合体。
  8. 前記アルキルアクリレート(B2)が、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、i-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、i-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、トリデシルアクリレート及びi-ステアリルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項7に記載の共重合体。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の共重合体と、(メタ)アクリル系重合体(Z)とを含む、樹脂組成物。
  10. 前記(メタ)アクリル系重合体(Z)が、メチルメタクリレートに由来する構造単位を含み、
    前記(メタ)アクリル系重合体(Z)の総質量に対する前記メチルメタクリレートに由来する構造単位の割合が、80質量%以上である、請求項9に記載の樹脂組成物。
  11. 請求項9又は10に記載の樹脂組成物を成形してなる、樹脂成形体。
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